説明

より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させることができるヘアケア組成物

より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させることができる、ヘアケア組成物、方法、及び商品。かかる組成物は、頭皮又は顔のような、より濃く、より豊かな毛髪の外観が望まれる任意の部位に塗布することができる。本発明はまた、かかる組成物の市販方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より濃く及び/又はより豊かな毛髪の外観を向上させることができるヘアケア組成物、方法、及び商品に関する。本発明はまた、かかる組成物を市販する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
魅力的であると考えられている毛髪の外観には、多くの特質が寄与している。例えば、頭皮、あごひげ又はくちひげ領域のいずれにあろうと、豊かで濃い外観を有する毛髪が非常に望ましい。対照的に、薄い毛髪の外観は魅力がなく、髪の毛の薄い人は生活年齢よりも老けている印象をもたらす場合さえある。さらに、毛髪が薄いと、スタイルを整えるのがより困難であり得、典型的には、それほど多くの髪型にスタイルできず、髪の毛の薄い人を不満にさせ、だらしのない外観にさせる。毛髪の薄さに関連する前述の問題のために、多くの髪の毛の薄い人は、手入れに大変な努力と時間を費やしているが、依然として所望の髪型及び外観を実現していない。これは、彼らの外観に対する不満及び/又は自信の欠如へと導く場合がある。これらの問題は、男性及び女性の消費者の両者が経験する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、毛髪の外観の豊かさ及び濃さを増大させ、それにより若々しく見え、より魅力的な毛髪の外観を得る方法を、消費者に提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、毛幹及び毛嚢の直径を増大させることにより、毛髪のより豊かな及び/又はより濃い外観の向上に役立つことができ、ひいては、若々しく見える毛髪を得られるヘアケア組成物、方法、及び商品に関する。本発明はまた、市販方法にも関する。
【0005】
一態様では、本方法は、より豊かな及び/又はより濃い毛髪の外観を向上させる目的のために、有効量の育毛阻害剤を含むヘアケア組成物を、哺乳類の頭皮及び/又は顔(例えば、あごひげ領域)に局所的に塗布することを含む。特定の実施形態では、育毛阻害剤は、アクアポリン3の発現を上方調節する物質を含む。
【0006】
さらなる実施形態では、ヘアケア組成物は、キサンチン化合物、ビタミンB3化合物及びパンテノール化合物の相乗的混合物を含む。特定の実施形態では、相乗的混合物は、カフェイン、ナイアシンアミド、及びパンテノールを含む。一実施形態では、組成物は、約0.1%〜約10%のキサンチン化合物(例えば、カフェイン)を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約5%のキサンチン化合物を含み、さらに別の実施形態では、約1%〜約2%のキサンチン化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.1%〜約25%のビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド)を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約15%のビタミンB3化合物、さらに別の実施形態では、約3.5%〜約7.5%のビタミンB3化合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.01%〜約3%のパンテノール化合物(例えば、パンテノール)、別の実施形態では、約0.02%〜約1%のパンテノール化合物、さらに別の実施形態では、約0.2%〜約0.5%のパンテノール化合物を含む。組成物は、所望により、必要に応じて任意の他の好適な成分を含んでよい。一実施形態では、組成物はまた、体、衣類、又は家財道具の意図しない領域に望ましくなく滴ることがないよう、頭皮上に活性剤を保持するのに役立つ増粘剤も含み、組成物に直接性を提供する。
【0007】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、本発明を具体的に示しかつ明確に主張する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は以下の説明によってより深く理解されると考えられる。
【0009】
従来、育毛阻害剤を含む種々の組成物が、不必要な毛髪増殖をなくす、減少させる、及び/又は遅らせるために、毛髪が望まれていない身体領域に塗布されていた。この従来の知識とは対照的に、出願人らは、育毛阻害剤を、毛髪がより多いことが望ましい部位(例えば、頭皮及び/又はあごひげ領域)に局所的に塗布することにより、現実に、より濃く及び/又はより豊かな毛髪の外観を向上させることができることを見出した。
【0010】
