説明

セルフタンニング剤を含む安定な化粧品組成物

3.5〜4.5のpHを有し、セルフタンニング剤、ポリマー及び多価アルコール湿潤剤を含む安定な局所適用組成物。本発明の組成物は極めて安定であり、局所適用の際高いレベルの活性セルフタンニング剤を皮膚に送達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は良好な貯蔵安定性、良好な適用特性を有し、及び受け入れがたいオレンジ色の変色を伴わずに、優れた皮膚着色を付与するセルフタンニング剤を含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の色素沈着を増大させるためにセルフタンニング剤を含有する多種多様な化粧品組成物が使用されてきた。これらの組成物は人工的な日焼け色(tans)を作り出し、太陽に曝されたのと同様の様式で皮膚を褐色化するために使用されてきた。これらの組成物は典型的には極めて不安定で、貯蔵寿命が短い。このことは、その中にあるセルフタンニング剤の極めて反応性の高い性質に起因すると考えられる。
【0003】
先行技術は化粧品組成物中にあるセルフタンニング剤の安定性の問題に対し幾つかの解決策を教示している。米国特許US6,231,837B1は、セルフタンニング剤含有組成物を安定化するためにエトキシジグリコールなどのポリエトキシグリコール類及びポリオール類を使用することを教示している。PCT国際公開特許WO98/00098は、安定なエマルションを形成するためにセルフタンニング剤と架橋非乳化シロキサンエラストマー類を組み合わせることを教示している。米国特許第6,197,287号は、セルフタンニング剤を包含するアニオン性ポリマー類、及びそれらを含む組成物を開示している。しかし、これらの解決策は、セルフタンニング剤含有製剤の安定性を維持することにおいて完全に満足のいくものではなく、又は局所適用された場合に肌触りが悪いことなどの他の不都合な点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚の色調を高める皮膚日焼け肌化(skin tanning)の独自のレベルを提供するための、セルフタンニング剤を含む安定な化粧品組成物を提供することは望ましい。さらに、セルフタンニング皮膚着色剤及び長期的なスキンケア活性物質の両方を含み、これら両方が相乗的に皮膚の色調の向上を最大化するように作用する、化粧品組成物を提供することが望ましい。皮膚バリアを改善し、それにより乾燥した又は損傷した皮膚の領域を最小限に抑えるために、本発明の組成物中に長期的な皮膚調整剤を包含させることが、さらに望ましい。このことは、不均一に色を取り込み、結果としてしみのある又はむらのある仕上がりにつながる乾燥した皮膚領域には望ましい。
【0005】
SEPPICによる供給元パンフレット(XP−002260687)、名称「シムルゲル(商標)NS−乳化/増粘ポリマー...新規な感覚(Simulgel(Trademark)NS-An emulsifying/thickening polymer…for New Sensations)」は、5重量%のシムルゲルNS及び2.00重量%のデヒドロキシアセトンを含むが、湿潤剤を含まないセルフタン・ジェルクリーム組成物を開示している。
【0006】
ベネチアにおける国際化粧品化学協会連盟(IFSCC)の協議会(1994年)で提示されたT.クルツ(Kurz)によるポスター(P043、「DHA日焼け肌化の色(The Color of DHA Tan)」)の要旨は、DHA日焼け肌化(DHA tan)の色相に影響する可能性に関連している。保湿剤を有することの影響が論じられ、この文書によれば、「10%の保湿剤の添加は日焼け肌化(tanning)の強度を増大せず、そのわずかな減少につながるとさえ思われる」とある。異なる結果が20%の保湿剤濃度では得られた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下を含む化粧品組成物に関し:
a)次の一般式に従うセルフタンニング剤;
【0008】
【化1】

(式中、R1は、H,CH2OH、CHOHCH2OH、CH(OH)CH(=O)、CH(OCH3)CH(=O)、CH(NH2)CH(=O)、又はCH(NH−フェニル)CH(=O)であり、R2はH又はCH2OHである);並びに
b)架橋アニオン性高分子電解質ポリマーであって、前記高分子電解ポリマーが;
i)前記高分子電解質ポリマーの58.7重量%〜89.9999重量%の、強酸性官能基を含むモノマー;
ii)前記高分子電解質ポリマーの9.9999重量%〜40重量%の、ヒドロキシアルキルアクリレートを含む少なくとも1つの中性モノマー;及び
iii)前記高分子電解質ポリマーの0.0002重量%〜1.3重量%の、ジエチレン性又はポリエチレン性架橋剤;
を含む高分子電解質ポリマー;並びに
c)多価アルコール湿潤剤;
を含み、前記組成物はさらに3.5〜4.5のpHを有する。
【0009】
本発明は好ましくは、5重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%の多価アルコール湿潤剤を含む。
本発明はさらに、スキンケアキット、皮膚の状態を調整する方法、及び化粧品組成物を製造する方法を提供することに関する。
【0010】
本発明の組成物は安定であり、局所適用のために、及び局所適用後に皮膚の外観における実質的に即時的な(すなわち鋭敏な(acute))改善を提供するために有用である。理論によって制限されないが、この鋭敏な(acute)改善は少なくとも部分的にはセルフタンニング皮膚着色剤による皮膚の色調の即時的な増大に起因すると考えられる。本発明の組成物は、適用時に非常に良好な鋭敏な(acute)効果を有し、すなわち皮膚が不自然に又は実質的にオレンジ色に見えることなく良好な皮膚の色調を作り出す。
【0011】
本発明の前述及びその他の特徴、態様、並びに利点は、本開示を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書のすべての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して25℃で測定される。
指示がない限り、本明細書で言及される組成物のすべてのパーセンテージは重量%であり、すべての比率は重量比である。
指示がない限り、分子量は全て、重量平均分子量である。
指示がない限り、本文内で参照されるすべての文献の内容は、そのすべてを本明細書に参考として組み込む。
実際に測定した値の特定の例を提示する場合を除いて、本明細書で言及する数値は、「約」という言葉が付与されていると考えるべきである。
【0013】
本発明の化粧品組成物はセルフタンニング剤を含む。本明細書で使用するとき、「セルフタンニング剤」という用語は、αーヒドロキシアルデヒド類及びジヒドロキシアセトンなどのケトン類並びに構造的に関連の化合物を包含する。この定義は、ヒトの皮膚における人工的な日焼け肌化(tanning)プロセスを生ずる又は引き起こすということが同様に有用であるようなすべての作用剤を包含する。従って、本発明の組成物は式(I)のα−ヒドロキシアルデヒド又はケトンを含み:
【0014】
【化2】

