説明

Web状態監視システム及びWebサーバ

【課題】ポーリング周期の調整作業の手間を軽減しつつ、監視対象の状態変化をWebページに適切に表示することを可能にする。
【解決手段】監視対象の状態変化を表示したWebページをWebサーバ4で作成し、Webページをクライアント端末2にダウンロードして閲覧するWeb状態監視システム1であって、Webサーバ4は、監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段52と、変化計測手段52で計測した間隔に基づき、クライアント端末2からWebサーバ4に向けてのHTTPリクエストの送信周期を決定する更新周期算出手段55と、更新周期算出手段55によって決定した送信周期をクライアント端末2に伝達するHTTP応答送信手段47とを備えるWeb状態監視システム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象の状態変化を監視するためのWeb状態監視システム、及びそれに用いるWebサーバに関し、特に、ユーザが指定した監視対象の状態をWebブラウザを通じて把握することが可能なシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの企業において、社内イントラネットを利用したWebアプリケーションにより、情報の共有化及び作業の効率化が図られている。Webアプリケーションは、それを利用する端末にWebブラウザと呼ばれるWebページ閲覧用プログラムがインストールされていれば、誰でも利用できるという利点がある。
【0003】
図8は、上記のようなWebシステムの一般的な構成を示すブロック図であり、このシステム80は、複数のクライアント端末81と、Webサーバ82と、それらの間を接続するネットワーク83により構成される。Webシステム80において、各クライアント端末81には、クライアント端末81上で動作するWebブラウザ84が搭載され、また、Webサーバ82には、Webサーバ82上で動作するWebアプリケーション85と、Webアプリケーション85で使用するデータを格納するデータベース86とが搭載される。
【0004】
Webブラウザ84とWebサーバ82との間においては、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)と呼ばれる周知のプロトコルで通信が行われ、HTTPメッセージを授受することにより情報が相互に伝達される。ここで、クライアント端末81からWebサーバ82へのメッセージは、HTTPリクエストと呼ばれ、一方、Webサーバ82からクライアント端末81へのメッセージは、HTTPレスポンスと呼ばれる。
【0005】
また、Webページは、通常、HTML(Hypertext Markup Language)で記述されており、HTTPレスポンスとしてWebサーバ82から返送される。クライアント端末81のWebブラウザ84は、受信したHTMLを解釈してWebページを表示する。
【0006】
次に、Webシステム80でのWebページの表示手順について説明する。
【0007】
先ず、ユーザがクライアント端末81上でWebブラウザ84を起動し、利用するシステムを示すURLを入力する。Webブラウザ84は、入力されたURLを含むHTTPリクエストを、ネットワーク83を介してWebサーバ82へ送出する。Webサーバ82では、そのHTTPリクエストを受信すると、要求されたWebページを検索し、必要であれば、データベース86より情報を取得し、HTMLファイルを作成する。
【0008】
こうして作成されたHTMLファイルは、HTTPレスポンスとして、ネットワーク83上に送出される。その後、Webサーバ82からのHTTPレスポンスをクライアント端末81が受信すると、Webブラウザ84がHTMLファイルを解析し、これによって、クライアント端末81上に所望のWebページが表示される。
【0009】
上記のとおり、Webページを表示するにあたって、Webサーバ82は、HTTPリクエストというWebページの要求を受けた後に、その要求に対してHTTPレスポンスで応答するという動作を行うことになる。従って、クライアント端末81上のWebブラウザ84に表示中のWebページに関して、Webサーバ82が内容を変更したとしても、クライアント端末81のWebブラウザ84に対し、Webサーバ82側から自発的に変更を通知することができない。
【0010】
このため、最新のWebページを表示したい場合には、通常、ユーザが手動操作をすることにより、Webブラウザ84を介してHTTPリクエストをWebサーバ82へ送信し、Webサーバ82からHTTPレスポンスとして最新のWebページを受け取り、新規に表示せざるを得ない。
【0011】
