説明

UV硬化性印刷パターンを有するプラスチックグレージングパネル及びそのパネルを作製する方法

UV硬化性インクで印刷された、装飾的マーキング及び/又は不透明な縁取りを有するプラスチックグレージングパネルを製造する経済的な方法を提示する。この経済的な方法は、プラスチックパネルを成形するステップ;A面及びB面を有し、B面はプラスチックパネルと接触している不透明なパターンをインクで印刷するステップ;A面及びB面の両方からこのインクに向けられたUV線を用いて、印刷パターンの形状にインクを硬化させるステップ;インクのB面上及びプラスチックパネル上に耐候層を適用するステップ;耐候層を硬化させるステップ;及び、耐候層上に耐磨耗層を堆積させるステップ;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV線への露出によって硬化されるインクで印刷された装飾的マーキング又は不透明な縁取りを有するプラスチックグレージングパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のスタイリングを向上させるために、プラスチック材料が多くの自動車工学の用途に使用されている。例えば、プラスチック材料は、現在、Bピラー、ヘッドランプ、及びサンルーフなどの部品及び構成部品の製造に使用される。透明プラスチック材料に対する新たに出現した用途は、自動車の窓システムである。自動車の窓を製造するために透明なプラスチック材料が使用される場合、法的要求事項は、窓がある形態の識別マーキング又はロゴを含むことを要求する。さらに、製造者は、取付けた窓の全体的な外観を向上させるために、自動車の窓が不透明なフェードアウトする縁取りを含むことが望ましいことを見出した。最後に、プラスチック窓が多年にわたって耐久性を有するために、窓は、天候及びかき傷/磨耗に対する保護を窓に提供するコーティングによって被覆される。
【0003】
識別マーキング及びフェードアウトする縁取りでプラスチック窓を有効にマークするために、使用されるインクは、単にプラスチック窓の表面に接着するだけではなく、窓の表面に適用される保護コーティング系と適合性がなければならない。プラスチック窓の表面をマークするのに使用されるいずれのインクも、保護コーティング系の適用中に、軟化され、損傷を受け、又は取り除かれてはならない。さらに、インクは、自動車業界によって製品を認定するために要求される過酷な試験に耐えることが可能である必要がある。
【0004】
プラスチック窓をマークするのにUV硬化性インクを使用することは、熱硬化インク系を超えた重大な利点を提供する。本来、UVインクの使用は、インクを硬化させるのに必要な時間を減少させることによって生産性を向上させることができる。従来のインクは、熱硬化させるのに15〜60分はかかるが、UVインクは、数秒足らずで硬化する。熱硬化性インクのスクリーン印刷中に、スクリーンに残る「乾燥した」インク残留物を除去するのに必要なサイクルタイムを減少させることによって生産性のさらなる改良を図ることができる。この「乾燥した」インク残留物は、熱硬化性インク中の溶媒(複数可)の蒸発から生じる。印刷操作からスクリーンを取出し、別のスクリーン及び新たなインクに置き換えるには、1時間以上かかり得る。この清浄作業を除くことは、UVインクを硬化させるのに必要な時間の劇的な減少に加えてかなりの生産性の増加を提供する。
【0005】
米国特許第2005/0250869A1号には、黒色顔料、少なくとも1種の着色顔料及び少なくとも1種の放射線化合物を含む放射線硬化性インクジェット黒色インクに加えて、このようなインクジェットインクを印刷する方法が開示されている。
自動車の窓用プラスチックグレージングパネルにUV硬化性インクを用いることに伴う大きな問題は、典型的な市販のUVインクが、保護コーティング系の適用と適合性がないことである。インクとコーティング系の間又はインクとプラスチック窓の間の界面での接着性が、窓の寿命の間に弱体化し、インク及び/又はコーティング系の早期の層間剥離又は微小亀裂が生じる。この現象の発生の原因となる要因の1つは、適用されるインクが、本来、実質的に不透明である必要があることである。印刷されたインクの表面上にUV線を適用することによって不透明インクを完全に硬化させることは困難である。このUV線は、不透明インクの表面層と相互作用すると、吸収されるか、又は反射されるかして、インクのバルク、特に、プラスチックの表面で規定される界面近傍に位置するインクのバルクを低減するか又は部分的にのみ硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2005/0250869A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、十分に硬化性であり、保護コーティング系の適用と適合性のあるUVインクを用いて、高水準の生産性を有するプラスチックグレージングパネルを製造することを可能にするというニーズがこの業界には存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
UV硬化性インクから印刷された、装飾的マーキング及び/又は不透明な縁取りを有するプラスチックグレージングパネルを製造する経済的な方法を提示する。この経済的な方法は、プラスチックパネルを成形するステップ;A面及びB面を有し、B面はプラスチックパネルと接触している不透明なパターンをインクで印刷するステップ;A面及びB面の両方からこのインクに向けられたUV線を用いて、印刷パターンの形状にインクを硬化させるステップ;インクのB面上及びプラスチックパネル上に耐候層を適用するステップ;耐候層を硬化させるステップ;及び、耐候層上に耐磨耗層を堆積させるステップ;を含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、UV硬化性インクは、実質的に透明なプラスチックパネルの表面上にスクリーン印刷される。この透明なプラスチックパネルは、自動車の窓、サンルーフ、又は透明車体パネルとして使用してもよい。このUV硬化性インクは、約40〜75重量%のアクリレートオリゴマーとモノマーとの混合物及び約1〜6重量%の光開始剤を含んでもよい。
