説明

X線コンピュータ断層撮影装置

【課題】複数のボリュームデータをスライス面に垂直な方向に結合する際のつなぎ目部分におけるCT値の境界(段差)を改善する。
【解決手段】X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を検出するエリア検出器の出力に基づいてオーバーラップ領域を有する、第1、第2のボリュームデータを再構成する再構成処理部と、該両ボリュームデータからオーバーラップ領域内または近傍のそれぞれ複数の第1および第2スライス画像を抽出する抽出部と、該スライス画像における垂直な方向に沿って画素列ごとに加算値又は平均値との差分値又は差分値の絶対値を計算する計算部と、該差分値又は差分値の絶対値が所定の範囲内か否かを判定する判定部と、オーバーラップ領域内の画素値を、前記両ボリュームデータの画素値の一方の値もしくは前記両ボリュームデータの画素値から導出される値から該判定結果により選択し、第1、第2のボリュームデータを結合する結合部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンビーム形X線発生部とエリア検出部とを装備したボリュームスキャン可能なX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置では、X線検出器の多列化に伴い、再構成画像としてボリュームデータが多く扱われるようになっている。このボリュームデータを再構成するためには、被検体の周囲一周360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角度分投影データが必要とされる。このボリュームデータの境界には、撮像視野(Field of view)において再構成するための投影データが存在しない領域が存在する。ボリュームデータの境界の投影データが存在しない領域には、この領域を覆い隠すマスク(MASK)領域が設けられている。
【0003】
複数のボリュームデータを用いて、一つのボリュームデータより広い範囲を表示するために、ボリュームデータをスライス面に垂直な方向に沿って結合表示する技術がある。
【0004】
例えば、ボリュームスキャンにおけるコーンビームX線のコーン角が小さいときの技術として、あらかじめ得られた離散的な複数のボリュームデータに対して、スライス面に垂直な方向に沿って加重加算を行うことで、ボリュームデータが存在しない領域の画素値を補間し、補間した画素値からスライス画像を作成する技術がある。この技術は、ボリュームデータが存在しない領域を近似によって補間するものであり、良好な画像が得られない場合がある。
【0005】
また、別の従来技術としては、例えば2つのボリュームデータを結合する際、2つのボリュームデータの境界付近における上記マスク領域を切断し、切断した2つのボリュームデータの結合を行う技術がある。このとき単純に2つのボリュームデータの結合を行うと、2つのボリュームデータにおける画質の違いによって、つなぎ目部分にCT値の明らかな境界(段差)が生じ、良好な画像が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4056922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、複数のボリュームデータをスライス面に垂直な方向に結合する際のつなぎ目部分におけるCT値の明らかな境界(段差)を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0009】
本発明の第1局面によるX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線発生部と、X線発生部から発生され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、エリア検出器からの出力に基づいてオーバーラップ領域を有する第1のボリュームデータおよび第2のボリュームデータを再構成する再構成処理部と、第1のボリュームデータからオーバーラップ領域内または近傍の複数の第1スライス画像を抽出し、第2のボリュームデータからオーバーラップ領域内または近傍の複数の第2スライス画像を抽出する抽出部と、複数の第1スライス画像のスライス面に垂直な方向に沿った画素値の加算値又は平均値と、複数の第2スライス画像における上記垂直な方向に沿った画素値の加算値又は平均値との差分値又は差分値の絶対値を、上記画素値を含む画素列ごとに計算する計算部と、差分値又は差分値の絶対値が所定の範囲に含まれるか否かを上記画素列ごとに判定する判定部と、第1、第2のボリュームデータを位置整合して結合するものであって、オーバーラップ領域内の画素各々の画素値を、第1、第2のボリュームデータの画素値の一方の値と、第1、第2のボリュームデータの画素値から導出される値とのいずれかに上記判定結果に従って選択的に設定する結合部とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のボリュームデータをスライス面に垂直な方向に結合する際のつなぎ目部分におけるCT値の明らかな境界(段差)を改善することができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、略円柱形の3次元画像(ボリュームデータ)についてYZ平面における断面図を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係り、オーバーラップする画素の画素値に対する加重加算において、処理の流れを示す流れ図である。
【図4】図4は、図3の流れ図の説明を補足する図である。
【図5】図5は、本実施形態に係り、計算部によるCT値段差指標の導出において、実行される各処理の流れを示す流れ図である。
【図6】図6は、本実施形態に係り、判定部によるCT値段差の有無の判定において、実行される各処理の流れを示す流れ図である。
【図7】図7は、本実施形態に係り、結合部によるフラグマップの生成、加重加算、結合画像生成において、実行される各処理の流れを示す流れ図である。
【図8】図8は、オーバーラップ領域を有する2つのボリュームデータと加重加算対象範囲の関係を示す図である。
