説明

[(4−[2−アミノ−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフト−1−イルアゾ]アニリノ)−1,3,5−トリアジニル]部分を含む染料

式(1)による染料又はその塩(ここで、置換基は請求項1に定義されたとおりの定義を有する)。かかる染料は、窒素含有又はヒドロキシ基含有有機基材を染色する又は印刷するために及び(インクジェット)印刷インキの生成のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料、インキ、並びにインクジェット印刷並びに古典的染色操作及び古典的印刷操作におけるそれらの使用に関する。
【0002】
古典的すなわち在来の染色操作は、繊維中への溶解染料の拡散により功を奏する吸尽染色を含む(回分及び連続染色)。古典的すなわち在来の印刷方法はよく知られており、そして印刷インキ又は印刷ペーストが基材へ転移されるやり方において相違する。たとえば、インキ又はペーストは、隆起活字(たとえば凸版、フレキソ印刷)により、平面状表面(平版印刷)から、くぼみ表面(凹版)から又はステンシル(シルクスクリーン)を通じて施用され得る。異なる施用方法及び異なる基材は、インキについて異なる性質を要求する。これらの操作は、たとえば、M.Peter、H.K.Rouette:Grundlagen der Textilveredlung, Handbuch der Technologie, Verfahren, Maschinen,第13版,Deutscher Fachverlag,フランクフルト,1989(ISBN3−87150−270−4)の第484頁から第495頁の第7.222.1章及び第7.222.2章において記載されている。
【0003】
ビス[(4−[2−アミノ−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフト−1−イルアゾ]アニリノ)−1,3,5−トリアジニル]部分を含む染料は、英国特許第2331757号明細書から公知である。欧州特許出願公開第693538号明細書は、ピペラジノ基又はジアミノ基により置換されているトリアジン基を担持する非反応性橋架けモノアゾ直接染料の混合物を開示する。しかしながら、改善性質特に改善光堅牢度を備えたところのビス[(4−[2−アミノ−3,6−ジスルホ−8−ヒドロキシナフト−1−イルアゾ]アニリノ)−1,3,5−トリアジニル]部分を有する染料に対して、依然としてニーズがある。
【0004】
本発明によれば、式(1)のビスアゾ化合物及びその塩が提供される。
【化1】

