説明

X線診断装置及びX線診断システム

【課題】カテーテル等を使った手術のトレーニングを実際の治療と同様の状況で実施可能とすること。
【解決手段】X線診断装置は、寝台13と、X線発生部11と、X線検出部11と、X線発生部とX線検出部とを移動可能に支持する支持部12と、X線発生部からのX線発生をトリガするX線照射スイッチ21と、X線発生部とX線検出部とを移動操作するための操作部22と、X線検出部の出力に基づいて画像を発生する画像発生部14と、寝台の近傍に配置される画像を表示する表示部24と、シミュレーションの期間において、X線照射スイッチの操作と操作部の操作とに従って、記憶されたデータからシミュレーション画像を発生するシミュレーション画像発生部33とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線診断装置及びX線診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤ又はカテーテルを用いた血管内治療は、脳・頸動脈・心臓・下肢などの血管を対象として広く行われている。このカテーテル術は、患者に対する侵襲度が小さい。しかし、カテーテル術を習得することは難しい。
【0003】
近年のX線コンピュータトモグラフィ(CT)に関する技術発展は、CT画像を血管診断に応用する機会を拡大している。このため医師は、血管内造影検査で腕を磨く機会が減ってきている。このため、ある学会は、トレーニング不足の医師の増加を危惧している。
【0004】
ガイドワイヤ又はカテーテルのトレーニング用シミュレーションシステムは、トレーニング不足を解消することを目的として開発された。シミュレーションシステムは、CTで発生された血管の三次元ボリュームデータを読み込む。シミュレーションシステムは、術者がカテーテルを操作した距離と回転量に応じたカテーテル画像を、三次元ボリュームデータに由来する投影画像に合成し、表示する。さらにガイドワイヤが三次元ボリュームデータの血管領域外に出た場合は、モニタに警告を発する機能をも有する。例えば、非特許文献1が参照され得る。
【0005】
シミュレーションシステムは、1台のコンピュータで提供されるため、それ自体は良い性能を有している。しかし、コンピュータを操作する状況は、医師が本番で患者を目の前にして使用する状況とは明らかに相違する。
【0006】
そのため従来のシミュレーションシステムは、トレーニング性能は低いと言える。
【非特許文献1】“COMPUTATIONAL BIOMECHANICS”, RIKEN SYMPOSIUM, 7 MARCH 2006,理化学研究所(RIKEN), pp. 174-181
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、カテーテル等を使った手術のトレーニングを、実際の治療と同様の状況で実施可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面は、X線診断装置は、寝台と、X線発生部と、X線検出部と、X線発生部とX線検出部とを移動可能に支持する支持部と、X線発生部からのX線発生をトリガするX線照射スイッチと、X線発生部と前記X線検出部とを移動操作するための操作部と、X線検出部の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、寝台の近傍に配置される画像を表示する表示部と、シミュレーションの期間において、X線照射スイッチの操作と操作部の操作とに従って、記憶されたデータからシミュレーション画像を発生するシミュレーション画像発生部とを具備するX線診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カテーテル等を使った手術のトレーニングを、実際の治療と同様の状況で実施可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、X線診断装置又はX線診断システムとして提供される。本実施形態のX線診断装置は、シミュレーション装置の一部分(シミュレーション部)を有する。シミュレーション装置は、シミュレーション部と、X線診断装置の一部分とから完成される。本実施形態のX線診断システムは、X線診断装置とシミュレーション装置とから構成される。シミュレーション装置の一部分は、X線診断装置の一部分と共用される。
【0011】
以下、具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るX線診断装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すX線診断装置は、X線診断を行うためのX線診断部10と、トレーニングのためのシミュレーションを行うためのシミュレーション部30と、X線診断部10とシミュレーション部30とに共用される共用部20と、を備えている。