式中、R1はH、CH2OH、CHOHCH2OH、CH(OH)CH(=O)、CH(OCH3)CH(=O)、CH(NH2)CH(=O)、又はCH(NH−フェニル)CH(=O)であり、R2はH又はCH2OHである。ジヒドロキシアセトン(DHA)そのものは、次の一般構造式でも表され得る:
【0015】
【化3】

ジヒドロキシアセトン
DHAによって生ずる又は引き起こされるものと同様のヒトの皮膚における人工的な日焼け肌化(tanning)プロセスを生ずる又は引き起こすことのできるものとして、多くの他の化合物が当該技術分野において既知である。これらのうちの幾つかはDHAと構造的に類似しており、次のものが挙げられる:
【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

【0022】
【化10】

好ましくは、セルフタンニング剤は、DHA、エリトルロース、又はこれらの混合物を含み、より好ましくはDHAを含む。好ましくは、本発明の組成物は0.1%〜10%のセルフタンニング剤を含む。より好ましくは、本発明の組成物は1.0%〜3.5%、さらにより好ましくは1.2%〜2.5%のセルフタンニング剤を含む。
【0023】
本発明の化粧品組成物はまた、分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、「分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマー」は、水に不溶性であるが水中で膨潤可能であり、このため化学ゲルの生成をもたらす三次元網状構造の形態の非直鎖状ポリマー類を包含する。本発明に従う組成物は、架橋されたユニット及び/又は分枝状ユニットを含むことができる。分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシアルキルアクリレート中性モノマーと共重合される、強酸性官能基を有する少なくとも1つのモノマーを含む。
【0024】
好ましくは本発明の組成物は、pH4.0以下で実行される前駆体モノマーの共重合の結果である分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含む。好ましくは、そのアニオン性高分子電解質は強酸性官能基を有するモノマーをその高分子電解質ポリマーの30重量%〜89.9999重量%含む。本明細書で使用するとき、「強酸性官能基を有するモノマー」という用語は、3未満のpKaを有するモノマーを包含する。pKaは、当該技術分野で既知の方法に従い、強酸性官能基を有するモノマーを水溶液中で強塩基で滴定することにより測定される。強酸性官能基を含有するモノマーの強酸性官能基は、好ましくは部分的に又は全体的に塩としたスルホン酸官能基又はホスホン酸官能基である。本明細書で使用するのに好適な強酸性官能基を有するモノマーの非限定例としては、部分的に又は全体的に塩とした2−メチルー2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸、部分的に又は全体的に塩としたスチレンスルホン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、モノマーは2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸の部分的に又は全体的に塩としたアルカリ金属塩又はアンモニウム塩を含む。
【0025】
本明細書で使用するのに好適な少なくとも1つのヒドロキシアルキルアクリレート中性モノマーの非限定例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、若しくは、各々のこれらのエステル類の400〜1000の分子量を有するエトキシル化誘導体、又はこれらの混合物、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。本明細書で有用な高分子電解質ポリマー類は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシアルキルアクリレート中性モノマーをその高分子電解質ポリマーの9.9999重量%〜40重量%含む。
【0026】
より好ましくは、本発明の組成物は、分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含む逆ラテックスポリマー((reverse latex polymer)を含み、前記ポリマーは、2−ヒドロキシエチルアクリレートと共重合された、部分的に又は全体的に塩とした2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸を含んでいる。更により好ましくは、このポリマーは、部分的に又は全体的に塩とした2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸(MPSA)のモノマー単位を、高分子電解質ポリマーの30重量%〜89.9999重量%、好ましくは50重量%〜89.9999重量%含んでいる。更により好ましくは、架橋アニオン性高分子電解質ポリマーは、高分子電解質ポリマーの58.7重量%〜89.9999重量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸のナトリウム塩又はアンモニウム塩、及び高分子電解質ポリマーの9.9999重量%〜40重量%の2−ヒドロキシエチルアクリレートを含んでいる。
【0027】
本発明で使用するためのポリマーは好ましくは、ジエチレン性又はポリエチレン性化合物で架橋され及び/又は分枝化されたアニオン性高分子電解質を、高分子電解質ポリマーの0.0002重量%〜1.3重量%、好ましくは0.001重量%〜0.8重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.6重量%の濃度で含む。本明細書で使用するのに好適な架橋剤及び/又は分枝剤(branching agent)の非限定例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ナトリウムジアリルオキシアセテート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリルウレア、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、又はこれらの混合物、好ましくはメチレンビスアクリルアミドが挙げられる。
好ましくは、本発明の化粧品組成物は、0.1%〜2.0%、より好ましくは0.2%〜1.2%、更により好ましくは0.4%〜0.8%の分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含む。
【0028】
本明細書で使用するのに好適な市販の分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマー組成物の非限定例としては、フランス、パリのソシエテ社(Societe D'Exploitation de Produits Pour Les Industries Chimiques)(SEPPIC)から入手可能なシムルゲル(Simulgel)NS(商標)が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物は少なくとも1つの多価アルコール湿潤剤を含む。本明細書で使用するのに好適な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール類が挙げられ、より好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール)、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エトキシル化グリセリン及びプロポキシル化グリセリンを包含するアルキレンポリオール類及びそれらの誘導体が挙げられる。本発明の好ましい多価アルコールは、分子中に3個〜9個の炭素原子を有する多価アルコールである。好適な多価アルコールとしては、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン及びプロポキシル化グリセリン、又はこれらの混合物が挙げられる。グリセリンが本発明で使用するのにより好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、5%〜30%、より好ましくは7%〜25%の湿潤剤を含む。
【0030】
セルフタンニング剤が局所適用される場合に有する乾燥作用に対抗し、また長期的に皮膚を水和しそれによってその皮膚バリア機能を改善するために、多価アルコール湿潤剤が望ましいことが見出された。驚くべきことに、多価アルコール湿潤剤は、20%未満の濃度で存在する場合でさえも、特許請求されるセルフタンニング剤(例えばDHA)による皮膚の着色を増大させることが見出された。改善された着色効果は、本発明に従う製品で得られる皮膚着色性を(例えば前腕上での)多価アルコール湿潤剤を有さない同様の製品と対比して評価することによって示すことができる。皮膚着色性の評価は従来の手段に従って、例えばミノルタ(Minolta)(商標)クロマメーター(Chromameter)CR−300を用いて行うことができる。
【0031】
この増大された着色効果は、5重量%〜15重量%、好ましくは8重量%〜13重量%の多価アルコール湿潤剤の濃度で、及び、セルフタンニング剤の濃度に関しては従来販売されていたセルフタンニング製品で使用される濃度よりも低い濃度、すなわち5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下の濃度で、特に顕著であった。低濃度の皮膚タンニング剤を使用することはまた、それらが繰り返しの使用を通して皮膚を損傷する傾向があるため、皮膚にとって有益である。理論に束縛されるものではないが、出願人は、多価アルコール湿潤剤(例えばグリセリン)が皮膚角質層の水分含有量を増大させ、このことが次にはセルフタンニングプロセスに有利に働くものと考える。多価アルコール湿潤剤が皮膚の状態を改善し、乾燥し又は損傷した皮膚の領域を最小限にし得るとも考えられる。乾燥した皮膚の領域は不均一に色を取り込み、結果としてしみのある又はむらのある仕上がりにつながるため、このことは望ましい。
【0032】
本発明の組成物はさらに、3.5〜4.5、好ましくは3.7〜4.2のpHを有する。驚くべきことに、本発明で規定されるようなポリマーはこのような低いpHにおいて、及びセルフタンニング剤の存在下で安定であることが見出された。また驚くべきことに、本発明のポリマーを低いpHにおいてセルフタンニング剤と組み合わせることよって、局所適用の後、セルフタンニング剤を含む組成物に関連することの多い組成物の変色を伴わずに、比較的高い割合の活性セルフタンニング剤を皮膚に送達する、安定なエマルションを形成することができることも、見出された。理論に束縛されるものではないが、本明細書のポリマー類と、組成物の低いpHとの組み合わせが、DHAの分解生成物、メチルグリオキサールの形成を防止するものと考えられる。メチルグリオキサールはDHAを含む製剤における変色の進行の原因であり、また、DHAが皮膚に適用されそして安定化された形態で存在しない場合に望ましくないオレンジ色の色素沈着を生ずる原因でもあるということが、米国特許US6,231,837B1に示唆されている。このことは、本発明の組成物が、セルフタンニング剤を含有する組成物に関連することの多いオレンジ色への変色の付随を伴わずに自然な日焼け肌の外観を与えるような形態で、セルフタンニング剤を皮膚に送達する理由であり得る。
【0033】
本発明の組成物は加えて、ナトリウム2−ピロリドン−5−カルボキシレート(NaPCA)、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩類(例えばアンモニウム及び四級アルキルアンモニウム)、種々の形態のうちのいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル)、ヒアルロン酸、その前駆体類及び誘導体(例えば、グルコサミン及びヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体)、ラクタミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、尿素、及びこれらの混合物を包含する他の湿潤剤を含む。
【0034】
本発明の組成物はさらに、0.1%〜15%の、セルフタンニング系中で安定なスキンケア活性物質を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の組成物は0.25%〜5%のスキンケア活性物質を含む。本明細書で有用な安定なスキンケア活性物質としては、ベタイン及びその誘導体、トコフェロールエステル類、皮膚脂質類、又はこれらの混合物が挙げられる。スキンケア活性物質を本組成物に組み込むことで、局所適用された場合に、水損失を低減させ並びに/又は落屑効果、角質溶解効果及び回復効果を与えることにより、皮膚利益特性が高められる。
【0035】
本明細書で使用するのに好適なスキンケア活性物質の1つの部類はベタイン類である。本明細書で使用するのに好適なベタイン類としては、分子量が75より大きく260未満、好ましくは75より大きく200未満、より好ましくは75より大きく180未満のものが挙げられる。
【0036】
本発明で有用なベタイン類は、以下の一般式(II)で表される第四級アンモニウム塩類を含み:
【0037】
【化11】