そこで、クライアント端末81に表示されるWebページを自動的に最新の状態にすべく、クライアント端末81からWebサーバ82へ定期的にHTTPリクエストを送出することで、Webサーバ82から更新後のWebページを適宜に取得するWebシステムが提案されている。このシステムでは、予め、表示内容の自動更新を希望するWebページ内にタイマを設定し、そのタイマのタイムアウト時にWebページをWebサーバ82へ要求するプログラムコードを埋め込んでおく。このとき、タイマは、表示を更新したい周期でタイムアウトするように設定する。
【0012】
こうした構成の下、クライアント端末81のWebブラウザ84は、Webサーバ82からHTTPレスポンスとしてWebページを受信すると、プログラムコードを解釈し、Webページを表示するとともに、タイマを起動させる。そして、タイマがタイムアウトした段階で、Webブラウザ84内のWebページを要求するプログラムコードを実行し、HTTPリクエストをWebサーバ82へ自動送信する。この動作を繰り返すことにより、Webページに関する情報を定期的にWebサーバ82から受け取ることが可能になり、クライアント端末81に最新のWebページを表示することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
近年、上記のWebシステムを利用し、監視対象(例えば、通信回線)の状態をWebページ上に表示し、それをクライアント端末81で閲覧しながら、監視対象の状態を監視するWeb状態監視システムが実用化されている。このWeb状態監視システムは、監視対象の状態を表示するWebページをWebサーバ82で作成し、それをクライアント端末81にダウンロードして表示するように構成される。
【0014】
しかし、従来のWebシステムにおいては、不要なネットワークトラフィックやWebサーバ82の負荷が増大する危険性を避けるため、Webページの自動更新周期(ポーリング周期)を無制限に短く設定することができない。このため、ある程度の間隔を有する固定周期に設定せざるを得ず、その結果、Webページの表示内容を監視対象の状態変化に追従させることが困難となり、状態変化の表示漏れが発生するという問題がある。
【0015】
また、上記のWebシステムにおいては、監視対象の状態変化の度合いをある程度予測し、その上で、監視対象に適したポーリング周期を予め設定する必要があるが、監視対象の状態変化の頻度を予測できない場合や、監視対象が不規則な変化を繰り返す場合は、トライ&エラーを繰り返しながら幾度も調整作業を行わざるを得ず、ポーリング周期の設定に非常に手間がかかるという問題もある。
【0016】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、ポーリング周期の調整作業の手間を軽減しつつ、監視対象の状態変化をWebページに適切に表示することが可能なWeb状態監視ステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、監視対象の状態変化を表示したWebページをWebサーバで作成し、該Webページをクライアント端末にダウンロードして閲覧するWeb状態監視システムであって、前記Webサーバは、前記監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段と、該変化計測手段で計測した間隔に基づいて前記クライアント端末から該Webサーバに向けての要求信号の送信周期を決定する送信周期決定手段と、該送信周期決定手段によって決定した送信周期を前記クライアント端末に伝達する送信周期伝達手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
そして、本発明によれば、監視対象の状態が変化する間隔を計測した上で、クライアント端末からの要求信号の送信周期を決定するため、実際の状態変化の状況に応じた送信周期を決定することができる。このため、煩雑な調整作業を繰り返さなくても、適切な送信周期を設定することができ、ポーリング周期の設定に伴う手間を軽減することが可能になる。
【0019】
また、上記のようにして決定した送信周期をクライアント端末に伝達することで、クライアント端末からWebサーバに対して、監視対象の状態変化の状況に適した周期(間隔)で自動的に要求信号が送信されるようになる。これにより、監視対象の状態変化を適切な間隔でクライアント端末にダウンロードし得るようになり、Webページ上に表示される監視対象の状態変化を好適に更新することが可能になる。
【0020】
前記Web状態監視システムにおいて、前記変化計測手段が、所定期間単位で区切りながら前記間隔の計測処理を行うとともに、1つの該所定期間において、複数の前記間隔を計測したときに該複数の間隔のうちの最小間隔を導き出し、前記送信周期決定手段が、前記変化計測手段によって導き出される前記最小間隔に基づいて前記要求信号の送信周期を決定することができる。これによれば、状態変化の最小間隔に合わせて要求信号の送信周期を決定するため、状態変化の状況により即した送信周期を決定することができ、状態変化の表示漏れが発生する頻度を大幅に低減することが可能になる。