理論に制限されるものではないが、出願人らは、種々の育毛阻害剤の局所的塗布が、アクアポリン3(「AQP3」)上方調節因子を刺激し、次いで毛幹及び毛嚢がより太くなると考えている。毛幹及び毛嚢の直径増大は、より濃く、より豊かな毛髪の外観をもたらし、従ってより豊かな及び/又はより濃い毛髪の外観が得られる。さらに、毛髪の直径は、実年齢を低下させることが既知であるため、より若々しく見える毛髪の外観をもたらす。(オルセン、EA(Olsen, EA)ら、男性型及び女性型脱毛の評価及び治療(Evaluation and treatment of male and female pattern hair loss.)、J Am Acad Dermatol、第52巻2号(2005年2月)305頁)、(バーチMP(Birch-MP)ら、女性型脱毛の毛髪密度、毛髪直径及び有症率(Hair density, hair diameter and the prevalence of female pattern loss.)、British Journal of Dermatology 2001年、第144巻297〜304頁)、(クールトアM(Courtois-M)ら、加齢及び毛周期(Ageing and hair cycles)、British Journal of Dermatology 1995年、第132巻86〜93頁、ロレアル(L'Oreal))、(ラカラバF(Lacarrubba-F)ら、脱毛の一部の形態における映像皮膚鏡検査による診断能力の強化(Videodermatoscopy Enhances Diagnostic Capability in Some Forms of Hair Loss.)、Am J Clin Dermatol 2004年、第5巻3号205〜208頁)、(デ・ラシャリエO(De Lacharriere-O)ら、毛髪直径の多様性(Hair Diameter Diversity)、Arch Dematol.2001年、第137巻641〜646頁、ロレアル)、(ホフマンR(Hoffman-R)、毛髪スキャン:インビボで育毛を測定するためのエピルミネセンス顕微鏡とデジタル画像解析との組み合わせ(Trichoscan:combining epiluminescence microscopy with digital image analysis for the measurement of hair growth in vivo.)、Eur J Drmatol、2001年、第11巻362〜8頁)。
【0011】
アクアポリン(「AQP」)は、原形質膜で見出されている一群の水チャネルタンパク質である。現在、ヒトでは13種のAQPが同定されており、それらはアクアポリンとアクアグリセロポリンの2群に分類される。同定されたアクアポリンの大部分は、主に水の通過に対して選択的であるアクアポリン群に属する。AQP3、7、9及び10は、水、グリセロール及び種々の他の溶質の移動を促進するアクアグリセロポリン群に属する。
【0012】
免疫細胞化学を通して、出願人らは、AQP3が、毛嚢の増殖性ケラチノサイトにおいて強く発現していることを見出した。さらに、出願人らはまた、AQP3の免疫染色が毛幹で検出できることも見出した。出願人らは、AQP3上方調節剤が、AQP3の発現を刺激することにより、毛幹及び毛嚢の太さを増大させ、これにより、より多くの水及び水結合分子が細胞に輸送されて、細胞代謝を改善し、細胞の大きさを増大させることができると考えている。これは、キューティクルを拡張し、それを太くする、毛髪のキューティクル層の水和を増大させる。結果として、毛髪繊維及び毛嚢の直径が増大し、より濃く、より豊かな毛髪の外観が得られる。
【0013】
消費者は、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させる目的で、育毛阻害剤を使用することに慣れていないため、本発明は、かかる製品及び/又はその使用方法に由来する可能性がある効果を潜在的消費者が評価するのを助けるために、有利に使用することができる市販方法も提供する。さらに、第1組成物を、育毛阻害剤を含む第2組成物と比較することにより、第1組成物を市販する方法も提供する。この方法は、消費者が、潜在的に類似の効果を与えることができる製品を特定するのを支援する。
【0014】
特に規定のない限り、百分率、割合、及び比率は全て、本発明のヘアケア組成物の総重量に基づいており、測定は全て25℃で行われる。列挙する成分に関連するかかる重量は全て、活性レベルに基づいており、それ故、特に規定のない限り、市販の物質に含まれる場合がある担体又は副生成物を含まない。
【0015】
本明細書で使用するとき、「ヘアケア組成物」という用語は、毛髪を処置又はケアするために用いられる組成物を含む、毛髪及び/又は毛髪下の皮膚に塗布される組成物である。「ヘアケア組成物」という成句により意図される製品としては、液体、クリーム、拭き取り用品、ヘアコンディショナー(リンスオフ及びリーブオン)、ヘアトニック、シャンプー、染毛剤、ムース、噴射型ローション、エマルション、ひげそり用ジェル、ひげそり後用トニック及びローション、一時的あごひげ毛染め剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
「育毛抑制剤」又は「育毛阻害剤」としては、哺乳類の髪の成長を低下させる、阻害する、減弱する又は減少させることができる任意の物質が挙げられる。
【0017】
「より豊かでより濃い毛髪の外観を向上させる」とは、有効量の本発明の組成物を、有効な結果が得られる期間にわたって所望の部位に局所的に塗布したとき、毛髪の対象部位(例えば、頭皮、あごひげ)における毛嚢及び/又は毛幹の直径が、統計的に有意な量増大することを意味する。
【0018】
