X線診断装置
【課題】2焦点管球のような複雑なシステムが不必要であって、視覚処理系に負担が少なく、かつ立体視可能な画像を発生することができるX線診断装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線発生部と、X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、X線発生部とX線検出部とを移動可能に支持する支持機構と、支持機構を移動させる支持機構駆動部と、被検体に対する第1撮影位置と、第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とにX線検出部を移動させるために、支持機構駆動部を制御する移動制御部と、第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、第1、第2画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、第1、第2重畳画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【解決手段】本実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線発生部と、X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、X線発生部とX線検出部とを移動可能に支持する支持機構と、支持機構を移動させる支持機構駆動部と、被検体に対する第1撮影位置と、第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とにX線検出部を移動させるために、支持機構駆動部を制御する移動制御部と、第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、第1、第2画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、第1、第2重畳画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、視差画像を撮影することが可能なX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2方向からのX線撮影を行うことで、2方向にそれぞれ対応するX線画像(以下、視差画像と呼ぶ)を発生させることができる。視差画像を交互に表示するモニタと、視差画像の切り替えタイミングに同期して偏光の角度を切り替える偏光メガネ等とを用いること(以下、偏光シャッタ方式と呼ぶ)で、操作者に立体視可能に表示する技術がある。
【0003】
画像診断的介入治療(Interventional radiology:以下、IVRと呼ぶ)において、経皮的に血管中に挿入されたデバイス(カテーテル、焼灼器、ステント、バルーン、ガイドワイヤなど)をX線透視による立体視表示のもとで操作者が操作し治療する場合、以下のような問題がある。第1に、立体視表示させるために、2方向による透視像を発生する必要がある。このため、X線診断装置には2焦点管球などの複雑なシステムの搭載が必要となり、X線診断装置のコストが増大する問題がある。第2に、2方向からの透視による被検体への被曝量は、通常の1方向からの透視による被検体への被曝量に比べて、2倍となる問題がある。
【0004】
上記問題点を解決するために、以下のような技術がある。まず、予め2方向の血管画像などを予め撮影することで、立体視に用いられる視差画像が発生される。次いで、2方向のうち1方向から透視された透視画像を、発生された視差画像に重畳させて立体視可能に表示する技術がある。
【0005】
具体的には、2方向のうち1方向を操作者の左目の方向(以下、左目方向と呼ぶ)、他方を操作者の右目の方向(以下、右目方向と呼ぶ)とすると、まず、左目方向に関して、ディジタルサブトラクション血管造影(Digital Subtraction Angiography:以下、DSAと呼ぶ)画像が発生される(以下、左目用DSA画像と呼ぶ)。次いで、右目方向に関して、DSA画像が発生される(以下、右目用DSA画像と呼ぶ)。続いて、例えば左目方向において、被検体へのデバイスの挿入後にX線透視により発生された透視画像から、被検体へのデバイスの挿入前にX線撮影により発生されたX線画像を差分した画像(以下、左目用透視画像と及ぶ)が発生される。左目用透視画像を左目用DSA画像に重畳した重畳画像(以下、左目用重畳画像と呼ぶ)が発生される。最後に、左目用重畳画像と右目用DSA画像とが、立体視可能にモニタに表示される。
【0006】
上記技術によれば、IVRにおいて、血管は立体視可能に表示させることができる。加えて、操作者がデバイスを操作しているときのX線透視は1方向であるため、2方向からのX線透視による被検体へのX線の被曝量を半分にすることができる。
【0007】
しかしながら、上記技術では、左目用DSA画像に左目用透視画像が重畳されているが、右目用のDSA画像には透視画像が重畳されていないため、操作者の右目には透視画像の情報が入力されない。そのため、例えば、操作者が偏光シャッタ方式等でモニタを観察するとき、立体視可能に表示された画像における透視画像に関する部分は、操作者にとって明滅するように知覚される問題がある。加えて、上記透視画像に関する部分は、背景のDSA画像に比べて暗くなり不自然な見え方になる問題がある。
【0008】
また、DSA画像は操作者の両目に入力されて立体視可能に知覚されるが、透視画像は左目にのみ入力されるため、DSA画像の両眼視と透視画像の片眼視とが混在することになる。この両眼視と片眼視との混在は、操作者の視覚処理系に大きな負担を与える。これにより、上記技術では、操作者が疲れやすくなる問題がある。特に、数時間にわたって表示画像を観察しながら実行されるIVRの手技(治療やカテーテルの挿入など)において、操作者の視覚処理系への負担が大きい上記技術では、IVRの手技の終了まで操作者が耐えられない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−166135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、2焦点管球のような複雑なシステムが不必要であって、視覚処理系に負担が少なく、かつ立体視可能な画像を発生することができるX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線発生部と、前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出器とを移動可能に支持する支持機構と、前記支持機構を移動させる支持機構駆動部と、前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記X線検出部を移動させるために、前記支持機構駆動部を制御する移動制御部と、前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により第1透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態に係るX線診断装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係り、Cアームの移動方向の概略の一例を、直交3軸と被検体Pとともに示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係り、X方向から見た被検体Pに関するCRAおよびCAUとY方向から見た被検体Pに関するLAOおよびRAOとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【図7】図7は、本実施形態の第1の変形例に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の第2の変形例に係り、天板を傾けることによる第1、第2撮影位置と、透視位置との関係の一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態の第3の変形例に係り、天板を平行移動させることによる第1、第2撮影位置と、透視位置との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、本実施形態の第4の変形例に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態の第4の変形例に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【図12】図12は、本実施形態の第5の変形例に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本実施形態の第5の変形例に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るX線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
図1は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成を示している。X線診断装置1は、X線発生部3と、X線検出部5と、支持機構7と、支持機構駆動部9と、天板11と、天板駆動部13と、位置決定部15と、移動制御部17と、画像発生部19と、画像記憶部21と、表示部23と、入力部25と、システム制御部27とを有する。
【0015】
X線発生部3は、図示していないX線管と高電圧発生部とを有する。高電圧発生部は、X線管に供給する管電流と、X線管に印加する管電圧とを発生する。高電圧発生部は、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管に供給し、X線撮影およびX線透視各々にそれぞれ適した管電圧をX線管に印加する。X線管は、高電圧発生部から供給された管電流と、高電圧発生部により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下管球焦点と呼ぶ)からX線を発生する。
【0016】
X線検出部5は、X線発生部3から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出部5は、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detecter:以下、FPDと呼ぶ)を有する。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、X線検出部5として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。
【0017】
前処理部は、X線検出部5から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理とは、X線検出部5におけるチャンネル間の感度不均一の補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等である。前処理されたディジタルデータは、後述する画像発生部19に出力される。
【0018】
支持機構7は、X線発生部3とX線検出部5とを移動可能に支持する。具体的には、支持機構7は、例えば、図示していないCアームとCアーム支持部とを有する。Cアームは、X線発生部3とX線検出部5とを、互いに向き合うように搭載する。なお、Cアームに代わりにΩアームが用いられてもよい。Cアーム支持部は、そのC形状に沿う方向(以下、第1方向と呼ぶ)に、Cアームをスライド可能に支持する。また、Cアーム支持部は、CアームとCアーム支持器との接続部を中心として、第1方向に直交する方向(以下、第2方向と呼ぶ)に回転可能にCアームを支持する。なお、Cアーム支持部は、後述する天板の横手方向(以下、X方向と呼ぶ)と長手方向(以下、Y方向と呼ぶ)とに平行移動可能にCアームを支持することも可能である。
【0019】
図2は、Cアームの移動方向の概略の一例を、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)と被検体Pとともに示す図である。図2において、第1方向は、第1斜位(Right Anterior Oblique view:以下、RAOと呼ぶ)と第2斜位(Left Anterior Oblique view:以下、LAOと呼ぶ)とで示されている。第2方向は、頭の方向(CRAnial:以下、CRAと呼ぶ)と尾の方向(CAUdal:以下、CAUと呼ぶ)とで、示されている。なお、RAO、LAO、CRA、CAUは、角度で表される。図2のX軸は、天板の横手方向(X方向)である。図2のY軸は、天板の長手方向(Y方向)である。
【0020】
支持機構駆動部9は、後述する移動制御部17の制御のもとで、支持機構7を駆動する。具体的には、支持機構駆動部9は、移動制御部17からの制御信号に応じた駆動信号をCアーム支持部に供給して、Cアームを第1方向(LAOまたはRAO)にスライド、第2方向(CRAまたはCAU)に回転させる。
【0021】
X線透視時およびX線撮影時においては、X線発生部3とX線検出部5との間に、天板11に載置された被検体Pが配置される。
【0022】
天板駆動部13は、後述する移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、天板11を移動させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の横手方向(図2のX方向)または天板11の長手方向(図2のY方向)に、天板11をスライドする。また、天板駆動部13は、鉛直方向(図2のZ方向)に関して、天板11を昇降する。加えて、天板駆動部13は、長手方向と横手方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸(図2のX軸、Y軸)として、天板11を傾けるために天板11を回転する。
【0023】
位置決定部15は、後述する入力部25により入力された被検体Pの透視位置と基準位置と予め設定された所定の視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。基準位置とは、例えば、図2における直交3軸の原点である。視差角は、立体視可能範囲により小さい角度範囲である。具体的には、視差角は、基準位置に対する第1撮影位置と第2撮影位置とにより挟まれる角度である。所定の視差角は、図示していない記憶部に予め記憶される。なお、所定の視差角は、後述する入力部25を介して入力可能である。また、所定の視差角は、後述する立体視画像発生機能において、適宜変更可能である。なお、所定の視差角の代わりに、第1撮影位置と透視位置との距離(以下、第1距離と呼ぶ)と、第2撮影位置と透視位置との距離(以下、第2距離と呼ぶ)とが用いられてもよい。
【0024】
立体視可能範囲とは立体視可能な視差角の範囲である。すなわち、異なる2つ撮影位置でX線撮影されることにより発生された2つのX線画像が、操作者に立体視として認識される角度範囲である。なお、角度範囲の代わりに、2つの異なる撮影位置間の距離であってもよい。この角度範囲は、例えば、第1撮影位置において管球焦点とFPDの中心とを結ぶ直線と、第2撮影位置において管球焦点とFPDの中心とを結ぶ直線とで挟まれた角度が、0.2°乃至20°となる角度範囲である。
【0025】
具体的には、位置決定部15は、所定の視差角内に透視位置を包含し、基準位置に対する第1、第2撮影位置により挟まれる角度が所定の視差角となるように第1、第2撮影位置を決定する。以下、説明を簡単にするため、透視位置、第1、第2撮影位置には、X線検出部5が移動されるものとする。より詳細には、X線検出部5におけるFPDの中心(以下、FPD中心と呼ぶ)が移動されるものとする。具体的には、立体視可能範囲は、例えば、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点を透視位置とし、第1方向(RAOとLAO)における角度の最大値と最小値とで与えられる。なお、立体視可能範囲は、透視位置を起点として、第2方向(CRAとCAU)における角度の最大値と最小値とで与えられてもよい。上記角度範囲の例では、最小値は0.2°であって、最大値は20°である。以下、説明を簡単にするため、透視位置は、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点にあるとする。また、RAO方向の角度とLAOの角度、またはCRAの角度とCAUの角度は、説明を簡単にするため同じ角度とする。すなわち、透視位置は、視差角の中心に位置するものとする。なお、透視位置は、視差角内ならば、どこに位置していてもよい。
【0026】
図3(a)は、X方向から見た被検体Pに関するCRAとCAUとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。図3(b)は、Y方向から見た被検体Pに関するRAOとLAOとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。以下、説明を簡単にするために、第1撮影位置はLAO方向の角度で規定される位置であり、第2撮影位置はRAO方向の角度で規定される位置であるものとする。なお、LAOの代わりにCRAとし、RAOの代わりにCAUであってもよい。例えば、後述する入力部25を介して、立体視の角度範囲として4°が入力された場合、LAO方向の角度およびRAO方向の角度はともに2°である。位置決定部15は、決定した第1、第2撮影位置、および透視位置の位置情報を後述する画像発生部19へ出力する。なお、視差角が4°であってLAO方向の角度とRAO方向の角度とが2°である場合、操作者は、自然に立体視観察できる。
【0027】
