説明

すのこ

【課題】 釘を使用しない構成で廃棄処分が容易であり、天板が交換可能で所望の長さに調整できるすのこを提供することである。
【解決手段】 複数の略四角形状の天板2が互いに間隙をあけて並置される天板部3と、この天板部3の一の端部を固定する第1の固定部4と、天板部3の他の端部を固定する第2の固定部8を有するすのこであって、第1の固定部4は、天板部3の一の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第1の台脚部5と、この第1の台脚部5に載上される第1の蓋部6と、第1の台脚部5と第1の蓋部6を固定する固定部材7aとを備え、第2の固定部8は、天板部3の他の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第2の台脚部9と、この第2の台脚部9に載上される第2の蓋部10と、第2の台脚部9と第2の蓋部10を固定する固定部材7bとを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂や土間、押入れあるいは建物間の渡り廊下等において使用するすのこに関し、特に、釘を用いない組立式のすのこに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、すのこは、木板や竹等の木材を間隔をあけて複数並べて天板とし、台脚となる横板に固定されるものであり、通気性を良くする目的で、浴室や押入れ等において使用される。近年では、木材に代わってプラスチック材料を用いて釘を使用せずに作製されるものもあるが、木製のものでは、釘打ちによって作製されたものが主流であり、浴室や流し等の水場で使用すると、次第に釘の錆びが発生し、続いて錆びた釘の周囲の木材が腐食してゆき、天板の一部が抜け落ちたり、釘の頭部が突出したりするので安全面において問題を抱えている。また、不用となったすのこを処分する際には、金属製の釘と木製の天板や台脚を分別することが好ましいが、この分別作業は極めて煩雑なものであるといえる。さらに、市販のすのこでは数種類のサイズが展開されているものの、使用者の使用目的に適したサイズに調整することが困難であった。そこで、すのこやすのこに構造が似た運搬に用いられるパレットにおいて、安全性や利便性の向上を目的として様々な構造が考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「風呂場用すのこ」という名称で、天板が腐り難く着脱可能な風呂場用すのこに関する考案が開示されている。
この特許文献1に開示された考案は、塩化ビニール被膜した鉄パイプから構成され底部に台を備える枠組みと、この枠組みに嵌脱可能なジョイントが設置された複数の天板とから構成されている。
そして、枠組みに天板のジョイントを嵌め込むことによってすのこが形成され、このすのこでは、天板と枠組みが接触しないので水に濡れた天板部分の乾きが早く、天板が腐り難くなっている。また、天板が着脱自在であるので、傷んだ天板のみを交換することができ、さらに、すのこを設置する床面の清掃では、すのこ全体を移動することなく、清掃箇所のみの天板を外すことによって簡単に行うことができる。また、枠組みの底部に設置される台によって床面との間に隙間が形成され水はけが良好になっている。
【0004】
また、特許文献2には、「すのこ」という名称で、長さ方向のサイズの調整が可能なすのこに関する考案が開示されている。
この特許文献2に開示された考案は、複数の台脚と、この複数の台脚に直交するように配置され、長手方向の一端部又は両端部に嵌合部が形成される複数の天板から構成されている。
このすのこでは、天板の嵌合部において他のすのこと直列に連結することが可能であるので、長手方向のサイズを使用スペースに合わせて調整することができる。また、コンパクトな形態であるので輸送や店頭陳列において支障をきたさないという利点を有している。そして、すのこ同士の嵌合部分の下面に台脚を配置させることもでき、接合部においても荷重に耐えうる構造になっている。
【0005】
そして、特許文献3には、「木製パレット及びその製造方法」という名称で、木質の軟らかい材料を用い、釘を使用しないで廃棄時のリサイクル処理を効率的に行うことができる木製パレット及びその製造方法に関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、並設される所有数のデッキ部材と、これらのデッキ部材を連結する連結部材とを備え、デッキ部材の下側には差込部が形成され、また、デッキ部材と連結部材の接合部には複数のダボ穴が刻設されてこれらのダボ穴にダボを接着してデッキ部材と連結部材を接合するものである。