【図9】図9は、加重加算のための重みの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線発生部とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するROTATE/ROTATE-TYPE、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生部のみが被検体の周囲を回転するSTATIONARY/ROTATE-TYPE等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。ここでは、ROTATE/ROTATE-TYPEとして説明する。また、画像を再構成するには被検体の周囲一周、360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ファン角分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式に対しても本実施形態へ適用可能である。ここでは、360°法を例に説明する。また、入射X線を電荷に変化するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線によるセレン等の半導体内での電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。さらに、近年では、X線発生部とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であっても、多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置であってもいずれも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。ガントリ100には、回転支持機構が収容される。回転支持機構は、回転リング102と、回転軸Zを中心として回転自在に回転リング102を支持するリング支持機構とリングの回転を駆動する駆動部107(電動機)からなる。回転リング102には、X線発生部101と、2次元アレイ型または多列型とも称されるエリア検出器103が搭載されている。X線発生部101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して電圧の印加および電流の供給を受けて、X線の焦点200からX線を放射する。X線の焦点200から放射されたX線は、X線発生部101のX線放射窓に取り付けられたコリメーターユニット118により、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形される。X線の放射範囲は、点線で示されている。X軸は、回転軸Zと直交し、放射されるX線の焦点100を通る直線である。Y軸は、X軸および回転軸Zと直交する直線である。なお、説明の便宜上このXYZ座標系は、回転軸Zを中心として回転する回転座標系として説明する。
【0014】
エリア検出器103は、回転軸Zを挟んでX線発生部101に対峙する位置およびアングルで取り付けられる。エリア検出器103は、複数のX線検出素子を有している。ここでは、単一のX線検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸Zに直交し、かつ放射されるX線の焦点200を中心として、この中心から1チャンネル分のX線検出素子の受光部中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向との2方向に関して2次元状に配列される。また、エリア検出器103は、複数のX線検出素子を1列に配列した複数のモジュールで構成されてもよい。モジュール各々は、上記チャンネル方向に沿って略円弧方向に1次元状に配列される。
【0015】
また複数のX線検出素子は、チャンネル方向とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列させてもよい。すなわち、2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って一次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。このような2次元状のX線検出素子配列を有するエリア検出器103は、略円弧方向に1次元状に配列される複数の上記モジュールをスライス方向に関して複数列並べて構成してもよい。
【0016】
撮影又はスキャンに際しては、X線発生部101とエリア検出器103との間の円筒形の撮影領域111内に、被検体が天板120に載置され挿入される。エリア検出器103の出力には、DAS(Data Acquisition System)と呼ばれるデータ収集回路104が接続されている。
【0017】
データ収集回路104には、エリア検出器103の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するI−V変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとが、チャンネルごとに取り付けられている。データ収集回路104から出力されるデータ(純生データ(pure raw data))は、磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送部105を経由して、前処理部106に伝送される。
【0018】
前処理部106は、データ収集回路104から出力される純生データに対して前処理を施す。前処理には、例えばチャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下または、信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理部106から出力される再構成処理直前のデータ(生データ(raw data)または、投影データと称される、ここでは投影データという)は、データ収集したときにビューアングルを表すデータと関連付けられて、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリを備えた投影データ記憶部112に記憶される。
【0019】