本明細書で参照するとき、「哺乳類の毛髪」は、哺乳類の体の任意の部分上の毛髪を含み、顔、頭又は体の毛を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、頭皮、頭部、首、あごひげ、口ひげ、眉及びもみあげの毛髪を挙げることができる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「局所的塗布」という用語は、本発明の組成物を、影響を受ける毛髪がそこから成長するケラチン性組織の表面上に塗布又はのばすことを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能な」という用語は、このように記載される組成物又はその構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応等を伴うことなく、哺乳類のケラチン性組織と接触させて使用するのに好適であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、「有効量」という用語は、統計的に有意な量、毛髪の対象部位の毛幹の直径が増大するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「有効な結果が得られる期間」という用語は、統計的に有意な量、毛髪の対象部位の毛幹の直径が増大するのに十分な期間を意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、「安全かつ有効な量」という用語は、有効な結果が得られる期間使用したとき、統計的に有意な量、毛髪の対象部位の毛幹の直径が増大するのに十分な化合物又は組成物の量であるが、重篤な副作用を避けるのに十分少ない量、即ち、当業者の正しい判断の範囲内で、正当な効果対リスクの比をもたらす量を意味する。
【0024】
特に規定のない限り、本発明の全ての実施形態では、全ての百分率は、特に記載のない限り、全組成物の重量による。特に規定のない限り、全ての比は重量比である。全ての範囲は、包括的及び結合可能である。有効数字の桁数は、指示する量や測定の精度を制限しない。特に指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと理解される。全ての測定は、25℃及び周囲条件で行うものと理解され、ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%での条件を意味する。
【0025】
A.ヘアケア組成物
一態様では、本発明は、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるために使用することができるヘアケア組成物を提供する。一実施形態では、ヘアケア組成物は育毛阻害剤を含む。別の実施形態では、ヘアケア組成物は、2種以上の育毛阻害剤を含む。好ましくは、育毛阻害剤は安全かつ有効な量で存在する。本明細書で使用するとき、単数形の「育毛阻害剤」という用語は、1種又は1種を超える育毛阻害剤の組み合わせを含むのに十分なほど広義である。所望により、ヘアケア組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体及び/又は任意の所望の好適な任意成分を含んでよい。
【0026】
本明細書では、任意の好適な育毛阻害剤を、好ましくは安全かつ有効な量で使用することができる。特定の実施形態では、育毛阻害剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ヘキサミジン、ヘキシルイソブチレート、メンチルアントラニレート、メトフラン(methofuran)、3−ブチリデンフタリド(3-butylidenepthalide)、グリセリルジラウレート、ヘキサンジオール、アグマチン、アミノグアニジン、フェニルブチルニトロン及び他のスピントラップ、エトキシキン、塩化セチルピリジニウム、緑茶抽出物、カテキン、フィトステロール、ウルソル酸、植物抽出物、植物抽出物化合物、3−ブチリデンフタリド(3-butylidenepthalide)、それらの塩類、誘導体類及び混合物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一実施形態では、組成物は、キサンチン化合物、ビタミンB3化合物、パンテノール化合物又はこれらの混合物を含む。具体的な物質については、以下でより詳細に記載する。
【0027】
1.キサンチン化合物
本発明の組成物はキサンチン化合物を含んでよい。本明細書で使用するとき、「キサンチン化合物」は、1種以上のキサンチン、これらの誘導体、及びこれらの混合物を意味する。本明細書で有用であり得るキサンチン化合物としては、カフェイン、キサンチン、1−メチルキサンチン、テオフィリン、テオブロミン、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、約0.1%〜約10%のキサンチン化合物を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約5%のキサンチン化合物を含み、さらに別の実施形態では、約1%〜約2%のキサンチン化合物を含む。
【0028】
2.ビタミンB3化合物
本発明の組成物は、ビタミンB3化合物を含んでよい。ビタミンB3化合物は、米国特許第5,939,082号に記載されているように、皮膚の状態を調節するのに特に有用である。一部の実施形態では、組成物は、約0.1%〜約25%のビタミンB3化合物を含み、別の実施形態では、約0.5%〜約15%のビタミンB3化合物を含み、さらに別の実施形態では、約3.5%〜約7.5%のビタミンB3化合物を含む。本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」とは、以下の式を有する1種以上の化合物を意味する。
【0029】
【化1】

式中、Rは−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、−COOH(即ち、ニコチン酸)又は−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;これらの混合物;及び前述の任意の塩類である。
