説明

as−インダセン誘導体類

【課題】本発明はas−インダセン誘導体類を含有する液晶媒体および其の液晶媒体を具備する電気光学的表示要素に関する。本発明は負誘電異方性でVA表示器用の液晶媒体での使用に適するas−インダセン誘導体類に関する。
【解決手段】本発明は式(I)のasインダセン誘導体類に関する:



但し、X、X、R、R、A、A、Z、Z、m、n及び環B及びB’は請求項1に定義される通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はas−インダセン誘導体類、これらの誘導体類を含む液晶媒体、およびこれらの液晶媒体を備える電気光学的表示要素に関する。特に、本発明は負誘電異方性のas−インダセン誘導体類に関する。
【背景技術】
【0002】
約30年前に商業的に利用可能な液晶化合物が最初に発見されて以来、多岐に渡る液晶の用途が発見されてきた。公知の用途分野は、特に、時計およびポケット電卓の表示器、および鉄道の駅、空港および運動競技場で使用されるような大型の表示板である。更なる用途分野は、携帯用計算器およびナビゲーション・システムおよびビデオ用の用途における表示器である。特に最後に述べた用途においては、応答時間および画像のコントラストに対する要求が高い。
【0003】
液晶中の分子は特殊な配列をとっているため、液晶の多くの物性が方向に依存するという効果が生じる。中でも液晶表示器で使用する際に特に重要なことは、光学的、誘電的および弾塑性な機械的に異方性を有することである。分子の縦軸がコンデンサの2枚の板に対して垂直または平行に配向しているかに依存して、コンデンサは異なる容量を有する。換言すれば、2つの配向によって、液晶媒体の誘電定数εが異なる値となる。分子の縦軸がコンデンサ板に対して平行に配向している場合よりも垂直に配向している場合の方が誘電定数が大きいとき、その材料は誘電的に正だと言われる。換言すれば、分子の縦軸に平行な誘電定数εの方が分子の縦軸に垂直な誘電定数εより大きい場合であり、誘電異方性Δε=ε−εが正の場合である。従来の表示器で使用されている殆どの液晶は、これに分類される。
【0004】
分子の極性能および永久双極子モーメントの両者が誘電異方性に影響する。表示器に電圧を印加すると、誘電定数の大きい方が効果的となるよう、分子の縦軸は其れ自身によって配向する。電場による影響の強さは、2つの定数の差に依存する。差が小さい場合、差が大きい場合よりも高い切替電圧が必要となる。例えばニトリル基またはフッ素のような適当な極性基を液晶分子中に導入することで、広範囲の稼動電圧を実現できる。
【0005】
従来の液晶表示器で使用されている液晶分子の場合、分子の縦軸に沿う方向の双極子モーメントの方が、分子の縦軸に垂直な方向の双極子モーメントより大きい。最も普及しているTN(「twisted nematic」)セルの場合、液晶層は2枚の平面で平行なガラス板の間で僅か約5〜10μmの厚みで配置されており、夫々のガラス板には、酸化スズ又はインジウムスズ酸化物(ITO)の伝電性で透明な層が電極として蒸着されている。これらの膜および液晶層の間には、同様に透明な配向層があり、普通は樹脂(例えばポリイミド)でできている。この配向層は付近にある液晶分子の縦軸を表面力により所望の方向に向かせる働きをしており、電圧がかかっていない状態では表示器の内表面上において分子が同一の方向または同一の微小な傾斜角で一様に存在するようにしている。直線偏光のみを入射および出射させる2枚の偏光膜が、表示器の外表面に所定の配列で形成されている。
【0006】
大きい方の双極子モーメントが分子の縦軸に平行に配向している液晶を用いて、極めて高性能の表示器が既に開発されてきた。この際、十分に広い中間相の温度範囲および短い応答時間および低い閾電圧を実現するために、多くの場合、5から20種類の成分の混合物が使用されている。しかしながら、例えばノート型パソコンで使用されているような液晶表示器において、視野角への依存性が強いことに起因する問題が依然ある。見る人の視覚方向に対して表示器の表面が垂直な場合、最も高品位の画像を実現できる。
【0007】
見る方向に対して表示器が傾いていると、ある状況では、画像の品位が著しく劣化する。より優れた快適性のために、画像の品位を大きく低下させることなく見る人の視覚方向から表示器を傾けることができる角度を最大とする試みがなされている。分子の縦軸に垂直な方向の双極子モーメントが分子の縦軸に平行な其れより大きい液晶化合物を使用して、視野角への依存性を改良する試みが最近なされてきた。誘電異方性Δεは負である。場が印加されていない場合、これらの分子は、縦軸が表示器のガラス表面に垂直になるよう配向する。電場を印加すると、分子は自分自身でガラス表面に事実上平行に配向する。領域を複数とすることで、負誘電異方性の液晶媒体を使用して視野角依存性の改良を実現できるようになってきた。この技術は、表示器のより短い応答時間およびより良好なコントラスト値を実現するためにも使用できる。この型の表示器はVA−TFT(「vertically aligned」)表示器として公知である。
【0008】
液晶材料の分野における開発は、完成からは依然として、ほど遠い。液晶表示要素の物性を改良するために、表示器を最適とできる新規化合物の開発が継続的に試みられている。
【0009】
特に、特許文献1には、7−置換6−オキソ−6H−インデノ[5,4−b]フランカルボン酸類および其の薬剤としての使用が開示されているが、メソゲンとしての物性および液晶媒体中で此れらの化合物を使用することは記載されていない。
【0010】
非特許文献1には、2,7−ジメチルベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジフラン及び4−クロル−2,7−ジメチルベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジフランが開示されているが、メソゲンとしての物性および液晶媒体中で此れらの化合物を使用することは記載されていない。
【0011】
特許文献2には、負誘電異方性の1,7−ジヒドロインダセン誘導体類が、具体的で詳細な物理的および電気光学的物性はなく、一般的に記載されている。
【特許文献1】独国特許出願公開第2514389号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1350780号明細書
【非特許文献1】J.Heterocycl.Chem.誌、1978年刊、第15巻、第43〜48頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、液晶媒体中での使用に対して優れた物性を有する化合物を提供することである。特に、これらの化合物は必ず負誘電異方性を有しており、其のため此れらの化合物はVA表示器用の液晶媒体中での使用に特に適する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、一般式Iの化合物による本発明によって達成される。
【0014】
【化1】


