S字切痕インプラント
遠位橈骨のS字切痕に取り付けられるS字状切痕の表面を再形成する補綴具である。S字状切痕補綴具は、全体として、サドルと、遠位橈骨に取り付けられる橈骨部分とを有している。サドルは、超高分子量ポリエチレン又は別の耐久性のある自己潤滑性材料から形成することができる。サドルは、橈骨部分に固定することのできる丸味を付けた端縁を有する少なくとも部分的に凹型の輪郭の凹所を有する。サドルは、摺動切痕スナップ嵌めの設計により固定することができる。補綴具は、自然の尺骨頭と関節接続し又は尺骨頭に置換した尺骨頭補綴具と関節接続し得るようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、整形外科用補綴具に関する。より具体的には、本発明は、遠位橈尺関節用の関節補綴具に関する。
【背景技術】
【0002】
橈骨及び尺骨は共に前腕の骨構造体を形成する。これら2つの骨は、その近位端及び遠位端の双方にて互いに関節接続する。遠位橈尺関節は、「浅いソケット」のボール関節である。相対的に直線状の骨である尺骨は、背面−掌側の方向に平行移動し、僅かに湾曲した橈骨を受容する。橈骨の遠位端は、S字切痕又は窩にて尺骨の遠位頭部にて回内運動及び回外運動状態に関節動作する。殆どの手首におけるS字切痕ソケットは、相対的に平坦であり、多数の靭帯が遠位尺骨が橈骨の遠位端と合わせる箇所にて遠位尺骨を支持する。支持する靭帯は、三角線維軟骨(TFC)と、尺側手根伸筋(ECU)副鞘と、内側側副靭帯の複合体とを含む。三角線維軟骨、線維軟骨副鞘、内側側副の複合体の安定化要素は、遠位尺骨と協働して作用し圧縮荷重を遠位橈尺関節を横切って手根尺骨と遠位尺骨との間にて伝達する。
【特許文献1】米国特許第6302915号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念なことに、一般に、遠位橈骨の骨折及び前腕のその他の損傷が生じ、また、回転動作の不安定性を引き起すことがある。前腕へのこれらの損傷後、靭帯の破断、尺骨茎状部の骨折、また、遠位橈尺関節の骨折が一般に生じる。遠位橈尺関節を伴う骨折又は脱臼は、遠位側橈骨のS字状のと尺骨頭との間の不安定性又は不調和の何れかに関係した前腕の回転動作の喪失を生じることがしばしばである。遠位側橈骨を含む多岐に亙る異なる骨折は、コールズ骨折及びガレアッチ骨折を含む、この状態を引き起す可能性がある。
【0004】
遠位橈尺関節の安定性が失われると、その後、前腕の把持力及び掴み力が低下し、また、前腕の回転動作が失われる可能性がある。不安定性は、また、三角線維軟骨又は尺骨茎状部の損傷と関係する可能性がある。不安定性が存在するとき、不安定な遠位尺骨の治療の助けとなるよう多数の靭帯の再構築法が開発されている。残念なことに、遠位側尺骨の靭帯の再構築は、完全な安定性を回復することはなく、関節を安定化させようとして関節の置換がしばしば実行される。
【0005】
遠位尺骨が損傷した場合、好ましい治療法は半関節形成術である。これは、尺骨頭を切開し且つ、その頭を尺骨頭補綴具にて置換し、その補綴具は、その後、自然の橈骨の骨と接触する。その後、補綴具は、S字切痕と関節接続し、遠位橈尺関節の機能を回復する。残念なことに、人工インプラントと自然の骨との間の長期間の関節動作は、骨の磨耗を加速し且つ、関節炎による変化又は変性的変化を引き起す可能性がある。これは、患者の痛み及び動作の制限を引き起す可能性がある。
【0006】
その他の状況において、尺骨頭及び遠位橈骨の双方は、損傷、関節炎による変化又は変性的変化を同時に受けることもある。この場合、尺骨頭及びS字状窩の双方の関節面を置換することが望ましいであろう。
【0007】
更に、一部の事例にて、尺骨頭を補綴具にて置換しても遠位橈尺関節の安定性を完全に回復することはできない。現在、尺骨頭を切開して尺骨補綴具を埋め込んでも依然として不安定性な患者は、選択肢が殆ど無い。
【0008】
上記に鑑みて、外科分野は、損傷したS字切痕関節面の機能を回復するため使用可能である補綴具装置が利用可能であることにより利益を受けるであろう。外科分野は、また、損傷し又は変性した遠位橈尺関節を修復するため補綴具の組み合わせが利用可能であることから利益も受けよう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した問題点の多くを解決するものである。本発明は、遠位橈骨のS字状切痕に取り付けられるS字状切痕の表面再形成補綴具を含む。S字状切痕補綴具は、全体として、サドルと、遠位橈骨に取り付けられる橈骨部分とを有している。サドルは、橈骨部分に固定することができ、また、丸味を付けた端縁を有する少なくとも部分的に凹状の輪郭を有する関節面を含む。サドルは、摺動切痕スナップ嵌めの設計により又は当該技術の当業者に既知のその他の技術により固定することができる。サドルは、超高分子量ポリエチレン又は尺骨頭インプラントの頭部と関節接続される別の耐久性のある自己潤滑性材料から形成することができる。この場合、S字状切痕インプラントが半関節形成部として使用されるならば、自然の骨と関節接続するのにステンレス鋼又はチタンのような金属材料が好ましいと考えられる。
【0010】
本発明は、尺骨の遠位頭部に置換する尺骨頭補綴具を含むこともできる。尺骨頭補綴具は、遠位尺骨頭に置換する頭部又は幹部を含む。補綴具頭部は、取り付けられたとき、S字状切痕補綴具と関節接続する湾曲面を有するよう形成される。頭部は、頭部を幹部に取り付けることを許容する穴を提供する。頭部には、遠位側尺骨を切開した後、露出される柔軟な組織に頭部を定着するための縫合糸穴を形成することができる。
【0011】
尺骨頭補綴具の幹部は、切開した尺骨の髄管内に係合する伸びた端部を有して細長とされている。尺骨頭補綴具の幹部は、また、尺骨補綴具の頭部の穴と係合し得るようにされた遠位端も有している。幹部は、幹部の近位端と幹部の遠位端との間にカラーを更に有している。該カラーは、実質的に平坦とすることができる。カラーの近位端は、植え込んだとき、遠位尺骨の切開した端部に対して休止し、幹部が尺骨の髄管内に過剰に侵入するのを防止する。
【0012】
S字状切痕インプラントのサドル板は、その反対側部から外方に伸びる幹部と、低プロファイルの球形頭部の骨ねじを受け入れる皿ねじとを有する。補強リブがねじ受け部及び幹部を相互に接続する。橈骨部分の反対面は、実質的に平坦なプラットフォームと、3側部にてサドルを取り囲み、また、サドルをその位置にて保持すべくサドルの一部をその下方に受け入れ得るよう溝が形成されたサドル保持部とを有する。更に、サドル保持部は、保持リッジを有し、サドルは保持構造体まで摺動し且つ、スナップ嵌めによって保持することができる。サドル及びサドル板は、当該技術の当業者に既知のその他の方法にて接続することもできる。
【0013】
S字状切痕インプラントは、遠位の橈骨尺骨関節に最初に外科的にアクセスすることにより植え込まれる。外科医がS字状切痕インプラントに対する正確な位置を決定したならば、外科医は、サドル板の幹部を受け入れる穴を穿孔することにより、遠位橈骨を準備する。自己ねじ立てする(セルフタッピング)骨ねじのための案内穴の適正な位置を決定するため、試用の幹部を穴内に配置する。試用の幹部は、最終的なインプラントと遠位橈骨の骨との間に圧力嵌め状態を保持し得るよう過少寸法の幹部を有する。
【0014】
自己ねじ立てする骨ねじ用の案内穴の位置決めが完了したならば、外科医は、S字状切痕を下方に掘り、サドル板の後部に対する平坦な突き合わせ部を提供する。外科医はまた、小さい皿穴を掘り、ねじ穴と幹部との間に球形ねじの頭部を取り囲むカラー及び補強リブを受け入れる。次に、橈骨部分を穿孔穴内に配置し且つ、圧縮してその最終位置に着座させる。橈骨インプラントが成功裏に配置されたならば、自己ねじ立てする骨ねじを案内穴内に配置し且つ、締め付ける。橈骨板が完全に着座したならば、尺骨頭インプラントの頭部を尺骨頭におけるその適正な位置に戻す。