移動制御部17は、支持機構7の回転により第1、第2撮影位置および透視位置にFPD中心を位置させるために、支持機構駆動部9を制御する。具体的には、移動制御部17は、位置決定部15により決定された第1撮影位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置にFPD中心が到達したことを契機として、被検体PのX線撮影が可能であることを示す信号(以下、撮影可能信号と呼ぶ)を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0028】
移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、位置決定部15により決定された第2撮影位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置にFPD中心が到達したことを契機として、撮影可能信号を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0029】
移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、透視位置にFPD中心が到達したことを契機として、撮影可能信号を、後述するシステム制御部27に出力する。なお、移動制御部17は、透視位置へのFPD中心の到達または透視位置でのX線撮影の実行終了を契機として、被検体Pに対するX線透視が可能であることを示す信号(以下、透視可能信号と呼ぶ)を、後述するシステム制御部27に出力してもよい。
【0030】
画像発生部19は、第1撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第1画像を発生する。画像発生部19は、第2撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第2画像を発生する。画像発生部19は、透視位置でX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第3画像を発生する。
【0031】
画像発生部19は、透視位置においてX線透視された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、透視画像を発生する。画像発生部19は、後述する入力部25を介してX線透視の終了に関する操作が入力されるまで、所定の時間間隔で、または略連続的に透視画像を発生してもよい。画像発生部19は、透視画像の発生ごとに、透視画像から第3画像を差分した差分画像を発生する。差分画像は、例えばデバイスの画像(以下、デバイス画像と呼ぶ)である。
【0032】
画像発生部19は、後述する表示部23での表示における輝度(透過度)を調整するために、第1画像に第1係数R1を乗算した第1乗算画像を発生する。画像発生部19は、後述する表示部23での表示における輝度(透過度)を調整するために、第2画像に第2係数R2を乗算した第2乗算画像を発生する。画像発生部19は、第1乗算画像に差分画像を重畳させた第1重畳画像を発生する。画像発生部19は、第2乗算画像に差分画像を重畳させた第2重畳画像を発生する。
【0033】
なお、画像発生部19は、図示していないインターフェースを介して接続された心電計から出力されたECG(ElectroCardioGram)信号を用いて、第1、第2画像および、差分画像の心位相を一致させて、第1、第2重畳画像を発生することも可能である。なお、この時、ECGゲート法(ElectroCardioGram trigger method)を用いてもよい。
【0034】
なお、画像発生部19は、第1撮影位置から第2撮影位置に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影された後に前処理されたディジタルデータセットに基づいて、複数の画像を発生してもよい。なお、画像発生部19は、透視位置を中心とした立体視可能範囲に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影された後に前処理されたディジタルデータセットに基づいて、複数の画像を発生してもよい。ディジタルデータセットとは、第1撮影位置から第2撮影位置に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影後に前処理された一連のディジタルデータの集合である。画像発生部19は発生された複数の画像のうち、後述する入力部25を介して選択された2つの画像各々に、差分画像を重畳させた2つの重畳画像を発生する。選択される2つの画像に関する視差角は、例えば、2°、4°、6°である。この時、画像発生部19は、重畳前に、選択された2つの画像各々に対して、それぞれ異なる係数(例えば、第1係数R1、第2係数R2など)を乗算させてもよい。
【0035】
また、画像発生部19は、発生された第1、第2重畳画像、または2つの重畳画像に対して、被検体Pにおける生体組織に対応した色情報を付加することも可能である。例えば画像発生部19は、上記重畳画像における血管に対応する画素に、後述する表示部25において赤色で表示するための色情報を付加する。また、例えば画像発生部19は、上記重畳画像における骨に対応する画素に、後述する表示部25において白色で表示するための色情報を付加する。
【0036】
画像記憶部21は、画像発生部19で発生された種々の画像を記憶する。具体的には、画像記憶部21は、第1撮影位置に対応する第1画像および第1乗算画像と、第2撮影位置に対応する第2画像および第2乗算画像と、透視位置に対応する第3画像および透視画像と、差分画像とを記憶する。画像記憶部21は、第1、第2重畳画像を記憶することも可能である。また、画像記憶部21は、第1撮影位置から第2撮影位置までの間に発生された複数の画像を記憶してもよい。
【0037】
表示部23は、画像発生部19で発生された透視画像を表示する。表示部23は、第1、第2重畳画像を、立体視可能に表示する。立体視可能に表示とは、例えば偏光シャッタ方式、レンチキュラレンズ等を用いた表示である。なお、表示部23は、グラスレス3次元モニタなどを有していてもよい。表示部23は、後述する入力部25を介した操作者の指示により、透視画像と、第1、第2重畳画像とを切り替え可能に表示することも可能である。なお、立体視可能な表示として、補色法が用いられてもよい。補色法で用いられる第1、第2重畳画像各々は、画像発生部19によりそれぞれ補色の関係にある色情報が付与される。
【0038】
入力部25は、操作者が所望するX線撮影の撮影条件およびX線透視の透視条件、透視位置、視差角、X線透視の開始と終了、立体視表示に用いられる2つの画像、透視画像の表示と第1、第2重畳画像の表示との切り替えなどを入力する。具体的には、入力部25は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線診断装置1に取り込む。透視位置とは、例えば、基準位置に対する角度で規定される。例えば、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点を透視位置とし、基準位置を図2の直交3軸の原点とすると、透視位置の角度は0°である。入力部25は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力部25は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を後述するシステム制御部27に出力する。なお、入力部25は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部25は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をシステム制御部27に出力する。
【0039】
なお、入力部25は、透視画像の表示と第1、第2重畳画像による立体視可能な表示とを切り替えるためのボタン(以下、血管立体視ボタンと呼ぶ)を有していてもよい。このとき、入力部25は、血管立体視ボタンの操作を契機として、表示部23に表示された透視画像を、第1、第2重畳画像に切り替えるための信号を、表示部23に出力する。なお、入力部25は、血管立体視ボタンの操作を契機として、第1、第2撮影位置におけるX線撮影を実行するための信号を、後述するシステム制御部27に出力してもよい。
【0040】
また、入力部25は、X線撮影を開始するための撮影スイッチを有していてもよい。このとき、入力部25は、撮影スイッチの操作を契機として、X線撮影を実行するためのトリガ信号を、後述するシステム制御部27に出力する。このとき、入力部23は、撮影スイッチの操作を契機として、図示していないインターフェースを介して接続された図示していないインジェクタに、被検体Pに造影剤を注入するための信号を出力してもよい。
【0041】
なお、入力部25は、被検体Pに挿入されたデバイスの立体視に関する画像を発生させるためのデバイス立体視ボタンを有していてもよい。入力部25は、デバイス立体視ボタンの操作を契機として、第1、第2撮影位置におけるX線撮影を実行するための信号を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0042】
また、入力部25は、表示画像入れ替えスイッチを有していてもよい。表示画像入れ替えスイッチとは、例えば左目用の画像としての第1重畳画像と、右目用の画像としての第2重畳画像とが交互に表示部23に表示される場合、表示画像入れ替えスイッチが操作者により操作されると、第2重畳画像が左目用の画像として、第1重畳画像が右目用の画像として交互に表示部23に表示される。
【0043】
システム制御部27は、図示していないCPU(Central Processing Unit)とメモリを備える。システム制御部27は、入力部25から送られてくる操作者の指示、撮影条件、透視条件などの情報を、図示していなメモリに一時的に記憶する。システム制御部27は、メモリに記憶された操作者の指示、撮影条件などに従って、X線撮影を実行するために、X線発生部3、移動制御部17などを制御する。具体的には、システム制御部27は、移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、第1、第2撮影位置、透視位置でX線撮影を実行するために、X線発生部3を制御する。システム制御部27は、移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視を実行するために、X線発生部3を制御する。
【0044】
なお、システム制御部27は、血管立体視ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、FPD中心を第1、第2撮影位置に配置するために、移動制御部17を制御してもよい。また、システム制御部27は、撮影ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、X線撮影を実行するために、X線発生部3を制御してもよい。
【0045】
また、システム制御部27は、デバイス立体視ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、第1、第2撮影位置へのFPD中心の移動と、第1、第2撮影位置でのX線撮影とを実行するために、移動制御部17とX線発生部3とを制御してもよい。
【0046】
(立体視画像発生機能)
立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2画像各々に、透視位置における透視画像から第3画像を差分した差分画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。なお、立体視画像発生処理は、操作者が立体視を所望するときのみ実行させることも可能である。
【0047】
図4は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0048】
天板11に載置された被検体に対するIVRの実行に先立って、透視位置が入力部25を介して入力される。次いで、FPD中心が、透視位置に移動される。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、透視位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、X線画像(第3画像)が発生される(ステップSa1)。第3画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0049】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される(ステップSa2)。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。なお、立体視撮影プログラムは、入力部25における血管立体視ボタンまたはデバイス立体視ボタンが操作者により操作されたことを契機として、起動されてもよい。以下、血管立体視ボタンが操作された場合について説明する。なお、デバイス立体視ボタンが操作された場合については、後程説明する。
【0050】
立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して視差角が入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される(ステップSa3)。なお、視差角は、図示していない記憶部に記憶された所定の角度(例えば4°)であってもよい。
【0051】
図5は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図5におけるCは、透視位置におけるFPDを示している。図5におけるLは、CからLAO方向(反時計回り)に(θ−δ)°回転したFPDを示している。図5のLにおけるFPD中心は、第1撮影位置である。図5におけるRは、CからRAO方向(時計回り)に(δ)°回転したFPDを示している。図5のRにおけるFPD中心は、第2撮影位置である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθである。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)である。以下、立体視撮影プログラムが起動されたときの管球焦点の位置は、図5のCであるとする。
【0052】
第1、第2撮影位置が決定されると、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSa4)。なお、被検体Pへの造影剤の注入は、撮影ボタンの操作に連動してもよい。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置(図5のC)から第1撮影位置(図5のL)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。
【0053】
移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像(第1画像)が発生される(ステップSa5)。第1血管造影画像は、骨などの背景および血管が撮影された画像である。第1血管造影画像は、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1血管造影画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0054】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置(図5のL)から第2撮影位置(図5のR)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。
【0055】
移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、第2撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第2血管造影像(第2画像)が発生される(ステップSa6)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。第2血管造影画像は、骨などの背景および血管が撮影された画像である。第2血管造影画像は、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2血管造影画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSa7)。
【0056】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置(図5のR)から透視位置(図5のC)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転の角度は、反時計回りにδ°である。
【0057】
透視位置にFPD中心が移動されると、IVRは再開され、X線透視が実行される。この時、具体的には、移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このX線透視により、透視画像が発生される。次いで、透視画像から第3画像を差分した差分画像が発生される(ステップSa9)。差分画像は、被検体に挿入されたデバイスに関する画像である。第1、第2乗算画像各々に差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSa10)。
【0058】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSa11)。例えば偏光シャッタ方式の場合、表示部23は、第1重畳画像を操作者の左目に入力させ、第2重畳画像を操作者の右目に入力させるように、第1、第2重畳画像を表示する。この時、操作者の近くの個人差によって、奥行き方向の立体感が、現実と同じになる操作者もいれば、立体感が逆転する操作者もいる。立体感が逆転する場合、入力部25に設けられた表示画像入れ替えスイッチが操作者により操作されると、表示部23は、第1重畳画像を右目に、第2重畳画像を左目に入力されるように、第1、第2重畳画像の表示パターンを変更する。操作者の左目と、右目とに入力される画像を入れ替えることで、個人差がある立体感の知覚を、現実と同じにすることができる。