デッキ部と連結部材のダボを用いた接合は、釘による接合に比べて接合部が緩んだり外れたりしにくく、接合部の強度が保持されるので、木質の軟らかいスギの間伐材を材料に使用することができる。また、従来品のように釘を用いていないので、廃材をリサイクル処理する場合に釘を除去する手間が省け、解体後の部材をそのままチッパーにかけて細片化でき効率的な作業となる。
【特許文献1】実開平6−72487号公報
【特許文献2】実登3023151号公報
【特許文献3】特開2002−332041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、傷んだ天板のみの交換が可能であるが、背面には枠体に嵌合するためのジョイントが設置されており、天板の廃棄時には、板材とジョイントに分別する必要があり、この分別作業は煩雑であるという課題があった。また、天板の大きさについては何ら言及されておらず、使用者が好みの大きさに調整することができないという課題もあった。
【0007】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、複数のすのこを組み合わせて長手方向の長さを変更しているが、変更できる長さはすのこのサイズに依存し、長さの設定においては厳密には細かい微調整を行うことができないという課題があった。
【0008】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、確かに釘を使用しないので廃材時のリサイクル作業では釘を除去する作業が不要で効率的なものとなるが、パレットのサイズを変更したり、傷んだデッキ材のみを交換したりすることはできないという課題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、釘を使用しない構成で廃棄処分が容易であり、天板が交換可能でしかも所望の長さに調整できるすのこを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるすのこは、複数の略四角形状の天板が互いに間隙をあけて並置される天板部と、この天板部の一の端部を固定する第1の固定部と、天板部の他の端部を固定する第2の固定部を有するすのこであって、第1の固定部は、天板部の一の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第1の台脚部と、この第1の台脚部に載上される第1の蓋部と、第1の台脚部と第1の蓋部を固定する固定部材とを備え、第2の固定部は、天板部の他の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第2の台脚部と、この第2の台脚部に載上される第2の蓋部と、第2の台脚部と第2の蓋部を固定する固定部材とを備えるものである。
上記構成のすのこでは、第1の固定部は、天板部の一の端部を第1の台脚部の溝部に保持して第1の蓋部を被せて固定部材で固定し、第2の固定部は、天板部の他の端部を第2の台脚部の溝部に保持して第2の蓋部を被せて固定部材で固定するように作用し、また、第1の固定部及び第2の固定部は、敷設される床面と天板部との間に空間を形成するように作用する。そして、第1の固定部及び第2の固定部は、天板部の固定を解除することによって、天板部を構成する複数の天板を第1の固定部及び第2の固定部から離脱するように作用する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明であるすのこは、請求項1に記載のすのこにおいて、天板部の略中央を固定する第3の固定部を有し、この第3の固定部は、天板部の略中央部が嵌脱可能な複数の溝部が形成されるものである。
上記構成のすのこでは、請求項1に記載の発明の作用に加えて、第3の固定部は、天板部の略中央を固定するという作用を有し、また、第3の固定部の固定を解除すると、複数の天板は第3の固定部から離脱されるという作用を有する。
【0012】
そして、請求項3に記載の発明であるすのこは、請求項1又は請求項2記載のすのこにおいて、天板部の一の側部又は両側部に配置され、第1の固定部と第2の固定部を連結する連結部材を備えるものである。