【0012】
X線診断部10は、X線管球及び検出器11と、支持器12と、寝台13と、画像発生部14とを有している。X線管球は、X線を発生する。検出器は被検体を透過したX線を検出する。なお、検出器は、例えば、I.I.(イメージインテンシファイア)又は固体検出器である。支持器12は、X線管球と検出器とを支持する。検出器はX線管球に対向する。寝台13は、患者を搭載すると共に、上下水平方向に移動可能である。画像発生部14は、検出器の出力に基づいて画像のデータを発生する。
【0013】
共用部20は、X線照射スイッチ21と、支持器操作部22と、寝台操作部23と、表示部24と、X線条件設定部25と、システムパラメータ記憶部26と、患者情報読込及び記憶部27とを備えている。ここで、本実施形態に係るX線診断装置は、例えば、切り換えスイッチや選択スイッチなどで、「シミュレーションモード」と「X線診断モード」のいずれかの動作モードを選択できるようにしてある。具体的には、「シミュレーションモード」の際には、共用部20からの信号はシミュレーション部30に送られるように動作し、「X線診断モード」の際には、共用部20からの信号はX線診断部10に送られるように動作する。なお、共用部20の各部の詳細については、後述する。
【0014】
シミュレーション部30は、トレーニングボックス31と、デバイス情報記憶部32と、シミュレーション画像発生部33と、3Dデータ読込及び記憶部34とを備えている。
トレーニングボックス31は、図6に例示するように、マイクロカテーテルやガイドワイヤなどのデバイスを使った手術を医師が模擬的に行う模型である。トレーニングボックス31は、カテーテルやガイドワイヤを挿入する挿入口を有する。トレーニングボックス31は、挿入口から挿入したカテーテル等の進入距離、進入方向、軸回転角度を検出する機能を有している。デバイス情報記憶部32は、トレーニングボックス31に対して挿入されるカテーテル等のデバイスの種類、長さ、太さ、硬さ、メーカ名、在庫などを記憶する部分である。3Dデータ読込及び記憶部34は、予め取得した患者の3Dデータ(例えば、CTやMRIのデータ)を読み込んで記憶する。
【0015】
シミュレーション画像発生部33は、支持器12による撮影角度(projection angle)、支持器12によるSID(管球検出器間距離)、トレーニングボックス31で検出したカテーテル等の進入距離、トレーニングボックス31で検出したカテーテル等の進入方向、及びトレーニングボックス31で検出したカテーテル等の軸回転角度に基づいて、カテーテル等の投影画像(カテーテル画像)を発生する。また、シミュレーション画像発生部33は、支持器12による撮影角度と支持器12によるSIDとに対応する投影処理により、3Dデータ読込及び記憶部34の3Dデータから被検体に関する投影画像を発生する。さらに、シミュレーション画像発生部33は、カテーテル画像と投影画像とを合成して、シミュレーション画像を発生する。図7にシミュレーション画像の例を示す。
【0016】
CT画像を元画像として用いる場合に、造影剤の動脈注入に相当する範囲のCT値のみの画像を表示することが好ましい。これにより、CT診断装置だから出せる画像を出すのではなく、実際にX線診断部10で観察可能なレベルのコントラストを有する血管のみ表示することができる。また、表示するレベルを自由に切り替えられることが好ましい。すなわち、例えば完全閉塞において、閉塞部を表示する/しない、が選択できるようにする。
【0017】
以下、具体的に、共用部20について、各部の詳細を説明する。基本的に、共用部20の各部は、X線診断部10と、シミュレーション部30とで共用されており、これにより、シミュレーションモード下での訓練を、診断時と同様の環境で行い得る。X線照射スイッチ21は、診断モードと、シミュレーションモードとで兼用される。つまり、X線診断モード下では、X線照射スイッチ21が押されている期間、X線が発生され、被検体を透過したX線が検出され、X線画像が発生され、その画像が即時的に表示される。一方、シミュレーションモード下では、X線照射スイッチ21が押されている期間、トレーニングボックス31で検出したカテーテルの進入距離等と支持器12による撮影角度とに基づいて画像処理によりカテーテル画像が発生され、また記憶部34に記憶された3Dデータから支持器12による撮影角度に基づいて投影画像が発生され、それらカテーテル画像と投影画像との合成処理によりシミュレーション画像が発生される。
【0018】
