説明

ちぢみ模様塗料用樹脂組成物

【課題】塗膜のちぢみ模様の柄が経時的な安定性に優れ、塗膜の耐汚染性に優れた塗膜を形成できるちぢみ模様塗料に用いることができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)水酸基価が5〜200mgKOH/g、数平均分子量500〜20,000である水酸基含有アクリル樹脂、(B)ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂、(C)脱水剤、(D)スルホン酸に対してモル比が0.2〜0.9である、沸点が50〜300℃の3級アミン化合物でブロックされたブロック化スルホン酸化合物、(E)シリケート化合物、及び(F)(a)平均粒径40μm以下の有機樹脂粒子、(b)平均粒径100μm以下の無機質ガラス粒子、(c)平均長さ300μm以下の無機質繊維から選ばれた少なくとも1種とを含有する樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分との質量比が固形分で、60/40〜90/10であり、(A)成分と(B)成分との合計固形分100質量部に対して、(C)成分が固形分で0.1〜10質量部、(D)成分が固形分で0.1〜5質量部、(E)成分が固形分で0.5〜10質量部、(F)成分が固形分で1〜30質量部である樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ちぢみ模様の塗膜を形成することができる塗料に用いる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ちぢみ模様の塗膜を形成することができる塗料としては、(A)水酸基価40〜200のアクリル樹脂40〜95重量部と、(B)ヘキサキスアルコキシメチルメラミンを少なくとも40重量%以上含有する低核体メラミン樹脂5〜60重量部、(C)粒子径が0.01〜10μmである架橋型有機樹脂微粒子5〜30重量部とからなる混合物100重量部に対し、沸点80〜150℃の3級アミンでブロックしたスルホン酸化合物を、スルホン酸として0.1〜5重量部含有するちぢみ塗料が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この場合、塗膜に安定したちぢみ模様が得られないという欠点があった。
【0003】
また、模様の細かなちぢみ模様の柄を呈する塗膜を形成できる塗料として、(A)水酸基含有塗膜形成性基体樹脂60〜95重量部と(B)低核体メチル化メラミン樹脂5〜40重量部との和100重量部に対して、(C)スルホン酸1当量と沸点30〜250℃の第2級もしくは第3級アミン1.5〜30当量との反応混合物をスルホン酸量で0.1〜3重量部および(D)分子末端に(ブロック)イソシアネート基を1分子当り合計で2個以上有するオルガノポリシロキサン0.2〜10重量部を含有することを特徴とする塗料が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この場合、ちぢみ模様の柄が経時的な安定性に乏しく、また、微妙な塗装条件の変化によってちぢみ模様の柄が安定して得られないという不具合があり、さらに、屋外で使用された場合の耐汚染性が充分ではないという欠点があった。
【0004】
また、耐食性が良好で、意匠性、模様の安定性に優れたちぢみ模様の柄を呈する塗膜を形成できる塗料として、(A)水酸基価5〜110のポリエステル樹脂65〜95重量部と(B)低核体メチル化メラミン樹脂5〜35重量部との和100重量部に対して、(C)スルホン酸1モルと第2級アミン7.2モル以上との反応混合物をスルホン酸量で0.1〜3重量部、(D)平均粒径10μm以下のシリカ微粉末1〜15重量部、および(E)平均粒径2〜70μmの有機樹脂粒子および無機質ガラス粒子、平均直径2〜50μmの有機樹脂繊維および無機質繊維から選ばれた1種以上を1〜30重量部を含有することを特徴とする塗料が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この場合、スルホン酸に対する2級アミンのモル比が過剰なため、オルガノシリケート系親水化剤と組み合わせた場合、短時間で親水性能が低下するという欠点があった。
【0005】
また、屋外における優れた耐汚染性の硬化物を得る熱硬化性樹脂組成物として、(A)ヒドロキシル価が5〜300mgKOH/gであり、数平均分子量が500〜20000であるフィルム形成性ポリオール樹脂と、(B)上記フィルム形成性ポリオール樹脂(A)と反応することができる硬化剤と、(C)粒径が10〜100nmであり、ヘキサントレランス値で表される疎水化度が15.0ml以上であるオルガノシリカゾルと、(D)アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のうち少なくとも1種を含有する熱硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献4参照)。しかしながら、この場合、硬化剤を低核体メラミン樹脂とし、芳香族スルホン酸を等モルのアミンでブロックした酸触媒を用いても、硬化物のちぢみ模様の柄が安定しないという欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特公平3−10671号公報
