説明

いびき症の予防または治療のための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物、及びこれを含む口腔用製品

【課題】本発明は、本発明は、いびき音の発生の原因となる軟口蓋に直接的に働きかけ、長時間効果を持続させることができると共に、安全性が高く使用感に優れるいびき症の予防または治療用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、活性成分としてグリセリンを含む、いびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物を提供するものである。このような組成物によりいびきの予防または治療効果を有する口腔用液状剤や可食性フィルムを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟口蓋を保湿、湿潤させることによっていびきを予防または治療することが可能な組成物、およびこの組成物を含む口腔用スプレー、可食性フィルム等をはじめとする口腔用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
いびきは、軟口蓋の異常振動から生じる音である。一般的に、睡眠中は骨格筋の緊張が弛み、上気道が閉塞されやすくなっているが、この様な現象に加えて呼吸抵抗の高い口呼吸を行うと、呼吸時に気道の陰圧がより高くなり、更に、口呼吸により舌根が沈下し呼吸抵抗が増加するので、閉塞した気道粘膜と吸気によって振動音や摩擦音が発生するのである。
【0003】
いびきには、睡眠無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)等の深刻な疾患による重症度の高いいびき症によるものと、いびき音の発生だけが問題となる単純性いびき症によるものがある。重症度の高いいびき症は、その原因を検索し、上気道狭窄が原因でその狭窄が高度であれば手術的治療(扁桃摘出術、鼻中隔矯正術、口蓋扁桃形成術等)の対象とされる。
【0004】
一方、単純性いびき症に対しては鼻粘膜血管収縮剤や鼻粘膜湿潤剤などの点鼻薬による治療が行なわれている。しかし、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなどの粘膜血管収縮剤を有効成分とする点鼻薬は、長期連用によって薬剤依存性を生じる場合があり、さらに鼻粘膜の肥厚がおこり肥厚性鼻炎の原因となることもある。また、過敏症、徐脈、頭痛、血圧上昇などの副作用も生じうるとされる。
【0005】
一方、グリセリンなどの鼻粘膜湿潤剤を有効成分とする点鼻薬もあるが、粘膜に刺激を与えて炎症を惹起するのを防ぐため、一般にグリセリンを0.3重量%以下の低濃度しか添加することができない。この濃度では、鼻粘膜に接触している時間が短く、粘膜自体を潤すためには夜間に何度も使用しなければならいなど利便性に欠ける。また、これらの製品は鼻出血を惹起し易いものがあり、場合によっては深刻な問題を発症するリスクを生じる。また、鼻呼吸障害の除去によるいびきの抑制方法は、いびき発生の要因である口呼吸防止の観点からも十分な効果が得られるものではなかった。
【0006】
さらに、いびきは慢性的に生じる場合が多いので、その予防剤や治療剤としては、長期間、高頻度に使用しても副作用が表れないよう食品として認められる安全な成分のみで構成されていることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、いびき音の発生の原因となる軟口蓋に直接的に働きかけ、長時間効果を持続させることができると共に、安全性が高く使用感に優れるいびき症の予防または治療用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みて検討を重ねた結果、本発明者らは、保湿性の高いグリセリンを活性成分とする口腔用スプレーや可食性フィルムにより、軟口蓋を長時間にわたり直接保湿・湿潤させて呼吸抵抗を減少させ、閉塞した気道粘膜と吸気によって生じる振動音や摩擦音であるいびきを軽減させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、〔1〕活性成分としてグリセリンを含む、いびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物;〔2〕少なくとも1重量%のグリセリンを含む、上記〔1〕に記載の組成物;〔3〕さらに、保湿剤として機能する成分を少なくとも一種類含む、上記〔1〕または〔2〕に記載の組成物;〔4〕前記保湿剤として機能する成分が、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キチン、キトサン、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、コラーゲン、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種である、である、上記〔3〕に記載の組成物;〔5〕前記グリセリンと前記保湿剤を合計で少なくとも10重量%含む、上記〔3〕または〔4〕に記載の組成物;〔6〕可塑剤として機能する成分を少なくとも一種類含む、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の組成物;〔7〕さらに、オイルを含むことを特徴とする、上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の組成物;〔8〕さらに、脂肪酸を含むことを特徴とする、上記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の組成物;〔9〕上記