なお、投影データとは、被検体を透過したX線の強度に応じたデータ値の集合である。ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集したビューアングルが同一である全チャンネルにわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。また、ビューアングルは、X線発生部101が回転軸Zを中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸Zから鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビューアングル、コーン角、チャンネル番号によって識別される。
【0020】
再構成処理部114は、ビューアングルが360°又は180°+ファン角の範囲内の投影データセットに基づいて、フェルドガンプ法またはコーンビーム再構成法により、略円柱形の3次元画像を再構成する機能を有する。図2は、略円柱形の3次元画像(ボリュームデータ)についてYZ平面における断面図の一例である。ボリュームデータにおけるスライス面に垂直な方向(Z方向)の端の領域には、撮像視野111(Field of view)の領域に再構成するための360°分の投影データがそろわない領域が存在する。投影データが不足する領域は、ボリュームデータの信頼性が低い。投影データが不足する領域は、再構成しない又は再構成画像を表示しない。この領域は一般にマスク(MASK)領域と称される。
【0021】
さらに再構成処理部114は、例えばファンビーム再構成法(ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法ともいう)またはフィルタード・バックプロジェクション法により2次元画像(断層画像)を再構成する機能を有する。フェルドガンプ法は、コーンビームのように再構成面に対して投影レイが交差する場合の再構成法であり、コーン角が小さいことを前提として畳み込みの際にはファン投影ビームとみなして処理し、逆投影はスキャンの際のレイに沿って処理する近似的画像再構成法である。コーンビーム再構成法は、フェルドガンプ法よりもコーン角のエラーが抑えられる方法として、再構成面に対するレイの角度に応じて投影データを補正する再構成法である。
【0022】
抽出部121は、第1のボリュームデータから、オーバーラップ領域内または近傍の、後述する判定処理に用いる複数の第1スライス画像を抽出する。さらに抽出部121は、第2のボリュームデータから、オーバーラップ領域内または近傍の、後述する判定処理に用いる複数の第2スライス画像を抽出する。後述する判定処理に用いる複数の第1スライス画像は、例えば、第1のボリュームデータにおいて、オーバーラップ領域を2等分するスライス面(境界面)から、第1のボリュームデータのZ方向の中心面(第1中間スライス面)に向かって、境界面に垂直な方向に沿った所定の幅を有する第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)の範囲内に含まれるスライスに初期的に設定される。この幅は、例えば5mmに設定される。しかし、ユーザにより入力部115を介して任意に変更可能である。第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)と対応する複数の第2スライス画像は、第2のボリュームデータにおいて、境界面から第2のボリュームデータのZ方向の中心面(第2中間スライス面)に向かって、境界面に垂直な方向に沿った所定の幅を有する第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)である。以後、第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)と第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)の幅は等しいものとして説明する。また、各段差判定用スライスの幅は、例えば、マスク領域に含まれるスライスの枚数にスライス幅を乗じた値に設定される。
【0023】
計算部113は、抽出された複数の第1スライス画像を対象として、スライス面に垂直な方向(Z方向)に沿った画素列T(x、y)に含まれる画素の画素値(CT値)の加算値または平均値と、抽出された複数の第2スライス画像を対象としてZ方向に沿った画素列T(x、y)に含まれる画素の画素値(CT値)の加算値又は平均値との差分値又は差分値の絶対値(CT値段差指標)を、これらの画素を有する画素列T(x、y)ごとに、スライス画像の座標と対応させて計算する。平均値を計算するとき、計算部113は上記画素列におけるマスク領域の画素値(CT値)を除外する。
【0024】
判定部117は、画素列T(x、y)ごとに計算された差分値又は差分値の絶対値(CT値段差指標)が所定の範囲に含まれるか否かを判定する。所定の範囲とは、第1の閾値(th_low)以上でかつ第2の閾値(th_high)未満の範囲であり、ユーザの指示に従って、入力部115を介して任意に設定される。画素列T(x、y)のCT値段差指標が第1の閾値(th_low)未満であるとき、CT値段差が視覚的に影響を与えない。CT値段差指標が第2の閾値(th_high)以上であるとき、何らかの原因による異常として判断される。CT値段差指標が、第1の閾値(th_low)以上でかつ第2の閾値(th_high)未満の範囲にあるとき、第1、第2のボリュームデータのつなぎ目部分に明らかな境界(段差)が生じる。
【0025】
結合部119は、第1のボリュームデータと第2のボリュームデータとを位置整合して結合する。結合部119は、オーバーラップ領域内の画素各々の画素値を、第1、第2のボリュームデータの画素値の一方の値と、第1、第2のボリュームデータの画素値から導出される値とのいずれかに上記判定結果に従って選択的に設定する。なお、ここではオーバーラップ領域の先端を除く一部領域を加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)とする。加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の各画素について判定結果に基づいて、以下の処理を行う。
【0026】