【特許文献2】特開平5−320578号公報
【特許文献3】特開平5−039443号公報
【特許文献4】特開平11−124501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗膜のちぢみ模様の柄が経時的な安定性に優れ、さらに、屋外で使用された場合でも塗膜の耐汚染性に優れた塗膜を形成できるちぢみ模様塗料に用いることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の水酸基含有アクリル樹脂を用いること、スルホン酸とスルホン酸をブロックする3級アミン化合物とのモル比率を特定の範囲にすることと、特定の粒子状または繊維状の骨材とを組合せることで、塗膜のちぢみ模様の柄が経時で安定することを見出し、加えて、特定のオルガノシリケート、その縮合物、又は該縮合物の部分加水分解物と組合せても、ちぢみ模様の安定性が損なわれることなく耐汚染性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)水酸基価が5〜200mgKOH/g、数平均分子量500〜20,000である水酸基含有アクリル樹脂、(B)ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂、(C)脱水剤、(D)スルホン酸に対してモル比が0.2〜0.9である、沸点が50〜300℃の3級アミン化合物でブロックされたブロック化スルホン酸化合物、(E)シリケート化合物、及び(F)(a)平均粒径40μm以下の有機樹脂粒子、(b)平均粒径100μm以下の無機質ガラス粒子、(c)平均長さ300μm以下の無機質繊維から選ばれた少なくとも1種とを含有する樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分との質量比が固形分で、60/40〜90/10であり、(A)成分と(B)成分との合計固形分100質量部に対して、(C)成分の含有量が固形分で0.1〜10質量部、(D)成分の含有量が固形分で0.1〜5質量部、(E)成分の含有量が固形分で0.5〜10質量部、(F)成分の含有量が固形分で1〜30質量部であることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記樹脂組成物において、(E)成分のシリケート化合物が、一般式(1):
−Si−(OR (1)
(式中、Rはフェニル基又は炭素数1〜18のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜6のアルキル基である。)で表されるオルガノシリケート、及び一般式(2):
Si−(OR (2)
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基である。)で表されるオルガノシリケート、前記2種のオルガノシリケートのいずれか一方若しくは両者の縮合物又は該縮合物の部分加水分解物である樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂組成物をちぢみ模様塗料に用いれば、塗膜のちぢみ模様の柄が経時的に安定し、耐汚染性にも優れたちぢみ模様の塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、(A)特定の水酸基含有アクリル樹脂、(B)ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂、(C)脱水剤、(D)特定の3級アミン化合物でブロックされた特定のブロック化スルホン酸化合物、(E)シリケート化合物、(F)特定の粒子及び/または繊維を含有する樹脂組成物であり、ちぢみ模様塗料用の樹脂組成物として用いることができる。
【0013】
本発明において、(A)成分である水酸基含有アクリル樹脂は、ちぢみ模様塗料用樹脂組成物の基体樹脂として、形成される塗膜の基本的な性能(可撓性、硬度、耐久性等)を発現するものであり、(B)成分のメラミン樹脂と反応するものである。
【0014】
(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、5〜200mgKOH/gであり、好ましくは、10〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、20〜100mgKOH/gである。水酸基価が5mgKOH/g未満では、硬化塗膜にしたとき架橋密度が低くなりすぎるため耐溶剤性能が低下し、水酸基価が200mgKOH/gを超えると、硬化塗膜にしたとき架橋密度が高くなりすぎるため、加工性が低下する。