ここで、
【0015】
【化2】

は、夫々互いに独立に
【0016】
【化3】

を表し、
及びAは、夫々互いに独立に、=CH−が1回または2回=N−に置き換えられてもよく、無置換または夫々互いに独立に−CN、F、Cl、Br及び/又はIにより、無置換またはフッ素および/または塩素により1置換または多置換されているC〜Cのアルカニルにより、または無置換またはフッ素および/または塩素により1置換または多置換されているC〜Cのアルコキシにより1〜4置換されてもよい1,4−フェニレン、ヘテロ原子が直接結合しないように−CH−が1回または2回それぞれ互いに独立に−O−又は−S−で置換されてもよく、無置換またはF、Cl、Br及び/又はIにより1置換または多置換されてもよい1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン又は1,4−シクロヘキサジエニレンを意味し;
及びZは、夫々互いに独立に、単結合、二重結合、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CHF−CHF−、−C(O)O−、−OC(O)−、−CHO−、−OCH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=CH−又は−C≡C−を意味し;
及びRは、水素、無置換であるか−CN又は−CFによって1置換またはF、Cl、Br及び/又はIで1置換または多置換されているか、加えて、鎖中のヘテロ原子が直接結合しないように基の中の1個以上のCH基が夫々互いに独立に−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−で置き換えられてもよい1〜15個または2〜15個までのC原子を夫々有するアルカニル、アルコキシ、アルケニル又はアルキニル基、F、Cl、Br、I、−CN、−SCN、−NCS又は−SFを意味し;
m及びnは、夫々互いに独立に、0、1、2又は3であり;
、X及びYは、夫々互いに独立に、水素、無置換であるか又はF、Cl、Br及び/又はIで1置換または多置換されているか、加えて、鎖中のヘテロ原子が直接結合しないように基の中の1個以上のCH基が夫々互いに独立に−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−で置き換えられてもよい1〜15個または2〜15個までのC原子を夫々有するアルカニル、アルコキシ、アルケニル又はアルキニル基、F、Cl、Br、I、−CN、−SF、−SCN又は−NCSを意味し;
はYで定義された通りか又は−[−Z−A−]−Rを表し、但しZはZ及びZで定義された通りで、AはA及びAで定義された通りで、RはR及びRで定義された通りで、およびpはn及びmで定義された通りで;
但し、
、A、A、Z、Z、Z、R、R及びRは互いに同一でもよく、又はm、n及びpが夫々1より大きい場合は異なっていてもよく;
及びYは、環B及びB’に対しては、互いに同一でも又は異なっていてもよく;
および但し、
(a)環Bが環f又はgを表し、および環B’が環dを表し、および同時にmが0で、およびXがHでない場合、Rは−COOHを表さず、または環B’が環f又はgを表し、および環Bが環dを表し、およびnが0で、およびXがHでない場合、Rは−COOHを表さず;
(b)X及びXの一方が水素で、およびX及びXの他方が水素またはClで、および同時に環B及びB’の両方が環gを表す場合、R−[−A−Z−]−及び−[−Z−A−]−Rは同時にはCHではない。
【発明の効果】
【0017】
これらの化合物は負のΔεを有しているため、特に、VA−TFT表示器での使用に適している。好ましくは、本発明による化合物は−2より小さいΔεを有しており、特に好ましくは−5より小さいΔεである。これらの化合物は、表示器用の液晶混合物で使用される普通の材料に対して良好な適合性を示す。
【0018】
更に、本発明による式Iの化合物は、VA−TFT表示器での使用に特に適する値の光学異方性Δnを有している。好ましくは、本発明による化合物は、0.02より大きく0.25より小さいΔnを有する。
【0019】
他の物性、即ち、本発明による化合物の物理化学的または電気光学的な特性も、液晶媒体中の化合物として使用するのに有利なものである。これらの化合物は、特に、十分広い範囲でネマチック相を示し、低温および長期に渡って良好な安定性を示すのみならず、十分に高い透明点および良好な粘度および応答時間を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
式Iの化合物の中央の芳香族6員上の基X及びXの少なくとも一方が、水素以外であることが好ましい。
【0021】
環B及びB’の少なくとも一方が、少なくとも1個の電気陰性な基(例えば、−F、−Cl又は=O又はハロゲンで置換されたアルキル基)を有することがより好ましい。
【0022】
中央の芳香族6員上の基X及びX、好ましくは−CF、−OCF、フッ素および/または塩素置換基、特にフッ素置換基と、環B及びB’上の好ましくは電気陰性基とによって、分子の縦軸に垂直な双極子モーメントが誘発される。この双極子モーメントは、羽のような単位−(−Z−A−)−R及び−(−Z−A−)−R中の適当な置換基によって、随意的に更に強めることができる。場が印加されていない状態では、式Iの化合物は、それ自身で、表示器の処理された又は被覆されたガラス表面に垂直に分子の縦軸を配向させる。
【0023】
本発明による式Iの好ましい化合物は、環B及びB’は、夫々互いに独立に、以下より選ばれたものである。
【0024】
【化4】

但し、Y及びYは式Iにおいて上で定義した通りである。ここで、環B及びB’は同一であることが好ましく、但し、両環中の基Yは同一でも又は異なっていてもよく、両環中の基Yは同一でも又は異なっていてもよい。
【0025】
但し、Y及びYは、特に好ましくは、夫々互いに独立に、F、Cl又は6個以下の炭素原子を有する(ペル)フルオロ化アルカニル又はアルコキシ基、特に−CF又は−OCFである。更に、また、Yは、特に好ましくは、−[−Z−A−]−Rである。環B及びB’の少なくとも一方の、特に両環のY及びYは、非常に特に好ましくはFである。
【0026】
更に好ましくは、本発明による式Iの化合物は、以下の式の化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
【0027】
【化5.1】

【0028】
【化5.2】

【0029】
【化5.3】

但し、X、X、R、R、A、A、Z、Z、m及びnは請求項1で定義された通りであり及び式Iに対して上で定義された通りであり;
11及びY12は請求項1でYに対して定義された通りであり及び式Iに対して上で定義された通りであり、および両者は同一でも又は異なっていてもよく;および
21及びY22は請求項1でYに対して定義された通りであり及び式Iに対して上で定義された通りであり、および両者は同一でも又は異なっていてもよい。
【0030】
11、Y12、Y21及びY22は、特に好ましくは、夫々互いに独立に、H、F、Cl又は6個以下の炭素原子を有する(ペル)フルオロ化アルカニル又はアルコキシ基、特に−CF又は−OCFである。更に、また、Y11及びY12は、特に好ましくは、−[−Z−A−]−Rを表す。Y11及びY21又はY12及びY22は非常に特に好ましくは同一であり及び特にフッ素である。特に、Y11、Y21、Y12及びY22は全て同時にフッ素である。
【0031】
式Iaa、Ibb、Iee、Iff及びIggの化合物が特に好ましい。
【0032】
本発明による一般式I及び式Iaa、Iaf、Iag、Ibb、Ibf、Ibg、Icc、Idd、Iee、Iff及びIggの化合物において、Z及びZ及び、存在する場合、Zは、好ましくは夫々互いに独立に、単結合、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−又は−CF=CF−であり、特に好ましくは、単結合、−CFO−又は−OCF−であり、特に単結合である。
【0033】
本発明による一般式I及び式Iaa、Iaf、Iag、Ibb、Ibf、Ibg、Icc、Idd、Iee、Iff及びIggの化合物において、A、A及び、存在する場合、Aは、好ましくは夫々互いに独立に、随意的に置換された1,4−フェニレン、随意的に置換された1,4−シクロヘキシレンで、−CH−が1回または2回−O−に置き換えられていてもよく、または随意的に置換された1,4−シクロヘキセニレンである。mが1より大きい場合、環Aは同一でも又は異なっていてもよい。nが1より大きい場合、環Aは同一でも又は異なっていてもよい。pが1より大きい場合、環Aは同一でも又は異なっていてもよい。
【0034】
、A及び、存在する場合、Aは、特に好ましくは、夫々互いに独立に、以下である。
【0035】
【化6】

