説明

びわ茶

【課題】本発明は、びわの種、あるいは皮を乾燥した後に、焙煎して細断することにより新鮮さが保たれた健康に有用なびわ茶を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、生のびわの種を水洗いし、種表面のぬめりを取り除く手段と、前記ぬめりが取り除かれたびわの種を冷蔵庫で水抜きする手段と、前記水抜きされたびわの種を機械乾燥する手段と、前記乾燥されたびわの種を焙煎し、細片に切断する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、びわ茶に関する。詳しくはびわの種、あるいは皮を使用することにより健康に有用なアミグダリン、タンニンを多く含んだびわ茶に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のびわ茶として、例えば図4に示すように、びわの果実から剥がした生の皮101をよく水で洗い、皮の内側の糖分を除去し、その後乾燥機102で乾燥して水分の95%を脱水し、乾燥皮103を切断・破砕して細片・粉粒状にしたびわ果実皮粉を焙煎してびわ茶を製造とする(特許文献1参照。)。
【0003】
また、例えば図5に示すように、びわの果実の種104を水洗して3〜5mmの大きさの細片105に切断し、その細片105を20〜30日間程日陰干し乾燥させた後、焙煎機106によって70〜80℃で3時間程焙煎してびわ種茶を製造する(特許文献2参照。)。
【0004】
これらのびわ皮およびびわの種によるびわ茶の製造においては、今まで果肉のみの使用で、廃棄されていた種と皮を利用して、健康に有用なアミグダリン、タンニンを多く含み、又、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンB1、B2、B6を多く含んだびわ茶を完成させた。また、環境にやさしい産業廃棄物の削減と共に、天然資源の有効活用を実現させた。
【0005】
また、びわの種に多く含まれるアミグダリン、タンニンには制癌作用があり、又、それが分解されてできる安息香酸は殺菌、抗リュウマチ、鎮痛の効果があるとされ、健康上の有用性が確認されている。さらに、びわ種茶には、アミグダリンが従来お茶として利用されていたびわの葉茶と比較して概ね1000倍程度多く含まれている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−169144号公報(要約書、第1図)
【0007】
【特許文献2】特開2005−237270号公報(要約書、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら前記びわの種によるびわ茶の製造において、びわ種のぬめりを取る作業で、水洗いに3〜4時間を要することになり、びわ種にダメージを与えることになる。更に、水洗い場合には水に浸して洗うので、種、あるいは皮が含んでいる水分とは別に、洗ったときの水気を抜くために翌日まで置かなければならないが、びわの収穫時期の気温が高い季節のために種、あるいは皮が腐るなどのダメージを受けることが多い。
【0009】
また、生のびわの種を細片に切断又は破砕する場合には細断機の内壁に薄く細断されたびわの種が張り付いて、カッターの歯が効率よく細断することができないことになる。しかも生のびわの種を手間と時間をかけて細断したとしても乾燥機の網目には小さすぎて乾燥機の網目を通過し落ちてしまうために乾燥機での対応が充分に行えない。
【0010】
また、前記生のびわの種を乾燥させた後に細断機によって細断した場合でも、細断されたびわの種が焙煎機のドラムのネットを通過して落ちてしまうか、ネットに目詰まりを起こし焙煎が旨くできないし、焙煎機の機能を低下させ、不必要なメンテナンスに手間と時間と費用を費やす可能性が大となる。
【0011】
また、自然乾燥(日陰干し)は、処理数量が一度に数トンに及び、乾燥するのに屋内の広大な面積を必要とし、約一月程度放置するため、ランニングコストが非常に高くなる問題がある。
【0012】
