説明

β−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーを含有する組成物

以下(1)少なくとも1の一般式(I)[式中、R3は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、有利に水素原子を表す]の3価の基Bを含有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー、(2)少なくとも3のアミノ基を含有し、前記アミノ基のうち少なくとも2は1級アミノ基である、有機Si不含ポリアミン、及び場合により(3)少なくとも1の一般式(I)の基B又は少なくとも1の1級アミノ基を含有する、ケイ素不含化合物を含有する組成物。前記組成物は、成分(1)、(2)及び場合により(3)の混合により得られる。反応生成物は、前記組成物の反応により得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、β−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーを含有する組成物及びその製造法である。
【0002】
US 6,121,404 Aには、β−ケトカルボニル官能基を含有しかつ水溶性である、短鎖シロキサンブロックを有するポリエーテル−シロキサン−コポリマーを、アミノシロキサンと架橋させ、エラストマーフィルムとすることが記載されている。β−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーをまず水中に溶解させ、そこへ次にアミノシロキサンを添加し、水溶液を乾燥させる。エラストマーフィルムが残留する。
【0003】
β−ケトカルボニル官能性シロキサンは、US 6,121,404によればテキスタイル処理に使用することができる。しかしながら、テキスタイルの処理の際には、そのように仕上げ加工されたテキスタイルが可能な限りほとんど黄変しないことが重要である。
【0004】
EP 603 716 A1には、ポリアミンと架橋し得る2以上の官能基を有するポリエーテル−及びポリエステルアセトアセテートが記載されている。ポリアミンは全般的に過剰に使用される。
【0005】
EP 481 345 A2に相応して、ポリエポキシドと水、アミン又はヒドロキシカルボン酸とを反応させ、引き続きアセト酢酸とエステル化させて製造されたポリマーのアセトアセテートと、ポリケチミン又はポリアルジミンとを混合することによって、液体の被覆材料を製造することができる。
【0006】
類似の技術がEP 199 087 A1に記載されている。ポリアセトアセテートは、ここでは、不飽和アセト酢酸エステルの重合により得られる。
【0007】
US 3,668,183 Aから、ポリアセトアセテート/−アセトアミドとブロックトポリアミンとの反応により行われるポリエナミン樹脂の製造は公知である。短いポットライフの後に前記樹脂はゲル化し、固形の塊状物となる。
【0008】
J. prakt. Chem. 336, 483-491 (1994)において、ポリエーテルアセトアセテートとジアミンとの反応によりアミノ官能性ポリエーテルエナミンが得られており、該アミノ官能性ポリエーテルエナミンはジイソシアナートで連鎖延長される。
【0009】
1級又は2級アミノ基を含有するポリマーの官能化のために、EP 442 653 A2には、前記ポリマーと、厳密に1つのエノール形カルボニル基と少なくとも1つのグラフトすべき官能基とを含有する化合物との反応を含む方法が記載されている。
【0010】
テキスタイル処理に好適である、β−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーを含有する組成物ないし該組成物から得られる反応生成物を提供するという課題が存在しており、その際、そのように仕上げ加工されたテキスタイル又はテキスタイル織物は可能な限りわずかな黄変しか示さないことが望ましい。更に、水との混合物が、使用されたβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーと水との混合物よりも安定である、組成物ないし反応生成物を提供するという課題が存在していた。
【0011】
前記課題は本発明により解決される。
【0012】
本発明の対象は、以下
(1)少なくとも1の一般式
【化1】

[式中、
3は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、有利に水素原子を表す]の3価の基Bを含有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー、
(2)少なくとも3のアミノ基を含有し、前記アミノ基のうち少なくとも2は1級アミノ基である、有機Si不含ポリアミン、
及び場合により
(3)少なくとも1の一般式(I)の基B又は少なくとも1の1級アミノ基を含有する、ケイ素不含化合物
を含有する組成物である。
【0013】
本発明の対象は、更に、以下
(1)少なくとも1の一般式
【化2】

[式中、
3は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、有利に水素原子を表す]の3価の基Bを含有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー、