、A及び、存在する場合、Aは、非常に特に好ましくは、1,4−シクロヘキシレン環類および/または随意的にフッ素で置換されている1,4−フェニレン環類である。
【0036】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、1〜15個のC原子を有するアルカニル基および/またはアルコキシ基(アルキルオキシ基)でもよく、直鎖または分岐している。好ましくは、直鎖で1、2、3、4、5、6又は7個のC原子を有しており、よって好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ又はヘプトキシである。
【0037】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、オキサアルキル、即ち、末端ではないCH基の1個が−O−で置換されているアルカニル基でもよく、好ましくは直鎖の2−オキサ−プロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)又は3−オキサブチル(即ちメトキシエチル)、2−、3−又は4−オキサペンチル、2−、3−、4−又は5−オキサヘキシル、または2−、3−、4−、5−又は6−オキサヘプチルである。また対応して、式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、チオアルカニル又はサルホニルアルカニル基、即ち、1個のCH基が−S−又は−SO−で置換されているアルカニル基でもよい。
【0038】
更に、式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、直鎖または分岐しており少なくとも1個のC−C二重結合を有し2〜15個のC原子を有しているアルケニル基でもよい。好ましくは直鎖で2〜7個のC原子を有するものである。よって、ビニル、プロパ−1−又は−2−エチル、ブタ−1−、−2−又は−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−又は−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−エニル、またはヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−又は−6−エニルが好ましい。C−Cニ重結合の2つのC原子が置換されている場合、アルケニル基はE及び/又はZ異性体(トランス/シス)の何れの形式でも構わない。一般に、夫々のE異性体が好ましい。
【0039】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、直鎖または分岐しており少なくとも1個のC−C三重結合を有し2〜15個のC原子を有しているアルキニル基でもよい。
【0040】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、1個のCH基が−O−によって置き換えられており1個は−CO−によって置き換えられており好ましくは此れらは隣接しており1〜15個のC原子を有するアルカニル基でもよい。よって、これはアシロキシ基−CO−O−又はオキシカルボニル基−O−CO−を含む。この基は好ましくは直鎖で2〜6個のC原子を有する。ここで、次の基が好ましい:アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル及び4−(メトキシカルボニル)ブチル。更に、アルカニル基は−O−CO−O−単位を有する場合もある。CH基を1個のみの−CO−基(カルボニル性)で置き換えることもあり得る。
【0041】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、無置換または置換された−C=C−単位の付近のCH基が−CO−又は−CO−O−又は−O−CO−によって置き換えられており2〜15個のC原子を有するアルケニル基でもよく、但し、この基は直鎖でも分岐していてもよい。この基は好ましくは直鎖で4〜13個のC原子を有する。ここで、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタアクリロイルオキシエチル、3−メタアクリロイルオキシプロピル、4−メタアクリロイルオキシブチル、5−メタアクリロイルオキシペンチル、6−メタアクリロイルオキシヘキシル、7−メタアクリロイルオキシヘプチル及び8−メタアクリロイルオキシオクチルが好ましい。対応して、アルキニル基中の置換された−C≡C−単位の付近のCH基も、−CO−、−CO−O−、−O−CO−又は−O−CO−O−によって置き換えてよい。
【0042】
式IのR、R及びRは、夫々互いに独立に、−CN又は−CFによって1置換された1〜15個のC原子を有するアルカニル基または2〜15個のC原子を有するアルケニル基でもよく、但し、これらは好ましくは直鎖である。−CN又は−CFによる置換は、何れの所望の位置でも可能である。
【0043】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、2個以上のCH基が−O−及び/又は−CO−O−によって置き換えられたアルカニル基でもよく、但し、直鎖でも分岐していても構わない。好ましくは、分岐ており3〜12個のC原子を有する。
【0044】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、F、Cl、Br及び/又はIによって1置換または多置換された1〜15個のC原子を有するアルカニル基または2〜15個のC原子を有するアルケニル基でもよく、但し、これらは好ましくは直鎖であり、ハロゲンは好ましくは−F及び/又は−Clである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくは−Fである。得られる基は、−CFのようなペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0045】
式IのR、R、R、X、X、Y及びYは、夫々互いに独立に、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−SCN、−NCS又は−SFでもよい。
【0046】
特に好ましくは、一般式IのR、R及びRは、夫々互いに独立に、1〜7個または2〜7個のC原子を夫々有するアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基である。
【0047】
好ましくは、一般式IのX及びXは、夫々互いに独立に、水素、1〜7個または2〜7個のC原子を夫々有するアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基で、夫々はハロゲンにより少なくとも1置換されているか、またはハロゲンである。ここで、X及びXの少なくとも一方は、−CF、−OCF、F又はClが特に好ましい。非常に特に好ましくは、両方の基X及びXが−CF、−OCF、フッ素または塩素であり、特に両方がフッ素である。
【0048】
一般式Iの好ましい化合物は、全体で0、1、2又は3個の羽のような単位−Z−A−及び−Z−A−を有し、即ち、n+mは0、1、2又は3で、但しn及びmは夫々0、1、2又は3である。羽のような単位が2又は3個ある場合、これらは分子の片側のみに、即ち、環Bに又は環B’に、一方でまたは、分子の両側に結合してよい。特に好ましくは、n+mは0又は1である。
【0049】
本発明において、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0050】
本発明において、「アルキル」との語は、本記載または請求項中で他に定義していない場合、1〜15個(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個)の炭素原子を有する直鎖または枝分れした脂肪族炭化水素基を意味するが、この基は無置換またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、ニトロ、−NH、−N(アルカニル)及び/又はシアノで1置換または多置換されており、但し、多置換は同一または異なる置換基で行うことができる。このアルキル基が飽和している基の場合、「アルカニル」とも呼ばれる。更に、「アルキル」との語は、置換されていないか又は対応して同一または異なる置換基、特にF、Cl、Br、I及び/又は−CNによって1置換または多置換された炭化水素基も含み、1個以上のCH基は、鎖中のヘテロ原子(O又はS)が互いに直接結合しないように、−O−(「アルコキシ」、「オキサアルキル」)、−S−(「チオアルキル」)、−SO−、−CH=CH−(「アルケニル」)、−C≡C−(「アルキニル」)、−CO−、−CO−O−、−O−CO−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。好ましくは、アルキルは直鎖または分岐しており、無置換または置換された、1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有するアルカニル、アルケニル又はアルコキシ基である。
【0051】
アルキル基中の1個以上のCH基を−O−で置き換える場合もあるため、「アルキル」との語は、「アルコキシ」又は「オキサアルキル」基も含む。本発明において、本記載または請求項中で他に定義していない場合、アルコキシとの語は、アルコキシ置換基または置換された環および上で定義したアルキルに酸素原子が直接結合しているO−アルキル基と解釈され、アルキルは好ましくはアルカニル又はアルケニルである。好ましいアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ及びオクトキシであり、但し、これらの基の夫々も、好ましくは1個以上のフッ素原子によって置換されていてよい。特に好ましくは、アルコキシは、−OCH、−OC、−O−n−C、−O−n−C、−O−t−C、−OCF、−OCHF、−OCHF又は−OCHFCHFである。本発明において、本記載または請求項中で他に定義していない場合、「オキサアルキル」との語は、ヘテロ原子(O又はS)が隣接しないように末端でないCH基の少なくとも1個が−O−で置き換えられているアルキル基を意味する。好ましくは、オキサアルキルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を有する直鎖の基を含む。
【0052】
本発明において、本記載または請求項中で他に定義していない場合、「アルケニル」との語は、1個以上の−CH=CH−基が存在する上で定義されたアルキル基を意味する。この基中に2個の−CH=CH−基が存在する場合、「アルカディエニル」と呼ぶこともできる。アルケニル基は2〜15個(即ち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個)の炭素原子を含み、および分岐しているか好ましくは直鎖である。この基は置換されていないか又は対応して同一または異なる置換基、特にF、Cl、Br、I及び/又は−CNによって1置換または多置換されている。更に、1個以上のCH基が夫々互いに独立に、ヘテロ原子(O又はS)が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。CH=CH基の両方の炭素原子上に水素以外がある場合、例えば、末端基でない場合、CH=CHには2種類の立体配置、即ち、E異性体およびZ異性体が存在する。一般に、E異性体(トランス)が好ましい。好ましくは、アルケニル基は2、3、4、5、6又は7個の炭素原子を含み、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、2−プロペニル、2E−ブテニル、2E−ペンテニル、2E−ヘキセニル、2E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル又は6−ヘプテニルを意味する。
【0053】
アルキル基中の1個以上のCH基が−C≡C−で置き換えられている場合、アルキニル基が存在する。1個以上のCH基を−CO−O−又は−O−CO−で置き換えることも可能である。ここで、好ましい此れらの基は次の通りである:アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル及び4−(メトキシカルボニル)ブチル。
【0054】
アルキル基中の1個以上のCH基が無置換または置換された−CH=CH−で置き換えられており、隣接するCH基がCO、CO−O又はO−COで置き換えられている場合、この基は直鎖または分岐していてもよい。好ましくは直鎖で4〜12個のC原子を有している。従って、特に好ましくは、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタアクリロイルオキシエチル、3−メタアクリロイルオキシプロピル、4−メタアクリロイルオキシブチル、5−メタアクリロイルオキシペンチル、6−メタアクリロイルオキシヘキシル、7−メタアクリロイルオキシヘプチル又は8−メタアクリロイルオキシオクチルを意味する。
【0055】
例えば、不斉中心を有するために、本発明による化合物の基および置換基または本発明による化合物自身が光学活性または立体異性な基、置換基または化合物として夫々存在し得る場合、これらも本発明に含まれる。ここで、本発明による一般式Iの化合物が、異性体的に純粋な状態、例えば、純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー、E又はZ異性体、トランス又はシス異性体、または任意の所望の比率の異性体の混合物、例えば、ラセミ体、E/Z異性体混合物またはシス/トランス異性体混合物で存在しうることは言うまでもない。
【0056】
一般式Iの化合物は、文献(例えば、標準的な方法として、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市)に記載されているように、公知で其の反応に適する正確な反応条件により、それ自身は公知の方法により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで非常に詳細には述べていない変法も利用できる。
【0057】
所望により、出発材料を反応混合物より単離することなく其の場で作製し、直ちに一般式Iの化合物に変換することもできる。
【0058】
融合された5員環B及びB’を含む本発明によるas−インダセン誘導体類を構築するために使用される各種の多置換フェニル誘導体類の合成は、例を追って記載されている。出発物質は一般に入手可能な文献による方法で入手するか又は商業的に入手可能である。同様に、記載される反応は、文献より公知のものに関する。
【0059】
as−インダセン骨格を構築するための合成の概略を以下に示した。適当な出発材料を選ぶことで、一般式Iの特定の所望の化合物に合成法を適応させることができる。
【0060】
【化7.1】