【0030】
前述のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、非血管拡張性のニコチン酸エステル(例えば、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ミリスチル)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド及びナイアシンアミドN−オキシドを含む、ニコチン酸エステルが挙げられる。
【0031】
好適なニコチン酸エステルとしては、C1〜C22、好ましくはC1〜C16、より好ましくはC1〜C6アルコールのニコチン酸エステルが挙げられる。アルコールは、好適には直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式、飽和又は不飽和(芳香族を含む)、及び置換又は非置換である。エステルは好ましくは非血管拡張性である。本明細書で使用するとき、「非血管拡張性」は、エステルが、対象組成物中で皮膚に塗布された後、一般に目に見えるフラッシング反応を生じないことを意味する(かかる化合物は肉眼で認識できない血管拡張を生じさせる場合があるが、一般人口の大多数は目に見えるフラッシング反応を示さない、即ち、エステルは非発赤性である)。非血管拡張性のニコチン酸エステルとしては、ニコチン酸トコフェロール及びヘキサニコチン酸イノシトールが挙げられ、ニコチン酸トコフェロールが好ましい。
【0032】
ビタミンB3化合物の他の誘導体は、アミド基の水素の1つ以上を置換することにより得られる、ナイアシンアミドの誘導体である。本明細書で有用なナイアシンアミドの誘導体の非限定的な例としては、例えば、活性化ニコチン酸化合物(例えば、ニコチン酸アジド又は塩化ニコチニル)と、アミノ酸及び有機カルボン酸(例えば、C1〜C18)のニコチニルアルコールエステルとの反応に由来するニコチニルアミノ酸が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、ニコチン尿酸(C8H8N2O3)及びニコチニルヒドロキサム酸(C6H6N2O2)が挙げられ、これらは以下の化学構造を有する。
【0033】
ニコチン尿酸:
【0034】
【化2】

【0035】
ニコチニルヒドロキサム酸:
【0036】
【化3】

【0037】
代表的なニコチニルアルコールエステルとしては、カルボン酸、サリチル酸、酢酸、グリコール酸、パルミチン酸等のニコチニルアルコールエステルが挙げられる。本明細書で有用なビタミンB3化合物の他の非限定的な例は、2−クロロニコチン酸アミド、6−アミノニコチンアミド、6−メチルニコチンアミド、n−メチルニコチンアミド、n,n−ジエチルニコチンアミド、n−(ヒドロキシメチル)−ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、n−ベンジルニコチンアミド、n−エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、イソニコチン酸メチル、チオニコチンアミド、ニアラミド、1−(3−ピリジルメチル)尿素、2−メルカプトニコチン酸、ニコモール及びナイアプラジンである。
【0038】
上記ビタミンB3化合物の例は、当該技術分野において周知であり、例えば、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州);ICNバイオメディカルズ社(ICN Biomedicals, Inc.)(アーヴィン(Irvin)、カリフォルニア州)及びアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ミルウォーキー(Milwaukee)、ウィスコンシン州)等の多数の供給元から市販されている。
【0039】
本明細書では、1種以上のビタミンB3化合物を使用することができる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロールである。ナイアシンアミドがより好ましい。
【0040】
使用するとき、ナイアシンアミドの塩、誘導体及び塩誘導体は、好ましくは、ナイアシンアミドと実質的に同じ有効性を有するものである。
【0041】
ビタミンB3化合物の塩もまた本明細書で有用である。本明細書で有用なビタミンB3化合物の塩の非限定的な例としては、有機塩又は無機塩、例えばアニオン性無機種を有する無機塩(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、好ましくは塩化物)、及び有機カルボン酸塩(モノ−、ジ−及びトリ−C1〜C18カルボン酸塩、例えば、酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩が挙げられ、好ましくは酢酸塩などのモノカルボン酸塩)が挙げられる。ビタミンB3化合物のこれらの及び他の塩は、例えば、W.ウェナー(W. Wenner)、「L−アスコルビン酸及びD−イソアスコルビン酸(D-Iosascorbic Acid)とニコチン酸及びそのアミドとの反応(The Reaction of L-Ascorbic and D-Iosascorbic Acid with Nicotinic Acid and Its Amide)」、J.Organic Chemistry、第14巻22〜26頁(1949年)に記載されているように、当業者が容易に調製することができる。ウェナーは、ナイアシンアミドのアスコルビン酸塩の合成について記載している。
【0042】
