説明

α2β1/GPIa−IIaインテグリン阻害剤

【解決手段】 インテグリンα2β1/GPIa−IIa受容体を阻害する新規化合物を開示する。前記化合物を含む薬学的組成物、及びそれらの治療的使用方法もまた開示される。前記開示化合物は有用であり、とりわけインテグリンα2β1/GPIa−IIa媒介活性を阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)による助成金交付番号PO1 HL40387−011(J.Bennett)5/5/03−3/31/08及びP50 HL54500(J.Bennett)3/15/01−1/31/06における一部の知見によって達成された本願明細書に記載の本発明の権利は、米国政府が有するものである。
【0002】
本発明は、α2β1/GPIa−IIaインテグリンの小分子阻害剤、及びその生成方法、使用方法、及び医療的投与方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
血管損傷部位における血小板の補充、接着、凝集は、有益な血液凝固事象を引き起こすために重要である。しかしながら、血小板の過剰な蓄積は、例えば破裂性アテローム斑の部位にて、急性冠不全症候群、脳梗塞、抹消血管障害の虚血性合併症、及び他の病状の発症を引き起こす可能性がある。Fuster,V.,Badimon,L.,Badimon,J.J.&Chesebro,J.H.The Pathogenesis of Coronary Artery Disease and the Acute Coronary Syndromes(1)。N.Engl.J.Med.326,242−250(1992)Falk,E.Shah,P.K.&Fuster,V.Coronary Plaque Disruption.Circulation 92,657−671(1995)。このような血管疾患の臨床管理が促進されることへの期待は、近年の動脈プラーク形成及び血栓症の発症機構、並びに心臓血管疾患の発症における血小板活性の役割の臨界に関する解明の進展に伴って、高くなってきている。
【0004】
抗血栓治療は効果的であり且つ鬱血を侵食しないものであるべきという解釈によって、心臓血管疾患を予防及び治療する臨床医は、広範囲の用途に対してアスピリン及びクロピドグレルのような緩和な治療薬に依存してきた。クマディン及びアブシキシマブ(ReoPro(商標))、チクロピジンなどを含むその他様々な抗血栓薬剤があるが、脳梗塞、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、抹消動脈疾患、糖尿病、心房細動、うっ血性心不全、及び他の血管疾患に対処する新規且つ安全な抗血栓剤の必要性に差し迫られている。。Jackson SP and Schoenwaelder SM.Antiplatelet Therapy:In Search of the ‘Magic Bullet’.Nat.Rev.Drug.Discov.2(10),775−89(2003).Review。特に、食事及び生活様式の変化による心血管疾患の罹患率の増加と高齢化とを考慮すると、より用途が広く、効果的であり、更に選択的且つ安全な治療剤が、現在の世界的な広範囲にわたる研究対象となっている。現在利用可能な抗血栓治療のすべての形態は、否定的な生理学的状態(主に、出血事象)を生み出すことなしには、強力な用量で投与されることができないため、安全性に関して妥協することなく効果を改善する問題について特に重要視されている。
【0005】
血管障害、及び付随して生じる保護内膜の除去又は障害において、血小板は、血管壁の結合組織から様々な一連のタンパク質に遭遇する。このようなタンパク質には、コラーゲン及びフォン・ウィルブランド因子(von Willebrand factor:vWf)が含まれる。これらタンパク質に対する血小板の接着、及びその後に続く活性化は、多数の血小板受容体によって伝達される。細胞外基質に対する血小板の接着によって、最終的に、血栓として知られる止血プラグの形成をもたらす一連のシグナル事象が引き起こされる。近年の知見によって、血管破裂の直後、血小板受容体GPVIは暴露されたコラーゲンに緩く結合し、単独で安定な血小板を誘導するには不十分であるが、これによってチロシンキナーゼ系のシグナル経路が誘発され、主要な立体構造変化及びインテグリンα2β1を含む特異受容体の付随する活性化がもたらされることの有力な証拠が提供されている。Emsley J,Knight CG, Farndale RW, Barnes MJ,Liddington RC.Structural Basis of Collagen Recognition by Integrin Alpha2Beta1.Cell.101(1),47−56(2000)。
【0006】
インテグリンα2β1はまた、血小板GPIa−IIaとしても知られており、血小板において同定された最初のコラーゲン受容体である。Nieuwenhuis HK,Akkerman JW, Houdijk WP,Sixma JJ.Human Blood Platelets Showing No Response to Collagen Fail to Express Surface Glycoprotein Ia.Nature.318(6045),470−2(1985);Santoro SA.Identification of a 160,000 Dalton Platelet Membrane Protein That Mediates the Initial Divalent Cation−dependent Adhesion of Platelets to Collagen Cell.46(6),913−20(1986)。インテグリンファミリーの他のメンバーと同様に、α2β1は細胞外基質と共にその細胞骨格に結合する。Hynes RO.Integrins:bidirectional,allosteric signaling machines.Cell.110(6):673−87.Review(2002)。インテグリンは、前記細胞外基質への接着において重要な役割を担っていること以外に、細胞のシグナリングにおいても不可欠なものである。すべてのインテグリンはαサブユニットとβサブユニットから成るヘテロ二量体である。α2β1を含む既知の哺乳類インテグリンの約半分は、αサブユニットに挿入されているI−ドメインを有する(Hynes,2002年)。このような場合、前記I−ドメインはその天然リガンドへのインテグリンの結合に関与している。コラーゲンの特定のアミノ酸配列であるGFOGER(O=ヒドロキシプロリン)は前記α2β1のI−ドメインへの安定な結合を促進する。Onley DJ,Knight CG,Tuckwell DS,Barnes MJ,Farndale RW.Micromolar Ca2+concentrations are essential for Mg2+−dependent binding of collagen by the integrin alpha2beta1 in human platelets.J Biol Chem.275(32):24560−4(2000)。カチオン依存的に生じる結合はマグネシウム又はマンガンによって支持されている(Tuckwell D,Calderwood DA,Green LJ,Humphries MJ.Integrin alpha2 I−domain is a binding site for collagens.J Cell Sci.108(Pt4):1629−37(1995))。前記α2β1のI−ドメインとGFOGER配列を含む三重螺旋ペプチドとの複合体の結晶構造は解明されている。Emsley J,Knight CG,Farndale RW,Barnes MJ,Liddington RC.Structural basis of collagen recognition by integrin alpha2beta1.Cell.101(1),47−56(2000)。中央及び末端の鎖のGFOGERモチーフの他の残基が前記I−ドメイン表面の相補部位と相互作用しながら、前記三重螺旋の中央の鎖のグルタミン酸(E)は金属イオン依存性接着部位(metal−ion dependent adhesion site:MIDAS)に配位している。
【0007】
重要なことは、インテグリンα2β1が細胞内部または外部から制御可能な多様な活性状態を有することである。Hynes RO.Integrins:bidirectional,allosteric signaling machines.Cell.110(6):673−87.Review(2002)。例えば、血小板受容体GPVIを介したシグナリングは、α2β1の細胞質ドメインに作用し、劇的な立体構造変化をもたらし、ひいては当該α2β1インテグリンに沿って伝播し、最終的には前記インテグリン頭部においてI−ドメインに作用を及ぼす。インテグリン活性はADP及びトロンビンを含む幾つかの他の血小板アゴニストによって誘発される。Jung SM,Moroi M.Platelets interact with soluble and insoluble collagens through characteristically different reactions.J Biol Chem.273(24):14827−37(1998)。活性化されたインテグリンはその後コラーゲンと強く結合する。このような接着は、コラーゲン/I−ドメイン相互作用の直接競合物あるいはアロステリック調節因子によって阻止される可能性が高く、後者は前記I−ドメインの活性を妨げるものである。2種類の小分子阻害剤が、関連するインテグリンであるαLβ2用に開発されている。Shimaoka M,Salas A,Yang W,Weitz−Schmidt G,Springer TA.Small molecule integrin antagonists that bind to the beta2 subunit I−like domain and activate signals in one direction and block them in the other.Immunity.19(3):391−402(2002)。1番目のものはMIDASから遠位にあるαLβ2のI−ドメインに結合し、Iドメインの活性を阻止し、その後ICAM−1に結合する。2番目のものは、前記Iドメインの真下に直接位置するβサブユニットのI様ドメインに結合する。I−ドメイン/リガンドの直接的な競合的阻害剤はまだ報告されていない。
【0008】
α2β1インテグリンが15年以上も前に発見されている事実にも拘らず、その血小板接着及び凝集における正確な役割はまだ議論の余地が残されたままである。これは、部分的にα2β1とGPVIの機能が重複しているためである。Chen H,Kahn ML. Reciprocal signaling by integrin and nonintegrin receptors during collagen activation of platelets.Mol Cell Biol.23(14):4764−77(2003)。インテグリンα2β1は血小板接着とモノマーI型コラーゲンにおける活性化とに不可欠であり、血小板分析を通じて、高速及び低速せん断流条件下でペプシン溶解性I型コラーゲンにおける接着と血栓成長がα2β1の機能に完全に依存することが示されている。Savage B,Ginsberg MH,Ruggeri ZM.Influence of Fibrillar Collagen Structure on the Mechanisms of Platelet Thrombus Formation Under Flow.Blood.94(8),2704−15(1999);Nieswandt B,Brakebusch C,Bergmeier W,Schulte V,Bouvard D,Mokhtari−Nejad R,Lindhout T,Heemskerk JW,Zirngibl H,Fassler R.Glycoprotein VI But Not Alpha2Beta1 Integrin is Essential For Platelet Interaction With Collagen.EMBO J.20(9),2120−30(2001)。しかしながら、生理的により関連性のある不溶性コラーゲン(繊維状コラーゲン)において、α2β1インテグリンは、少なくとも止血の状況下においては重要ではない可能性がある。Nieswandt B,Watson SP.Platelet−Collagen Interaction:Is GPVI the Central Receptor?Blood.102(2),449−6(2003).Review。例えば、繊維状コラーゲンによって誘導されたβ1−ヌルマウスの血小板の凝集は、わずかに遅延するにもかかわらず、軽減されない。Nieswandt B,Brakebusch C,Bergmeier W,Schulte V,Bouvard D,Mokhtari−Nejad R,Lindhout T,Heemskerk JW,Zirngibl H,Fassler R.Glycoprotein VI But Not Alpha2Beta1 Integrin is Essential For Platelet Interaction With Collagen.EMBO J.20(9),2120−30(2001)。更に、前記β1−ヌル血小板は、通常、静的状態の下で繊維状コラーゲンに接着する。それにもかかわらず、血流の生理学的条件下での接着には、機能的なα2β1インテグリンが必要とされる。Siljander PR,Munnix IC,Smethurst PA,Deckmyn H,Lindhout T,Ouwehand WH,Farndale RW,Heemskerk JW.Platelet receptor interplay regulates collagen−induced thrombus formation in flowing human blood.Blood.103(4):1333−41(2004)。
【0009】
インテグリンα2β1欠乏状態の2人の個人から得られた血小板に関する研究によって、接着欠損及び内皮下層における分散が示されている。Nieswandt B,et al.(2001);Ruggeri ZM.Platelets In Atherothrombosis.Nat Med.8(11),1227−34(2002).Review。実際、このような患者は軽度の出血性合併症として現れるわずか少量の止血欠損を示すのみである。Nieuwenhuis HK,et al.,Nature.318(6045),470−2(1985);Nieuwenhuis HK,Sakariassen KS,Houdijk WP,Nievelstein PF,Sixma JJ.Deficiency of Platelet Membrane Glycoprotein Ia Associated With a Decreased Platelet Adhesion to Subendothelium:A Defect in Platelet Spreading.Blood.68(3),692−5(1986)。これは好ましい安全な特性を用いた抗血栓治療の研究に対して重要な影響をあたえるものである。α2β1インテグリンの拮抗作用は、有益な穏やかな抗血栓効果を有することが示唆されており、そのような証拠が増加することによって、α2β1が正常な止血に関連した病理学的抗血栓において重要な役割を担っている可能性が示唆される。このような観察は、罹患した血管ではコラーゲン蓄積量が増加している事実を反映している可能性がある。例えば、アテローム硬化性得病変周囲の細胞外基質はコラーゲンが非常に濃縮されている。Nieswandt B,et al.,(2003)。血小板に接着性支持体を提供する他に、コラーゲンはその血小板受容体との相互作用を介して細胞に強力なプロトロンビンシグナルを送っている。α2β1インテグリンの過剰発現はヒト心疾患に関連している。Kritzik M,Savage B,Nugent DJ,Santoso S,Ruggeri ZM,Kunicki TJ.Nucleotide polymorphisms in the alpha2 gene define multiple alleles that are associated with differences in platelet alpha2 beta1 density.Blood.92(7):2382−8(1998)。更に、近年のインビボのデータでは、α2β1欠損マウスにおいて頚動脈損傷後に遅発性血栓形成がもたらされることが示されている。He L,Pappan LK,Grenache DG,Li Z,Tollefsen DM,Santoro SA,Zutter MM.The contributions of the alpha 2 beta 1 integrin to vascular thrombosis in vivo.Blood.102(10):3652−7(2003)。これらのデータは、血栓症におけるα2β1の重要な役割を明らかにしている。従って、前記α2β1インテグリンは心血管疾患の重要な薬理学的標的であり、更にその結果得られる治療は十分通用するものであり且つ長期抗血栓保護が提供できると期待されている。
【0010】
同様に重要なこととして、前記α2β1インテグリンは、癌、幾つかの種類のウイルス感染、及びその他の病変の標的となる可能性がある。様々な種類の癌細胞、特にヒトメラノーマ細胞及び肝細胞癌におけるα2β1の過剰発現は、腫瘍転移に関連している。Han J,Jenq W,Kefalides NA.Integrin Alpha2Beta1 Recognizes Laminin−2 and Induces C−erb B2 Tyrosine Phosphorylation in Metastatic Human Melanoma Cells.Connect Tissue Res.40(4),283−93(1999)。Yang C,Zeisberg M,Lively JC,Nyberg P,Afdhal N,Kalluri R.Integrin Alpha1Beta1 and Alpha2Beta1 Are the Key Regulators of Hepatocarcinoma Cell Invasion Across the Fibrotic Matrix Microenvironment.Cancer Res.63(23),8312−7(2003)。前記α2β1インテグリンはIV型コラーゲンに対する原発性メラノーマ細胞接着分子として周知であり、病理学的転移におけるインテグリンの重要な役割を示すものである。Knutson JR,Iida J,Fields GB,McCarthy JB.CD44/Chondroitin Sulfate Proteoglycan and Alpha 2 Beta 1 Integrin Mediate Human Melanoma Cell Migration on Type IV Collagen and Invasion of Basement Membranes.Mol Biol Cell.7(3),383−96(1996)。前記α2β1インテグリンによるリガンド結合によって、一連の細胞内シグナル伝達事象が引き起こされ、最終的には腫瘍細胞の進行に有利となるサイトカインとプロテアーゼとを放出する。Baronas−Lowell D,Lauer−Fields JL,Borgia JA,Sferrazza GF,Al−Ghoul M, Minond D,Fields GB.Differential Modulation of Human Melanoma Cell Metalloproteinase Expression by Alpha2Beta1 Integrin and CD44 Triple−Helical Ligands Derived from Type IV Collagen.J Biol Chem.279(42),43503−13(2004)。更に、前記α2β1インテグリンの拮抗作用は血管新生を抑制する。Senger DR,Perruzzi CA,Streit M,Koteliansky VE,de Fougerolles AR,Detmar M.The Alpha(1)Beta(1)and Alpha(2)Beta(1)Integrins Provide Critical Support For Vascular Endothelial Growth Factor Signaling,Endothelial Cell Migration,and Tumor Angiogenesis.Am J Pathol.160(1),195−204(2002)。血管新生が固形腫瘍の成長と転移、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、及び他の様々な重要病状に関与しているため、前述したことには重要な意味がある。Folkman J.Angiogenesis in Cancer,Vascular,Rheumatoid and Other Disease.Nat Med.1(1),27−31(1995).Review;Senger DR,Van de Water L,Brown LF,Nagy JA,Yeo KT,Yeo TK,Berse B,Jackman RW,Dvorak AM,Dvorak HF.Vascular Permeability Factor(VPF,VEGF) in Tumor Biology.Cancer Metastasis Rev.12(3−4),303−24(1993).Review;Ferarra,N.The Role of Vascular Endothelial Growth Factor in Pathological Angiogenesis.Breast Cancer Res Treat.36(2),127−37(1995).Review。α2β1の特異的な阻害機能は、血管新生の重要な先行事象である毛細血管の形態形成を停止させるのに対して、関連するインテグリン二量体又はモノマーサブユニットによる阻害では同様に形態形成を抑制することはない。Sweeney SM,DiLullo G,Slater SJ,Martinez J,Iozzo RV,Lauer−Fields JL,Fields GB,San Antonio JD.Angiogenesis in Collagen I Requires Alpha2Beta1 Ligation of a GFPGER Sequence and Possibly p38 MAPK Activation and Focal Adhesion Disassembly.J Biol Chem.278(33),30516−24(2003)。前記α2β1インテグリンの拮抗作用はまた、走触性内皮細胞の遊走(Senger DRら)、及び腫瘍細胞による二次組織への血管外遊走における重要な過程を抑制する。
【0011】
近年、極めて無差別であり且つ著しい死亡率に関連するヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)が、細胞への進入においてα2β1の存在を必要とすることが示されている。Feire AL,Koss H,Compton T.Cellular Integrins Function as Entry Receptors For Human Cytomegalovirus Via a Highly Conserved Disintegrin−Like Domain.Proc Natl Acad Sci U S A.101(43),15470−5(2004)。同様に、インテグリンα2β1は、ロタウイルスの細胞接着及び進入に強く関与している。Graham KL,Halasz P,Tan Y, Hewish MJ,Takada Y,Mackow ER,Robinson MK,Coulson BS.Integrin−using rotaviruses bind alpha2beta1 integrin alpha2 I domain via VP4 DGE sequence and recognize alphaXbeta2 and alphaVbeta3 by using VP7 during cell entry.J Virol.77(18),9969−78.(2003)。ロタウイルスは、世界中のヒト乳児及び幼児、並びに動物における急性胃腸炎の主要原因となっている。α2β1インテグリンを抑制することにより、ロタウイルスの細胞結合及び感染を未然に防げることが明らかになっている。Londrigan SL,Graham KL,Takada Y,Halasz P,Coulson BS.Monkey rotavirus binding to alpha2beta1 integrin requires the alpha2 I domain and is facilitated by the homologous beta1 subunit.J Virol.77(17),9486−501(2003)。同様に、エコーウイルス(Echovirus 1:Echo1)などのピコナウイルス科のウイルスは、細胞感染周期の間にα2β1インテグリンを利用することが示されている。Triantafilou K&Triantafilou M.A biochemical approach reveals cell−surface molecules utilised by Picornaviridae:Human Parechovirus 1 and Echovirus 1.J Cell Biochem.80(3),373−81(2001)。エコーウイルスは、多数のヒト病変に関連しており、例えば、無菌性骨髄炎及び急性呼吸器疾患の特定の種類はEcho−1ウイルスによって引き起こされていることが知られている。Kumar R.Aseptic meningitis:Diagnosis and management.Indian J Pediatr.72(1),57−63(2005)を参照。
【0012】
α2β1インテグリンを阻害することにより、このような問題となっている医学的に重要なウイルスの結合と進入とを妨げること、並びにα2β1の発現及び機能が重要な因子である癌及び他の疾患の治療に効果的であることが証明される可能性があり、これまでの努力によりα2β1インテグリン阻害活性を有する化合物が提供されている。Takayanagi,M et al.,WO 03/008380を参照。しかしながら、今までのところ、これらに関する必要性は未だ実現されていない。本発明は、インテグリンα2β1の阻害剤及びそれらの合成方法と使用方法とを提供するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、α2β1インテグリンの「小」分子阻害剤、及びα2β1に影響を受ける病状範囲を治療するために、前記阻害剤を使用する方法を対象にするものである。そのような病状には、とりわけ、血管疾患、糖尿病又は関節リウマチに関連した疾患、癌、及びウイルス感染などが含まれる。本発明は、多用途であり、効果的であり、なお且つ選択的及び安全な、α2β1に影響を受ける病状、疾患、及び感染症を治療するための治療内容を示したものである。如何なる操作理論に捉われることを意図せずに、本発明の化合物は、インテグリンの「I−様」ドメインを標的とすることによって、前記α2β1インテグリンの阻害に影響するものである。
【0014】
本発明の1実施形態によると、新規な化学式Iの化合物が提供され、
【0015】
【化6】

