説明

UV線量インジケータ

本願は、(a)酸に反応する着色剤;(b)光潜在性の酸を含む、吸収された照射線量によって色の変化を示す組成物であって、(b)がスルホニルオキシムエステル化合物であることを特徴とする組成物;及びその照射線量インジケータとしての使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV線量インジケータ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO02/101462には、着色剤及び光潜在性の酸を含む組成物を用いるレーザーマーキングの方法が開示されている。WO02/100914、US7091257及びWO04/052654より、光曝露時に着色する組成物が知られている。WO05/097876は、コーティング組成物の着色方法を提供する。
【0003】
放射線プロセス、特に放射線硬化において頻発する問題は、放射線−感受性層により覆われた基材上への放射線(例えばUV光又はEB線量)のエネルギープロファイルの判定である。放射線−硬化性コーティング上でのエネルギー配分が、コーティング表面全体の硬化プロファイル及びコーティング性能を決定するため、このエネルギープロファイルの判定は重要である。
【0004】
幾つかの光−インジケータストリップが既に市販されているものの、複雑な形状を有する三次元の基材上ではそのエネルギープロファイルを特性決定することがほぼ不可能であるという重大な欠点を有する。さらに、着色の強度は、しばしば硬化温度に依存する。
【0005】
本発明のUV線量もしくはEB線量インジケータの意図は、所定のコーティング系における着色強度と、吸収されたエネルギー線量と、硬化度合いと、の間にある相関関係を提供することであり、あるいはより一般的には、特にコーティング剤、接着剤及びインク組成物、そして三次元基材上のコーティング剤の硬化のための処理の程度を提供することである。
【0006】
現在、
(a)酸に反応する着色剤;
(b)光潜在性の酸;
を含み、(b)がスルホニルオキシムエステル化合物であることを特徴とする組成物が、照射されたコーティングにより、吸収された照射線量を判定するのに特に適していることが見出されている。
【0007】
したがって、前記組成物は放射線エネルギー線量インジケータとして使用される。本発明の組成物では、光潜在性の着色剤がUV線量インジケータ又はEB線量インジケータとして用いられる。着色剤は例えば、標準的な放射線硬化性配合物に組み込まれ、白色の基材に塗布される。基材に塗布されたこの放射線硬化性配合物は、対応する着色剤に応じて、放射線に曝露した時に発色するか、あるいは退色する(色あせる)。一旦硬化プロセスが完了すると、吸収されたエネルギー線量に応じるものの、コーティングの着色が多かれ少なかれ明白になる。したがって、コーティングの危機的な箇所、すなわち充分な硬化を達成するのに放射線が充分に強くない箇所を、速やかに識別することが可能である。
【0008】
本発明の組成物は特に、プラズマにより例えばプラズマ室の内で硬化される、被覆された基材、特に三次元の被覆された基材上でにもたらされたエネルギー線量の判定に適している。
【0009】
プラズマ硬化プロセスは、例えばWO03/089479及びWO03/89155に開示されている。本発明のエネルギー線量インジケータは、好ましくは前記文献に開示されているようなプロセスにおけるエネルギー線量を判定するために使用され、前記文献は引用により本明細書に組み込まれる。
【0010】
本発明の組成物は、酸に反応する着色剤を含む。「酸に反応性(acid-reponsive)」とは、酸の作用により発色するか、あるいは色あせる着色剤を意味する。
【0011】
したがって、基材により吸収された照射線量の判定は、それ自体は無色であって、酸の作用によってのみ発色する着色剤を用いて行うか、あるいは判定は、それ自体は着色されていて、酸の作用によって色あせる(退色する)着色剤を用いて行われる。
【0012】
本発明のプロセスと同様に本発明の組成物において、着色剤と反応する酸は組成物中に潜在的な形で存在しており、すなわち酸は照射によってのみ生成する。生成した酸の濃度は、着色剤の色の変化の度合いに直接影響する一方で、生成した酸の濃度は照射線量に依存する。したがって上述の系は、被覆された基材により吸収される照射線量を判定するのに適している。
【0013】
適切な着色剤は、スピロピラン、スピロオキサジン、ナフトピラン及びラクトンからなる群より選択される。
【0014】
本発明において使用されるべき発色剤の例は、フルオラン、トリフェニルメタン、ラクトン、ベンゾオキサジン、スピロピラン、フタリドであり、好ましくはフルオランである。
【0015】
適切な発色剤は、以下:
3−ジブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−(4−2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−[(4−ジメチルアミノ)−アニリノ]フルオランを含むが、これらに限定されない。
【0016】
特に好ましいフルオラン化合物は、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、7−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[4H−クロメノ[2,3−c]ピラゾール−4(1H)−3′フタリドである。
【0017】
非常に好ましいフルオラン化合物は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、7−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[4H−クロメノ[2,3−c]ピラゾール−4(1H)−3′フタリドである。
【0018】
他の興味深い発色剤は、例えばUS7091257に開示されており、これらは引用により本明細書に組み込まれる。
【0019】
発色剤は、単一の化合物として使用してもよく、あるいは互いとの組み合わせもしくはさらなる発色性化合物と共に使用してもよい。
【0020】
所望の最終的な着色に応じて、例えば着色剤の混合物を使用してもよい。
【0021】
これらの例は非限定的であり、本発明の組成物及びプロセスに他社の製品も用いることができることは明白である。
【0022】
注意を引くのは、例えば以下の基本構造:
【0023】
【化1】

【0024】
を有する発色剤である。
【0025】
上記の構造が、特定の置換基もしくは強固にした環により修飾されている発色剤もまた、本発明の文脈において適切であることは明白である。
【0026】
適した着色剤は、例えば式(I):
【0027】
【化2】