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の組成物を含む、口腔用液状剤;〔10〕上記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の組成物を含む、可食性フィルム;〔11〕上記〔10〕に記載の可食性フィルムを一層として含む、いびき症を予防または治療するための多層構造可食性フィルム;および、〔12〕口腔上壁に貼付して使用される、上記〔10〕または〔11〕に記載の可食性フィルム、に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るいびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用組成物またはフィルム状剤用組成物は、グリセリンを初めとする保湿性物質を十分に含み、口腔内に適用すると当該保湿性物質を徐放的に溶出させるので、軟口蓋を長時間保湿・湿潤させ、閉塞した気道と吸気によって生じる振動音や摩擦音であるいびきを軽減させることができる。
【0011】
また、本発明に係るいびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物は、食品として認められない成分を含まないので、長期間安全に且つ高頻度に使用することができ、いびき防止剤として望ましい性質を備えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を具体的に説明する。
【0013】
本発明に係るいびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物(以下、併せて「本発明の組成物」という)は、活性成分としてグリセリンを含む。ここで、「活性成分としてグリセリンを含む」とは、グリセリンがいびき症を予防または治療するための活性成分として機能するために十分な量含まれていること、即ち、グリセリンが、軟口蓋を長時間にわたり直接保湿・湿潤させて呼吸抵抗を減少させ、閉塞した気道粘膜と吸気によって生じる振動音や摩擦音であるいびきを軽減させる程度に十分な量含まれていることを意味する。
【0014】
本発明の組成物は、少なくとも1重量%のグリセリンを含むことが好ましい。グリセリンはこれまでのいびき予防用医薬品等にも、流動性を高める添加剤として添加されていることがあるが、0.02〜0.3%程度の微量であり、この量で軟口蓋を保湿・湿潤させる効果は得られない。口腔内、特に軟口蓋に保湿性・湿潤性を付与し、いびき症の予防または治療剤の活性成分としての効果を発揮するためには、グリセリンが少なくとも1重量%以上であることが望ましい。好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、最も好ましくは20重量%以上である。
【0015】
また、本発明の組成物は、グリセリンに加えて、保湿剤として機能する成分を少なくとも一種類含むことが好ましい。このような構成により、口腔内、特に軟口蓋に保湿性・湿潤性を付与する効果がより高くなり、一層いびき症の予防・治療効果を高めることができる。
【0016】
本発明の組成物に加える保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キチン、キトサン等のグリコサミノグリカン、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール、コラーゲン、ポリエチレングリコール等の高分子化合物等が挙げられる。
【0017】
また、本発明の組成物には、グリセリンとグリセリン以外の保湿剤が合計で少なくとも10重量%以上含まれていることが好ましい。好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。このような構成によっても、口腔内、特に軟口蓋に保湿性・湿潤性を付与する効果がより高くなり、一層いびき症の予防・治療効果を高めることができる。
【0018】
また、本発明の組成物は、グリセリンに加え、可塑剤として機能する成分を少なくとも一種類含むことも好ましい。可塑剤は、本発明の組成物で可食性フィルムを製造する場合に柔軟性を与えるために添加される。本発明の組成物においては、可塑剤としても保湿剤として機能する物質を用いることが好ましく、この点で、グリコサミノグリカンや糖アルコールが好適である。
【0019】
本発明の組成物は、さらにオイルを含むことが好ましい。オイルを添加することにより、口腔内に与える保湿性・湿潤性をさらに高めることができる。オイルの種類は、可食性である限り特に限定されず、例えば、オリーブオイル、グレープシードオイル、トコフェロール類、コーンオイル、ピーナッツオイル、大豆油、ヒマワリ油、スクワラン等を用いることができる。
【0020】
また、本発明の組成物は、さらに脂肪酸類を含むことが好ましい。脂肪酸類を加えることによっても、口腔内に与える保湿性・湿潤性をさらに高めることができる。脂肪酸類としては、炭素数6〜24の脂肪酸、その塩あるいはエステル類、例えばカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコセン酸、その塩、エステル類あるいはこれら2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数8〜18の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸などの炭素数16〜22の不飽和脂肪酸、その塩、エステル類あるいはこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらの脂肪酸は、例えば、天然物オイルから単離精製、あるいは合成することによって得ることができる。中でも合成品は、天然臭がなく、安価であることから、好適に用いられる。