【0010】
本発明の別の実施形態では、このUV硬化性インクは、硬化及びプラスチックパネルへの接着性を向上させるために、約5〜20重量%のN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)をさらに含む。このUVインクはまた、所望のレベルの不透明度を提供するための様々な着色剤(例えば、顔料及び/又は染料);界面活性剤、消泡剤、ヒンダードアミン、UVA吸収分子、硬化促進剤、接着促進剤、硬化剤、粘度調整剤、流動促進剤、及び光安定剤を含んでもよい。
【0011】
このUVインクは、発生源から放射されるUV線の主要な波長が、印刷されたインクによって吸収可能な波長であるUV発生源を用いて硬化してもよい。インクは、印刷パターンの両側(A面及びB面)からUV線を適用することによって硬化される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、この耐候層は、単層又はプライマー若しくはトップコートなどの多層を含んでもよい。耐候層は、UV線からプラスチックパネルを保護するために、紫外線吸収(UVA)分子を使用する。
【0013】
本発明の別の実施形態では、この耐磨耗層は、真空蒸着技術を用いて堆積される。耐磨耗層の一例は、限定するものではないが、SiOからSiOの範囲の組成を有するシリコンオキシカーバイドを含む。
【0014】
適用範囲の他の領域は、本明細書に提供された説明から明らかになる。この説明及び具体例は、例示の目的のみが意図されており、本開示の範囲を限定するものではないと理解される。
【0015】
本明細書に記載の図面は、例示の目的のみであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の原理によるプラスチック窓を組み込んでいる自動車の描写図である。
【0017】
【図2】本発明の一実施形態によるプラスチックグレージングパネルを製造する方法の概略図である。
【0018】
【図3】本発明の一実施形態による、図1のグレージングパネルの横断面図である。
【0019】
【図4】(A)は本発明の一実施形態によるウレタンアクリレートオリゴマーに対する典型的な化学式の一例である。
【0020】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の窓、サンルーフ、又は透明車体パネルとして使用するためのプラスチックグレージングパネル(15)であって、
実質的に透明なプラスチックパネル(30);
A面及びB面を有し、B面はプラスチックパネル(30)と接触しているUV硬化性インクの印刷パターン(25);
印刷パターン(25)のA面及びプラスチックパネル(30)と接触している耐候層(35);
耐候層(30)と接触している耐磨耗層(40);
[ここで、印刷パターン(25)は実質的に不透明であり;
印刷パターン(25)は、印刷パターン(25)のA面及びB面の両方に向けられたUV線に露出すると実質的に硬化されている]
を含む、プラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項2】
UV硬化性インクが、約40〜75重量%のアクリレートオリゴマーとモノマーとの混合物及び約1〜6重量%の光開始剤を含む、請求項1に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項3】
硬化された後のUV硬化性インクが、約100%の固体を含む、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項4】
アクリレートオリゴマーの混合物が、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、及びこれらの混合物からの1つとして選択される、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項5】
アクリレートモノマーの混合物が、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、HDDA、TMPTA、又はPETAのアルコキシ化対応物、及びこれらの混合物からの1つとして選択される、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項6】
UV硬化性インクが、硬化及びプラスチックパネル(30)への接着性を向上させるために、約5〜20重量%のN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)をさらに含む、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項7】
UV硬化性インクが、実質的に不透明な印刷パターン(25)を提供するために、カーボンブラック、有機着色顔料、金属酸化物顔料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、及びこれらの混合物からの1つとして選択される着色剤をさらに含む、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項8】