支持器操作部22は寝台13近傍に配置され、Cアーム12の移動及び回転を操作するために設けられる。支持器操作部22は、診断モードと、シミュレーションモードとで兼用される。寝台操作部23は、天板スライドを操作するために設けられる。寝台操作部23は、診断モードと、シミュレーションモードとで兼用される。表示部24は、診断時に画像を表示するために設けられ、シミュレーションモード下においてシミュレーション画像の表示にも兼用される。X線条件設定部25は、管電圧等のX線条件を設定するために設けられ、シミュレーションモード下においてX線条件の設定にも兼用される。
【0019】
図2は、X線診断装置の主要部のX線診断室の配置例を示す図である。図2には、共用部20のうち、X線照射スイッチ21、支持器操作部22、寝台操作部23、表示部24が示されている。診断モード下だけでなく、シミュレーションモード下においても、支持器(Cアーム)12及び寝台13が、支持器操作部22及び寝台操作部23の操作に従って移動回転する。
【0020】
この場合において、X線診断部10の支持器12(保持器、アーム)は、シミュレーション部30と連動して回転・移動するが、シミュレーション部30で視点方向を変更すると、支持器12が対応する角度に回転する。また、シミュレーション部30でSID(X線源と検出器との距離:Source Image Distance)を変更すると、支持器12がSIDを変更するように動く。なお、この連動した回転・移動は、詳細は後述するシミュレーションモードによって、ON/OFFすることができる。なお、実際の支持器12が機械的に回転できない角度にシミュレーション部30で視点を変更された場合は、回転できないことを通知することが好ましい。
また、X線診断部10の寝台13は、シミュレーション部30と連動して移動するように構成されており、シミュレーション部30で動かすと、寝台13が対応するだけ動く。なお、この連動した移動は、シミュレーションモードによって、ON/OFFすることができる。
【0021】
更に、トレーニングシミュレータ時に、誤ってX線照射をしないように、「X線照射モード」と「シミュレーションモード」を切り替えるスイッチが、支持器操作部22またはX線条件設定部25に装備される。図8に示すように、モード切り替えスイッチの操作により、「X線照射モード」と「シミュレーションモード」とを簡易に切り替えることができる。シミュレーションモード下では、シミュレーション部30は患者情報及びCTの3Dデータを入力する。また、シミュレーション部30は、撮影プロトコルを入力し、計算パラメータを設定する。
【0022】
トレーニングシミュレータとしての「シミュレーションモード」の際には、X線診断部10の制御は行わない。具体的には、X線管球からのX線の発生もなく、検出器も動作しない。この「シミュレーションモード」には数種類のモードがある。「シミュレーションモード」として、少なくとも3つのモードを備えており、「フルモード」と「セーフモード」と「サイレントモード」とを有する。
ここで、「フルモード」は、図3に示すように、X線の発生及び検出関係以外のすべての動作を行うモードであって、X線診断部10とシミュレーション部30が連動して、これは通常のトレーニングに利用されるモードである。このモードでは、X線管球及び検出器11によるX線の発生や検出器の動作はないが、支持器(Cアーム)12は回転し、寝台13は移動する。なお、擬似X線照射音は鳴るようにしている。
「セーフモード」は、例えば、X線診断装置の診断室内で、他のスタッフが存在している場合などにおいて、機械的な動作を行うことが好ましくない場合、すなわち、支持器12や寝台13の機械的な移動(動作)が好ましくない場合に利用されるモードである。この場合には、X線診断部10の各パラメータは取り込まれ、かつ音や照明の連動もX線照射モードの場合と同様に行われるが、支持器12や寝台13の機械的な移動だけは行わない。
【0023】
「サイレントモード」は、患者が目の前にいる状態で、かつ患者に知られずに、なおトレーニングが必要な場合に用いられるモードであって、図4に示すように、音は出ずかつ照明の連動も行われず、X線管球及び検出器11によるX線の発生や検出器の動作も、支持器12や寝台13の移動もない。また、X線照射音は鳴らないようになっている。
【0024】
X線照射スイッチ21は、「X線照射モード」の際にはX線照射信号を出力し、「シミュレーションモード」の際にはシミュレータ画像を表示する信号を出力する。この場合において、シミュレーション部30専用の模擬X線照射スイッチを備えることが好ましく、シミュレーションモードの際には本当のX線照射スイッチは無効となり、X線は出ない。従って、通常、X線診断室では、X線を照射すると、該室の出入り口に設けられた「X線照射中」のランプが点灯するが、シミュレーションモードの時には点灯しないようにしている。
【0025】