【0021】
前記Web状態監視システムにおいて、複数の前記監視対象をグループ化し、前記変化計測手段が、同一グループ内で前記最小間隔を導き出し、前記送信周期決定手段が、グループ単位で前記要求信号の送信周期を決定することができる。これによれば、数多くの監視対象が存在する場合でも、グループ単位で処理を行えば足りるようになるため、Webサーバの負荷を軽減したり、処理の高速化を図ることが可能になる。
【0022】
また、本発明は、監視対象の状態変化を表示したWebページを作成し、該Webページをクライアント端末上に表示させるWebサーバであって、前記監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段と、該変化計測手段で計測した間隔に基づいて前記クライアント端末から該Webサーバに向けての要求信号の送信周期を決定する送信周期決定手段と、該送信周期決定手段によって決定した送信周期を前記クライアント端末に伝達する送信周期伝達手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、ポーリング周期の調整作業の手間を軽減しつつ、監視対象の状態変化をWebページに適切に表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかるWeb状態監視システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の状態情報格納部、変化情報格納部及びセッション情報格納部のデータ構成を示す図である。
【図3】状態記録処理時のWebサーバの動作を示すフローチャートである。
【図4】回線状況受信時の動作を示す図である。
【図5】更新周期設定処理時のWebサーバの動作を示すフローチャートである。
【図6】図1のWeb状態監視システムを回線状況の監視に適用した場合のシステム構成を示す図である。
【図7】図6のシステムでのWebページの一例を示す図である。
【図8】従来のWebシステムを示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明にかかるWeb状態監視システムの一実施の形態を示し、このシステム1は、ネットワーク(不図示)を介して相互に接続されたクライアント端末2及びWebサーバ4と、監視対象(不図示)の状態変化をWebサーバ4に通知する監視装置6とで構成される。尚、図1においては、クライアント端末2及び監視装置6を1台のみ図示するが、これらの装置は、複数台設置される。
【0027】
クライアント端末2は、Webページを閲覧可能なWebブラウザ21を備える。Webブラウザ21には、Webサーバ4へHTTPリクエストを送信するHTTP要求送信手段22と、Webサーバ4からのHTTPレスポンスを受信するHTTP応答受信手段23とが設けられる。また、Webブラウザ21は、ユーザが監視対象の状態を参照したい場合に、HTTP要求送信手段22を通じてWebサーバ4へ対象表示用ページ24を要求し、HTTP応答受信手段23を通じて対象表示用ページ24をダウンロードするように構成される。
【0028】
この対象表示用ページ24には、表示更新タイマ1〜nを生成するタイマ生成手段25と、生成された表示更新タイマ1〜nの集まりを示す表示更新タイマ群26と、表示更新タイマ1〜nのタイムアウトに応答してWebサーバ4へ監視対象の状態を要求する状態要求手段27と、Webサーバ4から監視対象の状態を受信する状態受信手段28と、受信した監視対象の状態を直前まで表示した状態と比較し、Webブラウザ21内の状態表示を更新する状態表示手段29とが含まれる。ここで、表示更新タイマ1〜nは、後述する監視対象のグループ数と同数が生成される。
【0029】
Webサーバ4は、クライアント端末2との通信処理を制御するWebサーバプログラム41と、監視対象の状態が変化する間隔を記録するとともに、記録した状態変化の間隔に合わせてWebページの更新周期を決定する状態変化処理部42とを備える。
【0030】
Webサーバプログラム41は、例えば、IIS(Internet Information Service)やApacheのような一般的なWebサーバプログラムであり、また、CGI(Common Gateway Interface)、ASP(Active Server Page)等のように外部のプログラムを実行する機能を有する。このWebサーバプログラム41は、クライアント端末2からのHTTPリクエストを受信するHTTP要求受信手段43と、状態取得用ページ44や対象表示用ページ45を生成してHTML変換するWebページ生成手段46と、作成されたHTMLをHTTPレスポンスとしてクライアント端末2へ送信するHTTP応答送信手段47とを備える。