UV硬化性インクが、界面活性剤、消泡剤、ヒンダードアミン、UVA吸収分子及びこれらの混合物からの1つとして選択される添加剤をさらに含む、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項9】
UV硬化性インクが、硬化促進剤、接着促進剤、硬化剤、粘度調整剤、流動促進剤、光安定剤、及びこれらのブレンド又は混合物から選択される1つをさらに含む、請求項2に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項10】
印刷パターン(25)が、不透明な縁取り、装飾的マーキング、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項11】
プラスチックパネル(30)が、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー樹脂から作製されている、請求項1に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項12】
ポリマー樹脂が、ポリカーボネート、アクリル、ポリアリレート(polyarylate)、ポリエステル、ポリスルホン、及びこれらのコポリマー又は混合物から選択される1つである、請求項11に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項13】
耐候層(35)が、シリコーン、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタンアクリレート、及びこれらのコポリマー又は混合物から選択される1つである、請求項1に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項14】
耐候層(35)が、UV線からプラスチックパネルを保護するために、紫外線吸収(UVA)分子を使用する、請求項13に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項15】
耐候層(35)が、プライマー及びトップコートから構成されている、請求項13に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項16】
プライマーが、アクリル、ポリエステル、エポキシ、コポリマー、及びこれらの混合物から選択される1つである、請求項15に記載のプラスチックグレージングパネル。
【請求項17】
トップコートが、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンハードコート、及びこれらの混合物又はコポリマーから選択される1つである、請求項15に記載のプラスチックグレージングパネル。
【請求項18】
耐磨耗層(40)が、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、シリコンオキシカーバイド、水素化シリコンオキシカーバイド、シリコンカーバイド、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、及びこれらの混合物又はブレンドから選択される1つである、請求項1に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項19】
シリコンオキシカーバイド耐磨耗層(40)が、SiOからSiOの範囲の組成を有する、請求項18に記載のプラスチックグレージングパネル(15)。
【請求項20】
自動車の窓、サンルーフ、又は透明車体パネルとして使用するためのプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法であって、
プラスチックパネル(30)を成形するステップ(45);
インクで不透明なパターン(25)を印刷するステップ(50)
[ここで印刷パターン(25)は、A面及びB面を有し、B面はプラスチックパネル(30)と接触している];
印刷パターン(25)のA面に向けられたUV線(57)を用いて、印刷パターン(25)のインクを硬化させるステップ(55);
印刷パターン(25)のB面に向けられたUV線(57)を用いて、印刷パターン(25)のインクを硬化させるステップ(55);
印刷パターン(25)及びプラスチックパネル(30)上に耐候層(35)を適用するステップ(60);
耐候層(35)を硬化させるステップ(65);及び
耐候層(35)上に耐磨耗層(40)を堆積させるステップ(70);
を含む、方法。
【請求項21】
プラスチックパネル(30)を成形するステップ(45)が、射出成型、ブロー成型、圧縮成型、熱成形、真空成形、及び冷間成形から選択される方法を含む、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項22】
インクを印刷するステップ(50)が、スクリーン印刷、パッド印刷、又はインクジェット印刷から選択される方法を含む、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項23】
インクを硬化させるステップ(55)が、発生源から放射されるUV線の主要な波長が、印刷されたインクによって吸収可能な波長であるUV発生源を使用する、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項24】
耐候層(35)を適用するステップ(60)が、流し塗り、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、又はスピンコーティングの1つとして選択される方法を使用する、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項25】