好ましい実施形態では、ビタミンB3化合物の環状窒素は、実質的に化学的に遊離しているか(例えば、非結合型及び/又は非ヒンダード型)、又は皮膚への送達後、実質的に化学的に遊離する(「化学的に遊離している」は、以下代替として「非錯体化型」と呼ぶ)。より好ましくは、ビタミンB3化合物は、本質的に非錯体化型である。それ故、組成物が塩又は別の錯体化型の形態であるビタミンB3化合物を含有する場合、かかる錯体は、組成物の皮膚への送達時に、好ましくは実質的に可逆的であり、より好ましくは本質的に可逆的である。例えば、かかる錯体はpH約5.0〜約6.0で実質的に可逆的であるべきである。かかる可逆性は、当業者により容易に決定されることができる。
【0043】
より好ましくは、ビタミンB3化合物は、ケラチン性組織への送達前に、組成物中で実質的に非錯体化型である。望ましくない錯体の形成を最小限に抑える又は防ぐ代表的な方法としては、ビタミンB3化合物と実質的に不可逆的である又は他の錯体を形成する物質、pH調節、イオン強度調節、界面活性剤の使用を除くこと、並びに、ビタミンB3化合物及びそれと錯体を形成する物質を異なる相に配合することが挙げられる。かかる方法は、十分当業者のレベルの範囲内である。
【0044】
従って、好ましい実施形態では、ビタミンB3化合物は、制限された量の塩形態を含有し、より好ましくはビタミンB3化合物の塩を実質的に含まない。好ましくは、ビタミンB3化合物は約50%未満のかかる塩を含有し、より好ましくは本質的に塩形態を含まない。pH約4〜約7の本明細書の組成物中のビタミンB3化合物は、典型的には、約50%未満の塩形態を含有する。
【0045】
ビタミンB3化合物は、実質的に純物質として、又は、天然(例えば、植物)原料からの好適な物理的及び/又は化学的単離により得られた抽出物として含まれてよい。ビタミンB3化合物は、好ましくは実質的に純粋であり、より好ましくは本質的に純粋である。
【0046】
3.パンテノール化合物
本発明の組成物は、パンテノール化合物を含んでよい。本明細書で使用するとき、用語「パンテノール化合物」は、パンテノール、1種以上のパントテン酸誘導体、及びこれらの混合物を含むのに十分なほど広義である。パンテノール及びその誘導体としては、D−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、DL−パンテノール、パントテン酸及びそれらの塩、好ましくはカルシウム塩、パンテニルトリアセテート、ローヤルゼリー、パンテチン(panthetine)、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、パントイルラクトース、ビタミンB錯体、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0047】
パンテノール及び酸性組成物中又はアルミニウム含有活性物質のような酸生成物質を含有する組成物中の他の類似物質より安定なままであるパントテン酸誘導体を含む組成物もまた、本明細書で用いるのに好適であり得る。選択されたパントテン酸誘導体は、最も典型的には液体形態であり、組成物の液体担体成分にわたって分散しているか、又は別の方法で組成物の液体担体成分内で可溶化されている。
【0048】
「パントテン酸誘導体」という用語は、本明細書で使用するとき、以下の式に一致する物質を指す。
【0049】
【化4】

式中、R1、R2及びR3は、水素、C2〜C20炭化水素、C2〜C20カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせであるが、R1、R2及びR3のうち2つ以下が水素である。一実施形態では、R1、R2及びR3は、水素、C2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせから独立に選択され、別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はC2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせであり、さらに別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はエチルである。選択されたパントテン酸誘導体は、任意の既知の原料由来であるか、又はそれから別の方法で得ることができ、これは得られる物質が上記で定義した化学式を有する限り、パントテン酸又はパントテン酸以外の物質を含んでよい。
【0050】
本明細書で用いるための選択されたパントテン酸誘導体の具体的な非限定的な例としては、エチルパンテノール、パンテニルトリアセテート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、パントテン酸誘導体は、d−エチルパンテノールのような、かかる誘導体形態のd−異性体を含む。
【0051】
4.任意成分
本発明の組成物はまた、必要に応じて任意の好適な任意成分をさらに含んでよい。例えば、組成物は、所望により他の活性成分又は不活性成分を含むことができる。
【0052】