式中、R1、R2、及びR3は独立して−H、−CH3、−CH2CH3、及び[−CH2CH(OH)R4(式中R4は−H、及びC1〜C4アルカン類から選択される)]から選択され、nは1〜3の整数、好ましくは1である。好ましくは、R1、R2、及びR3は全て−CH3、及びnは1であり、又はR1、R2、及びR3は全て−CH3、及びnは2であり、又はR1及びR2は−CH3、R3は−H、及びnは1であり、又はR1は−CH3、R2及びR3は−H、及びnは1であり、又はR1及びR2は[−CH2CH(OH)R4、R4は−H又は−CH3]、R3は−H、及びnは1である。
【0038】
本発明で使用するのに好適なベタイン類及びそれらの誘導体の更なる例としては、式(II)に従うベタイン類(式中、R1、R2、及びR3のうちのいずれか2つが独立して−H、及びCH3から選択され、R1、R2、及びR3のうちの第3の部位は−(CH2)mCH3(mは4又は5である)から選択され、及びnは1〜3の整数、好ましくは1であり、好ましくは式中、R1及びR2は−CH3、R3は−(CH2)mCH3(mは4)、及びnは1である)が挙げられる。
【0039】
本発明で使用するのに好適なベタイン誘導体の別の部類としては、一般式(III)に従うコリン類が挙げられ:
【0040】
【化12】

式中、R1、R2、R34は上記の部分(i)のように定義され、mは0〜2の整数であり、R5はPO4、SO4及びSO3から選択され、R6はH又はOHから選択される。コリン類(式中、R1、R2、及びR3は−CH3であり、mは0であり、R6はH、R5はPO4である)、又はタウリン類(式中、R1、R2、及びR3は−CH3であり、mは0であり、R5はSO3、R6はHであるか、若しくはR1、R2、及びR3は−CH3であり、mは1であり、R6はOH、R5はSO3である)が好ましい。
【0041】
さらに本発明で使用するのに好適なベタイン誘導体は、プロリン、カルニチン、トリメチルアミンオキシド、トリシン、ジメチルプロリン、及びこれらの混合物を含むものである。
トリメチルグリシン、ジメチルグリシン、サルコシン、トリメチルアラニン、トリシン、ジメチルプロリン、ビシン(bicine)、γ−ブチロベタイン、トリメチルアミンオキシド、プロリン、カルニチン、及びこれらの混合物を含む、より好ましくはトリメチルグリシン、トリシン、及びジメチルグリシン、及びこれらの混合物を含むベタイン又はそれらの誘導体が、本明細書で使用するのに好ましい。
【0042】
本明細書で使用するための好ましいベタイン類又は誘導体の非限定例は、すぐ上で特定されている。好ましいベタイン類又は誘導体の非限定例としては、T.H.ゴールドシュミット(T.H.Goldschmidt)(ドイツ)からテゴケア(TEGOCARE)AP(登録商標)として入手可能なトリメチルグリシン水和物、ヒュルス・デグッサ(Huls-Degussa)(ドイツ)からプロリン(proline)として入手可能なプロリン、シグマ・ケミカル(Sigma Chemical)(米国)からビシン(bicine)として入手可能なビシン(bicine)、及びシグマ・ケミカル(Sigma Chemical)(米国)からジメチルグリシン(dimethylglycine)として入手可能なジメチルグリシンが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用するのに好適なスキンケア活性物質の別の部類としては、トコフェロールエステル類(トコフェロールとカルボン酸類の間の縮合反応の結果として形成される物質)が挙げられる。本明細書で使用するとき、「トコフェロールエステル」としては一般式(IV)に従う物質が挙げられ:
【0044】
【化13】