耐候層(35)を硬化させるステップ(65)が、風乾、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱的からみ合い、カチオン若しくはアニオン種によって誘起される架橋、又はこれらの組合せの1つとして選択される方法を含む、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項26】
耐磨耗層(40)を堆積させるステップ(70)が、真空蒸着技術を使用する、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項27】
耐磨耗層(40)を堆積させるステップ(70)が、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸着、ホローカソード活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸着、熱化学蒸着、及び任意の既知のゾル−ゲルコーティング法から選択される真空蒸着技術を使用する、請求項26に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項28】
プラスチックパネル(30)を成形するステップ(45)が、印刷パターン(25)を印刷するステップ(50)及び硬化させるステップ(55)の後に、かつ、耐候性コーティング(35)を適用するステップ(60)の前に、行われる、請求項20に記載のプラスチックグレージングパネル(15)を製造する方法。
【請求項29】
請求項20に記載の方法によって作製されたプラスチックグレージングパネル。
【請求項30】
高温で10日間以上の水浸後ASTMD3359−95によって試験して、不透明な縁取り又は装飾的マーキング、耐候層、及び耐磨耗層の約95%超を保持する、UV硬化性インクの不透明な縁取り、耐候層、及び耐磨耗層を有するプラスチックグレージングパネル。
【請求項31】
カタプラズマ処理試験(方法番号039E、Dow Automotive)において高温及び高湿への曝露に、グレージングパネルの表面に適用された接着剤ビードの約75%超の凝集破壊で合格する、UV硬化性インクの不透明な縁取り、耐候層、及び耐磨耗層を有するプラスチックグレージングパネル。

【図4】(B)は本発明の別の実施形態によるポリエステルアクリレートオリゴマーに対する典型的な化学的式の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明は、本来単に例示的であり、決して本開示又はその適用又は使用を限定するものではない。説明及び図面全体にわたり、対応する参照番号は、類似した又は対応する部分及び機能を示すものと理解される。
【0022】
本発明は、UV線への露出によって硬化されるインクで印刷された装飾的マーキング及び/又は不透明な縁取りを示しているプラスチックグレージングパネルを製造する経済的な方法を提供する。次に、このプラスチックグレージングパネルは、高レベルの耐候性及び耐磨耗性を提供するために、保護コーティング系でコートされる。図1を参照すると、プラスチックグレージングパネルを、自動車のサイドウインドウ15として自動車10に使用してもよい。窓15は、印刷された不透明な縁取り25及びロゴ/規制情報20と共に示されている。自動車設計の当業者であれば、本発明のプラスチックグレージングパネルは、とりわけ、後部窓、サンルーフ、及び固定サイドウインドウなどの他の自動車の窓に使用することができることを理解するであろう。
【0023】
図2を参照すると、経済的な製造方法は、一般に、先ず、プラスチック基材を成形するステップ(45);次いで、不透明な縁取り及び/又は装飾的マーキングを印刷するステップ(50);続いて、UV線への露出を介して印刷されたインクを硬化させるステップ(55);印刷された基材上に耐候層を適用するステップ(60);耐候層を硬化させるステップ(65);及び最後に、耐磨耗層を堆積させるステップ(70);によって規定される。
【0024】
透明なプラスチックパネルは、窓、例えば、自動車の窓に、押出し、射出成型、ブロー成型、及び圧縮成型を含む成型、又は熱成形、真空成形、及び冷間成形を含む熱成形などの当業者には既知の任意の技術の使用を介して、プラスチックペレット又はシートから成形し得る(45)。プラスチックシートを用いて窓を成形するステップ(45)は、本発明の範囲又は精神から外れることなく、図1に示すように、印刷する前に、UVインクを印刷し(50)、硬化させた(55)後で、又は耐候性コーティングを適用し(60)、硬化させた(65)後で実施してもよいことに留意されたい。プラスチックパネルを成形する(45)のにプラスチックペレットを使用することは、不透明な縁取り又は装飾的マーキングを印刷する(50)前に実施される。
【0025】
不透明な縁取り及び装飾的マーキングは、情報((例えば、企業、規制等の)を伝えるか、又は他の自動車構成部品(例えば、接着剤)を隠す若しくは覆うための、装飾の目的でプラスチックパネルに適用される(50)実質的に不透明な印刷物として定義し得る。この不透明な縁取りは、透明な基材の周囲部に適用して(50)、隙間のないマスキング用縁取りを形成してもよいが、装飾的マーキングは、窓の視野領域の一部に適用してもよい。不透明な縁取りは、窓の視野領域中に境界が移行するフェードアウトパターンをさらに含んでもよい。このフェードアウトパターンは、とりわけ、点、長方形(線)、正方形、及び三角形を含む様々なサイズの様々な形状を取り込んでもよい。この装飾的マーキングは、限定するものではないが、企業ロゴ、商標、及び規制表示を含む文字、記号、及び数字の任意の組合せをさらに含んでもよい。
