説明

ねじり振動ダンパー

駆動部(1)と結合される駆動側の伝動要素(88)と、従動部(86)と作用結合可能で、駆動側の伝動要素(88)に対し回転偏向可能な従動側の伝動要素(92)と、両伝動要素の間に設けられる緩衝装置(31)とを有し、緩衝システムが駆動側の伝動要素と従動側の伝動要素との間でトルクを伝動させるために用いられるスプリングシステム(14)を備え、スプリングシステムに少なくともリザーバー室(32)を介してガス状媒体を供給可能であるねじり振動ダンパー。スプリングシステム(14)のそれぞれのリザーバー室(32)は、流動媒体を含んでいる、圧力回路(120)の圧力室(27)と作用結合しており、少なくとも、伝動されるべきトルクが変化したときに、それぞれの圧力室(27)に印加される圧力を新たに調整することにより、スプリングシステム(14)の特性曲線を変化したトルクに対し少なくともほぼ整合させる過程を圧力回路(120)により開始可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載のねじり振動ダンパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、駆動側の伝動要素と、該駆動側の伝動要素に対し実質的に同一の回転軸線のまわりに回転偏向可能な従動側の伝動要素と、両伝動要素の間に設けられる緩衝装置とを備えたねじり振動ダンパーが知られている。駆動側の伝動要素は駆動部(たとえば内燃機関のクランク軸)と結合され、従動側の伝動要素は連結装置(たとえば断続可能な摩擦クラッチにより形成される)を介して従動部(たとえば伝動装置入力軸)と作用結合させることができる。緩衝装置は駆動側の伝動要素と従動側の伝動要素との間でトルクを伝動させるためスプリングシステムを備え,スプリングシステムは、多数のガススプリングと、多数の鋼ばねを含んでいる補助スプリングシステムとを有している。鋼ばねはねじり振動時に変形することにより公知の態様で激しい衝撃をより柔軟な振動過程へ変換するのに対し、ガススプリングは衝撃エネルギーを分解させるような緩衝過程のために使用される。このためガススプリングはそれぞれ、空気のようなガス状媒体を含んでいるリザーバー室を筒状室内部に有しており、このガス状媒体は、ガススプリングが圧縮するときに、よってリザーバー室の容積が減少したときに、リザーバー室から絞り穴を介して押し出される。したがって、当然のことながら、ガススプリングが除荷されるときには、よってこれに伴ってリザーバー室内の容積が増大するときには、ガススプリングの周囲から新鮮なガス状媒体が再び絞り穴を介して順次吸い込まれる。これにより、特殊な密封要件がなくても速度依存型の緩衝が実現される。
【0003】
公知のスプリングシステムでは、リザーバー室内部の圧力は、よって緩衝特性は、その都度の変形状態によって生じるものであり、それ故当該技術分野では「パッシブな」スプリングシステムと呼ばれる。絞り穴は考えられるあらゆる負荷状態を考慮して構成されており、したがって1つの妥協手段であるにすぎない。同様の問題は鋼ばねにもあり、その特性曲線を作動時に発生する種々の負荷状態に整合させるには妥協が伴う。
【0004】
鋼ばねのこのような問題に対処するため、特許文献2は、周方向に多数の鋼ばねを直列に配置し、個々の鋼ばねの異なる特性曲線を互いに同調させることで、小さなトルクが発生した場合にはフラットな特性曲線を持つ鋼ばねのみを圧縮させ、トルクが増大するに伴って勾配が急な特性曲線を持つ鋼ばねを変形させるようにした構成を開示している。この場合問題なのは鋼ばねの回転数依存性である。というのは、鋼ばねの巻回部は遠心力が増大するにつれて半径方向外側へ押され、そこで固着するからである。このため、ねじり振動が発生しても、必ずしもねじり振動の導入方向に隣接しあっている鋼ばねが圧縮するとは限らず、その結果緩衝装置が当初ほとんど緩衝作用を提供しないような作動状況が発生することがある。より高い負荷状態になってはじめて鋼ばねはその半径方向外側の固着部から解離することができる。しかしながら、勾配がより急な特性曲線を持つ鋼ばねが周方向に隣接していると、この鋼ばねがさらに高い負荷状態でその半径方向外側の固着部から解離するまで負荷が上昇したときに車両内に不快なガタツキ音が感じられる。したがってこの種の作動態様の場合、総合的に見ると、スプリングシステム全体が活用されるのではなく、常に活用されるのはその一部にすぎない。この問題は、前記特許文献2で設けられる、鋼ばねとその半径方向外側の固着部との間に配置される変位要素により改善されるものの、解消させることはできない。したがってこの種のねじり振動ダンパーでは、分離の点で十分とは言えず、他方緩衝装置の剛性が大きいために、走行時に比較的頻繁に使用される回転数域で固有振動数が発生する。特に問題なのは、ほぼ1000回転/分と2000回転/分との間の下部回転数域であり、エンジントルクが高く、これに対応して高いねじり振動が励起されるので、車両内に轟音が生じる。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10256191A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4128868A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、極端な条件の下でも望ましくない轟音を回避できるようにねじり振動ダンパーの緩衝装置を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1により解決される。作動液のような流動媒体で充填され、空気のようなガス状媒体で充填されるスプリングシステムのリザーバー室に付設され、且つ圧力回路に接続されている圧力室を設けることにより、「アクティブな」液圧・空気圧スプリングシステムが生じる。この「アクティブな」液圧・空気圧スプリングシステムは以下のような可能性を提供する。圧力室内に印加される、よってリザーバー室内に印加される圧力が新たに調整されることによって、スプリングシステムから伝達されるべきトルクが変化すると、スプリングシステムの特性曲線を変化したトルクに対し少なくともほぼ整合させる過程を開始させることができる。本技術分野においては、「完全にアクティブな」スプリングシステムと「部分的にアクティブな」スプリングシステムとは区別され、完全にアクティブなスプリングシステムの場合には、走行により発生するトルクが変化するとすぐに流動媒体を圧力室内へ供給することにより、または、この流動媒体を圧力室から排出させることにより、後調整が行われ、部分的にアクティブなスプリングシステムの場合には、トルクが大きく変化しなければ後調整は行なわれない。もしそうでなければ、スプリングシステムは後調整のないパッシブなスプリングシステムと比較しうるように作動する。したがって部分的にアクティブなスプリングシステムは、完全にアクティブなスプリングシステムと比較すると、制御過程の回数が著しく低減し、加えて高い後調整制御速度という要件が限定されているために、流動媒体が圧力回路と圧力室との間を変位する際の流動速度を、完全にアクティブなスプリングシステムに比べて低くして作動させることができるという利点がある。したがって部分的にアクティブなスプリングシステムには、必要なエネルギーが低いという特徴と、流動媒体の効率的なリザーブは制限的にしか必要でなく、或いは、リザーバーをまったく設けなくともよいという特徴とがある。完全にアクティブなスプリングシステムに比べて部分的にアクティブなスプリングシステムには、ポンプのパワーも少なくて済むという利点もある。
【0008】
変化したトルクに対するスプリングシステムの特性曲線の整合は、スプリングシステムの圧力室内に印加される圧力、よってスプリングシステムの制御室内に印加される圧力を、車両および/または走行状態に伴う条件に応じて新たに調整することによって行なうのが有利である。圧力回路が制御装置および/または調整装置(以下では単に調整装置と記す)と協働する場合には、この調整はたとえば車両制御装置に記憶されている作動点に依存して行なってよく、したがってその都度の車両および/または走行状態に伴う条件に関連付けて圧力室に流動媒体を供給することが可能になる。したがって圧力室内には過圧が含まれるので、ガス状媒体で充填されるリザーバー室内に含まれる周囲に対する過圧の調整が行なわれ、よってスプリングシステムの特性曲線の設定が行なわれる。これにより、駆動部(たとえば内燃機関のクランク軸)のプルモード作動時或いは従動部(たとえば伝動装置入力軸)のプッシュモード作動時に発生するいかなるトルクが印加されても、常にこのトルクに対応する特性曲線がスプリングシステムに提供され、その結果少なくともほぼ常時、スプリングシステムの完全圧縮行程が可能になる。純粋にパッシブなスプリングシステムの場合には、スプリングシステムの特性曲線は使用可能なばね行程をトルクが小さい時点で使用してすでにこの時点で両伝動要素の相対偏向を可能にし、トルクが最大の場合もこのばね行程を使用するようになっているが、本発明によるアクティブなスプリングシステムはこれとは異なり、特性曲線をその都度のトルクに整合させることによってばね行程の「仮想」増倍が可能になる。これに対応して本発明によるねじり振動ダンパーの振動絶縁性の質が高く、また通常の走行条件の下で車両の典型的な回転数域外にある固有振動数は低い。