次に、びわの皮によるびわ茶の製造においてもびわの種と同様に、生のびわの皮を細片に切断又は破砕する場合には細断機の内壁に薄く細断されたびわの種が張り付いて、カッターの歯が効率よく細断することができないことになる。また、生のびわの皮を乾燥させた後に細断機によって細断した場合でも、細断されたびわの種が焙煎機のドラムのネットを通過して落ちてしまうか、ネットに目詰まりを起こし焙煎が旨くできないし、焙煎機の機能を低下させ、不必要なメンテナンスに手間と時間と費用を費やす可能性が大となる。
【0013】
また、前記びわの種、あるいは皮の焙煎後の乾燥では、風味と成分が飛散して新鮮さを保てなくなる問題がある。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、びわの種、あるいは皮を乾燥した後に、焙煎して細断することにより新鮮さが保たれた健康に有用なびわ茶を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明に係るびわ茶は、生のびわの種を水洗いし、種表面のぬめりを取り除く手段と、前記ぬめりが取り除かれたびわの種を冷蔵庫で水抜きする手段と、前記水抜きされたびわの種を機械乾燥する手段と、前記乾燥されたびわの種を焙煎し、細片に切断する手段を備える。
【0016】
ここで、水抜きされたびわの種を冷蔵庫で水抜きすることにより、暑さによりびわの種が腐敗などによって傷むのを防止する。また、機械乾燥および焙煎をした後に細片、あるいは粉粒状とすることにより機械乾燥、または焙煎の際にドラムの網目をびわの種がすり抜けたり、網目を潰すことなく効率の良い乾燥が可能となる。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るびわ茶は、生のびわの果皮を水洗いし、ぬめりと汚れを取り除く手段と、前記ぬめりと汚れが取り除かれたびわの果皮を冷蔵庫で水抜きする手段と、前記水抜きされたびわの果皮を機械乾燥する手段と、前記乾燥されたびわの果皮を焙煎し、細片に切断する手段を備える。
【0018】
ここで、水抜きされたびわの果皮を冷蔵庫で水抜きすることにより短時間での水抜きが可能となるとともに、暑さによりびわの果皮が腐敗などによって傷むのを防止する。また、機械乾燥および焙煎をした後に細片、あるいは粉粒状とすることにより機械乾燥、または焙煎の際にドラムの網目をびわの果皮がすり抜けたり、網目を潰すことなく効率の良い乾燥が可能となる。
【0019】
また、前記びわの種を65℃で30時間、55℃で6時間、あるいは前記びわの果皮を65℃で25時間、55℃で5時間機械乾燥させることによって、風味と成分が損なわないで品質が保てる乾燥を可能とするものである。
【0020】
また、細片に切断されたびわの種とびわの果皮、あるいは粉粒状に破砕されたびわの種とびわの果皮とが混合されることによって、びわの種に含めれるアミグダリン、タンニンおよびびわの果皮に含まれるナイアシン・ビタミンB、Cの両方の有効成分を含んだ茶となっている。
【0021】
また、前記びわ茶に、他の茶、あるいは紅茶が混合されることによって消費者の好みに合わせることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のびわ茶によれば、びわの果実の種の有用な利用が図られ、しかも健康に有用に働くアミグダリン、タンニンを含み、更にびわの甘さを少し残して香ばしさのある優れた茶を提供することができる。
【0023】
更に、びわの果皮を乾燥して焙煎し、細片化したびわ皮茶、びわ皮煎茶と混合すれば、びわの皮の有効活用とびわ皮に含まれるナイアシン・ビタミンB、Cが多く含まれるびわ茶とすることができる。
【0024】
また、現状では産業廃棄物として廃棄されていた、びわの種とびわの皮を大量に使用することで産業廃棄物を削減し、環境にやさしく、又健康に役立つ一挙両得を実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明おけるびわの種は表面のぬめりを水洗いでよく除去する。また、びわの皮は果実面のぬめりと表面の汚れを水洗いで除去することが好ましい。
前記水洗いをしたびわの種と皮は、本来の種・皮に含んでいる水分とは別に、洗ったときの水分を含んでいるために、一日程冷蔵庫で水気を抜きます。
【0026】
本発明のびわの種の乾燥は、乾燥機によって65℃で30時間たったら10℃落とし、55℃で約6時間、更にびわの種の乾燥状態を目で確認しながら6時間の長短を調整しながら乾燥させる。