【0028】
[式中、
及びRは、互いに独立にC〜C14アリール又はC〜C14ヘテロアリールであり、それらの両方が場合により1個以上のC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C1〜C12ジアルキルアミノ、C〜C12アルキルアミノ、C〜C14アリール、C〜C14アリールアミノ、ジ(C〜C14アリール)アミノ又はハロゲンにより置換されており;
m及びnは、互いに独立に整数0又は1であり、ただしn+mの和は1であり;
p及びqは、互いに独立に整数0又は1であり;
Xは、CH又はNであり;
及びXは、互いに独立にC〜Cアルケニレンであり;そして
Eは、C〜C14アリール又はC〜C14ヘテロアリール環あるいは環系であり、ここでC〜C14アリール又はC〜C14ヘテロアリール環あるいは環系は場合により1個以上のC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシC〜C12アルキルアミノ、C1〜C12ジアルキルアミノ、NO、CN又はハロゲンにより置換されている]
で示されるものである。
【0029】
〜C14アリールは、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリルであり、特にはフェニル又はナフチルであり、好ましくはフェニルである。
【0030】
置換されたC〜C14アリールは、例えば1〜5回置換されており、例を挙げると1回、2回又は3回、特には1回又は2回フェニル環において置換されている。
【0031】
本発明の文脈におけるC〜C14ヘテロアリールは、炭素原子の他に少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族環又は環系である。数字5〜14は、炭素及びヘテロ原子の両方を数えた環原子の総数を意味する。前記ヘテロ原子は、O、S又は/及びNからなる群から選択される。
【0032】
例示は、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、テルフェニル、フルオレニル、フェノキサジニル、9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イル、3−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、2−ベンゾ[b]チエニル、4−ジベンゾフリル、4,7−ジベンゾフリル、4−メチル−7−ジベンゾフリル、2−キサンテニル、8−メチル−2−キサンテニル、3−キサンテニル、2−フェノキサチイニル、2,7−フェノキサチイニル、2−ピロリル、3−ピロリル、5−メチル−3−ピロリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、2−メチル−4−イミダゾリル、2−エチル−4−イミダゾリル、2−エチル−5−イミダゾリル、3−ピラゾリル、1−メチル−3−ピラゾリル、1−プロピル−4−ピラゾリル、2−ピラジニル、5,6−ジメチル−2−ピラジニル、2−インドリジニル、2−メチル−3−イソインドリル、2−メチル−1−イソインドリル、1−メチル−2−インドリル、1−メチル−3−インドリル、1,5−ジメチル−2−インドリル、1−メチル−3−インダゾリル、2,7−ジメチル−8−プリニル、2−メトキシ−7−メチル−8−プリニル、2−キノリジニル、3−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、3−メトキシ−6−イソキノリル、2−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、2−メトキシ−3−キノリル、2−メトキシ−6−キノリル、6−フタラジニル、7−フタラジニル、1−メトキシ−6−フタラジニル、1,4−ジメトキシ−6−フタラジニル、1,8−ナフチリジン−2−イル、2−キノキサリニル、6−キノキサリニル、2,3−ジメチル−6−キノキサリニル、2,3−ジメトキシ−6−キノキサリニル、2−キナゾリニル、7−キナゾリニル、2−ジメチルアミノ−6−キナゾリニル、3−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、3−メトキシ−7−シンノリニル、2−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル、6,7−ジメトキシ−2−プテリジニル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、9−メチル−2−カルバゾリル、9−メチル−3−カルバゾリル、β−カルボリン−3−イル、1−メチル−β−カルボリン−3−イル、1−メチル−β−カルボリン−6−イル、3−フェナントリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、2−ペリミジニル、1−メチル−5−ペリミジニル、5−フェナントロリニル、6−フェナントロリニル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、10−メチル−3−フェノチアジニル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、4−メチル−3−フラザニル、2-フェノキサジニル又は10−メチル−2−フェノキサジニルである。
【0033】
〜C22アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えばC〜C20−、C〜C18−、C〜C14−、C〜C12−、C〜C−、C〜C−又はC〜Cアルキルである。その例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシルである。
【0034】
〜Cアルキレンは、直鎖状又は分岐鎖状であり、一つ以上の、特には一つ又は二つの二重結合を有し、例えばエテニレン、1−プロペニレン、1,3−プロペンジエニレン、1−ブテニレン、3−ブテニレン、2−ブテニレン、1,3−ペンタジエニレン、5−ヘキセニレン又は7−オクテニレンである。
【0035】
〜C12アルコキシは、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えばC〜C10−、C〜C−、C〜C−又はC〜C−アルコキシである。その例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ又はドデシルオキシ、特にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ,とりわけメトキシである。
【0036】
〜C12ジアルキルアミノは(C〜C12アルキル)−N−を意味し、C〜C12アルキルアミノは(C〜C12アルキル)NH−であり、ここでC〜C12アルキルは上記にて定義した通りである。
【0037】
本発明の文脈、特に「E」の定義における用語「環系」は、縮合されたいくつかのカルボサイクリック又はヘテロサイクリック環を指し、これらの環は類似しているか又は異なっている。例えば、
【0038】
【化3】

【0039】
等である。
【0040】
好ましくは、Eはフェニル又はナフチルである。
【0041】
用語「及び/又は」は、定義された選択肢(置換基)のうち一つのみが存在し得るのではなく、これと同様にして、定義されたもののうち二つ又はそれ以上の異なる選択肢(置換基)が一緒に存在し得る可能性、すなわち異なる選択肢(置換基)の混合物が存在し得るという事実関係の表現を意図したものである。
【0042】
用語「少なくとも」は、一つ又は一つ以上、一つ以上のものの混合物、例えば一つ又は二つ又は三つ、好ましくは一つ又は二つを定義することを意図したものである。
【0043】
明細書及び請求項において、「含む」という言葉は、定義された対象又は定義された対象の群が包含され、明確に述べられていない他のいかなる物質をも除外するものではない(他に明白に断りのない限り)ことを意味するものとして理解される。
【0044】
〜C14アリールとしてのR及びRは例えば、特にはC〜C12アルキルオキシ、C〜C12ジアルキルアミノ、例えばメトキシ又はジメチルアミノにより置換されたフェニルである。前記置換基は、好ましくはフェニル環のp−位に位置している。
【0045】
〜C14ヘテロアリールとしてのR及びRは、特にはインドール又はピラゾールであり、両方とも場合によりC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12ジアルキルアミノ、C〜C12アルキルアミノ又は/及びハロゲンにより置換されている。
【0046】
好ましくは、R及びRは、互いに独立にインドール、ピラゾールである。
【0047】
とRが一緒になって、場合によりヘテロ原子を含む環又は環系を形成する場合、前記ヘテロ原子は例えばO、N又はSであり、特にはO及びNであり、好ましくはOである。
【0048】
好ましいX及びXは、エテニレン及び1,3−プロペンジエニレンである。
【0049】
及びRが一緒になって形成するそのような環系の例は、式:
【0050】
【化4】

【0051】
[式中、R、R、RはC〜C22アルキルであり、特にはC〜Cアルキルであり、R及びRは好ましくはメチル又はエチルであり、そしてR〜Rは例えば水素、C〜C22アルキル、C〜C14アリール、特にはフェニル、ナフチル又はアントリル、好ましくはフェニル、あるいはフェニル−C〜Cアルキル、特にはベンジルであり;Xは直接の結合、O、S又はNR10であり;ここでNR10はRに対して与えられた意味のうちの一つを有する。]で示されるものである。フェニル環における置換基C〜C14アリール及びフェニル−C〜Cアルキルは、場合により1個以上のC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ヒドロキシル又は/及びハロゲンにより置換されている。
【0052】
フェニル−C〜Cアルキルは、例えばベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル又はα,α−ジメチルベンジルであり、特にはベンジルである。置換されたフェニル−C〜Cアルキルは、1〜4回、例えば1回、2回又は3回、特には2回又は3回置換されており、好ましくはフェニル環上で置換されている。
【0053】
式I中のEが、式Iで示される基本構造に縮合しているC〜C14アリール又はC〜C14ヘテロアリール環あるいは環系を意味する場合、例えば以下の構造:
【0054】
【化5】


等が対象となる。そのような化合物の例は、とりわけUS7091257、例えば第9及び10欄に見出すことができる。
【0055】
本発明の光潜在性の酸は、スルホニルオキシムエステル化合物である。特に好ましいのは、式IIa、IIb又はIIc:
【0056】
【化6】