【0059】
ステップSa11で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、骨および血管を立体的に知覚することができ、デバイスを平面的に知覚することができる。入力部23を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSa9乃至ステップSa11の処理が、繰り返される(ステップSa12)。
【0060】
以下、デバイス立体視ボタンが操作された場合について説明する。
【0061】
まず、IVRが停止される。次いで、入力部25のデバイス立体視ボタンが操作者により操作されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。第1撮影位置でX線撮影が実行され、第1撮影位置におけるX線画像が発生される。続けて、第2撮影位置にFPD中心が移動される。第2撮影位置でX線撮影が実行され、第2撮影位置におけるX線画像が発生される。第1撮影位置におけるX線画像と第2撮影位置におけるX線画像とが、立体視可能に表示部23で表示される。この表示により、操作者は、骨およびデバイスなどを立体的に知覚することができる。
【0062】
図6は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図6におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図6におけるL、C、Rは、後述する図7のL、C、Rと、後述する図8のL、C、Rと、後述する図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0063】
図6の(a)は、第1血管造影画像を示している。図6の(b)は、第2血管造影画像を示している。図6の(c)は、第3画像を示している。図6の(d)は、透視画像を示している。図6の(e)は、透視画像(d)から第3画像(c)を差分した差分画像(デバイス画像)を示している。図6のR1は、第1血管造影画像(a)に乗ずる第1係数である。図6のR2は、第2血管造影画像(b)に乗ずる第2係数である。図6の(f)は、第1乗算画像に差分画像(e)を重畳した第1重畳画像を示している。図6の(g)は、第2乗算画像に差分画像(e)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0064】
(第1の変形例)
上記実施形態との相違は、第1、第2撮影位置および透視位置へのFPD中心の移動を、支持機構7の平行移動により実行することにある。
【0065】
位置決定部15は、入力部23により入力された被検体Pの透視位置と第1距離と第2距離とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。なお、第1、第2距離は、後述する入力部25により適宜入力可能である。以下、説明を簡単にするため、第2距離は、第1距離と等しいものとする。第1距離と第2距離との和(以下、視差距離と呼ぶ)は、立体視可能範囲に対応し、例えば、1cm乃至10cmの範囲に設定される。第1、第2距離または視差距離は、図示していない記憶部に予め記憶される。なお、視差距離は、入力部25により入力されてもよい。また、第1、第2距離または視差距離は、入力部25を介して、適宜変更可能である。なお、第1、第2距離の代わりに視差角が用いられてもよい。
【0066】
移動制御部17は、支持機構7の平行移動により第1、第2撮影位置および透視位置にFPD中心を位置させるために、支持機構駆動部9を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に管球焦点を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置にFPD中心を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置にFPD中心を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。
【0067】
図7は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図7におけるCは、図5におけるCに対応し、透視位置におけるFPDを示している。図7におけるLは、図5におけるLと同じ画像を得るための位置である。図7におけるLは、具体的には、Cから横手方向に第1距離についてFPD中心を平行移動させた位置(第1撮影位置)である。図7におけるRは、図5におけるRと同じ画像を得るための位置である。図7におけるRは、具体的には、Cから横手方向に第2距離についてFPD中心を平行移動させた位置(第2撮影位置)である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθであり、視差距離に対応する。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)であり、第2距離に対応する。第1撮影位置と透視位置との視差角は、(θ―δ)であり、第1距離に対応する。
【0068】
(第2の変形例)
上記第1の変形例との相違は、管球焦点は固定され、第1、第2撮影位置および透視位置に天板11を移動させることにある。第1、第2撮影位置および透視位置は、管球焦点に対する相対的な位置である。以下、説明を簡単にするために、透視位置は、管球焦点に対向する位置とする。第1撮影位置は、X方向に沿って透視位置から第1距離について天板11を平行移動させた位置とする。第2撮影位置は、X方向に沿って透視位置から第2距離について天板11を平行移動させた位置とする。なお、天板11の移動方向は、長手方向(Y方向)であってもよい。
【0069】
位置決定部15は、入力部25により入力された被検体Pの透視位置と第1距離と第2距離とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。なお、第1距離の代わりに、透視位置と第1撮影位置との第1視差角(θ―δ)が用いられてもよい。また、第2距離の代わりに、透視位置と第2撮影位置との第2視差角δが用いられてもよい。以下、説明を簡単にするため、第2距離は、第1距離に等しいものとする。このとき、第2視差角δは、第1視差角(θ―δ)に等しくなる。
【0070】
移動制御部17は、天板11をスライドさせることにより第1、第2撮影位置および透視位置に天板11を移動させるために、天板駆動部13を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。
【0071】
天板駆動部13は、移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、第1、第2撮影位置、透視位置に、天板11を移動させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の横手方向(図2のX方向)に、天板11をスライドする。
【0072】
図8は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図8(a)は、図5、図7におけるCに対応し、透視位置におけるFPDを示している。図8(b)は、図5、図7におけるLと同じ画像を得るための位置である。具体的には、Cから横手方向に第1距離について天板11を平行移動させた位置(第1撮影位置)である。図8(c)は、図5、図7におけるRと同じ画像を得るための位置である。具体的には、Cから横手方向に第2距離について天板11を平行移動させた位置(第2撮影位置)である。第1撮影位置と透視位置との第1視差角は、(θ―δ)であり、第1距離に対応する。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)であり、第2距離に対応する。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角は、θであり、視差距離に対応する。
【0073】
(第3の変形例)
上記第2の変形例との相違は、天板11を傾けることにより、視差を発生させることにある。第3の変形例において、天板11を傾けるときの回転軸は、長手方向(Y方向)とする。なお、天板11の回転軸は、横手方向(X方向)であってもよい。以下、説明を簡単にするために、透視位置は、水平面とする。第1撮影位置は、水平面から(θ−δ)の角度を反時計回りに回転させた位置とする。第2撮影位置は、水平面からδの角度を時計回りに回転させた位置とする。
【0074】
位置決定部15は、入力部25により入力された被検体Pの透視位置と予め設定された所定の視差角とに基づいて、立体視可能範囲に、第1、第2撮影位置を決定する。
【0075】
移動制御部17は、天板11を回転させることにより第1、第2撮影位置に天板11を傾けるために、天板駆動部13を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。
【0076】
天板駆動部13は、移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、第1、第2撮影位置、透視位置に、天板11を回転させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の長手方向(図2のY方向)を回転軸として、天板11を回転する。
【0077】
図9は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図9(a)は、図5、図7、図8におけるCに対応し、透視位置における管球焦点に対向するFPDを示している。図9(b)は、図5、図7、図8におけるLと同じ画像を得るための位置である。具体的には、図9(b)は、CからRAO方向(時計回り)に(θ−δ)°回転し天板11を示している。図9(b)における傾けられた天板11の位置は、第1撮影位置である。図9(c)は、CからLAO方向(反時計回り)に(δ)°回転した天板11を示している。図9(c)における傾けられた天板11の位置は、第2撮影位置である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθである。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)である。
【0078】
(第4の変形例)
上記実施形態との相違は、第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、第1重畳画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に透視画像を重畳した画像を発生し、第2重畳画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に透視画像を重畳した画像を発生することである。
【0079】
画像発生部19は、被検体への造影剤の注入前に第1撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第1撮影位置におけるX線画像(以下、第1マスク画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、被検体への造影剤の注入前に第2撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第2撮影位置におけるX線画像(以下、第2マスク画像と呼ぶ)を発生する。
【0080】
画像発生部19は、第1血管造影画像から第1マスク画像を差分することにより、第1画像として、第1ディジタルサブトラクション血管造影画像(以下、第1DSA画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、第2血管造影画像から第2マスク画像を差分することにより、第1画像として、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像(以下、第2DSA画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、第1DSA画像に第1係数R1を乗じた第1乗算画像を発生する。画像発生部19は、第2DSA画像に第2係数R2を乗じた第2乗算画像を発生する。
【0081】
画像発生部19は、第1重畳画像として、第1乗算画像に透視画像を重畳した画像を発生する。画像発生部19は、第2重畳画像として、第2乗算画像に透視画像を重畳した画像を発生する。画像記憶部19は、第1、第2マスク画像、および第1、第2DSA画像、第1、第2乗算画像を記憶する。
【0082】
(立体視画像発生機能)
第4の変形例における立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に、透視位置における透視画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。なお、立体視画像発生処理は、操作者が立体視を所望するときのみ実行させることも可能である。
【0083】
図10は、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0084】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。IVRが実行されているときの管球焦点の位置は、透視位置であるとする。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して透視位置と視差角とが入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される。
【0085】
第1、第2撮影位置が決定されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。第1撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第1マスク画像が発生される。次いで、第2撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。第2撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第2マスク画像が発生される(ステップSb1)。発生された第1、第2マスク画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0086】
第2撮影位置におけるX線撮影の後、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSb2)。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像が発生される(ステップSb3)。第1血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0087】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第2撮影位置でX線撮影が実行される。このX線撮影により、第2血管造影画像が発生される(ステップSb4)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0088】
第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSb5)。第1血管造影像から第1マスク像を差分することにより、第1DSA画像が発生される(ステップSb6)。第1DSA画像は、血管が撮影された画像である。第1DSA画像は、例えば、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1DSA画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0089】
第2血管造影像から第2マスク像を差分することにより、第2DSA画像が発生される(ステップSb7)。第2DSA画像は、血管が撮影された画像である。第2DSA画像は、例えば、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2DSA画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0090】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される(ステップSb8)。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から透視位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにδ°である。
【0091】
移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このとき、IVRは再開される。X線透視により、透視画像が発生される(ステップSb9)。透視画像は、骨などの背景とデバイスとが撮影された画像である。第1、第2乗算画像各々に透視画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSb10)。
【0092】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSb11)。ステップSa10で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、血管を立体的に知覚することができ、骨などの背景とデバイスとを平面的に知覚することができる。入力部23を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSb9乃至ステップSb11の処理が、繰り返される(ステップSb12)。