結合部119は、判定部117によってCT値段差なしもしくはエラーと判定された場合について、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内で注目した画素(注目画素)から、注目画素を含み上記垂直な方向(Z方向)に沿って第1中間スライス面までの第1の距離を計測する。さらに結合部119は、注目画素を含み上記垂直な方向に沿って第2中間スライス面までの第2の距離を計測する。結合部119は、第1の距離と第2の距離とを比較し、第2の距離<第1の距離ならば、注目画素の座標と同座標を有する第2のボリュームデータにおける画素の画素値を、注目画素の画素値に設定する。一方、第2の距離≧第1の距離ならば、結合部119は、注目画素の座標と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値を、注目画素の画素値に設定する。
【0027】
結合部119は、判定部117によってCT値段差ありと判定された場合について、スライス面における注目画素の座標から、上記垂直な方向に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の画素列T(x、y)において、結合部119で発生した所定の重みを用いて、オーバーラップする第1のボリュームデータの画素値と第2のボリュームデータの画素値を加重加算する。
【0028】
ここで、結合部119において発生する所定の重みが、線形の重みである場合の重みを導出する処理の一例について説明する。はじめに、注目画素を含み上記垂直方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の画素列T(x、y)の長さ(D)を計測する。次に注目画素から、第2中間スライス面に向かって上記垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第2長さ(D)を計測する。画素列T(x、y)の長さ(D)に対する第2長さ(D)の割合に基づいて、注目画素と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値に乗じる第1の重み(Wt1=D/D)が発生する。続けて、結合部119は、注目画素から第1中間スライス面に向かって上記垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第1長さ(D)を計測する。画素列T(x、y)の長さ(D)に対する第1長さ(D)の割合に基づいて、注目画素と同座標を有する第2のボリュームデータにおける画素の画素値に乗じる第2の重み(Wt2=D/D)が発生する。第1の重みと第2の重みの和は、1に規格化されている(Wt1+Wt2=1)。なお、それぞれの重みの関係式は、第1の重みが(Wt1=(D−D)/D)、第2の重みが(Wt2=(D−D)/D)とも表せる。これらの記号および式は、図9で記載されている。注目画素の画素値は、注目画素と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値に第1の重み(Wt1)を乗じたものと、注目画素と同座標を有する第2のボリュームデータにおける画素の画素値に第2の重み(Wt2)を乗じたものとを加算することによって設定される。また、CT値段差ありと判定された画素(判定画素)の近傍8画素について中心画素の判定結果が適用される。
【0029】
結合部119は、以上の処理を加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の画素の座標各々について行う。結合部119は、判定されたCT値段差指標に基づいて割り当てられた画素値と加重加算した画素値とから、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)のボリュームデータを生成する。結合部119は、上記生成された加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)のボリュームデータと、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)を抽出後の第1のボリュームデータと、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)を抽出後の第2のボリュームデータとを位置整合して結合したボリュームデータを生成する。なお、結合するボリュームデータは、複数であってもよい。
【0030】
ノイズ付加部123は、加重加算された画素のノイズレベルが、加重加算していない画素のノイズレベルに対して低下して、信号雑音比(SNR(signal to noise ratio))の不均一さにより見た目の高コントラストが生じる事態を避けるために、加重加算された画素に対してノイズを付加する。付加するノイズは、次のとおりに計算される。ノイズ付加部123は、加重加算された画素の近傍画素におけるノイズの標準偏差を計測する。近傍画素は、加重加算された画素の近傍8画素を適用する。計測されるノイズの標準偏差は、オーバーラップする第1のボリュームデータの画素値と計算部113で導出したCT値の平均値を用いて求めることができる。また、計測されるノイズの標準偏差は、オーバーラップする第2のボリュームデータの画素値と計算部113で導出したCT値の平均値を用いて求めることもできる。なお、付加するノイズは、ガウスノイズを用いてもよい。ノイズの付加は、ディジタルフィルタで行うことも可能である。例えば、エンハンスフィルタを用いることで、画素値の低周波成分を低減させて、ノイズの主成分である高周波数帯域を強調することにより、ノイズが加重加算された画素に付加される。
【0031】
表示部116は、再構成処理部114もしくは結合部119で結合された画像を表示する。
【0032】