【0031】
尚、Webページ生成手段46が作成する対象表示用ページ45は、クライアント端末2の対象表示用ページ24と同様のものであり、すなわち、クライアント端末2の対象表示用ページ24は、Webサーバ4のWebページ生成手段46で作成した対象表示用ページ45のファイル(HTMLファイル等)をクライアント端末2がダウンロードし、Webブラウザ21を通じてメモリ(不図示)上に展開したものである。
【0032】
状態変化処理部42は、監視装置6から通知される監視対象の状態を受信する状態変化受信手段49と、受信した状態を格納する状態情報格納部50と、状態情報格納部50に格納された情報を取り出す状態取得手段51と、監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段52と、変化計測手段52での計測処理を所定期間毎に区切るための変化計測タイマ53と、変化計測手段52の計測結果を格納する変化情報格納部54と、変化情報格納部54内の情報に基づいてWebページの更新周期を算出する更新周期算出手段55と、クライアント端末2から監視対象として設定される監視対象グループをセッション情報として蓄積するセッション情報格納部56と、セッション情報格納部56にセッション情報を登録するセッション登録手段57とを備える。
【0033】
各情報格納部50、54、56のうち、状態情報格納部50には、図2(a)に示すように、監視対象が属するグループを示す「グループ情報」と、個々の監視対象を識別するための「識別子情報」と、監視対象の状態を示す「状態情報」と、監視対象の状態変化を最後に検出した日時を示す「最終更新日時情報」とが格納される。
【0034】
また、変化情報格納部54には、図2(b)に示すように、「グループ情報」と、直前の計測期間で計測された状態変化間隔の最小値を示す「前回最小間隔情報」と、今回の計測期間で計測された状態変化間隔の最小値を示す「今回最小間隔情報」とが格納される。
【0035】
さらに、セッション情報格納部56には、図2(c)に示すように、セッション情報を識別するための「セッション識別子」と、セッション毎に割り当てる回線グループを示す「グループ情報」と、各グループの更新周期を示す「更新周期情報」とが格納される。尚、図2(c)では、セッション識別子としてIPアドレスを例示している。
【0036】
次に、上記構成を有するWeb状態監視システム1の動作について説明する。
【0037】
Web状態監視システム1が実行する処理は、監視対象の状態変化を示す情報を監視装置6からリアルタイムに受信し、監視対象の状態変化を刻々と記録する「状態記録処理」と、記録した状態変化に基づいて最適なHTTPリクエストの要求周期を決定し、決定した周期をクライアント端末2に設定する「更新周期設定処理」との2つの処理に大別される。そこで、ここでは、先ず、前者の「状態記録処理」について、図2〜図4を中心に参照しながら説明する。
【0038】
監視装置6において、監視対象の状態変化(例えば、回線変化)が検出されると、その旨を示す情報が通信回線を通じてWebサーバ4へ通知され、Webサーバ4の状態変化受信手段49に伝達される。次いで、状態変化受信手段49において、状態情報格納部50から「最終更新日時情報」(図2(a)参照)を取り出し、直前の監視対象の状態更新日時として保持する。
【0039】
次に、図3に示すように、状態変化受信手段49において、受信した監視対象の状態(例えば、「正常」、「異常」)と、監視対象の状態を受信した日時とを識別し、各々、「状態情報」、「最終更新日時情報」(図2(a)参照)として状態情報格納部50に格納する(ステップA1)。それと同時に、変化計測手段52において、状態変化受信手段49で保持する直前の状態更新日時と監視対象の状態の受信日時とから状態変化の間隔を算出し、変化情報格納部54へ格納する。尚、変化計測手段52での変化間隔の具体的な計測手法については、後に詳述する。
【0040】
続いて、状態変化のあった監視対象の所属するグループの表示更新周期を算出し(ステップA2)、その後、算出した表示更新周期を「更新周期情報」(図2(c)参照)としてセッション情報格納部56に格納する(ステップA3)。
【0041】
次に、変化計測手段52での変化間隔の計測方法について、図2及び図4を参照しながら具体例を挙げて説明する。尚、図4は、複数の電話回線を監視対象とした場合を例にとって、各回線の状況が変化したときの変化間隔の算出方法(状態変化量の計測方法)につき、時間経過の順を追って説明したものであり、図4(a)〜(f)の各図においては、横軸を時間経過として縦軸方向の変化で各回線毎の回線状況を表している。
【0042】