【0093】
図11は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図11におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図11におけるL、C、Rは、図7のL、C、Rと、図8のL、C、Rと、図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0094】
図11の(a)は、第1マスク画像を示している。図11の(b)は、第2マスク画像を示している。図11の(c)は、第1血管造影画像を示している。図11の(d)は、第2血管造影画像を示している。図11の(e)は、第1血管造影画像(c)から第1マスク画像(a)を差分した第1DSA画像を示している。図11の(f)は、第2血管造影画像(d)から第2マスク画像(b)を差分した第2DSA画像を示している。図11のR1は、第1DSA画像(e)に乗ずる第1係数である。図11のR2は、第2DSA画像(f)に乗ずる第2係数である。図11の(g)は、透視画像を示している。図11の(h)は、第1乗算画像に透視画像(g)を重畳した第1重畳画像を示している。図11の(i)は、第2乗算画像に透視画像(g)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0095】
(第5の変形例)
第5の変形例は、第4の変形例で発生された第1、第2DSA画像各々に、実施形態で発生された差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像を発生することにある。
【0096】
各構成要素における処理は、本実施形態における処理に第4の変形例における処理を付加したものであるため省略する。本実施形態と、第4の変形例との機能上の差異について、以下で説明する。
【0097】
(立体視画像発生機能)
第5の変形例における立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に、透視位置における透視画像から第3画像を差分した差分画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。
【0098】
図12は、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々にデバイスの透視画像(差分画像)を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
天板11に載置された被検体に対するIVRの実行に先立って、透視位置が入力部25を介して入力される。次いで、FPD中心が、透視位置に移動される。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、透視位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、X線画像(第3画像)が発生される(ステップSc1)。第3画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0100】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。IVRが実行されているときのFPD中心の位置は、透視位置であるとする。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して透視位置と視差角とが入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される。
【0101】
第1、第2撮影位置が決定されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。第1撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第1マスク画像が発生される。次いで、第2撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。第2撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第2マスク画像が発生される(ステップSc2)。発生された第1、第2マスク画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0102】
第2撮影位置におけるX線撮影の後、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSc3)。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像が発生される(ステップSc4)。第1血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0103】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第2撮影位置でX線撮影が実行される。このX線撮影により、第2血管造影画像が発生される(ステップSc5)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0104】
第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSc6)。第1血管造影像から第1マスク像を差分することにより、第1DSA画像が発生される(ステップSc7)。第1DSA画像は、血管が撮影された画像である。第1DSA画像は、例えば、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1DSA画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0105】
第2血管造影像から第2マスク像を差分することにより、第2DSA画像が発生される(ステップSc8)。第2DSA画像は、血管が撮影された画像である。第2DSA画像は、例えば、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2DSA画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0106】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される(ステップSc9)。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から透視位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにδ°である。
【0107】
移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このとき、IVRは再開される。X線透視により、透視画像が発生される。次いで、透視画像から第3画像を差分した差分画像が発生される(ステップSc10)。差分画像は、被検体に挿入されたデバイスに関する画像である。第1、第2乗算画像各々に差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSc11)。
【0108】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSc12)。ステップSc12で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、血管を立体的に知覚することができ、デバイスを平面的に知覚することができる。入力部25を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSc10乃至ステップSc12の処理が、繰り返される(ステップSc13)。
【0109】
図13は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図13におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図13におけるL、C、Rは、図7のL、C、Rと、図8のL、C、Rと、図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0110】
図13の(a)は、第1マスク画像を示している。図13の(b)は、第2マスク画像を示している。図13の(c)は、第1血管造影画像を示している。図13の(d)は、第2血管造影画像を示している。図13の(e)は、第1血管造影画像(c)から第1マスク画像(a)を差分した第1DSA画像を示している。図13の(f)は、第2血管造影画像(d)から第2マスク画像(b)を差分した第2DSA画像を示している。図13のR1は、第1DSA画像(e)に乗ずる第1係数である。図13のR2は、第2DSA画像(f)に乗ずる第2係数である。図13の(g)は、第3画像を示している。図13の(h)は、透視画像を示している。図13の(i)は、透視画像(h)から第3画像(g)を差分した差分画像を示している。図13の(j)は、第1乗算画像に差分画像(i)を重畳した第1重畳画像を示している。図13の(k)は、第2乗算画像に差分画像(i)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0111】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本X線診断装置1によれば、異なる2方向からX線撮影を行うことで、2焦点管球のよう複雑なシステムを必要とせず、被検体に挿入されたデバイスの操作において必要となる組織の立体視が可能となる。加えて、これら2方向の間における透視位置で、被検体に挿入されたデバイスを対象としたX線透視を実行することにより、透視画像を発生することができる。発生された透視画像を、第1画像と第2画像とにそれぞれ重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される。第1、第2重畳画像を表示部23に立体視可能に表示することで、透視画像は、操作者の両眼に入力される。これにより、透視画像の明滅などの視覚処理系に対する負担が軽減され、操作者にとって観測しやすい立体視画像を提供することができる。
【0112】
また、本X線診断装置1によれば、第1、第2血管造影画像各々に差分画像(デバイス画像)を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、骨および血管を立体的に、デバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0113】
加えて、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像各々に透視画像を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、血管を立体的に、骨およびデバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0114】
さらに、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像各々にデバイス画像を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、血管を立体的に、デバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、骨などの背景が観察の邪魔となる場合に、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0115】
また、本X線診断装置1によれば、第1撮影位置から第2撮影位置までのFPD中心の移動に伴って、所定の間隔でX線撮影を実行し、立体視に用いられる複数の第1、第2画像を発生することができる。これにより、デバイスが血管から外れないように適切な視差角を有する2つの画像を選択することができる。加えて、本X線診断装置1によれば、デバイス、骨などを立体視可能にする第1、第2画像を発生することができる。これにより、デバイスおよび骨などの背景を立体視表示することができる。
【0116】
なお、本X線診断装置1によれば、第1、第2重畳画像に用いられる第1、第2画像、および差分画像(または透視画像)を、ECGゲートにより心位相を一致させて発生することができる。これにより、動きのある心臓などの臓器における血管とデバイスとの位置関係の認識が向上する。また、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像などにおける血管などの臓器に色相を付与することができる。これにより、色相が付与された臓器の認識性が向上する。
【0117】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…X線診断装置、3…X線発生部、5…X線検出部、7…支持機構、9…支持機構駆動部、11…天板、13…天板駆動部、15…位置決定部、17…移動制御部、19…画像発生部、21…画像記憶部、23…表示部、25…入力部、27…システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、視差画像を撮影することが可能なX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2方向からのX線撮影を行うことで、2方向にそれぞれ対応するX線画像(以下、視差画像と呼ぶ)を発生させることができる。視差画像を交互に表示するモニタと、視差画像の切り替えタイミングに同期して偏光の角度を切り替える偏光メガネ等とを用いること(以下、偏光シャッタ方式と呼ぶ)で、操作者に立体視可能に表示する技術がある。
【0003】
画像診断的介入治療(Interventional radiology:以下、IVRと呼ぶ)において、経皮的に血管中に挿入されたデバイス(カテーテル、焼灼器、ステント、バルーン、ガイドワイヤなど)をX線透視による立体視表示のもとで操作者が操作し治療する場合、以下のような問題がある。第1に、立体視表示させるために、2方向による透視像を発生する必要がある。このため、X線診断装置には2焦点管球などの複雑なシステムの搭載が必要となり、X線診断装置のコストが増大する問題がある。第2に、2方向からの透視による被検体への被曝量は、通常の1方向からの透視による被検体への被曝量に比べて、2倍となる問題がある。
【0004】
上記問題点を解決するために、以下のような技術がある。まず、予め2方向の血管画像などを予め撮影することで、立体視に用いられる視差画像が発生される。次いで、2方向のうち1方向から透視された透視画像を、発生された視差画像に重畳させて立体視可能に表示する技術がある。
【0005】
具体的には、2方向のうち1方向を操作者の左目の方向(以下、左目方向と呼ぶ)、他方を操作者の右目の方向(以下、右目方向と呼ぶ)とすると、まず、左目方向に関して、ディジタルサブトラクション血管造影(Digital Subtraction Angiography:以下、DSAと呼ぶ)画像が発生される(以下、左目用DSA画像と呼ぶ)。次いで、右目方向に関して、DSA画像が発生される(以下、右目用DSA画像と呼ぶ)。続いて、例えば左目方向において、被検体へのデバイスの挿入後にX線透視により発生された透視画像から、被検体へのデバイスの挿入前にX線撮影により発生されたX線画像を差分した画像(以下、左目用透視画像と及ぶ)が発生される。左目用透視画像を左目用DSA画像に重畳した重畳画像(以下、左目用重畳画像と呼ぶ)が発生される。最後に、左目用重畳画像と右目用DSA画像とが、立体視可能にモニタに表示される。
【0006】
上記技術によれば、IVRにおいて、血管は立体視可能に表示させることができる。加えて、操作者がデバイスを操作しているときのX線透視は1方向であるため、2方向からのX線透視による被検体へのX線の被曝量を半分にすることができる。
【0007】
しかしながら、上記技術では、左目用DSA画像に左目用透視画像が重畳されているが、右目用のDSA画像には透視画像が重畳されていないため、操作者の右目には透視画像の情報が入力されない。そのため、例えば、操作者が偏光シャッタ方式等でモニタを観察するとき、立体視可能に表示された画像における透視画像に関する部分は、操作者にとって明滅するように知覚される問題がある。加えて、上記透視画像に関する部分は、背景のDSA画像に比べて暗くなり不自然な見え方になる問題がある。
【0008】