図3は、本実施形態における加重加算を行う処理方法の手順の概要を示している。はじめに結合させる2つのボリュームデータを読み込み(ステップSa1)、ボリュームデータ間のCT値段差指標を画素列T(x、y)ごとに導出する。導出されたCT値段差指標と、第1の閾値(th_low)と、第2の閾値(th_high)とに基づいて、判定部117は、ボリュームデータのつなぎ目部分に明らかな境界(段差)が生じるか否かを判定する(ステップSa2)。ここまでの手順は、上記抽出部121と計算部113および判定部117で行われる処理であり、図5および図6で詳述する。画素列T(x、y)における判定されたCT値段差指標に基づいて、加重加算を行うか否かを示すマップを生成する(ステップSa3)。このマップ上で、加重加算を行う画素については、フラグを立てる。加重加算を行わない画素については、フラグを立てない。フラグが立っている画素一つに注目して、マスク領域のスライス枚数を考慮した重みが発生する(ステップSa4)。結合部119で発生した重みを用いて、オーバーラップする画素それぞれが加重加算される(ステップSa5)。加重加算された画素のノイズレベルが、加重加算していない画素のノイズレベルに対して低下し、信号雑音比(SNR(signal to noise ratio))の不均一さにより見た目の高コントラストが生じる事態を避けるためにノイズ付加部123でノイズ付加を行う(ステップSa6)。ノイズ付加(ステップSa6)の処理を行った後、フラグを付した画素について加重加算処理が全て行われるまで、画素一つに注目して重みが発生する処理(ステップSa4)からノイズ付加の処理(ステップSa6)まで手順を繰り返し行う(ステップSa7)。ステップSa3、ステップSa4、ステップSa5については、上記結合部119で行われる処理であり、図7、図8、図9で詳述する。
【0033】
図4は、本実施形態における加重加算を行う処理の概要を示し、図3の流れ図の説明を補足する図である。第1オーバーラップ(第1fOverLap)11は、第1のボリュームデータと第2のボリュームデータとのオーバーラップする領域のうち、第1のボリュームデータにおけるオーバーラップ領域を示している。第2オーバーラップ(第2fOverLap)21は、第1のボリュームデータと第2のボリュームデータとのオーバーラップする領域のうち、第2のボリュームデータにおけるオーバーラップする領域を示している。第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)12は、第1のボリュームデータにおける段差判定用スライスを示している。第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)22は、第2のボリュームデータにおける段差判定用スライスを示している。第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13は、第1のボリュームデータの加重加算用スライスを示している。第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23は、第2のボリュームデータの加重加算用スライスを示している。以下加重加算されるボリュームデータの処理を概説する。まず、第1のボリュームデータから、第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)12と第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13の範囲に含まれるボリュームデータvol1を抽出する。第2のボリュームデータから、第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen22)と第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23の範囲に含まれるボリュームデータvol2を抽出する。抽出されたvol1、vol2において、CT値段差ありと判定されたオーバーラップする画素それぞれについて加重加算を行い(Weight Sum)、加重加算後のボリュームデータ(VolWtSum)を得る。次に第1のボリュームデータからvol1を抽出した後のボリュームデータvolAと、第2のボリュームデータからvol2を抽出した後のボリュームデータvolBと、VolWtSumとを結合させた結合ボリュームデータ(NEW_VOL)を得る。図3、図4は本実施形態の概要であり、以下各処理におけるフローおよび図について詳述する。
【0034】
図5は、上記図3におけるステップSa1、ステップSa2での処理方法の手順の詳細を示している。図5における処理手順は、抽出部121と計算部113とにおいて行われる処理である。まず、第1のボリュームデータから所定の幅を有する第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)12の範囲における複数の第1スライス画像を抽出する(ステップSb1)。次に第2のボリュームデータから所定の幅を有する第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)22の範囲における複数の第2スライス画像を抽出する(ステップSb2)。抽出された複数の第1スライス画像を対象として、スライス面に垂直な方向(Z方向)に沿った画素列T(x、y)に含まれる画素のCT値から第1の平均値もしくは加算値を算出する(ステップSb3)。抽出された複数の第2スライス画像を対象として、スライス面に垂直な方向(Z方向)に沿った画素列T(x、y)に含まれる画素のCT値から第2の平均値もしくは加算値を計算する(ステップSb4)。ステップSb3で計算された第1の平均値とステップSb4で計算された第2の平均値との差分を計算する(ステップSb5)。もしくは、ステップSb3で計算された第1の加算値とステップSb4で計算された第2の加算値との差分を計算する。以後、上記差分の値をCT値段差指標と称する。
【0035】
第1の平均値もしくは加算値の算出(ステップSb3)からCT値段差指標の算出(ステップSb5)までの手順は、画素列T(x、y)ごとに行われる。画素列T(x、y)全てにわたってCT値段差指標が計算されるまで、第1の平均値もしくは加算値の算出(ステップSb3)からCT値段差指標の算出(ステップSb5)までの手順を繰り返し行う(ステップSb6)。
【0036】
なお、上記CT値段差指標の算出は、第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)12と第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)22とを適用したが、それぞれのボリュームデータのオーバーラップ領域である第1オーバーラップ(第1fOverLap)11および第2オーバーラップ(第2fOverLap)21を適用して、CT値段差指標を算出してもよい。また、第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13および第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23を適用して、CT値段差指標を算出してもよい。さらに、これらの領域を組み合わせて、CT値段差指標を算出することも可能である。このとき、複数のスライス画像それぞれにおけるマスク領域の画素のCT値は、除外される。