上記構成のすのこでは、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加えて、連結部材は、第1の固定部と第2の固定部を連結して第1の固定部と第2の固定部による天板部の固定を補強するように作用する。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明であるすのこは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のすのこにおいて、第1の固定部及び/又は第2の固定部は少なくとも1の水抜き孔を備えるものである。
上記構成のすのこでは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、第1の固定部及び/又は第2の固定部に設置される水抜き孔は、第1の固定部及び/又は第2の固定部に貯留する水を外部に放出するという作用を有する。
【0014】
最後に、請求項5に記載の発明であるすのこは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のすのこにおいて、第1の固定部乃至第3の固定部の少なくとも1の上面に複数の突起が形成されるものである。
上記構成のすのこでは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、第1の固定部乃至第3の固定部の少なくとも1の上面に形成される突起は、使用者の滑りを防止するとともに、裸足で使用する場合には、接触する足裏等を刺激するように作用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載のすのこでは、天板部の両端を第1の固定部及び第2の固定部で固定する構造であり、従来品のように釘打ちによる固定でないので、釘の頭出しによる危険性がなく、また、釘の周囲から進行しやすい天板の腐食を防止することができる。そして、天板部を構成する複数の天板は、第1の固定部及び第2の固定部の固定を解除することによって簡単に取り外すことができるので、傷んだ天板のみを交換することができ、省力的で耐久性のあるすのこを実現できる。さらに、天板の長さは自在に変更することができるので、使用目的に応じて長さ調整を行うことができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のすのこでは、天板部の略中央に第3の固定部を設けているので、天板部の中央部分に負荷がかかっても天板部が損傷することなく、荷重に耐えうる構造になっている。特に、天板部が長い場合には、すのこを設置する地面などの平面に対して天板部が接触することも防止可能であり、設置面に接触することによる天板部の破損や腐食などを防止することも可能である。
【0017】
そして、本発明の請求項3に記載のすのこでは、連結部材が第1の固定部と第2の固定部を連結しているので、天板部の両端部が第1の固定部と第2の固定部から容易に抜脱しないようになっている。
【0018】
さらに、本発明の請求項4に記載のすのこでは、第1の固定部及び/又は第2の固定部に設置される水抜き孔は、第1の固定部及び/又は第2の固定部に貯留しやすい水を外部に放出し、天板部、第1の固定部及び第2の固定部の腐食を防止することができる。
【0019】
最後に、本発明の請求項5に記載のすのこでは、第1の固定部乃至第3の固定部の少なくとも1の上面に形成される突起によって、滑りを防止すると共に、裸足の場合においては足裏等において容易にマッサージ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係るすのこの最良の実施の形態を図1乃至図5に基づき説明する。
図1は、本発明の本実施の形態に係るすのこの概念図である。
図1において、本実施の形態に係るすのこ1は、主に、天板部3と、第1の固定部4と、第2の固定部8から構成されており、天板部3は、図中では両端の2枚の天板2のみを記載しているが、一部記載を省略するものであり、実際は複数の天板2が互いに間隔をあけて並置されて形成されている。また、第1の固定部4は、第1の台脚5と第1の蓋6を備え、天板部3の一の端部を第1の台脚5と第1の蓋6で挟み込み側部にビス7aを螺合して天板部3の一の端部を固定している。
一方、第2の固定部8も、第1の固定部4と同様に、第2の台脚9と第2の蓋10を備え、天板部3の他の端部を第2の台脚9と第2の蓋10で挟み込み側部にビス7bを螺合して天板部3の他の端部を固定している。
なお、すのこ1の材質は特に限定されないが、木材やプラスチック等合成樹脂が挙げられる。
【0021】
すのこ1では、天板部3の下方に第1の固定部4及び第2の固定部8の第1の台脚5及び第2の台脚9が配置されて、すのこ1を敷設する床面と天板部3との間に空間を設け、天板部3が床面に接触することで破損や腐食の促進を防止しつつ、天板部3の天板2同士の隙間とともに、すのこ1の水はけや通気性を良好にしている。