また、図4において、「基準点」とは、変化計測タイマ53のタイムアウト発生時のタイミングを示すものであり、ここでは、変化計測タイマ53のタイムアウト値(監視対象の状態変化量の予測値に応じて予め設定される)を60秒に設定するものとする。さらに、同図中の回線A、Bは、同一の監視グループに属するものとする。
【0043】
先ず、図4(a)の場合を例にとると、システム起動直後から回線状況変化を受信するまで、又は、変化計測タイマ53のタイムアウトが発生するまでの間は、回線状況の変化間隔(始点と終点)を特定することができないため、変化間隔は不明として扱う。また、ある回線グループに対して計測期間の回線変化がない場合も同様に、回線状況の変化間隔は不明として扱う。
【0044】
システム起動後、ある回線の回線状況変化が発生(図4(a)の場合では、回線Aが「空き」の状態から「使用中」の状態に変化)するが、この時点では、直前の状況変化(「空き」の前の状態変化)の発生日時が不明であるため、回線状況の変化間隔の最小値は、不明なままとして扱う。その後、図4(b)に示すように、回線状況の更なる変化(回線Aが「使用中」の状態から「空き」の状態に復帰)が生じると、変化計測手段52において、そのタイミングで回線状況の変化間隔を算出する(図4(b)の場合は、「15秒」)。但し、この時点では、変化計測タイマ53がタイムアウトしていないため、算出した間隔を暫定的な値として、変化情報格納部54の「今回最小間隔情報」(図2(b)参照)に格納する。
【0045】
次いで、図4(c)に示すように、変化計測タイマ53がタイムアウトすると、変化計測手段52において、基準点を設定し直すとともに、変化情報格納部54において、確定した「今回最小間隔情報」の値(15秒)を、「前回最小間隔情報」(図2(b)参照)側に書き換える。尚、値(15秒)を「前回最小間隔情報」として書き換えた際、「今回最小間隔情報」には「不明」を設定する。
【0046】
その後、図4(d)に示すように、基準点から変化計測タイマ53がタイムアウトするまでの間において、例えば、回線B側に20秒、10秒を変化間隔とする変化が生じた場合には、短い側の10秒を「今回最小間隔情報」として変化情報格納部54に格納する。
【0047】
更なる後、図4(e)に示すように、変化計測タイマ53がタイムアウトすると、図4(c)の場合と同様に、変化情報格納部54において、「今回最小間隔情報」の値(10秒)を「前回最小間隔情報」側に書き換え、また、「今回最小間隔情報」には「不明」を設定する。尚、図4(e)の場合には、間隔を20秒、10秒とする回線Bの変化の他、間隔を45秒とする回線Aの変化や、間隔を30秒とする回線Bの変化も生じているが、これらは、10秒よりも間隔が長く、かつ、回線A、Bは、同一の監視グループに属するため、いずれの変化間隔も無視される。
【0048】
そして、図4(f)では、回線Aの状況変化の間隔が20秒となっており、変化情報格納部54の「今回最小間隔情報」の現在値は不明という状態であるため、この値で更新する。
【0049】
このように、状態変化量の計測に際しては、“変化計測タイマ53のタイムアウトが発生するのに応じて、基準点をタイムアウト発生時点に移動させるとともに、変化情報格納部54の「今回最小間隔情報」に格納されている値を「前回最小間隔情報」に移動させる”という動作と、“ある監視対象の状態変化を検出する都度、その変化間隔を算出するとともに、算出した変化間隔を、変化情報格納部54に格納されている同一グループの最小変化間隔と対比し、「今回最小間隔情報」を逐次更新していく”という動作の2つの動作を繰り返すことにより、監視対象の状態変化間隔を記録していく。
【0050】
この方式によると、個々の状態変化の履歴を管理する必要がないため、監視対象の状態変化を受信した際に、多量の履歴から該当する監視対象の状況を検索する手間を省くことができ、状態変化間隔を高速に導き出すことができる。
【0051】
次に、Web状態監視システム1が実行する処理のうちの「更新周期設定処理」について、図5を中心に参照しながら説明する。
【0052】
本処理は、クライアント端末2からのHTTPリクエストにより動作を開始するものであるため、先ず、ユーザがWebブラウザ21を起動し、監視対象の状態表示用のURL(Uniform Resource Locator)を入力する。Webブラウザ21は、HTTP要求送信手段22により、指定されたURLを含むHTTPリクエストをWebサーバ4へ送信する。
【0053】
ここで、URLは、例えば、“http://web-server/○○○○.html”といった形式で表される。また、HTTPリクエストに監視対象のグループの番号を付加することにより、クライアント端末2の各々において、監視対象をグループ単位で指定することが可能である。
【0054】