式中、R=OOは直鎖状、分枝状及び環状カルボン酸類、好ましくは酢酸、リノール酸、ニコチン酸、オレイン酸、又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、スキンケア活性物質は酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、又はこれらの混合物を含む。市販のトコフェロールエステル類の非限定例としては、英国、ロンドンのエナグラムUK(Ennagram UK Ltd,)からのニコチン酸トコフェロールが挙げられる。
【0045】
本発明で使用するのに好適なスキンケア活性物質の別の部類は、皮膚脂質類である。皮膚脂質類は、角質層の水分保有能を維持し、皮膚の健康を調整する必要不可欠な機能を果たす。本明細書で使用するのに好適な皮膚脂質類の非限定例としては、セラミド類、コレステロール類、脂肪酸類、又はそれらの混合物が挙げられる。セラミド類(皮膚脂質類の主要な構成成分)及びは、長鎖脂肪酸がアミド結合を介して結合している長鎖アミノアルコール(スフィンゴシン又はその誘導体の1つ)からなるスフィンゴ脂質類からなる。擬似セラミド類のような、天然の又は合成の供給源を使用することができる。好ましくは、本明細書のスキンケア活性物質は、セラミド、コレステロール、スフィンゴシン、又はこれらの混合物を含む。本明細書で使用するのに好適な皮膚脂質類の市販のブレンドの非限定例としては、コスモフェルム(Cosmoferm)からのSKインフラックス(SK Influx)が挙げられる。
【0046】
本発明の組成物は天然のガム増粘剤をさらに含んでいてもよい。本組成物のレオロジー及び安定性は、低濃度の天然ガム増粘剤類を添加することによって、組成物がねばねばしすぎたり又は粘着性が過度にありすぎたりすることなく、好適に改変し改善されることができることが見出された。本明細書で使用するのに好適な天然ガム増粘剤としては、キサンタンガム、グアーガム若しくはその誘導体、キトサン、アルギネート類、カラギーナン(carragenan)、イナゴマメゴム、スクレロチウム、ペクチン、デンプン類、若しくはそれらの誘導体、又はこれらの混合物、好ましくはキサンタンガムが挙げられる。天然ガム増粘剤類が存在する場合、それらは好ましくは0.05%〜3%、より好ましくは0.05%〜1%、更により好ましくは0.05%〜0.5%の濃度で存在する。
【0047】
本発明の組成物は少なくとも4,000mPa.s、好ましくは4,000〜300,000mPa.s、より好ましくは8,000〜250,000mPa.s、特に10,000〜200,000mPa.s、更により特には20,000〜100,000mPa.sの範囲の製品粘度(25℃、ニート、ブルックフィールド(Brookfield)RVT、5rpmT−Cスピンドル及びヘリオパススタンド(Heliopath Stand))を有するように配合されるのが好ましい。本発明の組成物はエマルションとして配合されてよい。
【0048】
本明細書の化粧品組成物は好ましくは、油中水型、又は水中油型エマルションの形態である。より好ましくは、本明細書の化粧品組成物は、組成物が水性連続相中に1つ以上の油相を含み、各油相が単一の油性構成成分又は混和性若しくは均質な形態での油性構成成分の混合物を含む、水中油型エマルションである。異なる油相は互いに異なる物質、又は物質類の互いに異なる組み合わせを含有する。本発明の組成物中の油相構成成分の全濃度は典型的に、0.1%〜60%、好ましくは1%〜30%、より好ましくは3%〜20%、最も好ましくは5%〜15%である。
【0049】
好ましい実施形態では、油相は好ましくは、鉱油類、植物油類、及び動物性油類から選択される天然の又は合成の油類、脂肪類及びワックス類、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、脂肪酸類、並びにこれらの混合物などの油性構成成分を含む。例えば、ベヘニルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコールなどの飽和及び不飽和の脂肪族アルコール類、並びに鉱油類又はワセリンなどの炭化水素類が、本明細書に用いるのに好ましい。
【0050】
本組成物はシリコーン相をさらに含んでいてもよい。シリコーン相は、シリコーン流体類、ガム類、及びこれらの混合物などの1つ以上のシリコーン構成成分を含むことができる。そのシリコーン相、又は各々のシリコーン相は一般に、組成物の0.1%〜20%、好ましくは0.2%〜10%、より好ましくは0.3%〜5%が含まれる。
【0051】
シリコーン構成成分は、直鎖状、分枝状及び環状シリコーン類を包含する流体であることができる。本明細書で有用な好適なシリコーン流体としては、ポリアルキルシロキサン流体類、ポリアリールシロキサン流体類、環状及び直鎖状ポリアルキルシロキサン類、ポリアルコキシル化シリコーン類、アミノ及び第四級アンモニウム修飾シリコーン類、ポリアルキルアリールシロキサン類又はポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物を包含するシリコーン類が挙げられる。シリコーン流体は、揮発性又は不揮発性であることができる。
【0052】
シリコーン構成成分はまたシリコーンゴム類も含むことができる。本明細書における「シリコーンゴム」という用語は、重量平均分子量が約200,000を超え、好ましくは約200,000〜約4,000,000である高分子量シリコーン類を包含する。非揮発性ポリアルキル及びポリアリールシロキサンゴム類が包含される。好ましい実施形態では、シリコーン油相は、シリコーンゴム、又はシリコーンゴムを包含するシリコーン類の混合物を含む。
【0053】
シリコーン/ゴム流体ブレンドが、本明細書で有用である。本明細書の組成物中で使用するための好ましいシリコーン−ゴム流体ブレンド系の構成成分は、0.65〜100mm2.s-1の粘度を有するシリコーン流体キャリアと共に用いられる、200,000〜4,000,000の分子量を有するジメチコノールゴムである。このシリコーン構成成分の例は、ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なダウ・コーニング(Dow Corning)Q2−1503(85%5mm2.s-1ジメチコン流体/15%ジメチコノール)及びダウ・コーニングQ2−1501である。
【0054】
本発明の局所適用組成物は、100〜15,000、好ましくは100〜1000の重量平均分子量を有する分枝鎖炭化水素類;式Vの化合物:
【0055】
【化14】

(式中、R1はH又はCH3から選択され、R2、R3及びR4は独立して、C1〜C20直鎖又は分枝鎖アルキルから選択され、xは1〜20の整数である);及び式VIを有する化合物:
【0056】
【化15】