【0061】
【化7.2】

【0062】
【化7.3】

【0063】
【化7.4】

【0064】
【化7.5】

【0065】
【化7.6】

1,2−ジブロモフェノール誘導体Aから出発し、α,β−無置換アルデヒドBをリチウムジイソプロピルアミド(LDA)存在下で反応して、化合物Cを得る。この反応をアルデヒドBと繰返して、Dを得る。閉環剤と共にトリエチルアミン存在下でパラジウム触媒とDを反応させ、ジケトンE(即ち、化合物Icc)を得る。ジケトンE及び1,2−エタンジチオールからBF/ジエチルエーテル存在下で、対応するビスジチアンFを得る。これを、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)及びHFとピリジン中で反応させてGを得る。ジアザビシクロウンデセン(DBU)存在下でHBrを脱離して、as−インダセン誘導体H(即ち、Y11、Y12、Y21及びY22が全てFである化合物Ibb)を得る。as−インダセン誘導体Hをパラジウム/炭素触媒上で水素雰囲気下により水素化して、as−インダセン誘導体J(即ち、Y11、Y12、Y21及びY22が全てFである化合物Iaa)を得る。
【0066】
【化8.1】

【0067】
【化8.2】

【0068】
【化8.3】

一方、例えばLiAlHを使用してジケトンEを還元することにより、アルコールKが得られる。引続き、酸を使用して脱離し、as−インダセン誘導体L(即ち、Y11及びY21がHである化合物Iee)を得る。一方、DAST(ジアミノサルファートリフルオリド;M.Hudlicky著、Organic Reactions、第35巻、1988年刊、513頁参照)を使用して、as−インダセン誘導体M(即ち、Y11がY12Fで、Y21及びY22がHである化合物Iaa)を、独国特許出願公開第4434975号に記載される工程と類似して得る。
【0069】
【化9】