(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、500〜20,000であり、好ましくは700〜15,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。数平均分子量が500未満では、硬化塗膜にしたとき架橋密度が高くなりすぎるため、加工性が低下し、数平均分子量20,000を超えると、硬化塗膜の架橋密度が低くなりすぎるため、耐溶剤性能が低下する。
【0015】
(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂は、ラジカル重合法などの公知の方法を用いて得ることができる。ラジカル重合法を用いる場合、例えば、水酸基を有するラジカル重合性アクリル系単量体、及び必要に応じてその他の共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合することにより、又はラジカル重合性アクリル系単量体、水酸基を有するラジカル重合性単量体、及び必要に応じてその他の共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合することにより、(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂を得ることができる。
【0016】
水酸基を有するラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物、メタクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物などの水酸基を有するラジカル重合性アクリル系単量体や、アリルアルコールなどの不飽和二重結合を有するアルコールなどが挙げられる。水酸基を有するラジカル重合性単量体は、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0017】
その他の共重合可能なラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどのラジカル重合性アクリル系単量体、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和結合を有する単量体などが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0018】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物;メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノンペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、t−ブチルヒドロペルオキンド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、イソブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシネオデカネート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテートなどの有機過酸化物などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ラジカル重合開始剤の配合量には、特に制限はないが、ラジカル重合性単量体の全量に対して0.01〜20質量%にすることが好ましい。また、ラジカル重合温度は、ラジカル重合開始剤の種類によってよって異なるが、50〜200℃の条件で行うことが好ましく、80〜160℃の条件で行うことがさらに好ましい。
【0020】
上記水酸基含有アクリル樹脂の製造において用いられる有機溶剤は、例えば、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メトキシプロピルアセテート、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶剤、アセトニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の含窒素系溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種単独であっても、あるいは2種以上の複数種類の混合溶剤であっても差し支えない。この際、水酸基含有アクリル樹脂の固形分濃度は樹脂の分散安定性を損なわない範囲において任意に選ぶことができるが、通常固形分濃度で10〜70質量%である。
【0021】
(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂は、また、多価カルボン酸の低級アルキルエステルと多価アルコールとのエステル交換による縮重合によっても得ることができる。