【0057】
[式中、
20は、
【0058】
【化7】

【0059】
、(CO)O−C〜C20アルキル、CN又はC〜C20ハロアルキルであり;
21は、R20に対して与えられた定義のうちの一つを有するか、あるいは
【0060】
【化8】

【0061】
であり;
22は、C〜C20アルキル、C〜C20ハロアルキル、カンフォリル、フェニル−C〜Cアルキル、C〜C30シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリルであり、基シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル及びフェントリルは無置換であるか、あるいは1個以上のハロゲン、C〜C12ハロアルキル、CN、NO、C〜C20アルキル、フェニル、C〜C12アルキルチオ、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、C〜C12アルキル−O(CO)−、C〜C12アルキル−(CO)O−、R24OSO−及び/又は−NR2526で置換されており;
uは、0又は1であり;
vは、2〜6の整数、好ましくは3であり;
23は、C〜C20アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、カンフォリル、無置換のフェニル又は1個以上のハロゲン、C〜C12アルキル、OR27、SR27もしくはNR2526により置換されたフェニルであり;
24は、水素、C〜C20アルキル、フェニル又はC〜C20アルキルにより置換されたフェニルであり;
25及びR26は、互いに独立に水素、C〜C20アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキルであるか、あるいはR25とR26は、それらが結合するN原子と一緒になって、5−又は6−員環を形成し、これは場合により1個以上のOもしくはNR28を含み;
27は、C〜C20アルキル、フェニル、フェニル−C〜Cアルキル又はC〜C12ヒドロキシアルキルであり;そして
28は、水素、フェニル、フェニル−C〜Cアルキル、C〜C20アルキル又はC〜C12ヒドロキシアルキルである]
で示されるスルホニルオキシムエステルを含む組成物である。
【0062】
〜C20アルキル、フェニル−C〜Cアルキル及びC〜C12アルコキシの意味は、上記で式Iに対して与えられた通りである。
【0063】
〜C20ハロアルキルは、例えばハロゲンによりモノ置換もしくは多置換されているC〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−又はC〜C−アルキル、例えば上記に定義されたようなC〜C20−、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−及びC〜C−アルキルである。アルキル基は、例えばモノ−もしくはポリハロゲン化されており、最多で全てのH原子がハロゲンと交換されている。その例は、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル又は2−ブロモプロピルであり、特にはトリフルオロメチル又はトリクロロメチルである。ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素であり、特にはフッ素、塩素及び臭素であり、好ましくはフッ素及び塩素である。
【0064】
〜C12ヒドロキシアルキルは、例えば上記に定義したようなC〜C10−、C〜C10−、C〜C−、C〜C−、C〜C−又はC〜Cアルキルであるが、しかしOHによりモノ置換もしくは多置換されている。例えば1〜6個、1〜4個あるいは1個又は2個のOH置換基がアルキルに位置している。その例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシエチル、特にはヒドロキシエチルである。
【0065】
〜C30シクロアルキルは、単環もしくは多環の脂肪族環であり、例えばモノ−、ビ−又はトリシクロ脂肪族環であり、例としてはC〜C20−、C〜C18−、C〜C12−、C〜C10シクロアルキルである。本発明の文脈におけるC〜C30シクロアルキルは、少なくとも1個の環を含むアルキルとして理解される。モノシクロ環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであり、特にはシクロペンチル及びシクロヘキシルであり、ポリシクロ環の例は、アダマンチルである。更なる例は、式:
【0066】
【化9】

【0067】
等のような構造である。
【0068】
〜C12アルキルチオは、直鎖状又は分岐鎖状であり、例えばC〜C10−、C〜C−、C〜C−又はC〜Cアルキルチオである。その例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、iso−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、2,4,4−トリメチルペンチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ又はドデシルチオであり、特にはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、iso−ブチルチオ、tert−ブチルチオであり、好ましくはメチルチオである。
【0069】
25とR26が、それらが結合するN原子と一緒になって、5−又は6−員環を形成し、これが場合により1個以上のO又はNR28を含み、飽和もしくは不飽和の環が形成される場合には、その例はアジリジン、ピロール、ピロリジン、オキサゾール、ピリジン、1,3−ジアジン、1,2−ジアジン、ピペリジン又はモルホリンであり、特にはモルホリンである。
【0070】
特には、興味深い光潜在性の酸化合物(b)は、式:
【0071】
【化10】

【0072】
[式中、R22はC〜C20ハロアルキル、とりわけCF、及びC〜C20アルキル、とりわけプロピルである]で示されるもの;及び式:
【0073】
【化11】

【0074】
[式中、RはC〜C20アルキル、とりわけメチル、及びR22はC〜C20アルキル、とりわけメチル、プロピル、オクチル、カンフォリル、p−トリル又は式:
【0075】
【化12】

【0076】
で示されるもの等である]
で示されるものである。
【0077】
具体的な例は、α−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、2−メチル−α−[3−[4−[[メチル−スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、2−メチル−α−[3−[4−[[(n−プロピル)スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、2−メチル−α−[2−[4−[[(カンフォリル)スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、2−メチル−α−[3−[4−[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、2−メチル−α−[3−[4−[[(n−オクチル)スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、2−メチル−α−[3−[[[[4−[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]フェニル]スルホニル]オキシ]イミノ]−2(3H)−チエニリデン]−ベンゼンアセトニトリル、1,1′−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−4,1−フェニレン)]ビス[2,2,2−トリフルオロ−ビス[O−(トリフルオロメチルスルホニル)オキシム]−エタノン、1,1′−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−4,1−フェニレン)]ビス[2,2,2−トリフルオロ−ビス[O−(プロピルスルホニル)オキシム]−エタノン、1,1′−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−4,1−フェニレン)]ビス[2,2,2−トリフルオロ−ビス[O−((4−メチルフェニル)スルホニル)オキシム]−エタノン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカ−フルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘプチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ブチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)−ヘプチル]−9−チア−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ペンチル]−フルオレン、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−3−メトキシベンジルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−3,4−ジメチルベンジルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−チオフェン−3−アセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−チオフェン−2−アセトニトリル、cis/trans−α−(ドデシルスルホニルオキシイミノ)−チオフェン−2−アセトニトリルである。
【0078】
適切なオキシムスルホナート及びそれらの製造は、例えばWO00/10972、WO00/26219、GB2348644、US4450598、WO98/10335、WO99/01429、EP780729、EP821274、US5237059、EP571330、EP241423、EP139609、EP361907、EP199672、EP48615、EP12158、US4136055、WO02/25376、WO02/98870、WO03/067332及びWO04/074242に見出すことができる。
【0079】
更なる光潜在性の酸のドナーに関する要約は、総説という形でM. Shirai及びM. TsunookaによりProg. Polym. Sci.、Vol. 21、1-45 (1996)中、及びJ. Crivello、K. Dietlikerによる「Photoinititiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerisation」、第2版、Volume III、そして「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」シリーズ、John Wiley/SITA Technology Limited、London、1998、chapter III (p. 329-463)に与えられている。
【0080】
好ましい光潜在性の酸は、式IIaで示されるオキシムスルホナート化合物であり、例えば、R20が、CN又はC〜C20−、特にはC〜C−ハロアルキルであり;R21が、OR27又はSR27により置換されているフェニル、特にはp−メトキシ−又はp−メチルチオフェニルであるか、あるいはR21が、式:
【0081】
【化13】