ここで、
B及びB′は、各々独立して、−SO3H、−COOH、置換アルコキシ、置換アルキル、非置換アルコキシ、非置換アルキル又は−PO32であり、
Qは、ヘテロ原子により中断されていない非置換若しくは置換アルキル基又は1個の酸素原子を含む非置換若しくは置換アルキルエーテル基のどちらかであるかあるいは1個又は2個若しくはそれ以上の窒素原子を含む非置換又は置換アルキルポリアミン基である有機脂肪族連結基であり、
R、R′、R″及びR″′は、各々独立して、H又は非置換若しくは置換アルキルであり、
X及びX′は、各々独立して、置換活性(レイビル(labile))原子又は基である。
【0005】
B及びB′は、好ましくは、アゾ基に対してオルトにて結合される。B及びB′は、各々独立して、好ましくは−SO3H、−COOH、アルコキシ(好ましくは置換C1~4アルコキシ又は置換C1~4アルコキシ)、アルキル(好ましくは非置換C1~4アルキル又は置換C1~4アルキル)又は−PO32、一層好ましくは−SO3H又は−COOH、特に−SO3Hである。B又はB′が置換アルキル又は置換アルコキシである場合、置換基は、−OH、−SO3H、−COOH、−NH2、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ヒドロキシアルコキシ及びC1~4アルコキシから選択される。好ましい化合物において、BはB′に等しい。
【0006】
好ましくは、R、R′、R″及びR″′は、各々独立して、H、あるいは非置換C1~4アルキル、又はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ若しくはシアノにより置換された置換C1~4アルキル、あるいは非置換C1~4アルコキシ、又はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ若しくはシアノにより置換された置換C1~4アルコキシである。一層好ましくは、R、R′、R″及びR″′は、各々独立して、H、あるいは非置換C1~4アルキル、又はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ若しくはシアノにより置換された置換C1~4アルキルである。R、R′、R″及びR″′がH、メチル、エチル、又はヒドロキシにより置換されたエチルであること、一層特にはR、R′、R″及びR″′がHであることが特に好ましい。
【0007】
R、R′、R″及びR″′が置換アルキル又は置換アルコキシである場合、置換基は、−OH、−SO3H、−COOH、−NH2、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ヒドロキシアルコキシ及びC1~4アルコキシから選択される。
【0008】
好ましくは、R″′がHである一方、R″がH、あるいは非置換C1~4アルキル、又はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ若しくはシアノにより置換された置換C1~4アルキル、あるいは非置換C1~4アルコキシ、又はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ若しくはシアノにより置換された置換C1~4アルコキシである。
【0009】
有機脂肪族連結基Qは、好ましくは、アルキレン又はアルキレニレン、好ましくはC2~20アルキレン若しくはC2~20アルキレニレン又は置換C2~10アルキレン若しくは置換C2~10アルキレニレンである。有機連結基Qは、置換され得る。
【0010】
有機脂肪族連結基QがNにより中断されている場合、Nは1個の置換若しくは非置換アルキルにより又は1個の置換若しくは非置換アリール基により更に置換され得、そしてアルキル又はアリール基についての置換基はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ及びシアノから選択され得る。
【0011】
最も好ましい有機脂肪族連結基Qはヘテロにより中断されておらず、特に有機脂肪族連結基QはO又はNにより中断されていない。最も好ましい連結基は、線状脂肪族連結基(環状でない)である。
【0012】
Qの置換基は、好ましくは、置換若しくは非置換アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ又はスルホ、好ましくはヒドロキシ−C1~4アルキル、カルボキシ−C1~4アルキル又はスルホ−C1~4アルキル;アルコキシ、好ましくはC1~4アルコキシ特にメトキシ;随意にC1~4アルキル、カルボキシ、ヒドロキシ、スルホ、シアノ、アミノ、ニトロ又はハロ好ましくはF若しくはClにより置換されたフェニル;−SO3H;−COOH;−OH;−CN;又は−NO2から選択される。一層好ましい置換基はヒドロキシ、カルボキシ、スルホ、シアノ、C1~4アルキル又はC1~4アルコキシであり、そしてQの最も一層好ましい置換基はC1~4アルキル又はC1~4アルコキシである。
【0013】
一層好ましいQ基は、非置換C1~4アルキレン基又は置換C1~4アルキレン基である。最も好ましいQ基は非置換C1~4アルキレン基であり、又は置換C1~4アルキレン基はヘテロ原子により中断されていないかかるC1~4アルキレン基であり、かくして最も好ましいQ基は非置換C1~4アルキレン基、又はN若しくはO原子により中断されていない置換C1~4アルキレン基である。
【0014】
Qにより表される非置換アルキレン及び置換アルキレン基の例は、エチレン、1,2−及び1,3−プロピレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,4−、2,3−及び2,4−ブチレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−(4′−スルホフェニル)−1,3−プロピレン、2−メチル−2,4−ペンチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1−クロロ−2,3−プロピレン、1,6−及び1,5−ヘキシレン、1−(メトキシカルボニル)−1,5−ペンチレン、1−カルボキシ−1,5−ペンチレン、2,7−ヘプチレン、並びに3−メチル−1,6−ヘキシレンを包含する。
【0015】
最も好ましいQ基は、非置換C1~4アルキレン基更に一層好ましくは非置換C1~3アルキレン基である。
【0016】
X又はX′は置換活性原子又は基であり、そしてそれは好ましくは、式(1)の化合物とセルロースの間で共有結合を形成するように緩アルカリ性の水性条件下でセルロースのヒドロキシル基により置換可能である原子又は基である。X又はX′により表される好ましい置換活性原子及び基は、ハロゲンたとえばF及びCl、スルホン酸基、チオシアノ基、第4級アンモニウムを包含する。F及びClが、最も好ましい置換活性基である。
【0017】
式(1)の化合物は、好ましくは、2個のみのアゾ基(−N=N−)を含有する。
【0018】
本発明の化合物は、遊離酸又は塩の形態にあり得る。好ましい塩は、水溶性である。かかるカチオンの例は、アルカリ金属カチオン、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、並びにアンモニウムカチオン又は置換アンモニウムカチオン、たとえばモノ、ジ、トリ及びテトラメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノ、ジ及びトリエタノールアンモニウム並びにエトキシル化モノ、ジ及びトリエタノールアンモニウムである。好ましいカチオンはアルカリ金属カチオン及びアンモニウムカチオンであり、しかしてナトリウムカチオンが最も好ましい。
【0019】
本化合物は、公知技法を用いて塩に変換され得る。たとえば、化合物のアルカリ金属塩又は遊離酸は、かかる化合物のアルカリ金属塩又は遊離酸形態をそれぞれ水中に溶解し、鉱酸で酸性化しそしてこの溶液のpHをアンモニア又はアミンでpH9から9.5に調整し、そしてアルカリ金属カチオンを透析、逆浸透又は限外濾過によって除去することにより、アンモニア又はアミンとの塩に変換され得る。
【0020】
本発明の化合物は、アゾ染料の製造のための慣用技法を用いて製造され得る。たとえば、適当な方法は、式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物をおおよそ2モル当量の式(2)
【化2】