また、本発明のびわの皮の乾燥は、乾燥機によって65℃で25時間たったら10℃落とし、55℃で約5時間、更にびわの皮の乾燥状態を目で確認しながら5時間の長短を調整しながら乾燥させる。
【0027】
本発明のびわの種と皮の焙煎は、前記乾燥したびわの種と皮を焙煎機で約70℃〜90℃で20分程度焙煎する。そして焙煎後、びわの種と皮は細断機によって2〜3mm程の大きさに細片化する。
【0028】
前記細片かしたびわの皮を煎茶にする場合には、更に粉粒状にまで粉砕する。また、びわの種と皮の混合茶とする場合には、種と皮との混合比率は4:6で皮茶の方が多い分量で混合するようにする。
【0029】
また、びわ茶と混合する他の茶、乾燥果実粉としては紅茶、ルイボス茶、羅漢果実粉、緑茶、ウーロン茶がある。混合する茶割合は、その混合茶の品質・好み・消費者の好みに合せて適宜決められる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用したびわ茶におけるびわ種茶とびわ皮茶、びわ皮煎茶の製造工程を示す説明図。図2は、本発明を適用したびわ茶におけるびわ種茶の製造工程を示すチャート図。図3は、本発明を適用したびわ茶の製造工程を示す説明図である。
【0031】
図中、1はびわの果実、2はびわの種、3はびわの果肉、4はびわの果皮、5は水洗いしたびわ種、6は水洗いしたびわ皮、8は温風で乾燥したびわ種、9は温風で乾燥したびわ皮、11は焙煎されたびわ種、12は焙煎されたびわ皮、14はびわの種を2〜3mmに切断された細片、15はびわ皮を2〜3mmに切断された細片、7は熱風乾燥機、10は70℃〜80℃で焙煎する焙煎機、13は細断機、20はびわ種茶17とびわ皮茶18とを4:6の重量比で混合して作られたびわ茶、21はびわ種茶17とびわ皮煎茶19とを4:6の重量比で混合したびわ茶である。
【0032】
この実施例では、びわの種2およびびわの果皮4は、缶詰工場でびわの果実1から果皮4が除去され、更にその中から果肉3が取り出されて果肉加工品、ジュース等に使用される。残された種2および果皮4は分別されてコンテナ(1箱約30kg)に入れられる。この分別されたコンテナには種2および果皮4以外のびわのヘタや傷んだびわの実などの不要なものが大量に混入している。
【0033】
そこで水洗いする場合に、種2が入ったコンテナ自体を水に浸して種2表面のぬめりを除去しながら不要なヘタやびわの実等をザルですくって取り除き、何度も水を入れ替えながらぬめりが完全に取れるまで水洗いする。
【0034】
この水洗いされたびわ種5には、元来含んでいる水分とは別に洗ったときの水分をも含んでいるために乾燥する前に、1日程度冷蔵庫で水気を抜くことによりびわ種5を傷ませることなく水気を抜くことが可能となる。
【0035】
そして前記びわ種5を熱風乾燥機7にかけ65℃で30時間たったら10℃落とし、55℃で6時間乾燥する。
【0036】
このようにして乾燥したびわ種8を焙煎機10によって70℃〜90℃で20分ほど焙煎する。焙煎されたびわ種11を細断機13によって2〜3mmの細片に細断する。これによってびわ種茶17が製造される。
【0037】
このびわ種茶17は、褐色であり、びわ果実の甘味を少し残した香ばしい茶となっている。又、このびわ種茶17にはアミグダリンとタンニンが多く含まれている。
【0038】
いっぽう、コンテナに収納された果皮4は、びわの種2と同様にコンテナ自体を水に浸して内側の糖分を除去しながら不要なヘタやびわの実等をザルですくって取り除き、何度も水を入れ替えながらよく水洗いする。
【0039】
この水洗いされたびわ皮6には、元来含んでいる水分とは別に洗ったときの水分をも含んでいるために乾燥する前に、前記水洗いしたびわ種5と同様に、1日程度冷蔵庫で水気を抜くことによりびわ皮6を傷ませることなく水気を抜くことが可能となる。
【0040】
そして前記びわ皮6を、65℃で25時間たったら10℃落とし、55℃で約5時間、温風乾燥機7によって95%の水分を脱水した状態にした後に、焙煎機10によって70℃〜90℃で20分ほど焙煎する。
【0041】
焙煎されたびわ皮12を細断機13によって2〜3mmの細片に細断する。これによってびわ皮茶18が製造される。煎茶の場合には更に粉粒状の果皮片16に形成されてびわ皮煎茶19が製造される。