(式中、R5は任意にヒドロキシ又はC1〜C4アルキル置換ベンジルから選択され、R6はC1〜C20分枝鎖又は直鎖アルキルから選択される);及びこれらの混合物を包含する、皮膚軟化剤物質を含むのが好ましい。
本明細書で使用するのに好適な分枝鎖炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタヘキサコンタン、イソヘキサペンタコンタヘクタン(isohexapentacontahectane)、イソペンタコンタオクタクタン(isopentacontaoctactane)、及びこれらの混合物が挙げられる。式(VI)の好適はエステル皮膚軟化剤物質としては、C12〜15アルキルベンゾエート類が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するのに好ましい皮膚軟化剤は、イソヘキサデカン、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル、及びこれらの混合物である。本発明の組成物中で使用するのに好適な別の皮膚軟化剤はワセリンである。
皮膚軟化剤物質は好ましくは、約0.1%〜約10%の濃度で組成物中に存在する。
【0057】
本明細書における本組成物は、一般に連続相内での不連続相の分散及び懸濁を助けるために、乳化剤及び/又は界面活性剤を含んでいてもよい。以下では便宜上、乳化剤(emulsifiers)は「界面活性剤(surfactants)」という用語で称され、したがって「界面活性剤(類)(surfactant(s))」は、乳化剤類として使用されるかあるいは皮膚洗浄などの他の界面活性剤の目的で使用されるかにかかわらず、界面を活性化する作用剤(surface active agents)を指すために使用される。既知の又は従来の界面活性剤は、その選択された作用剤が組成物の必須構成成分と化学的に及び物理的に適合性であり、所望の特徴を提供する限り、本組成物において使用できる。
【0058】
本発明の組成物は好ましくは、0.05%〜15%の界面活性剤又は界面活性剤類の混合物を含んでいる。選ばれる正確な界面活性剤又は界面活性剤混合物は、組成物のpH及び存在するその他の構成成分に依存する。本明細書で使用するのに好適な界面活性剤としては、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、双性イオン性、両性界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
好ましい界面活性剤は非イオン性である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール類、例えば、C8〜30のアルコール類と糖又はデンプンポリマー類との縮合生成物、すなわち、グルコシドとして広く定義できるものがある。好ましい例としては、セピック(Seppic)からモンタノブ(Montanov)68(商標)として、またヘンケル(Henkel)からエマルゲード(Emulgade)PL68/50(商標)として市販されているもののような、セテアリルグルコシド類とセテアリルアルコール類との混合物が挙げられる。
【0060】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド類と脂肪酸類との縮合生成物(すなわち、脂肪酸類のアルキレンオキシドエステル類又はジエステル類)が挙げられる。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と脂肪族アルコール類との縮合生成物(すなわち、脂肪族アルコール類のアルキレンオキシドエーテル類)である。更に他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と、脂肪酸類及び脂肪族アルコール類の両方との縮合生成物[すなわち、ポリアルキレンオキシド部分は一方の末端が脂肪酸でエステル化され、もう一方の末端が脂肪族アルコールでエーテル化される(すなわち、エーテル結合を介して結合される)]である。更に他の有用な非イオン性界面活性剤としては、PCT国際公開特許WO98/04241により詳細に記載されている、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤類が挙げられる。
【0061】
本明細書で有用な別の乳化剤は、ソルビタン又はソルビトール脂肪酸エステルと、スクロース脂肪酸エステルとの混合物をベースにする脂肪酸エステルブレンドであり、それぞれの例の脂肪酸は、好ましくはC8〜C24、更に好ましくはC10〜C20である。好ましい脂肪酸エステル乳化剤は、ソルビタン又はソルビトールのC16〜C20脂肪酸エステルとスクロースのC10〜C16脂肪酸エステルとの混合物、特にソルビタンステアレートとスクロースココエートとの混合物である。これは、ICIからアーラトン(Arlatone)2121(商標)の名で市販されている。
【0062】
非イオン性界面活性剤の中で好ましいものは、セテアリルグルコシド類、セテアリルアルコール類、PEG−100ステアレート、ソルビタンステアレート、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0063】
本発明のエマルションは、シリコーンを含有する乳化剤又は界面活性剤を包含してもよい。多種多様なシリコーン乳化剤が、本明細書で有用である。これらのシリコーン乳化剤は、典型的には、有機的に修飾されたオルガノポリシロキサン類であり、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知である。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオール類が挙げられる。他の例には、アルキル修飾ジメチコンコポリオール類、すなわち、C2〜C30のペンダント側鎖を含有する化合物が挙げられる。更に他の有用なジメチコンコポリオールとしては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物は水を含んでいる。好ましくは、水は組成物の30重量%〜85重量%、より好ましくは組成物の50重量%〜75重量%で含まれている。