の化合物と縮合させる
〔ここで、Q、B、R、R″、R″′及びXは、前記に定義されたとおりである〕
ことを含む。
【0021】
その代わりに、更なる適当な方法は、式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物をおおよそ1モル当量の式(2)
【化3】

の化合物と縮合させ、そして次いで式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物と式(2)の化合物との反応の反応生成物を式(2′)
【化4】

の化合物と反応させる
〔ここで、B、B′、Q、R、R′、R″、R″′、X及びX′は、上記に定義されたとおりの意味を有する〕
ことを含む。
【0022】
縮合は、好ましくは液体媒質一層好ましくは水性媒質特に水中で遂行される。15℃から100℃の温度が好ましく、一層好ましくは30から40℃である。好ましくは1から48一層好ましくは3から24時間の反応時間が用いられる。
【0023】
縮合は、好ましくは、塩基の存在下で遂行される。塩基は、無機塩基たとえばアンモニア、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩若しくは重炭酸塩、又は有機塩基であり得る。好ましい有機塩基は、第3級アミン、たとえば、N−アルキル化複素環たとえばN−(C1~4アルキル)モルホリン、N−(C1~4アルキル)ピペリジン、N,N′−ジ(C1~4アルキル)ピペラジン;トリ(C1~4アルキル)アミンたとえばトリエチルアミン;及び随意に置換されたピリジン特にピリジンである。更なる好ましいアミン化合物は、モノ、ジ及びトリメチルアミン、トリエチルアミン、モノ、ジ及びトリエタノールアミン、並びにエトキシル化モノ、ジ及びトリエタノールアミンである。
【0024】
縮合後、生成物は、たとえば適当なアルカリ金属塩特に塩化ナトリウムの添加により、反応混合物から塩として生成物を沈殿することにより単離され得る。その代わりに、生成物は、反応混合物を酸性化する(好ましくは鉱酸特に塩酸を用いて)ことにより、その遊離酸形態にて単離され得る。生成物が固体として沈殿する場合、それはその混合物から濾過により分離され得る。
【0025】
本発明による新規染料において、カチオンは同じ又は異なり得、たとえばそれらはまた上記に挙げられたカチオンの混合物であり得、しかしてこれは染料が混合塩形態にあり得ることを意味する。
【0026】
所望される場合、不所望アニオンは上記の方法の生成物から、透析、浸透、限外濾過又はそれらの組合わせにより除去され得る。
【0027】
上記の方法の生成物は、所望される場合、NH4+、第4級アンモニウム又は有機アミン塩に、アンモニア、水酸化アンモニウム、第1級、第2級、第3級又は第4級アミンの添加により変換され得る。縮合過程において用いられる塩基が有機アミンである場合、式(1)の化合物が有機アミン塩として形成されるように過剰量が用いられ得る。
【0028】
式(2)の化合物は、慣用技法を用いて、たとえば、
(1)式(3)の化合物をジアゾ化して対応するジアゾニウム塩を生じさせ
【化5】

〔ここで、R及びBは、前記に定義されたとおりである〕、
(2)段階(1)からのジアゾニウム塩を2−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジスルホン酸と、<7のpHにて好ましくは3から5のpHにてカップリングさせ、
(3)段階(2)の生成物をアルカリ条件下で加水分解して式(4)
【化6】