また、DSA画像は操作者の両目に入力されて立体視可能に知覚されるが、透視画像は左目にのみ入力されるため、DSA画像の両眼視と透視画像の片眼視とが混在することになる。この両眼視と片眼視との混在は、操作者の視覚処理系に大きな負担を与える。これにより、上記技術では、操作者が疲れやすくなる問題がある。特に、数時間にわたって表示画像を観察しながら実行されるIVRの手技(治療やカテーテルの挿入など)において、操作者の視覚処理系への負担が大きい上記技術では、IVRの手技の終了まで操作者が耐えられない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−166135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、2焦点管球のような複雑なシステムが不必要であって、視覚処理系に負担が少なく、かつ立体視可能な画像を発生することができるX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線発生部と、前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出器とを移動可能に支持する支持機構と、前記支持機構を移動させる支持機構駆動部と、前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記X線検出部を移動させるために、前記支持機構駆動部を制御する移動制御部と、前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により第1透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態に係るX線診断装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係り、Cアームの移動方向の概略の一例を、直交3軸と被検体Pとともに示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係り、X方向から見た被検体Pに関するCRAおよびCAUとY方向から見た被検体Pに関するLAOおよびRAOとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【図7】図7は、本実施形態の第1の変形例に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の第2の変形例に係り、天板を傾けることによる第1、第2撮影位置と、透視位置との関係の一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態の第3の変形例に係り、天板を平行移動させることによる第1、第2撮影位置と、透視位置との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、本実施形態の第4の変形例に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態の第4の変形例に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【図12】図12は、本実施形態の第5の変形例に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本実施形態の第5の変形例に係り、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るX線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
図1は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成を示している。X線診断装置1は、X線発生部3と、X線検出部5と、支持機構7と、支持機構駆動部9と、天板11と、天板駆動部13と、位置決定部15と、移動制御部17と、画像発生部19と、画像記憶部21と、表示部23と、入力部25と、システム制御部27とを有する。
【0015】
X線発生部3は、図示していないX線管と高電圧発生部とを有する。高電圧発生部は、X線管に供給する管電流と、X線管に印加する管電圧とを発生する。高電圧発生部は、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管に供給し、X線撮影およびX線透視各々にそれぞれ適した管電圧をX線管に印加する。X線管は、高電圧発生部から供給された管電流と、高電圧発生部により印加された管電圧とに基づいて、X線の焦点(以下管球焦点と呼ぶ)からX線を発生する。
【0016】
X線検出部5は、X線発生部3から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出部5は、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detecter:以下、FPDと呼ぶ)を有する。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、直接変換形と間接変換形とがある。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。間接変換形とは、入射X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する形式である。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、図示していない前処理部に出力する。なお、X線検出部5として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。
【0017】
前処理部は、X線検出部5から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理とは、X線検出部5におけるチャンネル間の感度不均一の補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等である。前処理されたディジタルデータは、後述する画像発生部19に出力される。
【0018】
支持機構7は、X線発生部3とX線検出部5とを移動可能に支持する。具体的には、支持機構7は、例えば、図示していないCアームとCアーム支持部とを有する。Cアームは、X線発生部3とX線検出部5とを、互いに向き合うように搭載する。なお、Cアームに代わりにΩアームが用いられてもよい。Cアーム支持部は、そのC形状に沿う方向(以下、第1方向と呼ぶ)に、Cアームをスライド可能に支持する。また、Cアーム支持部は、CアームとCアーム支持器との接続部を中心として、第1方向に直交する方向(以下、第2方向と呼ぶ)に回転可能にCアームを支持する。なお、Cアーム支持部は、後述する天板の横手方向(以下、X方向と呼ぶ)と長手方向(以下、Y方向と呼ぶ)とに平行移動可能にCアームを支持することも可能である。
【0019】
図2は、Cアームの移動方向の概略の一例を、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)と被検体Pとともに示す図である。図2において、第1方向は、第1斜位(Right Anterior Oblique view:以下、RAOと呼ぶ)と第2斜位(Left Anterior Oblique view:以下、LAOと呼ぶ)とで示されている。第2方向は、頭の方向(CRAnial:以下、CRAと呼ぶ)と尾の方向(CAUdal:以下、CAUと呼ぶ)とで、示されている。なお、RAO、LAO、CRA、CAUは、角度で表される。図2のX軸は、天板の横手方向(X方向)である。図2のY軸は、天板の長手方向(Y方向)である。
【0020】
支持機構駆動部9は、後述する移動制御部17の制御のもとで、支持機構7を駆動する。具体的には、支持機構駆動部9は、移動制御部17からの制御信号に応じた駆動信号をCアーム支持部に供給して、Cアームを第1方向(LAOまたはRAO)にスライド、第2方向(CRAまたはCAU)に回転させる。
【0021】
X線透視時およびX線撮影時においては、X線発生部3とX線検出部5との間に、天板11に載置された被検体Pが配置される。
【0022】
天板駆動部13は、後述する移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、天板11を移動させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の横手方向(図2のX方向)または天板11の長手方向(図2のY方向)に、天板11をスライドする。また、天板駆動部13は、鉛直方向(図2のZ方向)に関して、天板11を昇降する。加えて、天板駆動部13は、長手方向と横手方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸(図2のX軸、Y軸)として、天板11を傾けるために天板11を回転する。
【0023】
位置決定部15は、後述する入力部25により入力された被検体Pの透視位置と基準位置と予め設定された所定の視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。基準位置とは、例えば、図2における直交3軸の原点である。視差角は、立体視可能範囲により小さい角度範囲である。具体的には、視差角は、基準位置に対する第1撮影位置と第2撮影位置とにより挟まれる角度である。所定の視差角は、図示していない記憶部に予め記憶される。なお、所定の視差角は、後述する入力部25を介して入力可能である。また、所定の視差角は、後述する立体視画像発生機能において、適宜変更可能である。なお、所定の視差角の代わりに、第1撮影位置と透視位置との距離(以下、第1距離と呼ぶ)と、第2撮影位置と透視位置との距離(以下、第2距離と呼ぶ)とが用いられてもよい。
【0024】
立体視可能範囲とは立体視可能な視差角の範囲である。すなわち、異なる2つ撮影位置でX線撮影されることにより発生された2つのX線画像が、操作者に立体視として認識される角度範囲である。なお、角度範囲の代わりに、2つの異なる撮影位置間の距離であってもよい。この角度範囲は、例えば、第1撮影位置において管球焦点とFPDの中心とを結ぶ直線と、第2撮影位置において管球焦点とFPDの中心とを結ぶ直線とで挟まれた角度が、0.2°乃至20°となる角度範囲である。
【0025】
具体的には、位置決定部15は、所定の視差角内に透視位置を包含し、基準位置に対する第1、第2撮影位置により挟まれる角度が所定の視差角となるように第1、第2撮影位置を決定する。以下、説明を簡単にするため、透視位置、第1、第2撮影位置には、X線検出部5が移動されるものとする。より詳細には、X線検出部5におけるFPDの中心(以下、FPD中心と呼ぶ)が移動されるものとする。具体的には、立体視可能範囲は、例えば、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点を透視位置とし、第1方向(RAOとLAO)における角度の最大値と最小値とで与えられる。なお、立体視可能範囲は、透視位置を起点として、第2方向(CRAとCAU)における角度の最大値と最小値とで与えられてもよい。上記角度範囲の例では、最小値は0.2°であって、最大値は20°である。以下、説明を簡単にするため、透視位置は、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点にあるとする。また、RAO方向の角度とLAOの角度、またはCRAの角度とCAUの角度は、説明を簡単にするため同じ角度とする。すなわち、透視位置は、視差角の中心に位置するものとする。なお、透視位置は、視差角内ならば、どこに位置していてもよい。
【0026】
図3(a)は、X方向から見た被検体Pに関するCRAとCAUとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。図3(b)は、Y方向から見た被検体Pに関するRAOとLAOとを、第1、第2撮影位置および透視位置とともに示す図である。以下、説明を簡単にするために、第1撮影位置はLAO方向の角度で規定される位置であり、第2撮影位置はRAO方向の角度で規定される位置であるものとする。なお、LAOの代わりにCRAとし、RAOの代わりにCAUであってもよい。例えば、後述する入力部25を介して、立体視の角度範囲として4°が入力された場合、LAO方向の角度およびRAO方向の角度はともに2°である。位置決定部15は、決定した第1、第2撮影位置、および透視位置の位置情報を後述する画像発生部19へ出力する。なお、視差角が4°であってLAO方向の角度とRAO方向の角度とが2°である場合、操作者は、自然に立体視観察できる。
【0027】
移動制御部17は、支持機構7の回転により第1、第2撮影位置および透視位置にFPD中心を位置させるために、支持機構駆動部9を制御する。具体的には、移動制御部17は、位置決定部15により決定された第1撮影位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置にFPD中心が到達したことを契機として、被検体PのX線撮影が可能であることを示す信号(以下、撮影可能信号と呼ぶ)を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0028】
移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、位置決定部15により決定された第2撮影位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置にFPD中心が到達したことを契機として、撮影可能信号を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0029】
移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置にFPD中心を位置させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、透視位置にFPD中心が到達したことを契機として、撮影可能信号を、後述するシステム制御部27に出力する。なお、移動制御部17は、透視位置へのFPD中心の到達または透視位置でのX線撮影の実行終了を契機として、被検体Pに対するX線透視が可能であることを示す信号(以下、透視可能信号と呼ぶ)を、後述するシステム制御部27に出力してもよい。
【0030】
画像発生部19は、第1撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第1画像を発生する。画像発生部19は、第2撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第2画像を発生する。画像発生部19は、透視位置でX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第3画像を発生する。
【0031】
画像発生部19は、透視位置においてX線透視された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、透視画像を発生する。画像発生部19は、後述する入力部25を介してX線透視の終了に関する操作が入力されるまで、所定の時間間隔で、または略連続的に透視画像を発生してもよい。画像発生部19は、透視画像の発生ごとに、透視画像から第3画像を差分した差分画像を発生する。差分画像は、例えばデバイスの画像(以下、デバイス画像と呼ぶ)である。
【0032】
画像発生部19は、後述する表示部23での表示における輝度(透過度)を調整するために、第1画像に第1係数R1を乗算した第1乗算画像を発生する。画像発生部19は、後述する表示部23での表示における輝度(透過度)を調整するために、第2画像に第2係数R2を乗算した第2乗算画像を発生する。画像発生部19は、第1乗算画像に差分画像を重畳させた第1重畳画像を発生する。画像発生部19は、第2乗算画像に差分画像を重畳させた第2重畳画像を発生する。
【0033】
なお、画像発生部19は、図示していないインターフェースを介して接続された心電計から出力されたECG(ElectroCardioGram)信号を用いて、第1、第2画像および、差分画像の心位相を一致させて、第1、第2重畳画像を発生することも可能である。なお、この時、ECGゲート法(ElectroCardioGram trigger method)を用いてもよい。
【0034】
なお、画像発生部19は、第1撮影位置から第2撮影位置に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影された後に前処理されたディジタルデータセットに基づいて、複数の画像を発生してもよい。なお、画像発生部19は、透視位置を中心とした立体視可能範囲に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影された後に前処理されたディジタルデータセットに基づいて、複数の画像を発生してもよい。ディジタルデータセットとは、第1撮影位置から第2撮影位置に亘って所定の間隔でまたは連続的にX線撮影後に前処理された一連のディジタルデータの集合である。画像発生部19は発生された複数の画像のうち、後述する入力部25を介して選択された2つの画像各々に、差分画像を重畳させた2つの重畳画像を発生する。選択される2つの画像に関する視差角は、例えば、2°、4°、6°である。この時、画像発生部19は、重畳前に、選択された2つの画像各々に対して、それぞれ異なる係数(例えば、第1係数R1、第2係数R2など)を乗算させてもよい。
【0035】
また、画像発生部19は、発生された第1、第2重畳画像、または2つの重畳画像に対して、被検体Pにおける生体組織に対応した色情報を付加することも可能である。例えば画像発生部19は、上記重畳画像における血管に対応する画素に、後述する表示部25において赤色で表示するための色情報を付加する。また、例えば画像発生部19は、上記重畳画像における骨に対応する画素に、後述する表示部25において白色で表示するための色情報を付加する。
【0036】
画像記憶部21は、画像発生部19で発生された種々の画像を記憶する。具体的には、画像記憶部21は、第1撮影位置に対応する第1画像および第1乗算画像と、第2撮影位置に対応する第2画像および第2乗算画像と、透視位置に対応する第3画像および透視画像と、差分画像とを記憶する。画像記憶部21は、第1、第2重畳画像を記憶することも可能である。また、画像記憶部21は、第1撮影位置から第2撮影位置までの間に発生された複数の画像を記憶してもよい。
【0037】
表示部23は、画像発生部19で発生された透視画像を表示する。表示部23は、第1、第2重畳画像を、立体視可能に表示する。立体視可能に表示とは、例えば偏光シャッタ方式、レンチキュラレンズ等を用いた表示である。なお、表示部23は、グラスレス3次元モニタなどを有していてもよい。表示部23は、後述する入力部25を介した操作者の指示により、透視画像と、第1、第2重畳画像とを切り替え可能に表示することも可能である。なお、立体視可能な表示として、補色法が用いられてもよい。補色法で用いられる第1、第2重畳画像各々は、画像発生部19によりそれぞれ補色の関係にある色情報が付与される。
【0038】