【0082】
であり;そしてR22が、C〜C20アルキル、特にはプロピル又はオクチルであるか、あるいはp−メチルフェニルであるものである。好ましくは、α−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(p−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルチオベンジルシアニド及び1,1′−[1,3−プロパンジイルビス(オキシ−4,1−フェニレン)]ビス[2,2,2−トリフルオロ−ビス[O−(プロピルスルホニル)オキシム]−エタノンである。
【0083】
光潜在性の酸が、単独で、あるいは互いとのあらゆる組み合わせでも使用され得ることは、明らかである。
【0084】
例えば、光潜在性の酸の混合物が、要求される感度に応じて使用され得る。必要であれば、スペクトル感度をシフトさせるか、あるいは広くする光増感剤を加えてもよい。適切な増感剤化合物の例は、WO06/008251、36ページ、30行〜38ページ、8行に開示されており、この開示は引用により本明細書に組み込まれる。例えば、当業者にとって既知のあらゆる通例の増感剤と同様に、チオキサントン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びそれらの対応する誘導体、クマリン及びクマリン誘導体、3−(アロイルメチレン)−チアゾリン及びその誘導体、ロダニン及びその対応する誘導体である。
【0085】
エネルギー線量の吸光度を判定すべき基材への塗布においては、適切には、上記で記載したような(a)酸に反応する着色剤及び(b)光潜在性の酸を含む本発明の組成物は、よくある紫外線硬化性(UV硬化性)もしくは電子線硬化性(EB硬化性)配合物又は熱硬化性配合物に組み込まれている。したがって、本発明の組成物は、例えば(c)エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物と混ぜられているか;あるいは(d)アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂を含むアミノ樹脂、シリコン樹脂又はポリウレタンと混ぜられているか;あるいは(h)フォイル(foil)を調製するのに適したポリマーと共に押し出される。当業者は、そのようなポリマーをよく知っている。フォイルを製造するのに適切なポリマーの例は、ポリエチレン、例えば低密度のもの(PE−LD)、高密度のもの(PE−HD)、直鎖状で低密度のもの(PE−LLD)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン(PIP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PCDC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−ビニルアセテート(E/VA)等、及び対応するコポリマーである。
【0086】
したがって、(h)フォイルを製造するのに適切なポリマーを含む上記の組成物もまた、主題である。
【0087】
光潜在性の酸及び酸に反応する着色剤の混合物は、例えば(c)、(d)、(h)又は溶媒中、濃縮された形態で与えられ、これらはさらに、インク、接着剤もしくはコーティング組成物、又はパテもしくはゲルに組み込まれる。
【0088】
(c)UV−硬化性及びEB−硬化性配合物は、ポリマー、オリゴマー又は例えば(メタ)クリレートモノマーから選択されるモノマー、オリゴマー及びポリマーならびにコポリマーであって、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、(メタ)クリレートエラストマーを含み、モノ、ジ、トリ及びテトラ官能性モノマー又は関連するオリゴマーもしくはポリマー組成物であって、これらは場合により重合可能な二重結合を含むモノマーユニットにより末端封止されていてもよく、とりわけビニル又はビニル型モノマー、オリゴマー及び塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルアセテート及び関連するビニルモノマー、オリゴマー及びポリマーをベースにしたポリマーを含む。好ましくは、低い酸価(<15mg KOH/g)、好ましくは3mg KOH/gより低い酸価を有するアクリル樹脂である。
【0089】
ラジカル光重合開始剤(e)は、特にはUV−硬化性配合物において、これらのオリゴマー及びモノマーと組み合わせて用いてもよい。場合により、界面活性剤が配合物中に存在する。
【0090】
適切なラジカル光開始剤(e)は、当業者に知られており、幅広い種類が市販されており、そして多くの刊行物の主題となっている。その例は、カンファーキノン;ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4′−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3−メチル−4′−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4′−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;ケタール化合物、例えばベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651);アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン又はα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;ジアルコキシ−アセトフェノン、α−ヒドロキシ−もしくはα−アミノアセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチル−アミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチル−アミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチル−アミノプロパン)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)ブタノン−1;4−アロイル−1,3−ジオキソラン,ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えばジメチルベンジルケタール、フェニルグリコール酸エステル及びその誘導体、例えばオキソ−フェニル−酢酸 2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル、二量体フェニルグリコール酸エステル、例えばオキソ−フェニル−酢酸 1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);オキシムエステル、例えば1,2−オクタンジオン 1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンテン−2−カルボキサルデヒド 9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、パーエステル、例えばEP126541に開示されているようなベンゾフェノンテトラカルボン酸パーエステル、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、エチル(2,4,6トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;ビアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシ−フェニルホスフィンオキシド,トリアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば2−メルカプトベンズチアゾールと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール、フェロセニウム化合物、又はチタノセン、例えばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)−チタン(IRGACURE(登録商標)784)である。さらに、ボラート化合物を共開始剤として使用することもできる。
【0091】
DAROCUR(登録商標)及びIRGACURE(登録商標)化合物は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能である。
【0092】
熱硬化性配合物(d)は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミンを含むアミノ樹脂、シリコン及びポリウレタン、そしてそれらの混合物を含む。好ましくは、低い酸価(<15mg KOH/g)を有するアクリル系熱硬化性樹脂が用いられる。
【0093】
場合により、酢酸ブチル、ブタノール、イソブタノール又は例えばExxon Mobile Chemical により製造されているSolvesso 150のような芳香族炭化水素等の溶媒が存在してもよい。場合により、流れ向上剤が存在してもよい。
【0094】
アルキド樹脂は、好ましくは長油性アルキド樹脂であり、乾燥剤を含有してもよい。さらに、抗皮膜剤及び不活性溶媒、例えば共にExxonの市販製品であるExxol又はVarsolのような石油留分、さもなければ他の不活性炭化水素。樹脂系全体の酸価は、15mg KOH/gより低くあるべきである。
【0095】
アルキド樹脂は、多塩基酸を多価アルコールとエステル化させて、熱硬化性ヒドロキシカルボン酸樹脂を得ることにより調製される。アルキド樹脂のための最も一般的な多価アルコールは、グリセロール及びペンタエリスリトールである。ソルビトール及びジエチレングリコールのようなポリオールを使用してもよい。アルキド樹脂のための最も重要な多塩基酸は、フタル酸及びイソフタル酸である。特別な特性を付与するためにアルキド樹脂中で用いられる他の二塩基酸は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水テトラクロロフタル酸及び無水クロレンド酸である。アルキド樹脂が2〜15の酸価を有したとしても、アルキド樹脂中の酸部位は不活性であり、言い換えれば着色剤をアルキド樹脂と混合しても発色しない。