【0015】
この実施の形態において、サドルは、橈骨板の保持構造体内に挿入し且つ、遠位方向に前進させる。サドルが橈骨板と適正に整合された想定して、サドルは、約75%係合する迄、遠位方向に動かし、その時点にて、橈骨板は、傾斜路が橈骨板の表面の干渉リッジの上を通過するとき、サドルの底部の傾斜路に上昇する。サドルがサドル板内に完全に着座したならば、外科医は関節へのアクセス動作範囲を縮小させる。尺骨頭インプラント及びS字状切痕インプラントの相対的な動きが満足し得るものと想定して、外科医は、関節包を修復し、また、切開部を閉鎖してその方法は完了する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
S字状切痕インプラント30の1つの実施の形態は、全体として、橈骨部分32と、サドル34と、骨ねじ36とを有する。図18及び図19を参照すると、S字状切痕インプラント30は、全体として、尺骨頭インプラント38と共に利用される。典型的な尺骨頭インプラント38は、頭部分40と、幹部分42とを含む。一例としての尺骨頭補綴具は、米国特許第6,302,915号明細書に開示されている。この米国特許明細書の内容は参考として引用し、本明細書に含めてある。
【0017】
図1ないし図6及び図13ないし図18を参照すると、橈骨部分32は、全体として、幹部44と、サドル板46とを有する。幹部44は、サドル板46から実質的に直角にて外方に伸びることができる。
【0018】
幹部44は、円筒状部分48と、丸味を付けた端部50とを含む。幹部44は、サドル板46を条片(フィレット)52にて接続する。幹部44は、テーパー付きの形状、隆起部(リッジ)、又は表面の質感(テクスチャー)を含むこともできる。
【0019】
図13ないし図18を参照すると、サドル板46は、ほぼ台形の形状をしており、また、幹部44と一体的に形成することができる。サドル板46は、幹部44と反対側の側部にてサドル保持部54と、保持リッジ56とを提供する。サドル板46は、貫通するねじ穴58も画成する。
【0020】
1つの実施の形態において、サドル保持部54は、3側部にてサドル34を実質的に取り囲む構造とされている。サドル保持部54は、その3側部に隆起部60を有しており、該隆起部は、互いに3側部付き溝62を画成する。サドル板46の面64は実質的に平面状である。保持リッジ56は、サドル保持部54の実質的に反対側にてサドル板46の一端が面64から上方に伸びている。保持リッジ56はその頂部に斜角面66を有することができる。
【0021】
ねじ穴58は、サドル板46を貫通する。ねじ穴58は、球形の皿穴68を有することが望ましい。図14ないし図16及び図18に示すように、ねじ穴58は、サドル板46と一体に形成することもでき、また、サドル板46を円形の条片74にて接続するカラー70を貫通している。カラー70は、円形の条片74を条片52と相互に接続する補強リブ76によって幹部44と接続される。補強リブ76はまた、サドル板46と一体的に形成することもできる。ねじ穴58はまた、サドル34がサドル板46に組み付けられたとき、サドル34の下方の位置に配置し、又は、ねじ穴58は、サドル34がサドル板46に組み付けられたとき、露出されたままの位置にあるようにすることができる。
【0022】
ねじ穴58は、その内側形態部に円筒状部分78を画成する。球形皿穴68は、面64と合わさるとき、円形の斜角面80を画成する。
【0023】
橈骨部分32は、単一の材料片から機械加工、鋳造、成形又はその他の方法にて形成されることが望ましい。橈骨部分32は、インプラント等級316Lステンレス鋼又はチタンのようなその他の生物適合性材料にて製造することができる。生物適合性ポリマー又は複合材料も同様に使用可能である。
【0024】
橈骨部分32は、面64、サドル保持部54、保持リッジ56並びに橈骨の骨と直接接触しない任意のその他の面の上にて鏡面研磨することができる。幹部44、カラー70、補強リブ76、条片52、円形の条片74の面及び橈骨の骨と接触する任意のその他の面は、粗面化し、商業的に純粋なチタンプラズマ被覆を施す等によって骨一体化を促進することができる。
【0025】
サドル34は、関節部分82と、固定部分84とを提供する。図8ないし図12を参照すると、関節部分82は、凹型部分86と、凸型部分88とを含む関節接続面85を提供する。凹型部分86及び凸型部分88は、関節接続面85が尺骨頭インプラント38の形状に実質的に順応するような輪郭とされている。関節部分82は、丸みを付けた端縁90を有することが望ましい。サドル84の周面92は、サドル板46の周面の形状に実質的に順応する。サドル36の外形は、全体として台形であり、また、丸味を付けた隅部94を有する。
【0026】
一例としての実施の形態において、凹型部分86は、実質的に球形であり、また、約18.009mm(0.709インチ)の曲率半径を有する。凸型部分88は、約12.7mm(0.5インチ)の曲率半径を有することができる。これらの値は、一例であり限定的であるものとみなすべきではない。凸型部分88に隣接して、サドル34の周面92に対して約70°の角度にて傾斜させることのできる傾斜部分96がある。サドル36は、自然の橈骨頭又は色々な尺骨頭インプラント38に順応するよう寸法、厚さ及び形状が調節可能である。
【0027】
サドル34の固定部分84は、舌状体100によって取り囲まれた底面98を提供する。舌状体は、周面92と共に溝102を画成する。溝102は、周面92の回りを実質的に伸び、また、舌状体102が溝62に嵌まる間、隆起部60を受け入れる寸法及び構造とされている。舌状体100は、3側部にて底面98の端縁を部分的に取り囲む。舌状体100は、底面98から外方に伸び且つ隣接する溝102を画成し、該溝は、また、底面98の3側部の回りを伸びている。舌状体100及び溝102は、サドル保持部54の隆起部60及び溝62と合わさる寸法とされている。
【0028】
底面92は、実質的に平面状であり、凹部104を更に提供する。凹部104は、実質的に矩形の形状であり、また、平坦部分106と、傾斜部分108とを有することができる。保持用溝穴110が凹部104に隣接し且つ傾斜部分108の端縁を超える位置にある。凹部104は、舌状体100及び溝102が隆起部60及び溝62と整合され、サドル34がサドル保持部54と摺動可能に係合したとき、平坦部分106が保持リッジ56を受け入れることができるような寸法とされている。保持用溝穴110は、サドル34が橈骨部分32に摺動可能に固定されたとき、保持リッジ56を内部に受け入れる寸法とされている。サドル板46及び(又は)サドル34は、弾性的に撓んで保持用溝穴110と保持リッジ56とを係合させることが分かる。
【0029】
サドル34は、超高分子量ポリエチレン又は別の自己潤滑性材料にて形成することができる。サドル34は、その他のポリマー又は複合材又は金属材料にて形成してもよい。S字状切痕インプラント30が半関節形成術のために使用されるならば、自然の尺骨頭と関節接続するため生物適合性金属材料が好ましいと一般に考えられている。サドル34は、ねじ、締結具又は締まり嵌め技術を使用する等による、当該技術の当業者が理解する多くのその他の技術により橈骨部分32に接続することが可能であると特に考えられる。
【0030】
骨ねじ36は球形頭の骨ねじである。骨ねじ36は、球形頭部112と、軸114とを有する。軸は、ねじ付き部分116と、ねじ無し部分118とを有する。骨ねじ36は、自己ねじ切り(self−threading)を容易にし得るよう縦溝20を有することが望ましい。骨ねじ36は、ISO5835の標準に従って製造することができる、図5を参照すると、骨ねじ36は、球形皿穴68内にて角度αで円錐状に関節動作することができる。例えば、骨ねじ36は約30°の立体角度αで円錐状に関節動作することができる。