(2)少なくとも3のアミノ基を含有し、前記アミノ基のうち少なくとも2は1級アミノ基である、有機Si不含ポリアミン、
及び場合により
(3)少なくとも1の一般式(I)の基B又は少なくとも1の1級アミノ基を含有する、ケイ素不含化合物
を含有する混合物を製造することによる、組成物の製造法である。
【0014】
本発明の対象は、更に、本発明による組成物を反応させることにより製造可能である反応生成物である。
【0015】
式(I)中の基Bにおいて、有利に3つの遊離原子価のうち多くとも1つがヘテロ原子に結合している。
【0016】
有利に、シロキサンポリマー(1)は、平均的な分子1つにつき少なくとも2つの基B、有利に2〜20個の基Bを含有する。有機基Bは、有利にSi−C基を介して、シロキサンポリマー(1)のシロキサン部分に結合している。
【0017】
3価の基Bの遊離原子価のいずれもヘテロ原子に結合していない場合には、本発明によるシロキサンポリマー(1)は有利に、一般式
【化3】

[式中、
3は、そのために上記された意味を有し、
1は、末端位置以外に、酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
4は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、有利に水素原子であり、かつ、
5、R6及びR7は、それぞれ、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基を表す
]の群から選択された少なくとも1のSiC結合基B1を含有する。
【0018】
式(II)ないし(III)の基B1は、R1を介してシロキサンポリマーに結合している置換されたアセチルアセトンの構造を有する。
【0019】
3価の基Bの遊離原子価の1つがヘテロ原子に結合している場合には、本発明によるシロキサンポリマー(1)は有利に、一般式
−R8−Y−C(=O)−CHR3−C(=O)−CH23 (IV) 及び
−R8−Y−C(=O)−CR3=C(−OH)−CH23 (V)
[式中、
Yは、酸素原子又は式−(NR9−R’)z−NR2の基、有利に酸素原子を表し、
ここで、
R’は、1〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基、有利に1〜4個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表し、
2は、水素原子又は1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、有利に水素原子を表し、
3は、そのために上記された意味を有し、
8は、酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1以上の相互に別個の酸素原子を含有することができる1〜120個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表し、
9は、R2又は式−C(=O)−CHR3−C(=O)−CH23又は−C(=O)−CR3=C(−OH)−CH23の基を表し、
zは、0又は1〜10の整数、有利に0、1又は2である]の群から選択された少なくとも1のSiC結合基B2を含有する。
【0020】
式(IV)及び(V)の基B2は、基R8を介してシロキサンポリマーに結合している。基B2は、基Bとして有利である。
【0021】
式(IV)及び(V)の基B2は、互変異性体基である。有利に、本発明によるシロキサンポリマーは、1分子当たり式(IV)及び(V)の群からの少なくとも2の基B2を含有し、その際、本発明によるシロキサンポリマーは、式(IV)の基のみか、式(V)の基のみか、もしくは双方を一緒に含有することができる。互変異性体基は相互に変換し得るため、そのそれぞれの含分は外部の結合に応じて変化し得る。従って、その比は広範囲で変動することができ、約1000:1〜約1:1000の比であることができる。
【0022】
本発明によるシロキサンポリマー(1)のエノール含分は、前記物質の弱酸性の特性をもたらし、該特性は、一般式(I)の基の構造パラメータ及び置換基に決定的に依存する。有利に、前記のエノール化可能な基は、5.0超、特に有利に6.0〜15.0、特に7.0〜14.0のpks値を有する。
【0023】
3価の基Bの2つの遊離原子価がヘテロ原子に結合している場合には、本発明によるシロキサンポリマー(1)は、有利に、一般式
【化4】

[式中、
3及びR4は、そのために上記された意味を有し、
11は、2価の有機基、有利に酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1〜120個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
12、R13及びR14は、R5、R6及びR7の意味を有する]の群から選択された少なくとも1のSiC結合基B3を含有する。
【0024】
本発明によるシロキサンポリマー(1)は、1分子当たり有利に5〜5000個のSi原子、有利に50〜1000個のSi原子を含有する。本発明によるシロキサンポリマー(1)は直鎖、分枝鎖、デンドリマー又は環状であってよい。本発明によるシロキサンポリマー(1)が式(I)の官能基Bを少なくとも2つ含有する限り、Si原子の具体的な数も平均数も合致しない任意のサイズのネットワーク構造も、本発明によるシロキサンポリマー(1)の範囲内に属する。