【0009】
上記のようにねじり振動ダンパーの固有振動数が低いにもかかわらず、共鳴挙動が発生する場合には、圧力室内の圧力を、よってリザーバー室内の圧力を、たとえば最大プレテンションのレベルに上げてこのレベルに維持することができる。したがって、ねじり振動ダンパーの互いに相対回転可能な伝動要素の相対回転運動が十分に回避される。圧力の減少を、よってスプリングシステムのプレテンションの減少を、所定の時間が満了するまで引き伸ばせば、緩衝装置の損傷を効果的に回避することができる。同様に、シリンダオフの状態で且つ点火励起以下のオーダーの作動で圧力室内の圧力を、よってリザーバー室内の圧力を、たとえば最大プレテンションのレベルへ引き上げるのも有利である。
【0010】
同様の処置は、圧力の上昇と降下とが常時移行することによる継続的負荷交替の場合に、スプリングシステムとポンプとの間に設けられる供給リザーバーを完全に空にし、次の圧力室内の圧力変化を保証するために必要な体積流をポンプが液状媒体に提供しないようにするならば、得られる。
【0011】
この処置とは択一的に、または、この処置に加えて、スプリングシステムにそれぞれ回転角制限部を設けてもよい。この回転角制限部は、スプリングシステムとともに、特にスプリングシステムのシリンダとともに、ねじり振動ダンパーの1つの伝動要素に設けられ、他方ねじり振動ダンパーの他の伝動要素には、回転角制限部と協働する、シリンダ内で変位可能な制御ピストンのための制御要素が配置されている。両伝動要素の間の回転角の差が大きすぎると、制御要素がシリンダに対し相対的に周方向に変位して回転角制限部に当接し、これによって両伝動要素の相対変位を終了させる。この回転角制限部に密封部を付設して、両伝動部材間の相対運動の個所からガス状媒体および/または液状媒体が流出するのを阻止するのが有利である。
【0012】
上記の供給リザーバーは、ポンプにより液状媒体で充填することができる。この供給リザーバーにより、かなりの体積流を提供できるので、非常に短時間で圧力室内の圧力をかなり上昇させることができる。同様に圧力室内の圧力を短時間でかなり降下させるため、圧力室とポンプとの間に低圧リザーバーを設けてもよい。低圧リザーバーと圧力室との間に弁のようなアクチュエータを設け、該アクチュエータの貫流横断面積を、圧力回路を制御することで制御可能にするのが有利である。
【0013】
本発明によるねじり振動ダンパーでは、その作用はかなり大きなばね行程を提供するが、それにもかかわらず、スプリングシステムに必要な実際のスペースはその慣性モーメントと同様に小さい。この利点に加えて、スプリングシステムのリザーバー室を拡大させる補助リザーバー室を設け、該補助リザーバー室をリザーバー室と連通させることで、前記利点を失うことなくばね行程をさらに拡大させることができる。これに対応してその都度のトルクに整合したばね剛性を設定することができるので、きわめて高質の振動絶縁性が得られる。
【0014】
圧力回路の少なくともほぼ位置固定の圧力回路部分と、共通の回転軸線のまわりでの伝動要素の回転運動に追従するスプリングシステムとの間を圧力伝動可能に連通させるため、少なくとも1つの回転実施部を設けるのが有利である。この回転実施部は、駆動部または従動部のいずれかに付設することのできる圧力誘導要素を有するのが有利である。
【0015】
従動部に外部の圧力回路部分を付設するには、少なくとも2つの回転実施が必要である。すなわち、圧力回路部分と従動部との間に設けられる第1の回転実施部と、従動部と対応する伝動要素(好ましくは駆動側の伝動要素)との間に設けられる第2の回転実施部とがそれである。液状媒体をスプリングシステムへ転送させるため、駆動側の伝動要素に付設される供給ラインを用いてよい。
【0016】
スプリングシステムは、弾性作用を可能にするガス状媒体用のリザーバー室を備えている。それ故、以下ではスプリングシステムを単に「ガススプリング」と記すことにする。ガススプリングは基本圧力を必要とし、したがって系統的な最小プレテンションを有していなければならないが、それぞれ2つのガススプリングを互いに反作用するように配置すれば、プレテンションのないスプリングに対応するような特性を生じさせることができる。この処置により、ねじり振動ダンパーは最小トルク変化に反応できるばかりでなく、プルモード作動に対してもプッシュモード作動に対しても同等に適している。
【0017】
有利には、それぞれのスプリングシステムの各シリンダを、プルモード作動に対してもプッシュモード作動に対しても適用できるように構成するのがよい。このため、たとえば、シリンダの中央領域を基点として、制御ピストン、密封室、補助分離ピストンのような筒状室の個々の部材を左右対称に配置し、共通の制御室により互いに分離させるのが有利である。同様に、2つのシリンダ半部分の構成部材である圧力室、該圧力室とリザーバー室との間に設けられている分離ピストン、場合によってはリザーバー室に付設される補助リザーバー室も同様の処置をしてよい。この場合、両シリンダ半部分の構成部材を軽量に構成して、ねじり振動が発生した場合、および、伝動されるべきトルクが急激に変化した場合に、小さな慣性を実現させるとともに、筒状収容部全体の慣性をも制限させるのが有利である。
【0018】
スプリングシステムは駆動側の伝動要素および/または従動側の伝動要素と作用結合していてよい。この場合、有利には、ガス状媒体で充填されるそれぞれのシリンダの筒状室も、液状媒体で充填される圧力室も、少なくとも実質的に駆動側の伝動要素に配置し、これに対し圧力室内の圧力を生じさせる圧力設定装置を実質的に従動側の伝動要素に配置するのがよい。
【0019】
圧力設定装置の有利な構成によれば、該圧力設定装置は流体ディスプレーサによって形成されていてよい。流体ディスプレーサは、圧力室として用いられる流体収容部内で変位可能で、たとえば相対回転可能または周方向に変位可能である。或いは、圧力設定装置を、圧力室に付設される圧力室接続部での圧力変化によって形成するようにしてもよい。
【0020】
スプリングシステムは液状媒体で充填される少なくとも1つの圧力室とガス状媒体で充填される少なくとも1つのリザーバー室とを有しているので、これら圧力室とリザーバー室とはそれぞれ分離ピストンによって、場合によっては補助分離ピストンによっても互いに隔絶されている。それぞれの圧力室の粘性媒体は、圧力を生成させるという機能以外にも、分離ピストンまたは場合によっては補助分離ピストンに付設される密封部を潤滑するという機能をももっている。密封部を潤滑する主な目的は、パッキンを「もぎ取りモーメント」を最小限にとどめること、すなわちパッキンを介して摩擦で分離ピストンを付設の室壁に付着させずに、室壁から解離させてしまうようなモーメントを最小限にとどめることである。これにより分離ピストンは極めて小さな負荷交替変化が生じても柔軟に変位することができる。
【0021】
合目的には、軸線方向においてねじり振動ダンパーの両伝動要素の間にスラストエネルギーリザーバーを設け、たとえば、付設のスプリングシステムのための制御要素を有している制御要素担持体と従動側のフライホイールとの間にスラストエネルギーリザーバーを設けるのがよい。これにより制御要素担持体は、よって制御要素は、駆動部側の方向へ予め緊張せしめられ、このことは、ばね荷重される摩擦クラッチを従動側のフライホイールによって受容する際に有利である。
【0022】
本発明の他の実施態様によれば、スプリングシステムのシリンダを周方向に変位可能に担持装置に収容し、該担持装置が両伝動要素に対し相対回転可能であり、且つこれら伝動要素に対し心合わせされているのが有利である。担持装置は少なくとも一方の伝動要素(この場合、好ましくは駆動側の伝動要素)のための貫通部を有している。シリンダをこのように受容すると、シリンダ内に配置されている補助的な制御ピストンの代わりに、シリンダ全部を周方向に変位可能とすることで、ただ1つの制御ピストンだけを用いて2つの可能な回転方向、すなわちプルモード作動時の回転方向とプッシュモード作動時の回転方向とを実現させることが可能になる。このため、各シリンダは心合わせセグメントを備え、該心合わせセグメントを介してシリンダは半径方向および軸線方向において担持装置内に位置決めされ、しかし周方向においては心合わせセグメントに対し相対変位を実施することができる。この構成において弾性運動が可能であるのは、一方の伝動要素の制御要素により制御ピストンが該制御ピストンを取り囲んでいるシリンダに対し変位するためであり、或いは、他の伝動要素の制御要素によりシリンダが制御ピストンに対し変位するためである。
【0023】
総じて、この実施形態により、前記第2の制御ピストン以外にも、該制御ピストンに付設されている密封室も、また同様に制御ピストンに付設されている分離ピストンも付勢させることができる。
【0024】