【0016】
式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立的に、ハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立的に、アミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH、又はアルキルであり、
はH、又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く、
Eはアリール、又はヘテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0、又は1であり、
qは0、1、2、又は3であり、更に
3つの点線部分のうち1つは二重結合であっても良く、
或いはそれらの立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、又はN−オキシドである。
【0017】
本発明の別の実施形態によると、新規な化学式IIの化合物が提供され、
【0018】
【化7】

【0019】
式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立的に、ハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立的に、アミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH、又はアルキルであり、
はH、又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く、
Eはアリール、又はヘテロアリールであり、
XはN、O、又はSであり、
YはCH、CR、CCH(CH)、又はC(CHであり、
及びRは独立的に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリル、又はアルキル−ヘテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0、又は1であり、
XがNの場合、点線は二重結合であっても良く、
或いはそれらの立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【0020】
同様に、別の実施形態において、本発明は、薬学的に許容可能な担体、希釈物、又は賦形剤、および化学式I又は化学式IIの化合物を有する薬学的組成物を対象とするものである。本発明の別の実施形態では、化学式I又は化学式IIの化合物の立体化学的に富化された混合物を有する組成物を提供する。
【0021】
化学式Iの特定の好ましい実施形態において、AはSOである。R及びRはそれぞれ好ましくはHであり、qは好ましくは1であり、Rは好ましくは−CH−である。化学式IIの特定の好ましい実施形態において、R及びRはそれぞれ好ましくはHであり、Yは好ましくはCH、CR、又はC(CHであり、更にRは好ましくは−CH−である。化学式IIの別の好ましい実施形態において、XはOであり、YはCHである。化学式IIの更に別の好ましい実施形態において、XはSであり、YはCH、CR、又はC(CHである。化学式I又はIIの別の実施形態において、AはC=O又はCOであり、Eはフェニルである。化学式I又はIIの更に別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、更にDは選択的にAとEとの間の結合を示すものであっても良い。化学式I又はIIの更に別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、更にnは0である。化学式I又はIIに関して、更に好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、更にmは0である。化学式I又はIIの別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、n=1であり、更にRはニトロである。化学式I又はIIの更に別の実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、n=2であり、更にRはハロである。化学式I又は化学式IIの化合物に関して、特定の実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、mは1である。化学式I又はIIの更に別の実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、RはNHC(=O)Rである。
【0022】
化学式I又はIIの化合物の特定の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、Rはニトロであり、nは1であり、RはNH(アラルキル)、NHSO−アリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rである。化学式I又はIIの特定の別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、nは0であり、RはNHC(=O)Rであり、更にRはアリール、アラルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、又はアルキルアミノである。更になお別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、Rはニトロであり、nは1であり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)O−アラルキル、又はNHC(=O)Rであり、更にRはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。特定の他の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、nは2であり、Rはアルキル又はハロであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)−アラルコキシ、又はNHC(=O)Rであり、更にRはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。
【0023】
化学式I又はIIの特定の好ましい実施形態において、RはNH−Boc、NH−Cbz、NH−Bz、
【0024】
【化8】