【0026】
本発明の一実施形態では、不透明な縁取り及び装飾的マーキングは、スクリーン印刷を介してプラスチックパネルの表面上に印刷する(50)ことができる。不透明な縁取り及び装飾的マーキングをプラスチックパネル上に印刷する(50)他の既知の方法は、適切とみなされる場合は使用してもよい。他の既知の印刷方法の非包括的なリストには、パッド印刷、膜画像転写印刷、シリンダー印刷、デジタル印刷、ロボットデスペンシング、マスク/スプレー、インクジェット印刷等が含まれる。印刷されたインクの厚さは、約2マイクロメートル〜約1ミル(25.4マイクロメートル)の範囲でもよく、約6〜12マイクロメートルが好ましい。
【0027】
印刷された縁取り又はマーキングは、UV−A(315〜400nm)、UV−B(280〜315nm)、又はUV−C(<280nm)に見られるものなどの、UV線に露出すると硬化される(55)。印刷された縁取り又はマーキングを硬化させるために、当業者には既知の任意のタイプの紫外光源を選択してもよいが、発生源から放射されるUV線の主要な波長は、印刷されたインクによって吸収可能な波長に対応するように選択される。ランプの組合せを使用して、放射されるある範囲の波長を提供してもよい。紫外光源の例には、とりわけ、高、中、又は低圧水銀ランプ、キセノンランプ、マイクロ波ランプ、冷陰極菅、ブラックライト、UVレーザ又はエキシマーランプ、及び紫外線LEDが含まれる。バルブ型H+(210〜320nm)、H(240〜320nm)、D(350〜400nm)、V(400〜450nm)、及びQ(430〜470nm)などの異なるスペクトル出力を有する様々なランプが市販されており、使用してもよい。UVランプは、典型的には、主要な放射源として水銀を使用するが、とりわけ、金属ハライド、蛍光分子、蒸発金属などのその他の添加剤又はドーパントを使用して、変更された放射スペクトルを提供してもよい。様々なドーパントの例には、限定するものではないが、カドミウム、鉄、ガリウム、インジウム又は鉛を含めてもよい。一貫した出力を示すドーピングされたランプの一例には、Fusion UV Systems Inc.Gaithersburg,MDから市販の300〜600ワット/インチを有するマイクロ波ランプがある。さらに、このランプは、特に3次元パネルを使用する場合は、楕円形又は放物面反射鏡などの様々なタイプの反射鏡を使用して、出力を集中させてもよい。
【0028】
UVインクを硬化させる(55)と、インク中の反応性基が反応し、架橋してポリマー網状組織を形成する。硬化度が増大するに伴い、この反応性種の易動度が低下すること(例えば、透化)に起因して、百パーセントの変換は通常達成不可能である。実際、高度に着色された又は不透明のインクは、硬化させるのがより困難である。プラスチックパネルへの十分な接着性及び次に適用される(60)耐候性コーティングに対する耐溶媒性を保証するためには、印刷された不透明インクを両方向(57)からUV線に露出する。言い換えれば、印刷されたインクを、直接1組のランプからその表面(A面)上に、及び第2組のランプからプラスチックパネルを通してパネルとインク(B面)の間の界面上にUV線に露出する。このプラスチックパネルはインクが印刷される領域で実質的に透明であるので、この二重の露出が可能である。硬化時間中に印刷されたインクに適用されるエネルギーは、約400〜1200mJ/cm程度であり得る。
【0029】
この印刷されたパネルに、耐候層をディップコーティング、流し塗り、スプレーコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、又は当業者には既知の任意のその他の技術によって適用してもよい(60)。耐候層の厚さは、約2マイクロメートル〜数ミル(1ミル=25.4マイクロメートル)の範囲であってもよく、約6マイクロメートル〜1ミルが好ましい。次いで、耐候層は、風乾、UV吸収、熱吸収、縮合付加、熱的からみ合い、カチオン若しくはアニオン種によって誘起される架橋、又はこれらの組合せの1つとして選択されるメカニズムを用いて硬化され65得る。
【0030】
この耐候層は、耐磨耗層の堆積70を介して上塗りしてもよい。耐磨耗層は、1層又は様々な組成物の多重の中間層の組合せのいずれかを含んでもよい。耐磨耗層は、限定するものではないが、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、膨張熱プラズマPECVD、プラズマ重合、光化学蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング蒸着、陰極アーク蒸着、スパッタリング、蒸着、ホローカソード活性化蒸着、マグネトロン活性化蒸着、活性化反応性蒸着、熱化学蒸着、及び任意の既知のゾル−ゲルコーティング法を含む当業者には既知の任意の真空蒸着技術によって適用してもよい。
【0031】
本発明の一実施形態では、膨張熱プラズマ反応器を含む、耐磨耗層を堆積させるのに使用される特定の型のPECVD法が好ましい。膨張熱プラズマPECVD法において、不活性ガス環境中で対応する陽極プレートにアークする陰極に直流(DC)電圧を適用することを介して、プラズマが発生する。陰極近傍の圧力は、典型的には約150トル(例えば、大気圧に類似している)より高いが、陽極近傍の圧力は、約20mトル〜約100mトルのプラズマ処理チャンバー中で設定されるプロセス圧力に似ている。次いで、ほぼ大気圧の熱プラズマは、プラズマ処理チャンバー中で超音速で膨張する。
【0032】