例えば、本発明は、糖アミン、レチノイド、ペプチド、ジアルカノイルヒドロキシプロリン、ヘキサミジン、サリチル酸、フィトステロール、日焼け止め活性物質、水溶性ビタミン、油容性ビタミン、これらの誘導体、これらの前駆体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、追加の皮膚ケア活性物質を含んでよい。さらに、組成物は、所与の製品の種類で従来用いられる好適な成分を含んでよい。CTFA化粧品成分便覧(Cosmetic Ingredient Handbook)第10版(米国化粧品工業会社刊、ワシントンD.C.)(2004年)(以後、「CTFA」)は、本明細書の組成物に添加することができる多種多様な非限定物質を記載している。それらの成分の部類の例としては、研磨剤、吸収剤、芳香剤、顔料、色素/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤等の審美的構成成分(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、マンサク留出物)、抗ニキビ剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学添加物、着色剤、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収れん剤、外用鎮痛剤、例えば、組成物の被膜形成特性及び直接性を補助するためのポリマーのような被膜形成剤又は物質(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、不透明化剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白及び美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、ピリドキシン)、皮膚コンディショニング剤(例えば、保湿剤及び閉塞剤)、皮膚処理剤(例えば、ビタミンD化合物、モノ−、ジ−及びトリ−テルペノイド、βイオノール、セドロール)、増粘剤、ヘアコンディショニング剤、並びに界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
一実施形態では、組成物は、体の他の部位、衣類、又は家財道具上に望ましくなく滴ることがないよう、組成物の直接性を増大させるために増粘剤を含む。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースベースの増粘剤等の、任意の好適な増粘剤を用いてよい。幾つかの実施形態では、組成物はアルコール及び/又は水を含む。特定の実施形態では、組成物は10〜90%のアルコール、或いは15〜75%のアルコール、或いは25〜50%のアルコールを含む。エタノールのような任意の好適なアルコールを使用してよい。
【0054】
一実施形態では、組成物は少なくとも1種のニトロン誘導体を含んでよい。ニトロンは、不可逆的に電子及び/又はフリーラジカルを捕捉することができ、それにより微環境中の酸化能の相対量を低下させる。従って、これらの物質は、分光学的手段を介してフリーラジカルを検出する能力が、フリーラジカルのスピン共鳴のモニタリングに関与するため、「スピントラップ」と呼ばれている。不可逆的にフリーラジカルを結合することにより、フリーラジカルがα−フェニルブチルニトロン(PBN)のようなニトロンによりトラップされた状態になるため、スペクトル信号は低下する。これらとしては、α−フェニルブチルニトロン(PBN)、PBNドキシルシクロヘキサンラジカル、5,5−ジメチルピロリンN−オキシド(DMPO)、α−(4−ピリジル1−オキシド)−N−t−ブチルニトロン(POBN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシド、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン1−オキシド、及びN−(1−オキシド−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウム、3,5−ジブロモ−4−ニトロソベンゼンスルホン酸、2−メチル−2−ニトロソプロパン、ニトロソジスルホン酸、α−(4−ピリジル−1−オキシド)−N−t−ブチルニトロン、3,3,5,5−テトラメチルピロリンN−オキシド、及び2,4,6−トリ−t−ブチルニトロソベンゼンの塩、又はこれらのスピントラッピング誘導体、並びにこれらの混合物を挙げることができる。特定の実施形態では、スピントラップはPBNである。
【0055】
C.より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させる方法
本発明はまた、毛幹及び毛嚢の直径を増大させ、より濃く及び/又はより豊かな毛髪の外観をもたらす方法も提供する。一態様では、方法は、育毛阻害剤を含むヘアケア組成物を、そこからスタイリングされた毛髪の部位が成長する皮膚表面に塗布することを含む。例えば、ヘアケア組成物は、頭皮及び/又は顔(例えば、あごひげ又は口ひげ領域)に塗布することができる。別の実施形態では、方法は、有効量の育毛阻害剤を含むヘアケア組成物を、より濃く及び/又はより豊かな毛髪の外観を向上させようとしている哺乳類の皮膚の部位に局所的に塗布することを含む。特定の実施形態では、本発明は、毛幹及び/又は毛嚢の直径を増大させるために、育毛低下剤を含むヘアケア組成物の使用を提供する。
【0056】
毛髪の部位は、体の任意の部分上に位置してよい。例えば、毛髪は、頭皮又は顔の少なくとも一部に位置する皮膚表面から成長することができる。
【0057】
さらに別の実施形態では、方法は、レジメンに従って組成物を塗布することを含み、該レジメンは、
(a)頭皮及び/又は顔を洗浄して、洗浄された頭皮及び/又は顔を形成することと、
(b)組成物を、該洗浄された頭皮及び/又は洗浄された顔に局所的に塗布することと、
を含む。
【0058】
D.商品及び市販方法
別の実施形態では、本発明は、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるために用いることができるヘアケア組成物の商品及び市販方法を提供する。一実施形態では、商品は、
(1)容器と、
(2)該容器内に収容されたヘアケア組成物であって、育毛阻害剤を含むヘアケア組成物と、
(3)該ヘアケア組成物を使用することにより、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させることができることを伝える通知と、