【0025】
本発明によるβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー(1)は、有利に、一般式
【化5】

[式中、
Xは、基Bを含有する有機基を表し、有利にSiC結合基B1、B2又はB3であり、
ここで、B、B1、B2又はB3は、そのために上記された意味を有し、
Rは、1価の、場合により置換された、1つの基につき1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
15は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、有利に水素原子又はメチル基又はエチル基を表し、
aは、0又は1であり、
cは、0、1、2又は3であり、かつ
dは、0又は1であるが、
但し、総和a+c+d≦3であり、かつ1分子当たり平均で少なくとも1の基Xが含有されている]の単位からなる有機ポリシロキサンである。
【0026】
本発明によるβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー(1)の有利な例は、一般式
g3-gSiO(SiR2O)l(SiRXO)kSiR3-gg (IXa) 及び
(R15O)R2SiO(SiR2O)n(SiRXO)mSiR2(OR15) (IXb)
[式中、
X、R及びR15は、そのために上記された意味を表し、
gは、0又は1であり、
kは、0又は1〜30の整数であり、かつ
lは、0又は1〜1000の整数であり、
mは、1〜30の整数であり、かつ
nは、0又は1〜1000の整数であるが、
但し、1分子当たり平均で少なくとも1の基Xが含有されている]の有機ポリシロキサンである。
【0027】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソ−オクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基及び4−ペンテニル基;アルキニル基、例えばエチニル基、プロパルギル基及び1−プロピニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0028】
基R1の例は、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−CH2C(CH3)H−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)−及び−CH2CH2C(CH32CH2−であり、その際、−CH2CH2CH2−基が有利である。
【0029】
有利に、基R’は、式−CH2CH2−及び−CH2CH2CH2−の基である。
【0030】
基R3の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソ−オクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0031】
炭化水素基R3の例は、炭化水素基R2に関しても当てはまる。
【0032】
炭化水素基R3の例は、炭化水素基R4、R5、R6、R7、R12、R13及びR14に関しても当てはまる。
【0033】
基R11の例は、R1のために記載した例、並びに、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ−THF並びにC原子数200までのその混合ポリマーのポリエーテル基である。
【0034】
炭化水素基R15の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソ−オクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基である。
【0035】
式(II)ないし(III)の基B1は、ジケトン(式(II))に関して末端か又は両カルボニル基間のC原子上で(式(III))、R1を介してシロキサンポリマーに結合しているβ−ジケトン基である。
【0036】
式(II)の基B1を有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー(1)の製造法は、有機化学から公知である。有利に、該シロキサンポリマー(1)は、Si結合酸塩化物を含有する有機ケイ素化合物を用いたアセトアセテートのアシル化を介して得られる。例えば、Si結合ウンデカン酸塩化物(R1=−C1020−)を含有するシロキサンポリマーをエチルアセトアセテート(CH3−C(=O)−CH2−C(=O)−O−CH2CH3)と反応(アシル化)させ、その後、熱的にCO2及びエタノールを分離する場合、式(II)[式中、R1=−C1020−、R3=H、R4=H及びR5=−CH3]の基B1を含有するシロキサンポリマーが得られる。
【0037】
式(III)の基B1を有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー(1)の製造法は、DE 1193504 A及びDE 1795563 Aに記載されている。ここで、アリルアセチルアセトンのヒドロシリル化が有利であり、その際、式(III)[式中、R1=−C36−、R3=H、R6=R7=−CH3]の基B1を含有するシロキサンポリマーが生じる。更に、有利な方法は、Si結合ハロゲン基、例えば−CH2Cl、−CH2Br、−C36Cl又は−C36Jを有するシロキサンポリマーによるアセチルアセトンのアルキル化である。
