説明

たばこの残幹抜取機

【課題】雑草等の絡みが無く、また耕耘抵抗がさほど大きくないたばこ残幹抜取機を提供すること。
【解決手段】トラクタ1の走行装置2に搭載されたエンジン3からの動力は変速機と動力伝達機構を内蔵した駆動ケース7を経由して走行装置2から圃場面に向けて傾斜した方向に設けられた一対の駆動軸8,8に伝達され、各駆動軸8には先端部が緩やかに湾曲した二枚の爪9,9が複数あり、左右の駆動軸8,8の4つの爪9の相互の間にたばこの幹の約2倍の太さ程度の間隔が設けられている。左右の駆動軸8,8の4つの爪9が駆動軸8毎に圃場上で互いに反対方向に回転するので、圃場の土による耕耘抵抗が少なく、円滑にたばこ残幹を挟み込んで、すくい上げるように抜き取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたばこ収穫後の圃場に残っているたばこの残幹の抜取機に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ収穫後の圃場に残っているたばこの残幹の抜き取りを機械で行う装置として実開平6−13402号公報に記載のたばこ残幹抜取機が知られている。
【特許文献1】実開平6−13402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のたばこ残幹抜取機は農業用トラクタの走行装置に連結した、走行装置の進行方向に向かって左右一対のスクリュー刃体を回転させて圃場内のたばこの残幹を抜き取る機械である。
このたばこ残幹抜取機のスクリュー刃体は複数の刃体をそれぞれスクリュー状に形成しその下端部を連結する構成であり、かつ、走行装置の前後方向に長く構成しているため、スクリュー刃体には雑草等が絡みやすく、耕耘抵抗が大きくなり易い。
本発明の課題は、雑草等の絡みが無く、また耕耘抵抗がさほど大きくないたばこ残幹抜取機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、後ろ下がりで斜め上下方向に軸心を有する駆動軸(8)を左右方向に二本並列して走行装置(2)に連結し、該駆動軸(8)には先端が湾曲する爪(9)を駆動軸(8)と交差する方向に複数取り付け、かつ駆動軸(8)の上下方向に複数段配置し、前記一対の駆動軸(8)は互いに反対方向に回転させる構成としたたばこの残幹抜取機である。
【0005】
請求項2記載の発明は、前記爪(9)が圃場の土を前記一対の駆動軸(8)の内側から走行装置(2)の進行方向後方に向かって移送するように前記駆動軸(8)を回転させる構成とした請求項1記載のたばこの残幹抜取機である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、駆動軸に取り付けられた爪に雑草等が巻き付き難くなるため、耕耘抵抗が少なく、かつ円滑に圃場からたばこ残幹を抜き取ることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、圃場の土を一対の駆動軸内側から進行方向後方に向かって移送するため、耕耘抵抗が少なく走行装置がスムーズに走行でき、円滑な抜き取り作業が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
畝に植立するたばこの幹を収穫した後、畝に残った残幹を畝から抜き取るたばこ残幹抜取機の実施例を図面と共に説明する。
本実施例のたばこ残幹抜取機について、図1に全体の側面図、図2に要部側面図、図3に要部背面図及び図4にエンジンからの動力伝達機構図(エンジンからの動力は変速した後に両方のベベルギアを経て残幹抜取用の爪に駆動力が伝達されるのでは?)を示す。
【0008】
図1に示すように本実施例のたばこ残幹抜取機はトラクタ1の後部にたばこ残幹抜取用の機器を連結した構成である。
なお、本明細書ではたばこ残幹抜取機の進行方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進、後退方向をそれぞれ前、後という。
【0009】
トラクタ1の走行装置2に搭載されたエンジン3からの動力はトラクタ1内に設ける変速機4から伝動軸5を経て、駆動ケース7内に備える動力伝達機構6を経由して背面視で左右一対に並列して設ける駆動軸8,8に伝達される。
【0010】
駆動軸8,8は側面視で後方が下向きに傾斜する方向に設け、各駆動軸8には複数の爪9,9…を取り付けている。本実施例では左右の2つの駆動軸8に、それぞれ同じ高さ位置に爪9,9を取り付け、かつ一つの駆動軸8の上部と下部に爪9,9を設けている。このたばこ残幹抜取用の各爪9は駆動軸8の軸方向に直交する方向に伸びた基部9aとその基部9aと一体で、緩やかに湾曲した先端部9bからなり、以後駆動軸8と爪9からなる構成をロータリー爪ということがある。また図1〜図3に示す爪9の先端部9bの湾曲形状は駆動軸8を通る断面で見ると互いに反対側に反った形をしている。また、左右の駆動軸8,8の爪9,9の相互の間にたばこの幹Aの約2倍の太さ程度の間隔Tが設けられている。
【0011】