なお、X線を照射するとX線診断室内の照明が暗くなるように設定してある施設があるが、シミュレーションモードの時にも同様に暗くなるようにできることが好ましい。
【0026】
支持器操作部22の操作により、「X線照射モード」、「シミュレーションモード」に関わらず、支持器12が移動する。また、寝台操作部23の操作により、「X線照射モード」、「シミュレーションモード」に関わらず、寝台13が移動する。なお、「シミュレーションモード」のサイレントモードでは、支持器操作部22や寝台操作部23の操作にも関わらず、支持器12や寝台13は移動しない。
【0027】
表示部24は、透視モニタを備え、該透視モニタに、シミュレータ画像を表示する。付帯情報の表示方法は、そのX線診断室に備え付けのX線診断部の表示方法と類似とする。例えば、画面の左に条件が表示されるX線診断部を備えたX線診断室では、シミュレータでも条件を左に表示し、アイコンも同じようなアイコンにする。
【0028】
このように、画面表示は、そのX線診断室に備え付けられたX線診断部と同じように表示することが好ましい。すなわち、図5に示すように、例えばふたつのX線診断室が隣にならんで配置されている病院に、同じシミュレータを導入した場合において、例えば、X線診断室1でX線システムの付帯情報(現在のX線条件などが表示される)表示が左側に表示される場合には、シミュレーション部30の付帯情報表示も左側に表示され、X線診断室2でX線システムの付帯情報表示が右側に表示される場合には、シミュレーション部30の付帯情報表示も右側に表示される。
【0029】
X線条件設定部25は、X線条件設定を行う。X線条件設定は、管電圧(kV)、管電流(mA)、照射時間(msec)、パルスレート、補償フィルター、コリメーターを含む。
【0030】
モード切替スイッチは、X線照射モードとシミュレーションモードとの切り替え専用のスイッチであって、例えば、寝台13のレールに取り付け取り外し可能な幾何学形状とする。
【0031】
システムパラメータ記憶部26は、システム構成、プロトコル、支持器12回転可動範囲、支持器12移動速度、画像処理方法(画質)、検出器情報(ピクセルサイズ)、パルスレート、検出器サイズ、FOV(視野サイズ:Field OF View)、画素サイズ、フレームレート、SID範囲、mA、msec、kV、補償フィルター、コリメーター、寝台13可動範囲、等のパラメータの少なくともひとつを記憶する。
【0032】
この場合において、シミュレーション部30は、システムパラメータ記憶部26から必要な情報を読み込み、読み込んだ情報を元に内部パラメータを変更する。そして、シミュレーション部30は読み込んだ情報を元に、オペレーターに対し、選択可能なパラメータ、および選択可能な候補(限度、範囲)を提示する。なお、システムパラメータ記憶部26は、X線診断室ごと(すなわち、X線診断装置ごと)に異なるシステムパラメータを記憶する。例えば検出器がII(イメージインテンシファイヤ)かFPD(平面検出器)かで、シミュレーション時の画面は丸くあるいは四角く表示するといったように、使用されるX線診断部に応じたパラメータを記憶するようにしている。
【0033】
患者情報読込及び記憶部27は、X線診断装置に読み込み済みの検査予約情報を読み取り、検査予約情報中の患者IDを参照し、該当するボリュームデータをサーバーから読み込んで、記憶する。これにより、患者情報をシミュレーション部30で、参照しながらトレーニングを行うことができる。
【0034】
なお、X線診断部10が2系統の診断系を有するシステム(バイプレーンシステム)の場合には、シミュレーション部30は2方向の画像を表示することが好ましい。
さらに、図示しない登録手段を有し、シミュレーション部30が読み込んだ過去の画像と、X線診断部10で診断された現在画像との、位置合わせをすることが好ましい。
【0035】
上記のように構成された本実施形態に係るX線診断装置の動作の概略を説明する。
X線診断部10とシミュレーション部30の電源を投入すると、X線診断装置が起動する。この場合において、共用部20は、X線診断部10或いはシミュレーション部30のいずれの電源と連動していても良い。また、X線診断部10とシミュレーション部30の電源を共通にしても良いが、別々とした方が好ましい。
【0036】
X線診断装置が起動したら、続いて、図示しない病院情報システムを用いてX線診断部10に患者情報を読み込む。シミュレーション部30は、X線診断部10に患者情報を読み込まれたのを検知し、患者情報を3Dデータ読込及び記憶部34にコピーする。シミュレーション部30は、第一番目に治療が予定されている患者の患者IDをもとに、画像データベースから該当患者の最新のCT画像をサーチし、ボリュームデータを病院情報システムからダウンロードする。患者情報に治療計画情報が記載されていた場合には、シミュレーション画像発生部33は、治療計画情報を元に使用予定カテーテルサイズや使用予定ステントなどの情報を得て、デバイス情報記憶部32を参照して自動的に内部パラメータを設定する。また、X線診断室の番号から、システムパラメータ記憶部26を参照して、X線診断部10のパラメータ情報を設定する。