本発明の組成物は、さらに任意の成分を含むことができる。任意成分は当該技術分野で周知であり、組成物中の化学物質と反応すること及びそれらを変化させることなく添加されることができる。任意成分としては、追加の活性物質、中和剤、日焼け止め剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
本発明の化粧品組成物は局所適用に好適な形態で配合することができる。こうした形態の非限定例としては、セルフタンニング組成物、局所適用組成物、噴霧剤、エアゾール噴霧剤、噴霧ジェル、ローション、クリーム、及びムースが挙げられる。好ましくは、本発明の化粧品組成物はセルフタンニング組成物又はローションの形態である。
【0066】
あるいは、本発明の化粧品組成物は、スキンケアキットを形成するように基材と組み合わせて使用されてもよい。本発明のスキンケアキットは、本明細書の化粧品組成物、及び基材を含む。本明細書で有用な基材の非限定例としては、ウェットタオル、ペーパータオル(towlettes)、フォーム・スポンジ、ローラーボール送達システムなどが挙げられる。この形態で使用される場合、基材は本明細書の組成物で含浸され、組成物でコーティングされ、又は組成物に浸漬されてよい。あるいは、本明細書の組成物は消費者によって、皮膚に適用する直前に基材に適用されてもよい。本明細書のスキンケアキットは、化粧品組成物が必要とされていない又は所望されていない体の領域に偶然付着するのを防ぐために望ましい。
【0067】
本発明の組成物は皮膚の状態を調整し、皮膚の色調を高めるのに有用である。皮膚の状態のそのような調整には、化粧的、予防的及び治療的な調整を包含することができる。それは、哺乳類の皮膚の外観及び感触における、触覚及び視覚の両方の、より顕著な改善の提供を包含してよい。例えば、こうした調整の方法は、皮膚の感触をより柔らかにし、微細な線及び皺の外観を低減させ、皮膚の健康を改善することを指向する。また、こうした方法は皮膚の色調の向上を提供する。本発明の組成物は、局所適用後に消費者の皮膚にオレンジ色の外観を伴わない見た目が自然な日焼け色(tan)を付与することにより、皮膚の色調を高める。これは、組成物中のセルフタンニング剤の改善された安定性、及びセルフタンニング剤の活性形態における送達の増加に起因すると考えられる。
【0068】
皮膚の状態の調整は、安全且つ有効な量の本発明の組成物を皮膚に局所適用することを伴う。好ましい実施形態では、組成物は皮膚に長期間適用される。「長期の局所適用」とは、被験者の生存中長期間にわたって、好ましくは少なくとも約1週間、より好ましくは少なくとも約1か月間、更により好ましくは少なくとも約3か月間、更により一層好ましくは少なくとも約6か月間、なおより好ましくは少なくとも約1年間にわたって、組成物を連続的に局所に適用することを意味する。効果は、様々な最大使用期間(例えば、5年、10年又は20年)の後に得られるが、被験者の生涯を通じて長期にわたって適用を続けることが好ましい。典型的には、適用はこのような延長された期間にわたって1日当たり約1回程度であり得るが、適用の度合いは1週間当たり約1回から1日当たり約3回又はそれ以上まで変動させることができる。
【0069】
本発明の組成物は、皮膚外観及び/又は感触の利益を提供するために広範囲の量を使用することができる。1回の適用当たりで典型的に適用される本組成物の量は、組成物mg/皮膚cm2で、0.1mg/cm2〜30mg/cm2である。特に有用な適用量は、0.5mg/cm2〜20mg/cm2である。
【0070】
皮膚の状態の調整は、何らかの審美的、化粧的、予防的、治療的、又は他の利益のために皮膚上に残されることを意図された組成物(すなわち「リーブオン」組成物)を適用することによって実行されるのが好ましい。組成物を皮膚に適用した後、組成物は、好ましくは少なくとも15分間、より好ましくは少なくとも30分間、更により好ましくは少なくとも1時間、なおより好ましくは少なくとも数時間、例えば12時間までの期間、皮膚上に残される。
【0071】
少なくとも最低濃度のスキンケア活性物質に皮膚を連続的に曝すことを確実にする別の手法は、例えば顔などに適用する貼付剤の使用により化合物を適用することである。貼付剤は、閉塞性、半閉塞性又は非閉塞性であることができ、接着性又は非接着性であることができる。組成物は貼付剤内に含有されるか、又は貼付剤の適用前に皮膚に塗布されることができる。貼付剤は、米国特許第5,821,250号、第5,981,547号、及び第5,972,957号に記載されているもののような、発熱反応のための化学反応開始剤などの追加の活性物質も包含することができる。貼付剤は、好ましくは少なくとも5分間、より好ましくは少なくとも15分間、更により好ましくは少なくとも30分間、より一層好ましくは少なくとも1時間、なおより一層好ましくは夜に夜間治療の形態として、皮膚上に放置される。
【0072】
本発明の組成物は特定の方法に従って製造されてよい。本明細書の組成物を製造するための方法は、50℃〜70℃の温度で分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含むプレミックスを形成する工程を含む。その後、前記プレミックスを40℃未満の温度まで冷却し、セルフタンニング剤を添加する。製造及びその後の貯蔵の際のセルフタンニング剤の安定性を維持するためには、本発明の組成物をこの方法で形成するのが望ましい。理論に束縛されるものではないが、分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを既に含むプレミックスに40℃未満の温度においてセルフタンニング剤を加えることで、セルフタンニング剤がプレミックス中のポリマー及び他の成分と反応することが阻止され、それにより組成物中に存在する活性セルフタンニング剤の量が向上するものと考えられる。
【0073】
(実施例I−V)
【0074】
【表1】