【0031】
作動時、S字状切痕インプラント30は、尺骨頭インプラント38に対して関節動作し、遠位橈骨尺骨関節に対し安定性及び無痛の自然の動作を回復する。S字状切痕インプラント30を植え込むため、外科医は、最初に、遠位橈骨尺骨関節を露出させる。S字状切痕インプラント30のこの説明において、金属製の関節接続面を有する尺骨頭インプラント38は、既に尺骨頭に置換すべく植込まれているものと想定する。S字状切痕インプラント30は、半関節形成術として自然の尺骨頭に対して関節接続するよう、植え込むことも可能であると特に考えられる。本発明のこの形態が実施されるならば、サドル34は、生物の骨と関節接続するのに適した金属材料又は別の生物適合性材料にて形成することが可能であることを理解すべきである。この時点にて、2つの面の関節形成術のため、金属対ポリマーの境界面とすることが好ましく、また、半関節形成術の場合、金属対骨の境界面とすることが好ましいと一般に考えられるが、こうした考えは、限定的なものとみなすべきではない。
【0032】
関節が露出されたならば、外科医は、尺骨頭インプラント38の頭部分40を除去し又はその頭部分を脇に置く。しかし、外科医は、橈骨部分32の幹部44を受け入れる穴を穿孔する位置を決定するため、存在する尺骨頭インプラント38の遠位面からの距離を測定する。外科医は、幹部44を受け入れるのに必要な穿孔深さを推定する必要がある。次に、外科医は、例えば、3.5mmドリルを利用して遠位橈骨に穴を穿孔する。
【0033】
幹部44を受け入れる穴が穿孔されたならば、外科医は、過少寸法の試用の幹部を有する試用の橈骨部分(図示せず)を使用してS字状切痕インプラント30に対する押し込み嵌め状態を保持する。試用のインプラントが穿孔した穴に成功裏に配置されたならば、外科医は、適宜な寸法のドリルを使用して、自己ねじ立て(セルフータッピング)する骨ねじねじ36のための案内穴を穿孔する。案内穴は、案内穴がねじ穴58内にて実質的に中心に位置するよう配置される。案内穴は、骨ねじ36を最適に配置し得るよう角度を付けることができる。案内穴は、予め存在するインプラント器具を回避し又は骨折の固定を助け又は骨の骨折部分を回避するのに必要なように、角度を付けることができる。案内穴が、幹部44を受け入れる穴に対し平行でなく穿孔されたならば、軸方向引き抜き強度は増大する。
【0034】
骨ねじ36に対する案内穴が形成されたならば、外科医は、試用の橈骨部分を除去し、また、S字状切痕を下方にバリ取りし、サドル板46に対する平坦な突き合わせ部を提供する。外科医は、また、カラー70を受け入れるよう小さい皿穴及び補強リブ76を受け入れる空間をバリ取りする。
【0035】
外科医は、幹部44が穿孔した穴内にあるようにS字状切痕インプラント30の橈骨部分34を配置する。次に、外科医は、橈骨部分が幹部44により予め穿孔した穴内に圧力嵌めされることにより固定され且つ、橈骨の平坦な突き合わせ面に対して面一となる迄、橈骨32に圧縮力を加える。穴が幹部44を受け入れるのに過小であるならば、外科医は、橈骨部分32を除去し且つ、橈骨部分を挿入しようとして橈骨部分32に過剰な力を加えずに、塵埃を除去するため再度、穿孔する必要がある。
【0036】
橈骨部分32がその位置となったならば、骨ねじ36を挿入し且つ締め付ける。骨ねじ36は、均一に締め付け、サドル板46は、サドル板46の曲がりを回避し得るよう橈骨に対し均一に支持されるようにすることが重要である。更に、尺骨頭インプラント38及び橈骨部分32の研磨した面を保護するよう注意する必要がある(例えば、頭部分40を慎重に取り扱うことにより)。尺骨頭インプラント38の研磨した表面に少しの引掻き傷があっても、サドル34の摩耗寿命は短くなるであろう。取り囲む組織と関節接続する構成要素の部分に切り傷があれば、炎症を引き起こす可能性がある。
【0037】
図18及び図19を参照すると、外科医は、サドル34(UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)又はその他のポリマー材料で造られている)を橈骨部分32内に摺動させ、舌状体100及び溝102が溝62及び隆起部60と合わさるようにする。サドル34が約75%係合したとき、サドル34の傾斜部分96は、保持リッジ56の斜角面部分66と係合する。必要であれば、外科医は、骨刀を橈骨内に押し込みサドル34に対してこじ入れて傾斜部分108に対する保持リッジ56の抵抗に打ち勝つこともできる。サドル34がサドル保持部54内のその位置にスナップ嵌めされたならば、S字状切痕インプラント30の植え込みは完了する。
【0038】
次に、外科医は、尺骨頭インプラント38の頭部分40を置換し且つ関節へのアクセス動作範囲を縮小させる。外科医は、動作範囲及び整合状態は許容可能であるものと想定して、外科医は関節包を修復し且つ皮膚を閉塞する。
【0039】
本発明が半関節形成術として実施されるならば、サドルは、金属材料にて形成し且つ、上述したような別の技術により橈骨部分32に固定することができる。半関節形成術において、尺骨頭は、勿論、無傷のままである。
【0040】
本発明は、その主たる性質から逸脱せずに、その他の特定の形態にて実施することができ、このため、図示した実施の形態は、全ての点にて単に一例であり且つ非限定的なものであるとみなすべきであり、本発明の範囲を明らかにするには、上記の説明ではなくて特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に従ったS字状切痕インプラントの斜視図である。
【図2】S字状切痕インプラントの別の斜視図である。
【図3】S字状切痕インプラントの正面図である。
【図4】S字状切痕インプラントの平面図である。
【図5】S字状切痕インプラントの後側図である。
【図6】S字状切痕インプラントの側面図である。
【図7】本発明に従ったサドルの斜視図である。
【図8】本発明に従ったサドルの正面図である。
【図9】本発明に従ったサドルの斜視図である。
【図10】仮想線にて内部構造体を示すサドルの平面図である。
【図11】サドルの後側図である。
【図12】仮想線にて内部構造体を示すサドルの側面図である。
【図13】S字状切痕インプラントの橈骨構成要素を示す平面図である。
【図14】橈骨構成要素の正面図である。
【図15】橈骨構成要素の側面図である。
【図16】橈骨構成要素の後側図である。
【図17】橈骨構成要素の斜視図である。
【図18】橈骨構成要素の別の斜視図である。
【図19】S字状インプラントのサドルが部分的に取り付けられた、S字状切痕インプラント及び尺骨頭インプラントの立面図である。
【図20】サドルが完全に取り付けられた、S字状切痕インプラント及び尺骨頭インプラントの立面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、整形外科用補綴具に関する。より具体的には、本発明は、遠位橈尺関節用の関節補綴具に関する。
【背景技術】
【0002】
橈骨及び尺骨は共に前腕の骨構造体を形成する。これら2つの骨は、その近位端及び遠位端の双方にて互いに関節接続する。遠位橈尺関節は、「浅いソケット」のボール関節である。相対的に直線状の骨である尺骨は、背面−掌側の方向に平行移動し、僅かに湾曲した橈骨を受容する。橈骨の遠位端は、S字切痕又は窩にて尺骨の遠位頭部にて回内運動及び回外運動状態に関節動作する。殆どの手首におけるS字切痕ソケットは、相対的に平坦であり、多数の靭帯が遠位尺骨が橈骨の遠位端と合わせる箇所にて遠位尺骨を支持する。支持する靭帯は、三角線維軟骨(TFC)と、尺側手根伸筋(ECU)副鞘と、内側側副靭帯の複合体とを含む。三角線維軟骨、線維軟骨副鞘、内側側副の複合体の安定化要素は、遠位尺骨と協働して作用し圧縮荷重を遠位橈尺関節を横切って手根尺骨と遠位尺骨との間にて伝達する。