の化合物を生じさせ、
(4)段階(3)からの生成物をおおよそ1モル当量の式(5)
【化7】

の化合物と縮合させる
〔ここで、B、R及びXは、前記に定義されたとおりである〕
ことにより製造され得る。
【0029】
段階(1)におけるジアゾ化は、好ましくは、酸性の水性媒質中で適当なジアゾ化剤の存在下で遂行される。所望酸性条件を達成するために、希薄鉱酸たとえばHCl又はH2SO4が好ましくは用いられる。慣用的には、ジアゾ化剤は、たとえばアルカリ金属亜硝酸塩好ましくは亜硝酸ナトリウムをモル過剰量の鉱酸好ましくはHCl中に溶解することにより、その場で形成される。普通には、式(3)の化合物のモル当たり少なくとも1モルのジアゾ化剤好ましくは1から1.25モルがジアゾ化において用いられる。
【0030】
ジアゾ化の温度は決定的には重要でなく、そして好都合には−5℃から20℃好ましくは0から10℃特に0から5℃にて行われ得る。
【0031】
段階(3)における加水分解は、好ましくは9から14のpHにて遂行される。加水分解中の温度は、好ましくは40から90℃一層好ましくは50から65℃である。
【0032】
BとB′、RとR′又はXとX′が異なる場合、式(1)の化合物は、好ましくは、
式(2)の化合物をおおよそ等モル量の式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物と縮合させることにより製造される。この反応の生成物は、次いでおおよそ等モル量の式(2)(ここで、前記に定義されたとおりに、RはR′であり、BはB′であり、そしてXはX′である)の化合物と更に縮合される。
【0033】
その代わりに、X及びX′の一方又は両方がハロゲン以外である式(1)の化合物は、X=X′=Cl又はFである式(1)の化合物をX及びX′がCl又はFを除いて前記に定義されたとおりである化合物XH及び/又はX′Hの十分な量と、Cl又はF原子の一方又は両方を置換するような温度及び/又は時間の条件下で縮合させることにより製造され得る。
【0034】
本発明による化合物は、在来染色用の並びにたとえばインクジェット印刷又は在来印刷用インキ用の液状染料調製物中にそれらが組み込まれる前に、望ましくない不純物を除去するために精製され得そして好ましくは精製される。染料を精製するために、慣用技法たとえば限外濾過、逆浸透及び/又は透析が用いられ得る。他の使用のために、特に在来(古典的)印刷及び染色操作のために、沈殿によりたとえば塩析により精製され得、並びにたとえば限外濾過、逆浸透及び/又は透析により精製され得る。
【0035】
本新規染料又はその混合物は、ヒドロキシ基又は窒素を含有する有機基材を染色する又は印刷するためにある。好ましい基材は、天然又は合成ポリアミド及び特に天然又は再生セルロース(木綿、ビスコース及びスパンレーヨンのような)を含む皮革及び繊維材料である。最も好ましい基材は、木綿を含む生地材料である。
【0036】
染色又は印刷は、染料分野において慣用の公知方法に従って遂行される。吸尽染色法を用いて、30〜80℃の範囲内の温度にて特に50〜60℃にて及び6:1から30:1の一層好ましくは10:1の液対布の比率でもって、繊維反応性染料の染色を遂行することが好ましい。
【0037】
本新規繊維反応性染料は、染料として用いられる場合、良好な染着及び固着率をもたらす。更に、未固着化合物は、容易に基材から洗い流される。本新規繊維反応性染料に由来する染色物及び印刷物は、洗濯、水、海水及び汗堅牢度のような良好な湿潤堅牢度並びに特に優秀な光堅牢度を示す。それらはまた、塩素殺菌水、次亜塩素酸塩漂白剤、過酸化物漂白剤及び過ホウ酸塩含有洗濯用洗剤のような酸化剤に対して良好な耐性を示す。
【0038】
あらゆるタイプの繊維、セルロース、木綿又は皮革の繊維を着色するために、しかし特に紙又は紙製品を着色するために、相当する直接染料は染料として直接的に用いられ得、あるいは水性のたとえば濃厚な安定性溶液の形態にて又はそれらの粒状物(第4級形態及び/又は鉱酸若しくは有機酸の挙げられた塩形態のもの)の形態にて用いられ得る。
【0039】
本染料はまた、サラシ及び未サラシ紙のパルプ染色物の生成に用いられ得る。それらは、更に、浸染法に従って紙を染色するのに用いられ得る。
【0040】
式(1)の化合物は、染料として、特にインクジェット印刷用インキの着色のために有用である。該染料はまた、慣用のやり方で染色する及び印刷するのに適している。該化合物は水性媒質中における高い溶解性を示し、また基材上に施用される又はインクジェット印刷用インキ中に組み込まれる場合、改善された高い光堅牢度及び水堅牢度を示す印刷物及び染色物をもたらす。
【0041】