さらに、(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂は、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類の開環重合によっても得ることができる。
【0022】
本発明において、(B)成分のヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂は、(A)成分の水酸基と反応して、架橋構造を形成する役割と、ちぢみ模様を塗膜に付与する役割を担っている。(B)成分のヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂は、6個のアルコキシル基を有するメチル化メラミン樹脂である。メチル化メラミン樹脂は、メラミン環の3個のアミノ基にホルムアルデヒドが付加した6個のメチロール基を有する化合物であり、(B)成分のヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂は、前記6個のメチロール基をさらにアルコキシ化した化合物である。
(B)成分の末端の6個のアルキル基(ヘキサキスアルコキシル基におけるアルキル基)は、メチル基、イソプロピル基、n−ブチル基などが挙げられるが、メチル基が最も好ましい。
市販されているヘキサキスメチル化メラミン樹脂としては、サイメル300、サイメル303(商品名、日本サイテック(株)製)、ニカラックMW−30(商品名、三和ケミカル(株)製)などがある。
【0023】
本発明においては、(A)成分と(B)成分との質量比が固形分で60/40〜90/10であり、好ましくは70/30〜90/10であり、特に好ましくは75/25〜85/15である。(A)成分と(B)成分との質量比が固形分で60/40よりも(A)成分が少ない場合は、柔軟な樹脂成分が不足するため、十分な加工性が得られず、(A)成分が90/10よりも多い場合は、塗膜架橋成分が不十分となり耐溶剤性が低下する。
【0024】
本発明において、(C)成分である脱水剤は、系中の水分を取り除き、水分と反応しやすい親水化剤の安定性を保持させることができる。脱水剤としては、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、2,2−ジメトキシプロパン、3−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)−1,3−オキサゾリジン等の化学脱水剤、および物理脱水剤としてモレキュラーシーブ等を挙げることができる。また、市販されているものとしては、OFE、OFM、MOA,2,2−DMP、EOA(いずれも製品名、日宝化学(株)製)、ZOLDINE MS−PLUS(製品名、米国 アンガス社製)などがある。これらは、1種類又は2種類以上の混合使用が可能である。
【0025】
本発明において、(D)成分である特定割合の3級アミン化合物でブロックされたブロック化スルホン酸化合物は、スルホン酸を特定割合の3級アミン化合物の塩としたものであり、特定割合のスルホン酸の触媒としての作用を一時的にブロックしたものである。すなわちスルホン酸は(A)成分と(B)成分の反応触媒であって、反応時間を短縮し、塗膜の表面硬化と内部硬化との差を大きくして、ちぢみ模様を良好にするものであるが、3級アミン化合物の塩とすることにより、この触媒作用は一時的にブロックされる。
(D)成分である3級アミン化合物でブロックされたブロック化スルホン酸化合物に用いられる3級アミン化合物の沸点は、50〜300℃であり、好ましくは80〜150℃である。3級アミン化合物の沸点が50℃未満の場合、揮発性が高いため、塗装経時でのちぢみ模様の柄安定性が低下し、300℃を超えた場合、揮発性が低いため、ちぢみ模様の柄の形成が困難である。
【0026】
(D)成分の3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジンなどを挙げることができる。これらは1種単独または2種以上の混合使用が可能であるが、特に、トリエチルアミンを用いることが好ましい。
(D)成分に用いられるスルホン酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の混合使用が可能である。特に、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
【0027】
本発明の大きな特徴の一つは、3級アミン化合物でスルホン酸をブロックするに当り、スルホン酸に対する3級アミン化合物のモル比を0.2〜0.9とすることであり、より好ましくは0.3〜0.8とすることである。
スルホン酸に対する3級アミン化合物のモル比が、0.2未満の場合、3級アミン量が不足するため、良好なちぢみ模様の柄が形成出来ず、0.9を超える場合、3級アミン量が多いため、親水化剤の安定性が低下する。