入力部25は、操作者が所望するX線撮影の撮影条件およびX線透視の透視条件、透視位置、視差角、X線透視の開始と終了、立体視表示に用いられる2つの画像、透視画像の表示と第1、第2重畳画像の表示との切り替えなどを入力する。具体的には、入力部25は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本X線診断装置1に取り込む。透視位置とは、例えば、基準位置に対する角度で規定される。例えば、図2における矢印(RAO、LAO、CRA、CAU)の起点を透視位置とし、基準位置を図2の直交3軸の原点とすると、透視位置の角度は0°である。入力部25は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力部25は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を後述するシステム制御部27に出力する。なお、入力部25は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部25は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をシステム制御部27に出力する。
【0039】
なお、入力部25は、透視画像の表示と第1、第2重畳画像による立体視可能な表示とを切り替えるためのボタン(以下、血管立体視ボタンと呼ぶ)を有していてもよい。このとき、入力部25は、血管立体視ボタンの操作を契機として、表示部23に表示された透視画像を、第1、第2重畳画像に切り替えるための信号を、表示部23に出力する。なお、入力部25は、血管立体視ボタンの操作を契機として、第1、第2撮影位置におけるX線撮影を実行するための信号を、後述するシステム制御部27に出力してもよい。
【0040】
また、入力部25は、X線撮影を開始するための撮影スイッチを有していてもよい。このとき、入力部25は、撮影スイッチの操作を契機として、X線撮影を実行するためのトリガ信号を、後述するシステム制御部27に出力する。このとき、入力部23は、撮影スイッチの操作を契機として、図示していないインターフェースを介して接続された図示していないインジェクタに、被検体Pに造影剤を注入するための信号を出力してもよい。
【0041】
なお、入力部25は、被検体Pに挿入されたデバイスの立体視に関する画像を発生させるためのデバイス立体視ボタンを有していてもよい。入力部25は、デバイス立体視ボタンの操作を契機として、第1、第2撮影位置におけるX線撮影を実行するための信号を、後述するシステム制御部27に出力する。
【0042】
また、入力部25は、表示画像入れ替えスイッチを有していてもよい。表示画像入れ替えスイッチとは、例えば左目用の画像としての第1重畳画像と、右目用の画像としての第2重畳画像とが交互に表示部23に表示される場合、表示画像入れ替えスイッチが操作者により操作されると、第2重畳画像が左目用の画像として、第1重畳画像が右目用の画像として交互に表示部23に表示される。
【0043】
システム制御部27は、図示していないCPU(Central Processing Unit)とメモリを備える。システム制御部27は、入力部25から送られてくる操作者の指示、撮影条件、透視条件などの情報を、図示していなメモリに一時的に記憶する。システム制御部27は、メモリに記憶された操作者の指示、撮影条件などに従って、X線撮影を実行するために、X線発生部3、移動制御部17などを制御する。具体的には、システム制御部27は、移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、第1、第2撮影位置、透視位置でX線撮影を実行するために、X線発生部3を制御する。システム制御部27は、移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視を実行するために、X線発生部3を制御する。
【0044】
なお、システム制御部27は、血管立体視ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、FPD中心を第1、第2撮影位置に配置するために、移動制御部17を制御してもよい。また、システム制御部27は、撮影ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、X線撮影を実行するために、X線発生部3を制御してもよい。
【0045】
また、システム制御部27は、デバイス立体視ボタンの操作に関する信号の到達を契機として、第1、第2撮影位置へのFPD中心の移動と、第1、第2撮影位置でのX線撮影とを実行するために、移動制御部17とX線発生部3とを制御してもよい。
【0046】
(立体視画像発生機能)
立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2画像各々に、透視位置における透視画像から第3画像を差分した差分画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。なお、立体視画像発生処理は、操作者が立体視を所望するときのみ実行させることも可能である。
【0047】
図4は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2血管造影画像各々にデバイスの透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0048】
天板11に載置された被検体に対するIVRの実行に先立って、透視位置が入力部25を介して入力される。次いで、FPD中心が、透視位置に移動される。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、透視位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、X線画像(第3画像)が発生される(ステップSa1)。第3画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0049】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される(ステップSa2)。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。なお、立体視撮影プログラムは、入力部25における血管立体視ボタンまたはデバイス立体視ボタンが操作者により操作されたことを契機として、起動されてもよい。以下、血管立体視ボタンが操作された場合について説明する。なお、デバイス立体視ボタンが操作された場合については、後程説明する。
【0050】
立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して視差角が入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される(ステップSa3)。なお、視差角は、図示していない記憶部に記憶された所定の角度(例えば4°)であってもよい。
【0051】
図5は、本実施形態に係り、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図5におけるCは、透視位置におけるFPDを示している。図5におけるLは、CからLAO方向(反時計回り)に(θ−δ)°回転したFPDを示している。図5のLにおけるFPD中心は、第1撮影位置である。図5におけるRは、CからRAO方向(時計回り)に(δ)°回転したFPDを示している。図5のRにおけるFPD中心は、第2撮影位置である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθである。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)である。以下、立体視撮影プログラムが起動されたときの管球焦点の位置は、図5のCであるとする。
【0052】
第1、第2撮影位置が決定されると、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSa4)。なお、被検体Pへの造影剤の注入は、撮影ボタンの操作に連動してもよい。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置(図5のC)から第1撮影位置(図5のL)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。
【0053】
移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像(第1画像)が発生される(ステップSa5)。第1血管造影画像は、骨などの背景および血管が撮影された画像である。第1血管造影画像は、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1血管造影画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0054】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置(図5のL)から第2撮影位置(図5のR)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。
【0055】
移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、第2撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第2血管造影像(第2画像)が発生される(ステップSa6)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。第2血管造影画像は、骨などの背景および血管が撮影された画像である。第2血管造影画像は、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2血管造影画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSa7)。
【0056】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置(図5のR)から透視位置(図5のC)に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転の角度は、反時計回りにδ°である。
【0057】
透視位置にFPD中心が移動されると、IVRは再開され、X線透視が実行される。この時、具体的には、移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このX線透視により、透視画像が発生される。次いで、透視画像から第3画像を差分した差分画像が発生される(ステップSa9)。差分画像は、被検体に挿入されたデバイスに関する画像である。第1、第2乗算画像各々に差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSa10)。
【0058】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSa11)。例えば偏光シャッタ方式の場合、表示部23は、第1重畳画像を操作者の左目に入力させ、第2重畳画像を操作者の右目に入力させるように、第1、第2重畳画像を表示する。この時、操作者の近くの個人差によって、奥行き方向の立体感が、現実と同じになる操作者もいれば、立体感が逆転する操作者もいる。立体感が逆転する場合、入力部25に設けられた表示画像入れ替えスイッチが操作者により操作されると、表示部23は、第1重畳画像を右目に、第2重畳画像を左目に入力されるように、第1、第2重畳画像の表示パターンを変更する。操作者の左目と、右目とに入力される画像を入れ替えることで、個人差がある立体感の知覚を、現実と同じにすることができる。
【0059】
ステップSa11で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、骨および血管を立体的に知覚することができ、デバイスを平面的に知覚することができる。入力部23を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSa9乃至ステップSa11の処理が、繰り返される(ステップSa12)。
【0060】
以下、デバイス立体視ボタンが操作された場合について説明する。
【0061】
まず、IVRが停止される。次いで、入力部25のデバイス立体視ボタンが操作者により操作されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。第1撮影位置でX線撮影が実行され、第1撮影位置におけるX線画像が発生される。続けて、第2撮影位置にFPD中心が移動される。第2撮影位置でX線撮影が実行され、第2撮影位置におけるX線画像が発生される。第1撮影位置におけるX線画像と第2撮影位置におけるX線画像とが、立体視可能に表示部23で表示される。この表示により、操作者は、骨およびデバイスなどを立体的に知覚することができる。
【0062】
図6は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図6におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図6におけるL、C、Rは、後述する図7のL、C、Rと、後述する図8のL、C、Rと、後述する図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0063】
図6の(a)は、第1血管造影画像を示している。図6の(b)は、第2血管造影画像を示している。図6の(c)は、第3画像を示している。図6の(d)は、透視画像を示している。図6の(e)は、透視画像(d)から第3画像(c)を差分した差分画像(デバイス画像)を示している。図6のR1は、第1血管造影画像(a)に乗ずる第1係数である。図6のR2は、第2血管造影画像(b)に乗ずる第2係数である。図6の(f)は、第1乗算画像に差分画像(e)を重畳した第1重畳画像を示している。図6の(g)は、第2乗算画像に差分画像(e)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0064】
(第1の変形例)
上記実施形態との相違は、第1、第2撮影位置および透視位置へのFPD中心の移動を、支持機構7の平行移動により実行することにある。
【0065】
位置決定部15は、入力部23により入力された被検体Pの透視位置と第1距離と第2距離とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。なお、第1、第2距離は、後述する入力部25により適宜入力可能である。以下、説明を簡単にするため、第2距離は、第1距離と等しいものとする。第1距離と第2距離との和(以下、視差距離と呼ぶ)は、立体視可能範囲に対応し、例えば、1cm乃至10cmの範囲に設定される。第1、第2距離または視差距離は、図示していない記憶部に予め記憶される。なお、視差距離は、入力部25により入力されてもよい。また、第1、第2距離または視差距離は、入力部25を介して、適宜変更可能である。なお、第1、第2距離の代わりに視差角が用いられてもよい。
【0066】
移動制御部17は、支持機構7の平行移動により第1、第2撮影位置および透視位置にFPD中心を位置させるために、支持機構駆動部9を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に管球焦点を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置にFPD中心を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置にFPD中心を平行移動させるための制御信号を、支持機構駆動部9に出力する。
【0067】
図7は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図7におけるCは、図5におけるCに対応し、透視位置におけるFPDを示している。図7におけるLは、図5におけるLと同じ画像を得るための位置である。図7におけるLは、具体的には、Cから横手方向に第1距離についてFPD中心を平行移動させた位置(第1撮影位置)である。図7におけるRは、図5におけるRと同じ画像を得るための位置である。図7におけるRは、具体的には、Cから横手方向に第2距離についてFPD中心を平行移動させた位置(第2撮影位置)である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθであり、視差距離に対応する。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)であり、第2距離に対応する。第1撮影位置と透視位置との視差角は、(θ―δ)であり、第1距離に対応する。
【0068】
(第2の変形例)
上記第1の変形例との相違は、管球焦点は固定され、第1、第2撮影位置および透視位置に天板11を移動させることにある。第1、第2撮影位置および透視位置は、管球焦点に対する相対的な位置である。以下、説明を簡単にするために、透視位置は、管球焦点に対向する位置とする。第1撮影位置は、X方向に沿って透視位置から第1距離について天板11を平行移動させた位置とする。第2撮影位置は、X方向に沿って透視位置から第2距離について天板11を平行移動させた位置とする。なお、天板11の移動方向は、長手方向(Y方向)であってもよい。
【0069】
位置決定部15は、入力部25により入力された被検体Pの透視位置と第1距離と第2距離とに基づいて、第1、第2撮影位置を決定する。なお、第1距離の代わりに、透視位置と第1撮影位置との第1視差角(θ―δ)が用いられてもよい。また、第2距離の代わりに、透視位置と第2撮影位置との第2視差角δが用いられてもよい。以下、説明を簡単にするため、第2距離は、第1距離に等しいものとする。このとき、第2視差角δは、第1視差角(θ―δ)に等しくなる。