本発明の他の実施態様によれば、圧力室の主圧力室部分は、その周側の端部にそれぞれ1つの制御ピストンを有し、且つ少なくとも1つの圧力室通路により圧力室の補助圧力室部分連通しており、補助圧力室部分は密封室と分離ピストンとを介してリザーバー室と連通している。この場合、圧力誘導要素から第2の回転実施部を介して主圧力室部分に通じている流体ラインは、複数個の制御ピストンのうちの少なくとも1個の制御ピストンの延在領域において圧力室接続部により運動不能に収容されている。この実施態様では、圧力設定装置はもっぱら液圧で作動するので、リザーバー室内にある分離ピストンはリザーバー室内に含まれている粘性物質を完全に圧縮させる。したがって、リザーバー室内の他の分離ピストンを設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1から図7まではねじり振動ダンパー2を示している。ねじり振動ダンパー2は、図4から最もわかるように、有利には内燃機関のクランク軸3によって形成される駆動部1に結合要素4により固定されている。結合要素4はラジアルフランジ5の繰り抜き部5を貫通している。ラジアルフランジ5は周囲リング42とおよび密閉カバー44とともに流体収容室18を形成している。流体収容室18は流体ディスプレーサ20を取り囲んでいる。ラジアルリング5は半径方向内側領域に第1次ハブ7を有し、第1次ハブ7は支持部54を介して流体ディスプレーサ20を該流体ディスプレーサの第2次ハブ8に関し心合わせさせて、軸線方向に位置決めさせる。
【0026】
流体収容室18には、該流体収容室を半径方向において取り囲むように筒状収容部15が固定されている。筒状収容部15はそれぞれ横断面にて円形の筒状室13(図6)を備えているシリンダ12(図5)の形態の液圧・空気圧スプリングシステム14を収容するためのもので、ギヤリング9が係合している。図5に図示したねじり振動ダンパー2の実施形態では、これらシリンダ12のうち4個のシリンダ12が周方向に設けられ、4個のシリンダ12のうちそれぞれ2個のシリンダ12は互いに逆方向に作用し、その結果それぞれ1個のシリンダ第1の変位方向においてプルモード作動のために設けられており、それぞれ他のシリンダ12は第2の変位方向においてプッシュモード作動のために設けられている。同様のシチュエーションは残りのシリンダ12に対しても適用される。
【0027】
それぞれのスプリングシステム14は、たとえば空気のようなガス状媒体で充填されるリザーバー室32と、たとえば液圧作動液のような液状媒体で充填される、圧力室27の圧力室部分29と、パッキン22により両室27,32を互いに隔絶させている分離ピストン30とから構成されている。分離ピストン30は、その幾何学的形態に関し、少なくともほぼ筒状室13の横断面形状に整合している。なお、それぞれのリザーバー室32はガス状媒体の充填および取り出し用のそれぞれ1つのリザーバー室接続部33を備えており、またそれぞれ2つの、互いに反作用するリザーバー室32は、位置固定の仕切り壁36によって互いに隔絶されている。
【0028】
圧力室部分29は、それぞれ1つのリザーバー室通路35を介して、圧力室27の圧力室部分28と連通している。圧力室部分28は、半径方向において、流体収容室18と流体ディスプレーサ20の受容リング46との間に延在している。圧力室部分28は、周方向においては、受容リング46に設けられて周囲リング42の方向へ延在しているそれぞれ1つの流体排除要素23と、周囲リング42に設けられて受容リング46の方向へ延在している流体制御要素24との間に延在している。圧力室部分28は圧力室27の主圧力室部分として用いられ、圧力室部分29は圧力室27の補助圧力室部分として用いられる。圧力室27への粘性媒体の供給について説明する前に、以下の点を指摘しておく。すなわち、流体収容部20は、公知の態様で(よって図示していない)摩擦クラッチのクラッチ板に当接可能な摩擦面57を有する従動側のフライホイール体56を相対回転不能に結合させるために用いられるものである。このようにして、摩擦クラッチの連結状態で駆動部1と従動部86との間でトルク伝達が行なわれ、或いは、摩擦クラッチの非連結状態で前記トルク伝達は中断される。従動側のフライホイール体と結合されるこの種の摩擦クラッチは、独国特許出願公開第102004012425A1号明細書から知られており、よってこれに関してはこの刊行物の内容を本明細書に取り込むことにする。駆動部1により、流体収容室18およびギヤリング9を含めた筒状収容部14との連係で、ねじり振動ダンパー2の駆動側の伝動要素88が形成され、これに対し、流体ディスプレーサー18により、第2の回転実施部104の図示していない摩擦クラッチの従動側フライホイール体56および従動部86との連係で、ねじり振動ダンパー2の従動側の伝動要素92が形成される。両伝動要素88,92はそれぞれ実質的に同一の回転軸線99に対し心合わせされている。
【0029】
前述した駆動側の伝動要素88にギヤリング9を配置する構成は以下の理由から有利である。始動時に駆動側の伝動要素88は変位するが、従動側の伝動要素92は位置固定のままである。これにより供給リザーバー136からの流動媒体の吸い上げが行なわれ、よってスプリングシステム14のプレテンションが増大する。プレテンションは、スプリングシステム14により始動過程が補助されるように選定されている。この作用が望ましくなければ、リングギヤ9を従動側の伝動要素92に設けてもよい。
【0030】
圧力室27と、特にここでは主圧力室部分28とは、流体導管38と39(図6および図7)を備えた供給ライン34を介して、それぞれ圧力円形部材109内に設けられている半径方向貫通部112に接続されている。半径方向貫通部112は、圧力誘導要素85として設けられている、伝動装置入力軸84の形態の従動部86の、一体の圧力管108として用いられる流動管路50,51(図4)と圧力伝動可能に連通している。流動管路50,51は、他端で、それぞれ圧力円形部材101の半径方向貫通部106を介して、流体導管102と103によって形成される供給ライン100と圧力伝動可能に接続している。従動側の圧力円形部材101は従動部86とともに第1の回転実施部98として作用し、他方駆動側の圧力円形部材109は従動部とともに第2の回転実施部114として用いられる。
【0031】
ねじり振動ダンパー2は、第1の回転実施部98を介して、図8に概略的に図示した圧力回路120の圧力回路部分121と協働する。この場合、流体導管12は供給側でアクチュエータ142を介して、流体導管103はアクチュエータ143を介してそれぞれアクチュエータ144に接続されている。アクチュエータ144は、所定の過圧を発生させることのできる供給リザーバー136を介して、電動機の形態のポンプ駆動部139と接続されているポンプ138の圧力出力部Dに接続されている。ポンプ138の第1の吸込み接続部S1は圧力源152と連通し、第2の吸込み接続部S2はアクチュエータ145と連通している。アクチュエータ145は、アクチュエータ146を介して流体導管102と連通しているか、或いは、アクチュエータ147を介して流体導管103と連通している。これとは択一的に、アクチュエータ146と147を、1つのアクチュエータ148を介して、アクチュエータ149を介してポンプ138の第2のアクチュエータS2と連通している低圧リザーバー132に接続させてもよい。すべてのアクチュエータ142ないし149と、ポンプ駆動部139と、流体収容室20に対する流体ディスプレーサ20の相対変位を表示させるために該流体ディスプレーサ20に固定されているセンサ150とは、制御および/または調整装置129(以下では単にコントローラ129と記す)に接続されている。コントローラ129はセンサ150から信号を受信し、この信号を出力することにより、ポンプ駆動部139の作動態様と、アクチュエータ142ないし149の電磁石の切換え位置とを特定する。なお、アクチュエータ142と144により第1のアクチュエータグループ122が形成され、アクチュエータ143と144により第2のアクチュエータグループ123が形成され、アクチュエータ145と146により第3のアクチュエータグループ124が、アクチュエータ145と147により第4のアクチュエータグループ124が形成される。
【0032】
以下に圧力回路120と連係するガススプリングシステム14の作用について説明するが、プルモード作動に関与するガススプリングシステム14の個々の部材に対してはそれぞれの符号にインデックスaを付し、プッシュモード作動に関与するガススプリングシステム14の個々の部材に対してはそれぞれの符号にインデックスbを付して説明する。図8のガススプリングシステム14も同様に符号化されているが、図8においてガススプリングシステムは概略的に図示されている。
【0033】
プルモード作動の場合、駆動側の伝動要素88は、よって流体収容室18は、流体ディスプレーサ20に力が作用するような方向(図8では矢印Zで示した)に変位する。これにより、圧力室27a内に含まれている粘性媒体はリザーバー室32aの方向へ変位し、その際分離ピストン30aを仕切り壁36の方向へ移動させる。これにより、リザーバー室32a内に含まれているガス状媒体が圧縮され、導入されたトルクが弾性的に緩衝される。逆に、プッシュモード作動の場合には、従動側の伝動要素92が、よって流体ディスプレーサ20が、該流体ディスプレーサ20に力が作用するような方向(図8では矢印Sで示した)に変位する。これにより、圧力室27b内に含まれている粘性媒体はリザーバー室32bの方向へ変位し、その際分離ピストン30bを仕切り壁36の方向へ移動させる。これにより、リザーバー室32b内に含まれているガス状媒体が圧縮され、導入されたトルクは弾性的に緩衝される。