【特許文献1】米国特許第6302915号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念なことに、一般に、遠位橈骨の骨折及び前腕のその他の損傷が生じ、また、回転動作の不安定性を引き起すことがある。前腕へのこれらの損傷後、靭帯の破断、尺骨茎状部の骨折、また、遠位橈尺関節の骨折が一般に生じる。遠位橈尺関節を伴う骨折又は脱臼は、遠位側橈骨のS字状のと尺骨頭との間の不安定性又は不調和の何れかに関係した前腕の回転動作の喪失を生じることがしばしばである。遠位側橈骨を含む多岐に亙る異なる骨折は、コールズ骨折及びガレアッチ骨折を含む、この状態を引き起す可能性がある。
【0004】
遠位橈尺関節の安定性が失われると、その後、前腕の把持力及び掴み力が低下し、また、前腕の回転動作が失われる可能性がある。不安定性は、また、三角線維軟骨又は尺骨茎状部の損傷と関係する可能性がある。不安定性が存在するとき、不安定な遠位尺骨の治療の助けとなるよう多数の靭帯の再構築法が開発されている。残念なことに、遠位側尺骨の靭帯の再構築は、完全な安定性を回復することはなく、関節を安定化させようとして関節の置換がしばしば実行される。
【0005】
遠位尺骨が損傷した場合、好ましい治療法は半関節形成術である。これは、尺骨頭を切開し且つ、その頭を尺骨頭補綴具にて置換し、その補綴具は、その後、自然の橈骨の骨と接触する。その後、補綴具は、S字切痕と関節接続し、遠位橈尺関節の機能を回復する。残念なことに、人工インプラントと自然の骨との間の長期間の関節動作は、骨の磨耗を加速し且つ、関節炎による変化又は変性的変化を引き起す可能性がある。これは、患者の痛み及び動作の制限を引き起す可能性がある。
【0006】
その他の状況において、尺骨頭及び遠位橈骨の双方は、損傷、関節炎による変化又は変性的変化を同時に受けることもある。この場合、尺骨頭及びS字状窩の双方の関節面を置換することが望ましいであろう。
【0007】
更に、一部の事例にて、尺骨頭を補綴具にて置換しても遠位橈尺関節の安定性を完全に回復することはできない。現在、尺骨頭を切開して尺骨補綴具を埋め込んでも依然として不安定性な患者は、選択肢が殆ど無い。
【0008】
上記に鑑みて、外科分野は、損傷したS字切痕関節面の機能を回復するため使用可能である補綴具装置が利用可能であることにより利益を受けるであろう。外科分野は、また、損傷し又は変性した遠位橈尺関節を修復するため補綴具の組み合わせが利用可能であることから利益も受けよう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した問題点の多くを解決するものである。本発明は、遠位橈骨のS字状切痕に取り付けられるS字状切痕の表面再形成補綴具を含む。S字状切痕補綴具は、全体として、サドルと、遠位橈骨に取り付けられる橈骨部分とを有している。サドルは、橈骨部分に固定することができ、また、丸味を付けた端縁を有する少なくとも部分的に凹状の輪郭を有する関節面を含む。サドルは、摺動切痕スナップ嵌めの設計により又は当該技術の当業者に既知のその他の技術により固定することができる。サドルは、超高分子量ポリエチレン又は尺骨頭インプラントの頭部と関節接続される別の耐久性のある自己潤滑性材料から形成することができる。この場合、S字状切痕インプラントが半関節形成部として使用されるならば、自然の骨と関節接続するのにステンレス鋼又はチタンのような金属材料が好ましいと考えられる。
【0010】
本発明は、尺骨の遠位頭部に置換する尺骨頭補綴具を含むこともできる。尺骨頭補綴具は、遠位尺骨頭に置換する頭部又は幹部を含む。補綴具頭部は、取り付けられたとき、S字状切痕補綴具と関節接続する湾曲面を有するよう形成される。頭部は、頭部を幹部に取り付けることを許容する穴を提供する。頭部には、遠位側尺骨を切開した後、露出される柔軟な組織に頭部を定着するための縫合糸穴を形成することができる。
【0011】
尺骨頭補綴具の幹部は、切開した尺骨の髄管内に係合する伸びた端部を有して細長とされている。尺骨頭補綴具の幹部は、また、尺骨補綴具の頭部の穴と係合し得るようにされた遠位端も有している。幹部は、幹部の近位端と幹部の遠位端との間にカラーを更に有している。該カラーは、実質的に平坦とすることができる。カラーの近位端は、植え込んだとき、遠位尺骨の切開した端部に対して休止し、幹部が尺骨の髄管内に過剰に侵入するのを防止する。
【0012】
S字状切痕インプラントのサドル板は、その反対側部から外方に伸びる幹部と、低プロファイルの球形頭部の骨ねじを受け入れる皿ねじとを有する。補強リブがねじ受け部及び幹部を相互に接続する。橈骨部分の反対面は、実質的に平坦なプラットフォームと、3側部にてサドルを取り囲み、また、サドルをその位置にて保持すべくサドルの一部をその下方に受け入れ得るよう溝が形成されたサドル保持部とを有する。更に、サドル保持部は、保持リッジを有し、サドルは保持構造体まで摺動し且つ、スナップ嵌めによって保持することができる。サドル及びサドル板は、当該技術の当業者に既知のその他の方法にて接続することもできる。
【0013】
S字状切痕インプラントは、遠位の橈骨尺骨関節に最初に外科的にアクセスすることにより植え込まれる。外科医がS字状切痕インプラントに対する正確な位置を決定したならば、外科医は、サドル板の幹部を受け入れる穴を穿孔することにより、遠位橈骨を準備する。自己ねじ立てする(セルフタッピング)骨ねじのための案内穴の適正な位置を決定するため、試用の幹部を穴内に配置する。試用の幹部は、最終的なインプラントと遠位橈骨の骨との間に圧力嵌め状態を保持し得るよう過少寸法の幹部を有する。
【0014】
自己ねじ立てする骨ねじ用の案内穴の位置決めが完了したならば、外科医は、S字状切痕を下方に掘り、サドル板の後部に対する平坦な突き合わせ部を提供する。外科医はまた、小さい皿穴を掘り、ねじ穴と幹部との間に球形ねじの頭部を取り囲むカラー及び補強リブを受け入れる。次に、橈骨部分を穿孔穴内に配置し且つ、圧縮してその最終位置に着座させる。橈骨インプラントが成功裏に配置されたならば、自己ねじ立てする骨ねじを案内穴内に配置し且つ、締め付ける。橈骨板が完全に着座したならば、尺骨頭インプラントの頭部を尺骨頭におけるその適正な位置に戻す。
【0015】
この実施の形態において、サドルは、橈骨板の保持構造体内に挿入し且つ、遠位方向に前進させる。サドルが橈骨板と適正に整合された想定して、サドルは、約75%係合する迄、遠位方向に動かし、その時点にて、橈骨板は、傾斜路が橈骨板の表面の干渉リッジの上を通過するとき、サドルの底部の傾斜路に上昇する。サドルがサドル板内に完全に着座したならば、外科医は関節へのアクセス動作範囲を縮小させる。尺骨頭インプラント及びS字状切痕インプラントの相対的な動きが満足し得るものと想定して、外科医は、関節包を修復し、また、切開部を閉鎖してその方法は完了する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
S字状切痕インプラント30の1つの実施の形態は、全体として、橈骨部分32と、サドル34と、骨ねじ36とを有する。図18及び図19を参照すると、S字状切痕インプラント30は、全体として、尺骨頭インプラント38と共に利用される。典型的な尺骨頭インプラント38は、頭部分40と、幹部分42とを含む。一例としての尺骨頭補綴具は、米国特許第6,302,915号明細書に開示されている。この米国特許明細書の内容は参考として引用し、本明細書に含めてある。
【0017】
図1ないし図6及び図13ないし図18を参照すると、橈骨部分32は、全体として、幹部44と、サドル板46とを有する。幹部44は、サドル板46から実質的に直角にて外方に伸びることができる。