【0037】
図6は、上記図3におけるステップSa2において、CT値段差の有無を判定する処理方法の手順の詳細を示している。まず、ひとつの画素列T(x、y)と対応したCT値段差指標が第1の閾値(th_low)未満である(ステップSc1)場合、このCT値段差指標はCT値段差なしと判定される(ステップSc3)。このCT値段差指標が第1の閾値(th_low)以上である場合、次の判断処理にこのCT値段差指標が送られる(ステップSc1)。送られたCT値段差指標が、第2の閾値(th_high)より大きい値である(ステップSc2)場合、このCT値段差指標に対してエラー判定がなされる(ステップSc4)。送られたCT値段差指標が、第2の閾値(th_high)以下である(ステップSc2)場合、このCT値段差指標に対してCT値段差ありと判定される(ステップSc5)。画素列T(x、y)全てのCT値段差指標について、CT値段差の有無の判定がされるまで、判断処理(ステップSc1)からCT値段差ありの算出(ステップSc5)までの手順を繰り返し行う。
【0038】
図7は、結合部119における処理方法の手順の一例を示したフローチャートである。上記図3のステップSa3における加重加算対象画素のフラグマップ生成処理と、ステップSa4およびステップSa5における加重加算処理も合わせて詳述する。加重加算を行う際の重みの発生については、図8、図9で詳述する。図7に戻って、まず、加重加算を行うか否かを示すフラグマップを生成する(ステップSd1)。加重加算対象画素として、判定部117からCT値段差ありと判定された画素列T(x、y)の座標と同座標を有する上記フラグマップ上の座標(x、y)にフラグを立てる(ステップSd2)。続いて、フラグを立てた座標(x、y)の近傍の画素(以下、近傍画素)に所定の規則に従ってフラグを立てる(ステップSd3)。ここで所定の規則とは、例えばフラグマップ上において、フラグを立てた座標(x、y)の近傍画素を(x、y+1)、(x、y−1)とすることである。また、近傍画素を(x+1、y+1)、(x+1、y−1)、(x−1、y+1)、(x−1、y−1)としてもよい。なお、近傍画素を、フラグを立てた座標(x、y)を中心とする周囲N×Mのマトリクスとしてもよい。また、ステップSd1、ステップSd2を省略することも可能である。
【0039】
次に、結合部119は、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内のひとつの画素に注目し、注目した画素(注目画素)を含むスライス面上での座標と同座標を有するフラグマップ上の座標にフラグが立っているか否かに基づいて(ステップSd4)、以下の処理を行う。フラグが立っていれば、結合部119は、注目画素の座標を通り、スライス面に垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界間における画素列の長さ(D)を計測する(ステップSd5)。画素列の長さ(D)は、例えば、図8における第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13と第1加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23との和からマスク領域を減算した加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)におけるスライス面に垂直な方向(Z方向)に沿った画素列の長さである。次に、結合部119は、注目画素から第2中間スライス面に向かって、上記垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第2長さ(D)を計測する(ステップSd6)。画素列の長さ(D)に対する第2長さ(D)の割合に基づいて、第1のボリュームデータにおける注目画素と同じ座標を有する画素値に乗じる第1の重み(Wt1=D/D)を発生する(ステップSd7)。結合部119は、注目画素から、第1中間スライス面に向かって、上記垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第1長さ(D)を計測する(ステップSd8)。画素列の長さ(D)に対する第1長さ(D)の割合に基づいて、第2のボリュームデータにおける上記画素と同じ座標を有する画素値に乗じる第2の重み(Wt2=D/D)を発生する(ステップSd9)。結合部119は、注目画素と同座標を有する第1のボリュームデータの画素値と第1の重み(Wt1)との積と、注目画素と同座標を有する第2のボリュームデータの画素値と第2の重み(Wt2)との積とを加算した値(加重加算値)を、注目画素の画素値に設定する(Sd10)。
【0040】
フラグが立っていないならば、結合部119は、注目画素から上記垂直な方向(Z方向)に沿って、第1中間スライス面までの第1の距離を計測する(ステップSd11)。続いて、注目画素から上記垂直な方向(Z方向)に沿って第2中間スライス面までの第2の距離を計測する(ステップSd12)。結合部119は、第1の距離と第2の距離との比較を行う(ステップSd13)。第2の距離<第1の距離ならば、結合部119は、注目画素の座標と同座標を有する第2のボリュームデータにおける画素の画素値を、注目画素の画素値に設定する(ステップSd14)。一方、第2の距離≧第1の距離ならば、結合部119は、注目画素の座標と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値を、注目画素の画素値に設定する(ステップSd15)。上記加重加算した画素値の設定もしくは第1のボリュームデータからの画素値の設定もしくは第2のボリュームデータからの画素値の設定が、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の全画素の画素値について行われるまで、注目画素を含むスライス面上での座標と同座標を有するフラグマップ上の座標にフラグが立っているか否かの判断(ステップSd4)から、注目画素の座標と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値を注目画素の画素値に設定する処理(ステップSd15)までを繰り返し行う(ステップSd16)。