この3級アミン化合物のスルホン酸に対するモル比と、本発明に用いられる(F)成分としての粒子状または繊維状の骨材との関係が、ちぢみ模様の柄の安定性に大きく関係している。
【0028】
本発明において、(F)成分は、良好なちぢみ模様の柄の形成及び柄の安定化に寄与するものであり、具体的には、(a)平均粒径40μm以下の有機樹脂粒子、(b)平均粒径100μm以下の無機質ガラス粒子、(c)平均長さ300μm以下の無機質繊維から選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0029】
(a)有機樹脂粒子の平均粒径は40μm以下が好ましいが、より好ましくは35μm以下であり、特に好ましくは30μm以下である。平均粒径が40μmを超える場合は、塗膜外観が悪くなる。有機樹脂粒子の平均粒径の下限値は、通常1μm以上が好ましい。有機樹脂粒子としては、例えば、テクポリマーMBX−5、MBX−12、MBX−30(商品名、積水化成品工業(株)製)などが市販されている。
【0030】
(b)無機質ガラス粒子の平均粒径は100μm以下が好ましいが、より好ましくは80μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。平均粒径が100μmを超える場合は、塗膜外観が悪くなる。無機質ガラス粒子の平均粒径の下限値は、通常1μm以上が好ましい。無機質ガラス粒子としては、例えば、クリスタライトAA、VV−S、VX−S2(商品名、(株)龍森製)、グリーンデンシック#600、#800、#1200(商品名、昭和電工(株)製)などが市販されている。
【0031】
(c)無機質繊維は、平均長さ300μm以下が好ましいが、より好ましくは、平均長さ250μm以下であり、特に好ましくは、平均長さ200μm以下である。無機質繊維の平均長さが300μmを超える場合は、塗膜外観が悪くなる。無機質繊維の平均長さの下限値は、通常5μm以上が好ましい。無機質繊維の平均直径は、通常1〜40μmが好ましい。
無機質繊維としては、例えば、サーフェストランドREV1、REV4、REV8(商品名、日本板硝子(株)製)、EGP200、EGP−200−10、EFH−100−31、EFH150−31(商品名、セントラル硝子(株)製)などが市販されている。
【0032】
本発明においては、(E)成分として、シリケート化合物が用いられる。(E)成分は、塗膜表面の親水化し、耐汚染性能を向上させるものである。
(E)成分のシリケート化合物としては、一般式(1)及び一般式(2)で表されるオルガノシリケート、前記2種のオルガノシリケートのいずれか一方若しくは両者の縮合物又は該縮合物の部分加水分解物を用いることが好ましい。
−Si−(OR (1)
Si−(OR (2)
【0033】
一般式(1)中、Rはフェニル基又は炭素数1〜18のアルキル基であり、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜14であり、特に好ましくは1〜9である。Rで示される有機基の炭素数が18を超えたオルガノシリケート及び/又はその縮合物を用いると、塗膜にした際十分な表面配向性が得られないため塗膜表面が親水化せず、良好な耐汚染性能が得られないことがある。
また、一般式(1)中のRは、炭素数が1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基である。Rで示されるアルキル基の炭素数が6を超えたオルガノシリケート及び/又はその縮合物を用いると、加水分解速度が遅くなることがある。
また、一般式(2)中のRは、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基である。Rで示されるアルキル基の炭素数が6を超えたオルガノシリケート及び/又はその縮合物を用いると、加水分解速度が遅くなることがある。
【0034】
上記一般式(1)の具体例としては、例えば、トリメトキシブチルシラン、トリメトキシエチルシランなどが挙げられる。
上記一般式(2)の具体例としては、例えばテトラヒドロキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシランなどが挙げられる。
これらは1種又は2種以上組合せて使用できる。
【0035】
また、オルガノシリケートの縮合物としては、前記一般式(1)及び一般式(2)で表わされるオルガノシリケートの1種又は2種以上を縮合して得られる分枝状もしくは直鎖状の縮合物であって、縮合度が2〜100の直鎖状のものが好ましい。この縮合度が100を越えると耐汚染性の効果が小さくなり、また塗膜の加工性も低下させるので好ましくない。本発明で用いるオルガノシリケートの縮合物としては、縮合度が2〜50のものが特に好ましい。
オルガノシリケートの縮合物の市販品としては、例えば、MKCシリケートMS51、MS56、MS57、MS58B15(商品名、三菱化学(株)製)、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS−485(商品名、コルコート(株)製)などがある。