【0018】
幹部44は、円筒状部分48と、丸味を付けた端部50とを含む。幹部44は、サドル板46を条片(フィレット)52にて接続する。幹部44は、テーパー付きの形状、隆起部(リッジ)、又は表面の質感(テクスチャー)を含むこともできる。
【0019】
図13ないし図18を参照すると、サドル板46は、ほぼ台形の形状をしており、また、幹部44と一体的に形成することができる。サドル板46は、幹部44と反対側の側部にてサドル保持部54と、保持リッジ56とを提供する。サドル板46は、貫通するねじ穴58も画成する。
【0020】
1つの実施の形態において、サドル保持部54は、3側部にてサドル34を実質的に取り囲む構造とされている。サドル保持部54は、その3側部に隆起部60を有しており、該隆起部は、互いに3側部付き溝62を画成する。サドル板46の面64は実質的に平面状である。保持リッジ56は、サドル保持部54の実質的に反対側にてサドル板46の一端が面64から上方に伸びている。保持リッジ56はその頂部に斜角面66を有することができる。
【0021】
ねじ穴58は、サドル板46を貫通する。ねじ穴58は、球形の皿穴68を有することが望ましい。図14ないし図16及び図18に示すように、ねじ穴58は、サドル板46と一体に形成することもでき、また、サドル板46を円形の条片74にて接続するカラー70を貫通している。カラー70は、円形の条片74を条片52と相互に接続する補強リブ76によって幹部44と接続される。補強リブ76はまた、サドル板46と一体的に形成することもできる。ねじ穴58はまた、サドル34がサドル板46に組み付けられたとき、サドル34の下方の位置に配置し、又は、ねじ穴58は、サドル34がサドル板46に組み付けられたとき、露出されたままの位置にあるようにすることができる。
【0022】
ねじ穴58は、その内側形態部に円筒状部分78を画成する。球形皿穴68は、面64と合わさるとき、円形の斜角面80を画成する。
【0023】
橈骨部分32は、単一の材料片から機械加工、鋳造、成形又はその他の方法にて形成されることが望ましい。橈骨部分32は、インプラント等級316Lステンレス鋼又はチタンのようなその他の生物適合性材料にて製造することができる。生物適合性ポリマー又は複合材料も同様に使用可能である。
【0024】
橈骨部分32は、面64、サドル保持部54、保持リッジ56並びに橈骨の骨と直接接触しない任意のその他の面の上にて鏡面研磨することができる。幹部44、カラー70、補強リブ76、条片52、円形の条片74の面及び橈骨の骨と接触する任意のその他の面は、粗面化し、商業的に純粋なチタンプラズマ被覆を施す等によって骨一体化を促進することができる。
【0025】
サドル34は、関節部分82と、固定部分84とを提供する。図8ないし図12を参照すると、関節部分82は、凹型部分86と、凸型部分88とを含む関節接続面85を提供する。凹型部分86及び凸型部分88は、関節接続面85が尺骨頭インプラント38の形状に実質的に順応するような輪郭とされている。関節部分82は、丸みを付けた端縁90を有することが望ましい。サドル84の周面92は、サドル板46の周面の形状に実質的に順応する。サドル36の外形は、全体として台形であり、また、丸味を付けた隅部94を有する。
【0026】
一例としての実施の形態において、凹型部分86は、実質的に球形であり、また、約18.009mm(0.709インチ)の曲率半径を有する。凸型部分88は、約12.7mm(0.5インチ)の曲率半径を有することができる。これらの値は、一例であり限定的であるものとみなすべきではない。凸型部分88に隣接して、サドル34の周面92に対して約70°の角度にて傾斜させることのできる傾斜部分96がある。サドル36は、自然の橈骨頭又は色々な尺骨頭インプラント38に順応するよう寸法、厚さ及び形状が調節可能である。
【0027】
サドル34の固定部分84は、舌状体100によって取り囲まれた底面98を提供する。舌状体は、周面92と共に溝102を画成する。溝102は、周面92の回りを実質的に伸び、また、舌状体102が溝62に嵌まる間、隆起部60を受け入れる寸法及び構造とされている。舌状体100は、3側部にて底面98の端縁を部分的に取り囲む。舌状体100は、底面98から外方に伸び且つ隣接する溝102を画成し、該溝は、また、底面98の3側部の回りを伸びている。舌状体100及び溝102は、サドル保持部54の隆起部60及び溝62と合わさる寸法とされている。
【0028】
底面92は、実質的に平面状であり、凹部104を更に提供する。凹部104は、実質的に矩形の形状であり、また、平坦部分106と、傾斜部分108とを有することができる。保持用溝穴110が凹部104に隣接し且つ傾斜部分108の端縁を超える位置にある。凹部104は、舌状体100及び溝102が隆起部60及び溝62と整合され、サドル34がサドル保持部54と摺動可能に係合したとき、平坦部分106が保持リッジ56を受け入れることができるような寸法とされている。保持用溝穴110は、サドル34が橈骨部分32に摺動可能に固定されたとき、保持リッジ56を内部に受け入れる寸法とされている。サドル板46及び(又は)サドル34は、弾性的に撓んで保持用溝穴110と保持リッジ56とを係合させることが分かる。
【0029】
サドル34は、超高分子量ポリエチレン又は別の自己潤滑性材料にて形成することができる。サドル34は、その他のポリマー又は複合材又は金属材料にて形成してもよい。S字状切痕インプラント30が半関節形成術のために使用されるならば、自然の尺骨頭と関節接続するため生物適合性金属材料が好ましいと一般に考えられている。サドル34は、ねじ、締結具又は締まり嵌め技術を使用する等による、当該技術の当業者が理解する多くのその他の技術により橈骨部分32に接続することが可能であると特に考えられる。
【0030】
骨ねじ36は球形頭の骨ねじである。骨ねじ36は、球形頭部112と、軸114とを有する。軸は、ねじ付き部分116と、ねじ無し部分118とを有する。骨ねじ36は、自己ねじ切り(self−threading)を容易にし得るよう縦溝20を有することが望ましい。骨ねじ36は、ISO5835の標準に従って製造することができる、図5を参照すると、骨ねじ36は、球形皿穴68内にて角度αで円錐状に関節動作することができる。例えば、骨ねじ36は約30°の立体角度αで円錐状に関節動作することができる。
【0031】
作動時、S字状切痕インプラント30は、尺骨頭インプラント38に対して関節動作し、遠位橈骨尺骨関節に対し安定性及び無痛の自然の動作を回復する。S字状切痕インプラント30を植え込むため、外科医は、最初に、遠位橈骨尺骨関節を露出させる。S字状切痕インプラント30のこの説明において、金属製の関節接続面を有する尺骨頭インプラント38は、既に尺骨頭に置換すべく植込まれているものと想定する。S字状切痕インプラント30は、半関節形成術として自然の尺骨頭に対して関節接続するよう、植え込むことも可能であると特に考えられる。本発明のこの形態が実施されるならば、サドル34は、生物の骨と関節接続するのに適した金属材料又は別の生物適合性材料にて形成することが可能であることを理解すべきである。この時点にて、2つの面の関節形成術のため、金属対ポリマーの境界面とすることが好ましく、また、半関節形成術の場合、金属対骨の境界面とすることが好ましいと一般に考えられるが、こうした考えは、限定的なものとみなすべきではない。
【0032】
関節が露出されたならば、外科医は、尺骨頭インプラント38の頭部分40を除去し又はその頭部分を脇に置く。しかし、外科医は、橈骨部分32の幹部44を受け入れる穴を穿孔する位置を決定するため、存在する尺骨頭インプラント38の遠位面からの距離を測定する。外科医は、幹部44を受け入れるのに必要な穿孔深さを推定する必要がある。次に、外科医は、例えば、3.5mmドリルを利用して遠位橈骨に穴を穿孔する。