膨張熱プラズマPECVD法のための反応性試薬は、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニル−D4又は別の揮発性有機ケイ素化合物を含んでもよい。この有機ケイ素化合物は、典型的には、酸素及びアルゴンなどの不活性キャリアガスの存在下、アークプラズマ堆積装置中で、酸化され、分解され、重合されて、耐磨耗層を形成する。
【0033】
次に図3を参照すると、本発明の一実施形態によるプラスチックグレージングパネルの横断面を示す。プラスチックパネル30は、任意の熱可塑性又は熱硬化性ポリマー樹脂を含んでもよい。このポリマー樹脂には、限定するものではないが、ポリカーボネート、アクリル、ポリアリレート(polyarylate)、ポリエステル、及びポリスルホン、並びにこれらのコポリマー及び混合物が含まれる。窓として適切に機能を果たし、印刷されたインクの二重硬化を可能にするためには、プラスチックパネルは実質的に透明である。
【0034】
次に図4を参照すると、印刷されたUVインク25は、様々な多官能性アクリレートオリゴマーとモノマーとの混合物(脂肪族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びポリエーテルアクリレートが好ましいオリゴマーである)を含んでもよい。インク中のアクリレート混合物の重量百分率(%)は約40〜75重量%である。ウレタンアクリレートは、典型的には、ポリイソシアネートをヒドロキシルアルキルアクリレートと反応させて、多官能性を有するオリゴマーを形成することによって調製される。他方、ポリエーテルアクリレートは、ポリエーテルオールをアクリル酸でエステル化することによって通常調製される。ウレタンアクリレートは、ポリエステル又はポリエーテル骨格のいずれかを有する脂肪族末端基を含んでもよい。アクリレートオリゴマーの性質は、官能度及びその調製に使用した反応物の性質及び得られたオリゴマーの分子量に応じて異なってもよい。ウレタンアクリレートのいくつかの例が図4Aに、及びポリエステルアクリレートの一例が図4Bに示されている。当業者であれば、図4に示されるオリゴマーの式は、本発明のインクに使用し得る様々なオリゴマーのすべてを包含してはいないことを理解するであろう。適したアクリレートモノマーには、限定するものではないが、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)及びこれらのアルコキシ化対応物が含まれる。
【0035】
UVインク25はまた、インクの硬化時にプラスチックパネルとの接着性を向上させるために、約5〜20重量%の間のN−ビニル−2−ピロリドン(NVP、CAS#66−12−0)を含んでもよい。場合によっては、プラスチックグレージングパネルの所望の特性に応じて、インク配合物中でのNVPの使用を、最小限に抑える又は除いてもよい。
【0036】
光開始剤は、フリーラジカル硬化メカニズムで通常使用されるので、このUVインクは、約1〜6重量%の光開始剤を含んでもよい。光開始剤は、限定するものではないが、ベンゾフェノン、置換ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フッ化ジフェニルヨードニウム、アシルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、及びヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホニウムを含んでもよい。
【0037】
UVインク25は、着色剤(例えば、顔料及び/又は染料)、充填剤、界面活性剤、消泡剤、粘着付与剤、接着促進剤、粘性促進剤、耐候性添加剤などのその他の添加剤をさらに含んでもよい。顔料の例には、限定するものではないが、カーボンブラック、着色有機顔料、及び金属酸化物顔料が含まれる。一方、適した染料には、様々な直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び/又は反応性染料が含まれる。このUVインクにヒュームドシリカを添加して、印刷中の微細なディテールを保持するのに必要なレオロジーを向上させてもよい。様々な界面活性剤及び消泡剤は、このような能力において機能を果たすことが当業者にはよく知られている、任意の有機、有機ケイ素、及びシリコーンの分子を含んでもよい。印刷され及び硬化されたインクの耐候性を向上させるために、このインクは、ヒンダードアミン又はUV吸収剤の分子を含んでもよい。本発明の一実施形態により使用することができるUVインク25の一例には、Coates Screen(Sun Chemicalの一員)、St.Charles、Illinois製DXT−1599として入手可能なアクリレートインクがある。UVインク25中に存在する固体の百分率(%)は約100%であり、インク配合物を構成する成分の実質的にすべてが、硬化された後の印刷されたインク中に留まることを意味する。
【0038】
耐候層35は、限定するものではないが、シリコーン、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタンアクリレート、及びエポキシ、並びにこれらの混合物又はコポリマーを含んでもよい。耐候層35は、とりわけ、ヒドロキシフェニルトリアジン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアジン、ポリアロイルレゾルシノール、及びシアノアクリレートなどの紫外線(UV)吸収分子を好ましくは含んでおり、下層のプラスチックパネル及び印刷されたインクを、屋外環境への曝露によって引き起こされる分解から保護する。
【0039】