【0036】
本発明の(C)〜(F)成分の樹脂組成物中の含有割合は、(A)成分と(B)成分との合計固形分100質量部に対して、(C)成分の脱水剤は固形分で0.1〜10質量部、(D)成分のブロック化スルホン酸化合物は固形分で0.1〜5質量部、(E)成分のシリケート化合物は固形分で0.5〜10質量部、(F)成分の粒子または繊維状骨材は、固形分で1〜30質量部であることが好ましい。
特に好ましい(C)成分の含有量は、0.5〜5質量部であるが、0.1質量部未満では、脱水作用が不十分であり、親水化剤の安定性が十分ではなく、10質量部を超える場合は、ちぢみ模様の柄安定性が得られない。
【0037】
特に好ましい(D)成分の含有量は、0.3〜5質量部であるが、0.1質量部未満では十分な硬化が行われず耐溶剤性が低下し、5質量部を超える場合は過剰な3級アミン化合物により、親水化剤の安定性が低下する。
特に好ましい(E)成分の含有量は、0.5〜5質量部であるが、0.5質量部未満では十分な表面親水化が行われないため、良好な耐汚染性能が得られず、10質量部を超える場合は耐水性能が低下する。
特に好ましい(F)成分の含有量は、5〜25質量部であるが、1質量部未満では安定したちぢみ模様の柄が形成できず、30質量部を超える場合は加工性が低下する。
【0038】
本発明の樹脂組成物には、上記必須成分のほかに必要に応じて、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、黄鉛などの無機顔料;シアニングリーン、シアニンブルーなどの有機顔料;アルミニウム粉、銅粉などの金属粉末;硫酸バリウム、タルク、マイカなどの体質顔料;顔料分散剤、レベリング剤、沈降防止剤、破泡剤などの添加剤および溶剤の1種以上を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を混合して製造される。塗装方法は必要によりキシロール等の溶剤で塗装粘度に希釈して塗装を行い、200〜300℃の高温度で20〜120秒間焼付を行うことにより、ちぢみ模様を有する塗膜を形成することができる。得られる塗膜は加工性が良好であり、短時間で焼付できるためプレコートメタル用の塗料に適しているが、これに限定されず、ポストコート用の塗料としても使用できる。
【0040】
本発明の樹脂組成物をクリヤーまたはカラークリヤー塗料として用いる場合には、鉄、亜鉛鉄板、ステンレス鋼、アルミニウムなどの素材の上に直接塗装してもよく、プライマーを塗装した素材に塗装してもよく、また通常のプレコートメタル鋼板上に塗装してもよい。本発明のちぢみ模様塗料をエナメル塗料として用いる場合には、通常のエナメル塗料と同様に用いればよい。本発明のちぢみ模様塗料はバーコーター、フローコーター、ロールコーター、ロールフローコーター、スプレーガンなどを用いて塗装することができる。また意匠性を高めるためにエンボス鋼板として使用することもできる。
【0041】
本発明の樹脂組成物を塗装後、200〜300℃の高温度で焼付を行うと、表面に近い塗膜中からブロックした3級アミン化合物が遊離して揮発し、同時に遊離したスルホン酸が触媒作用を回復して、表面層だけ早く硬化反応を起こし、その結果ちぢみ模様を有する塗膜が得られ、20〜120秒の短時間で加熱硬化が終了する。生成する塗膜はちりめん模様状の微細な凹凸を2次元的に不特定の方向に有し、凹凸の大きさ、形状等はちぢみ模様塗料の組成、膜厚条件、焼付条件等により変化し、これらを調整することにより任意のちぢみ模様を有する塗膜が得られる。また得られる塗膜は加工性、付着性、耐食性、耐汚染性等が優れており、塗膜形成後に加工を行っても、塗膜の外観、加工性、付着性、耐食性、耐汚染性等は変化しない。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によってなんら制限されるものではない。
(A)成分の水酸基含有アクリル樹脂の製造例
温度計、撹拌機、コンデンサー、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン45質量部、n−酢酸ブチルエステル22質量部を仕込み、その還流温度135℃まで加熱する。次に、撹拌しながら、滴下ロートより、アクリル酸1.3質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.6質量部、スチレン30質量部、メチルメタクリレート6.1質量部、n−ブチルメタクリレート51質量部、及び、ラジカル重合開始剤としてパーブチルZ(商品名、日油(株)製)1質量部の混合物を3時間を要して滴下した。滴下終了1時間後に、前記重合開始剤0.2質量部をキシレン1質量部と共に滴下した後、2時間同温度に保ち、水酸基価50mgKOH/g、酸価10mgKOH/g、固形分60質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。また、GPCによるポリスチレン換算分子量は数平均分子量で9800であった。