【0021】
本発明の組成物は、可食性フィルムは、さらに、フィルム形成剤、甘味料、酸味料、香料、着色料、乳化剤、安定剤、防腐剤等を含んでいてもよい。また、本発明の組成物を可食性フィルムに用いる場合には、フィルム形成剤等を含んでいてもよい。
【0022】
フィルム形成剤としては、可食性水溶性高分子物質を用いることができ、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、水溶性エチルセルロース、水溶性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グルコマンナン、デンプン等が挙げられる。
【0023】
甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、砂糖、果糖、グルコース、スクラロース、キシロース、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどを用いることができる。
【0024】
酸味料としては、例えば、乳酸、クエン酸、フマル酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、フマル酸ナトリウム、フィチン酸などを用いることができる。
【0025】
その他、香料、着色料、乳化剤、安定剤、防腐剤等の添加剤は、必要に応じて、公知の物質を適宜選択して用いることができる。
【0026】
特に、香料として、ペパーミント、メントール、シネオール、シトラール、シトロネラール等を添加することが好ましい。ペパーミント、メントールなどの清涼剤は鼻詰まりを抑え、また鼻呼吸を促す作用が得られ、シネオール、シトラール、シトロネラールなどの精油はリラックス効果が得られるため、本発明の組成物によるいびきの予防・治療効果を向上させることができる。
【0027】
本発明の組成物は、食品として認められる成分だけで、十分な効果を得られるので、長期間安全に高頻度に使用することができるが、必要に応じて、医薬品成分を添加してもよい。このような成分としては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等を含むことも好ましい。
【0028】
また、本発明の組成物には高甘味度甘味料を添加することも好ましい。高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。高甘味度甘味料を添加することによって、低カロリーで十分な甘味度を得ることができる。
【0029】
また、本発明は、本発明の組成物を含む口腔用液状剤を提供する。上述のように、本発明の組成物は、食品として認められない成分を含まないので、口腔用に適する。口腔用液状剤としては、例えば、口腔用スプレー、口腔用塗布液、口腔用ジェル、口腔用クリーム等が挙げられるが、これらに限定されない。上述した本発明に係る組成物を含む限り、いずれの形態によっても、就寝前等に簡便に口腔内に適用することにより、軟口蓋を長時間保湿・湿潤させ、閉塞した気道と吸気によって生じる振動音や摩擦音であるいびきを軽減させることができる。
【0030】
このような口腔用液状剤は、公知の口腔溶液錠剤の製造方法またはそれに順ずる方法に従って、本発明の組成物に精製水を加えて粘度を調整し、防腐剤等必要な添加物を加えるなどの工程を行うことにより製造することができる。
【0031】
さらに、本発明は、本発明の組成物を含む可食性フィルムをも提供する。本発明の可食性フィルムは、口腔上壁の粘膜に違和感なく容易に付着することができるので、睡眠を妨げることがない。また、口腔上壁に貼付すると、グリセリンをはじめとする保湿性成分を徐放的に溶出させるので、軟口蓋を長時間保湿・湿潤させ、閉塞した気道と吸気によって生じる振動音や摩擦音であるいびきを軽減させることができる。さらに、本発明の可食性フィルムは、食品として認められない成分を含まないので、長時間口腔内に残存しても安全である。
【0032】
本発明はさらに、いびき症を予防または治療するための多層構造可食性フィルムをも提供する。本発明の多層構造可食性フィルムの少なくとも一層は、上述した本発明の組成物を含む可食性フィルムである。その他の層には他の機能を付与することが可能であり、例えば、耐摩擦性、難接着性、難溶性、呈味性、他の薬効性、安定性等の機能を有する層を適宜選択することができる。本発明のいびき防止用可食性フィルムは、グリセリンを多く含むために吸湿性が高いことから、デンプン等の吸湿性の低い材料を含む層を積層し、製品の安定性や保存性を高めることが好ましい。
【0033】
本発明の可食性フィルムは、公知の可食性フィルムの製造方法またはそれに順ずる方法に従って製造することができる。例えば、グリセリン、保湿剤、可塑剤、オイル、フィルム形成剤その他の添加剤を含む本発明の組成物を調製し、必要に応じて脱泡した後、当該混合物をスプレーやコーターによって基体上に塗布し、加熱乾燥させ、適当な大きさに切断することによって、製造することが可能である。
【0034】
フィルムの厚さは20μm〜200μm、好ましくは100μm〜150μmであり、大きさは20mm×30mm程度に切断することが好ましい。このような大きさ及び厚さとすることにより、口腔内に貼付しても違和感なく、睡眠が妨げられるのを防ぐことができる。
【0035】
多層構造の可食性フィルムは、既に形成された層に、印刷、コーティング、箔押し、蒸着、塗布、吹きつけ等の方法で層を重ねて形成することによって製造することができる。
【0036】
本発明の可食性フィルムは、例えば就寝時に、口腔上壁、すなわち口蓋に貼付して用いられる。口蓋に貼付されたフィルムからは、徐放的に長時間かけてグリセリン、保湿剤、可塑剤、オイル等が溶出され、軟口蓋を保湿、湿潤させることによって呼吸抵抗を減少させ、いびきを軽減させる。