また、駆動軸8は側面視で後方が下向きに傾斜する方向に機体に取り付けられており、また左右の駆動軸8,8に取り付けられた4つの爪9の先端部9bが湾曲しているため、左右の駆動軸8,8の4つの爪9が駆動軸8毎に圃場上で互いに反対方向に回転すると、畝Uの残幹Aの周囲にある土をトラクタ1の前進と共に駆動軸8,8の内側より後方に跳ね上げることができる。また、畝Uの残幹Aの周囲にある土をトラクタ1の前進と共に駆動軸8,8の内側より後方に跳ね上げる構成のため、ロータリー爪の回転時の畝Uの土による耕耘抵抗が少なく、円滑に残幹Aを周囲の土と共にすくい上げる様にして抜き取ることができる。
【0012】
このように、本実施例のロータリー爪は従来のスクリュー式のものに比べて、耕耘時に圃場からの耕耘抵抗が少なく、また、ロータリ爪は上下方向に長いため、雑草などが絡み難く、強度が高い。
【0013】
本実施例のロータリー爪の上方には背面視で山形の断面を有する案内ガイド11を設けた。案内ガイド11は、たばこ残幹抜取機の前進と共にたばこ残幹Aを畝上に倒し込む。この案内ガイド11を用いると抜き出したたばこ残幹を畝の中央側に寝かせることができ、残幹Aの抜き取り作業後、残幹Aを回収しやすい。
また案内ガイド11は図3に示すように後ろ狭まりに構成することでより確実に抜き取った残幹Aを畝の中央側に寝かすことができる。
【0014】
また、案内ガイド11の内面にツース12を設けると、爪9で掘り起こした土がツース12を通過し、案内カバー11の内側の面に沿って流れるため、抜き出した残幹Aの上に土が載らないようにすることができ、残幹Aの抜き取り作業後、残幹Aを容易に回収することができる。
さらに、爪9より先行して畝の左右両側を崩すための丸型のディスク1,13が機体の左右に設けられている。
【0015】
また本実施例のロータリー爪は図2で示す配置様式の他に、図5に示すような隣接する駆動軸8,8にそれぞれ2枚設けられた爪9,9の配置様式を採用することができる。図5(a)は左右の各駆動軸8が全て前方に湾曲した爪9を備えた場合、図5(b)は左右の各駆動軸8が全て後方に湾曲した爪9を備えた場合、図5(c)は左右の各駆動軸8の一方が前方に湾曲した爪9を備え、他方が後方に湾曲した爪9を備えた場合の例である。
【0016】
また、一対の並列配置されるロータリー爪の隣接する爪9,9の隙間をたばこ残幹Aの太さの2倍程度の大きさとして、爪9,9の間で抜き取られたたばこ残幹Aが砕かれないようにする。また、場合によっては図5(d)に示すように爪9,9の間を前後方向に互いに干渉しないで重ねた位置に配置しても良い。なお図5(d)には図2の爪9の湾曲したものを例示したが、図5(a)〜(c)に示す形状の湾曲爪9を用いても良い。
【0017】
また、図6のロータリ爪の配置部の側面図、図7(図6のA−A線矢視図)に示すように各駆動軸8にそれぞれ三本の爪9,9,9を配置し、爪同士が互いに干渉しないように回転軌跡Fが重なるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のたばこ残幹抜取機はたばこ収穫後の圃場に残っているたばこの残幹およびその他の太い幹を抜取る機械として利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例のたばこ残幹抜取機の全体の側面図である。
【図2】図1のたばこ残幹抜取機の要部側面図である。
【図3】図1のたばこ残幹抜取機の要部背面図である。
【図4】図1たばこ残幹抜取機のロータリ爪へのエンジンからの動力伝達機構図である。
【図5】本発明のたばこ残幹抜取機のロータリ爪の配置様式を示す図である。
【図6】本発明の一実施例のたばこ残幹抜取機のロータリ爪の配置様式を示す側面図である。
【図7】図6のA−A線矢視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 トラクタ 2 走行装置
3 エンジン 4 変速機
5 伝動軸 6 動力伝達機構
7 駆動ケース 8 駆動軸
9 爪 9a 爪基部
9b 爪先端部 11 案内ガイド
12 ツース 13 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後ろ下がりで斜め上下方向に軸心を有する駆動軸(8)を左右方向に二本並列して走行装置(2)に連結し、
該駆動軸(8)には先端が湾曲する爪(9)を駆動軸(8)と交差する方向に複数取り付け、かつ駆動軸(8)の上下方向に複数段配置し、
前記一対の駆動軸(8)は互いに反対方向に回転させる構成としたことを特徴とするたばこの残幹抜取機。
【請求項2】
前記爪(9)が圃場の土を前記一対の駆動軸(8)の内側から走行装置(2)の進行方向後方に向かって移送するように前記駆動軸(8)を回転させる構成としたことを特徴とする請求項1記載のたばこの残幹抜取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−296228(P2006−296228A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119301(P2005−119301)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】