1.SKインフラックス(Influx):ドイツ、エッセン(Goldschmidtstrasse 100,D-45127 Essen,Germany)のゴールドシュミットAG(Goldschmidt AG)より供給
2.ニコチン酸トコフェロール:ロンドン、ウェットストーン(Edelman House,1238 High Road,Whetstone,London)のエナグラムUK(Ennagram UK Ltd)より供給
3.シムゲルNS(Simugel NS):パリ、オルセイ(75 Quai D'Orsay,Paris)のセピック(Seppic)より供給
4.エマルゲード(Emulgade):ドイツ、ドュッセルドルフ(Paul-Thomas Strasse 56,D-40551 Dusseldorf,Germany)のコグニス社(Cognis Deutschland GmbH)より供給
5.ナイロンポリWL10(Nylonpoly WL10):英国、ミッドレセックス(Unit 17,Chiltern Business Village,Arundel Road,Uxbridge,Middlesex,UB8 2SN)のオプチマ・ケミカルズ(Optima Chemicals)より供給,
6.ドライフロ(Dry Flo):米国ニュージャージー州(10,Finderne Avenue,Bridgewater,NJ 08807,USA)のナショナル・スターチ・ケミカル社(National Starch Chemical Company)より供給
7.マイクロセン(Microthene):米国テキサス州(1221 McKinney Street,Suite 700,Houston,TX 77252-2583)のエクイスター・ケミカルズ(Equistar Chemicals)より供給
8.DHA:ドイツ、ダルムシュタット(Frankfurter Strasse 250,64293 Darmstadt,Germany)のメルク社(Merck GmBH)より供給
9.エリトルロース(Erythrulose):スイス、ベイセル(Engelgasse 109,4002 Basel,Switzerland)のペンタファーム(Pentapharm)より供給
【0075】
組成物は次のように製造される:
DHA及びエリトルロースを除くすべての水溶性成分(キサンタンガムを包含する)を水中で混合し80℃に加熱することにより、水相を調製する。シリコーンオイル(DC1503)を除く油溶性成分を混合し、同様に80℃に加熱することにより、第2のプレミックスを調製する。前記油相を前記水相に添加し、剪断してエマルションを形成する。
【0076】
エマルションを60℃に冷却し、次いで高分子増粘剤(シムゲルNS(Simugel NS))を加える。45〜50℃でベンジルアルコール及びDC1503、並びに微粒子類を加え、得られる生成物を剪断して確実に粒子が分散し、デアグロメレーション(de-agglomeration)し及び均質化するようにする。次に組成物を40℃未満に冷却し、DHA、エリトルロース及び香料を加えることができる。これで、生成物は包装可能な状態となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa)、b)及びc)、すなわち
a)次の一般式に従うセルフタンニング剤:
【化1】