更に、独国特許出願公開第4434975号に記載される工程と類似して、ジケトンEをDASTと反応し、as−インダセン誘導体N(即ち、Y及びYがFである化合物Iee)を得る。
【0070】
ジケトンEより出発してジメチルホルムアミド中でホスホリルクロリドと共に暖めることで、塩素原子(フッ素原子の代わりに)を導入することもできる。ジケトンEより出発し独国特許出願公開第10135499号に記載される工程と類似して、トリフルオロメチル基を導入する。
【0071】
本発明による式Iの化合物の更なる合成の概要が、以下のスキームにより示される。
【0072】
【化10.1】

【0073】
【化10.2】

【0074】
【化10.3】

【0075】
【化10.4】

Oから出発して、n−ブチルリチウム及びトリメチルシリルクロリドを使用して、フェニル環にトリメチルシリル基を導入でき、ルイス酸触媒と共に示されている酸クロリドと引続き反応させ、Pを得る。ウィッティッヒ反応および引続く触媒的水素化(pは0でRはアルキル)又は構造単位として−[−Z−A−]−Rを含む適当な有機金属化合物との反応後、形成されたOH基を引続き脱離および最後に触媒的に還元して、−[−Z−A−]−R基の意味に応じて、これを導入しQを形成する。エステル基を鹸化しルイス酸触媒によって酸クロリドに変換後、環化してRを得る。得られたRのケトン基はウォルフ−キッシュナー還元により還元でき、続いてトリメチルシリルクロリドを用いてシリル化し、図示の酸クロリドと反応させて、Sを得る。酸触媒で環化を実行して、Tを得る。Tから出発して、本発明の式Iの更なる化合物を、上述の方法により得ることができる。
【0076】
環状5員環を形成するために記載された合成に関する以下のスキーム又は其れを適用することによって、1又は2個の酸素を含む5員環を含む本発明による化合物を調製できる。
【0077】
【化11】

ジアゾ化およびヨウ素/カリウムカーボネートを用いて第2のOH基を導入した後、芳香族化合物Uを2個のヨウ素が導入された芳香族化合物Vに変換する。ビストリフェニルフォスフィンパラジウム(II)クロリド及びヨウ化銅(I)を触媒として、アルキンR−[−A−Z−]−≡又はR−[−A−Z−]−≡より、ベンゾジフランWを得る。これを触媒的に水素化すれば、Xも得ることができる。
【0078】
以下の合成順序は、酸素を含む5員環を有する本発明による化合物の調製を図示する。夫々の合成段階では、上のスキームで説明した調製方法を再び使用できる。
【0079】
【化12】

記載された反応は、単に例示としてみなされるべきである。当業者によれば、記載された反応に対応する変法を容易に行なうことができ、式Iの化合物を得るための他の適当な合成経路を採用することもできる。
【0080】
既に記載した通り、一般式Iの化合物は、液晶媒体中で使用できる。
【0081】
従って、本発明は、少なくとも2種類の液晶化合物を含み、一般式の化合物を少なくとも1種類含む液晶媒体にも関する。
【0082】
また、1種類以上の本発明による式Iの化合物に加え、更なる構成材料として2〜40種類、好ましくは4〜30種類の成分を含む液晶媒体にも、本発明は関する。特に好ましくは、これらの液晶媒体は、1種類以上の本発明による式Iの化合物に加え、7〜25種類の成分を含む。これらの更なる構成材料は、好ましくはネマチック又はネマチック性(単変性または等方性)の物質、特に好ましくはアゾキシベンゼン類、ベンジルイデニニリン類、ビフェニル類、テルフェニル類、1,3−ジオキサン類、2,5−テトラヒドロピラン類、フェニル又はシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサン酢酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサン酢酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル類、安息香酸、シクロヘキサン酢酸またはシクロヘキシルシクロヘキサン酢酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビスシクロヘキシルベンゼン類、4’,4’−ビスシクロヘキシルビフェニル類、フェニル−又はシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−又はシクロヘキシルピリジン類、フェニル−又はシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−又はシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニルエタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン類、1−シクロヘキシル−2−ジフェニルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン類、随意的にハロゲン化されたスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸類の類より選ばれる。また、これらの化合物中の1,4−フェニレン基は、1個または複数のフッ素でフッ素化されていてもよい。
【0083】
本発明による媒体の更なる構成材料として適当な最も重要な化合物は、式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)で特徴付けることができる。
【0084】
R’−L−E−R” (II)
R’−L−COO−E−R” (III)
R’−L−OOC−E−R” (IV)
R’−L−CHCH−E−R” (V)
R’−L−CFO−E−R” (VI)
式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)で、L及びEは同一でも異なっていてもよく、夫々互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−Thp−、−G−Phe−及び−G−Cyc−及び其れらの鏡像体よりなる群からの二価の基を意味する。但し、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレンを意味し、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレン又は1,4−シクロヘキシレンを意味し、Pyrはピリミジン−2,5−ジイル又はピリジン−2,5−ジイルを意味し、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを意味し、Thpはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを意味し、Gは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイルを意味する。
【0085】
好ましくは、基L及びEの一方はCyc又はPheである。好ましくは、EはCyc、Phe又はPhe−Cycである。好ましくは、本発明による媒体は、L及びEがCyc及びPheからなる群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、同時に基L及びEの一方がCyc及びPheからなる群より選ばれ他の基が−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−及び−G−Cyc−からなる群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含み、随意的に基L及びEが−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−G−Phe−及び−G−Cyc−からなる群より選ばれている式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物より選ばれる1種類以上の成分を含む。
【0086】
式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物のより小さな下位の群では、R’及びR”は、夫々互いに独立に、C原子が8個以下のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル(オキサアルキル)、アルケニルオキシ又はアルカノイルオキシを意味する。以下では、このより小さな下位の群を群Aと呼び、化合物を下位式(IIa)、(IIIa)、(IVa)、(Va)及び(VIa)と呼ぶ。これらの化合物の殆どではR’及びR”は互いに異なっており、普通これらの基の1つはアルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0087】
群Bとして知られている式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物の他の小さな下位の群では、Eは以下を意味する。
【0088】
【化13】

下位式(IIb)、(IIIb)、(IVb)、(Vb)及び(VIb)と呼ばれる群Bの化合物では、R’及びR”は下位式(IIa)〜(VIa)の化合物で示した意味を有し、好ましくはアルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0089】
式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物のより小さな下位の更なる群では、R”が−CNを意味する。以下では、この下位の群を群Cと呼び、この下位の群の化合物を対応して下位式(IIc)、(IIIc)、(IVc)、(Vc)及び(Vc)と記載する。下位式(IIc)、(IIIc)、(IVc)、(Vc)及び(VIc)の化合物では、R’は下位式(IIa)〜(VIa)の化合物で示した意味を有し、好ましくはアルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルコキシアルキル(オキサアルキル)である。
【0090】
群A、B及びCの好ましい化合物に加え、提案された置換基の他の変形したものを有する式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の他の化合物も、通常、使われる。これらの化合物は、全て、文献からの公知の方法および其れと類似の方法で入手できる。
【0091】
本発明による一般式Iの化合物に加え、好ましくは、本発明による媒体は、群A、B及び/又はCからの1種類以上の化合物を含む。本発明による媒体中において、3つの群からの化合物の重量による割合は:
群A:0〜90%、好ましくは20〜90%、特に30〜90%
群B:0〜80%、好ましくは10〜80%、特に10〜70%
群C:0〜80%、好ましくは5〜80%、特に5〜50%
である。
【0092】
好ましくは、本発明による媒体は、本発明による式Iの化合物を1〜40%含んでおり、特に好ましくは5〜30%である。更に、媒体が本発明による式Iの化合物を40%より多く含んでいても好ましく、特に、45〜90%である。好ましくは、媒体が、本発明による式Iの化合物を1、2、3、4又は5種類含む。
【0093】
式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物の例は、以下に列記されたものである。
【0094】
【化14.1】