そして、クライアント端末2からHTTPリクエストが送信されると、図5に示すように、Webサーバ4のHTTP要求受信手段43において、クライアント端末2からのHTTPリクエストを受信するとともに、Webページ生成手段46に対してURL情報を受け渡す。次いで、Webページ生成手段46において、HTTP要求受信手段43から受け取ったURL情報を参照し、対象表示用ページ24と状態取得用ページ44のいずれを生成するかを決定し、さらに、HTTPリクエストに含まれる情報から監視対象のグループを特定する(ステップB1)。
【0055】
尚、生成ページの判別は、予め対象表示用ページ24及び状態取得用ページ44の各々に異なるURLを割り当てておき、URL自体を基準に行うようにしてもよいし(例えば、対象表示用ページ24→http://web-server.○○○○.html、状態取得用ページ44→http://web-server.△△△△.html)、或いは、クエリ文字列を利用して行うようにしてもよい(例えば、対象表示用ページ24→http://web-server.○○○○.html、状態取得用ページ44→http://web-server.○○○○.html?Request=true)。
【0056】
次に、クライアント端末2のセッション情報がセッション情報格納部56に未登録のものであるか否か(新規セッションであるか否か)を確認し(ステップB2)、未登録の場合には(ステップB2:Yes)、セッション登録手段57において、新規にセッション情報を登録する(ステップB3)。このセッション情報には、クライアント端末2の識別子(例えば、IPアドレス)、監視対象のグループ、監視対象グループの表示更新周期が含まれる(図2(c)参照)。
【0057】
次に、更新周期算出手段55において、要求された監視対象グループの更新周期を算出する(ステップB4)。更新周期の算出に際しては、先ず、変化情報格納部54に格納されている「今回最小間隔情報」の値(図2(b)参照)と、「前回最小間隔情報」の値(図2(b)参照)とを対比する。そして、より小さい値を監視対象の状態変化間隔の最小値として取得し、この最小値に基づいて更新周期を決定する。
【0058】
このとき、変化間隔が小さくなる程、周期が短くなるように更新周期を決定し、逆に、状態変化間隔が大きい場合は、更新周期が長くなるように決定すればよい。この際、更新周期と変化間隔が単純な比例関係となるように設定してもよいし、非線形な関係となるように設定してもよい。尚、Webサーバ4の起動直後等のように、監視対象の状態の変化間隔を特定できない場合には、予め定めた更新周期のデフォルト値を適用する。
【0059】
更新周期の算出処理が終了すると、図5に示すように、更新周期算出手段55において、クライアント端末2側から要求された監視対象グループの更新周期を決定するとともに、セッション情報格納部56において、セッション情報を更新する(ステップB5)。
【0060】
これらに対し、クライアント端末2のセッション情報がセッション情報格納部56に登録済みであった場合には(ステップB2:No)、ステップB3〜B5の処理を経ることなく、セッション情報格納部56から監視対象グループの更新周期を取得する(ステップB6)。
【0061】
次いで、Webページ生成手段46において、ステップB4、B6で決定した更新周期に従い、定期的に監視対象の状態を要求するスクリプトを埋め込んだ対象表示用ページ45(対象表示用ページ24)を生成する(ステップB7)。この対象表示用ページ45には、上述した表示更新タイマ群26、状態要求手段27、状態受信手段28、タイマ生成手段25及び状態表示手段29を実現するスクリプトが含まれる。ここでのスクリプトとは、Webブラウザ内で実行可能なプログラムコード全般(スクリプト言語、バイナリコード)を指し、特定のスクリプト言語に限られるものではない。
【0062】
その後、Webサーバプログラム41は、Webページ生成手段46が作成した対象表示用ページ45をHTTP応答送信手段47により、クライアント端末2へ送信する。
【0063】
そして、クライアント端末2において、Webサーバ4からの対象表示用ページ45を受信すると、Webブラウザ21により解釈し、対象表示用ページ24として展開する。対象表示用ページ24内のタイマ生成手段25は、対象表示用ページ24内に記載された更新周期に基づいて表示更新タイマ1〜nを作成し、各タイマをスタートさせる。
【0064】
そして、表示更新タイマ1〜nがタイムアウトすると、該当する監視対象グループの最新の状態をWebサーバ4へ要求し、状態要求手段27において、Webサーバ4へ状態取得用ページ44を要求するHTTPリクエストを送信する。
【0065】
Webサーバ4がHTTPリクエストを受信すると、このリクエストに対し、Webページ生成手段46により状態取得用ページ44の生成処理を実行する。この際、状態取得手段51により状態情報格納部50に格納されている最新の状態を取得し、状態取得用ページ44の状態記載部分に反映させる。これと併せ、更新周期算出手段55により更新周期を取得し、状態取得用ページ44の該当部分に反映させる。