また、すのこ1は、従来の主に木製のすのこのように釘を用いて天板と台脚を固定していないので、釘の頭出しによる危険がなく安全性の高いものになっている。そして、通常、木製の場合、天板2は、釘の周囲から腐食しやすいが、釘を使用しないことから、天板2の耐久性を向上させることができる。さらに、不用となったすのこ1を廃棄する場合には、釘と天板2等の木材を分別する必要が無いので、処分が簡単で、また、リサイクルしやすい構成になっている。
【0022】
そして、すのこ1では、ビス7a,ビス7bを抜脱すると、第1の固定部4及び第2の固定部8による天板部3の固定は解除され、天板部3を構成する複数の天板2は、第1の固定部4及び第2の固定部8から取り外すことが可能になっている。
したがって、すのこ1では、いずれかの天板2が腐ったり傷んだりした場合には、その天板2のみを取り外し、新品の天板2を新たに設置して、一部のみを交換したすのこ1を継続して使用することが可能となり、一体型のすのこの場合の全体廃棄に比べると廃棄物の量が著しく低減され、また、すのこ1の全体的な使用寿命を延ばすので省資源、省エネルギー志向であるといえる。
また、すのこ1は各部品に分解できるので、コンパクトとなり、商品として店頭に陳列したり搬送したりする際に有利である。
そして、天板2の長さは特に限定されないので、使用目的に応じて、例えば、木製の場合は切断したりして自由に設定したり調整したりすることができる。
【0023】
また、すのこ1において、天板部3の中央部分には、第3の固定部11が設置されており、第3の固定部11は、第3の台脚12と第3の蓋13を備え、第3の台脚12と第3の蓋13の間に天板部3の中央部分を挟み込んで側部にビス7cを螺合して天板部3の中央部分を固定している。この第3の固定部11は、前述の第1の固定部4及び第2の固定部8と同様に、天板部3を固定する役割に加えて、天板部3の中央部分にかかる荷重を受け止め、天板部3が撓んだり破損したりするのを防止している。なお、天板部3の長手方向の長さが短く、天板部3に加わる荷重が第1の固定部4及び第2の固定部8に分散される場合は、第3の固定部11は必ずしも設置しなくてもよい。
そして、すのこ1の一の側部には連結部材14が配置されており、ビス用孔15a〜15cにそれぞれビス7a〜7cが螺合されて第1の固定部4、第2の固定部8及び第3の固定部11に固定されている。連結部材14は、第1の固定部4と第2の固定部8を連結して、第1の固定部4及び第2の固定部8の天板部3の固定を補助し、天板部3を構成する複数の天板2が第1の固定部4及び第2の固定部8から抜脱するのを防止することができる。したがって、図示するように、必ずしも連結部材14を第3の固定部11へ固定しなくてもよい。なお、図示していないが、連結部材14は、すのこ1の他の側部に設置してもよく、すのこ1の両側部に設置することによって第1の固定部4及び第2の固定部8の天板部3への固定を確実にすることができる。
【0024】
さらに、第1の固定部4、第2の固定部8及び第3の固定部11の上面には、それぞれ突起16〜18が設置されており、これらの突起により使用者の滑りを防止することができる。また、風呂場等において裸足の使用者はこれらの突起16、突起17及び突起18の上で足踏みすることによって突起16、突起17及び突起18は使用者の足裏を刺激し、高いマッサージ効果を得ることができる。
これらの突起16〜18は、すべての固定部に設けなくともよいが、なるべく多くの固定部に設ける方が効果が高いことは言うまでもない。
さらに、固定部のみならず、天板2を合成樹脂などの材料で構成する場合には、その上面に突起を設けてもよい。このように天板2(天板部3)にも突起を設けることで、すのこ全体において滑り止めの効果を発揮できるし、また、マッサージ効果もすのこ全体で発揮することができる。
【0025】
次に、第1の固定部及び第2の固定部の構造について図2及び図3を用いて詳細に説明する。なお、図2及び図3において、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2(a)は、本実施の形態に係るすのこの第1の固定部の固定を解除した状態を示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第1の固定部の概念図である。
図2(a)において、第1の固定部4では、第1の台脚5に、図示しない回動軸で枢設された第1の蓋6が、その一辺を第1の台脚5に接した状態で開蓋されている。なお、第1の蓋6は必ずしも第1の台脚5に枢設される必要はなく、例えば蝶番のようなもので開蓋可能に設けられてもよいし、連設されることなく第1の台脚5に着脱可能に設置することもできる。