【0095】
【化14.2】

【0096】
【化14.3】

【0097】
【化14.4】

但し、R及びRは、夫々互いに独立に、−C2n+1又は−OC2n+1で、nは1、2、3、4、5、6、7又は8で、L及びLは、夫々互いに独立に、−H又は−Fである。
【0098】
【化14.5】

【0099】
【化14.6】

【0100】
【化14.7】

但し、m及びnは、夫々互いに独立に、1、2、3、4、5、6、7又は8である。
【0101】
本発明による媒体は、それ自体は従来の方法で調製される。一般的に、成分は互いに好しくは加熱下で溶解される。適当な添加剤により、これまで開示されてきた全ての型の液晶表示要素に使用できるように、本発明の液晶相を修正できる。この型の添加剤は当業者には知られており、文献に詳細に記載されている(H.Kelker及びR.Hatz著、Handbook of Liquid Crystals、Verlag Chemie社、Weinheim市、1980年刊)。例えば、有色のゲスト−ホスト系を作製するために多色性色素を使用でき、または、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を修正するために、物質を添加することもできる。
【0102】
化合物が負のΔεを有しているため、式Iの化合物はVA−TFT表示器での使用に特に適している。
【0103】
従って、本発明は、本発明による液晶媒体を具備する電気光学的液晶表示要素にも関する。
【0104】
以下、実施例を参考にして本発明を非常に詳細に説明するが、これによって、本発明は何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0105】
出発物質は、一般に入手可能な文献による方法により得ることができるか、または商業的に入手可能である。記載されている反応は、文献により公知である。
【0106】
物理的、物理化学的または電気光学的特性は一般に公知の方法、特に冊子「メルク液晶−Licristal(登録商標)−液晶の物理的物性−測定方法の記載、1998年刊、Merck KGaA社、Darmstadt市」に記載されるようにして決定できる。
【0107】
<例A>
【0108】
【化15】

−75℃において、10mlのTHF中の13.5g(50.0mmol)の1,2−ジブロモ−4,5−ジフルオロベンゼン2の溶液を、100mlに希釈されたシクロヘキサン/エチルベンゼン/THF中の2Nのリチウムジイソプロピルアミド(LDA)の溶液27.0ml(54.0mmol)に加える。この低温で2時間後、10mlのTHF中の4.6g(47.0mmol)のアルデヒド1を加える。30分後、冷却を除去し、20℃の反応物に100mlの1N塩酸を加える。水層を抽出し、有機層を乾燥し、エバポレイション及びクロマトグラフィーにより、アリルアルコール3を得る。3より出発して、この反応を繰返し、ビスアリルアルコール4を得る。
【0109】
【化16】

35.0g(74.8mmol)のビスアリルアルコール4、5.5gのビス(トリ−o−トリルフォスフィン)パラジウムジクロリド及び50mlのトリエチルアミンを390mlのアセトニトリルに溶解し、アリルアルコールが完全に反応するまで90℃で加熱する。冷却された反応物を水に導入する。抽出、乾燥、エバポレイション及びクロマトグラフィーにより、ジケトン5を得る。
【0110】
<例B>
【0111】
【化17】


10.0g(32.6mmol)のジケトン5及び7.0ml(69.9mmol)のプロパンジチオールを50mlのジクロルメタンに溶解し、6〜7℃で7.0mlのボロントリフルオリド/ジエチルエーテル錯体を添加し、引続き、混合物を室温で一晩攪拌する。反応物を10mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液に加え、気体の発生が完結するまで混合物を攪拌する。水層を抽出、有機層を乾燥し、エバポレイション及びシリカゲルを通して濾過後、得られた残渣を更に精製することなく次の工程で使用する。
【0112】
【化18】

30mlのジクロルメタンに溶解されている10.0gの未精製のチオケタール6を、45.8g(160mmol)の1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒデンション(DBH)と、80mlのヒドロゲンフルオリドの65%ピリジン溶液と、50mlのジクロルメタンとの混合物に−75℃でゆっくり加える。引続き、反応物を室温で一晩攪拌する。反応混合物を氷冷された亜硫酸水素塩に加え、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を使用して酸を取り除く。抽出、乾燥、エバポレイション、水による再洗浄、クロマトグラフィー及びヘキサンからの結晶化により、as−インダセン誘導体7を得る。
【0113】
【化19】

6.0g(11.8mmol)のas−インダセン誘導体7を50mlのジクロルメタンに溶解し、4.5ml(30.0mmol)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を加え、攪拌されている材料が完全に反応するまで、室温で混合物を攪拌する。この反応物を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、エバポレイション及びクロマトグラフィーを行い、as−インダセン誘導体8を単離する。
【0114】
<例C>
【0115】
【化20】


4.0g(11.6mmol)のas−インダセン誘導体8を50mlのTHFに溶解し、室温および大気圧下、パラジウム触媒上で水素化する。エバポレイション、シリカゲルでクロマトグラフィーを行い、結晶化してas−インダセン誘導体9を得る。
【0116】
<例D>
【0117】
【化21】

窒素雰囲気下、116.5g(1.00mol)の1,2−ジフルオロベンゼン(10)を600mlのテトラヒドロフランに溶解し、656mlの15%ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.05mol)を−70℃で加える。この温度で1時間後、132.6ml(1.05mol)のトリメチルシリルクロリド(11)の100mlテトラヒドロフラン溶液を、反応混合物にゆっくりと加える。反応物を一晩かけて解凍し、1.5lの飽和塩化アンモニウム溶液を加える。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションし、得られた残渣を8mbarで蒸留し、152g(81%、沸点88℃)のシリル化合物12を得る。
【0118】
【化22】

窒素雰囲気下、37.6g(250mmol)の酸クロリド13を200mlのシクロヘキサンに溶解する。この溶液に、46.6g(250mmol)のシリル化合物12を0〜2℃で加える。引続き、37.3g(280nmol)の塩化アンモニウムを反応混合物に数回に分けて加え、その間、温度を−2℃及び2℃の間に保つ。低温で1時間後、冷却を除去する。反応物を室温まで暖め、氷上に移動する。水層をメチルtert−ブチルエーテルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲル上で精製し、31.4g(55%)のケトエステル14を得る。
【0119】
【化23】