【0070】
移動制御部17は、天板11をスライドさせることにより第1、第2撮影位置および透視位置に天板11を移動させるために、天板駆動部13を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置に天板11をスライドさせるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。
【0071】
天板駆動部13は、移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、第1、第2撮影位置、透視位置に、天板11を移動させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の横手方向(図2のX方向)に、天板11をスライドする。
【0072】
図8は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図8(a)は、図5、図7におけるCに対応し、透視位置におけるFPDを示している。図8(b)は、図5、図7におけるLと同じ画像を得るための位置である。具体的には、Cから横手方向に第1距離について天板11を平行移動させた位置(第1撮影位置)である。図8(c)は、図5、図7におけるRと同じ画像を得るための位置である。具体的には、Cから横手方向に第2距離について天板11を平行移動させた位置(第2撮影位置)である。第1撮影位置と透視位置との第1視差角は、(θ―δ)であり、第1距離に対応する。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)であり、第2距離に対応する。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角は、θであり、視差距離に対応する。
【0073】
(第3の変形例)
上記第2の変形例との相違は、天板11を傾けることにより、視差を発生させることにある。第3の変形例において、天板11を傾けるときの回転軸は、長手方向(Y方向)とする。なお、天板11の回転軸は、横手方向(X方向)であってもよい。以下、説明を簡単にするために、透視位置は、水平面とする。第1撮影位置は、水平面から(θ−δ)の角度を反時計回りに回転させた位置とする。第2撮影位置は、水平面からδの角度を時計回りに回転させた位置とする。
【0074】
位置決定部15は、入力部25により入力された被検体Pの透視位置と予め設定された所定の視差角とに基づいて、立体視可能範囲に、第1、第2撮影位置を決定する。
【0075】
移動制御部17は、天板11を回転させることにより第1、第2撮影位置に天板11を傾けるために、天板駆動部13を制御する。具体的には、移動制御部17は、第1撮影位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第1撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、第2撮影位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。移動制御部17は、第2撮影位置におけるX線撮影の終了を契機として、透視位置に天板11を回転させるための制御信号を、天板駆動部13に出力する。
【0076】
天板駆動部13は、移動制御部17の制御のもとで、天板11を駆動することにより、第1、第2撮影位置、透視位置に、天板11を回転させる。具体的には、天板駆動部13は、移動制御部17からの制御信号に基づいて、天板11の長手方向(図2のY方向)を回転軸として、天板11を回転する。
【0077】
図9は、第1、第2撮影位置と透視位置との関係の一例を示す図である。図9(a)は、図5、図7、図8におけるCに対応し、透視位置における管球焦点に対向するFPDを示している。図9(b)は、図5、図7、図8におけるLと同じ画像を得るための位置である。具体的には、図9(b)は、CからRAO方向(時計回り)に(θ−δ)°回転し天板11を示している。図9(b)における傾けられた天板11の位置は、第1撮影位置である。図9(c)は、CからLAO方向(反時計回り)に(δ)°回転した天板11を示している。図9(c)における傾けられた天板11の位置は、第2撮影位置である。第1撮影位置と第2撮影位置との視差角はθである。第2撮影位置と透視位置との視差角は、δ(0<δ<θ)である。
【0078】
(第4の変形例)
上記実施形態との相違は、第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、第1重畳画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に透視画像を重畳した画像を発生し、第2重畳画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に透視画像を重畳した画像を発生することである。
【0079】
画像発生部19は、被検体への造影剤の注入前に第1撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第1撮影位置におけるX線画像(以下、第1マスク画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、被検体への造影剤の注入前に第2撮影位置においてX線撮影された後に前処理されたディジタルデータに基づいて、第2撮影位置におけるX線画像(以下、第2マスク画像と呼ぶ)を発生する。
【0080】
画像発生部19は、第1血管造影画像から第1マスク画像を差分することにより、第1画像として、第1ディジタルサブトラクション血管造影画像(以下、第1DSA画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、第2血管造影画像から第2マスク画像を差分することにより、第1画像として、第2ディジタルサブトラクション血管造影画像(以下、第2DSA画像と呼ぶ)を発生する。画像発生部19は、第1DSA画像に第1係数R1を乗じた第1乗算画像を発生する。画像発生部19は、第2DSA画像に第2係数R2を乗じた第2乗算画像を発生する。
【0081】
画像発生部19は、第1重畳画像として、第1乗算画像に透視画像を重畳した画像を発生する。画像発生部19は、第2重畳画像として、第2乗算画像に透視画像を重畳した画像を発生する。画像記憶部19は、第1、第2マスク画像、および第1、第2DSA画像、第1、第2乗算画像を記憶する。
【0082】
(立体視画像発生機能)
第4の変形例における立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に、透視位置における透視画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。なお、立体視画像発生処理は、操作者が立体視を所望するときのみ実行させることも可能である。
【0083】
図10は、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0084】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。IVRが実行されているときの管球焦点の位置は、透視位置であるとする。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して透視位置と視差角とが入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される。
【0085】
第1、第2撮影位置が決定されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。第1撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第1マスク画像が発生される。次いで、第2撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。第2撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第2マスク画像が発生される(ステップSb1)。発生された第1、第2マスク画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0086】
第2撮影位置におけるX線撮影の後、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSb2)。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像が発生される(ステップSb3)。第1血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0087】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第2撮影位置でX線撮影が実行される。このX線撮影により、第2血管造影画像が発生される(ステップSb4)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0088】
第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSb5)。第1血管造影像から第1マスク像を差分することにより、第1DSA画像が発生される(ステップSb6)。第1DSA画像は、血管が撮影された画像である。第1DSA画像は、例えば、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1DSA画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0089】
第2血管造影像から第2マスク像を差分することにより、第2DSA画像が発生される(ステップSb7)。第2DSA画像は、血管が撮影された画像である。第2DSA画像は、例えば、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2DSA画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0090】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される(ステップSb8)。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から透視位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにδ°である。
【0091】
移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このとき、IVRは再開される。X線透視により、透視画像が発生される(ステップSb9)。透視画像は、骨などの背景とデバイスとが撮影された画像である。第1、第2乗算画像各々に透視画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSb10)。
【0092】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSb11)。ステップSa10で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、血管を立体的に知覚することができ、骨などの背景とデバイスとを平面的に知覚することができる。入力部23を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSb9乃至ステップSb11の処理が、繰り返される(ステップSb12)。
【0093】
図11は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図11におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図11におけるL、C、Rは、図7のL、C、Rと、図8のL、C、Rと、図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0094】
図11の(a)は、第1マスク画像を示している。図11の(b)は、第2マスク画像を示している。図11の(c)は、第1血管造影画像を示している。図11の(d)は、第2血管造影画像を示している。図11の(e)は、第1血管造影画像(c)から第1マスク画像(a)を差分した第1DSA画像を示している。図11の(f)は、第2血管造影画像(d)から第2マスク画像(b)を差分した第2DSA画像を示している。図11のR1は、第1DSA画像(e)に乗ずる第1係数である。図11のR2は、第2DSA画像(f)に乗ずる第2係数である。図11の(g)は、透視画像を示している。図11の(h)は、第1乗算画像に透視画像(g)を重畳した第1重畳画像を示している。図11の(i)は、第2乗算画像に透視画像(g)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0095】
(第5の変形例)
第5の変形例は、第4の変形例で発生された第1、第2DSA画像各々に、実施形態で発生された差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像を発生することにある。
【0096】
各構成要素における処理は、本実施形態における処理に第4の変形例における処理を付加したものであるため省略する。本実施形態と、第4の変形例との機能上の差異について、以下で説明する。
【0097】
(立体視画像発生機能)
第5の変形例における立体視画像発生機能とは、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々に、透視位置における透視画像から第3画像を差分した差分画像を、それぞれ重畳した第1、第2重畳画像を発生する機能である。以下、立体視画像発生機能に関する処理(以下、立体視画像発生処理と呼ぶ)について説明する。
【0098】
図12は、第1、第2撮影位置にそれぞれ対応する第1、第2DSA画像各々にデバイスの透視画像(差分画像)を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
天板11に載置された被検体に対するIVRの実行に先立って、透視位置が入力部25を介して入力される。次いで、FPD中心が、透視位置に移動される。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、透視位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、X線画像(第3画像)が発生される(ステップSc1)。第3画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0100】
天板11に載置された被検体に対して、IVRが実行される。IVRが実行されているときのFPD中心の位置は、透視位置であるとする。まず、被検体Pにデバイスが挿入される。次いで、デバイスが複雑な血管走行における血管分岐部などに到達したとき、デバイスを進めるべき方向を確認するために、立体視撮影プログラムが起動される。この時、IVRは停止される。立体視撮影プログラムは、立体視画像発生処理と、発生された第1、第2重畳画像を立体視可能に表示部23に表示する処理とに関するプログラムである。立体視撮影プログラムの起動に伴って、入力部25を介して透視位置と視差角とが入力される。透視位置と視差角とに基づいて、第1、第2撮影位置が決定される。
【0101】
第1、第2撮影位置が決定されると、第1撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、透視位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りに(θ−δ)°である。第1撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第1マスク画像が発生される。次いで、第2撮影位置にFPD中心が移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。第2撮影位置で被検体PをX線撮影することにより、第2マスク画像が発生される(ステップSc2)。発生された第1、第2マスク画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0102】
第2撮影位置におけるX線撮影の後、造影剤が被検体Pに注入される(ステップSc3)。造影剤の注入後、FPD中心が第1撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から第1撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第1撮影位置でX線撮影が実行される。なお、X線撮影は、造影剤の注入後、適当な時間経過の後に、撮影ボタンの操作により実行されてもよい。このX線撮影により、第1血管造影画像が発生される(ステップSc4)。第1血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0103】
第1撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が第2撮影位置に移動される。具体的には、FPD中心が、第1撮影位置から第2撮影位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、時計回りにθ°である。移動制御部17から出力された撮影可能信号の到達を契機として、適当な遅延時間後に第2撮影位置でX線撮影が実行される。このX線撮影により、第2血管造影画像が発生される(ステップSc5)。第2血管造影画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0104】