本発明の第2側面によれば、1種又はそれ以上の式(1)の化合物又はその塩と媒質とを含む組成物が提供される。
【0042】
本発明の第2側面による組成物は、インキ、特に印刷インキとりわけインクジェット印刷インキとして有用である。本発明の第2側面による組成物は、印刷ペースト、インクジェット印刷インキとして、又は基材を染色するための染浴に有用である。
【0043】
加えて、インクジェット印刷は、ノズルを基材と接触させることなく、インキの液滴が細いノズルを通じて基材上に吐出されるノンインパクト印刷技法である。インクジェット印刷に用いられる染料及びインキについて、数多くの厳しい性能要件がある。本発明による染料は、印刷技法(古典的印刷技法及びノンインパクト印刷技法)により施用される場合、良好な水堅牢度、光堅牢度及び光学濃度を有するシャープなフェザリングのない画像をもたらす。この技術の詳細は、たとえば、「Chemistry and Technology of Printing and Imaging Systems」,Peter Gregory(編者),Blackie Academic & Professional, Chapmann & Hall,1996,第113〜138頁におけるR.W.Kenyonの「インクジェット印刷」のセクションに及びそこにおいて引用された参考文献に記載されている。
【0044】
インクジェット印刷用媒質は、好ましくは、水、水と有機溶媒の混合物、水不含有機溶媒、又は低融点固体である。好ましい組成物は、
(a)0.01から30部の1種又はそれ以上の、前記に定義されたとおりの式(1)の化合物又はその塩、及び
(b)70から99.99部の、水と有機溶媒の混合物、水不含有機溶媒、又は低融点固体を含む媒質
(ここで、部数はすべて重量によるそして(a)+(b)の部数=100である)
を含む。
【0045】
成分(a)の部数は、好ましくは0.1から20一層好ましくは0.5から15特に1から5部である。成分(b)の部数は、好ましくは99.9から80一層好ましくは99.5から85特に99から95部である。
【0046】
媒質が水と有機溶媒の混合物又は水不含有機溶媒である場合、好ましくは、成分(a)は成分(b)中に完全に溶解される。好ましくは、成分(a)は20℃において成分(b)中少なくとも10%の溶解度を有する。これは濃厚物の製造を可能にし(該濃厚物は、比較的希薄なインキを製造するために用いられ得る)、また液体媒質の蒸発が貯蔵中に起こる場合に式(1)の化合物が沈殿する可能性を減じる。
【0047】
媒質が水と有機溶媒の混合物を含む場合、水対有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1から1:99一層好ましくは99:1から50:50特に95:5から80:20である。
【0048】
水と有機溶媒の混合物中に存在する有機溶媒は、水混和性有機溶媒又はかかる溶媒の混合物であることが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒は、C1~4アルカノール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;線状アミド、好ましくはジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド;ケトン及びケトンアルコール、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール、好ましくは2から12個の炭素原子を有するジオール、たとえばペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ及びポリアルキレングリコール好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセロール及び1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1~4アルキルエーテル、好ましくは2から12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1~4アルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタム及び1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランを包含する。好ましくは、液体媒質は、水及び2種又はそれ以上特に2から8種の水溶性有機溶媒を含む。
【0049】