【0041】
次に、結合部119は、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)内の設定された全画素の画素値から、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)のボリュームデータを生成する(ステップSd17)。結合部119は、生成された加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)のボリュームデータと、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)を抽出後の第1のボリュームデータと、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)を抽出後の第2のボリュームデータと、を位置整合して結合したボリュームデータを生成する(ステップSd18)。
【0042】
図8は、オーバーラップ領域を有する2つのボリュームデータと加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の関係を示す図である。fOverLapは、第1オーバーラップ(第1fOverLap)11と第2オーバーラップ(第2fOverLap)21との和であり、2つのボリュームのオーバーラップする範囲を示している。加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)は、第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13と第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23との和からマスク領域を除く領域である。加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)は、加重加算を行う範囲であり、ハッチングで示されている。なお、図8は、マスク領域を有する2つのボリュームデータに対する加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)を示しているが、マスク領域を有さないボリュームデータを用いることも可能である。
【0043】
図9は、加重加算のための重みの一例として、加重加算を行う範囲と、第1のボリュームデータの画素値と第2のボリュームデータの画素値とに対してそれぞれ乗じる重みの関係を示す。nMask1は、第1のボリュームデータにおけるマスク領域を有するスライス1枚の厚みに、マスク領域を有するスライス枚数を乗じたものである。nMask2は、第2のボリュームデータにおけるマスク領域を有するスライス1枚の厚みに、マスク領域を有するスライス枚数を乗じたものである。FOV(Field of view)は、撮像視野111である。
【0044】
Weightは、第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13と第1加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23との和からマスク領域を減算した加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)のZ方向の長さに対する重みを表している。すなわち、加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)とは、加重加算する画素列の集合である。注目画素を通りZ方向に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)における画素列の長さ(D)は、第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)13と第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)23との和からマスク領域(nMask1とnMask2)を減算して得られる。Wt1は、第1のボリュームデータの画素値に乗じる重みである。Wt2は、第2のボリュームデータの画素値に乗じる重みである。Z方向に対する重みWt1、Wt2は、一例として線形で与えられており、図8のフローチャートと対応している。網掛けの領域は、オーバーラップするボリュームデータのうち、一方のボリュームデータがマスク領域である領域を示している。このときの重みは、マスク領域を有するボリュームデータの画素値には0を、他方のボリュームデータの画素値には1を与える。Dは、注目画素から、第2中間スライス面に向かってZ方向に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第2長さである。画素列の長さ(D)対する第2長さ(D)の割合に基づいて、注目画素と同座標を有する第1のボリュームデータにおける画素の画素値に乗じる第1の重み(Wt1=D/D)が得られる。Dは、注目画素から第1中間スライス面に向かって上記垂直な方向(Z方向)に沿った加重加算対象範囲(fMaxWtSumLen)の境界までの第1長さである。画素列の長さ(D)に対する第1長さ(D)の割合に基づいて、注目画素と同座標を有する第2のボリュームデータにおける画素の画素値に乗じる第2の重み(Wt2=D/D)が得られる。第1の重みと第2の重みの和は、1である(Wt1+Wt2=1)。また、第1長さ(D)と第2長さ(D)の和は、画素列の長さ(D)である(D+D=D)。なお、それぞれの重みの関係式は、第1の重みが(Wt1=(D−D)/D)、第2の重みが(Wt2=(D−D)/D)とも表せる。注目画素と同座標を有する第1のボリュームデータの画素値と第1の重み(Wt1)との積と、注目画素と同座標を有する第2のボリュームデータの画素値と第2の重み(Wt2)との積とを加算した値(加重加算値)を、注目画素の画素値に設定する。加重加算値は、注目画素ごとに設定される。