第1の固定部4の内部をみると、第1の台脚5には、複数の溝19が形成されており、これらの溝19には、一部を図示するが、天板2の一の端部を嵌脱自在に嵌合できるようになっている。なお、溝19の設置数は特に限定されず、天板2の設置数に応じて形成することができる。
また、天板2の一の端部が当接する第1の台脚5の背板の部分には、溝19毎に水抜き孔20が複数形成されており、第1の固定部4の内部に貯留する水を外部に放出することが可能である。これらの水抜き孔20の設置場所及び設置数は特に限定されないが、水が貯留しやすい天板2と第1の固定部4とが接する部分に設けると、天板2と第1の固定部4の水はけが良好となり、水による腐食の進行を防止することができる。
そして、第1の台脚5及び第1の蓋6の両端部には、ビス用孔21a,21b及びビス用孔22a,22bが形成されており、ビスを螺合して天板2を固定できるようになっている。
【0026】
ここで、図2(b)において、天板2の一の端部を第1の台脚5と第1の蓋6で挟持して、連結部材14を介してビス7aを螺合すると、天板2の一の端部は、第1の台脚5と第1の蓋6に挟持されて第1の固定部4から抜脱することなく確実に固定される。なお、本実施の形態では、第1の固定部4の側部にビス用孔を設けてビス7aを螺合する構成であるが、第1の固定部4の上面からビス7aを螺合するように構成してもよい。第1の固定部4の上面でビス7aを螺合すると、第1の台脚5と第1の蓋6によって上下方向からさらに強固に挟持することができるので、天板2の交換によって生じる可能性のある天板2の寸法や厚みの不揃いを緩和することができる。
ビス7aは、連結部材14を固定すると同時に、第1の固定部4と第1の台脚5をも固定することが可能であり、少ない部品で廃棄時の容易性を考慮しながら、使用時の強度も配慮した構成となっている。
【0027】
次に、図3(a)は、本実施の形態に係るすのこの第2の固定部の固定を解除した状態を示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第2の固定部の概念図である。
まず、図3(a)において、第2の固定部8は、第2の台脚9と第2の蓋10が分離した状態を示している。第2の台脚9には、複数の溝24が形成されており、これらの溝24には天板2の他の端部が嵌脱可能に嵌合できる。また、第1の固定部の場合と同様に、天板2が当接する第2の台脚9の背面の部分には、溝24毎に水抜き孔23が複数設置されており、これらの水抜き孔23からは溝24などに貯留する水を外部に放出できる。なお、溝24は天板2の設置数に応じて設けるとよく、また、水抜き孔23については、設置場所及び設置数は特に限定されない。
また、第2の台脚9の底部には切欠部27が形成されており、この切欠部27は敷設する床面との間に隙間を形成し、水はけを良好にするとともに、第2の台脚9の底部を通気させて乾燥させ、水による腐食を防止することができる。
なお、図2においては図示していないが、第1の固定部4の第1の台脚5の底部にも同様に切欠部が形成されている。
そして、第2の蓋10は、第2の台脚9に載上してビス7bをビス用孔25a及びビス用孔26aに螺合すると、溝24に嵌合された天板2の他の端部を上下方向から挟持して固定することができる。なお、第2の蓋10は、第2の台脚9に離脱可能にしてもよいが、図2において説明した第1の固定部4のように第2の台脚9に枢設することもできる。
【0028】
続いて、図3(b)に示すように、第2の台脚9に第2の蓋10を載上して側部においてビス7bで螺合すると、図示していないが、天板の他の端部は強固に固定されるので、天板の他の端部は第2の固定部8から抜脱できない。なお、ビス7による螺合は第2の固定部8の上面から行うこともでき、この場合、第2の台脚9と第2の蓋10はより強固に挟持されるので、複数の天板において寸法や厚みに多少の相違があっても天板は抜脱することなく固定することができる。
【0029】
次に、第3の固定部について図4を用いて説明する。
図4(a)は、本実施の形態に係るすのこの第3の固定部を分解して示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第3の固定部の概念図であり、(c)は同じくすのこの第3の固定部の断面を示す概念図である。