耐候層35は、1つの均一層(例えば、プライマーレス)又は複数のサブ層(例えば、プライマー及びトップコート)を含んでもよい。プライマーは、典型的には、トップコートをプラスチックパネルに接着させるのを促進する。プライマーは、限定するものではないが、例えば、アクリル、ポリエステル、エポキシ、及びこれらのコポリマー及び混合物を含んでもよい。同様に、トップコートは、限定するものではないが、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンハードコート、及びこれらの混合物又はコポリマーを含んでもよい。複数のサブ層を含む耐候層35の1つの具体例は、アクリルプライマー(SHP401若しくはSHP470、Momentive Performance Materials、Waterford、NY;又はSHP−9X、Exatec LLC、Wixom、MI)とシリコーンハードコート(AS4000又はAS4700、Momentive Performance Materials;又はSHX、Exatec LLC)の組合せがある。プライマーレス耐候層35の多数の例の1つは、Momentive Performance Materialsによって提供されるPHC−587である。
【0040】
耐候層35に、例えば、プライマー及びトップコートのいずれか又は両方に、とりわけ、着色剤(染料)、レオロジー調整剤、離型剤、酸化防止剤、及びIR吸収又は反射顔料などの様々な添加剤を添加してもよい。添加剤のタイプ及び各添加剤の量は、窓として使用するための仕様及び必要条件を満たすためにプラスチックグレージングパネルによって要求される性能によって決定される。
【0041】
耐磨耗層40は、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、シリコンオキシカーバイド、水素化シリコンオキシカーバイド、シリコンカーバイド、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又はこれらの混合物若しくはブレンドを含んでもよい。好ましくは、耐磨耗層40は、堆積層中に残存する炭素及び水素原子の量に応じて、SiOからSiOの範囲の組成を含む。
【0042】
印刷されたインク25は、自動車用の相手先商標製品による製造会社(OEM)によって規定されてきた複数の試験に合格しなければならない。このような試験には、高温での水浸試験、及びカタプラズマ試験が含まれる。このインクが規定されたすべての試験に合格しなければ、このプラスチックグレージングパネル15は、組み立てた自動車に使用することができない。プラスチックグレージングについて、印刷されたインク25は、95%超の不透明度(現在の「ガラス」グレージングの規制上の制約のために99.8%超が好ましい)を提供することが望ましい。当業者であれば、現在の不透明度の要求事項は、UV線を吸収するコーティングの使用によって、インクの完全に近い不透明度を確実にすることによってガラスグレージングパネルに提供されるのと同様のレベルの、任意の下層の接着剤接合に対する必要なレベルの保護を提供して、プラスチックグレージングに対して緩和され得ることを理解するであろう。
【0043】
水浸試験は、ASTM D3359−95による、最初のクロスハッチ接着試験(テープ引張り)、続いて、印刷されたプラスチックグレージングパネルをおよそ65℃の高温の蒸留水中におよそ10日間水浸させることを含む。インク及び保護層(即ち、耐候層35及び耐磨耗層40)の接着性を、約一日おきに最大10日まで試験する。印刷されたインク25は、10日目にインク及び保護層の95%超の残留が得られた場合に限り試験に合格する。
【0044】
このカタプラズマ試験は、以下の接着プライマー及び接着剤:(1)Betaseal(商標)43518−透明プライマー;(2)Betaseal(商標)48520A−黒色プライマー;及び(3)Betaseal(商標)57302−ウレタン接着剤(Dow Automotive、Auburn Hills、Michigan)をプラスチックグレージングパネルに適用することを含む。試験されるプラスチックグレージングパネルの部分は、2つの接着剤ビード(即ち、各ビードは幅約1インチで長さ約9インチ以上)及び2つの接着剤クロスハッチ(後の試験として適用される)を適用するのに十分に大きくするべきである。この試験プロトコルは、Dow Automotive AG、試験法番号039E−カタプラズマ処理として当業者にはよく知られている。
【0045】
カタプラズマ試験は、プラスチックグレージングパネル15を、グレージングパネルの表面に適用した硬化接着剤ビードと共に高温高湿、続いて低温の衝撃(即ち、グレージングパネルをぬれた綿中に70℃で7日間包み、続いて−20℃で3時間)に曝露する。試料を高湿に曝す前に、1つの接着剤ビードを引っ張り、この「予備試験」の引張りで凝集破壊の程度を評価する。最初の接着剤の引張りに合格するためには、接着剤の95%超の凝集破壊が観察される必要がある。次いで、試料を上述の通り高湿の繰り返しに曝露させる。この試験が完了し、室温(約23℃)で平衡させた後、プラスチックグレージングパネル15を、ヘーズの発生、変色、ブリスター、微小亀裂等の光学的変化又は欠陥についての目視検査に加えて、前述のASTMプロトコルに従って行われるクロスハッチ接着試験にかける。最後に、各試料上のもう一つの接着剤ビードを引っ張り、この「後試験」の引張りで接着剤の凝集破壊の程度を再度検査する。印刷されたプラスチックグレージングパネル15がカタプラズマ試験に合格するためには、光学的外観で変化がなく、クロスハッチ接着(テープ引張り)試験後、インク25及び保護層35と40の基材への残留が95%を超え、後試験の引張りにおいて接着剤の凝集破壊が75%を超えなければならない。したがって、プラスチックグレージングパネル15が上記の試験に合格するためには、グレージングパネル全体、即ち、プラスチックパネル30/硬化されたインク25/硬化された耐候層35/耐磨耗層40は、様々な温度及び湿度条件で高レベルの加水分解安定性を示さなければならない。