特に好ましい水溶性有機溶媒は、環状アミド、特に2−ピロリドン、N−メチル−ピロリドン及びN−エチル−ピロリドン;ジオール、特に1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオールのモノ−C1~4アルキル及びC1~4アルキルエーテル、一層好ましくは2から12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1~4アルキルエーテル、特に2−メトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエタノールである。
【0050】
好ましい媒質は、
(a)75から95部の水、及び
(b)合計で25から5部の、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、チオジグリコール、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタム及びペンタン−1,5−ジオールから選択された1種又はそれ以上の溶媒
(ここで、部数は重量によるそして(a)+(b)の部数の和=100である)
を含む。
【0051】
水と1種又はそれ以上の有機溶媒との混合物を含む更なる適当な媒質の例は、米国特許第4,963,189号明細書、米国特許第4,703,113号明細書、米国特許第4,626,284号明細書及び欧州特許出願公開第425150号明細書に記載されている。
【0052】
液体媒質が水不含(すなわち、重量により1%より少ない水)有機溶媒を含む場合、この溶媒は、好ましくは30℃から200℃一層好ましくは40℃から150℃特に50℃から125℃の沸点を有する。有機溶媒は、水不混和性溶媒、水混和性溶媒、又はかかる溶媒の混合物であり得る。好ましい水混和性有機溶媒は、前記に記載された水混和性有機溶媒のいずれか及びそれらの混合物である。好ましい水不混和性溶媒は、たとえば、脂肪族炭化水素;エステル好ましくはエチルアセテート;塩素化炭化水素好ましくはCH2Cl2;及びエーテル好ましくはジエチルエーテル;並びにそれらの混合物を包含する。
【0053】
液体媒質が水不混和性有機溶媒を含む場合、好ましくは、極性溶媒が含められ、何故ならこれは液体媒質中における染料の溶解性を高めるからである。極性溶媒の例は、C1~4アルコールを包含する。前記の好ましい事項に鑑みて、液体媒質が水不含有機溶媒である場合、それはケトン(特にメチルエチルケトン)又はアルコール(特にC1~4アルカノール、一層特にはエタノール又はプロパノール)を含むことが特に好ましい。
【0054】
水不含有機溶媒は、単一有機溶媒、又は2種若しくはそれ以上の有機溶媒の混合物であり得る。媒質が水不含有機溶媒である場合、それは2から5種の異なる有機溶媒の混合物であることが好ましい。これは、組成物の乾燥特性及び貯蔵安定性について良好な制御を与える媒質が選択されることを可能にする。
【0055】
水不含有機溶媒を含む媒質は、速い乾燥時間が要求される場合並びに特に疎水性及び非吸収性の基材たとえばプラスチック、金属及びガラス上に印刷する場合、特に有用である。
【0056】
好ましい低融点固体媒質は、60℃から125℃の範囲の融点を有する。適当な低融点固体は、長鎖脂肪酸又はアルコール好ましくはC1~24鎖を有するもの、及びスルホンアミドを包含する。式(1)の化合物は低融点固体中に溶解され得、あるいはその中に微細に分散され得る。
【0057】
本発明による化合物は水性媒質中における高い溶解性を示し、従って液体媒質が水又は一層好ましくは水と1種若しくはそれ以上の水混和性有機溶媒との混合物であることが好ましい。
【0058】
本組成物はまた、インクジェット印刷インキに慣用的に用いられる追加の成分、たとえば粘度及び表面張力調整剤、腐食抑制剤、殺生物剤、コゲーション(kogation)低減用添加剤、並びにイオン性又は非イオン性であり得る界面活性剤を含有し得る。
【0059】
本発明の第2側面による組成物がインクジェット印刷インキとして用いられる場合、インキは、好ましくは合計で100万部当たり100部より少ない一層好ましくは100万部当たり50部より少ない濃度のハロゲン化物イオン並びに二価及び三価金属を有する。これにより、特にサーマルインクジェットプリンターにおいて、インクジェットプリントヘッドにおけるノズル閉塞が低減される。
【0060】
本発明の第3側面は、基材上に画像を印刷する方法であって、式(1)の化合物を含有するインキをインクジェットプリンターにより基材に施用することを含む方法を提供する。
【0061】
この方法において用いられるインキは、好ましくは、本発明の第2側面において定められたとおりの組成物を含む。
【0062】