窒素雰囲気下、51.1g(150mmol)のウィッティッヒ塩15を200mlのTHF中に分散し、15.7g(140mmol)のカリウムtert−ブトキシドの75mlのTHF溶液を5〜10℃で加える。1時間後、75mlのTHFに溶解されたケトエステル14を加える。引続き、冷却を除去する。室温で20時間後、反応物に水を加える。水層をMTBエーテルで抽出する。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲルに通し(MTBエーテル/n−ヘキサン1:10)、29.4g(88%)のエステル16を得る。
【0120】
【化24】

29.0g(21.6mmol)のエステル16を500mlのテトラヒドロフランに溶解し、パラジウム触媒上で水素化する。水素化された溶液をエバポレイションし、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーし、27.8g(95%)の物質17を得る。
【0121】
【化25】

27.0g(105mmol)のエステル17を水酸化カリウムのエタノール溶液中で5時間還流する。引続き、アルコールを蒸留により除去し、残渣を水に投入し、塩酸を使用して酸性とし、MTBエーテルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。得られた残渣に50mlのチオニルクロリド及びDMFを1滴加え、気体の発生が終了するまで混合物を還流する。過剰のチオニルクロリドを蒸留で除去する。更に精製することなく、残渣(25g)を次の工程で使用する。
【0122】
【化26】

120mlのジクロルメタン中の25g(約105mmol)の未精製の酸クロリド18の溶液を、窒素雰囲気下−20から−15℃で、80mlのジクロルメタン中の16.4g(119mmol)のアルミニウムクロリドの懸濁液に加える。4.5時間後、氷を加えて反応を停止させ、塩酸により混合物を酸性とする。水層をメチレンクロリドで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィー(MTB/n−ヘプタン1:5)し、18.5g(84%)のインダノン19を得る。
【0123】
【化27】

23.9g(361mmol)水酸化カリウムを、90mlのジエチレングリコールに溶解する。その溶液に、13.0ml(268mmol)の水酸化ヒドラジン及び18.0g(85.6mmol)のインダノン19を加え、混合物を2時間還流する。引続き、加熱浴の温度を200℃まで上げ、気体の発生が終了するまで温度を維持する。反応混合物を冷却し、水に投入し、酸性とする。水層をn−ヘプタンで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(n−ヘプタン)で精製し、11.4g(68%)のインダン20を得る。
【0124】
【化28】

インダン20のシリル化を、以上の方法に従って行なう。精製は、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(n−ヘプタン)で行なう。11.0g(56.5mmol)のインダン20より、12.6g(84%)のシリル化合物21を得る。
【0125】
【化29】


シリル化合物21のアシル化を、以上の方法に従って行なう。12.0g(44.7mmol)の21より、6.8g(52%)のケトン23を得る。
【0126】
【化30】

6.5g(22.2mmol)のケトン23を、30lのトリフルオロメタンスルホン酸に氷上で冷却しながら攪拌しつつ加える。24時間後、反応物を氷に移し、MTBエーテルで抽出する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲル(MTBエーテル/n−ヘプタン1:8)で精製し、2.6g(40%)のインダセン24を得る。
【0127】
例B及びCに類似して、24の更なる誘導化を行なえる。
【0128】
<例E>
【0129】
【化31】

25.0g(172mmol)の芳香族化合物1を10mlの準濃塩酸に溶解し、70mlの水中の11.9g(172mmol)の亜硝酸ナトリウムを5℃より低温において加える。亜硝酸の添加が終了後、反応物を100mlの水で希釈し、沸騰するまで加熱する。窒素の発生がおさまってきたら(計泡器)、反応物を更に1時間還流する。反応溶液を冷却し、MTBエーテルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行ない、13.7g(54%)のジオール26を得る。
【0130】
【化32】


13.0g(90.0mmol)のフェノール26及び48g(348mmol)の炭酸カリウムを160mlの水に溶解し、50g(200mmol)のヨウ素を数回に分けて5℃で加える。反応物を一晩攪拌する。得られた沈殿から反応溶液の上澄みを取り除き、塩酸を使用して酸性とする。水層をMTBエーテルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。残渣をシリカゲルに通し(MTBエーテル/ヘプタン2:1)、20.1g(57%)の2箇所がヨウ素化された芳香族化合物27を得る。
【0131】
【化33】

窒素雰囲気下、20.0g(50.3mmol)のフェノール27を、120mlのジメチルホルムアミド及び28mlのトリエチルアミンに溶解し、1.0gのビストリフェニルフォスフィンパラジウム(II)クロリド及び580mgのヨウ化銅(I)を加える。引続き、10.3ml(105mmol)の1−ペンチルの30mlジメチルホルムアミド溶液を、反応物にゆっくり加える。変換が完了するまで(薄層クロマトグラフ法)、反応物を室温で攪拌する。反応混合物に水を加え、MTBエーテルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥およびエバポレイションを行なう。シリカゲル上でクロマトグラフィーを行い、6.5g(46%)のベンゾジフラン28を得る。
【0132】
【化34】

6.0g(21.6mmol)のベンゾジフラン28を100mlのテトラヒドロフランに溶解し、パラジウム触媒上で水素化する。水素化した溶液のエバポレイションを行い、残渣のクロマトグラフィーをシリカゲル上で行い、5.5g(90%)の物質29を得る。
【0133】
例A〜Eに類似の方法に従って、以下の化合物を調製した。ここで、結合は単結合を表す。
【0134】
例1〜259
【0135】
【化35】