を含む。
【0059】
別の態様では、本発明は、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるために用いることができるヘアケア組成物の市販方法を提供する。一実施形態では、方法は、
(a)育毛阻害剤を含むヘアケア組成物を販売する工程と、
(b)該組成物が、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるために用いることができることを伝える工程と、
を含む。
【0060】
別の態様では、本発明は、第1ヘアケア組成物を市販するために、第1ヘアケア組成物と第2ヘアケア組成物との比較を利用する市販方法を提供する。一実施形態では、方法は、
(a)第1ヘアケア組成物と、
(b)前記第1ヘアケア組成物と第2ヘアケア組成物とを比較する通知と、
を含み、前記第2ヘアケア組成物が第2商品に含まれ、前記第2商品が、
(1)育毛阻害剤を含む前記第2ヘアケア組成物と、
(2)前記第2ヘアケア組成物を用いて、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させることができることを伝える、潜在的消費者に対する第2通知と、
を含む、第1商品を販売する工程を含む。
【0061】
別の態様では、本発明は、第1ヘアケア組成物を市販するために、第1ヘアケア組成物が第2ヘアケア組成物と類似する又は同じであることを伝える少なくとも1つの視覚的合図を利用する市販方法を提供する。一実施形態では、視覚的合図はメッセージを含む。特定の実施形態では、メッセージは、「比較する」「〜と比較する」「〜のような」「〜に類似する」「〜の代わりに試す」等のような語を含んでよい。別の実施形態では、視覚的合図は、第2ヘアケア組成物のパッケージ上に含まれる又はパッケージ付近にあるものと同じ又は類似する図を含んでよい。視覚的合図は、任意の好適な位置に位置付けられてよい。例えば、視覚的合図は、製品パッケージ上若しくはその付近、又は商品棚上若しくはその付近に位置してよい。
【0062】
特定の実施形態では、第1ヘアケア組成物は、第2ヘアケア組成物が市販されている容器と同じである少なくとも2色を有する容器に入れて市販される。一実施形態では、方法は、
(a)第1商品を販売する工程であって、前記第1商品が、
(1)第1容器と、
(2)前記容器内に収容された第1ヘアケア組成物と、
(3)前記第1容器上に配置された第1の図一式であって、少なくとも2色を含む前記第1の図一式と、
を含む、第1商品を販売する工程と、
(b)第2商品の視野内に、前記第1商品を配置する工程であって、前記第2商品が、
(1)第2容器と、
(2)前記第2容器内に収容された第2ヘアケア組成物と、
(3)前記第2容器上に配置された第2の図一式であって、
(i)前記第1の図一式に含まれる色と同じである少なくとも2色と、
(ii)潜在的消費者に、前記第2ヘアケア組成物を用いて、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させることができることを知らせる、潜在的消費者に対する通知と、
を含む、第2の図一式と、
を含む工程と、
を含む、第1ヘアケア組成物の市販方法を含む。
【0063】
本明細書で使用するとき、「潜在的消費者」とは、商品及び/又はヘアケア組成物の、実際の若しくは潜在的購買者及び/又は実際の若しくは潜在的ユーザを意味する。
【0064】
本明細書では、ヘアケア組成物を保管及び/又は収容する任意の容器を用いてよい。好適な容器としては、瓶、トトル(tottle)、チューブ、パウチ、箱、タブ型容器、及び缶を挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、容器は、ヘアケア組成物自体を収容する一次容器、又は組成物を収容する少なくとも1つの一次容器を収容する二次容器を含んでよい。
【0065】
本明細書で使用するとき、「図一式」又は「図」とは、容器上に配置された文字列及び/又は画像を指す。本明細書で使用するとき、「〜上に配置された」とは、容器と一体である及び/又は容器上に位置することを意味し、その上に直接配置される(例えば、容器上に直接印刷される)、その上に間接的に配置される(例えば、容器の外部に貼付されたステッカー上に印刷される)、及び/又は任意の他の好適な手段により容器に適用される(例えば、噴霧される、接着される、描かれる、塗装される、印刷される、又は成形される)ことを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用するとき、「通知」とはメッセージを意味し、印刷(例えば、容器に直接的又は間接的に取り付けられ、印刷された材料)、電子的、又は放送メッセージを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0067】
所望により、前記第1商品及び前記第2商品は、互いの視野内に位置してよい。特定の実施形態では、前記第1商品及び前記第2商品は、小売店の棚上又は小売店の他の陳列に、互いに隣接して位置してよい。
【0068】
本明細書で使用するとき、「互いの視野内に位置する」とは、第1商品及び第2商品を、裸眼視力20/20のヒトが、同時に第1商品及び第2商品の両方を見ることができるように、互いに近接して位置することを意味する。特定の実施形態では、前記第1商品及び前記第2商品は、互いの2m以内に位置する。別の実施形態では、前記第1商品及び前記第2商品は、互いの1m以内に位置する。特定の実施形態では、前記第1商品及び前記第2商品は、互いの0.5m以内に位置する。
【0069】