インクジェットプリンターは、好ましくは、小さいオリフィスを通じて基材上に吐出される液滴の形態にてインキを基材に施用する。好ましいインクジェットプリンターは、圧電インクジェットプリンター及びサーマルインクジェットプリンターである。サーマルインクジェットプリンターにおいて、オリフィスに隣接された抵抗器によりプログラムによる熱パルスが溜め器中のインキに印加され、それにより基材とオリフィスの間の相対運動中、基材の方に向けて小さい液滴の形態にてインキが吐出されるようにされる。圧電インクジェットプリンターにおいて、小さい結晶の振動が、オリフィスからのインキの吐出を引き起こす。
【0063】
基材は、好ましくは紙、プラスチック、生地、金属又はガラス、一層好ましくは紙、オーバーヘッドプロジェクタースライド又は生地材料、特に生地材料である。
【0064】
基材が生地材料である場合、本発明によるインキは、好ましくは、
i)インクジェットプリンターを用いて組成物を生地材料に施用し、そして
ii)印刷されたこの生地材料を50℃から250℃の温度にて加熱する
ことにより生地材料に施用される。
【0065】
好ましい生地材料は、天然、合成及び半合成材料である。好ましい天然生地材料の例は、ウール、シルク、毛及びセルロース材料、特に木綿、ジュート、大麻、亜麻及びリネンを包含する。好ましい合成及び半合成材料の例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル及びポリウレタンを包含する。
【0066】
好ましくは、繊維材料は、上記の工程i)の前に、増粘剤並びに随意に水溶性塩基及びヒドロトロピー剤を含む水性前処理用組成物で処理されそして乾燥されている。
【0067】
前処理用組成物は、好ましくは、増粘剤を含有する水中の塩基及びヒドロトロピー剤の溶液を含む。特に好ましい前処理用組成物は、欧州特許出願公開第534660号明細書に一層十分に記載されている。
【0068】
本発明の第5側面によれば、インキを含有するインクジェットプリンターカートリッジであって、該インキが本発明の第1側面において定められたとおりの1種又はそれ以上の式(1)の化合物又はその塩を含有することを特徴とするカートリッジが提供される。
【0069】
好ましくは、インクジェットプリンターカートリッジ中に含有されるインキは、本発明の第2側面によるインキである。
【0070】
本発明は次の実施例により更に例示され、しかしてこれらの実施例において部数及び百分率はすべて、別段記載されていなければ重量による。
【0071】
実施例1
下記に記載された方法を用いて、染料(1)が製造された。
段階(i): ジアゾ化及びカップリング
水(800ml)中のN−アセチル−p−フェニレンジアミンスルホン酸(0.5モル)に濃塩酸(150ml)を添加し、そしてこの溶液を0〜5℃に冷却した。撹拌しながら、2N亜硝酸ナトリウム(250ml)を60分かけて滴加した。15分後、過剰の亜硝酸をスルファミン酸(0.2g)の添加により破壊した。生じた懸濁液に2−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジスルホン酸の溶液(pH=6における700mlの水中0.5モル)を添加し、そしてpHを酢酸ナトリウムの添加により4に調整した。この混合物を0〜5℃にて4時間撹拌した後、室温まで温めた。
【0072】
段階(ii): 加水分解
段階(i)から生じた混合物に濃水酸化ナトリウム(200ml)を添加しそして60〜65℃にて15時間加熱することにより、段階(i)の生成物に存在するアセチル基をアルカリ加水分解によって除去した。
【0073】
室温まで冷却した後、pHを濃塩酸の添加により7に調整した。塩化ナトリウム(20%重量−容量)を添加し、そして沈殿した固体を吸引濾過により集め、30%ブラインで洗浄しそして70℃にて乾燥した。収量210g(強度50%)。
【0074】
段階(iii): 塩化シアヌルとの縮合
段階(ii)からの生成物(208g)をpH7にて水(1600ml)中に溶解し、そして5〜10℃に冷却した。撹拌しながらアセトン(200ml)中の塩化シアヌル(37g)を30分の期間かけて滴加し、そしてこの混合物を更に1時間撹拌した。この溶液のpHを、炭酸ナトリウムの添加により4から5の値に保った。
【0075】
段階(iv): 縮合
エチレンジアミン(6.2g)を添加し、そしてこの混合物を30℃にて7時間撹拌した。この溶液のpHを、炭酸ナトリウムの添加により7から8の値に保った。沈殿した染料を濾別し、そして減圧下で70℃にて乾燥した。収量200g(強度64%)。λ(max)は、524nmであった。
【化8】