例260〜518
【0136】
【化36】

例519〜777
【0137】
【化37】

【0138】
【表1.1】

【0139】
【表1.2】

【0140】
【表1.3】

【0141】
【表1.4】

【0142】
【表1.5】

【0143】
【表1.6】

【0144】
【表1.7】

【0145】
【表1.8】


例778〜840
【0146】
【化38】

例841〜903
【0147】
【化39】

例904〜966
【0148】
【化40】

例967〜1029
【0149】
【化41】

【0150】
【表2.1】

【0151】
【表2.2】

【0152】
【表2.3】

例1030〜1142
【0153】
【化42】

例1143〜1255
【0154】
【化43】

例1256〜1368
【0155】
【化44】

例1369〜1481
【0156】
【化45】

【0157】
【表3.1】

【0158】
【表3.2】

【0159】
【表3.3】

【0160】
【表3.4】


例1482〜1594
【0161】
【化46】

例1595〜1707
【0162】
【化47】

例1708〜1820
【0163】
【化48】

例1821〜1933
【0164】
【化49】

【0165】
【表4.1】

【0166】
【表4.2】

【0167】
【表4.3】

【0168】
【表4.4】

例1934〜1958
【0169】
【化50】

例1959〜1983
【0170】
【化51】

例1984〜2008
【0171】
【化52】

例2009〜2033
【0172】
【化53】

【0173】
【表5】


例2034〜2058
【0174】
【化54】

例2059〜2083
【0175】
【化55】

例2084〜2108
【0176】
【化56】

例2109〜2133
【0177】
【化57】

【0178】
【表6.1】

【0179】
【表6.2】


例2134〜2189
【0180】
【化58】

例2190〜2245
【0181】
【化59】

例2246〜2301
【0182】
【化60】

例2302〜2357
【0183】
【化61】

【0184】
【表7.1】

【0185】
【表7.2】


例2358〜2621
【0186】
【化62】

例2622〜2885
【0187】
【化63】

【0188】
【表8.1】

【0189】
【表8.2】

【0190】
【表8.3】

【0191】
【表8.4】

【0192】
【表8.5】

【0193】
【表8.6】

【0194】
【表8.7】

【0195】
【表8.8】


例2886〜2949
【0196】
【化64】

例2950〜3013
【0197】
【化65】

例3014〜3077
【0198】
【化66】


例3078〜3141
【0199】
【化67】

【0200】
【表9.1】

【0201】
【表9.2】

例3142〜3205
【0202】
【化68】

例3206〜3269
【0203】
【化69】

例3270〜3333
【0204】
【化70】

例3334〜3397
【0205】
【化71】

【0206】
【表10.1】

【0207】
【表10.2】

【0208】
【表10.3】

例3398〜3461
【0209】
【化72】

例3462〜3525
【0210】
【化73】

例3526〜3589
【0211】
【化74】

例3590〜3653
【0212】
【化75】

【0213】
【表11.1】

【0214】
【表11.2】

例3654〜3912
【0215】
【化76】

【0216】
【表12.1】

【0217】
【表12.2】

【0218】
【表12.3】

【0219】
【表12.4】

【0220】
【表12.5】

【0221】
【表12.6】

【0222】
【表12.7】

【0223】
【表12.8】

表1
夫々の例の物質のΔε及びΔnの値
【0224】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物:
【化1】


ここで、
【化2】

は、夫々互いに独立に
【化3】

を表し、
及びAは、夫々互いに独立に、=CH−が1回または2回=N−に置き換えられてもよく、無置換または夫々互いに独立に−CN、F、Cl、Br及び/又はIにより、無置換またはフッ素および/または塩素により1置換または多置換されているC〜Cのアルカニルにより、または無置換またはフッ素および/または塩素により1置換または多置換されているC〜Cのアルコキシにより1〜4置換されてもよい1,4−フェニレン、ヘテロ原子が直接結合しないように−CH−が1回または2回それぞれ互いに独立に−O−又は−S−で置換されてもよく、無置換またはF、Cl、Br及び/又はIにより1置換または多置換されてもよい1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン又は1,4−シクロヘキサジエニレンを意味し;
及びZは、夫々互いに独立に、単結合、二重結合、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CHF−CHF−、−C(O)O−、−OC(O)−、−CHO−、−OCH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CH=CH−又は−C≡C−を意味し;
及びRは、水素、無置換であるか−CN又は−CFによって1置換またはF、Cl、Br及び/又はIで1置換または多置換されているか、加えて、鎖中のヘテロ原子が直接結合しないように基の中の1個以上のCH基が夫々互いに独立に−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−で置き換えられてもよい1〜15個または2〜15個までのC原子を夫々有するアルカニル、アルコキシ、アルケニル又はアルキニル基、F、Cl、Br、I、−CN、−SCN、−NCS又は−SFを意味し;
m及びnは、夫々互いに独立に、0、1、2又は3であり;
、X及びYは、夫々互いに独立に、水素、無置換であるか又はF、Cl、Br及び/又はIで1置換または多置換されているか、加えて、鎖中のヘテロ原子が直接結合しないように基の中の1個以上のCH基が夫々互いに独立に−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−で置き換えられてもよい1〜15個または2〜15個までのC原子を夫々有するアルカニル、アルコキシ、アルケニル又はアルキニル基、F、Cl、Br、I、−CN、−SF、−SCN又は−NCSを意味し;
はYで定義された通りか又は−[−Z−A−]−Rを表し、但しZはZ及びZで定義された通りで、AはA及びAで定義された通りで、RはR及びRで定義された通りで、およびpはn及びmで定義された通りで;
但し、
、A、A、Z、Z、Z、R、R及びRは互いに同一でもよく、又はm、n及びpが夫々1より大きい場合は異なっていてもよく;
及びYは、環B及びB’に対しては、互いに同一でも又は異なっていてもよく;
および但し、
(a)環Bが環f又はgを表し、および環B’が環dを表し、および同時にmが0で、およびXがHでない場合、Rは−COOHを表さず、または環B’が環f又はgを表し、および環Bが環dを表し、およびnが0で、およびXがHでない場合、Rは−COOHを表さず;
(b)X及びXの一方が水素で、およびX及びXの他方が水素またはClで、および同時に環B及びB’の両方が環gを表す場合、R−[−A−Z−]−及び−[−Z−A−]−Rは同時にはCHではない。
【請求項2】
前記環B及びB’は、夫々互いに独立に、以下より
【化4】

選ばれることを特徴とする前記請求項に記載の化合物。
【請求項3】
前記環B及びB’は同一であり、但し、該両環中の基Yは同一でも又は異なっていてもよく、該両環中の基Yは同一でも又は異なっていてもよいことを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項4】
前記式Iの前記化合物は、式Iaa、Ibb、Iee、Iff及びIggの化合物からなる群より選ばれる
【化5】

但し、
、X、R、R、A、A、Z、Z、m及びnは請求項1で定義された通りであり;
11及びY12は請求項1でYに対して定義された通りであり、および両者は同一でも又は異なっていてもよく;および
21及びY22は請求項1でYに対して定義された通りであり、および両者は同一でも又は異なっていてもよいことを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びY、またはY11、Y12、Y21及びY22は同時にFであることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びZ並びにZは、夫々互いに独立に、単結合、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−又は−CF=CF−であることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
及びA並びにAは、夫々互いに独立に、
【化6】

であることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項8】
及びR並びにRは、夫々互いに独立に、1〜7個または2〜7個のC原子を夫々有するアルカニル基、アルコキシ基またはアルケニル基であることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項9】
mは0、1又は2;
nは0、1又は2;
m+nは0、1、2又は3;および
pは0であることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項10】
及びXの少なくとも一方はF、Cl、CF又はOCFであることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項11】
及びXはFであることを特徴とする前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記請求項の少なくとも何れか一項に記載の化合物の液晶媒体中での使用。
【請求項13】
請求項1乃至11の少なくとも何れか一項に記載の化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする、少なくとも2種類の液晶化合物を含む液晶媒体。
【請求項14】
請求項13記載の液晶媒体を具備する電気光学的表示素子。

【公表番号】特表2007−534676(P2007−534676A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508780(P2007−508780)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003840
【国際公開番号】WO2005/103799
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】