【0025】
である。
【0026】
化学式I又はIIの化合物に関して、一部の好ましい実施形態において、RはNO、NH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)ベンジル、NHC(=O)フェニルアミノ、フルオロ、クロロ、メチルスルホニル、トリフルオロメタン、又はベンジルである。化学式I又はIIの別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)フェニルアミノ、メチルスルホニル、又はベンジルであり、nは1であり、RはNH(アラルキル)、NHSO−アリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rである。化学式I又はIIの更になお好ましい他の実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)フェニルアミノ、メチルスルホニル、又はベンゼンであり、nは1であり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。
【0027】
化学式I及びIIの特定の好ましい実施形態において、各nは整数1、0、又は2であり、より好ましくは0又は1である。
【0028】
化学式I又はIIの一部の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、mは1である。他の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、mは1であり、Rはヒドロキシ又はフェニルメトキシである。
【0029】
上述のように、血小板におけるα2β1受容体活性は、低速及び高速せん断流条件下での血小板のコラーゲン接着に重要である。Siljander PR et al.,Blood.103(4):1333−41(2004)。これはインテグリンを媒介した接着であり、止血カスケードの初期に生じ、安定な血栓への発達をもたらす、その後に続く下流事象に不可欠なものである。更に、前記α2β1インテグリンを介したアウトサイドインシグナリングは血栓形成において重要な役割を果たす。Inoue O,Suzuki−Inoue K,Dean WL,Frampton J,Watson SP.Integrin alpha2beta1 mediates outside−in regulation of platelet spreading on collagen through activation of Src kinases and PLCgamma2.J Cell Biol.160(5):769−80(2003)。つまり、α2β1インテグリンは、動脈プラーク及び血栓の形成に大きく寄与し、従って心臓血管疾患の発症に不可欠なものであると予想され、従って今までは、アスピリン及びクロピドグレルなどの緩和な抗血栓薬剤がより好まれており、また血栓形成を軽減するが止血の崩壊もまた引き起こす強い化合物の使用を躊躇していた。従って、特定の他の実施形態において、本発明は、α2β1によって影響を受ける血管疾患又は症状の少なくとも1つを治療する方法を対象としており、それらを必要とする対象に対して、化学式I又は化学式IIの化合物の治療的有効量を含む化合物を投与する工程を有するものである。
【0030】
同様に、更に別の実施形態は、α2β1により影響を受ける血管疾患又は症状の少なくとも1つを治療する方法を対象としており、それらを必要とする対象に、化学式I又はIIの化合物の治療的有効量を含む組成物を投与する工程を有するものである。
【0031】
別の態様において、本発明は、急性冠動脈疾患、脳梗塞、抹消血管障害の虚血性合併症、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、抹消動脈疾患、糖尿病、心房細動、うっ血性心不全、肺塞栓梗塞、及び他の血管関連障害の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすい対象を治療する方法を対象とするものであり、それらを必要とする対象に対して、化学式I又はIIの化合物の治療的有効量を含む組成物を投与する工程を有するものである。
【0032】
α2β1活性は、特定の癌及びそれに関連する過程、幾つかの種類のウイルス感染、糖尿病、関節リウマチ、及び様々な他の病変に親密に関わっている可能性があると考えられている。従って本発明はまた、癌に関連した疾患、糖尿病に関連した疾患、又はリウマチ様病状を治療する方法も含み、それらを必要とする対象に、化学式I又はIIの化合物の治療的有効量を含む組成物を投与する工程を有するものである。
【0033】
別の態様において、本発明は、ヒトメラノーマ、肝細胞癌、乳癌、肺癌、子宮ガン、及び他の癌並びに癌関連疾患の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすい対象の治療方法を対象とするものである。
【0034】
特定の他の実施形態において、本発明は、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、及び他の糖尿病又はリウマチ関連疾患の1若しくはそれ以上を治療する方法を対象とするものである。
【0035】
更に別の実施形態において、本発明は、形態形成関連疾患又は基質の再組織化に影響を受ける病状の効果的な治療方法を提供するものである。
【0036】
更に別の実施形態において、本発明は、血管新生によって影響を受ける病状を治療する方法を対象とするものである。
【0037】
他の観点において、本発明は、細胞遊走、細胞増殖、細胞コロニー形成、又は転移によって影響を受けやすい病変を治療する方法を対象とするものである。
【0038】
更に別の態様において、本発明は、白血球浸潤に影響を受けやすい病理を治療する方法を提供するものである。
【0039】
本発明は、別の実施形態において、浮腫に影響を受けやすい病状を治療する方法を提供するものである。
【0040】
本発明の別の観点は、ウイルス感染に罹患しているか、或いは罹患しやすい対象を治療する方法である。
【0041】
本発明の更なる態様において、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)、ロタウイルス、ピコナウイルス、又は関連ウイルスに少なくとも部分的に起因したウイルス感染を治療する方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の用語および略称は、上記および本開示全体において使用される場合、特に明記のない限り下記の意味を有すると理解される。
【0043】
「DAP」は、2,3−ジアミノプロピオン酸を意味する。
【0044】
「EDC」は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する。
【0045】
「HOBT」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味する。
【0046】
保護基は、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis 2d.Ed.,Wiley&Sons,1991に開示されている形式に従って省略する(前記文献の全内容は本願明細書に完全に組み込まれる)。例えば、「CBZ」または「Cbz」あるいは「Z」は、カルボベンジルオキシまたはベンジルオキシカルボニルを意味し、「Boc」または「BOC」はt−ブトキシカルボニルを表し、「Alloc」はアリルオキシカルボニルを意味し、Bzはベンゾイルの意味であり、および「Fmoc」は9−フルオレニルメトキシカルボニルを表す。
【0047】
本開示において、「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈上明記のない限り、複数のものを含む。従って、例えば「アンタゴニスト(an antagonist)」とは、複数のそのようなアンタゴニストを含み、「化合物(a compound)」とは1若しくはそれ以上の化合物、および当業者に周知のこれらの同等物を含む。
【0048】
本願明細書において使用される「成分」、「化合物の組成物」、「化合物」、「薬剤」、「薬理学的活性剤」、「活性剤」、「治療用の」、「治療」、「治療」、または「薬物」の用語は、本願明細書中において用いられる場合、対象(ヒトまたは動物)に投与した場合、局所または全身作用により所望の薬理学的および/または生理学的効果を引き起こす1つの化合物、1つ以上の化合物、組成物を指すために同じ意味として使用される。
【0049】
本願明細書における略語は、以下のような計測、技術、特性、または化合物に相当するものである。「min」は分、「g」はグラム、「μg」はマイクログラム、「eq」は当量、「h」は時間、「μL」はマイクロリットル、「mL」はミリリットル、「mM」はミリモル濃度、「M」はモル濃度、「mmol」または「mmole」はミリモル、「cm」はセンチメートル、「SEM」は標準誤差、「IU」は国際単位を意味する。「IC50値」または「IC50」は、観察される症状または効果を50%緩和または阻害する化合物の平均投与量を意味する。
【0050】
本願明細書において使用される「アルキル」とは、選択的に置換された、飽和直鎖または分岐鎖の約1〜約20個の炭素原子(この範囲内の具体的な炭素数の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含む)を有する炭化水素基を意味する。
【0051】
「アミノ」とは−NHを意味し、水素と置換する1若しくはそれ以上の置換基を含んでいてもよい。
【0052】
本願明細書に使用される「アリール」、「アレン」、および「芳香族」はそれぞれ、約5〜約50個の炭素原子環員(およびこの範囲の炭素数の範囲および具体的な数のすべての組合せ、およびサブコンビネーション)を有する、選択的に置換されたモノ−、ジ−、トリ−、またはその他の多環式の芳香環系を指し、約6〜約10個の炭素原子環員が好ましい。
【0053】
本願明細書において使用される「アルケニル」は、約2〜約20個の炭素原子(この炭素原子の範囲および具体的な数の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含む)と、1若しくはそれ以上の二重結合とを有するアルキル基を指し、アルキル基は既に定義したとおりである。一部の実施形態において、前記アルケニル基は約2〜約6個の炭素原子を有しているものが好ましい。
【0054】
「アルキリデン」とは、
【0055】
【化9】