【0045】
なお、本実施形態は、ボリュームデータがX方向およびY方向に対してCT値の明らかな境界(段差)が生じているときにも適用可能である。また、本実施形態では、結合されるボリュームデータは2つに限定して説明してきたが、複数のボリュームデータを結合させてもよい。
【0046】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0047】
本X線コンピュータ断層撮影装置によれば、オーバーラップ領域を有するボリュームデータを結合する際、表示上使われないオーバーラップ領域の少なくとも一部のボリュームデータを用いて加重加算を行う。さらに、加重加算された画素のノイズレベルが、加重加算していない画素のノイズレベルに対して低下して、信号雑音比(SNR(signal to noise ratio))の不均一さにより見た目の高コントラストが生じる事態を避けるために、加重加算された画素に対してノイズを付加する。これにより、ボリュームデータの境界上におけるつなぎ目部分の段差を改善することができる。また、スライス面に対して垂直な方向(Z方向)に断続していた構造物や結合されるボリュームデータの画質の違いにより際立っていたボリュームデータ間の境界が滑らかとなり、円滑な診断ができる。さらに、ボリュームデータ間の境界において、上記垂直な方向(Z方向)に断続していた臓器や血管に代表される被検体の体内構造をたどることが、ボリュームデータをまたいで可能となる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
11…第1オーバーラップ(第1fOverLap)、12…第1段差判定用スライス(第1fCheckSliceLen)、13…第1加重加算用スライス(第1fMaxWtSumLen)、21…第2オーバーラップ(第2fOverLap)、22…第2段差判定用スライス(第2fCheckSliceLen)、23…第2加重加算用スライス(第2fMaxWtSumLen)、100…ガントリ、101…X線発生部、102…回転リング、103…エリア検出器、104…データ収集回路(DAS)、105…非接触データ伝送部、106…前処理部、107…駆動部、108…スリップリング、109…高電圧発生装置、110…ホストコントローラ、111…撮像視野、112…投影データ記憶部、113…計算部、114…再構成処理部、115…入力部、116…表示部、117…判定部、118…コリメーターユニット、119…結合部、120…天板、121…抽出部、122…重み発生部、123…ノイズ付加部、200…X線の焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、
前記エリア検出器からの出力に基づいて、オーバーラップ領域を有する第1のボリュームデータおよび第2のボリュームデータを再構成する再構成処理部と、
前記第1のボリュームデータから前記オーバーラップ領域内または近傍の複数の第1スライス画像を抽出し、前記第2のボリュームデータから前記オーバーラップ領域内または近傍の複数の第2スライス画像を抽出する抽出部と、
前記複数の第1スライス画像のスライス面に垂直な方向に沿った画素値の加算値又は平均値と、前記複数の第2スライス画像における該垂直な方向に沿った画素値の加算値又は平均値との差分値又は該差分値の絶対値を、前記画素値を含む画素列ごとに計算する計算部と、
前記差分値又は前記差分値の絶対値が所定の範囲に含まれるか否かを前記画素列ごとに判定する判定部と、
前記第1、第2のボリュームデータを位置整合して結合するものであって、前記オーバーラップ領域内の画素各々の画素値を、前記第1、第2のボリュームデータの画素値の一方の値と、前記第1、第2のボリュームデータの画素値から導出される値とのいずれかに前記判定結果に従って選択的に設定する結合部と、
を具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記結合部は、前記差分値又は前記差分値の絶対値が前記所定の範囲に含まれると判定された前記画素列の画素の画素値を、前記第1のボリュームデータの画素値と前記第2のボリュームデータの画素値とをそれぞれ第1の重みと第2の重みとで加重加算した値として設定し、該第1の重みとして、該オーバーラップ領域における前記垂直方向に沿った画素列の長さに対する、該画素から該第2のボリュームデータを2等分する第2中間スライス面に向かって該垂直方向に沿った前記オーバーラップ領域の境界までの長さの割合に応じた該第1の重みを発生し、該第2の重みとして、該画素列の長さに対する、該画素から該第1のボリュームデータを2等分する第1中間スライス面に向かって該垂直方向に沿った該境界までの長さの割合に応じた該第2の重みを発生する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記差分値又は前記差分値の絶対値が前記所定の範囲に含まれないと判定された前記画素列の画素の画素値を、該画素から前記垂直方向に沿った前記第1、第2中間スライス面までの距離が短い前記第1又は前記第2のボリュームデータの画素値に設定する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記結合部は、前記差分値又は前記差分値の絶対値が所定の範囲に含まれると判定された前記画素列の画素の近傍画素に対して、該判定結果を適用する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記近傍画素のノイズに基づいて、前記導出される値にノイズを付加するノイズ付加部、をさらに備える請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記ノイズ付加部は、ディジタルフィルタによってノイズを付加する請求項5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−72400(P2011−72400A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225025(P2009−225025)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】