【0038】
式(IV)及び(V)の基B2を有するシロキサンポリマー(1)の製造法は、US 6,121,404 Aに記載されている。
【0039】
有利に式(IV)及び(V)中のYが酸素原子である場合、基R8は1以上の相互に別個の酸素原子を含有することができる。酸素原子を含有する基R8の例は、ポリエーテル基、例えば
−R10−(OC24e−(OC36f−(OC48h−OCi2i−(Y) (X)
[ここで、
10は、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2C(CH32−、又は−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−を表し、
−(Y)は、式(IV)及び(V)中のYへの結合であり、
ここで、
Yは、酸素原子であり、
e、f及びhは、それぞれ、0又は1〜100の整数を意味するが、
但し、総和e+f+h≧1であり、かつ
iは、2、3又は4である]
である。
【0040】
有利に、そのようなシロキサンポリマー(1)は、ヒドロシリル化反応においてα,ω−ジヒドロ有機ポリシロキサンとアリルポリエーテルとの反応による得られるシリコーンポリエーテルから製造される。該シリコーンポリエーテルは、ジケテン又はジケテン付加物と反応される。
【0041】
式(IV)及び(V)中のYが、式−(NR9−R’)z−NR2−の窒素含有基である場合、シロキサンポリマー(1)は、有利に、一般式
【化6】

[式中、
3は、そのために上記された意味を有し、有利に水素原子である]のジケテン(i)を、
一般式
−R8−(NR9−R’)z−NR22 (XI)
[式中、
8、R’、R2、R9及びzは、そのために上記された意味を有する]のSi結合基Aを1分子当たり少なくとも1つ含有する有機ケイ素化合物(ii)
と反応させることにより製造されるが、但し、式(XI)の基Aは少なくとも1の1級及び場合により少なくとも1の2級アミノ基、有利に少なくとも1の1級アミノ基を有するものとする。
【0042】
有利に、前記反応は、1級又は2級アミノ基とβ−ケトカルボニル化合物との反応を遅延又は阻害する有機化合物(iii)の存在下に行われる。有機化合物(iii)として、有利に、アミンと多少なりとも安定した付加物を生じる化合物が使用される。化合物(iii)の例は、アルデヒド及びケトンである。有利な例は、アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンである。
【0043】
有利な製造法において、第一工程において、有機ケイ素化合物(ii)を有機化合物(iii)と反応させ、その際、化合物(iii)は、式(XI)の基A中のアミノ基上に保護基を形成し、引き続き、第二工程において、第一工程において得られた、保護されたアミノ基を有する有機ケイ素化合物(ii)((ii)及び(iii)からの反応生成物)を、ジケテン(i)と反応させる。ジケテンとの反応の際に、保護基が再度式(XI)の基A中のアミノ基から分離する。
【0044】
式(XI)の基Aは、式−CH2−NR2−Hのα−アミノ基であってもよい。この場合、製造の際に、有機化合物(iii)の併用は有利でない。
【0045】
基Aの例は、
−CH2−NH2
−CH(CH3)−NH2
−C(CH32−NH2
−CH2CH2−NH2
−CH2CH2CH2−NH2
−CH2CH2CH2CH2−NH2
−CH2CH2CH(CH3)−NH2
−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CH2CH2−NH2
−CH2CH2CH2[−NH−CH2CH22−NH2
−CH2CH2C(CH32CH2−NH2
であり、その際、−CH2CH2CH2−NH2−及び−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2−NH2が有利である。
【0046】
従って、式(IV)及び(V)中のYが窒素含有基である場合の基B2の例は、
−CH2CH2CH2−NH(−Z)、
−CH2CH2CH2−NH1-x(−Z)x−CH2CH2−NH(−Z)であり、
その際、Zは、式
−C(=O)−CHR3−C(=O)−CH23、又は
−C(=O)−CR3=C(−OH)−CH23
の基であり、
3は、そのために上記された意味を有し、有利に水素原子であり、かつ
xは0又は1である。
【0047】
式(VI)及び(VII)の基B3を含有するシロキサンポリマー(1)は、例えば、マロンエステルとカルビノール官能性シロキサンとのエステル交換反応又はアミノシロキサンとのアミド化、ないし、ハロゲンアルキルシロキサンを用いたマロンエステルのCアルキル化により製造される。
【0048】
本発明による組成物の製造に使用される有機Si不含ポリアミン(2)の例は、エチレンイミンのポリマー、ビニルホルムアミドの加水分解又は部分加水分解されたポリマー、アンモニア及びジハロゲンエタンから製造されたエチレンジアミンの同族体及び還元されたポリニトリルであり、その際、エチレンイミンのポリマー及びビニルホルムアミドの加水分解されたポリマーは有利である。
【0049】