(式中、R1はH、CH2OH、CHOHCH2OH、CH(OH)CH(=O)、CH(OCH3)CH(=O)、CH(NH2)CH(=O)、又はCH(NH−フェニル)CH(=O)であり、R2はH又はCH2OHである);
b)分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーであって、前記アニオン性高分子電解質ポリマー(polyelectrolyte polymer)が;
i)前記高分子電解質ポリマーの58.7重量%〜89.9999重量%の、強酸性官能基を含むモノマー;
ii)前記高分子電解質ポリマーの9.9999重量%〜40重量%の、少なくとも1つのヒドロキシアルキルアクリレート中性モノマー;及び
iii)前記高分子電解質ポリマーの0.0002重量%〜1.3重量%の、ジエチレン性又はポリエチレン性架橋剤;
を含む高分子電解質ポリマー;並びに
c)多価アルコール湿潤剤;
を含み、前記組成物は3.5〜4.5のpHを有することを特徴とする化粧品組成物。
【請求項2】
前記部分i)のモノマーの前記強酸性官能基は、部分的に又は全体的に塩としたスルホン酸官能基、部分的に又は全体的に塩としたホスホン酸官能基、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記中性モノマーは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及び2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、若しくは400〜1000の分子量を有するエトキシル化誘導体、又はこれらの混合物、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記架橋剤及び/又は分枝剤(branching agent)は、エチレングリコールジメタクリレート、ナトリウムジアリルオキシアセテート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリルウレア、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、又はこれらの混合物、好ましくはメチレンビスアクリルアミドを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーであって:
i)前記高分子電解質ポリマーの58.7重量%〜89.9999重量%の、部分的に及び/又は全体的に塩とした2−メチルー2−[(1−オキソ−2−プロペニル)−1−プロパンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;
ii)前記高分子電解質ポリマーの9.9999重量%〜40重量%の、2−ヒドロキシエチルアクリレート;及び
iii)前記高分子電解質ポリマーの0.0002重量%〜1.3重量%の、メチレンビスアクリルアミド;
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーは逆ラテックスポリマー(reverse latex polymer)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
0.1%〜2%の分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
0.1%〜10%、好ましくは5%未満のセルフタンニング剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記セルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記組成物のpHは3.7〜4.2であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
組成物の5重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜15重量%、更により好ましくは8重量%〜13重量%の前記多価アルコール湿潤剤を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記多価アルコール湿潤剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エトキシル化グリセリン、及びプロポキシル化グリセリン、並びにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記多価アルコール湿潤剤はグリセリンを含むことを特徴とする請求項12に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
ベタイン及びその誘導体、トコフェロールエステル類、皮膚脂質類、又はこれらの混合物から成る群から選択されるスキンケア活性物質を更に含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
エマルション、好ましくは水中油型エマルションの形態であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記油相は、組成物の0.1重量%〜60重量%で含まれることを特徴とする請求項15に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物を皮膚に局所適用することを含む、皮膚の状態を調整することを特徴とする方法。
【請求項18】
a)請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物、及び
b)基材
を含むスキンケアキット。
【請求項19】
前記分枝状及び/又は架橋アニオン性高分子電解質ポリマーを含むプレミックスを50℃〜70℃の温度で形成する工程、前記プレミックスを40℃未満の温度に冷却する工程、及び前記セルフタンニング剤を加える工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物を製造する方法。


【公表番号】特表2007−526216(P2007−526216A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514983(P2006−514983)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016674
【国際公開番号】WO2004/105721
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】