【実施例】
【0046】
以下の具体例は、本発明を例示するために提供されており、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでない。
【0047】
(例1)
従来のUVインクの適用
射出成型を介してポリカーボネートパネルを成形し、次いで、表1に記載された市販のUV硬化性インクの複数の異なる組成物により、スクリーン印刷技術を用いて不透明な縁取りを印刷した。このインクを、配合物(試験1〜試験9)を製造者の仕様書に従ってUV線に露出することによって硬化した。このインクを一面(A面)上で照射した。次いで、すべてのインクに、アクリルプライマー(SHP−9X、Exatec LLC、Wixom、Michigan)及びシリコーンハードコート(SHX、Exatec LLC、Wixom、Michigan)を製造者の仕様書に従ってコートした。次いで、膨張熱プラズマ強化化学蒸着法(PECVD)を用いて耐磨耗層を堆積させた。得られたプラスチックグレージングパネルは、Exatec(登録商標)900(Exatec LLC)として知られている。すべての試料は、製造順序が完了した後で、表1に記載された様に、ASTMクロスハッチ接着試験(D3359−95)に合格する(合格=>95%残留)のに十分な接着性に欠けていることが判明した。この例は、従来の手段を介して硬化されたUVインク(試験1〜試験9)が、プラスチックグレージングパネルに使用するのを満足させるのに必要な程度まで実質的に硬化されていないことを例示する。
【0048】
表1
【表1】
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【0049】
(例2)
二重硬化法
射出成型を用いてポリカーボネートパネルを成形し、次いで、表2及び表3に特定されたいくつかのUVインク組成物により、スクリーン印刷技術を用いて不透明な縁取りを印刷した。このインクを、配合物(試験10〜試験19)を製造者の仕様書に従ってUV線に露出することによって硬化した。このインクを両側(A面及びB面)から照射した。硬化サイクル中にインクに適用したエネルギーは、約850mJ/cmであった。すべてのインクは、約10マイクロメートルの印刷物厚さで約99.9%超の不透明度を示すことが判明した。
【0050】
次いで、すべてのインクに、アクリルプライマー(SHP−9X、Exatec LLC、Wixom、Michigan)及びシリコーンハードコート(SHX、Exatec LLC、Wixom、Michigan)を製造者の仕様書に従ってコートした。次いで、膨張熱プラズマ強化化学蒸着法(PECVD)を用いて耐磨耗層を堆積させた。得られたプラスチックグレージングパネルは、Exatec(登録商標)900(Exatec LLC)として知られている。すべての試料は、製造順序が完了した後(0日目)、及び10日間の水浸後、表2に記載された様に、ASTMクロスハッチ接着試験(D3359−95)に合格する(合格=>95%残留)のに十分な接着性を示すことが判明した。この例は、本発明の一実施形態による二重硬化を介して硬化されたUVインク(試験10〜試験15)が、プラスチックグレージングパネルに使用するのに許容される不透明度及び接着性を示すことを例示する。
【0051】
表2
【表2】
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【0052】
次いで、上記のインクで調製されたプラスチックグレージングパネルを、先に定義したカタプラズマ試験で試験した。この試験において、すべての試料は、表3の試験16〜試験19に示すように、前接着剤引張り試験(合格=>95%凝集破壊)、後接着剤線引張り試験(合格=>75%凝集破壊)、及びASTM接着クロスハッチ試験(合格=>95%残留)に合格することが判明した。この例は、本発明の一実施形態による二重硬化手段を介して硬化されたUVインク(試験10〜試験19)が、プラスチックグレージングパネルでの使用に十分に必要な程度に実質的に硬化されることを例示する。
【0053】
表3
【表3】
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【0054】
先の説明により、以下の特許請求の範囲に記載の本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に修正及び変更を加えることができることを当業者であれば理解するであろう。説明された、不透明度、クロスハッチ接着性、及びプラズマ試験測定値は、様々な異なる試験方法によって得ることができる標準的な測定値であることを当業者であればさらに理解するであろう。実施例に記載された試験方法は、それぞれの要求される測定値を得るために利用可能な1つの方法を表すにすぎない。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−527305(P2010−527305A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506629(P2010−506629)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/062155
【国際公開番号】WO2008/137505
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】