木綿についてのその染色は、顕著な光堅牢性と共に、青みの赤色の色合いを示す。
【0076】
実施例2から8
表1に示された化合物HR″N−Q−NH2をおおよそ2モル当量の実施例1における段階(iii)の生成物と縮合させることにより、式
【化9】

の染料を製造した。用いられた反応条件は、実施例1の段階(iv)において用いられたものと類似した。X及び/又はX′がFを意味する誘導体については、フッ化シアヌルとの縮合の段階(iii)において、対応するフッ化シアヌルをアセトンなしで反応させ、しかも反応を−5℃にて行った。
【0077】
【表1】

【0078】
次の例は、記載された染料の使用の可能性を例示する。塩素含有染料を施用実施例Aに従って染め、そしてフッ素含有染料を施用実施例Bに従って染めた。
【0079】
施用実施例A
1000部の脱塩水、80部のグラウバー塩(カ焼されたもの)、1部の1−ニトロベンゼン−3−スルホン酸のナトリウム塩及び1部の実施例1からの染料から成る染浴を、10分かけて80℃に加熱した。その後、100部のシルケット加工木綿を生じた溶液中に浸した。染色を80℃にて5分かけて遂行した後、溶液を15分かけて95℃に上げた。95℃にて10分後に3部のソーダを添加し、次いで95℃にて20分後に更に7部のソーダをそして30分後に更に10部のソーダを添加した。
【0080】
染色を引き続いて95℃にて60分間続行した。次いで、この染色された素材を染浴から取り出し、そして60℃±10℃における脱塩水の流水下で2分間そして60℃±10℃における水道水の流水下で1分間すすいだ。次いで、この素材を各回5000部の沸騰脱塩水中で2回10分間洗浄し、そして引き続いて60℃±10℃における脱塩水の流水下で2分間、60℃±10℃における水道水の流水下で1分間そして冷たい水道水下で1分間すすいだ。乾燥後、良好な堅牢度を備えた青みの赤色の木綿染色物が得られた。
【0081】
施用実施例B
100部の脱塩水中に5部のグラウバー塩(カ焼されたもの)を含有する染浴に、10部の木綿布(漂白されたもの)を加える。この浴を10分以内にて50℃に加熱し、そして0.5部の実施例6の染料を添加する。50℃にて25分後に0.7部のソーダを添加し、次いで50℃にて20分後に更に1.3部のソーダをそして30分後に更に2部のソーダを添加した。この浴を引き続いて15分かけて60℃に加熱し、そして染色を60℃にて60分間続行した。次いで、この染色された素材を染浴から取り出し、そして60℃±10℃における脱塩水の流水下で2分間そして60℃±10℃における水道水の流水下で1分間すすいだ。次いで、この染色された素材を各回5000部の沸騰脱塩水中で2回10分間洗浄し、そして引き続いて60℃±10℃における脱塩水の流水下で2分間、60℃±10℃における水道水の流水下で1分間そして冷たい水道水下で1分間すすいだ。乾燥後、良好な堅牢度を備えた青みの赤色の木綿染色物が得られた。
【0082】
実施例A及びBに記載されたやり方と類似のやり方で木綿を染色するために、実施例2から12の染料又は実施例1から12の染料混合物を用いた。青みの赤色の染色物が得られ、しかしてこれらの染色物は良好な堅牢性を示した。
【0083】
施用実施例C
次の成分
40部の実施例1の染料
100部の尿素
330部の水
500部の4%アルギン酸ナトリウム増粘剤
10部の1−ニトロベンゼン−3−スルホン酸のナトリウム塩
20部のソーダ
全部で1000部
を有する印刷ペーストを、在来印刷方法により木綿素材に施用した。印刷されそして乾燥されたこの素材を102℃から105℃にて4〜8分間水蒸気処理した後、冷すすぎ及び熱すすぎをした。固着されたこの木綿素材を引き続いて煮沸状態にて(実施例Aに類似して)洗浄し、そして乾燥した。得られた青みの赤色の印刷物は、良好な全般的堅牢性を有していた。
【0084】
実施例Cの方法に類似して木綿を印刷するために、実施例2から12の染料も用いた。すべての場合において、良好な堅牢性を備えた青みの赤色の印刷物が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物及びその塩。
【化1】

(ここで、
B及びB′は、各々独立して、−SO3H、−COOH、置換アルコキシ、置換アルキル、非置換アルコキシ、非置換アルキル又は−PO32であり、
Qは、ヘテロ原子により中断されていない非置換若しくは置換アルキル基又は1個の酸素原子を含む非置換若しくは置換アルキルエーテル基のどちらかであるかあるいは1個又は2個若しくはそれ以上の窒素原子を含む非置換又は置換アルキルポリアミン基である有機脂肪族連結基であり、
R、R′、R″及びR″′は、各々独立して、H又は非置換若しくは置換アルキルであり、
X及びX′は、各々独立して、置換活性原子又は基である。)
【請求項2】
有機脂肪族連結基Qが、アルキレン好ましくはC2~20アルキレン又はC2~20アルキレニレンであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
有機脂肪族連結基Qが、C1~4アルキレン基又は置換C1~4アルキレン基であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
X又はX′は両方共、F又はClであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
B又はB′は両方共、ジアゾ橋に対してオルトにあり且つ−SO3Hを意味することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の式(1)
【化2】

の化合物の生成方法であって、式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物をおおよそ1モル当量の式(2)
【化3】

の化合物と縮合させ、そして次いで式HN(R″)QN(R″′)Hの化合物と式(2)の化合物との反応生成物を式(2′)
【化4】

の化合物と反応させる
〔ここで、B、B′、Q、R、R′、R″、R″′、X及びX′は、請求項1〜5のいずれか一項に定義されたとおりの意味を有する〕
方法。
【請求項7】
ヒドロキシ基含有又は窒素含有有機基材を染色する又は印刷する若しくはインクジェット印刷する方法において、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、それらの塩、又はそれらの混合物でもって染色又は印刷を遂行する方法。
【請求項8】
天然若しくは合成ポリアミド又は天然若しくは再生セルロースから成るか又はそれらのうちのいずれかを含有する皮革又は繊維材料を染色する又は印刷するための、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
木綿から成るか又は木綿を含有する生地材料を染色する又は印刷する若しくはインクジェット印刷するための、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ヒドロキシ基含有又は窒素含有基材であって、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法に従って染色されている又は印刷されている若しくはインクジェット印刷されている基材。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、それらの塩、又はそれらの混合物の使用であって、ヒドロキシ基含有又は窒素含有基材を染色する又は印刷する若しくはインクジェット印刷する際の使用。
【請求項12】
インクジェット用インキであって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、それらの塩、又はそれらの混合物を含むインキ。

【公表番号】特表2007−505965(P2007−505965A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526734(P2006−526734)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003107
【国際公開番号】WO2005/028563
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】