説明

ねじ付き金属容器

【課題】 良好な感触で容器本体を保持できると共に、良好な感触でキャップの開閉操作を行うことができるねじ付金属容器。
【解決手段】
内容物を充填する容器本体と、該容器本体の口部に螺合して開閉するキャップとから構成されるねじ付金属容器において、少なくとも前記容器本体の変形部または/およびキャップの凹凸部表面に、ウレタン系樹脂塗料を塗装したことを特徴とするねじ付金属容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器本体の胴部および/またはキャップの表面に、十分な滑り止め効果を発揮でき、違和感なく容器本体を保持でき、さらには手に違和感なくキャップの開閉ができる、ねじ付き金属容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なねじ付金属容器は、図9に示すように、容器本体50の胴部51を一方の手で保持し、他方の手で、キャップ52を回旋してキャップを開けていた。しかし、手とキャップ52又は容器本体50の胴部51の間で、滑りが発生するため、容器本体51を落下させるという欠点があった。そこで、従来は、容器本体50の一部に、滑り止めのゴム、エナメル等を塗布して滑り止め防止手段としていた(特許文献1参照)。又、キャップの開栓時における滑り止めとして、キャップの表面にラテックスの被膜を被覆して、滑り止め効果を出す技術があった(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭63−164438号公報
【特許文献2】実公昭51−2101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来の技術にあっては、ゴム、エナメル等を塗布して滑り止めとする方法は、金属容器の表面が特定の表面色に限定され、又ゴム、エナメル等を塗装するだけであるから、滑り止め効果が不十分であるという欠点があった。又金属キャップの表面にラテックスの被膜を塗装するものにあっては、キャップの開栓時に、手の感触に違和感があるという欠点があった。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、滑り止め効果が十分に発揮でき、かつ良好な感触で容器本体を保持できると共に、良好な感触でキャップの開栓操作ができる、ねじ付き金属容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の解決手段は、内容物を充填する容器本体と、容器本体の口部に螺合して開閉するキャップとから構成されるねじ付金属容器において、少なくとも容器本体の変形部または/およびキャップの凹凸部表面に、ウレタン系樹脂塗料を塗装したことを特徴とするねじ付金属容器である。胴部表面の複数のリブ及び面と、ウレタン系樹脂塗料の相乗効果により、一層滑り止め効果を発揮することができる。又ウレタン系樹脂塗料であるから、手に不快な違和感を与えることない。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、容器本体の変形部が、複数のリブ及び面から構成されていることを特徴とする、ねじ付金属容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、変形部が、容器本体の胴部の一部に形成されたことを特徴とするねじ付金属容器である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、変形部が、容器本体の胴部全体に形成されたことを特徴とするねじ付金属容器である。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、キャップ表面の凹凸部が、少なくともナール部、ねじ山部、ねじ谷部及びブリッジを有する裾部で構成されていることを特徴とするねじ付き金属容器である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、胴部外周の複数のリブ、面および/またはキャップ表面の凹凸部と、ウレタン系樹脂塗料の相乗効果により、十分な滑り止め効果を有する。又良好な感触で容器本体を保持できると共に、良好な感触でキャップの開閉操作を行うことができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)は、本発明の実施例1を示す図面である。1はねじ付金属容器の容器本体であり、容器本体1の胴部2の外周には、複数の縦リブ3が形成されている。縦リブ3の数については任意に形成することができる。実施例1では、縦リブ3は、胴部2上方に、全胴部長さの1/4〜1/3の長さで形成されている。縦リブ3と縦リブ3の間の面4は、内側又は外側に波形状を呈する湾曲面(図4(a)参照)、若しくは平面に形成されている。実施例1は、この縦リブ3と縦リブ3の間の面4から構成されている変形部5及び胴部2に連続する肩部6の部位に、ウレタン系樹脂塗料αが塗装されている実施例である。
【実施例2】
【0012】
図1(b)は、本発明の実施例2を示す図面である。実施例2は、縦リブ3aと縦リブ3aの間の面4aから構成されている変形部5aの部位のみに、ウレタン系の樹脂塗料αが塗装されている実施例である。ウレタン系樹脂塗料αの塗装方法は、例えば、スプレー塗装等公知の方法で施される。その他の構成は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0013】
図2(a)は、本発明の実施例3を示す図面である。11はねじ付金属容器の容器本体であり、容器本体11の胴部12の上方外周には、複数の横リブ13が形成されている。横リブ13の数については任意に形成することができる。実施例3では、横リブ13は胴部に3本形成されているが、4〜6本形成されてもよい。実施例3は、この横リブ13とこの横リブ13の間の面14から構成されている変形部15及び胴部12に連続する肩部16の部位に、ウレタン系樹脂塗料αが塗装されている実施例である。
【実施例4】
【0014】
図2(b)は、本発明の実施例4を示す図面である。実施例4は、横リブ13aとこの横リブ13aの間の面14aから構成されている変形部15aの部位のみに、ウレタン系の樹脂塗料αが塗装されている実施例である。その他の構成は実施例3と同様である。
【実施例5】
【0015】