【0096】
熱硬化性配合物(d)は、場合により当技術において既知である熱開始剤(f)、例えばアゾ化合物、例としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタザジエンあるいはパーオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシド又はペルオキシカーボネート、例としてEP245639に記載されているようなt−ブチルヒドロペルオキシドを含む。
【0097】
成分(d)として適切な具体的なバインダーの例は、
1.低温もしくは熱架橋性の、アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ、尿素樹脂又はメラミン樹脂あるいはそのような樹脂の混合物をベースとし、硬化触媒を添加されているか、あるいはされていない塗料;
2.ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした二成分系ポリウレタン塗料;
3.チオール含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした二成分系ポリウレタン塗料;
4.焼付けの過程で非ブロック化されるブロックイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした一成分系ポリウレタン塗料であって、適切である場合にはメラミン樹脂が添加されていてもよい塗料;
5.脂肪族もしくは芳香族ウレタン又はポリウレタン及びヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂をベースにした一成分系ポリウレタン塗料;
6.ウレタン骨格にフリーのアミン基を有する、脂肪族もしくは芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂をベースにした一成分系ポリウレタン塗料であって、硬化触媒を添加されているか、あるいはされていない塗料;
7.(ポリ)ケチミン及び脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした二成分系塗料;
8.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂あるいはメタクリルアミドグリコレートメチルエステルをベースにした二成分系塗料;
9.カルボキシル−もしくはアミノ−含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースにした二成分系塗料;
10.無水物基を含有するアクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分をベースにした二成分系塗料;
11.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドをベースにした二成分系塗料;
12.(ポリ)オキサゾロン及び無水物基を含むアクリレート樹脂又は不飽和なアクリレート樹脂、あるいは脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした二成分系塗料;
13.不飽和なポリアクリレート及びポリマロネートをベースにした二成分系塗料;
14.エーテル化されたメラミン樹脂と組み合わせた、熱可塑性アクリレート樹脂又は外部架橋性アクリレート樹脂をベースにした熱可塑性ポリアクリレート塗料;
15.シロキサン又はフルオロで修飾されたアクリレート樹脂をベースにした塗料;
16.マロネートでブロックされたイソシアネートと、架橋剤(酸で触媒される)としてのメラミン樹脂(例えばヘキサメトキシメチルメラミン)をベースにした塗料、特にはクリヤー塗料;
17.オリゴマーのウレタンアクリレート及び/又はアシル化アクリレートをベースにしたUV硬化系であって、場合により他のオリゴマー又はモノマーを添加している系;
18.最初に熱により、次にUVにより硬化させるか、あるいはその逆で硬化させる二元硬化系であって、塗料組成物の成分は、UV光及び光開始剤及び/又は電子線により反応させられる二重結合を含む系;
19.(メタ)クリロイル基及びフリーのイソシアネート基を含むウレタン(メタ)クリレート及び一種類以上のイソシアネート−反応性化合物、例えばエステル化されていないか、エステル化されているポリオールをベースにした塗料系。そのような系は、例えばEP928800中に公表されている。
【0098】
さらに適切なものは、シロキサンをベースにしたコーティングである。そのようなコーティングは、例えばWO98/56852、WO98/56853、DE2914427及びDE4338361に記載されている。
【0099】
成分(a)酸に反応する着色剤及び(b)光潜在性の酸の比は、例えば約0.001:1〜1:0.001であり、好ましくは0.01:1〜1:0.01である。
【0100】
上記に記載した組成物であって、エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物(c)あるいは熱硬化性樹脂(d)と混ぜられた組成物もまた、興味深い。
【0101】
本発明の主題は、上記に定義した組成物であって、熱硬化性樹脂(d)及び熱開始剤(f)と混ぜられた組成物と同様に、上記に定義した組成物であって、エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物(c)及び光開始剤(e)と混ぜられた組成物でもある。
【0102】
組成物中の着色剤の量は、組成物の全重量に対して通常約0.001〜99.999%の範囲にあり、例えば0.001〜10重量%、最も好ましくは0.01〜5重量%である。
【0103】
組成物中の光潜在性の酸の量は、組成物の全重量に対して通常約0.001〜99.999%の範囲にあり、例えば0.001〜10重量%、最も好ましくは0.01〜5重量%である。
【0104】
本発明は、コーティングの色強度を測定し、照射されていない状態から照射された状態への被覆された基材の色の変化によって照射線量について直接的な相関を与え、被覆された基材により吸収された照射線量を判定する方法にも関係し、コーティングが、上記に定義した組成物を含むことを特徴とする。
【0105】
したがって、上記に記載した組成物、すなわち(a)酸に反応する着色剤及び(b)光潜在性の酸を含む組成物を、照射線量の判定のために使用することも、本発明の主題である。
【0106】
したがって、上記に記載した(a)酸に反応する着色剤及び(b)光潜在性の酸を含む組成物を、上記に記載した成分(c)及び場合により(e)と混ぜることにより、コーティング組成物を作製した。次にこのコーティングを基材に塗布し、照射に付した。照射の前後における色の違いを、一般的な色測定方法により判定した。この違いが、基材に当ったエネルギー線量に対して直接的な相関を与える。
【0107】
言い換えると、本発明の組成物を、所定のエネルギー線量で所定の時間照射し、色の変化を測定した。測定された色の変化と適用されたエネルギー線量との間の関係より、基材に適用された対応するエネルギー線量を判定することができる。
【0108】
したがって、本発明の被覆された基材により吸収された照射線量を判定する方法は、以下:
1.(a)酸に反応する着色剤、
(b)上記に定義した光潜在性の酸、
(c)エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物、及び場合により
(e)ラジカル光開始剤
を含む組成物を調製し;
2.前記組成物を基材に塗布し;
3.被覆された基材を、定義されたエネルギーの放射線に定義された時間曝露し;
4.コーティングの色の変化を測定する
ことを含む。
【0109】
特には、前記方法は、以下:
1.(a)酸に反応する着色剤、
(b)上記に定義した光潜在性の酸、
(c)エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物、及び場合により
(e)ラジカル光開始剤
を含む組成物を調製し;
2.前記組成物を基材に塗布し;
3.被覆された基材を、定義されたエネルギーの放射線に定義された時間曝露し;
4.コーティングの色の変化を測定し;
5.ステップ2〜4を、異なる照射線量と時間において繰り返し、照射線量と色の変化の程度との間の相関を判定し;そして
6.測定された色の変化を、ステップ5において得られた照射線量/色相関と比較することにより、ステップ1〜2に従って調製されたサンプルに適用された未知の照射線量を判定する
ことを含む。
【0110】
上記に記載した方法中の成分(c)及び(e)は、場合により上記に記載した成分(d)及び(f)により置き換えられる。
【0111】
したがって、本発明の主題は、
被覆された基材により吸収された照射線量を判定する方法であって、以下:
1.(a)酸に反応する着色剤、
(b)上記に定義した光潜在性の酸、
(d)熱硬化性配合物、そして場合により
(f)熱開始剤
を含む組成物を調製し;
2.前記組成物を基材に塗布し;
3.被覆された基材を、定義されたエネルギーの放射線に定義された時間曝露し;
4.コーティングの色の変化を測定する
ことを含むものでもある。
【0112】
特には、前記方法は、以下:
1.(a)酸に反応する着色剤、
(b)上記に定義した光潜在性の酸、
(d)熱硬化性配合物、そして場合により
(f)熱開始剤
を含む組成物を調製し;
2.前記組成物を基材に塗布し;
3.被覆された基材を、定義されたエネルギーの放射線に定義された時間曝露し;
4.コーティングの色の変化を測定し;
5.ステップ2〜4を、異なる照射線量と時間において繰り返し、照射線量と色の変化の程度との間の相関を判定し;そして
6.測定された色の変化を、ステップ5において得られた照射線量/色相関と比較することにより、ステップ1〜2に従って調製されたサンプルに適用された未知の照射線量を判定する
ことを含む。
【0113】