【0034】
圧力室37a内の圧力を増大させるため、第1のアクチュエータグループ122のアクチュエータ142と144はコントローラ129によって「開」に調整され、その結果供給リザーバー136内に集積していた粘性媒体が圧力室27a内へ誘導され、これにより分離ピストン30aが仕切り壁36の方向へ変位する。これによりリザーバー室32a内の圧力も増大し、その結果より大きなばね剛性の効果が得られる。この段階で第3のアクチュエータグループ124のアクチュエータ145と146がその遮断位置へ調整され、粘性媒体の通過が阻止される。すでにこの過程の間にポンプ138はその第1の吸込み接続部S1を介して圧力源152から新鮮な粘性媒体を受け取ることにより、該ポンプ138は供給リザーバー136の再充填を確保する。
【0035】
これに対し、圧力室27a内の圧力を降下させるには、第1のアクチュエータグループ122のアクチュエータ142と144をその遮断位置へ移動させ、これに対し第3のアクチュエータグループ124のアクチュエータ145と146を「開」へ調整する。このようにして粘性媒体を圧力室27aから第3のアクチュエータグループ124と第2の吸込み接続部S2とを介して吸い出して、ポンプ138により供給リザーバー136および/または圧力源152へ供給することができる。しかし、これとは択一的に、粘性媒体をアクチュエータ146と148を介して低圧リザーバー132へ供給し、そこからアクチュエータ149を介してポンプ138の第2の吸込み接続部S2へ供給し、そこで吸い出すようにしてもよい。低圧リザーバー132により圧力室27aからの粘性媒体の吸出しを加速させることができる。この処置によりリザーバー室32a内の圧力が降下し、その結果より小さなばね剛性の効果が得られる。
【0036】
圧力室27b内の圧力を増大させるには、第2のアクチュエータグループ123のアクチュエータ143と144をコントローラ129により「開」へ調整し、その結果供給リザーバー136内に集積していた粘性媒体が圧力室27b内へ誘導され、これにより分離ピストン30bを仕切り壁36の方向へ変位させる。これによってリザーバー室32b内の圧力も上昇し、その結果より大きなばね剛性の効果が得られる。この段階で第4のアクチュエータグループ125のアクチュエータ145と147はその遮断位置に調整されており、該遮断位置において粘性媒体の通過が阻止されている。すでにこの過程の間にポンプ138はその第1の吸込み接続部S1を介して圧力源152から新鮮な粘性媒体を受け取ることにより、該ポンプ138は供給リザーバー136の再充填を確保する。
【0037】
これに対し、圧力室27b内の圧力を降下させるには、第2のアクチュエータグループ123のアクチュエータ143と145をその遮断位置へ移動させ、これに対し第4のアクチュエータグループ125のアクチュエータ145と147を「開」へ調整する。このようにして粘性媒体を圧力室27bから第4のアクチュエータグループ125と第2の吸込み接続部S2とを介して吸い出して、ポンプ138により供給リザーバー136および/または圧力源152へ供給することができる。しかし、これとは択一的に、粘性媒体をアクチュエータ146と148を介して低圧リザーバー132へ供給し、そこからアクチュエータ149を介してポンプ138の第2の吸込み接続部S2へ供給し、そこで吸い出すようにしてもよい。低圧リザーバー132により圧力室27bからの粘性媒体の吸出しを第4のアクチュエータグループ125を介して加速させることができる。この処置によりリザーバー室32b内の圧力が降下し、その結果より小さなばね剛性の効果が得られる。
【0038】
圧力回路120の供給ライン100の流体導管102または103を介して導入される粘性媒体は、従動部86に一体に設けた圧力導管108の流動管路50,51において第1の回転実施部98(図4)を通過した後、第2の回転実施部114へ転送され、ここから供給ライン34の流体導管38,39(図7)を介してスプリングシステム14に達する。この場合、圧力室27内に液状媒体が導入された結果、圧力が上昇すればするほど、分離ピストン30(図5)が仕切り壁36の方向へ変位することにより、スプリングシステム14のリザーバー室32内のガス状媒体の圧力も上昇し、よってこのスプリングシステム14のトルク伝動能も高くなる。このようにして、図9に図示したスプリングシステム14のそれぞれの特性曲線を、伝動されるべきトルクに関連付けられるトルク量に整合させる。この整合により、現在の負荷状態に関連付けられる特性曲線が実現され、その結果この特性曲線においてスプリングシステム14が提供できる全ばね行程を、負荷変動のためにねじり振動が発生したときにこれを緩衝させるために使用できる。もちろん、圧力室27内の圧力をさらに高めることによって、それ故リザーバー室32内の圧力をさらに高めることによって、したがってもう一度より高い特性曲線を実現することによって、更なる負荷増大を補整してもよい。これに対して、圧力室27内の圧力降下による負荷減少、それ故リザーバー室32内の圧力降下による負荷減少は、より低い特性曲線を実現させる。なお、図9の特性曲線は、その都度のトルクMと、スプリングシステム14によって提供される偏向角Φとの関係を示している。個々の特性曲線間の移行は、予め決定可能な大きさのステップで行なうことができ、或いは、少なくともほぼ連続的に行なうことができる。
【0039】
図10および図11と図16および図17は、ねじり振動ダンパー2の他の実施形態を示すものである。この実施形態においても、図10から最もわかるように、ねじり振動ダンパー2は、有利には内燃機関のクランク軸3によって形成される駆動部1に結合要素4を用いて結合されている。結合要素4は、軸線方向延設部21とカバー要素73とともにスプリングシステム14用の収容室80を形成しているラジアルフランジ5を貫通している。ラジアルフランジ5は、半径方向内側領域に、支持部54を介して制御要素担持体58を該制御要素担持体の第2次ハブ8に対し心合わせして軸線方向に位置決めしている第1次ハブ7を有している。
【0040】
収容室80は、ラジアルフランジ5と相対回転不能に結合されている筒状収容部15を取り囲んでいる。筒状収容部15は、2つのスプリングシステム14を収容するため、半径方向外側の、ほぼリング状の収容シェル62と、半径方向内側の、同様にほぼリング状の補助収容シェル70とを有している。図11が詳細に示しているように、それぞれのスプリングシステム14は、ほぼ円形の横断面を持った筒状室13(図17)を有している筒体12を備えている。図11がもっとも明確に示しているように、筒状室13内にはそれぞれ、周方向において端部側に制御ピストン17が周方向に変位可能に配置されている。制御ピストン17はそれぞれ中空管78から成り、そのリザーバー室32側の端部にピストンプランジャー25を備えている。この中空管78はねじり振動ダンパー2の回転軸線99のまわりに所定の曲率で形成されている。この曲率のために、それぞれの制御ピストン17は、ラジアルフランジ5に設けられている駆動側の制御要素37によりそれぞれの制御ピストン17が周方向に付勢されると、同じ曲率で形成されている筒状室13内を周方向に変位可能である。このため、駆動側の制御要素37は第1の貫通穴64を介して収容シェル62の中へ突出している。駆動側の制御要素37による制御ピストン17の付勢は、それぞれの制御ピストン17のピストンプランジャー25とは逆の側で行なわれる。
【0041】
収容シェル62内には、第1の貫通穴64に対し半径方向にずらして第2の貫通穴66が設けられている。第2の貫通穴66は第1の貫通穴64とは異なる延在距離、本実施形態では第1の貫通穴64の延在距離よりも大きな延在距離を有している。したがって、両貫通穴64,66のそれぞれの周側端部153,154も収容シェル62の異なる周範囲にある。第2の貫通穴66を従動側の制御要素49が貫通しており、この場合該制御要素49は制御要素担持体58に設けられている。それぞれの貫通穴64,66のそれぞれの制御要素37,49と周側端部153,154との間にはそれぞれ周方向の遊びが設けられているため、駆動側の筒状収容室15と駆動側の伝動要素88との間に従動側の制御要素担持体58に対する、よって従動側の伝動要素92に対する相対回転偏向が生じる。その結果、貫通穴64,66の周側端部153,154は伝要素88,92間のストッパーとして作用する。
【0042】