【0033】
幹部44を受け入れる穴が穿孔されたならば、外科医は、過少寸法の試用の幹部を有する試用の橈骨部分(図示せず)を使用してS字状切痕インプラント30に対する押し込み嵌め状態を保持する。試用のインプラントが穿孔した穴に成功裏に配置されたならば、外科医は、適宜な寸法のドリルを使用して、自己ねじ立て(セルフータッピング)する骨ねじねじ36のための案内穴を穿孔する。案内穴は、案内穴がねじ穴58内にて実質的に中心に位置するよう配置される。案内穴は、骨ねじ36を最適に配置し得るよう角度を付けることができる。案内穴は、予め存在するインプラント器具を回避し又は骨折の固定を助け又は骨の骨折部分を回避するのに必要なように、角度を付けることができる。案内穴が、幹部44を受け入れる穴に対し平行でなく穿孔されたならば、軸方向引き抜き強度は増大する。
【0034】
骨ねじ36に対する案内穴が形成されたならば、外科医は、試用の橈骨部分を除去し、また、S字状切痕を下方にバリ取りし、サドル板46に対する平坦な突き合わせ部を提供する。外科医は、また、カラー70を受け入れるよう小さい皿穴及び補強リブ76を受け入れる空間をバリ取りする。
【0035】
外科医は、幹部44が穿孔した穴内にあるようにS字状切痕インプラント30の橈骨部分34を配置する。次に、外科医は、橈骨部分が幹部44により予め穿孔した穴内に圧力嵌めされることにより固定され且つ、橈骨の平坦な突き合わせ面に対して面一となる迄、橈骨32に圧縮力を加える。穴が幹部44を受け入れるのに過小であるならば、外科医は、橈骨部分32を除去し且つ、橈骨部分を挿入しようとして橈骨部分32に過剰な力を加えずに、塵埃を除去するため再度、穿孔する必要がある。
【0036】
橈骨部分32がその位置となったならば、骨ねじ36を挿入し且つ締め付ける。骨ねじ36は、均一に締め付け、サドル板46は、サドル板46の曲がりを回避し得るよう橈骨に対し均一に支持されるようにすることが重要である。更に、尺骨頭インプラント38及び橈骨部分32の研磨した面を保護するよう注意する必要がある(例えば、頭部分40を慎重に取り扱うことにより)。尺骨頭インプラント38の研磨した表面に少しの引掻き傷があっても、サドル34の摩耗寿命は短くなるであろう。取り囲む組織と関節接続する構成要素の部分に切り傷があれば、炎症を引き起こす可能性がある。
【0037】
図18及び図19を参照すると、外科医は、サドル34(UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)又はその他のポリマー材料で造られている)を橈骨部分32内に摺動させ、舌状体100及び溝102が溝62及び隆起部60と合わさるようにする。サドル34が約75%係合したとき、サドル34の傾斜部分96は、保持リッジ56の斜角面部分66と係合する。必要であれば、外科医は、骨刀を橈骨内に押し込みサドル34に対してこじ入れて傾斜部分108に対する保持リッジ56の抵抗に打ち勝つこともできる。サドル34がサドル保持部54内のその位置にスナップ嵌めされたならば、S字状切痕インプラント30の植え込みは完了する。
【0038】
次に、外科医は、尺骨頭インプラント38の頭部分40を置換し且つ関節へのアクセス動作範囲を縮小させる。外科医は、動作範囲及び整合状態は許容可能であるものと想定して、外科医は関節包を修復し且つ皮膚を閉塞する。
【0039】
本発明が半関節形成術として実施されるならば、サドルは、金属材料にて形成し且つ、上述したような別の技術により橈骨部分32に固定することができる。半関節形成術において、尺骨頭は、勿論、無傷のままである。
【0040】
本発明は、その主たる性質から逸脱せずに、その他の特定の形態にて実施することができ、このため、図示した実施の形態は、全ての点にて単に一例であり且つ非限定的なものであるとみなすべきであり、本発明の範囲を明らかにするには、上記の説明ではなくて特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に従ったS字状切痕インプラントの斜視図である。
【図2】S字状切痕インプラントの別の斜視図である。
【図3】S字状切痕インプラントの正面図である。
【図4】S字状切痕インプラントの平面図である。
【図5】S字状切痕インプラントの後側図である。
【図6】S字状切痕インプラントの側面図である。
【図7】本発明に従ったサドルの斜視図である。
【図8】本発明に従ったサドルの正面図である。
【図9】本発明に従ったサドルの斜視図である。
【図10】仮想線にて内部構造体を示すサドルの平面図である。
【図11】サドルの後側図である。
【図12】仮想線にて内部構造体を示すサドルの側面図である。
【図13】S字状切痕インプラントの橈骨構成要素を示す平面図である。
【図14】橈骨構成要素の正面図である。
【図15】橈骨構成要素の側面図である。
【図16】橈骨構成要素の後側図である。
【図17】橈骨構成要素の斜視図である。
【図18】橈骨構成要素の別の斜視図である。
【図19】S字状インプラントのサドルが部分的に取り付けられた、S字状切痕インプラント及び尺骨頭インプラントの立面図である。
【図20】サドルが完全に取り付けられた、S字状切痕インプラント及び尺骨頭インプラントの立面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
S字状窩付近にて遠位橈骨に固定し得るようにされた橈骨部分と、
尺骨に面する関節面を有するサドルであって、関節面は、尺骨と又は尺骨頭に置換した補綴具と関節接続することのできる部分的に凹型の面、部分的に凸型の面を有し、橈骨部分に機械的に固定可能である前記サドルとを備える、整形外科用補綴具。
【請求項2】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は、板と、幹部とを備え、該幹部は前記板から外方に伸びる、補綴具。
【請求項3】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は、板と、サドルを橈骨部分に固定するサドル保持部とを備える、補綴具。
【請求項4】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分に対して角度を付けて調節可能であるように橈骨部分と関節接続可能な骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項5】
請求項1に記載の補綴具において、サドルはポリマーにて形成され、サドルは、自然の橈骨頭に置換した橈骨頭インプラントに順応する形状とされる、補綴具。
【請求項6】
請求項2に記載の補綴具において、板は実質的に台形の形状である、補綴具。
【請求項7】
請求項2に記載の補綴具において、板は、板の周縁に配置され且つ、板の3つの側部の少なくとも一部分を取り囲むサドル保持部を備える、補綴具。
【請求項8】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は貫通するねじ穴を提供する、補綴具。
【請求項9】
請求項8に記載の補綴具において、ねじ穴を取り囲むカラーを更に備える、補綴具。
【請求項10】
請求項9に記載の補綴具において、板から外方に伸びる幹部と、幹部からカラーまで伸びる補強リブとを更に備える、補綴具。
【請求項11】
請求項1に記載の補綴具において、尺骨に面する面は凸型部分を備える、補綴具。
【請求項12】
請求項1に記載の補綴具において、尺骨に面する面は傾斜部分を備える、補綴具。
【請求項13】
請求項1に記載の補綴具において、サドルは、舌状体及び溝の境界面により橈骨部分に固定される、補綴具。