特に注意を引くのは、上記に記載した方法であって、ステップ3において用いられる放射線がプラズマ、とりわけプラズマ室中で発生されるプラズマである方法である。
【0114】
色の変化を判定するための色測定は、いかなる既知の再現性のある方法によるものであってもよい。好ましくは、DIN及びASTM測定方法が用いられる。
【0115】
その例には、ASTMD1925−70による「黄色度インデックス」(YI)測定及びCIELABシステムによる測定があるが、これらに限定されない。別の例には、DIN6174又はDIN6176による色の変化の測定がある。
【0116】
本発明の文脈においてその線量が判定される放射線は、例えば波長範囲が約150nm〜800nm、好ましくは200nm〜400nmであって、エネルギーが約1mJ/cm〜50J/cm、好ましくは1mJ/cm〜1J/cmであるUV線放射含み;例えばエネルギーが約0.1kGy〜1000kGy、とりわけ1kGy〜100kGyである電子線(EB)、並びにプラズマにより放出される放射線、すなわちプラズマガス室中等でプラズマガスにより放出されるUV線を含む。プラズマガス及びプラズマガス室は、例えばWO03/089479及びWO03/89155に記載されており、これらは引用により本明細書に組み込まれる。
【0117】
したがって注意を引くのは、上記に記載した方法であって、基材により吸収される放射線がUV放射線源、UVA蛍光灯、電子ビーム又はプラズマガスに由来するものである方法である。
【0118】
本発明の方法の実施態様の一つにおいて、色の変化が、無着色のコーティングから着色されたコーティングに展開する。
【0119】
本発明の方法の別の実施態様において、色の変化が、着色されたコーティングから退色した、あるいは無色のコーティングにまで展開する。
【0120】
本発明の組成物を塗布するのに適切な基材は、有機又は無機の基材である。被覆されるべき無機又は有機の基材は、いかなる固体形態であってもよい。基材は例えば、織物、繊維、フィルム又は三次元部品の形態である。基材は例えば、熱可塑性、エラストマー、本質的に架橋されているかもしくは架橋されているポリマー、金属、金属酸化物、セラミック材料、ガラス、紙、皮又は布地であり得る。好ましくは、基材は白色の基材である。上記に記載した、押し出された成分(h)である場合には、ポリマーフォイルは上述のいかなる基材に塗布してもよく、あるいは独立したフィルムとして使用される。
【0121】
組成物は、既知のコーティング技術によって基材に均一に塗布され、例えばスピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、はけ塗り、スプレー、例えば静電塗装もしくはエアースプレーによって、リバースロールコーティングによって、そして電気泳動析出によっても塗布される。組成物を一時的な柔軟性のある支持材に塗布し、その後に、その層をラミネーションにより転移させることによって最終基材、例えば三次元金属シートを被覆することも可能である。
【0122】
塗布された量(皮膜の厚さ)及び基材(層支持材)の性質は、所望される適用分野に依存する。皮膜の厚さの範囲は、通常約0.1μm〜200μmより大きい値を含み、例えば40μm又は0.02〜10μm、好ましくは1〜90μmである。
【0123】
エネルギー線量−インジケータストリップを製造するためには、成分(a)及び(b)を含む本発明の組成物を、例えば成分(d)及び場合により成分(f)と混合するか、あるいは成分(c)及び場合により成分(e)と混合して、例えばポリマーフィルムのような基材に塗布して、その後熱硬化させる。塗布された皮膜を有するフィルムは、UV線に対して感受性を有し、フィルムに当てられた照射線量は色の変化の度合いにより判定される。
【0124】
エネルギー線量−インジケータ組成物は、液体である必要は無い。成分(a)及び(b)は、例えばポリマーマトリックス中に埋め込まれていてもよい。
【0125】
本発明の主題はさらに、照射線量インジケータであって、
上記に定義した組成物、特には上記に記載した成分(a)及び(b)を含む組成物で被覆された基材を含むものである。
【0126】
注意を引くのは、照射線量インジケータであって、基材がポリマーフィルムであるものと同様に、照射線量インジケータであって、上記に定義した組成物により被覆された基材が透明なポリマーフィルムによりラミネートされた基材であるものである。
【0127】
成分(a)及び(b)又は成分(a)、(b)、(c);又は成分(a)、(b)、(c)及び(e);又は成分(a)、(b)及び(d);又は成分(a)、(b)、(d)及び(f);又は成分(a)、(b)、(h)は、例えばさらに添加剤(g)を含んでもよく、これは特にコーティング産業においては慣習となっている。
【0128】
更なる添加剤(g)の例は、熱阻害剤、静電防止剤、酸化防止剤、流れ向上剤、接着促進剤、蛍光増白剤、充填剤、湿潤剤、平滑化補助剤;暗所での保存における安定性を向上させるための安定化剤として、例えば銅化合物、りん化合物又は四級アンモニウム化合物、重合の間大気中酸素を排除するためのろう状物質、少量添加できる光安定剤はUV吸収剤であり、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニル−ベンゾフェノン、オキサラミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は個別に、あるいは混合物として用いることができ、立体障害のあるアミン(HALS)と共に、あるいはこれ無しで用いることができる。
【0129】
光重合を促進するためには、酸素捕捉剤、促進剤、共開始剤、自動酸化剤、連鎖移動剤、スペクトル感度をシフトさせるか、又は広くする光増感剤を添加することが可能である。
【0130】
本発明のエネルギー線量インジケータは、異なる態様において使用することができ、例えば三次元の基材に対する照射プロファイルを最適化するために使用できる。これは例えば、UVランプによるか、あるいはプラズマ室中で照射される対象物である。したがって、基材(前記対象物)は、UVインジケータマトリクスにより全面的に被覆されている。着色の違いは、三次元対象物の各平方mm上の基材に当るUV線量を表す。
【0131】
あるいは、UVインジケータは例えば、プロセス制御装置として使用できる。このためには、照射される基材上に小さな縞模様又は点が与えられる。エネルギー線量インジケータを介して、UV硬化性コーティングにより覆われた各対象物が同じ線量で照射されたことが監視される。
【0132】
例えば、前記UV硬化性コーティングは、ラッカー、例えば透明もしくは着色された印刷インキ、接着剤等である。
【0133】
さらに、インジケータは例えば太陽光インジケータとして使用することができ、例えば服、例えば水着にフォイルとして貼り付けることができる。インジケータが特定の色に達したら速やかに肌を覆って危険なUV光線の過剰の照射を避けるべきである。
【0134】
本発明のエネルギー線量インジケータの別の適用分野は、光もしくは他の種類の照射に敏感な食品又は医薬品の鮮度インジケータとしての使用である。
【0135】
装飾的及び画像化の用途も満たすことができる。
【0136】
インジケータは、例えば温室中での最適な植物成長のための一日当たりの光線量をモニターするため用いてもよい。
【0137】
さらに、電子ビームにより放出される線量の定量が可能である。
【0138】
特に注意を引くのは、本発明の組成物を放射線プロセス、例えばプラズマ表面処理におけるエネルギー線量の評価に使用することである。
【0139】
照射線量インジケータは、色と表面又はフィルムの特性との間の直接的な相関を構築するためにも用いることができる。
【0140】
本発明の組成物について考えられ得る適用及び方法の概要は、これに限られない−一般的に、本組成物及びプロセスは、照射された対象物の色の変化と、そのような色の変化を引き起こしたエネルギー線量との間にある直接的な相関を、あらゆる適用においても明らかにする。
【0141】
本発明の組成物及び方法によって強度が判定される放射線は、例えば約190nm〜800nmの紫外(UV)放射線であり、例えば190〜600nm(紫外線視覚領域を含む)である。UV放射線源は、例えば太陽光又は人工的な光源からの光である。その例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、低−、中−、高−及び超高圧水銀ランプであって、場合によっては金属ハロゲン化物でドープされており(金属−ハロゲンランプ)、マイクロ波−励起金属蒸気ランプ(microwave-stimulated metal vapour lamps)、エキシマーランプ、超化学線蛍光チューブ(superactinic fluorescent tubes)、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、電子発光、発光ダイオード(LED)、例えばUV発光ダイオード(UV−LED)、有機発光ダイオード(OLED)、写真用フラッドランプ(photographic flood lamps)、そして電子線及びX線である。さらに、放射されたエネルギー線量/レーザー光源から放出された放射強度、例えば157nmで暴露するFエキシマーレーザー、248nmで暴露するためのKrFエキシマーレーザー及び193nmで暴露するためのArFエキシマーレーザーのようなエキシマーレーザー又は可視領域で放射するレーザーが、本請求の方法及び組成物によって判定され得る。
【0142】
本発明の組成物は、良好な熱安定性を呈し、信頼性があり、かつ再現性のある結果をもたらすことにより異なる適用のための高い柔軟性を有する、かくして必要なプロセス安定性を提供する。
【0143】
以下に続く実施例は、本発明をより詳細に説明するものであるが、その範囲を前記実施例のみに限定するものではない。部及び百分率は、以降の説明及び請求項にあるように、他にことわりの無い限り重量によるものである。3個より多くの炭素原子を有するアルキルラジカルが実施例中で特定の異性体に言及することなく引用されている場合には、各場合においてn−異性体を意味している。
【0144】
以下の着色剤が実施例において使用される:
CL−1:ビスインドリルフタリド化合物
【0145】
【化14】