図4(a)において、第3の固定部11は、第3の台脚12と第3の蓋13から構成されており、第3の台脚12には、天板の中央部分が嵌合可能な複数の溝28と、ビスが螺合されるビス用孔29a,29bと、切欠部31が設けられている。切欠部31を設けることで、第3の台脚12の底部の全面が床面に接触することを防止して、底部の水はけを良好にすることができる。
また、第3の蓋13は、緩やかな蒲鉾形状で、両側部には、第3の台脚12のビス用孔29a,29bに重なるようにビス用孔30a,30bが形成されている。
そして、図4(b)に示すように、天板2を第3の台脚12の溝28に嵌合させて第3の蓋13を載上してビス7cを螺合すると、天板2は固定されて天板2の長手方向の移動が抑制される。このように第3の固定部11は天板2の中央部分を固定するとともに、天板部の中央部にかかる荷重を受け止めて天板2が折れたり曲がったりすることを防止している。また、第3の蓋13は緩やかな蒲鉾形状であるので、使用者はつまずき難く、上面の突起18による足裏のマッサージが効果的に行える。
また、図4(c)において、第3の台脚12の底部と床面32には切欠部31による隙間が形成されており、この隙間によって水はけが良好となり、また、第3の台脚12の底部は全体が水浸しになることなく、通気も確保されているので水による腐食を防止することが可能になっている。
【0030】
次に、連結部材について図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係るすのこの連結部材の概念図である。
図5において、連結部材14は、長細い板状で、両端部はいずれもL字型に折曲され、ビス用孔15a〜15cが設けられている。連結部材14は、図示していないが、すのこの両側部又は一の側部に配置されて、ビス用孔15a〜15cを第1の固定部、第2の固定部及び第3の固定部に設けられるビス用孔にそれぞれ合わせてビス7a〜7cで螺合することによって、第1の固定部、第2の固定部及び第3の固定部に固定される。ここで、連結部材14は、ビス7a〜7cによる螺合を解除すると、第1の固定部、第2の固定部及び第3の固定部から容易に離脱される。
そして、連結部材14は、前述の通り、第1の固定部4、第2の固定部8及び第3の固定部11による天板の固定を強化し、天板がすのこの長手方向に移動することを防止することができる。なお、連結部材14の材質は特に限定されるものではない。また、本実施の形態では、連結部材14の両端は折曲した形状であるが、連結部材14の形状は、第1の固定部と第2の固定部を連結可能な形状であればどのような形状でもよい。
【0031】
最後に、図6を参照しながら、他の連結部材について説明する。
図6(a)〜(c)は、いずれも本実施の形態に係るすのこの他の連結部材の概念図である。これらの図において図3及び図4と同一部分については同一符号を付し、その構成については説明を省略する。図6(a)において、連結部材は、凸部34を備える係止片33と、孔部36を備える係止片35から構成され、これらは、それぞれ第3の台脚12の側面に設けられているものである。
係止片33の凸部34は、係止片35の孔部36に嵌合され、第3の台脚9同士をその側面で連結するものである。
図6(a)では、台脚のみを図示しているが、もちろん、溝28に天板3を備えた状態ですのこ同士として連結するものである。
図6(b)は、第2の台脚9の側面に設けられた連結部材で、凸部38を備える係止片37と、孔部40を備える係止片39から構成されている。
本図においては、第1の台脚5の側面に設けられる連結部材が図示されていないが、図示を省略するもので、第1の台脚5の側面にも図6(a)や(b)に示される連結部材が備えられている。
また、本実施の形態では、台脚の一側面にのみ連結部材が設けられているが、両方の側面にそれぞれ凸部34を備えた係止片33、孔部36を備えた係止片35のように互いの異なる連結部材の係止片を備えることで、複数のすのこを連結することが可能となる。
もちろん、すべての第1、第2、第3のすべての台脚に設けなくとも連結の強度を保つことができれば、少なくとも一箇所に連結部材を設けるようにしてもよい。
さらに、図6(c)のように、連結部材を構成する凸部42を備える係止片41と孔部44を備える係止片43を、台脚の下面側に、それぞれ上下方向でずらして設けることで、台脚同士の側面を密着させて連結することができる。
【0032】
このように構成された本実施の形態においては、天板を簡単に取り外すことができるので、傷んだ天板のみを交換することによってすのこ全体の使用寿命を長くして省資源化に貢献するとともに廃棄物を低減することができる。