【0056】
を表し、RおよびRは独立的にHまたはアルキルであり、ここで、アルキルとは既に定義したとおりである。
【0057】
本願明細書において使用される「アラルキル」とは、1若しくはそれ以上のアリール置換基を有し、更に約6〜約50個の炭素原子(およびこの範囲の炭素原子の範囲および具体的な数の全てのコンビネーションおよびサブコンビネーションを含む)を有するアルキル基を指し、ここでアリールおよびアルキルは既に定義したとおりである。一部の好ましい実施形態において、前記アラルキル基のアルキル部分は、約1〜約4個の炭素原子を有する。別の実施形態において、前記アルキル部分は、約1〜約3個の炭素原子を有する。アラルキル基は選択的に置換されていてもよい。
【0058】
「アルキルアミノ」とはアルキル−(NH)−を表し、アルキルは既に定義したとおりであり、NHはアミノに関する定義に従って定義される。「アリールアミノ」とは、アリール−(NH)−を表し、アリールは本願明細書において定義されるとおりであり、NHはアミノに関する定義に従って定義される。同様に「アラルアルキルアミノ」は、アラルキル−(NH)−を示すのに用いられ、アラルキルは既に定義したとおりであり、NHはアミノに関する定義に従って定義される。本願明細書において使用される「アルコキシ」はR−O−基を指し、Rはアルキル基であり、アルキル基は既に定義したとおりである。「アラルコキシ」とは、R−O−基を指し、Rは上記定義のアラルキル基である。「アルキルスルホニル」とは、アルキル−SO−を意味し、アルキルは既に定義したとおりである。
【0059】
本願明細書において使用される「アルキレン」は、一般式−(CH−で表される選択的に分岐または置換されている二価のアルキル基であり、nは1〜10である。非限定的な例として、メチレン、トリメチレン、ペンタメチレン、およびヘキサメチレンが挙げられる。
【0060】
本願明細書において使用される「ヘテロアリール」とは、少なくとも1つの環において、1若しくはそれ以上の炭素原子環員が独立に、硫黄、酸素、窒素、およびNHからなる群より選択されるヘテロ原子により置換されているアリール基を指し、ここでアリールは既に定義したとおりである。合計約5〜約14炭素原子環員と、ヘテロ原子環員とを有するヘテロアリール基が好ましい。
【0061】
「ハロ」または「ハロゲン」のそれぞれは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素部分を指し、フッ素、塩素、または臭素が好ましい。
【0062】
「Dは選択的である」の語句は、Dが付加した置換基は、直接互いに結合している可能性があることを意味する。例えば、一部の好ましい実施形態において、Aは結合によってEに結合している。
【0063】
通常、置換された化学部分は、水素を置換した1またはそれ以上の置換基を有する。例示的な置換基として、例えば、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、スピロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル(−OH)、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、アミノ(−NH)、−N−置換アミノ(−NHR")−N,N−二置換アミノ(−N(R")R")、オキソ(=O)、カルボキシ(−COOH)、−O−C(=O)R"、−C(=O)R"、−OR"、−C(=O)OR"、−(アルキレン)−C(=O)−OR"、−NHC(=O)R"、アミノカルボニル(−C(=O)NH)、−N−置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR")、−N,N−二置換アミノカルボニル(−C(=O)N(R")R")、チオール、チオラート(−SR")、硫酸(−SOH)、リン酸(−POH)、−P(=O)(OR")OR"、−S(=O)R"、−S(=O)R"、−S(=O)NH、−S(=O)NHR"、−S(=O)NR"R"、−NHS(=O)R"、−NR"S(=O)R"、−CF、−CFCF、−NHC(=O)NHR"、−NHC(=O)NR"R"、−NR"C(=O))NHR"、−NR"C(=O)NR"R"、―NR"C(=O)R"等が挙げられる。上述の置換基に関連して、R"部分は、それぞれ独立的に、例えば、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキルであっても良い。
【0064】
本願明細書において使用される「治療」または「治療」(およびこれらの別の形態のものも含む)は、「防止的」(例えば、予防的)、治癒的、または緩和する治療を含む。
【0065】
上記および本開示全体において使用される「有効量」という用語は、関連する疾患、症状、または副作用の治療について所望の結果を達成するために必要な期間、投与において有効な量を指す。本発明の成分の有効量は、特定の化合物、選択した成分または組成物、投与経路、および個体において所望の反応を引き出す成分の能力のみならず、疾患の状態または緩和させる症状の病状または重篤度、個人のホルモンレベル、年齢、性別、体重、患者の状態、治療中の病理学的症状の重篤度、特定患者が従っている併用薬または特別食事制限、および当業者であればうその他の因子等によって、患者ごとに異なるものであり、適切な投与量は、究極的には付添いの医師の裁量によって決まるものである。投与計画は、改善された治療反応を提供するように調節できる。有効量はまた、治療的に有益な効果がそれらの成分の毒性または有害な効果より勝る量である。例えば、本発明の方法において有用な化合物は、血小板の活性化および接着活性のレベルが治療開始前のレベルと比較して減少するように、ある投与量である期間投与される。
【0066】
「薬学的に許容される」とは、妥当な医学的判断の範囲で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当な利益/リスク比に応じたその他の問題の合併症なく、ヒトおよび動物の組織との接触に適した、化合物、物質、組成物、および/または剤型を指す。
【0067】
本発明において開示された化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態に調製されていても良い。「薬学的に許容可能な塩」とは、親化合物がその酸性または塩基性の塩をつくることにより修飾されている開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩の例には、これらに限らないが、アミン類等の塩基性残基の無機または有機の酸性塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機の塩等が含まれる。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、無毒性の無機または有機の酸から形成される親化合物の、従来的な無毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような従来的な無毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導されるもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製される塩が含まれる。これらの生理学的に許容可能な塩は、例えば、遊離アミン塩基を水溶性アルコール中過剰の前記酸で溶解する、あるいは遊離カルボン酸を水酸化物等のアルカリ金属塩基またはアミンで中和するなど、当該技術分野で周知の方法により調製される。
【0068】
本願明細書全体において記載の化合物は、別の形態において使用または調製されていてもよい。例えば、アミノ含有化合物の多くは、酸付加塩として使用または調製できる。多くの場合そのような塩は、化合物の単離または取扱い特性を向上させる。例えば、試薬や反応条件等によって、本願明細書記載の化合物は、例えばそれらの塩酸またはトシル酸塩として使用または調製される。同形の結晶型、全てのキラルおよびラセミ体、N−酸化物、水和物、溶媒和物、および酸塩水和物もまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0069】
本発明の特定の酸性または塩基性化合物は、両性イオンとして存在していてもよい。遊離酸、遊離塩基、および両性イオンを含む全ての形態の化合物が本発明の範囲内であると考えられる。当該技術分野において、アミノ基およびカルボキシル基の両方を有する化合物は、多くの場合、それらの両性イオンの形態による平衡状態で存在していることは問う業者に周知である。従って、本願明細書全体にわたって記載される全ての化合物は、例えば、アミノ基およびカルボキシル基を共に有し、さらにそれらに対応する両性イオンに関連するものも含む。
【0070】
「水和物」とは、分子形態において水と会合している本発明の化合物を指し、すなわちH−OH結合が解離しておらず、例えば化学式R・HOで表すことができるものであり、Rは本発明の化合物を表す。当該化合物は、1水和物(R・HO)、あるいは例えば2水和物(R・2HO)、3水和物(R・3HO)等の多水和物(R・nHO、ただしnは1よりも大きい整数)、あるいは例えば、R・n/2O、R・n/3O、R・n/4O(nは整数)等の半水化物等の水和物を1つ以上形成することができる。
【0071】
「溶媒和物」とは、分子形態で溶媒と会合する化合物を指し、すなわち溶媒が配位結合で結合しており、例えばRを本発明の化合物として、化学式R・(溶媒)で表すことができる。当該化合物は、例えば1水和物(R・(溶媒))、あるいは例えば2水和物(R・2(溶媒))、3水和物(R・3(溶媒))等の(多水和物(R・n(溶媒))(nは1より大きい整数)、あるいは例えばR・n/2(溶媒)、R・n/3(溶媒)、R・n/4(溶媒)(nは整数)等の半水化物等の水和物を1つ以上形成することができる。本明細書における溶媒として、例えばメタノール/水といった混合溶媒、および溶媒和物が溶媒和物中に1若しくはそれ以上の溶媒を取込めるようなものが挙げられる。
【0072】
「酸水和物」とは、1若しくはそれ以上の塩基性部分を有する化合物が1若しくはそれ以上の酸性部分を有する1つ以上の化合物と会合することによって形成される複合体、あるいは1若しくはそれ以上の酸性部分を有する化合物が1若しくはそれ以上の塩基性部分を有する1つ以上の化合物との会合することにより形成する複合体を指し、ここで前記複合体は、水和物を形成するように水分子とさらに会合し、前記水和物とはすでに定義したとおりであり、Rは上記の本願明細書記載の複合体を指す。
【0073】
「立体異性体」の用語は、同一化学構造を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を意味する。
【0074】
「ラセミ」とは、反対の光学活性を有する形態への分割能を有することを意味する。
【0075】
本願明細書において使用される「部分的立体異性体」という用語は、少なくとも1つのキラル中心が定まった立体化学性(すなわち、RまたはS)を有し、少なくとも1つは不定の立体化学性(すなわち、RまたはS)を有する2若しくはそれ以上のキラル中心を有する立体異性体を意味する。本願明細書において「その部分的立体異性体」の用語が使用される場合、定まった立体化学中心が維持されており、不定のキラル中心のそれぞれの立体配置が、独立的にRまたはSから選択される上述の部類内のあらゆる化合物を意味する。例えば、立体異性体が3つのキラル中心を有し、かつ第1中心の立体化学的構造が「S」の立体配置を有すると定義される場合、「またはその部分的立体異性体」の用語は、SRR、SRS、SSR,またはSSSの立体配置を3つのキラル中心で有する立体異性体、およびそれらの混合物を指す。
【0076】
「プロドラッグ」とは、それ自身では所望の活性に関して不活性もしくは最小限に活性であるが、生体内変化を通して、生物学的に活性な代謝物に変換される化合物を指す。例えば、本発明のプロドラッグとしては、とりわけ、代謝手段によって生体内において、本開示に記載または請求項記載の化合物に変換可能な化合物すべてを含む。
【0077】
「N−酸化物」とは、複素環式環または第3級アミンのいずれかの塩基性窒素原子が、正の形式電荷を有する第四級窒素および負の形式電荷を有する付加酸素原子を与えるように酸化される化合物を意味する。
【0078】
任意の構成要素または任意の化学式においていかなる変数が1回以上生じる場合であっても、各発生における定義は、ほかの全ての発生における定義とは独立している。置換基の組み合わせ、および/または変数は、そのような組合せによって安定な化合物を生じさせる場合にのみ容認される。
【0079】
本願明細書において使用される「調節」または「介在」とは、例えば受容体結合またはシグナル伝達活性といった、生物学的な活性またはそのプロセスの機能特性を増強または阻害する、いずれかの能力を指す。このような増強または阻害は、シグナル変換経路の活性化等の特定の事象の発生によって左右され、及び/又は特定の細胞型においてのみ現れる可能性がある。この調節物質は、例えば、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質といったあらゆる化合物、好ましくは小分子またはペプチドを含むことが意図される。
【0080】
本開示において、「阻害剤」の用語は、例えば、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、好ましくは小分子またはペプチドといった化合物又は物質であって、血小板の活性化または接着活性、血栓症の安定化、転移、血管新生、あるいはウイルス感染等の、特定の活性を阻害、抑制、阻止、または低減させることにより、部分的な、完全な、競合的な、および/または阻害的な効果を示す、あらゆる前記化合物または物質を含有することが意図される。特定の実施形態において、前記用語は、好ましくはヒトの病理学的血小板活性の阻害剤を指し、従って病理学的血小板活性の生物学的効果を一部または完全に低減または阻止し、好ましくは低減するものである。別の特定の実施形態において、前記用語は、好ましくは、血管新生、転移、形態形成、基質再組織化、細胞遊走、細胞増殖、細胞コロニー形成、または白血球浸潤の阻害剤を意味する。さらに別の実施形態において、前記用語は、ウイルス感染の阻害剤を指す。
【0081】
「投与する」という用語は、本発明の化合物または組成物を直接投与するか、あるいは活性化合物または物質の当量を体内で形成するプロドラッグ、誘導体、または類似体を投与することのいずれかを意味する。
【0082】
「投与単位」とは、治療される特定の個体に対する単位投与量として適切な物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要な薬理学的担体と関連して、所望の治療効果を与えるように計算された活性化合物の所定量を含有する。本発明の投与単位形態に関する詳細は、(a)活性化合物の特性および達成される特定の治療効果、および(b)そのような活性化合物を配合する技術分野特有の制限によって決定される。
【0083】
「脈管系」の用語は、これらに限らないが心臓、血管、リンパ管、肺、および門脈系を含む動物体内の液体を輸送または循環させる血管および組織を指す。
【0084】
「血管疾患」、「血管障害」、「血管症状」、「血管病変」等の語句は、例えばこれらに限らないが、脳梗塞、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患、糖尿病、心房細動、鬱血性心不全、急性冠症候群、脳梗塞、肺塞栓、および末梢血管疾患の虚血性合併症等、体液を輸送するチャネルおよび組織に影響する身体の状態を指す。
【0085】
「血管新生」の用語は、血管の成長、形成、遊走、浸潤、または増殖を指す。
【0086】
「ピコナウイルス」とは、ピコナウイルス科に属するウイルスである。
【0087】
「対象」または「患者」とは、本発明の組成物および/または方法によって治療可能な、ヒトを含む胎生期、未成熟、または成体動物を指す。
【0088】
従って、本発明は、α2β1インテグリンの小分子阻害剤、および特定の血管障害および症状、癌、糖尿病、および関節炎関連の病気、およびウイルス感染の治療に前記阻害剤を使用する方法に関する。本願明細書開示される化学式IおよびIIの化合物の活性は、α2β1アンタゴニズムに起因しているか、さもなければ特定のコラーゲン誘導性血小板活性の阻害を与えるため、血管疾患の治療に関して、これらの投与は、極めて有望であり、安全な抗血栓症の治療法およびその他の血管系に関わる疾患状態の治療に対して今まで達成していない手法となる。例えば、本願明細書記載の本発明は、これらに限らないが、脳梗塞、深部静脈血栓症(DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患、糖尿病、心房細動、鬱血性心不全、急性冠症候群、脳梗塞、肺塞栓、および末梢血管疾患の虚血性合併症等を含む障害および症状を治療、緩和、阻害、および/または予防する分野において、実質的な躍進となると考えられる。さらなる態様において、本発明は、これらに限らないが、ヒトメラノーマ、肝細胞癌、乳癌、肺癌、および卵巣癌、病理学的血管新生、白血球浸潤等を含む癌および癌関連症状に対する有望且つ独特な治療である。またさらなる態様において、本発明は、リウマチ性関節炎、糖尿病性網膜症、糖尿病、および関連する病気等の糖尿病および関節炎に関連した疾患を治療する方法を提供する。化学式IまたはIIで表される化合物の投与によって、例えば、ヒトサイトメガロウイルス、ロタウイルス、またはピコナウイルスによるウイルス感染、またはこれらに対する感受性などウイルス感染に対する薬物療法が提供される。
【0089】
本発明の一実施形態によると、以下の化学式Iの新規の化合物が提供され、
【0090】
【化10】

【0091】
式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立的に、ハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立的に、アミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、C=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く、
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、
3つの点線部分のうちの1つは二重結合を示しても良く、更に、
qは0、1、2、又は3である、化合物
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【0092】
本発明の別の実施形態によれば、化学式IIで表される新規の化合物であって、
【0093】
【化11】

【0094】
式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立してハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立してアミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であり、
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
XはN、O、又はSであり、
YはCH、CR、CCH(CH)、又はC(CHであり、
及びRは独立してH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリル、又はアルキルへテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、更に、
点線はXがNの場合に二重結合であっても良い、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【0095】
同様に、別の実施形態において、本発明は、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物、および化学式Iまたは化学式IIの化合物に関する。本発明の別の実施形態によると、化学式Iまたは化学式IIの化合物の立体化学的に富化された混合物を含む組成物が提供される。
【0096】
化学式Iの特定の好ましい実施形態において、AはSOである。RおよびRは、それぞれ好ましくは水素であり、qは好ましくは1、Rは好ましくは−CH−である。化学式IIの特定の好ましい実施形態において、RおよびRはそれぞれ好ましくは水素であり、Yは好ましくはCH、CR、またはC(CHであり、Rは好ましくは−CH−である。化学式IIの好ましい実施形態において、Xは酸素であり、YはCHである。化学式IIのさらに別の実施形態において、XはSであり、YはCH、CR、またはC(CHである。化学式IまたはIIのさらに別の実施形態において、AはC=OまたはCOであり、Eはフェニルである。化学式IまたはIIのまた別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、Dは選択的にAとEとの間の結合を表す。さらに別の好ましい化学式IまたはIIの実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0である。化学式IまたはIIの別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、mは0である。化学式IまたはIIの別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは1であり、Rはニトロである。化学式IまたはIIの好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは2であり、Rはハロである。化学式IまたはIIの化合物について、特定の別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、mは1である。化学式IまたはIIの化合物について、また別の好ましい実施形態において、AはSOであり、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示し、nは0であり、mは1であり、RはNHC(=O)Rである。
【0097】
化学式IまたはIIの化合物の特定の別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間結合を示し、Eはフェニルであり、Rはニトロであり、nは1に等しく、RはNH(アラルキル)、NHSO−アリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rである。化学式IまたはIIの化合物の特定の別の好ましい実施形態においては、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、nは0に等しく、RはNHC(=O)Rであり、Rはアリール、アラルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、またはアルキルアミノである。更に別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、Rはニトロであり、nは1に等しく、Rは、NH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)O−アラルキル、またはNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアミノである。特定の別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、nは2に等しく、Rはアルキルまたはハロゲンであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアミノである。
【0098】
化学式IまたはIIの特定の好ましい実施形態において、RはNH−Boc、NH−Cbz、NH−Bzである。
【0099】
【化12】