【請求項14】
請求項1に記載の補綴具において、骨と接触することが予想される補綴具の少なくとも一部分は、骨一体化を促進し得るよう粗面化される、補綴具。
【請求項15】
請求項1に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、チタンプラズマ被覆される、補綴具。
【請求項16】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
S字状窩付近にて遠位橈骨に固定可能な橈骨部分であって、板と、幹部とを備え、該幹部は、板の第一の側部から外方に伸び、板はねじ穴を更に提供する、前記橈骨部分と、
板の第二の側部に取り付け可能なサドルであって、尺骨頭インプラント又は自然の尺骨頭の比率と相補的であるような輪郭とされた部分凹型、部分凸型の関節面を提供する前記サドルとを備える、整形外科用補綴具。
【請求項17】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分は、サドルを橈骨部分に固定することのできるサドル保持部を更に備える、補綴具。
【請求項18】
請求項17に記載の補綴具において、骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項19】
請求項17に記載の補綴具において、板に対して角度を付けて調節可能であるように、ねじ穴と関節接続することのできる球形頭の骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項20】
請求項17に記載の補綴具において、板は実質的に台形の形状である、補綴具。
【請求項21】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分は、板の周縁に配置され且つ、板の3つの側部の少なくとも一部分を取り囲むサドル保持部を備える、補綴具。
【請求項22】
請求項17に記載の補綴具において、ねじ穴を取り囲むカラーを更に備える、補綴具。
【請求項23】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分から外方に伸びる幹部と、幹部からカラーまで伸びる補強リブとを更に備える、補綴具。
【請求項24】
請求項17に記載の補綴具において、関節面は凸型部分を提供する、補綴具。
【請求項25】
請求項17に記載の補綴具において、関節面は傾斜部分を提供する、補綴具。
【請求項26】
請求項17に記載の補綴具において、サドルは、舌状体及び溝の境界面により橈骨部分に固定される、補綴具。
【請求項27】
請求項17に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、骨一体化を促進し得るよう粗面化される、補綴具。
【請求項28】
請求項17に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、チタンプラズマ被覆される、補綴具。
【請求項29】
尺骨頭を含む遠位橈尺関節(DRUJ)の橈骨のS字切痕を表面再形成する方法において、
DRUJを露出させるステップと、
インプラントの橈骨部分の形状に順応するようS字切痕付近にて橈骨を彫刻するステップと、
インプラントの橈骨部分を橈骨に固定するステップと、
尺骨に面する関節面を有するサドルであって、関節面は尺骨と又は尺骨頭に置換した補綴具と関節接続することができる、部分凹型、部分凸型面を有する、前記サドルを橈骨部分に取り付けるステップと、
DRUJを露出させることにより形成された傷口を閉鎖するステップとを備える、橈骨のS字切痕を表面再形成する方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
橈骨頭を切開するステップと、
切開した尺骨頭を尺骨頭補綴具にて置換するステップとを更に備える、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、橈骨部分の一部を形成する幹部を受け入れる寸法とされた穴を橈骨に穿孔するステップを更に備える、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、骨ねじを受け入れ得るように案内穴を橈骨に穿孔するステップを更に備える、方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法において、橈骨部分の穴を通して且つ案内穴内に骨ねじを挿入するステップと、
骨ねじを案内穴内に締め付けて橈骨部分を橈骨に固定するステップとを更に備える、方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法において、サドルの第一の舌状体及び溝部分を橈骨部分の合わさる第二の舌状体及び溝部分と係合させるステップを更に備える、方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法において、骨一体化を促進し得るよう橈骨部分の表面の少なくとも一部分を粗面化するステップを更に備える、方法。
【請求項36】
請求項30に記載の方法において、表面を粗面化し得るようチタンプラズマ被覆を施すステップを更に備える、方法。
【請求項37】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
補綴具をS字状窩付近にて遠位橈骨に固定する手段と、
尺骨頭と又は切開した尺骨頭に置換した尺骨頭インプラントと関節接続する手段と、
関節接続手段を固定手段に対して保持する手段とを備える、整形外科用補綴具。
【請求項38】
請求項37に記載の補綴具において、固定手段は、橈骨の骨に入って補綴具を骨に機械的に接続する手段を更に備える、補綴具。
【請求項39】
請求項38に記載の補綴具において、固定手段を補強する手段を更に備える、補綴具。
【請求項40】
請求項38に記載の補綴具において、骨一体化を促進する手段を更に備える、補綴具。
【請求項1】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
S字状窩付近にて遠位橈骨に固定し得るようにされた橈骨部分と、
尺骨に面する関節面を有するサドルであって、関節面は、尺骨と又は尺骨頭に置換した補綴具と関節接続することのできる部分的に凹型の面、部分的に凸型の面を有し、橈骨部分に機械的に固定可能である前記サドルとを備える、整形外科用補綴具。
【請求項2】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は、板と、幹部とを備え、該幹部は前記板から外方に伸びる、補綴具。
【請求項3】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は、板と、サドルを橈骨部分に固定するサドル保持部とを備える、補綴具。
【請求項4】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分に対して角度を付けて調節可能であるように橈骨部分と関節接続可能な骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項5】
請求項1に記載の補綴具において、サドルはポリマーにて形成され、サドルは、自然の橈骨頭に置換した橈骨頭インプラントに順応する形状とされる、補綴具。
【請求項6】
請求項2に記載の補綴具において、板は実質的に台形の形状である、補綴具。
【請求項7】
請求項2に記載の補綴具において、板は、板の周縁に配置され且つ、板の3つの側部の少なくとも一部分を取り囲むサドル保持部を備える、補綴具。
【請求項8】
請求項1に記載の補綴具において、橈骨部分は貫通するねじ穴を提供する、補綴具。
【請求項9】