【0146】
CL−2:ジアミノフルオラン化合物
【0147】
【化15】

【0148】
PERGASCRIPT(登録商標)Green I-2GN、Ciba Specialty Chemicalsより提供。
【0149】
以下の光潜在性の酸が実施例において使用される:
【0150】
【化16】

【0151】
以下の配合物1〜7が実施例において使用される。
配合物1
18.700g ポリオール、イソシアネート及びアクリル酸エステルをベース
ポリマー、Laromer UA 9050 V、BASF AGより提供
0.410g 光開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパノン
1.030g 溶媒としての酢酸ブチル、Aldrichより提供
0.040g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
0.198g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.004g 光潜在性の酸としてのPLA−1
0.105g 光潜在性の酸としてのPLA−2
配合物2
18.700g ポリオール、イソシアネート及びアクリル酸エステルをベース
ポリマー、Laromer UA 9050 V、BASF AGより提供
0.410g 光開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキシド
1.030g 溶媒としての酢酸ブチル、Aldrichより提供
0.040g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
0.200g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.098g 光潜在性の酸としてのPLA−1
配合物3
18.700g ポリオール、イソシアネート及びアクリル酸エステルをベース
ポリマー、Laromer UA 9050 V、BASF AGより提供
0.410g 光開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキシド
1.030g 溶媒としての酢酸ブチル、Aldrichより提供
0.040g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
0.198g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.200g 光潜在性の酸としてのPLA−1
0.200g 光潜在性の酸としてのPLA−2
配合物4
9.35g ポリオール、イソシアネート及びアクリル酸エステルをベース
ポリマー、Laromer UA 9050 V、BASF AGより提供
0.20g 光開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキシド
0.50g 溶媒としての酢酸ブチル、Aldrichより提供
0.02g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
0.10g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.10g 光潜在性の酸としてのPLA−2
配合物5
18.700g ポリオール、イソシアネート及びアクリル酸エステルをベース
ポリマー、Laromer UA 9050 V、BASF AGより提供
0.410g 光開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキシド
1.030g 溶媒としての酢酸ブチル、Aldrichより提供
0.040g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
0.198g 潜在的着色剤としてのCL−2
0.100g 光潜在性の酸としてのPLA−2
配合物6
成分A: 73.00g 酢酸ブチル中の70%ヒドロキシ担持ポリアクリレート
Desmophen A VP LS 2350、Bayer AGより提供
00.70g 酢酸ブチル中の10%添加剤、Byk 333、Bykより提供
00.90g 50%供給形態の添加剤、Byk 355、Bykより提供
00.70g 4%供給形態の添加剤、Byk 141、Bykより提供
24.70g 溶媒としてのキシレン/メトキシプロピルアセテート/
酢酸ブチル 1:1:1
1.0g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.50g 光潜在性の酸としてのPLA−3
87.0g 成分A
11.5g 脂肪族ポリイソシアネート(HDI三量体)、Desmodur(登録商標) N 3390、Bayer AGより提供
配合物7
成分A: 6.0g 潜在的着色剤としてのCL−1
0.1g 光潜在性の酸としてのPLA−1
3.0g 光潜在性の酸としてのPLA−2
90.9g モノマー、ヘキサンジオールジアクリレート(HDAA)、
BASF AGより提供
13.0g 成分A
1.6g 光開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホ
スフィンオキシド
0.2g 平滑化剤、Byk 306、Bykより提供
8.7g 6官能性脂肪族ウレタンアクリレート、Ebecryl 1290、Cytecより提