それぞれの制御ピストン17のピストンプランジャー125に隣接するように、粘性媒体で充填されるそれぞれ1つの密封室61と、それぞれ1つの補助分離ピストン48とが接続している。補助分離ピストン48の、密封室61とは逆の側は、両制御ピストン17に共通の、リザーバー室32の主リザーバー室部分59に境を接している。この主リザーバー室部分59は制御要素通路35により補助リザーバー室部分60と連通しており、補助リザーバー室部分60は分離ピストン30および圧力室27とともに補助収容シェル70内に収容されている。この場合分離ピストン30は、すでに述べたように、粘性媒体で充填される圧力室27を、ガス状媒体で充填されるリザーバー室32に対し隔絶させるために用いる。同様の課題は補助分離ピストン48にも与えられている。この場合、密封室62はねじり振動ダンパー2の周囲に対するリザーバー室32の密封を補助する粘性媒体を提供し、粘性媒体は、これに加えて、補助分離ピストンのための潤滑剤、特にそれぞれの制御ピストン17のための潤滑剤としても用いる。
【0043】
図16および図17が詳細に示しているように、筒状収容部15の圧力室27には流体導管38が接続され、筒状収容部15の他の圧力室27には流体導管39が接続されている。これら2つの流体導管38,39は供給導管34として用いられ、その圧力室27とは逆の側の端部は流動媒体のための分配手段として用いられる第2の圧力回路部分109に接続されている。この圧力回路部分109は半径方向貫通部112を有し、半径方向貫通部112は圧力誘導要素85内に組み込まれて延在している圧力導管108に連通している。圧力誘導要素85はここでは従動部86によって形成されている。圧力誘導要素85との連係で第2の圧力回路部分109によって第2の回転実施部114が形成されるのに対し、第1の回転実施部は図示されていないが、ねじり振動ダンパー2に対する空間的配置に関して、且つ圧力回路120の外部の圧力回路部分121との結合に関しては、図4および図8を用いて説明した第1の回転実施部98と同じである。
【0044】
スプリングシステム14のこの実施形態では、プルモード作動時に駆動側の制御要素37により各シリンダ12の制御ピストン17が付勢されるが、プッシュモード作動時にはこのシリンダ12の他の制御ピストン17が付勢される。
【0045】
プルモード作動でねじり振動が発生すると、駆動側の伝動要素88は、よって対応する制御ピストン17は、たとえば図11の右側に図示したシリンダ12の上側の制御ピストン17は、駆動側の制御要素37によって筒状室13内へより深く押し込まれ、これによってリザーバー室32内に含まれているガス状媒体を圧縮させて、導入されたトルクとリザーバー室32内の圧力とが平衡状態になる。逆に、プッシュモード作動でねじり振動が発生すると、従動側の伝動要素92が、よって対応する制御ピストン17が、すなわち図11において右側に図示したシリンダ12の下側の制御ピストン17が、従動側の制御要素49によって筒状室13内へより深く押し込まれ、これによってリザーバー室32内に含まれているガス状媒体を圧縮させて、導入されたトルクとリザーバー室32内の圧力とが平衡状態になる。
【0046】
図11において筒状収容部15の左側のシリンダ12は上記のシリンダ12と比較可能であるように作動するので、説明を繰り返す必要はない。
【0047】
圧力室27内の圧力を増大させるには、図示していない第1の回転実施部と第2の回転実施部114とを介して粘性媒体を圧力室27内に供給し、圧力を降下させるにはその都度取り出す。したがって、ねじり振動ダンパー2のこの実施形態では、供給ライン34は図8に図示した圧力回路120との連係で圧力設定装置127の機能を有している。圧力室27内の圧力を増大させることにより、よってリザーバー室32内の圧力を増大させることにより、より大きなばねプレストレス効果とより大きなばね剛性効果とが得られ、これに対し圧力室内の圧力を降下させることにより、より小さなばねプレストレス効果とより小さなばね剛性効果とが得られる。このようにして、図9に図示したスプリングシステム14のそれぞれの特性曲線を、伝動されるべきトルクに付随のトルク量に整合させる。この整合により、現在の負荷状態に最適に関連付けられる特性曲線が実現され、その結果この特性曲線においてスプリングシステム14が提供できる全ばね行程を、負荷変動のためにねじり振動が発生したときにこれを緩衝させるために使用できる。もちろん、圧力室27内の圧力をさらに高めることによって、それ故リザーバー室32内の圧力をさらに高めることによって、したがってもう一度より高い特性曲線を実現することによって、更なる負荷増大を補整してもよい。これに対して、圧力室27内の圧力降下による負荷減少、それ故リザーバー室32内の圧力降下による負荷減少は、より低い特性曲線を実現させる。なお、個々の特性曲線間の移行は、予め決定可能な大きさのステップで行なうことができ、或いは、少なくともほぼ連続的に行なうことができる。
【0048】
図12および図13には、ねじり振動ダンパー2の他の実施形態が図示されている。図10および図11の実施形態に比べると、1個のシリンダ12につき1個の制御ピストン17と同じ機能性で付設されている補助分離ピストン48とが節減されているので、個々のシリンダ12はピストン収容部15に対し、よってこのピストン収容部15を相対回転不能に保持している伝動要素(本実施形態の場合、駆動側の伝動要素88)に対し相対的に運動可能でなければならない。このため、それぞれのシリンダ12は担持装置82に収容されている。担持装置82は、支持部155(図13)を用いて、本実施形態ではころ軸受を用いて、ラジアルフランジ5と相対回転不能に結合されている、駆動側の伝動要素88の担持リング156上で心合わせされ、軸線方向に位置決めされているが、回転軸線99のまわりに相対回転運動可能であってもよい。また、従動側の伝動要素92に対して相対回転不能であってもよく、この場合には、従動側の伝動要素92は第2次ハブ8を用いて駆動側の伝動要素88の第1次ハブ7上に回転可能に配置される。
【0049】
ラジアルフランジ5にも、該ラジアルフランジと相対回転不能に結合されているカバー要素73にも、それぞれ折り曲げ部157,158が設けられている。折り曲げ部157,158は駆動側の制御要素37として用いられ、その自由端は担持装置82の貫通部93内へ突出して、隣接している制御ピストン17に作用し、該制御ピストン17をたとえばプルモード作動で筒状室13内へより深く変位させる。スプリングシステム14をプッシュモード作動で逆方向へ偏向させるため、シリンダ12全体を変位させ、すなわちそれぞれのシリンダ12の心合わせセグメント94に作用する従動側の制御要素49を介して変位させる。それぞれの制御要素37,49の係合を確実にさせるため、制御要素37,49はそれぞれに付設の溝と協働する。この場合、駆動側の制御要素37にはそれぞれ1つの第1の溝95が付設され、従動側の制御要素45にはそれぞれ1つの第2の溝96が付設されている。
【0050】
図14および図15もねじり振動ダンパー2の1実施形態を示しており、この実施形態では、筒状収容部15は駆動側の伝動要素88の相対回転不能な構成要素を形成している。筒状収容部15は収容シェル62と補助収容シェル70とを有し、両収容シェル62と70は互いに半径方向に設けられている。補助収容シェル70がその筒状室13の周側端部にそれぞれ1つの制御ピストン17を収容し、圧力室27の主圧力室部分として用いられるのに対し、収容シェル62内には、圧力室27の補助圧力室部分29と分離ピストン30とが設けられている。すなわち、この実施形態では、スプリングシステム14の制御はもっぱら液圧で行われ、筒状収容部15の両シリンダ12のそれぞれはいずれも1つの回転方向に対してのみ有効であり、すなわちプルモード作動またはプッシュモード作動のいずれかに対してのみ有効である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】圧力設定装置が流体ディスプレーサによって形成されている、液圧・空気圧式スプリングシステムを備えたねじり振動ダンパーの分解図である。
【図2】図1のA方向に見たねじり振動ダンパーの図である。
【図3】図2のB方向に見たねじり振動ダンパーの図である。
【図4】図2の線V−Vによる断面図である。
【図5】図3の線IV−IVによる断面図である。
【図6】図2の線VI−VIによる断面図である。
【図7】図3の線VII−VIIによる断面図である。
【図8】スプリングシステムに液状媒体を供給するための圧力回路の概略図である。
【図9】スプリングシステムの特性曲線を示す図である。
【図10】ねじり振動ダンパーおよびスプリングシステムの他の実施形態の分解図である。
【図11】ねじり振動ダンパーの駆動側の伝動要素を図10のA方向から見た断面図である。
【図12】図11と同様の図であるが、ねじり振動ダンパーの他の実施態様をも併せて示した図である。
【図13】図12の線XIII−XIIIによるねじり振動ダンパーの断面図である。
【図14】図11と同様の図であるが、ねじり振動ダンパーの他の実施態様をも併せて示した図である。
【図15】図14の線XV−XVによるねじり振動ダンパーの断面図である。
【図16】図10および図11によるねじり振動ダンパーの実施形態において、粘性媒体の供給通路を図10のA方向に見た図である。