【0066】
こうして生成された状態取得用ページ44’は、HTTP応答送信手段47により、クライアント端末2へ返信される。クライアント端末2は、状態取得用ページ44’をHTTP応答受信手段23により受信し、状態受信手段28に受け渡す。状態受信手段28は、状態取得用ページ44’内の監視対象の状態を、状態表示手段29によりWebブラウザ21上に表示する。また、状態受信手段28は、状態取得用ページ44’内の更新周期を取得し、該当する監視対象グループの表示更新タイマのタイムアウト値に更新周期を再設定する。以後、ユーザが本ページの閲覧を停止するまで、監視対象の状態要求を繰り返し、状態表示を最新の状態に更新するように動作する。
【0067】
以上のように、本実施の形態によれば、Webサーバ4において、監視対象の状態が変化する間隔を計測した上で、クライアント端末2からのHTTPリクエストの送信周期を決定するため、実際の状態変化の状況に即した送信周期を決定することができる。また、状態変化の間隔に変動がある場合でも、それに追従して、逐次、要求信号の送信周期を変更することができるため、煩雑な調整作業を繰り返さなくても、適切な送信周期を設定することができ、ポーリング周期の設定に伴う手間を軽減することが可能になる。
【0068】
また、上記のようにして決定した送信周期をクライアント端末2に伝達することで、クライアント端末2からWebサーバ4に対して、監視対象の状態変化の状況に適した周期(間隔)で自動的に要求信号が送信されるようになる。これにより、監視対象の状態変化を適切な間隔でクライアント端末2にダウンロードし得るようになり、Webページ上に表示される監視対象の状態変化を好適に更新することが可能になる。
【実施例】
【0069】
次に、上記Web状態監視システム1を適用した具体的な実施例について、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0070】
図6は、Webブラウザ21上に内線電話の使用状況を表示することにより、電話をかける前に、通話相手の状況を把握することができるシステムに適用した例である。このシステムにおいては、図1の監視装置6として、収容する局線、中継線及び内線等の使用状況を外部に通知する機能を備えた交換機6Aを用いる。尚、図6において、図1の構成要素と同一の構成要素については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
また、図7は、クライアント端末2上で表示されるWebページのイメージであり、Webページには、URLを入力するためのURL入力領域と、監視したい内線の番号と各々の内線の状況を表示する状況表示部とが設けられる。
【0072】
先ず、ユーザは、Webブラウザ21を介してWebページ上のURL入力欄(図7参照)に利用したいシステムURLを入力する。この適用例では、部署毎にWebページが作成されており、入力されたURL毎に表示する回線グループが特定できるものとしている。尚、ユーザがWebブラウザ21上で表示したい回線グループを指定するような構成とすることも可能である。
【0073】
Webブラウザ21は、回線状況要求手段27AによりWebサーバ4へWebページを要求する。図6に示すシステムにおいては、回線グループ1と回線グループ2を監視対象としており、表示領域が回線グループ毎にフレームで分割されている。
【0074】
次いで、Webサーバ4上のWebサーバプログラム41は、HTTP要求受信手段43により、Webページのリクエストを受信し、該当する回線状況ページ45Aを生成する。回線状況ページ45Aは、セッション登録手段57により、Webページを要求したクライアント端末2の情報がセッション情報格納部56に未登録であることを確認し、セッション情報格納部56に新規に登録する。
【0075】
回線状況ページ45Aは、Webサーバ4での前述の処理により、HTTP応答送信手段47を通じてクライアント端末2に送信され、クライアント端末2のWebブラウザ21により解析され表示される。その後、回線状況ページ45Aは、リンクしている回線グループ1、回線グループ2の各ページを要求する。
【0076】
Webサーバ4は、クライアント端末2から回線グループ1、回線グループ2のページの要求を受け付けると、Webページ生成手段46により回線状況取得用ページ44Aを生成し、回線状況取得手段51Aにより、状態情報格納部50から最新の回線状況を取得し、表示用のページを生成する。
【0077】
回線状況取得用ページ44Aは、同時に、更新周期算出手段55により、各々の回線グループの更新周期を取得し、一定時間内に、再度、このページをWebサーバ4へ要求するスクリプトをページ内に埋め込む。こうして、回線グループ1のWebページ、回線グループ2のWebページの各々が生成され、クライアント端末2へ送信される。