ポリアミン(2)は、有利に3〜約10000のアミノ基を含有しており、そのうち有利に2〜6000、有利に20〜約6000、特に有利に100〜6000は1級アミノ基である。ポリアミン(2)は、直鎖、分枝鎖又は環状構造を有することができ、その際、1級アミノ基は末端位又は側鎖位に配置されていてよい。ポリアミン(2)は、1級アミノ基の他に、2級及び/又は3級アミノ基をも含有することができる。しかしながら、2級アミノ基に対する1級アミノ基の比が有利に少なくとも2、有利に少なくとも5、特に有利に少なくとも20であるポリアミン(2)が有利である。
【0050】
ポリアミン(2)は、10〜26mEq/g、有利に13〜26mEq/gの範囲内のアミン基濃度を有する(mEq/g=物質1kg当たりの当量)。
【0051】
ポリアミン(2)は、シロキサンポリマー(1)及び場合により化合物(3)中の基B1モル当たり1級アミン基有利に0.1〜50モル、有利に0.5〜20モルの量で使用される。
【0052】
場合により反応に一緒に関与する有利にSi不含化合物(3)は、少なくとも1の1級アミノ基又は少なくとも1の基B、有利に少なくとも1の基Bを含有する。前記物質はその特質ゆえ反応性添加剤の機能を有し、かつコポリマー構造の構築にはほとんど寄与しないことが望ましいため、その官能性はむしろわずかであり:有利に、化合物(3)は1〜3の基B、有利に厳密に1の基Bを含有する。
【0053】
極性(親水性)構造、例えば、ポリエーテルアセトアセテート(エチレンオキシド及び/又はポリプロピレンオキシド−ポリマー、ポリ−THF)、ポリエステルアセトアセテート又はポリエーテルポリエステルアセトアセテートの化合物(3)は有利である。特に有利に、例えば、過剰成分としてシリコーンポリエーテルの製造及び後続のジケテンとの反応の際に生じ、かつすでにシロキサンポリマー(1)に含まれているような、式(IV)又は(V)[式中、Y=酸素である]の基B2を含有するポリエーテル−モノ−アセトアセテートが使用される。
【0054】
本発明による混合物の製造は、(1)及び(2)及び場合により(3)の混合により行われる。
【0055】
混合物は有利に10〜100℃、有利に20〜70℃の温度で反応される。混合物の製造及び反応は、有利に周囲雰囲気の圧力で、即ち約1020hPaで行われるが、しかしながら、より高いか又は低い圧力で行われてもよい。
【0056】
混合及び反応は、通常の技術、例えば低又は高剪断ミキサ、ロータ−ステータ−撹拌装置並びにアンカー型撹拌機又はブレード型撹拌機を有する撹拌機器を用いて行われる。
【0057】
反応の際に得られた反応生成物は、被覆、浸透、含浸に、又は極めて全般的に、閉塞したか又は多孔質の支持体の処理に使用することができる。
【0058】
本発明による組成物ないし該組成物から得られた反応生成物は、テキスタイル又はテキスタイル織物の処理に使用することができる。
【0059】
本発明による組成物ないし該組成物から得られた反応生成物は、該組成物ないし反応生成物を用いて処理されたテキスタイル又はテキスタイル織物が、従来技術により処理されたテキスタイル又はテキスタイル織物よりも、わずかな黄変しか示さないという利点を有する。
【0060】
成分(1)、(2)及び場合により(3)を含有する本発明による組成物ないし該組成物から得られた本発明による反応生成物は、該組成物ないし反応生成物と水との混合物が、使用された成分(1)及び場合により(3)と水との混合物よりも安定であるという利点を有する。
【0061】
該組成物ないし反応生成物の製造のために、有機溶剤を併用することができる。有機溶剤の例は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。有機溶剤は、本発明による組成物100質量部に対して1〜100質量部の量で使用することができる。
【0062】
本発明による組成物ないし反応生成物の製造の際に、水を併用することができる。その場合には、有利に、水溶液、水性エマルション、水性分散液又は水性マイクロエマルションを得ることができる。水は、本発明による組成物ないし反応生成物100質量部に対して0.1〜10000質量部の量で使用することができる。
【0063】
水溶液又は水性エマルションにおいて、アミン基は、該組成物ないし反応生成物中に、酸、例えば酢酸の添加によりプロトン化されることができる。
【0064】
本発明による方法は、非連続的に、半連続的に、又は完全に連続的に実施することができる。
【実施例】
【0065】
実施例1:
a)2L三ッ口フラスコ中で、窒素下に、1.93mEq/gのアリル含分を有するアリルポリエチレンオキシド440g、シクロヘキセンオキシド0.47g及び0.054%のSi結合水素を有するα,ω−二水素ジメチルポリシロキサン1123gを強力に撹拌する。混濁した混合物を87℃に加熱し、ヒドロシリル化反応を、イソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸の1%溶液1.63gを添加することにより開始する。発熱反応の際、フラスコ内容物が約5分間澄明になる。100℃で更に1時間が経過した後、バッチは3ppm未満のSi−H基を含有しており、これは99%超の変換率に相当する。
【0066】
50℃に冷却し、5滴のトリエチルアミンを添加し、30分以内に全部で71.3gのジケテンを、なおも暖かいバッチに供給する。次いで、内部温度が74℃にゆっくりと上昇する。70℃で更に2時間が経過した後、ジケテンはもはや検出不可能である。わずかに褐色を帯びた生成物混合物は、0.518mEqアセトアセテート/gの濃度を有する。