【図17】図16の線XVII−XVIIによるねじり振動ダンパーの断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 駆動部
2 ねじり振動ダンパー
3 クランク軸
4 結合要素
5 ラジアルフランジ
6 凹部
7 第1次ハブ
8 第2次ハブ
9 リングギヤ
12 シリンダ
13 筒状室
14 スプリングシステム
15 シリンダ収容部
17 制御ピストン
18 流体受容部
20 流体ディスプレーサ
21 軸線方向延設部
22 密封部
23 流体排除要素
24 流体せき止め要素
25 ピストンプランジャー
27 圧力室
28 主圧力室部分
29 補助圧力室部分
30 分離ピストン
31 緩衝装置
32 リザーバー室
33 リザーバー室接続部
34 供給ライン
35 リザーバー室通路
36 仕切り壁
37 駆動側の制御要素
38 流体ライン
39 流体ライン
42 周囲リング
44 接続カバー
46 収容リング
48 補助分離ピストン
49 従動側の制御要素
50 流動管路
51 流動管路
54 支持部
56 従動側のフライホイール
57 摩擦面
58 制御要素担持体
59 主リザーバー室部分
60 補助リザーバー室部分
61 密封室
62 収容シェル
66 第2の貫通穴
68 圧力室通路
70 補助収容シェル
72 圧力室接続部
73 カバー要素
74 スラストエネルギーリザーバー
75 支持面
76 回転角制限部
78 中空管
80 収容室
82 担持装置
84 伝動装置入力軸
85 圧力誘導要素
86 従動部
88 駆動側の伝動要素
92 従動側の伝動要素
93 貫通部
94 心合わせセグメント
95 第1の溝部
96 第2の溝部
98 第1の回転実施部
99 回転軸線
100 供給ライン
101 第1の圧力回路部分
102 液体導管
103 液体導管
106 半径方向貫通部
108 一体の圧力導管
109 第2の圧力回路部分
112 半径方向貫通部
114 第2の回転実施部
120 圧力回路
121 外部の圧力回路部分
122 第1のアクチュエータグループ
123 第2のアクチュエータグループ
124 第3のアクチュエータグループ
125 第4のアクチュエータグループ
127 圧力設定装置
129 制御装置および/または調整装置
132 低圧リザーバー
136 供給リザーバー
138 ポンプ
139 ポンプ駆動部
142,143 アクチュエータ
144,145 アクチュエータ
146,147 アクチュエータ
148,149 アクチュエータ
150 センサ
152 圧力源
153 周側端部
154 周側端部
155 支持部
156 慣性リング
157 折り曲げ部
158 折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と結合される駆動側の伝動要素と、従動部と作用結合可能で、駆動側の伝動要素に対し回転偏向可能な従動側の伝動要素と、両伝動要素の間に設けられる緩衝装置とを有し、緩衝システムが駆動側の伝動要素と従動側の伝動要素との間でトルクを伝動させるために用いられるスプリングシステムを備え、スプリングシステムに少なくともリザーバー室を介してガス状媒体を供給可能であるねじり振動ダンパーにおいて、
スプリングシステム(14)のそれぞれのリザーバー室(32)が、流動媒体を含んでいる、圧力回路(120)の圧力室(27)と作用結合しており、少なくとも、伝動されるべきトルクが変化したときに、それぞれの圧力室(27)に印加される圧力を新たに調整することにより、スプリングシステム(14)の特性曲線を変化したトルクに対し少なくともほぼ整合させる過程を圧力回路(120)により開始可能であることを特徴とするねじり振動ダンパー。
【請求項2】
それぞれの圧力室(27)が少なくとも1つの伝動要素(88)によって受容され、伝動要素(88,92)の外側に外側の圧力回路部分(121)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項3】
外側の圧力回路部分(121)が、互いに相対的に運動可能な圧力回路要素(101,85;109,85)を備えた少なくとも1つの回転実施部(98,114)を介して、それぞれの圧力室(27)と圧力伝動可能に結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項4】
外側の圧力回路部分(121)が少なくとも1つのポンプ(138)を有し、ポンプ(138)が供給ライン(100)と第1の回転実施部(98)とを介して圧力誘導要素(85)と圧力伝動可能に結合していること、圧力誘導要素(85)が、第2の回転実施部(114)を介して、それぞれの圧力室(27)に連通している少なくとも1つの供給ライン(34)と圧力伝動可能に結合していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項5】
圧力誘導要素(85)が、両回転実施部(98,114)間で圧力を伝動させる圧力結合部としての圧力導管(108)を一体に有していることを特徴とする、請求項4に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項6】
圧力誘導要素(85)を従動部(86)によって形成させることを特徴とする、請求項4または5に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項7】
圧力誘導要素(85)から第2の回転実施部(114)を介してそれぞれの圧力室(27)に連通している供給ライン(34)が、圧力室(27)の数量に依存した数量の流体導管(38,39)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項8】
圧力誘導要素(85)から第1の回転実施部(98)を介してポンプ(138)に連通している供給ライン(100)が、圧力室(27)の数量に依存した数量の流体導管(102,103)を有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項9】
第1の回転実施部(98)が外側の圧力回路部分(121)の一部である圧力回路要素(101)を有していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項10】
第2の回転実施部(114)が圧力室(27)を受容している伝動要素(92)の一部である圧力回路要素(109)を有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項11】
圧力回路(120)の圧力室(27)が、少なくとも1つの分離ピストン(30)を介して、スプリングシステム(14)のそれぞれのリザーバー室(32)と圧力伝動可能に結合していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項12】
分離ピストン(30)が、それぞれのスプリングシステム(14)の少なくとも1つのシリンダ(12)であって筒状収容部(15)内に含まれている前記少なくとも1つのシリンダ(12)の筒状室(13)内に、筒状室(13)の延在方向に変位可能に配置され、且つ分離ピストン(30)は、圧力室(27)内の粘性媒体とリザーバー室(32)内のガス状媒体との交換を少なくとも制限しているパッキン(22)と協働することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項13】
スプリングシステム(14)のリザーバー室(32)内で支配的な圧力を設定するため、対応する圧力室(27)内の圧力を調整する少なくとも1つの圧力設定装置(127)がスプリングシステム(14)に付設されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項14】
筒状室(13)が、スプリングシステム(14)の圧力室(27)または主圧力室部分(28)と同様に、周方向においてほぼリング状であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項15】
スプリングシステム(14)の筒状室(13)が、圧力室(27)と同様に、少なくとも実質的に駆動側の伝動要素(88)に受容され、圧力室(27)内の圧力を調整する圧力設定装置(127)が少なくとも実質的に従動側の伝動要素(92)に付設されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項16】
緩衝装置(31)が、一方の伝動要素(88,92)の各回転偏向方向のために、少なくとも1つのリザーバー室(32)を備えたそれぞれ少なくとも1つのスプリングシステム(14)と、分離ピストン(30)と、圧力室(27)を有しているシリンダ(12)とを有し、2つの回転偏向方向のスプリングシステム(14)が互いに逆方向に作用することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項17】