【0037】
そして、医師は、治療計画を確認した後に、X線診断室内のモード切替スイッチで、動作モードを「シミュレーションモード」にセットする。そして、X線を照射せずに、トレーニングを行う。トレーニングにおいては、X線診断部10の、X線照射スイッチ、X線システム操作(アームの移動、視野の選択など)、X線画像表示画面、X線寝台13、をそのまま用いて、例えば、「フルモード」でシミュレーションをおこなう。この場合に、当該X線診断室のX線診断部10の、検出器サイズ、画素サイズ、フレームレート、X線照射幅、X線質、画質特性、支持器12の機械的回転限度範囲、などがシミュレーション部30に反映される。このシミュレーションモードにおいては、医師の操作により、スイッチを押すと画像が表示され、支持器12は回転し、寝台13は移動し、X線照射音は鳴り、照明も連動して暗くなるが、X線照射中の警告ランプは消灯している。
【0038】
上記のようにして、トレーニングが終了したら、患者の準備が整い患者が入室した時点で、医師はモードを「X線診断モード」に切り替え、患者の治療を行う。治療がはじまると、シミュレーション部30の3Dデータ読込及び記憶部34は自動的に次に予定されている患者情報を読み込み、画像をダウンロードし、次の患者のシミュレーションできる準備を整え、医師がトレーニングできるようにする。
【0039】
上記のように、本発明では、X線診断装置において、X線診断部10とシミュレーション部30との共用部20を設けて、実際の治療とほぼ同じ環境で行うことができるようにしたので、シミュレーション時においても、カテーテル等のトレーニングを、実際の治療と同様の環境で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るX線診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1の支持器、X線照射スイッチ、支持器操作部、寝台、表示部の配置例を示す図である。
【図3】図3は本実施形態において、フルモード時における操作可能な部分を示す図である。
【図4】図4は本実施形態において、サイレントモード時における操作可能な部分を示す図である。
【図5】図5は本実施形態において、ふたつのX線診断室が隣にならんで配置されている場合における表示例を示す図である。
【図6】図6は、図1のトレーニングボックスを示す図である。
【図7】図7は、図1のシミュレーション画像発生部により発生されるシミュレーション画像の例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態において、X線診断モードとシミュレーションモードとの切り替えを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0041】
10…X線診断部、20…共用部、30…シミュレーション部、11…X線管球及び検出器、12…支持器、13…寝台、14…画像発生部、21…X線照射スイッチ、22…支持器操作部、23…寝台操作部、24…表示部、25…X線条件設定部、26…システムパラメータ記憶部、27…患者情報読込及び記憶部、31…トレーニングボックス、32…デバイス情報記憶部、33…シミュレーション画像発生部、34…3Dデータ読込及び記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する移動可能の天板を有する寝台と、
X線発生部と、
X線検出部と、
前記X線発生部と前記X線検出部とを移動可能に支持する支持部と、
前記X線発生部からのX線発生をトリガするX線照射スイッチと、
前記X線発生部と前記X線検出部とを移動操作するための操作部と、
前記X線検出部の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、
前記寝台の近傍に配置される前記画像を表示する表示部と、
シミュレーションの期間において、前記X線照射スイッチの操作と前記操作部の操作とに従って、記憶されたデータからシミュレーション画像を発生するシミュレーション画像発生部とを具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記シミュレーション画像発生部は、前記X線照射スイッチが押されている期間に前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記シミュレーション画像発生部は、前記X線発生部と前記X線検出部とによる撮影角度(projection angle)に従って前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記X線発生部のX線条件を設定するX線条件設定部をさらに備え、