【0100】
化学式IまたはIIの化合物に関して、一部の好ましい実施形態において、RはNO、NH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)ベンジル、NHC(=O)フェニルアミノ、フルオロ、クロロ、メチルスルホニル、トリフルオロメタン、またはベンジルである。化学式IまたはIIに関する別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)フェニルアミノ、メチルスルホニル、またはベンジルであり、nは1に等しく、RはNH(アラルキル)、NHSO−アリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rである。化学式IまたはIIの更に別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH、CH、アセトアミノ、フェニル、NHC(=O)フェニルアミノ、メチルスルホニル、またはベンジルであり、nは1に等しく、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rであり、Rは、アラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアミノである。
【0101】
化学式IまたはIIの一部の好ましい実施形態において、nはそれぞれ0、1、または2の整数であり、より好ましくは0または1である。
【0102】
化学式IまたはIIの一部の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rであり、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアミノであり、mは1に等しい。化学式IまたはIIの別の好ましい実施形態において、AはSOであり、DはAとEとの間の結合を示し、Eはフェニルであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、またはNHC(=O)Rであり、Rは、アラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、またはアルキルアミノであり、mは1に等しく、Rはヒドロキシまたはフェニルメトキシである。
【0103】
化学式IまたはIIの特定の好ましい実施形態において、当該化合物は、
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンゾイルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン二酸 5−tert−ブチルエステル、
3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−ブロモ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−[3−(4−ニトロ−フェニル)−ウレイド]−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イルメチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アセチルアミノ−ベンゼンスルホルニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−[(1−フェニルメタンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸、
2−[2−(3−ベンジル−ウレイド)−1−カルボキシ−エチルカルバモイル]−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ビフェニル−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾイル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−1−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(3,5−ジメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(4−フェニルアセチルアミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−({(1−[4−(3−フェニル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{(1−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−ベンゾイルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ベンジルオキシカルボニルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジクロロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(3−ベンゼンスルホニル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、および
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸
から成る群から選択される。
【0104】
本発明で使用される化合物は、プロドラッグの形態で存在していてもよい。本願明細書において使用される「プロドラッグ」とは、例えば、そのようなプロドラッグが対象に投与された場合に本発明の方法において生体内で使用する製剤または化合物に応じて、活性親薬物を放出する共有結合で結合した全ての担体を含むことが意図される。プロドラッグは、多くの医薬品の所望の性質を(例えば、溶解性、生体利用性、製造等)を増強することが知られているため、必要に応じて、本発明の化合物をプロドラッグの形で送達してもよい。従って、本発明はプロドラッグの送達方法を考慮するものである。本発明で使用する化合物のプロドラッグは、例えば、化学式IまたはIIに従って、化合物内に存在する複数の官能基を修飾することにより調製し、その修飾が親化合物に対して決まりきった操作によってまたは生体内において、本発明の化合物を切断するものであってもよい。
【0105】
従って、プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、またはカルボキシル基が任意の基に結合しており、プロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合に、切断されて遊離ヒドロキシル、遊離アミノ、またはカルボン酸をそれぞれ形成する本願明細書記載の化合物が含まれる。例として、これらに限らないが、アルコールおよびアミン官能基の酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステル誘導体、およびメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルエステル等のアルキル、炭素環式、アリール、およびアルキルアリールエステル類が挙げられる。
【0106】
当然のことながら、存在する官能基は、合成の過程において保護基を含むものであっても良い。保護基は、例えばヒドロキシル基およびカルボキシル基など、選択的に官能基に付加し更に官能基から脱離可能な、それ自体が化学的な官能基として知られている。これらの基は化学化合物中に存在し、化合物が暴露される化学反応条件に対しては不活性な官能性となっている。各種保護基を本発明に使用することができる。本発明に従って使用することのできる保護基は、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Snthesis 2d. Ed.,Wiley&Sons,1991に記載されている。
【0107】
さらなる態様において、本発明は、化学式IまたはIIの化合物、および薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤は、選択される投与経路、及び、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,Easton,PA,1985)等に記載の標準的な薬学的実践に基づいて選択される(前出文献の開示内容はこの参照に本願明細書に完全に組み込まれる)。
【0108】
本発明の化合物は、経口または非経口で、そのまま、または通常使用される液体または固体の薬学的担体、希釈剤、または賦形剤と併用して投与することができる。使用可能な固体の担体、希釈剤、または賦形剤は、とりわけ、結合剤、崩壊剤、充填剤、滑沢剤、流動促進剤、圧縮助剤、加工助剤、着色料、甘味料、保存料、懸濁化剤/分散剤、錠剤用崩壊剤、カプセル化剤、フィルム形成剤または被覆剤、香味料、または印刷用インクとして機能することができる。もちろん、任意の投与単位形態を調製するのに使用される全ての材料は、好ましくは薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に無毒性である。さらに、活性化合物は持続放出製剤および処方に組み込まれていても良い。この点において、非経口投与はとりわけ、経静脈、筋肉内、皮下、眼球内、滑液嚢内、経皮を含む経上皮、眼球内、舌下、および頬といった経路や、送気、エアロゾル、および直腸吸収を介した眼球内、皮膚、眼、直腸および鼻孔吸入等局所的経路を含む。
【0109】
粉末の場合、担体、希釈剤、または賦形剤は、微粉の活性成分との混合物中にある微粉末上の固体であってもよい。錠剤の場合、活性成分は、必要な圧縮特性を好適な比率で有する担体、希釈剤、または賦形剤と混合され、所望の形状および大きさに固められている。口腔治療投与に対して、活性化合物は、担体、希釈剤、または賦形剤と配合され、摂取可能なタブレット、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップ、ウエハース等の形態で使用される。このような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、好ましくは好ましい投与量が得られる量である。当該治療用組成物は、好ましくは、活性成分を最大約99%まで含有する。
【0110】
液体担体、希釈剤、または賦形剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、エリキシル剤等を調製するのに使用することができる。本発明の活性成分は、水、有機溶媒、これら両者の混合物等の薬学的に許容可能な液体、あるいは薬学的に許容可能な油や脂肪中に溶解または懸濁することができる。この液体の担体、賦形剤、または希釈剤は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味料、矯味剤、懸濁剤、増粘剤、着色料、粘度調整剤、安定化剤、または浸透圧調整剤を含有することができる。
【0111】
好適な固体の担体、希釈剤、および賦形剤として、例えば、リン酸カルシウム、二酸化シリコン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、乳糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、イオン交換樹脂、クロスカルメロースカーボン、アカシア、予備糊化デンプン、クロスポビドン、HPMC,ポビドン、二酸化チタン、多結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、寒天、トラガカント、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
経口および非経口投与のための液体担体、希釈剤、および賦形剤の好適な例として、水(特に、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液等のように上記の添加剤を含有するもの)、アルコール類(一価アルコール類および例えばグリコール類等の多価アルコール類を含む)およびこれらの誘導体、および油類(例えば、分留ココナツ油およびラッカセイ油)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0113】
非経口投与に関しては、担体、希釈剤、または賦形剤は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピル等の油性エステルであってもよい。さらにまた、非経口投与用の滅菌液体型の組成物に使用される、滅菌液体担体、希釈剤、または賦形剤が考えられる。遊離塩基または薬理学的に許容可能な塩として、この活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と好適に混合して、水中で調製することができる。この分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類、およびこれらの混合物中および油中にて調製することもできる。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために、保存剤を含有させてもよい。
【0114】
注射用途に好適な薬学的形態として、例えば、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。すべての場合おいて、このような形態は好ましくは滅菌されており、容易に注射できるような液体である。好ましくは、製造および保管条件下で安定であり、好ましくはバクテリアや菌類のような微生物の汚染作用に対して保護されている。担体、希釈剤、または賦形剤は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリプロピレングリコール、液体エチレングリコール等)、これらの好ましい混合物、および植物油等の溶媒または分散媒体であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチン等の被覆剤の使用、分散液の場合必要な粒径の維持、および界面活性剤を用いることにより維持することができる。微生物の作用を防ぐには、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の様々な抗菌および防カビ剤によって達成される。多くの場合においては、等張剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンといった、吸収を遅らせる薬剤の使用によって達成することができる。
【0115】
滅菌注射用溶液は、必要な量の活性化合物を適量の溶媒中に、上述の各種その他の成分と共に配合することで調製できる。一般に、分散液は、滅菌活性成分を塩基性の分散媒体および上述の必要なその他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに混合することで調製できる。滅菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法として、単一または複数の活性成分に加え、所望の追加的な成分をこれらの滅菌−ろ過済み溶液から得ることのできる、真空乾燥、および凍結乾燥法を挙げることができる。
【0116】
本発明の化合物は、有効量を医療分野で確立されたいずれの従来技術でも投与することができる。本発明の方法において使用される化合物、例えば化学式IまたはIIで表される化合物は、患者の体内において複数の活性成分がこれらの活性成分の1つまたは複数の作用部位に接触させるような各手段により投与することができる。この化合物は、利用できる従来的な各手段により投与することができる。
【0117】
好ましくは、薬学的組成物は、例えば錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、ウェハース、顆粒、坐薬等のような単位剤形である。このような剤形の場合、組成物は適切な量の活性成分を含有する単位用量にさらに分けられていおり、前記単位剤形は、例えば、小包の粉末、バイアル瓶、アンプル剤、充填済注射または液体入り小袋といった、包装済み組成物であってもよい。単位剤形は、例えば、カプセルまたは錠剤そのものであってもよく、あるいはそのような組成物が適切な数の包装物の形態であってもよい。さらに、本発明の剤形は、1活性成分が錠剤に圧縮されているカプセルの形態でも、または複数のマイクロタブレット、粒、顆粒、または球形顆粒(ノンパレル)の形態であってもよい。これらのマイクロタブレット、粒、顆粒、または球形顆粒を、この後カプセルに入れて、場合によっては別の活性成分の顆粒と共に、カプセル状に圧縮する。
【0118】
予防または治療に最も好適となる本発明の化合物の用量は、投与形態、選択する特定の化合物、および治療中の特定の患者の生理的な特性によって異なる。一般に、初期に少量を導入し、必要に応じて、その状況下で所望の効果に到達するまで少量ずつ増量していくことができる。一般に、経口投与の場合、より多い用量を要する可能性がある。
【0119】
所望の用量は、簡便に単回投与分または、適切な間隔で投与する分割投与、例えば1日に2、3、4回以上の分割投与にして、提供してもよい。分割投与自身をさらに分割してもよく、例えば、数回の個々の大まかな時間間隔の投与としてもよい。この用量はまた、当該技術分野で既知の技術により、当該化合物を制御下で放出することにより提供してもよい。
【0120】
本発明の方法において有用な化合物は、当業者に既知の多くの方法により調製することができる。この化合物は、例えば、以下に記載の方法、または当業者にわかるこれらの方法の変形法により合成することができる。本発明の化合物の調整に使用される試薬は、市販品であっても、文献に記載の標準的な手順に従って調製してもよい。本発明に関連して開示されるすべての工程は、例えば、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラム、または商業的工業的スケール等のどのようなスケールででも実施できると考えられる。
【0121】
本発明は、さらに以下の実施例においてさらに明確となる。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明目的のものであり、添付の請求項を限定するように解釈されるべきではない。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の重要な性質を確認することができ、本発明の要旨から逸脱することなく、本発明を多様な用途や条件に合わせて、変更および変形できる。
【0122】
実施例
実施例1〜7は、液体状態および固相反応および例となる実施形態を含む代表的な化合物の合成に関する図を示す。実施例8は、得られた化合物の質量分析およびNMR分析を示す。実施例9は、代表的な化合物のIC50値を求めるための血小板接着分析について記載する。実施例10は、視治療の動脈障害と比較して発明の化合物の生体内での活性を評価する試験を示す。例11は、本発明化合物の代表的な実施例のα2β1インテグリンに対する特異性を分析するのに設計された試験を示す。
【0123】
実施例1
一部の好ましい実施形態の溶液状態合成
一部の好ましい実施形態の合成は、以下に示した一般概略図のように達成した。
【0124】
【化13】