緩衝装置(31)のスプリングシステム(14)の少なくとも一部が、主圧力室部分(28)と補助圧力室部分(29)とに分割されている圧力室(27)を有し、両圧力室部分(28,29)が少なくとも1つのリザーバー室通路(35)によって互いに圧力伝動可能に結合していることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項18】
それぞれの圧力室(32)が、流動媒体によって発生する圧力室(27)内の圧力を整合させるための圧力室接続部(72)を有していることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項19】
少なくとも圧力室(27)の主圧力室部分(28)が、流体収容部(18)と、該流体収容部に対し相対的に運動可能で、圧力設定装置(127)として用いられる流体ディスプレーサ(20)とによって画成され、流体ディスプレーサ(20)が、制御ピストン(17)として作用し且つ流体収容部(18)の方向に延在している少なくとも1つの流体排除要素(23)を有し、流体収容部(18)が、流体ディスプレーサ(20)の方向に延在し且つ流体排除要素(23)に機能的に付設される少なくとも1つの流体せき止め要素(23)を有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項20】
圧力室(27)の補助圧力室部分(29)が、リザーバー室(32)と、両室(27,32)を互いに隔絶させている分離ピストン(30)とともに、スプリングシステム(14)のそれぞれのシリンダ(12)の筒状室(13)内に設けられていることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項21】
流体収容部(18)が、半径方向において筒状受容部(15)に隣接するように配置され、且つ筒状受容部(15)と同様に一方の伝動要素(88)と相対回転不能に結合され、他方流体ディスプレーサ(20)が、流体収容部(18)の筒状収容部(15)とは逆の側に、半径方向において流体収容部(18)に隣接するように設けられ、且つ他方の伝動要素(92)と相対回転不能に結合されていることを特徴とする、請求項19または20に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項22】
流体収容部(18)が、筒状収容部(12)と同様に、駆動側の伝動要素(88)に相対回転不能に設けられ、他方流体ディスプレーサ(20)は従動側の伝動要素(92)を相対回転不能に結合させるために用いられることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項23】
圧力誘導要素(85)から第2の回転実施部(114)を介してそれぞれの圧力室(27)に連通している流体導管(38,39)が、圧力室接続部(72)を用いて流体ディスプレーサ(20)に運動不能に受容されていることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項24】
流体収容部(18)が、駆動部(1)に直接固定され、且つし支持部(54)により流体ディスプレーサ(20)の心合わせと軸線方向での位置固定とを生じさせることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項25】
一方の伝動要素(88,92)の第1の回転偏向方向に関連付けられる圧力室(27)が、圧力を上昇させるため、第1のアクチュエータグループ(122)を介してポンプ(138)と結合され、前記一方の伝動要素(88,92)の第2の回転偏向方向に関連付けられる圧力室(27)が、圧力を上昇させるため、第2のアクチュエータグループ(123)を介してポンプ(138)と結合されていることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項26】
両アクチュエータグループ(122,123)のそれぞれが粘性媒体用の供給リザーバー(136)を介してポンプ(138)に接続されていることを特徴とする、請求項25に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項27】
供給リザーバー(136)をポンプ(138)の加圧側(D)と圧力伝動可能に結合させることが可能であることを特徴とする、請求項1から26までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項28】
一方の伝動要素(88,92)の第1の回転偏向方向に関連付けられる圧力室(27)が、圧力を降下させるため、第3のアクチュエータグループ(124)を介してポンプ(138)と結合され、前記一方の伝動要素(88,92)の第2の回転偏向方向に関連付けられる圧力室(27)が、圧力を降下させるため、第4のアクチュエータグループ(125)を介してポンプ(138)と結合されていることを特徴とする、請求項1から27までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項29】
両アクチュエータグループ(124,125)のそれぞれが粘性媒体用の低圧リザーバー(132)を介してポンプ(138)に接続されていることを特徴とする、請求項28に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項30】
低圧リザーバー(132)がポンプ(138)の吸込み側(S2)と圧力伝動可能であるように結合可能であることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項31】
ポンプ(138)の他の吸込み側(S1)が圧力媒体リザーバー(152)と圧力伝動可能に結合可能であることを特徴とする、請求項1から30までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項32】
アクチュエータグループ(122ないし125)の少なくとも1つのアクチュエータ(142ないし149)とポンプ(138)のポンプ駆動部(139)とが制御装置または調整装置(129)と結合され、該制御装置または調整装置(129)によりそれぞれの作用位置に関し調整可能であることを特徴とする、請求項1から31までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項33】
流体ディスプレーサ(20)のそれぞれの位置を特定する少なくとも1つのセンサ(150)が制御装置または調整装置(129)と接続されていることを特徴とする、請求項1から32までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項34】
それぞれのリザーバー室(32)が、ガス状媒体によって生じる該リザーバー室(32)内の圧力を整合させるためのリザーバー室接続部(33)を有していることを特徴とする、請求項1から33までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項35】
駆動側の伝動要素(88)が少なくとも1つの駆動側の制御要素(37)を有し、従動側の伝動要素(92)が少なくとも1つの従動側の制御要素(49)を有し、駆動側の制御要素(37)と従動側の制御要素(49)とが、2つのスプリングシステム(14)の互いに逆方向に作用する2つの制御ピストン(17)の間に係合し、且つ互いに独立に両スプリングシステム(14)のそれぞれ1つの制御ピストン(17)と作用結合可能であることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項36】
制御ピストン(17)が、周方向に変位可能にスプリングシステム(14)のそれぞれのシリンダ(12)の筒状室(13)内に配置され、且つ液状媒体で充填されるそれぞれ1つの密封室(61)と該密封室をリザーバー室(32)に対し密封させている補助分離ピストン(48)とを介して、他端にて少なくとも分離ピストン(30)と圧力室(27)とにより画成されているそれぞれのリザーバー室(32)に作用することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項37】
各スプリングシステム(14)の少なくとも1つのシリンダ(12)がそれぞれ一方の伝動要素(88)のほぼリング状の少なくとも1つの収容シェル(62)に収容されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35または請求項36に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項38】
一方の伝動要素(88)の収容シェル(62)が、少なくとも1つの駆動側の制御要素(37)のための少なくとも1つの第1の貫通穴(64)と、従動側の制御要素(49)のための少なくとも1つの第2の貫通穴(66)とを有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35または請求項35から37までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項39】