【0067】
b)前記のシリコーンポリエーテルアセトアセテート200gを、24.7mEq/gのアミン濃度を有する未希釈の直鎖ポリエチレンイミン21.9gと共に55℃に加熱する。粘度の増加の際に、第一の混濁した混合物は数分後に均一に澄明となる。反応混合物を70℃で30分間完全に反応させ、その間に高粘度となる生成物をジエチレングリコールモノブチルエーテル55.5gで希釈する。粘度4870mm2/s(25℃)の澄明な80%ポリマー溶液が得られる。ポリマー溶液は1.93mEq/gの全塩基度を有する。
【0068】
溶液80gを酢酸(99.5%)7.6gでプロトン化し、水120gに撹拌混入する。ヘラを用いた軽度の剪断下に、わずかに黄色がかった微細粒の水性エマルションが得られる。
【0069】
対照試料として、実施例1のa)で製造した、アセトアセテート基を有するシロキサンポリマーの80%溶液(ジエチレングリコールモノブチルエーテル中)80gを、水120gに撹拌混入する。強度に混濁し、2相に分離した混合物が得られる。80%溶液の先行する酸処理を伴う同一の試験により、同一の結果が得られる。
【0070】
実施例1のb)によるβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーとポリアミンとからの反応生成物が水溶性であるのに対し、使用されたβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマーは非水溶性である。
【0071】
実施例2
a)実施例1と同様に、同一のα,ω−二水素−ジメチルポリシロキサン1206g、及び、アリル基含分0.65mEq/gを有する式CH2=CH−CH2O(C24O)20(C36O)10.4Hのアリルポリエーテル2000gから、シリコーンポリエーテル3.2kgを製造する。10滴のトリエチルアミンを添加した後、60〜70℃の温度範囲内で1時間以内に全部で110gのジケテンを供給する。IRスペクトルにおいてもはやジケテンが検出不可能となるまで、同じ温度で更に2時間、完全に反応させる。生成物混合物は、アセトアセテート濃度0.393mEq/g及び25℃で粘度4180mm2/sの粘度を有する。
【0072】
b)前記シリコーンポリエーテルアセトアセテート200gを水314gで希釈し、均質化する。これに、25℃で、アミン濃度25.8mEq/gのペンタエチレンヘキサミン9.3gを供給し、十分に撹拌混入する。それに対して、わずかに発熱反応が生じる。40℃への加熱後、更に1時間が経過した後に0.46mEq/gの全塩基度を有するわずかに黄色がかったエマルションが得られるまで、粘度は明らかに増加する。1.1質量%の酢酸で部分プロトン化されたポリアミノシリコーンポリエーテルエマルションを、任意に、完全脱塩水で希釈することができる。
【0073】
実施例3
実施例2のa)で製造された、0.393mEq/gのアセトアセテート濃度を有するシリコーンポリエーテルアセタート54gを、水126g中に溶解させ、40℃に加熱する。これに、23.4mEq/gのアミン濃度を有する平均分子量約800ダルトンのポリエチレンイミン(Lupasol(R) FG, BASF)の30%水溶液20gを供給する。弱い発熱反応及び粘度上昇下に、約0.70mEq/gの全塩基度を有するわずかに混濁した褐色を帯びたポリアミノシリコーンポリエーテル溶液が得られ、該溶液は、完全脱塩水で任意に希釈可能である。
【0074】
実施例4
アセトアセテート官能性シロキサンポリマーとポリアミン化合物とのもう1つの組合せにおいて、実施例2のa)で製造されたシリコーンポリエーテルアセトアセテート54gを水216gで希釈し、40℃に加熱する。前記溶液において、アミン濃度19mEq/gを有するポリビニルアミン水溶液(Lupamin 1595, 30%, BASF)20gを、半量の水で希釈し、遅滞なく撹拌混入する。わずかな温度上昇の際に、粘度が著しく増加する。約0.38mEq/gの全塩基度を有する安定なマクロエマルションが得られ、該マクロエマルションは完全脱塩水で任意に希釈可能である。
【0075】
黄変傾向の測定を、Minolta社製Chromameterにより行う。このために、綿ニット品に、フラールに接して、約85%の液剤を吸収させる。液剤は、20%のエマルションを25倍量の完全脱塩水で希釈して製造したものである。乾燥を150℃で3分間、引き続き180℃で2分間行う。結果を表にまとめた。
【0076】
US 6,121,404による比較試験1:
US 6,121,404からの実施例1と同様に、平均分子量Mn=518ダルトンのアリルエトキシラート1450gと、活性水素含分0.21%を有するα,ω−二水素−ジメチルポリシロキサン950gとを、シクロヘキセンオキシド0.72gの共作用下にヒドロシリル化することにより、水溶性の直鎖シリコーンポリエーテルを製造する。引き続き、70℃でトリエチルアミン0.3gの触媒下でジケテン230gと反応させることにより、1.05mEq/gのβ−ケトエステル含分を有する澄明なシリコーンポリエーテルアセトアセテートが生じる。従って、水中の前記コポリマーの10%溶液は、0.105mEq/gのβ−ケトエステル含分を有する。
【0077】