請求項8に記載の補綴具において、ねじ穴を取り囲むカラーを更に備える、補綴具。
【請求項10】
請求項9に記載の補綴具において、板から外方に伸びる幹部と、幹部からカラーまで伸びる補強リブとを更に備える、補綴具。
【請求項11】
請求項1に記載の補綴具において、尺骨に面する面は凸型部分を備える、補綴具。
【請求項12】
請求項1に記載の補綴具において、尺骨に面する面は傾斜部分を備える、補綴具。
【請求項13】
請求項1に記載の補綴具において、サドルは、舌状体及び溝の境界面により橈骨部分に固定される、補綴具。
【請求項14】
請求項1に記載の補綴具において、骨と接触することが予想される補綴具の少なくとも一部分は、骨一体化を促進し得るよう粗面化される、補綴具。
【請求項15】
請求項1に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、チタンプラズマ被覆される、補綴具。
【請求項16】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
S字状窩付近にて遠位橈骨に固定可能な橈骨部分であって、板と、幹部とを備え、該幹部は、板の第一の側部から外方に伸び、板はねじ穴を更に提供する、前記橈骨部分と、
板の第二の側部に取り付け可能なサドルであって、尺骨頭インプラント又は自然の尺骨頭の比率と相補的であるような輪郭とされた部分凹型、部分凸型の関節面を提供する前記サドルとを備える、整形外科用補綴具。
【請求項17】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分は、サドルを橈骨部分に固定することのできるサドル保持部を更に備える、補綴具。
【請求項18】
請求項17に記載の補綴具において、骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項19】
請求項17に記載の補綴具において、板に対して角度を付けて調節可能であるように、ねじ穴と関節接続することのできる球形頭の骨ねじを更に備える、補綴具。
【請求項20】
請求項17に記載の補綴具において、板は実質的に台形の形状である、補綴具。
【請求項21】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分は、板の周縁に配置され且つ、板の3つの側部の少なくとも一部分を取り囲むサドル保持部を備える、補綴具。
【請求項22】
請求項17に記載の補綴具において、ねじ穴を取り囲むカラーを更に備える、補綴具。
【請求項23】
請求項17に記載の補綴具において、橈骨部分から外方に伸びる幹部と、幹部からカラーまで伸びる補強リブとを更に備える、補綴具。
【請求項24】
請求項17に記載の補綴具において、関節面は凸型部分を提供する、補綴具。
【請求項25】
請求項17に記載の補綴具において、関節面は傾斜部分を提供する、補綴具。
【請求項26】
請求項17に記載の補綴具において、サドルは、舌状体及び溝の境界面により橈骨部分に固定される、補綴具。
【請求項27】
請求項17に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、骨一体化を促進し得るよう粗面化される、補綴具。
【請求項28】
請求項17に記載の補綴具において、補綴具の少なくとも一部分は、チタンプラズマ被覆される、補綴具。
【請求項29】
尺骨頭を含む遠位橈尺関節(DRUJ)の橈骨のS字切痕を表面再形成する方法において、
DRUJを露出させるステップと、
インプラントの橈骨部分の形状に順応するようS字切痕付近にて橈骨を彫刻するステップと、
インプラントの橈骨部分を橈骨に固定するステップと、
尺骨に面する関節面を有するサドルであって、関節面は尺骨と又は尺骨頭に置換した補綴具と関節接続することができる、部分凹型、部分凸型面を有する、前記サドルを橈骨部分に取り付けるステップと、
DRUJを露出させることにより形成された傷口を閉鎖するステップとを備える、橈骨のS字切痕を表面再形成する方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
橈骨頭を切開するステップと、
切開した尺骨頭を尺骨頭補綴具にて置換するステップとを更に備える、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、橈骨部分の一部を形成する幹部を受け入れる寸法とされた穴を橈骨に穿孔するステップを更に備える、方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、骨ねじを受け入れ得るように案内穴を橈骨に穿孔するステップを更に備える、方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法において、橈骨部分の穴を通して且つ案内穴内に骨ねじを挿入するステップと、
骨ねじを案内穴内に締め付けて橈骨部分を橈骨に固定するステップとを更に備える、方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法において、サドルの第一の舌状体及び溝部分を橈骨部分の合わさる第二の舌状体及び溝部分と係合させるステップを更に備える、方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法において、骨一体化を促進し得るよう橈骨部分の表面の少なくとも一部分を粗面化するステップを更に備える、方法。
【請求項36】
請求項30に記載の方法において、表面を粗面化し得るようチタンプラズマ被覆を施すステップを更に備える、方法。
【請求項37】
遠位橈尺関節に植え込まれる整形外科用補綴具において、
補綴具をS字状窩付近にて遠位橈骨に固定する手段と、
尺骨頭と又は切開した尺骨頭に置換した尺骨頭インプラントと関節接続する手段と、
関節接続手段を固定手段に対して保持する手段とを備える、整形外科用補綴具。
【請求項38】
請求項37に記載の補綴具において、固定手段は、橈骨の骨に入って補綴具を骨に機械的に接続する手段を更に備える、補綴具。
【請求項39】
請求項38に記載の補綴具において、固定手段を補強する手段を更に備える、補綴具。
【請求項40】
請求項38に記載の補綴具において、骨一体化を促進する手段を更に備える、補綴具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−521556(P2008−521556A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544416(P2007−544416)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/042926
【国際公開番号】WO2006/060315
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507181763)マヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・リサーチ・アンド・エデュケーション (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/042926
【国際公開番号】WO2006/060315
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507181763)マヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・リサーチ・アンド・エデュケーション (2)
【Fターム(参考)】
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