制御要素(37,49)のための貫通穴(64,66)が、互いに半径方向にずらして一方の伝動要素(88)の収容シェル(62)内に設けられていることを特徴とする、請求項38に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項40】
制御要素(37,49)のための貫通穴(64,66)が、収容シェル(62)に対する、制御要素(37,49)のための周側の回転角制限部(76)を備えていることを特徴とする、請求項38または39に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項41】
制御ピストン(17)が、制御要素(37,49)のための貫通穴(64,66)に対しそれぞれの筒状室(13)を密封する密封手段として作用することを特徴とする、請求項38または39または40に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項42】
少なくともほぼリング状の収容シェル(62)に、同様に少なくともほぼリング状の補助収容シェル(70)が付設され、該補助収容シェル(70)は収容シェル(62)とともにリザーバー室(32)を取り囲んでそれぞれのシリンダ(12)を形成していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から41までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項43】
スプリングシステム(14)のリザーバー室(32)がそれぞれ主リザーバー室部分(59)と補助リザーバー室部分(60)とに分割され、両リザーバー室部分(59,60)が少なくとも1つのリザーバーしつつうろにより圧力伝動可能に互いに結合していることを特徴とする、請求項42に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項44】
一方のリザーバー室部分(59,60)が収容シェル(62)に付設され、半径方向において他方のリザーバー室部分(60)が補助収容シェル(70)に付設されていることを特徴とする、請求項42または43に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項45】
収容シェル(62)と補助収容シェル(70)は互いに半径方向に配置されていることを特徴とする、請求項42から44までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項46】
それぞれの圧力室接続部(72)が運動不能に収容シェル(62)または補助収容シェル(70)に収容されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から45までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項47】
収容シェル(62)および/または補助収容シェル(70)が駆動側の伝動要素(88)にそれぞれ相対回転不能に付設され、駆動側の伝動要素(88)が、支持部(54)により、従動側の制御要素(49)を含んでいる制御要素担持体(58)の心合わせと軸線方向での位置固定とを生じさせることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から46までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項48】
制御要素担持体(58)が従動側のフライホイール体(56)を相対回転不能に収容するために設けられていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から47までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項49】
軸線方向において制御要素担持体(58)と従動側のフライホイール体(56)との間にカバー要素(73)が配置され、該カバー要素(73)は従動側のフライホイール体(56)と同様にスラストエネルギーリザーバー(74)のための支持面を提供していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から48までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項50】
スプリングシステム(14)のそれぞれのシリンダ(12)が、2方向シリンダの形成のため、互いに逆方向に作用する2つの制御ピストン(17)を有し、該制御ピストン(17)は1つの共通の圧力室(27)と協働することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から49までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項51】
それぞれのシリンダ(12)の各制御ピストン(17)に、それぞれ1つの補助分離ピストン(48)と、該補助分離ピストン(48)と制御ピストン(17)との間に配置されるそれぞれ1つの密封室(61)とが付設されていることを特徴とする、請求項50に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項52】
それぞれのシリンダ(12)の制御ピストン(17)がそれぞれ中空管(78)によって形成され、中空管(78)は、伝動要素(88,92)の回転軸線(99)のまわりに所定の曲率を有し、且つそのリザーバー室(32)側でピストンプランジャー(25)により閉止されていることを特徴とする、請求項51に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項53】
シリンダ(12)が、両伝動要素(88,92)に対し相対運動可能で且つ該伝動要素(88,92)に対し心合わせされている担持装置(82)内で周方向に変位可能に収容され、担持装置(82)は少なくとも一方の伝動要素(88)の制御要素(37)のための貫通部(93)を有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から51までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項54】
シリンダ(12)がそれぞれ心合わせセグメント(94)を介して半径方向および軸線方向において担持装置(82)内に位置決めされていることを特徴とする、請求項53に記載のねじり振動ダンパー。
【請求項55】
心合わせセグメント(94)がそれぞれ少なくともシリンダ(12)の圧力室接続部(72)を有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から54までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項56】
心合わせセグメント(94)および/または制御ピストン(17)が制御要素(37,49)を係合させるための少なくとも1つの溝部(95,96)を有していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項35から55までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項57】
主圧力室部分(28)が、その周側端部(153,154)にそれぞれ1つの制御ピストン(17)を有し、かつ少なくとも1つの圧力室通路(68)により補助圧力室部分(29)と連通し、補助圧力室部分(29)が密封室(61)と分離ピストン(30)とを介してリザーバー室(32)と作用結合していることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つに記載のねじり振動ダンパー。
【請求項58】
圧力誘導要素(85)から第2の回転実施部(114)を介して主圧力室部分(28)に通じている流体導管(38,39)が、複数個の制御ピストン(17)のうちの少なくとも1つの制御ピストン(17)の延在領域に、圧力室接続部(72)により位置不動に収容されていることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか一つまたは請求項57に記載のねじり振動ダンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−518593(P2009−518593A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543690(P2008−543690)
【出願日】平成18年11月25日(2006.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011314
【国際公開番号】WO2007/065569
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508055331)ツェットエフ フリードリッヒスハーフェン アーゲー (3)
【Fターム(参考)】