【0043】
(D)成分の3級アミン化合物によるブロック化スルホン酸化合物の製造
反応容器にパラトルエンスルホン酸(PTSA)の50質量%イソプロパノール溶液72質量部とトリエチルアミン(TEA、沸点89.4℃)12.7質量部とを混合後、全体が均一になるまで攪拌し、ブロック化スルホン酸化合物(TEA/PTSAモル比(理論値)=0.6)を得た。
上記と同様に理論値でモル比(理論値)が0.3〜0.8になるように計算した、パラトルエンスルホン酸をトリエチルアミンでブロックしたブロック化スルホン酸化合物を得た。
【0044】
<実施例1〜15、実施例17〜18>
プレコートメタル用白色塗料の製造
製造例に示した水酸基含有アクリル樹脂を固形分で80質量部と酸化チタン50質量部と混合溶剤(ソルベッソ#100(エッソ(株)製、商品名:芳香族石油ナフサ)とシクロヘキサノンとを質量部で50/50に混合した溶剤)30質量部とをサンドミルを用いて、顔料の粒度が10μmになるまで分散した。その後、(溶剤を除く各原料を固形分比で記載した)表1及び表2に記載されているその他の原料をそれぞれ添加混合し、白色塗料とした。得られた塗料は、上記混合溶剤により、フォードカップNo.4(25℃)で120±10秒になるように粘度調整を行った。なお、表1及び表2に記載されている原料の配合量は質量部(固形分で表示)である。
【0045】
<実施例16>
プレコートメタル用クリヤー塗料の製造
製造例に示したアクリル樹脂を固形分で60質量部と表2に記載されているその他の原料をそれぞれ添加混合し、クリヤー塗料とした。得られた塗料は、上記混合溶剤により、フォードカップNo.4(25℃)で120±10秒になるように粘度調整を行った。
【0046】
<比較例1〜16>
実施例と同じ要領で酸化チタンを分散し、表4及び表5に記載されている原料をそれぞれ添加混合し、白色塗料とした。得られた塗料は、上記混合溶剤により、フォードカップNo.4(25℃)で120±10秒になるように粘度調整を行った。なお、表4及び表5に記載されている原料の配合量は質量部(固形分で表示)である。
【0047】
表1、表2、表4及び表5中の原料の成分は、以下のものを示す。
1)サイメル303:ヘキサメトキシメチル化メラミン(製品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製、固形分100質量%)
2)OFE:オルソ蟻酸エチルエステル(製品名、日宝化学(株)製、固形分98質量%)
3)MKCシリケートMS56:シリケート化合物(メチルシリケート)(製品名、三菱化学(株)製)
4)MKCシリケートMS58B15:シリケート化合物(15%ブチル基変性されたメチルシリケート)(製品名、三菱化学(株)製)
5)MBX−30:有機樹脂粒子 平均粒径30μm(架橋ポリメタクリル酸メチル)(製品名、積水化成品工業(株)製)
6)MBX−50:有機樹脂粒子 平均粒径50μm(架橋ポリメタクリル酸メチル)(製品名、積水化成品工業(株)製)
7)ブラスティングビーズJ−320:無機質ガラス粒子 平均粒径50μm(製品名、東芝バロティーニ(株)製)
8)ブラスティングビーズJ−46:無機質ガラス粒子 平均粒径360μm(製品名、東芝バロティーニ(株)製)
9)サーフェストランドREV−4:無機質繊維 平均直径13μm、平均長さ70μm(製品名、日本板硝子(株)製)
10)ECS03−350:無機質繊維、平均長さ3mm(製品名、セントラル硝子(株)製)
【0048】
試験片の作成
塗布型クロメート処理を施された板厚0.27mmのガルバリウム鋼板に、エポキシ樹脂系のプライマー(プレカラーHP−32、商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥塗膜厚が5μmになるようにロールコーターで塗装し、PMT(塗布板最高到達温度)が200℃になるような40秒間の条件で焼き付けた。次に、上塗り塗料として実施例1〜18及び比較例1〜16の塗料をロールコーターにて、乾燥塗膜厚が15μmとなるように塗装し、PMTが230℃になるような50秒間の条件で焼き付けた。評価結果を表3及び表6に示す。
【0049】
また、本発明の塗料組成物により得られる塗膜の物性評価は次の方法により行った。
(1)
加工性
20℃の室温にて、幅5cmに切断した試験片について、4Tでは試験片と同ーの塗板を4枚内側にはさみ塗膜を外側にして180度密着曲げを行った。また、6Tでは試験片と同ーの塗板を6枚内側にはさみ塗膜を外側にして180度密着曲げを行った。評価はその後セロハンテープにて剥離し、評価した。
○:剥離が全くない。
△:剥離が10%未満の面積で認められる。
×:剥離が10%以上認められる。
【0050】
(2)親水性
試験片を水中に1時間浸漬したのち、表面の水を除去し、更に1時間乾燥させた後、協和界面科学(株)製FACE自動接触角測定器(CA−Z型)を用いて、接触角の測定を行ない親水性の指標とした。