【0125】
(S)−tert−ブチルピロリジン−2−カルボキシレート1、DIEA,およびDMAPの乾燥DCM溶液に(G)−Clを加えた。ここで(G)−Clは、塩化アレンスルホニル、塩化ベンジルスルホニル、または塩化ベンゾイルである。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を10%クエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物は、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 5:1)で精製し、化合物2を得た。
【0126】
化合物2のt−ブチル基を50%TFAのDCM溶液で処理して除去した。1時間攪拌後、TFAおよびDCMを減圧下で除去した。粗製酸およびH−Dap(Boc)−OM HClのDCM溶液に、EDC、HOBT、およびDIEAを加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで溶解した。有機層を10%クエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物は、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 1.5:1)で精製し、化合物3を得た。
【0127】
化合物3のBoc保護基を50%TFAのDCM溶液処理により除去した。1時間攪拌後、TFAおよびDCMを減圧下で除去した。O=C−(Q)のDCM溶液に対して、ただし(Q)は、当業者には表1に記載の化合物から明らかであるが、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、NH(アラルキルアミノ)、NO(アリールアミノ)、NHBoc(アラルキルアミノ)、アリールアミノ、p−ビフェニルアミノ、アルコキシ−ベンジルアミノ、C−ビフェニルアミノ、C−ビフェニル−4−イル−メチルアミノ、またはアルキルアミノとして、EtNを加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで溶解した。有機層をクエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物は、カラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 1:2)で精製し、化合物4を得た。
【0128】
化合物4のMeOH溶液にLiOHを加えた。得られた混合物を攪拌した。MeOHを減圧下で除去した。この水溶液をHOで希釈し、EtOで洗浄後HClで酸性化した。白色沈殿をEtOAc中に抽出した。HPLCで精製して、化合物5を得た。
【0129】
実施例2
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸の溶液合成
以下の概略図および記載により、好ましい化合物の溶液状態の合成の特定の実施例を説明する。
【0130】
【化14】

【0131】
(S)−tert−ブチルピロリジン2−カルボキシレート(780mg、3.755mmol)、DIEA(1.962ml、11.265mmol)、およびDMAP(91.7mg、0.751mmol)の乾燥DCM溶液(20ml)に塩化4−ニトロベンゼンスルホニル(1.314g、5.633mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を10%クエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 5:1)で精製し、化合物2を得た(1.257g、94%)。
【0132】
化合物2(1.5g、4.21mmol)のt−ブチル基を50%TFAのDCM溶液で処理して除去した。1時間攪拌後、TFAおよびDCMを減圧下で除去した。粗製酸およびH−Dap(Boc)−OMe HCl(1.18g、4.63mmol)のDCM溶液(40mL)に、EDC(0.99g、5.05mmol)、HOBT(0.68g、5.05mmol)、およびDIEA(1.76ml、10.1mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで溶解した。有機層を10%クエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 1.5:1)で精製し、化合物3を得た(1.96g、93%)。
【0133】
化合物3(68.2mg、0.136mmol)のBoc保護基を50%TFAのDCM溶液処理により除去した。1時間攪拌後、TFAおよびDCMを減圧下で除去した。
粗製アミンおよびベンジルイソシアネート(33.4μl、0.273mmol)のDCM溶液にEtN(57μl、0.409mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで溶解した。有機層を10%クエン酸、飽和NHCO(水溶液)、飽和NaCl(水溶液)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc 1:2)で精製し、化合物4を得た(69mg、95%)。
【0134】
化合物4(43mg、0.084mmol)のMeOH溶液(2ml)に2NのLiOH(84μl、0.167mmol)を加えた。得られた混合物を24時間攪拌した。MeOHを減圧下で除去した。この水溶液をHO(20ml)で希釈し、EtOで洗浄後、pH3〜4となるように1NのHCLで酸性化した。白色沈殿をEtOAc中に抽出した。HPLCで精製し、化合物5である、図1に化合物5として示す、完全な3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}プロピオン酸の分子を得た。
【0135】
実施例3
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン二酸 5−tert−ブチルエステルの溶液状態の合成
一部の例において、R部分は、分子の残り部分に窒素へテロ原子により結合している。しかし別の例においては、この窒素は炭素で置換されている。この種の化合物を生成する方法は、当業者には容易に理解されるであろうが、念のため、表1中で化合物6で示されるこのような一実施形態の合成を以下の概略図に示す。
【0136】
【化15】

【0137】
実施例4
固相合成
2,3−ジアミノプロピオン酸(2,3−diaminopropionic acid:DAP)部分の立体中心の好ましくないラセミ化が溶液法実施中に観測される全ての場合に、4−(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン樹脂を用いた固相合成を、本発明の化合物の合成にも利用した。この手法は、前記DAP立体中心の望ましくないラセミ化の問題を完全に解決した。従って、一部の好ましい実施形態を、以下の一般概略図および以下に説明に従って作成した。
【0138】
【化16】

【0139】
まず、4−(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン樹脂(
【0140】
【化17】

【0141】
で示す)(Novabiochem)をDMF中で膨潤させた。Fmoc−Dap(Alloc)−OH(1.5当量)(Bachem)、CsI(1.5当量)、およびDIEA(2当量)を加え、室温で一晩攪拌して反応させた。樹脂をろ過し、DMFおよびMeOHで繰り返し洗浄した。
【0142】
20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。その後、この樹脂をDMFで懸濁させ、Fmoc−Pro−OH(3当量)、HATU(3当量)、HOAT(3当量)、およびDIEA(6当量)と3時間反応させた。この樹脂をろ過し、DMFで洗浄した。20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。その後、この樹脂をDCMで懸濁し、塩化アレーンスルホニル、塩化ベンジルスルホニル、または塩化ベンゾイルである、(G)−Cl、およびDIEA(6当量)と一晩反応させた。この樹脂をろ過し、DCMおよびDMFで洗浄し、乾燥させた。
【0143】
アルゴンの存在下において無酸素のDCMで洗浄したペプチド樹脂にPhSiHの溶液を加え、樹脂を攪拌した。続いて、Pd(PPh(0.5当量)をアルゴン下で加え、アルゴン下で攪拌して反応させた。その後、樹脂をDCMおよびDMFで繰り返し洗浄した。この樹脂をDMFで懸濁し、O=C−(Q)であって、(Q)は、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、NH(アラルキルアミノ)、NO(アリールアミノ)、NHBoc(アラルキルアミノ)、アリールアミノ、p−ビフェニルアミノ、アルコキシ−ベンジルアミノ、C−ビフェニル−4−イル−メチルアミノ、またはアルキルアミノであるO=C−(Q)と、DIEA(6当量)とに一晩反応させた。樹脂をろ過し、DMFおよびDCMで洗浄し、乾燥した。
【0144】
この化合物を95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水で処理して樹脂から切断した。HPLCで精製した。
【0145】
実施例5
3−[3−(4−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸の固相合成
以下の概略図および説明により、固相合成の好ましい実施形態の具体的な例を提供する。
【0146】
【化18】

【0147】
4−(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン樹脂をDMF(10mL/g樹脂)中で膨潤させた。Fmoc−Dap(Alloc)−OH(1.5当量)、CsI(1.5当量)、およびDIEA(2当量)を加え、室温で一晩攪拌して反応させた。樹脂をろ過し、DMF(1*1分、1*10分、1*1分)およびMeOH(1*1分、1*10分、1*1分)で繰り返し洗浄した。
【0148】
20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMF(1*1分、1*10分、3*1分)で洗浄した。その後、この樹脂をDMFで懸濁させ、Fmoc−Pro−OH(3当量)、HATU(3当量)、HOAT(3当量)、およびDIEA(6当量)と3時間反応させた。この樹脂をろ過し、DMF(1*1分、1*10分、3*1分)で洗浄した、20%PIPのDMF溶液で処理して残留Fmoc基を脱保護した後、樹脂をDMF(1*1分、1*10分、3*1分)で洗浄した。その後、この樹脂をDCMで懸濁し、塩化4−ニトロ−ベンゼンスルホニル(3当量)、およびDIEA(6当量)と一晩反応させた。この樹脂をろ過し、DCM(1*1分、1*10分、1*1分)およびDMF(1*1分、1*10分、1*1分)で洗浄し、乾燥させた。
【0149】
アルゴン存在下において無酸素DCMで洗浄したペプチド樹脂にPhSiH(24当量)の溶液を加え、樹脂を2分間攪拌した。続いて、Pd(PPh(0.5当量)をアルゴン雰囲気下で加えた。アルゴン雰囲気下で2時間攪拌して反応させた。その後、樹脂をDCM(1*1分、1*10分、1*1分)およびDMF(1*1分、1*10分、1*1分)で繰り返し洗浄した。この樹脂をDMFで懸濁し、O=C(5−メトキシベンジルアミノ)(3当量)およびDIEA(6当量)に一晩反応させた。樹脂をろ過し、DMF(1*1分、1*10分、1*1分)およびDCM(1*1分、1*10分、1*1分)で洗浄し、乾燥した。
【0150】
表1で化合物14として示す、3−[3−(4−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸分子を上記樹脂から95%TFA,2.5TIS、および2.5%水で処理して切断した。HPLCで精製した。
【0151】
実施例6
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸の固相合成
本発明の化合物の一部では、置換複素環を特徴としている。表1に示す化合物46および47は、このような例の2つである。前述の開示を踏まえると、当業者であれば、このような化合物をどのように作成するかが容易にわかる。しかしながら、明確にするため、2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、すなわち化合物47の固相合成の概略図を以下に示す。
【0152】
【化19】

【0153】
実施例6
代替固相合成法
別の好ましい実施形態は、以下に説明されるよう以下の固相合成代替法に従って作成した。
【0154】
【化20】

【0155】
まず、4−(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン樹脂(
【0156】
【化21】

【0157】
で示す)をDMF中で膨潤させた。Fmoc−Dap(Alloc)−OH(1.5当量)、CsI(1.5当量)、およびDIEA(2当量)を加え、室温で一晩攪拌して反応させた。樹脂をろ過し、DMFおよびMeOHで繰り返し洗浄した。
【0158】
アルゴン存在下において無酸素DCMで洗浄したペプチド樹脂にPhSiHの溶液を加え、樹脂を攪拌した。続いて、Pd(PPh)4(0.5当量)をアルゴン下で加え、アルゴン下で攪拌して反応させた。その後、樹脂をDCMおよびDMFで繰り返し洗浄した。この樹脂をDMFで懸濁し、O=C−(Q)であって、(Q)が、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、NH(アラルキルアミノ)、NO(アリールアミノ)、NHBoc(アラルキルアミノ)、アリールアミノ、p−ビフェニルアミノ、アルコキシ−ベンジルアミノ、C−ビフェニル−4−イル−メチルアミノ、またはアルキルアミノであるO=C−(Q)と、DIEA(6当量)とに一晩反応させた。樹脂をろ過し、DMFおよびDCMで洗浄し、乾燥した。
【0159】
20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。その後、この樹脂をDMFで懸濁させ、Fmoc−Pro−OH(3当量)、HATU(3当量)、HOAT(3当量)、およびDIEA(6当量)と3時間反応させた。この樹脂をろ過し、DMFで洗浄した。20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した。その後、この樹脂をDCMで懸濁し、(G)−Clであって、塩化アレーンスルホニル、塩化ベンジルスルホニル、または塩化ベンゾイルである(G)−Clと、DIEA(6当量)とに一晩反応させた。この樹脂をろ過し、DCMおよびDMFで洗浄し、乾燥させた。
【0160】
この化合物を95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水で処理して樹脂から切断した。HPLCで精製を行った。
【0161】
実施例7
代替法を用いた3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸の固相合成
好ましい実施形態の固相合成の代替法を以下の概略図および説明に示す。
【0162】
【化22】

