説明

はんだ付け装置の糸はんだ供給方法

【課題】 従来のはんだ付け装置においては、その作業時間と品質に課題があり、特に冬季の早朝と、空調が稼働して工場内が温められた日中では、はんだの品質に大きなバラツキが生じ、この発明の糸はんだ供給方法をはんだ付け装置に適用することで、はんだ付けの作業時間を短縮化し、はんだの品質の向上を図る。
【解決手段】 電子部品のはんだ付け作業に用いられるはんだ付け装置の糸はんだ供給方法において、糸はんだ1を送出する供給ヘッド2にヒーター7を設け、糸はんだ1を予熱した状態で送出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品のはんだ付け作業に用いられるはんだ付け装置の糸はんだ供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動はんだ付けロボットや光ビーム式はんだ付け装置等により、糸はんだを用いた電子部品のはんだ付けが行われている。これらのはんだ付け装置では、ボビンに巻かれた糸はんだをローラを駆動して送給し、供給ヘッドのノズルから糸はんだを送出する糸はんだ供給機構が設けられている。そして、コテを用いる接触式加熱手段ではコテによる加熱により(特許文献1参照)、光ビームを用いる非接触式加熱手段では光ビームの照射により(特許文献2参照)、糸はんだを加熱溶融し、はんだ付け対象である電子部品をプリント配線基板上に実装するものである。
【0003】
こうしたはんだ付け装置によるはんだ付け作業では、冬季の早朝と、空調が稼働して工場内が温められた日中では、同じ装置によるはんだ付け作業にもかかわらず、はんだの品質に大きなバラツキが生じる。これは、糸はんだの温度が工場内の雰囲気温度に依存して変化するのに対し、装置の加熱時間や温度は設定値のまま同一であることが大きな要因であると考えられる。
【特許文献1】特開2004−3134079号公報
【特許文献2】特開2007−115813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、はんだ付け作業において、はんだを予め加熱する手段により、はんだ付けの作業時間の短縮化とはんだの品質の向上が図られることが知られている。従来のはんだ付け装置においては、糸はんだの予熱手段が特には採られていなかったので、その作業時間と品質に課題があり、上述したように、特に冬季における品質のバラツキは大きな課題であった。
【0005】
この発明は、こうした課題を解決することを目的とし、糸はんだ1を予熱した状態ではんだ付けする糸はんだ供給方法を提案し、この発明の糸はんだ供給方法をはんだ付け装置に適用することで、はんだ付けの作業時間を短縮化し、はんだの品質の向上を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
こうした目的を達成するため、この発明は、電子部品のはんだ付け作業に用いられるはんだ付け装置の糸はんだ供給方法において、糸はんだ1を送出する供給ヘッド2にヒーター7を設け、糸はんだ1を予熱した状態で送出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明のはんだ付け装置の糸はんだ供給方法によれば、糸はんだ1が予め加熱された状態で供給されるので、はんだが溶融温度に達する時間が短縮され、はんだ付けの作業時間を短縮化することができ、特に連続する多数のはんだ付け作業に適用して有益である。同時に、糸はんだ1が予熱した状態で送出され、糸はんだ1を所定温度に一定に保つことができ、電子部品のはんだの品質の均一化と向上を図ることができる。
【0008】
また、糸はんだ1を送出する供給ヘッド2にヒーター7を設けたので、糸はんだ1は、はんだ付け作業の直前で加熱されて送出され、冷却による温度低下を最小とすることができ、この発明の糸はんだ供給方法は、コテを用いる接触式加熱手段、光ビームを用いる非接触式加熱手段のはんだの溶融手段にかかわらず、それぞれのはんだ付け装置に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下にこの発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、はんだ付け装置の糸はんだ供給機構に、この発明の糸はんだ供給方法を適用した最初の実施例である。図において、ボビン5に巻かれた糸はんだ1は、一対のローラ6の駆動で供給ヘッド2へ送給され、供給ヘッド2の先端に備えたノズル3から適量送出される。4は、糸はんだ1が通る屈曲性のガイドチューブである。
【0010】
この発明は、こうした糸はんだ供給機構において、供給ヘッド2に糸はんだ1を加熱するヒーター7を設けることを特徴とする。ヒーター7はノズル3に近接した供給ヘッド2の先端部に設けられ、ノズル3から予熱された状態で送出される。こうして送出された糸はんだ1は、接触式加熱手段ではコテによる加熱により、非接触式加熱手段では光ビームの照射により、加熱溶融され、はんだ付け対象である電子部品をプリント配線基板上に実装する。
【0011】
図2は、この発明の糸はんだ供給方法を適用した別の実施例である。この実施例は、図に示すように、ヒーター7をノズル3の外周に設け、ノズル3を加熱するように構成したものである。糸はんだ1は、この加熱されたノズル3を通り、予熱された状態で送出される。
【0012】
以上、実施例について説明したが、糸はんだ1の予熱温度は、はんだの種類、その溶融温度、母材(電子部品、プリントパターン)、はんだ付け装置の仕様及び能力等の条件に応じて任意に設定可能であり、ヒーター7の種類や条件は、予熱温度を始めとする仕様に適合して採択するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の最初の実施例の説明図。
【図2】この発明の別の実施例の説明図。
【符号の説明】
【0014】
1 糸はんだ
2 供給ヘッド
7 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品のはんだ付け作業に用いられるはんだ付け装置の糸はんだ供給方法において、
糸はんだ1を送出する供給ヘッド2にヒーター7を設け、糸はんだ1を予熱した状態で送出することを特徴とした、はんだ付け装置の糸はんだ供給方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−110808(P2010−110808A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287868(P2008−287868)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(502296327)
【Fターム(参考)】