○:水接触角が60°未満で親水性良好である。
×:水接触角が60°以上で親水性不良である。
【0051】
(3)ちぢみ模様の柄安定性
ちぢみ模様の柄の安定性は次のように目視にて評価した。
○:ちぢみ模様の凹凸感があり、かつ模様が均一であり、親水化剤添加後6時間
を経過しても、それらに変化がなく、良好な意匠性を保っている。
×:親水化剤添加直後、もしくは親水化剤添加6時間経過後にちぢみ模様の凹凸感がない、或いは不均一で意匠性に乏しい。
【0052】
(4)耐溶剤性
ガーゼにキシレンを含ませ、荷重1kgをかけながら塗装鋼板の塗面を100回拭き、塗面を観察した。評価基準は次の通りである。
○:塗面に変化がなく耐溶剤性は良好である。
×:塗膜表面がキシレンで溶解し、耐溶剤性が劣る。
【0053】
(5)耐水性
試験片を40℃の温水に240時間浸漬し、表面の水を除去した後、試験前後での色差(△L値)を測定した。
○:△L値が1未満で耐水性良好である。
×:△L値が1以上で耐水性不良である。
【0054】
(6)耐汚染性
JIS K−5400(2000)8.10の耐汚染性に準じて、試験片表面に10質量%カーボンブラック水分散ペーストを付着させ、50℃恒温下2時間静置した。
その後、流水中で洗浄し、塗膜表面の状態を目視観察し、次の基準に従い耐汚染性能を評価した。
○:試験片のカーボンブラック水分散ペーストの痕跡が残っていない。
×:試験片のカーボンブラック水分散ペーストの痕跡が顕著にある。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
本発明における、(D)成分と(F)成分との適正範囲を図1に示した。
図1において、横軸は、(D)成分のブロック化スルホン酸化合物におけるパラトルエンスルホン酸(PTSA)に対するトリエチルアミン(TEA)のモル比であり、縦軸は(F)成分の粒子又は繊維の添加量である。
図1に示すように、TEA/PTSAのモル比が0.1〜0.9の範囲内であって、(F)成分の添加量が、(A)成分と(B)成分との合計固形分100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内は、ちぢみ模様の柄安定性が良好であり、親水化剤の安定性も良好であり、耐汚染性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、(D)成分のブロック化スルホン酸化合物におけるパラトルエンスルホン酸(PTSA)に対するトリエチルアミン(TEA)のモル比と、(F)成分の粒子又は繊維の添加量とが及ぼす発明の効果との関係を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水酸基価が5〜200mgKOH/g、数平均分子量500〜20,000である水酸基含有アクリル樹脂、
(B)ヘキサキスアルコキシメチル化メラミン樹脂、
(C)脱水剤、
(D)スルホン酸に対してモル比が0.2〜0.9である、沸点が50〜300℃の3級アミン化合物でブロックされたブロック化スルホン酸化合物、
(E)シリケート化合物、及び
(F)(a)平均粒径40μm以下の有機樹脂粒子、(b)平均粒径100μm以下の無機質ガラス粒子、(c)平均長さ300μm以下の無機質繊維から選ばれた少なくとも1種とを含有する樹脂組成物であって、
(A)成分と(B)成分との質量比が固形分で、60/40〜90/10であり、(A)成分と(B)成分との合計固形分100質量部に対して、(C)成分の含有量が固形分で0.1〜10質量部、(D)成分の含有量が固形分で0.1〜5質量部、(E)成分の含有量が固形分で0.5〜10質量部、(F)成分の含有量が固形分で1〜30質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
(E)成分のシリケート化合物が、一般式(1):
−Si−(OR (1)
(式中、Rはフェニル基又は炭素数1〜18のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜6のアルキル基である。)で表されるオルガノシリケート、及び一般式(2):
Si−(OR (2)
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基である。)で表されるオルガノシリケート、前記2種のオルガノシリケートのいずれか一方若しくは両者の縮合物又は該縮合物の部分加水分解物である請求項1に記載の樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−235287(P2009−235287A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85035(P2008−85035)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】