【0078】
クライアント端末2では、HTTP応答受信手段23を経由し、回線状況受信手段28Aにより受信したこれらのWebページを、該当する回線グループの表示領域へ表示する。図7(a)が上記のようにして表示されるページの表示例である。
【0079】
続いて、図7(b)で示すように、Webブラウザ21が回線グループ1のページに埋め込まれたスクリプトにより、回線グループ1の更新をWebサーバ4へ要求し、状態変化があれば表示が更新される。さらに、2.5秒後には、回線グループ2のページに埋め込まれたスクリプトにより、回線グループ2の表示更新をWebサーバ4へ要求し、状態表示を更新する(図7(c))。このとき、同時に回線グループ1の表示更新も要求するが、回線状況の変化がないため、表示更新は行われない。
【0080】
以上のように、回線グループ毎のページに埋め込まれたスクリプトにより、Webサーバ4へ指定された更新周期で要求を送信することにより、継続的に最新の回線状態を表示することができる。
【0081】
尚、本実施例では、Webページを回線グループ毎にフレーム分割し、フレーム単位に回線グループの表示を行う例を説明したが、WebブラウザとWebサーバ間の通信をAjaxで行う方法でも実現することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 Web状態監視システム
2 クライアント端末
4 Webサーバ
6 監視装置
6A 交換機
21 Webブラウザ
22 HTTP要求送信手段
23 HTTP応答受信手段
24 対象表示用ページ
24A 回線状況ページ
25 タイマ生成手段
26 表示更新タイマ群
27 状態要求手段
27A 回線状況要求手段
28 状態受信手段
28A 回線状況受信手段
29 状態表示手段
29A 回線状況表示手段
41 Webサーバプログラム
42 状態変化処理部
43 HTTP要求受信手段
44 状態取得用ページ
44A 回線状況取得用ページ
45 対象表示用ページ
45A 回線状況ページ
46 Webページ生成手段
47 HTTP応答送信手段
49 状態変化受信手段
49A 回線状況変化受信手段
50 状態情報格納部
51 状態取得手段
51A 回線状況取得手段
52 変化計測手段
53 変化計測タイマ
54 変化情報格納部
55 更新周期算出手段
56 セッション情報格納部
57 セッション登録手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の状態変化を表示したWebページをWebサーバで作成し、該Webページをクライアント端末にダウンロードして閲覧するWeb状態監視システムであって、
前記Webサーバは、
前記監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段と、
該変化計測手段で計測した間隔に基づいて前記クライアント端末から該Webサーバに向けての要求信号の送信周期を決定する送信周期決定手段と、
該送信周期決定手段によって決定した送信周期を前記クライアント端末に伝達する送信周期伝達手段とを備えることを特徴とするWeb状態監視システム。
【請求項2】
前記変化計測手段は、所定期間単位で区切りながら前記間隔の計測処理を行うとともに、1つの所定期間において、複数の前記間隔を計測したときに該複数の間隔のうちの最小間隔を導き出し、
前記送信周期決定手段は、前記変化計測手段によって導き出される前記最小間隔に基づいて前記要求信号の送信周期を決定することを特徴とする請求項1に記載のWeb状態監視システム。
【請求項3】
複数の前記監視対象をグループ化し、
前記変化計測手段は、同一グループ内で前記最小間隔を導き出し、
前記送信周期決定手段は、グループ単位で前記要求信号の送信周期を決定することを特徴とする請求項2に記載のWeb状態監視システム。
【請求項4】
監視対象の状態変化を表示したWebページを作成し、該Webページをクライアント端末上に表示させるWebサーバであって、
前記監視対象の状態が変化する間隔を計測する変化計測手段と、
該変化計測手段で計測した間隔に基づいて前記クライアント端末から該Webサーバに向けての要求信号の送信周期を決定する送信周期決定手段と、
該送信周期決定手段によって決定した送信周期を前記クライアント端末に伝達する送信周期伝達手段とを備えることを特徴とするWebサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−198055(P2010−198055A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38744(P2009−38744)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】