【0163】
まず、4−(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン樹脂をDMF(10mL/g樹脂)中で膨潤させた。Fmoc−DAP(Alloc)−OH(1.5当量)、CsI(1.5当量)、およびDIEA(2当量)を加え、室温で一晩攪拌して反応させた。樹脂をろ過し、DMF(1*1分、1*10分、1*1分)およびMeOH(1*1分、1*10分、1*1分)で繰り返し洗浄した。
【0164】
アルゴンの存在下において無酸素のDCMで洗浄したペプチド樹脂にPhSiH(24当量)の溶液を加え、樹脂を2分間攪拌した。続いて、Pd(PPh(0.5当量)をアルゴン下で加えた。アルゴン下で2時間攪拌して反応させた。その後、樹脂をDCM(1*1分、1*10分、1*1分)およびDMF(1*1分、1*10分、1*1分)で繰り返し洗浄した。この樹脂をDMFで懸濁し、N−ベンジル−ホルムアミド(3当量)およびDIEA(6当量)に一晩反応させた。樹脂をろ過し、DMFおよびDCMで洗浄し、乾燥した。
【0165】
20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMF(1*1分、1*10分、3*1分)で洗浄した。その後、この樹脂をDMFで懸濁させ、Fmoc−Pro−OH(3当量)、HATU(3当量)、HOAT(3当量)、およびDIEA(6当量)に3時間反応させた。この樹脂をろ過し、DMFで洗浄した(1*1分、1*10分、3*1分)。
【0166】
20%PIPのDMF溶液で処理してFmoc基を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄した(1*1分、1*10分、3*1分)。その後、この樹脂をDCMで懸濁し、塩化ベンゼンスルホニル(3当量)、およびDIEA(6当量)に一晩反応させた。この樹脂をろ過し、DCM(1*1分、1*10分、1*1分)およびDMF(1*1分、1*10分、1*1分)で洗浄し、乾燥させた。
【0167】
表1において化合物20として示した3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸分子を、95%TFA、2.5%TIS、および2.5%水で処理して上記樹脂から切断した。HPLCにより精製した。
【0168】
実施例8
質量分析およびNMRによる化合物の特性解析
質量分析用Kratos DS−50−Sデータシステムと、NMR特性決定用Bruker drx−500分光計とにインターフェースで接続した、VGマイクロマス7070H高分解能化学イオン化質量分析計を使用して、化合物の特性解析を行った。
【0169】
例えば、表1に示す、化合物20は、上記の装置を使用して特性解析し、以下の結果が得られた。HNMR(500MHz、DMSO−d):δ1.42−1.48(m,1H)、1.55−1.62(m,1H)、1.67−1.75(m,1H)、1.77−1.82(s,1H)、3.13(ddd,1H)、3.32−3.38(m、1H)、3.40−3.50(m、2H)、4.12(dd、1H)、4.20(d,2H)、4.23(ddd,1H)、6.08(t,1H)、6.60(t,1H)、7.19−7.24(m,2H)、7.29(t,2H)、7.63(t,2H)、7.72(t,1H),7.87(d,2H)、8.15(d,1H)、12.73(br,1H);EI−MS:m/z(M+Na):497.147(計算値)、497.147(実測値)。
【0170】
別の好ましい実施形態を、同様な方法で評価した。すべての特性解析によって、上述の合成反応の忠実度が確認され、これによって表1に示す構造的記載の正確さが確認された。
【0171】
実施例9
血小板接着アッセイ
本開示化合物の阻害強度をタイプIコラーゲンへの血小板接着として分析した。96穴の平底マイクロタイタープレート(Immulon2、Dynatech Laboratories、米国ヴァージニア州Chantilly)を、上述のように150mMNaCl含有、pH8.0の50mMのNHCO緩衝液にそれぞれ溶解した、コラーゲン、精製ヒトフィブリノゲン、またはウシ血清アルブミンで被覆した。Bennett JS,Chan C,Vilaire G,Mousa SA,Degrado WF.Agonist−Activated ανβ3 on Platelets and Lymphocytes Binds to the Matrix Protein Osteopontin.J.Biol Chem.272,8137−814)(1997)を参照。ウェル上の非結合のタンパク質結合部位を、上記緩衝液に溶解した5mg/mlのウシ血清アルブミンでブロックした。ヒト血小板を、0.1体積の3.8%クエン酸ナトリウムで抗凝固剤処理した血液から、135mM NaCl、2.7mM KCl、5.6mMグルコース、3.3mM NaHPO、0.35mg/mlウシ血清アルブミン、および実験によって濃度の異なるCaClおよびMgClを含有する、pH7.4の4mMのHEPES緩衝液を用いてゲルろ過して、単離した。1−2x10血小板を含有するゲルろ過した血小板懸濁液の100μl一定分量を血小板アゴニストの非存在下および存在下で、タンパク質被覆したウェルに添加した。攪拌することなく37oCで30分間インキュベートした後、プレートを2mM MgCl含有、pH7.4のトリス緩衝NaClで4回洗浄し、接着している血小板の数を、Bellavite P,Andrioli G,Guzzo P,et al.A colorimetric method for the measurement of platelet adhesion in microtiter plates.AnalBiochem.216,444−450(1994)で報告されている比色分析法により測定した。簡潔には、5mMのリン酸p−ニトロフェニルおよび0.1%トリトンX−100を含有するpH5.4の0.1Mクエン酸塩緩衝液の150μlを、洗浄後各ウェルに添加した。環境光の非存在下室温で60分間インキュベーションした後、100μlの2N NaOHを添加して、EL800ユニバーサルマイクロプレートリーダ(Bio−TeK Instruments,Inc.,米国バーモント州Winooski)を使用して、450nmでのマイクロタイタープレートリーダで測定した。
【0172】
本開示の化合物の力価は、静的条件下におけるヒト血小板の可溶性コラーゲンへの接着を阻害する能力の各化合物の濃度範囲を試験することで決定した。可溶性コラーゲンがα2β1インテグリンに対する特異的リガンドであるため、前記方法は、血小板でのα2β1阻害を評価するのに使用可能な方法である。従って、タイプIコラーゲン誘導性血小板接着を50%(すなわち、例9に記載の分析により実証されたように)低減させた。作用に関するどのような各理論または複数理論に結び付けられることを意図しないが、これらの結果は、本発明の化合物がインテグリンの「I様」ドメインを標的化することで、α2β1インテグリンの阻害をもたらしている可能性を示唆すると考えられる。
【0173】
IC50値は、単一ドナーの血小板を用いて決定した。複数の分析を行う場合、IC50の報告値は、別の評価から得られたIC50平均値を反映する。
【0174】
好ましい実施形態である化合物1−53を、表1に示す。
【0175】
【表1−1】

【0176】
【表1−2】

【0177】
【表1−3】

【0178】
【表1−4】

【0179】
【表1−5】

【0180】
【表1−6】

【0181】
【表1−7】

【0182】
表1に記載した化合物1〜53について、I型(モノマー)コラーゲンの存在下で血小板の接着を阻害する能力に関するインビトロ試験を行った。これらの化合物は強力な阻害活性を示すことがわかった。例えば、化合物20は、強力なインビトロ活性(IC50=15nM)を有することがわかった。化合物31(IC50=29nM)及び化合物48(IC50=17nM)同様、化合物30もまた、強力なインビトロ阻害活性(IC50=23nM)を有することがわかった。
【0183】
実施例10
インビボ試験
未処理動脈損傷と比較した本発明の化合物のインビボ活性を評価するために、頸動脈血栓を刺激し、試験処理に暴露した。公開されているプロトコールに従って(Kufrin,D.,et al.,Antithrombotic thrombocytes:ectopic expression of urokinase−type plasminogen activator in platelets.Blood.102(3):926−933(2003)を参照)、塩化第二鉄により誘導される動脈損傷処理を行った。鈍的切開によって右総頸動脈を露出させ、試験対象マウスに化合物20を静脈内投与した(30mg/kg,40mM HEPES、及び150mM NaCl)(上記表1を参照)。露出された頸動脈を小型Doppler血流プローブ(Model 0.5VB;Transonice Systems,ニューヨーク州イサカ)に設置した。その後、20%のFeClに浸潤させたWhatman濾紙(No.1)の1.0×2mmの大きさの一片を前記動脈の外膜表面に2分間塗布した。血流を30分間観察した。初期閉塞を達成するための経過時間を、コントロール対象、アスピリン存在下、及び化合物存在下においてそれぞれ測定した。結果を以下の表2に示す。
【0184】
【表2】

【0185】
実施例11
特異性評価のための細胞接着試験
α2β1インテグリンに対する本発明の化合物の代表的な実施形態の特異性を評価するために設計された試験のために、リガンド(α1β1に対して3μg/mlのコラーゲンIV、又はα2β1に対して3μg/mlのコラーゲンI)を、96穴平板マイクロタイタープレート(各ウェル100μl)においてPBS緩衝液中、4℃にて一晩固定させた。VCAM(α4β1に対して3μg/ml)及びフィブロネクチン(α5β1に対して10μg/ml)の場合、PBS緩衝液のかわりに20nM酢酸を用いた。当業者であればわかるように、VCAMはα4β1/VLA−4の内皮リガンドとして知られており、フィブロネクチンはα4β1/VLA−5のリガンドとして知られている。α1β1及びα2β1の場合、Mg2+を含む(Ca2+不含)1%BSAのHBSS緩衝液にてブロッキングを1時間行った。α4β1及びα5β1の場合、Ca2+及びMg2+を含む1%BSA含有HyQ HBSS緩衝溶液を用いた。BSAを含まない同様の緩衝溶液中の細胞を12.5μM CMFDAにより37℃、30分間インキュベーションすることにより標識した。遠心分離、及び1%BSA含有緩衝液を用いて洗浄した後、細胞を同様の緩衝液中に再懸濁させて(1×10細胞/ml)、様々な濃度の阻害剤の存在下、室温で15分間インキュベートした。細胞をウェルに加え(100μl/ウェル)、37℃で30分間インキュベートした。非結合細胞を洗い流し、0.5%TritonX−100を加えて結合細胞を溶解させた。
【0186】
α5β1インテグリン発現K562細胞、α4β1発現Jurkat細胞、及びα1及びα2インテグリンをトランスフェクトしたK562細胞を、Dr.C.Marcinkiewicz(Temple University,ペンシルバニア州フィラデルフィア)から提供してもらった。
【0187】
Cytofluor2350蛍光プレートリーダー(Millipore、マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いて、485nm(励起)及び530nm(放射)にてプレートを読み取った。結果を以下の表3に示す。
【0188】
【表3】

【0189】
試験化合物は、血小板とI型(モノマー)コラーゲンとの間、及びα2β1トランスフェクトK562細胞とI型コラーゲンとの間の強力な阻害活性を示すことがわかった。一方、α2β1トランスフェクトK562細胞とα1β1認識リガンドであるIV型コラーゲンとの間、α4β1発現Jurkat細胞とα4β1認識リガンドであるVCAMとの間、及びα5β1発現K562細胞とα5β1のリガンドとして周知のフィブロネクチンとの間で最小阻害が達成されていた。試験化合物のα2β1インテグリンに対する特異性を関連インテグリンと比較して示した。
【0190】
分子量などの物理的特性、又は化学式などの化学特性に対して本願明細書で用いられた範囲は、その特異的な実施形態とその範囲とのすべての組み合わせ及びサブコンビネーションを含むものである。
【0191】
本願明細書において引用又は記載されている各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照することにより本願明細書に完全に組み込まれるものである。
【0192】
当業者であれば、本願明細書の好ましい実施形態に対して様々な変更及び変形例が成されることが予想され、そのような変更及び変形例は本発明の要旨から逸脱することなく成されるものである。従って、本発明の要旨の範囲内で成されるそのような同等の変形例は添付の請求項によって網羅されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式を有する化合物であって、
【化1】