このびわ皮茶18、あるいはびわ皮煎茶19は、びわの香りがほのかにあり、コクのある茶となっている。
【0042】
このようにして焙煎したびわ種茶17とびわ皮煎茶19とを重量比4:6の割合で混合してびわ茶21を製造した。このびわ茶は、びわの甘さを少し残し、香ばしい茶となっていた。又その成分を分析した結果を下記の表1に示す。
【0043】
【表1】

注1:分析方法は、日本薬学会編 衛生試験法注釈(2000)により
βグコシダーゼ処理した検体を水蒸気蒸留してシアンイオンを
測定した。
分析結果はシアンとしての測定結果である。
注2:分析方法は、社団法人 日本栄養食品協会発行「加工食品の
栄養成分分析方法」中の「14,3 タンニン」による。
注1及び注2以外の分析方法は平成8年5月20日付厚生省告示
第146号に定められた方法
【0044】
以上の分析結果により、アミグダリンとタンニンが多く含まれ、また糖質・脂質の代謝の補酵素として働き、アルコール分解作用があるナイアシンを含み、又健康によいビタミンB1、B2、B6、ビタミンCを多く含んでいて、健康に有用であることが分かる。前者のアミグダリンとタンニンは種に、又後者のナイアシン、ビタミンは果皮に含まれるもので、本実施例のびわ茶には両方の有効成分を含んだ茶となっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を適用したびわ茶におけるびわ種茶とびわ皮茶、びわ皮煎茶の製造工程を示す説明図である。
【図2】本発明を適用したびわ茶におけるびわ種茶の製造工程を示すチャート図である。
【図3】本発明を適用したびわ茶の製造工程を示す説明図である。
【図4】従来のびわ皮茶の製造工程の一例を示す説明図である。
【図5】従来のびわ種茶の製造工程の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 果実
2 種
3 果肉
4 果皮
5 水洗いされたびわ種
6 水洗いされたびわ皮
7 温風乾燥機
8 乾燥されたびわ種
9 乾燥されたびわ皮
10 焙煎機
11 焙煎されたびわ種
12 焙煎されたびわ皮
13 細断機
14 細断されたびわ種
15 細断されたびわ皮
16 粉粒状のびわ皮
17、18、19、20、21 びわ茶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生のびわの種を水洗いし、種表面のぬめりを取り除く手段と、
前記ぬめりが取り除かれたびわの種を冷蔵庫で水抜きする手段と、
前記水抜きされたびわの種を機械乾燥する手段と、
前記乾燥されたびわの種を焙煎し、細片に切断する手段を備える
ことを特徴するびわ茶。
【請求項2】
前記びわの種を65℃で30時間、55℃で6時間機械乾燥させる
ことを特徴する請求項1記載のびわ茶。
【請求項3】
生のびわの果皮を水洗いし、ぬめりと汚れを取り除く手段と、
前記ぬめりと汚れが取り除かれたびわの果皮を冷蔵庫で水抜きする手段と、
前記水抜きされたびわの果皮を機械乾燥する手段と、
前記乾燥されたびわの果皮を焙煎し、細片に切断する手段を備える
ことを特徴するびわ茶。
【請求項4】
前記びわの果皮を65℃で25時間、55℃で5時間機械乾燥させる
ことを特徴する請求項3記載のびわ茶。
【請求項5】
前記焙煎されたびわの種、あるいは焙煎されたびわの果皮を粉粒状に破砕する
ことを特徴する請求項1、2、3または4記載のびわ茶。
【請求項6】
請求項1〜5記載の細片に切断されたびわの種とびわの果皮、あるいは粉粒状に破砕されたびわの種とびわの果皮とが混合された
ことを特徴するびわ茶。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載のびわ茶に、他の茶、あるいは紅茶が混合される
ことを特徴するびわ茶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−50204(P2009−50204A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220031(P2007−220031)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(507072058)
【Fターム(参考)】