【実施例】
【0037】
(可食性フィルムの製造)
表1に示す処方でいびき症の予防・治療用可食性フィルムを調製した。製造方法の概略を図1に示す。保湿剤としてヒアルロン酸ナトリウムを、オイルとしてオリーブオイル、グレープシードオイル、及びdl-α-酢酸トコフェロールを、香料としてペパーミントフレーバーを添加した。
【0038】
【表1】

表1に示す材料のうち、グリセリン、結晶セルロース、アルギン酸ナトリウムを水またはエタノールに撹拌溶解した。この溶液に脱泡処理を行った後、香料その他の成分を含む調液を加えさらに混合し、本発明の組成物を調製した。
【0039】
続いて、得られた組成物をコーターによって、ポリエチレンテレフタラートまたはポリプロピレン等のプラスチックフィルムの基板上に展延し、1時間以上温風を当てて静置し、乾燥させてフィルムを得た。
(いびき軽減効果の試験)
続いて、得られた可食性フィルムによるいびき軽減の有効性を調査するため、次の条件を満たす男女9人(33歳〜68歳)を被験者として試験を行った。
【0040】
(1)ほぼ毎日、他人を妨害するのに充分に騒々しくいびきをかく。
【0041】
(2)被験者のパートナーは効果を評価する者で、かつ一緒に規則的に睡眠をとる者である。
【0042】
(3)肥満体質(体重が100kg以上)でない。
【0043】
(4)手術による治療法しか改善が望めない、例えば極度の狭窄咽頭のごとき器官障害を有しない。
【0044】
被験者は就寝直前に口腔上壁、すなわち口蓋に上記フィルムを貼付した後、本剤の溶解速度を速めたり、あるいは本剤を剥離させないように一切飲食をしないで就寝した。これを各被験者がそれぞれ任意に2〜5日実施した。
【0045】
パートナーは各日の翌朝、就寝中のいびきの有無を、著効(いびきが聞かれないもしくは寝息程度)、有効(いびきが少し減少した)、無効(全然減少しない)の3段階で評価し、期間中最も多い評価をその被験者の評価とした。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

被験者の全員において、著効または有効の結果が得られた。「有効」の中には、飲酒により「著効」しなかったと考えられるケースも含まれる。
【0047】
次に、本発明の可食性フィルムの溶解性を試験するため、上記フィルムを男女12人(20〜68歳)の口腔内上顎に貼付した後、完全に溶解するまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

多くの被験者において、本発明の可食性フィルムが完全に溶解するまでに20〜30分以上要することがわかり、十分な徐放性を得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の可食性フィルムの製造工程の一例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてグリセリンを含む、いびき症を予防または治療するための口腔用液状剤用またはフィルム状剤用組成物。
【請求項2】
少なくとも1重量%のグリセリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、保湿剤として機能する成分を少なくとも一種類含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記保湿剤として機能する成分が、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キチン、キトサン、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、コラーゲン、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種である、である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記グリセリンと前記保湿剤を合計で少なくとも10重量%含む、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
可塑剤として機能する成分を少なくとも一種類含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、オイルを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、脂肪酸を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物を含む、口腔用液状剤。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物を含む、可食性フィルム。
【請求項11】
請求項10に記載の可食性フィルムを一層として含む、いびき症を予防または治療するための多層構造可食性フィルム。
【請求項12】
口腔上壁に貼付して使用される、請求項10または11に記載の可食性フィルム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−189568(P2008−189568A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23763(P2007−23763)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(505475714)セティ株式会社 (2)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)
【Fターム(参考)】