式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHSOであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立的に、ハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立的に、アミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、C=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く、
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、
3つの点線部分のうちの1つは二重結合を示しても良く、更に、
qは0、1、2、又は3である、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである、化合物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物において、
式中、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、又はNHC(=O)アラルコキシであり、
各Rは独立的に、ヒドロキシ又はアラルコキシであり、
AはSO、CO、又はC=Oであり、更に、
Eはアリールである、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【請求項3】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容可能な担体、希釈物、又は賦形剤とを有する組成物。
【請求項4】
請求項1記載の化合物の立体化学的に富化された混合物を有する組成物。
【請求項5】
請求項1記載の化合物において、AはC=OまたはCOであり、Eはフェニルである。
【請求項6】
請求項1記載の化合物において、AはSOである。
【請求項7】
請求項6記載の化合物において、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示すものである。
【請求項8】
請求項7記載の化合物において、nは0である。
【請求項9】
請求項7記載の化合物において、nは1である。
【請求項10】
請求項9記載の化合物において、Rはアミノ、アセトアミノ、ニトロ、メチル、フェニル、ベンジル、NHC(=O)ベンジル、NHC(=O)フェニルアミノ、又はメチルスルホニルである。
【請求項11】
請求項10記載の化合物において、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、又はNHC(=O)アラルコキシである。
【請求項12】
請求項9記載の化合物において、Rはニトロであり、Rは−NH(アラルキル)、−NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、又は−NHC(=O)アラルコキシである。
【請求項13】
請求項7記載の化合物において、nは2である。
【請求項14】
請求項13記載の化合物において、Rはアルキル又はハロであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、又はNHC(=O)アラルコキシである。
【請求項15】
請求項1記載の化合物において、この化合物は、
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンゾイルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン二酸 5−tert−ブチルエステル、
3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−ブロモ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−[3−(4−ニトロ−フェニル)−ウレイド]−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イルメチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アセチルアミノ−ベンゼンスルホルニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−[(1−フェニルメタンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸、
2−[2−(3−ベンジル−ウレイド)−1−カルボキシ−エチルカルバモイル]−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ビフェニル−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾイル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−1−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(3,5−ジメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(4−フェニルアセチルアミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−({(1−[4−(3−フェニル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{(1−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−ベンゾイルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ベンジルオキシカルボニルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジクロロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、および
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸
であるか、
或いはその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【請求項16】
インテグリンα2β1により影響を受ける病状又は感染症の少なくとも1つを治療する方法であって、
以下の化学式を有する化合物の治療的有効量を含む組成物を、それらを必要とする対象に投与する工程を有し、
【化2】

式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立的に、ハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立的に、アミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に、1若しくはそれ以上のCH基であっても良く、
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、
3つの点線部分のうちの1つは二重結合を示しても良く、更に、
qは0、1、2、又は3である、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、この方法は、
以下の化学式を有する化合物の治療的有効量を含む組成物を、それらを必要とする対象に投与する工程を有しており、
【化3】

式中、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立してヒドロキシ又はアラルコキシであり、
AはSO、CO、又はC=Oであり、更に、
Eはアリールである、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記対象は以下の化合物の治療的有効量を投与されるものであり、この化合物は、
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−ベンゾイルアミノ−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン二酸 5−tert−ブチルエステル、
3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−ブロモ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−[3−(4−ニトロ−フェニル)−ウレイド]−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ビフェニル−4−イルメチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−{[1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アセチルアミノ−ベンゼンスルホルニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−[(1−フェニルメタンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸、
2−[2−(3−ベンジル−ウレイド)−1−カルボキシ−エチルカルバモイル]−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ビフェニル−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−{[1−(4−アミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−カルボニル]−アミノ}−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾイル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(トルエン−4−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−1−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−[3−(4−アミノ−ベンジル)−ウレイド]−2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(3,5−ジメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[(1−(4−フェニルアセチルアミノ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−({(1−[4−(3−フェニル−ウレイド)−ベンゼンスルホニル]−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{(1−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−クロロ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−フェニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−ベンゾイルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ベンジルオキシカルボニルアミノ−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゾスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(2−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−[3−(3−メトキシ−ベンジル)−ウレイド]−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−(3−プロピル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−tert−ブチル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ジクロロ−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
3−(3−ベンジル−ウレイド)−2−{[1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、
2−[(1−ベンゼンスルホニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸、および
2−[(1−ベンゼンスルホニル−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸
であるか、
或いはその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである。
【請求項19】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、血管、癌、糖尿病、またはリウマチに関連したものである。
【請求項20】
請求項16記載の方法において、前記対象は、急性冠不全症候群、脳梗塞、抹消血管障害の虚血性合併症、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、抹消動脈疾患、糖尿病、心房細動、うっ血性心不全、肺塞栓、及びその他の血管関連疾患の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項21】
請求項16記載の方法において、前記対象は、ヒトメラノーマ、肝細胞癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、及びその他の癌又は癌関連疾患の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項22】
請求項16記載の方法において、前記対象は、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、及びその他のリウマチ関連又は糖尿病関連疾患の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項23】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、基質の再組織化によって影響を受けるものである。
【請求項24】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、血管新生によって影響を受けるものである。
【請求項25】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、細胞遊走、細胞増殖、細胞コロニー形成、又は転移によって影響を受けるものである。
【請求項26】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、白血球浸潤によって影響を受けるものである。
【請求項27】
請求項16記載の方法において、前記病状又は感染症は、浮腫によって影響を受けるものである。
【請求項28】
請求項16記載の方法において、前記対象は、ウイルス感染しているか、或いはウイルス感染しやすいものである。
【請求項29】
請求項16記載の方法において、前記ウイルス感染は、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)、ロタウイルス、ピコナウイルス、又は関連ウイルスに少なくとも部分的に起因したものである。
【請求項30】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、薬学的に許容可能な担体、希釈物、又は賦形剤を更に有するものである。
【請求項31】
請求項16記載の方法において、前記組成物は、前記化学式の化合物の立体化学的に富化された混合物を有するものである。
【請求項32】
請求項16記載の方法において、前記対象はヒトである。
【請求項33】
請求項16記載の方法において、前記対象は非ヒト動物である。
【請求項34】
以下の化学式を有する化合物であって、
【化4】

式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立してハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立してアミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
XはN、O、又はSであり、
YはCH、CR、CCH(CH)、又はC(CHであり、
及びRは独立してH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリル、又はアルキルへテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、更に、
点線はXがNの場合に二重結合であっても良い、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである、化合物。
【請求項35】
請求項34記載の化合物と、薬学的に許容可能な担体、希釈物、又は賦形剤とを有する組成物。
【請求項36】
請求項34記載の化合物の立体化学的に富化された混合物を有する組成物。
【請求項37】
請求項34記載の化合物において、R及びRはそれぞれHであり、YはCH、CR、又はC(CHであり、Rは−CH−である。
【請求項38】
請求項37記載の化合物において、XはOであり、YはCHである。
【請求項39】
請求項37記載の化合物において、XはSである。
【請求項40】
請求項34記載の化合物において、AはC=O又はCOであり、更にEはフェニルである。
【請求項41】
請求項34記載の化合物において、AはSOである。
【請求項42】
請求項41記載の化合物において、Eはフェニルであり、DはAとEとの間の結合を示すものである。
【請求項43】
請求項42記載の化合物において、nは0である。
【請求項44】
請求項43記載の化合物において、RはNHC(=O)Rである。
【請求項45】
請求項44記載の化合物において、Rはアリール、アラルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、又はアルキルアミノである。
【請求項46】
請求項45記載の化合物において、mは1である。
【請求項47】
請求項46記載の化合物において、Rはヒドロキシ又はアラルコキシである。
【請求項48】
請求項42記載の化合物において、nは1である。
【請求項49】
請求項48記載の化合物において、Rはアミノ、アセトアミノ、ニトロ、メチル、フェニル、ベンジル、NHC(=O)ベンジル、NHC(=O)フェニルアミノ、又はメチルスルホニルである。
【請求項50】
請求項49記載の化合物において、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、又はNHC(=O)Rである。
【請求項51】
請求項50記載の化合物において、Rはアリール、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。
【請求項52】
請求項48記載の化合物において、Rはニトロであり、Rは−NH(アラルキル)、−NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、−NHC(=O)アルコキシ、−NHC(=O)アラルコキシ、又は−NHC(=O)Rである。
【請求項53】
請求項52記載の化合物において、Rはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。
【請求項54】
請求項42記載の化合物において、nは2である。
【請求項55】
請求項54記載の化合物において、Rはアルキル又はハロであり、RはNH(アラルキル)、NHSOアリール、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)O−アラルキル、又はNHC(=O)Rであり、更にRはアラルキル、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノである。
【請求項56】
請求項34記載の化合物において、この化合物は、2−[(3−ベンゼンスルホニル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸である。
【請求項57】
インテグリンα2β1により影響を受ける病状又は感染症の少なくとも1つを治療する方法であって、
以下の化学式を有する化合物の治療的有効量を含む組成物を、それらを必要とする対象に投与する工程を有し、
【化5】

式中、
はアルキリデンであり、
はNH(アラルキル)、NHSOアリール、NHSOアルキル、CHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アルコキシ、NHC(=O)アラルコキシ、NHSO、又はNHC(=O)Rであり、
はアリール、アルキル、アラルキル、アラルコキシ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアミノであり、
各Rは独立してハロ、ニトロ、アリール、アミノ、アルキル、アルコキシ、NH−Boc、アルキルスルホニル、NHC(=O)アルキル、NHC(=O)アラルキル、又はNHC(=O)アリールアミノであり、
各Rは独立してアミノ、ヒドロキシ、アラルコキシ、NH(アリール)、又はNHC(=O)アリールであり、
はH又はアルキルであり、
はH又は=Oであり、
AはSO、PO、CO、又はC=Oであり、
Dは選択的に1若しくはそれ以上のCH基であっても良く
Eはアリール又はヘテロアリールであり、
XはN、O、又はSであり、
YはCH、CR、CCH(CH)、又はC(CHであり、
及びRは独立してH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリル、又はアルキルへテロアリールであり、
nは0、1、又は2であり、
mは0又は1であり、更に、
点線はXがNの場合に二重結合であっても良い、化合物、
又はその立体異性体、部分的立体異性体、プロドラッグ、薬学的許容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸水和物、又はN−オキシドである、方法。
【請求項58】
請求項16記載の方法において、前記対象は、2−[(3−ベンゼンスルホニル−5,5−ジメチル−チアゾリジン−4−カルボニル)−アミノ]−3−(3−ベンジル−ウレイド)−プロピオン酸の治療的有効量を投与されるものである。
【請求項59】
請求項57記載の方法において、前記対象は、急性冠動脈疾患、脳梗塞、抹消血管障害の虚血性合併症、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)、心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患、抹消動脈疾患、糖尿病、心房細動、うっ血性心不全、肺塞栓梗塞、及び他の血管関連疾患の1若しくはそれ以上に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項60】
請求項57記載の方法において、前記対象は、ヒトメラノーマ、肝細胞癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、及び他の癌又は癌関連疾患に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項61】
請求項57記載の方法において、前記対象は、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、および他のリウマチ関連又は糖尿病関連疾患に罹患しているか、或いは罹患しやすいものである。
【請求項62】
請求項57記載の方法において、前記病状又は感染症は、基質の再組織化により影響を受けるものである。
【請求項63】
請求項57記載の方法において、前記病状又は感染症は、血管新生により影響を受けるものである。
【請求項64】
請求項57記載の方法において、前記病状又は感染症は、細胞遊走、細胞増殖、細胞コロニー形成、又は転移により影響を受けるものである。
【請求項65】
請求項57記載の方法において、前記病状又は感染症は、白血球浸潤により影響を受けるものである。
【請求項66】
請求項57記載の方法において、前記病状又は感染症は、浮腫により影響を受けるものである。
【請求項67】
請求項57記載の方法において、前記対象は、ウイルス感染しているか、或いはウイルス感染しやすいものである。
【請求項68】
請求項57記載の方法において、前記ウイルス感染は、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)、ロタウイルス、ピコナウイルス、又は関連ウイルスに少なくとも部分的に起因したものである。
【請求項69】
請求項57記載の方法において、前記組成物は、更に、
薬学的に許容可能な担体、希釈物、賦形剤を有するものである。
【請求項70】
請求項57記載の方法において、前記組成物は、前記化学式の化合物の立体化学的に富化された混合物を有するものである。
【請求項71】
請求項57記載の方法において、前記対象はヒトである。
【請求項72】
請求項57記載の方法において、前記対象は非ヒト動物である。

【公表番号】特表2008−542445(P2008−542445A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515904(P2008−515904)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022225
【国際公開番号】WO2006/133338
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】