前記シミュレーション画像発生部は、前記X線照射スイッチの操作と前記操作部の操作とともに、前記設定されたX線条件に従って、前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記X線条件は、管電圧、管電流、照射時間、パルスレート、補償フィルター、コリメーターの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記シミュレーション画像発生部は、前記設定されたX線条件に応じた明るさ及びコントラストで前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記シミュレーション画像発生部は、前記天板の位置に従って、前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項8】
カテーテル又はガイドワイヤを挿入する挿入口と、前記挿入口から挿入した前記カテーテル又はガイドワイヤの進入距離、進入方向、軸回転角度を検出する件部とを有する前記天板上に載置されるトレーニングボックスをさらに備え、
前記シミュレーション画像発生部は、前記トレーニングボックスで検出された進入距離、進入方向、軸回転角度に従って、前記シミュレーション画像を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記発生されたシミュレーション画像は、前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項10】
X線診断を行うためのX線照射モードと、シミュレーションを行うためのシミュレーションモードとの2つのモードを切り替えるための操作部を更に具備することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記操作部は、前記寝台に対して取り付け取り外し可能であることを特徴とする請求項10記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記シミュレーションモードは、X線照射以外のすべての操作が可能なフルモードと、フルモードに加え支持器と寝台の移動を禁止したセーフモードと、セーフモードに加え警告音の発生や照明の連動を禁止したサイレントモードとを有することを特徴とするX請求項10記載のX線診断装置。
【請求項13】
被検体を載置する移動可能の天板を有する寝台と、X線発生部と、X線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出部とを移動可能に支持する支持部と、前記X線検出部の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、前記寝台の近傍に配置される前記画像を表示する表示部とを有するX線診断装置と、
前記X線診断装置を使った手術のシミュレーションのための情報を発生するシミュレーション装置とを具備するX線診断システムにおいて、
前記シミュレーション装置を構成する一部分は、前記X線診断装置の一部分と共用されることを特徴とするX線診断システム。
【請求項14】
被検体を載置する移動可能の天板を有する寝台と、X線発生部と、X線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出部とを移動可能に支持する支持部と、前記X線検出部の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、前記寝台の近傍に配置される前記画像を表示する表示部とを有するX線診断装置と、
前記X線診断装置を使った手術のシミュレーションのための情報を発生するシミュレーション部とを具備するX線診断システムにおいて、
前記シミュレーション部は、前記X線診断装置の一部分とともにシミュレーション装置を構成することを特徴とするX線診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−110200(P2008−110200A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244327(P2007−244327)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】