前記の10%シリコーンポリエーテルアセトアセテート溶液100gを、同量の慣用の、0.105mEq/gの1級アミノ基の含分を有するアミノシリコーン油エマルションと混合する。アミノシリコーンとして、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキシ−及びジメチルシロキシ単位からなるコポリマーを使用し、その際、前記コポリマーは、ヒドロキシ−及びメトキシ基を末端に有し、かつ1560mm2/s(25℃)の粘度を有する。前記混合物は、0.105mEq/gの全塩基度及び約20%の作用物質割合(シリコーンポリエーテルアセトアセテート+アミノシリコーン油)を有する。
【0078】
黄変傾向の測定を、実施例4に記載されているように、Minolta社製Chromameterにより行う。このために、綿ニット品に、フラールに接して、約85%の液剤を吸収させる。液剤は、20%の混合物を25倍量の完全脱塩水で希釈することにより製造したものである。乾燥を150℃で3分間、引き続き180℃で2分間行う。結果を表にまとめた。
【0079】
比較試験2:
実施例4の処理様式を繰り返したが、但し、ポリビニルアミン水溶液の代わりに、比較試験1からの慣用のアミノシリコーン油エマルション600gを使用する。更に300gの水で、前記混合物を作用物質含分が20%となるように調節する。前記混合物は0.108mEq/gの全塩基度を有する。
【0080】
黄変傾向の測定を、実施例4に記載されているように、Minolta社製Chromameterにより行う。このために、綿ニット品に、フラールに接して、約85%の液剤を吸収させる。液剤は、20%のエマルションを25倍量の完全脱塩水で希釈することにより製造したものである。乾燥を150℃で3分間、引き続き180℃で2分間行う。結果を表にまとめた。
【0081】
表:L a b表色系での黄変値(3回の測定からの平均):
実施例4: b= +1.35
比較試験1: b= +2.75
比較試験2: b= +2.82
ブラインド値:b= +1.27
値bが大きいほど黄変が強い。比較試験1及び2は、慣用のアミノシリコーン油をベースに仕上げ加工された綿が、実施例4による本発明による混合物で仕上げ加工された綿よりもはるかに強度の黄変を示すことを明確に表している。このことは、本発明による液剤が3倍を超える塩基性窒素を含有し、かつこれを専ら1級アミンとしてのみ含有するが、これは従来の観点によれば綿に対するアミン可塑剤の黄変の主要因であると見なされるだけに、より一層驚異的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下
(1)少なくとも1の一般式
【化1】

[式中、
3は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、有利に水素原子を表す]の3価の基Bを含有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー、
(2)少なくとも3のアミノ基を含有し、前記アミノ基のうち少なくとも2は1級アミノ基である、有機Si不含ポリアミン、
及び場合により
(3)少なくとも1の一般式(I)の基B又は少なくとも1の1級アミノ基を含有する、ケイ素不含化合物
を含有する組成物。
【請求項2】
シロキサンポリマー(1)中の基Bとして、一般式
【化2】

[式中、
1は、末端位置以外に、酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる、1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
3は、請求項1でそのために記載された意味を有し、
4は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、有利に水素原子であり、かつ、
5、R6及びR7は、それぞれ、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基を表す]の群から選択されたSiC結合基B1が使用されている、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
シロキサンポリマー(1)中の基Bとして、一般式
−R8−Y−C(=O)−CHR3−C(=O)−CH23 (IV) 及び
−R8−Y−C(=O)−CR3=C(−OH)−CH23 (V)
[式中、
Yは、酸素原子又は式−(NR9−R’)z−NR2−の基、有利に酸素原子を表し、
ここで、
R’は、1〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基、有利に1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
2は、水素原子又は1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、有利に水素原子を表し、
3は、請求項1でそのために記載された意味を有し、
8は、酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1以上の相互に別個の酸素原子を含有することができる1〜120個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表し、
9は、R2又は式−C(=O)−CHR3−C(=O)−CH23又は−C(=O)−CR3=C(−OH)−CH23の基を表し、