50.4g ウレタン−アクリレートリゴマー、Ebecryl 4858、Cytecより提供
26.1g 溶媒としての酢酸ブチル:キシロール(7:3)
【0152】
実施例1:プラズマ照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物1を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたプレートをプラズマ室に導入した。プラズマ室内の圧力を0.02mbarまで下げ、空隙を窒素(ガス流量=30sccm)とヘリウム(ガス流量=24sccm)の混合物で満たして0.05mmbarの圧力に達しさせた。800Wのマイクロ波出力を付与してプラズマを誘起し、マイクロ波発生器の出力を固定して期待される強度である1.6mJ/cmに達しさせた。全プロセス時間(すなわち照射時間)は、20秒であった。実験を異なるプロセス持続時間で繰り返した。硬化したフィルムの色を、ミノルタ分光光度計CM−3600dにソフトウェア(CGREC、Ciba Specialty Chemicalsにより開発)を組み合わせたものにより測定した。前記測定において、DIN6174法にしたがって比色分析によりaを測定した。プロセス持続時間及び照射線量に対する色の依存性を表1に示した。所与のプラズマ照射時間における発色の温度依存性を表2に示した。室温又は140℃のいずれにおいて照射を行っても、同様な色値が得られた。暗所及び日光の下で保管されたフィルムに関して、照射の後の色安定性を表3に示した。フィルムは日光に対してわずかに敏感であるが、暗所においては安定である。
【0153】
【表1】

【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
配合物1を用い、異なるフィルム厚さにおける発色を行った。表4に、25、40及び55μmの厚さのフィルムを用いて得られた結果を示す。
【0157】
【表4】

【0158】
同様の試験を配合物2について行った:表5は、照射時間に対する色の依存性を示している。配合物2は、少ないプラズマ線量に非常に適している。
【0159】
【表5】

【0160】
実施例2:UVランプ照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物3を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたプレートを異なるUV線量で暴露した。表6は、異なる照射条件の下で測定された色値をまとめたものである。
【0161】
【表6】

【0162】
実施例3:電子線照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物4を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたプレートを異なる電子線量で暴露した。表7は、EB線量の関数としての発色を示している。
【0163】
【表7】

【0164】
実施例4:プラズマ照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物5を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたサンプルをプラズマにより異なる時間暴露した。結果を表8にまとめた。
【0165】
【表8】

【0166】
実施例5:プラズマ照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物6を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたプレートを130℃で15分間加熱し、室温まで冷却した後にプラズマ室に導入した。プラズマ室内の圧力を0.02mbarまで下げ、空隙を窒素(ガス流量=30sccm)とヘリウム(ガス流量=24sccm)の混合物で満たして0.05mmbarの圧力に達しさせた。800Wのマイクロ波出力を付与してプラズマを誘起し、マイクロ波発生器の出力を固定して期待される強度に達しさせた。実験を異なるプロセス持続時間で繰り返した。硬化したフィルムの色を、ミノルタ分光光度計CM−3600dにCGRECソフトウェアを組み合わせたものにより測定した。プロセス持続時間及び照射線量に対する色の依存性を表9に示した。
【0167】
【表9】

【0168】
実施例6:UVランプ照射
ワイヤーワウンドバーコーターによって、配合物7を白色コイル皮膜上に塗布し、40μmの乾燥フィルム厚さを得た。被覆されたプレートを60℃で10分間乾燥し、そして室温で一回、異なるベルト速度における二つの中圧水銀ランプ(それぞれ80W/cm)の連携を使用して照射した。硬化したフィルムの色を、ミノルタ分光光度計CM−3600dにCGRECソフトウェアを組み合わせたものにより測定した。暴露条件に対する色の依存性を表10に示した。
【0169】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収された照射線量に応じて色の変化を示す組成物であって、
(a)酸に反応する着色剤;
(b)光潜在性の酸;
を含み、
(b)がスルホニルオキシムエステル化合物であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
光潜在性の着色剤(a)が、スピロピラン、スピロオキサジン、ナフトピラン及びラクトンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
光潜在性の酸としての(b)が、式IIa、IIb又はIIc:
【化17】


[式中、
20は、
【化18】


、(CO)O−C〜C20アルキル、CN又はC〜C20ハロアルキルであり;
21は、R20に対して与えられた定義のうちの一つを有するか、あるいは
【化19】


であり;
22は、C〜C20アルキル、C〜C20ハロアルキル、カンフォリル、フェニル−C〜Cアルキル、C〜C30シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリルであり、基シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル及びフェントリルは無置換であるか、あるいは1個以上のハロゲン、C〜C12ハロアルキル、CN、NO、C〜C20アルキル、フェニル、C〜C12アルキルチオ、C〜C12アルコキシ、フェノキシ、C〜C12アルキル−O(CO)−、C〜C12アルキル−(CO)O−、R24OSO−及び/又は−NR2526で置換されており;
uは、0又は1であり;
vは、2〜6の整数、好ましくは3であり;
23は、C〜C20アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、カンフォリル、無置換のフェニル又は1個以上のハロゲン、C〜C12アルキル、OR27、SR27もしくはNR2526により置換されたフェニルであり;
24は、水素、C〜C20アルキル、フェニル又はC〜C20アルキルにより置換されたフェニルであり;
25及びR26は、互いに独立に水素、C〜C20アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキルであるか、あるいはR25とR26は、それらが結合するN原子と一緒になって、5−もしくは6−員環を形成し、これは場合により1個以上のO又はNR28を含み;
27は、C〜C20アルキル、フェニル、フェニル−C〜Cアルキル又はC〜C12ヒドロキシアルキルであり;そして
28は、水素、フェニル、フェニル−C〜Cアルキル、C〜C20アルキル又はC〜C12ヒドロキシアルキルである]
で示されるスルホニルオキシムエステル化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物(c)あるいは熱硬化性樹脂(d)と混ぜられた、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
エチレン性不飽和単量体、オリゴマー、及び/又はポリマー化合物(c)あるいは光開始剤(e)と混ぜられた、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
熱硬化性樹脂(d)及び熱開始剤(f)と混ぜられた、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
コーティングの色強度を測定し、照射されていない状態から照射された状態への被覆された基材の色の変化によって照射線量について直接的な相関を与え、被覆された基材により吸収された照射線量を判定する方法であって、コーティングが、請求項1に定義した組成物を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
基材により吸収された放射線がUV放射線源、UVA蛍光灯、電子線又はプラズマガスに由来するものである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
色の変化が、無着色のコーティングから着色されたコーティングに展開する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
色の変化が、着色されたコーティングから退色した、あるいは無色のコーティングにまで展開する、請求項7記載の方法。
【請求項11】
照射線量を判定するための、請求項1記載の組成物の使用。
【請求項12】
請求項1に定義される組成物により被覆された基材を含む、照射線量インジケータ。
【請求項13】
基材がポリマーフィルムである、請求項12記載の照射線量インジケータ。
【請求項14】
請求項1に定義される組成物により被覆された基材が透明なポリマーフィルムによりラミネートされている、請求項12記載の照射線量インジケータ。
【請求項15】
(h)フォイルを製造するのに適切なポリマーと混ぜられた、請求項1記載の組成物。

【公表番号】特表2010−501655(P2010−501655A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525024(P2009−525024)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058422
【国際公開番号】WO2008/022952
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】