また、天板の長さは如何様にも設定できるので、使用目的に応じて自由に調整することができる。
さらに、釘を使用しない構成であるので、釘抜き作業が不要となり廃棄処分が容易であり、また、従来品に比べて安全性が高く、耐久性も向上している。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項5に記載された発明は、安全且つ使用勝手が極めて良好なすのこを提供可能であり、一般家庭を始め各種施設等において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の本実施の形態に係るすのこの概念図である。
【図2】(a)は本実施の形態に係るすのこの第1の固定部の固定を解除した状態を示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第1の固定部の概念図である。
【図3】(a)は本実施の形態に係るすのこの第2の固定部の固定を解除した状態を示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第2の固定部の概念図である。
【図4】(a)は本実施の形態に係るすのこの第3の固定部を分解して示す概念図であり、(b)は同じくすのこの第3の固定部の概念図であり、(c)は同じくすのこの第3の固定部の断面を示す概念図である。
【図5】本実施の形態に係るすのこの連結部材の概念図である。
【図6】(a)〜(c)のいずれも本実施の形態に係るすのこの連結部材の概念図である。
【符号の説明】
【0035】
1…すのこ 2…天板 3…天板部 4…第1の固定部 5…第1の台脚 6…第1の蓋 7a〜7c…ビス 8…第2の固定部 9…第2の台脚 10…第2の蓋 11…第3の固定部 12…第3の台脚 13…第3の蓋 14…連結部材 15a〜15c…ビス用孔 16…突起 17…突起 18…突起 19…溝 20…水抜き孔 21a,21b…ビス用孔 22a,22b…ビス用孔 23…水抜き孔 24…溝 25a,25b…ビス用孔 26a,26b…ビス用孔 27…切欠部 28…溝 29a,29b…ビス用孔 30a,30b…ビス用孔 31…切欠部 32…床面 33…係止片 34…凸部 35…係止片 36…孔部 37…係止片 38…凸部 39…係止片 40…孔部 41…係止片 42…凸部 43…係止片 44…孔部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の略四角形状の天板が互いに間隙をあけて並置される天板部と、この天板部の一の端部を固定する第1の固定部と、前記天板部の他の端部を固定する第2の固定部を有するすのこであって、前記第1の固定部は、前記天板部の一の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第1の台脚部と、この第1の台脚部に載上される第1の蓋部と、前記第1の台脚部と前記第1の蓋部を固定する固定部材とを備え、前記第2の固定部は、前記天板部の他の端部が嵌脱可能な複数の溝部が形成される第2の台脚部と、この第2の台脚部に載上される第2の蓋部と、前記第2の台脚部と前記第2の蓋部を固定する固定部材とを備えることを特徴とするすのこ。
【請求項2】
前記天板部の略中央を固定する第3の固定部を有し、この第3の固定部は、前記天板部の略中央部が嵌脱可能な複数の溝部が形成されることを特徴とする請求項1記載のすのこ。
【請求項3】
前記天板部の一の側部又は両側部に配置され、前記第1の固定部と前記第2の固定部を連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のすのこ。
【請求項4】
前記第1の固定部及び/又は前記第2の固定部は少なくとも1の水抜き孔を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のすのこ。
【請求項5】
前記第1の固定部乃至第3の固定部の少なくとも1の上面に複数の突起が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のすのこ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−101401(P2008−101401A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285098(P2006−285098)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(597159927)
【Fターム(参考)】