zは、0又は1〜10の整数、有利に0、1又は2である]の群から選択されたSiC結合基B2が使用されている、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
式(IV)及び(V)において、
Yは、酸素原子であり、かつ
8は、一般式
−R10−(OC24e−(OC36f−(OC48h−OCi2i−(Y) (X)
[式中、
10は、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、
−(Y)は、式(IV)及び(V)中のYへの結合であり、
ここで、
Yは、酸素原子であり、
e、f及びhは、それぞれ、0又は1〜100の整数を意味するが、
但し、総和e+f+h≧1であり、かつ
iは、2、3又は4である]のポリエーテル基である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
シロキサンポリマー(1)中の基Bとして、一般式
【化3】

[式中、
3及びR4は、請求項1でそのために記載された意味を有し、
11は、2価の有機基、有利に酸素、硫黄及び窒素の群から選択されたヘテロ原子を含有することができる1〜200個の炭素原子を有する2価の有機基、有利に1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
12、R13及びR14は、R5、R6及びR7の意味を有し、かつ、
5、R6及びR7は、請求項2でそのために記載された意味を有する]の群から選択されたSiC結合基B3が使用されている、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
シロキサンポリマー(1)として、一般式
g3-gSiO(SiR2O)l(SiRXO)kSiR3-gg (IXa) 及び
(R15O)R2SiO(SiR2O)n(SiRXO)mSiR2(OR15) (IXb)
[式中、
Xは、基Bを含有する有機基を表し、有利にSiC結合基B1、B2又はB3であり、
ここで、B、B1、B2及びB3は、そのために上記された意味を有し、
Rは、1価の、場合により置換された、1つの基につき1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
15は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、有利に水素原子又はメチル基又はエチル基を表し、
gは、0又は1であり、
kは、0又は1〜30の整数であり、かつ
lは、0又は1〜1000の整数であり、
mは、1〜30の整数であり、かつ
nは、0又は1〜1000の整数であるが、
但し、1分子当たり平均で少なくとも1の基Xが含有されている]の群から選択された有機ポリシロキサンが使用されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
基Xが、請求項3及び4記載のSiC結合基B2である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
成分(1)、(2)及び場合により(3)を含有する組成物と水との混合物が、使用された成分(1)及び場合により(3)と水との混合物よりも安定である、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
有機Si不含ポリアミン(2)として、10〜26mEq/g(mEq/g=物質1g当たりのミリ当量)、有利に13〜26mEq/gの範囲内のアミン基濃度を有する有機Si不含ポリアミンを使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
以下
(1)少なくとも1の一般式
【化4】

[式中、
3は、水素原子又は1〜30個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、有利に水素原子を表す]の3価の基Bを含有するβ−ケトカルボニル官能性シロキサンポリマー、
(2)少なくとも3のアミノ基を含有し、前記アミノ基のうち少なくとも2は1級アミノ基である、有機Si不含ポリアミン、
及び場合により
(3)少なくとも1の一般式(I)の基B又は少なくとも1の1級アミノ基を含有する、ケイ素不含化合物
を含有する混合物を製造することによる、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物の製造法。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項記載の、又は請求項10記載の方法により製造された組成物を反応させることにより製造可能である、反応生成物。
【請求項12】
成分(1)、(2)及び場合により(3)から得られた反応生成物と水との混合物が、使用された成分(1)及び場合により(3)と水との混合物よりも安定である、請求項11記載の反応生成物。

【公表番号】特表2010−501695(P2010−501695A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526023(P2009−526023)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058143
【国際公開番号】WO2008/022907
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】