図3(a)は、本発明の実施例5を示す図面である。21はねじ付金属容器の容器本体であり、この容器本体21の胴部22の外周には、複数の縦リブ23が形成されている。縦リブ23の数については任意に形成することができる。又実施例5では、縦リブ23は、胴部長さ全体にわたって形成されている。縦リブ23と縦リブ23の間の面24は、内側又は外側に波形状を呈する湾曲面(図4(a)参照)、若しくは平面に形成されている。実施例5は、この縦リブ23と縦リブ23の間の面24から構成されている変形部25の部位に、ウレタン系樹脂塗料αが塗装されている実施例である。
【実施例6】
【0016】
図3(b)は、本発明の実施例6を示す図面である。実施例6は、ほぼ胴部22a全体に変形部25aが形成され、この変形部25aに、ウレタン系の樹脂塗料αが塗装されている実施例である。なお、図4(a)は、実施例1、実施例2、実施例5におけるA−A線の拡大断面図、図4(b)は、実施例3、実施例4、実施例6におけるB−B線の拡大断面図である。
【実施例7】
【0017】
図5(a)は、本発明の実施例7を示す図面である。31は絞りしごき加工により製造されたねじ付き金属容器の容器本体であり、この容器本体31の口部36には、キャップ37が着脱自在に螺合されている。実施例7は、このキャップ37の凹凸部38の表面に、ウレタン系樹脂塗料αを塗装した実施例である。図6のC矢視図及び図7に示すように、凹凸部38は、少なくとも上からナール部38b、ねじ山部38c、ねじ谷部38d及びブリッジを有する裾部38eから構成されている。キャップ37の外周に複数形成されたナール部38bは、炭酸飲料等の内容物の内圧を、容器本体から予め外に逃がすための孔を有する。又キャップ37のねじ山部38c及びねじ谷部38dは、容器本体の口部の雄ねじ部に、キャップ37を螺合するために形成されている。ブリッジを有する裾部38eは、容器本体31の口部36のスカート部に固定され、キャップ37を開栓する際に、この裾部38eのブリッジが切断されることにより、キャップ37を開栓することができる。開栓のバージン性を保証するものである。実施例7は、これらの凹凸部38の表面に、ウレタン系樹脂塗料αを塗装した実施例である。実施例7においては、特にキャップ37外周に複数形成されたナール部38bの部位の凹凸の程度が著しく大きく、この部位にウレタン系樹脂塗料αを塗装することにより、相乗効果として大きな滑り止め効果を生じる。
【実施例8】
【0018】
図5(b)は、本発明の実施例8を示す図面である。実施例8は、インパクト加工により製造されたねじ付き金属容器の容器本体31aであり、この容器本体31aの口部36aには、キャップ37aが着脱自在に螺合されている。実施例8は、キャップ37aの凹凸部38aの部位に、ウレタン系樹脂塗料αを塗装したものである。これにより、良好な感触でキャップ37aの開栓操作を行うことができる。
【実施例9】
【0019】
図8(a)は、本発明の実施例9を示す図面である。実施例9は、縦リブ43と縦リブ43の間の面44から構成されている変形部45、肩部46及びキャップ47の凹凸部48の表面に、ウレタン系樹脂塗料αを塗装した実施例である。
【実施例10】
【0020】
図8(b)は、本発明の実施例10を示す図面である。実施例10は、変形部45a、肩部46a及びキャップ47aの凹凸部48aの表面に、ウレタン系の樹脂塗料αが塗装されている実施例である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の活用例として、DI加工又はインパクト加工により成形されるねじ付き金属容器の容器本体の胴部表面に形成された複数のリブ及び面または/およびキャップの凹凸部の表面に、広く適用することにより、形状と樹脂の相乗効果により、一層大きな滑り止め効果を発揮し、ねじ付き金属容器を手から落下する等が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1及び2を示すねじ付金属容器の正面図。
【図2】本発明の実施例3及び4を示すねじ付金属容器の正面図。
【図3】本発明の実施例5及び6を示すねじ付金属容器の正面図。
【図4】本発明のA−A線拡大断面図(a)及びB−B線拡大断面図(b)。
【図5】本発明の実施例7及び8を示すねじ付金属容器の正面図。
【図6】本発明の実施例7のキャップを示す正面図。
【図7】本発明の実施例7のキャップを示す断面図。
【図8】本発明の実施例9及び10を示すねじ付金属容器の正面図。
【図9】従来のねじ付ねじ付金属容器を開栓している状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0023】
1、1a、11、11a、21、21a、31、31a、41、41a 容器本体
2、2a、12、12a、22、22a、42、42a 胴部
3、3a、13、13a、23、23a、43、43a リブ
4、4a、14、14a、24、24a、44、44a 面
5、5a、15、15a、25、25a、45、45a 変形部
37,37a、47、47a キャップ
38 48、48a 凹凸部
38b ナール部
38c ねじ山部
38d ねじ谷部
38e 裾部
(α) ウレタン系樹脂塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填する容器本体と、該容器本体の口部に螺合して開閉するキャップとから構成されるねじ付金属容器において、少なくとも前記容器本体の変形部または/およびキャップの凹凸部表面に、ウレタン系樹脂塗料を塗装したことを特徴とするねじ付金属容器。
【請求項2】
前記容器本体の変形部が、複数のリブ及び面から構成されていることを特徴とする請求項1記載のねじ付金属容器。
【請求項3】
前記変形部が、容器本体の胴部の一部に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のねじ付金属容器。
【請求項4】
前記変形部が、容器本体の胴部全体に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のねじ付金属容器。
【請求項5】
前記キャップ表面の凹凸部が、少なくともナール部、ねじ山部、ねじ谷部及びブリッジを有する裾部で構成されていることを特徴とする請求項1記載のねじ付き金属容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−197032(P2007−197032A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16115(P2006−16115)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】