第2撮影位置におけるX線撮影が実行された後、被検体Pへの造影剤の注入が終了される(ステップSc6)。第1血管造影像から第1マスク像を差分することにより、第1DSA画像が発生される(ステップSc7)。第1DSA画像は、血管が撮影された画像である。第1DSA画像は、例えば、立体視表示において左目用に用いられる画像である。第1DSA画像に第1係数を乗算した第1乗算画像が発生される。第1乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0105】
第2血管造影像から第2マスク像を差分することにより、第2DSA画像が発生される(ステップSc8)。第2DSA画像は、血管が撮影された画像である。第2DSA画像は、例えば、立体視表示において右目用に用いられる画像である。第2DSA画像に第2係数を乗算した第2乗算画像が発生される。第2乗算画像は、画像記憶部21に記憶される。
【0106】
第2撮影位置でのX線撮影の後に、FPD中心が透視位置に移動される(ステップSc9)。具体的には、FPD中心が、第2撮影位置から透視位置に、支持機構駆動部9による支持機構7の回転により移動される。支持機構7の回転角度は、反時計回りにδ°である。
【0107】
移動制御部17から出力された透視可能信号の到達を契機として、透視位置でX線透視が実行される。このとき、IVRは再開される。X線透視により、透視画像が発生される。次いで、透視画像から第3画像を差分した差分画像が発生される(ステップSc10)。差分画像は、被検体に挿入されたデバイスに関する画像である。第1、第2乗算画像各々に差分画像を重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される(ステップSc11)。
【0108】
発生された第1、第2重畳画像が、立体視可能に表示部23で表示される(ステップSc12)。ステップSc12で表示された第1、第2重畳画像によれば、操作者は、血管を立体的に知覚することができ、デバイスを平面的に知覚することができる。入力部25を介して操作者により立体視撮影プログラムが終了されるまで、ステップSc10乃至ステップSc12の処理が、繰り返される(ステップSc13)。
【0109】
図13は、第1撮影位置における第1重畳画像と第2撮影位置における第2重畳画像とを発生させる概略を示す概略図である。図13におけるL、C、Rは、図5のL、C、Rにそれぞれ対応する。なお、図13におけるL、C、Rは、図7のL、C、Rと、図8のL、C、Rと、図9のL、C、Rとのうち、いずれか一つの図のL、C、Rにそれぞれ対応してもよい。
【0110】
図13の(a)は、第1マスク画像を示している。図13の(b)は、第2マスク画像を示している。図13の(c)は、第1血管造影画像を示している。図13の(d)は、第2血管造影画像を示している。図13の(e)は、第1血管造影画像(c)から第1マスク画像(a)を差分した第1DSA画像を示している。図13の(f)は、第2血管造影画像(d)から第2マスク画像(b)を差分した第2DSA画像を示している。図13のR1は、第1DSA画像(e)に乗ずる第1係数である。図13のR2は、第2DSA画像(f)に乗ずる第2係数である。図13の(g)は、第3画像を示している。図13の(h)は、透視画像を示している。図13の(i)は、透視画像(h)から第3画像(g)を差分した差分画像を示している。図13の(j)は、第1乗算画像に差分画像(i)を重畳した第1重畳画像を示している。図13の(k)は、第2乗算画像に差分画像(i)を重畳した第2重畳画像を示している。
【0111】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本X線診断装置1によれば、異なる2方向からX線撮影を行うことで、2焦点管球のよう複雑なシステムを必要とせず、被検体に挿入されたデバイスの操作において必要となる組織の立体視が可能となる。加えて、これら2方向の間における透視位置で、被検体に挿入されたデバイスを対象としたX線透視を実行することにより、透視画像を発生することができる。発生された透視画像を、第1画像と第2画像とにそれぞれ重畳することにより、第1、第2重畳画像が発生される。第1、第2重畳画像を表示部23に立体視可能に表示することで、透視画像は、操作者の両眼に入力される。これにより、透視画像の明滅などの視覚処理系に対する負担が軽減され、操作者にとって観測しやすい立体視画像を提供することができる。
【0112】
また、本X線診断装置1によれば、第1、第2血管造影画像各々に差分画像(デバイス画像)を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、骨および血管を立体的に、デバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0113】
加えて、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像各々に透視画像を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、血管を立体的に、骨およびデバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0114】
さらに、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像各々にデバイス画像を重畳した第1、第2重畳画像を発生することができる。これにより、表示部23に立体視可能に表示された第1、第2重畳画像において、操作者は、血管を立体的に、デバイスを平面的に観察することができる。したがって、操作者は、骨などの背景が観察の邪魔となる場合に、被検体に挿入されたデバイスを進めるべき方向を、適切に判断することができる。
【0115】
また、本X線診断装置1によれば、第1撮影位置から第2撮影位置までのFPD中心の移動に伴って、所定の間隔でX線撮影を実行し、立体視に用いられる複数の第1、第2画像を発生することができる。これにより、デバイスが血管から外れないように適切な視差角を有する2つの画像を選択することができる。加えて、本X線診断装置1によれば、デバイス、骨などを立体視可能にする第1、第2画像を発生することができる。これにより、デバイスおよび骨などの背景を立体視表示することができる。
【0116】
なお、本X線診断装置1によれば、第1、第2重畳画像に用いられる第1、第2画像、および差分画像(または透視画像)を、ECGゲートにより心位相を一致させて発生することができる。これにより、動きのある心臓などの臓器における血管とデバイスとの位置関係の認識が向上する。また、本X線診断装置1によれば、第1、第2DSA画像などにおける血管などの臓器に色相を付与することができる。これにより、色相が付与された臓器の認識性が向上する。
【0117】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…X線診断装置、3…X線発生部、5…X線検出部、7…支持機構、9…支持機構駆動部、11…天板、13…天板駆動部、15…位置決定部、17…移動制御部、19…画像発生部、21…画像記憶部、23…表示部、25…入力部、27…システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線発生部と前記X線検出部とを支持する支持機構と、
前記支持機構を移動させる支持機構駆動部と、
前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記X線検出部を移動させるために、前記支持機構駆動部を制御する移動制御部と、
前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、
前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記支持機構駆動部は、
前記支持機構を回転させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記X線検出部を位置させること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記支持機構駆動部は、
前記支持機構を平行移動させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記X線検出部を位置させること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記透視位置を、基準位置に対する角度として入力する入力部と、
前記透視位置と前記基準位置と所定の視差角とに基づいて、
前記所定の視差角内に前記透視位置を包含し、かつ前記基準位置に対する前記第1、第2撮影位置により挟まれる角度を前記所定の視差角に一致させるために、前記第1、第2撮影位置を決定する位置決定部とをさらに具備すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記位置決定部は、
前記所定の視差角の中点を前記透視位置として、前記第1、第2撮影位置を決定すること、
を特徴とする請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記画像発生部は、
前記第1撮影位置から前記第2撮影位置までの前記X線検出部の移動に伴って、所定の間隔でのX線撮影により複数の画像を発生し、
前記複数の画像のうち操作者により選択された2つの画像各々に前記透視画像を重畳させた2つの重畳画像を発生し、
前記表示部は、
前記2つの重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2血管造影画像を発生し、
前記透視位置でのX線撮影に関する第3画像を発生し、
前記第3画像の発生後に前記透視位置でのX線透視により前記透視画像を発生し、
前記透視画像から前記第3画像を差分した差分画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記透視画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記透視画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記透視位置でのX線撮影に関する第3画像を発生し、
前記第3画像の発生後に前記透視位置でのX線透視により前記透視画像を発生し、
前記透視画像から前記第3画像を差分した差分画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記第1、第2重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記天板を駆動する天板駆動部と、
前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記天板を移動させるために、前記天板駆動部を制御する移動制御部と、
前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、
前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項12】
前記天板駆動部は、
前記支持機構を平行移動させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記天板を位置させること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記天板駆動部は、
前記天板を傾けることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記天板を位置させること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記第1、第2重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項1】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記X線発生部と前記X線検出部とを支持する支持機構と、
前記支持機構を移動させる支持機構駆動部と、
前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記X線検出部を移動させるために、前記支持機構駆動部を制御する移動制御部と、
前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、
前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記支持機構駆動部は、
前記支持機構を回転させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記X線検出部を位置させること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記支持機構駆動部は、
前記支持機構を平行移動させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記X線検出部を位置させること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記透視位置を、基準位置に対する角度として入力する入力部と、
前記透視位置と前記基準位置と所定の視差角とに基づいて、
前記所定の視差角内に前記透視位置を包含し、かつ前記基準位置に対する前記第1、第2撮影位置により挟まれる角度を前記所定の視差角に一致させるために、前記第1、第2撮影位置を決定する位置決定部とをさらに具備すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記位置決定部は、
前記所定の視差角の中点を前記透視位置として、前記第1、第2撮影位置を決定すること、
を特徴とする請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記画像発生部は、
前記第1撮影位置から前記第2撮影位置までの前記X線検出部の移動に伴って、所定の間隔でのX線撮影により複数の画像を発生し、
前記複数の画像のうち操作者により選択された2つの画像各々に前記透視画像を重畳させた2つの重畳画像を発生し、
前記表示部は、
前記2つの重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2血管造影画像を発生し、
前記透視位置でのX線撮影に関する第3画像を発生し、
前記第3画像の発生後に前記透視位置でのX線透視により前記透視画像を発生し、
前記透視画像から前記第3画像を差分した差分画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記透視画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記透視画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記画像発生部は、
前記第1画像として第1ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記第2画像として第2ディジタルサブトラクション血管造影画像を発生し、
前記透視位置でのX線撮影に関する第3画像を発生し、
前記第3画像の発生後に前記透視位置でのX線透視により前記透視画像を発生し、
前記透視画像から前記第3画像を差分した差分画像を発生し、
前記第1重畳画像として、前記第1ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生し、
前記第2重畳画像として、前記第2ディジタルサブトラクション血管造影画像に前記差分画像を重畳した画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記第1、第2重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
X線を発生するX線発生部と、
前記X線発生部から発生され、天板に載置された被検体を透過したX線を検出するX線検出部と、
前記天板を駆動する天板駆動部と、
前記被検体に対する第1撮影位置と、前記第1撮影位置とは異なる第2撮影位置と、前記第1、第2撮影位置とは異なる透視位置とに前記天板を移動させるために、前記天板駆動部を制御する移動制御部と、
前記第1、第2撮影位置でのX線撮影にそれぞれ対応する第1、第2画像を発生し、前記透視位置でのX線透視により透視画像を発生し、前記第1、第2画像各々に前記透視画像を重畳させた第1、第2重畳画像を発生する画像発生部と、
前記第1、第2重畳画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項12】
前記天板駆動部は、
前記支持機構を平行移動させることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記天板を位置させること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記天板駆動部は、
前記天板を傾けることにより、前記第1、第2撮影位置および前記透視位置に前記天板を位置させること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記第1、第2重畳画像を立体視可能に表示すること、
を特徴とする請求項11に記載のX線診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81690(P2013−81690A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224758(P2011−224758)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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