本明細書で使用するとき、「類似する」とは、1つ以上の同じ消費者利益(例えば、より濃い髪)を提供する、又は1種以上の同一成分を含むことを意味する。
【実施例】
【0070】
以下は本発明の非限定的な例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。
【0071】
実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤等の微量物質は除外し得る。そのため、以下に列挙した配合は、列挙した構成成分及びかかる構成成分に関連する任意の微量物質を含む。当業者にとって明白なように、これらの微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明をなすために選択した特定の成分の物理的及び化学的特質に応じて変化する。
【0072】
(実施例1〜4):シャンプーの実施例
【0073】
【表1】

【0074】
(実施例5〜7):コンディショナーの実施例
【0075】
【表2】

【0076】
構成成分の定義
*1 ジメチコン/シクロメチコン:GE東芝(GE Toshiba)から入手可能な、粘度18,000,000mPa.sのジメチコンとシクロペンタシロキサンとのブレンド
*2 ジメチコンブレンド:GE東芝(GE Toshiba)から入手可能な、粘度18,000,000mPa.sのジメチコンと粘度200mPa.sのジメチコンとのブレンド
*3 GEから入手可能な、粘度10,000mPa.sの、次式(I):
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−0−SiG3-a(R1a (I)
(式中、Gはメチルであり、aは、1の整数であり、bは、0、1又は2、好ましくは、1であり、nは、400〜約600の数であり、mは、0の整数であり、R1は、一般式CqH2qL(式中、qは、3の整数であり、Lは、−N(CH32である)に一致する一価のラジカルである)を有するもの
*6 塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム/イソプロピルアルコール:クラリアント(Clariant)から入手可能なゲナミンKDMP(Genamin KDMP)
*7 ステアルアミドプロピルジメチルアミン:イノレックス(Inolex)から入手可能なレキサミン(Lexamine)S−13
*8 グルタミン酸:味の素(Ajinomoto)から入手可能
*9 セチルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)より入手可能なコノルシリーズ(Konol series)
*10 ステアリルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)より入手可能なコノルシリーズ(Konol series)
*11 ポリソルベート−20:ロンザ社(Lonza Inc.)から入手可能なグリコスパースL−20K(Glycosperse L-20K)
*12 PPG−34:三洋化成(Sanyo Kasei)から入手可能なニューポール(New Pol)PP−2000
*13 ポリアルファオレフィン:エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から入手可能なピュアシン(PureSyn)100
*14 メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン:ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)より入手可能なカトン(Kathon)CG
*15 パンテノール:ロシュ(Roche)から入手可能
*16 パンテニルエチルエーテル:ロシュ(Roche)から入手可能
*17 コラーゲン加水分解物:ホーメル(Hormel)から入手可能なペプテイン(Peptein)2000
*18 ビタミンE:エーザイ(Eisai)から入手可能なエミックス−d(Emix−d)
*19 デシルグルコシド:コグニス・ジャパン社(Cognis Japan Ltd.)から入手可能なプランタケア(Plantacare)2000UP
【0077】
(実施例8):トニックの実施例
【0078】
【表3】

【0079】
(実施例9):染色するための共通基剤の実施例
【0080】
【表4】

【0081】
(実施例10):ムース用共通基剤
【0082】
【表5】

【0083】
(実施例11):市販方法
実施例1のシャンプーを青と白の容器にパッケージ化し、小売店で消費者に販売する。容器上のラベルは、このシャンプーを用いて毛髪を洗浄すると、より濃く、より豊かな毛髪の外観を向上させるのに役立つことを伝える。
【0084】
(実施例12):市販方法
青と白の瓶に収容されたシャンプー(本明細書では「対象シャンプー」)を、棚上で実施例11のシャンプーの隣に位置付ける。対象シャンプーの瓶に、消費者を対象シャンプーと実施例11のシャンプーとを比較するよう導くラベルを取り付ける。
【0085】
(実施例13):臨床研究
カフェイン、ナイアシンアミド及びパンテノールの混合物を含む組成物は、プラシーボと対比して、毛髪の幅を臨床的に有意に増大させることを示した。この研究では、水/アルコールマトリクス(25%エタノール、適量の水)中に5%のナイアシンアミド、1.5%のカフェイン及び0.3%のD−パンテノールを含有する頭皮用トニックを評価した。この処方には、増粘剤として、0.3%のヒドロキシプロピルメチルセルロースも含まれていた。この頭部分割(split-head)研究では、1.5mLのトニックを、1日2回頭部の片側に塗布し、1.5mLのプラシーボを1日2回頭部の反対側に塗布した。
【0086】
これは、髪の毛が薄いことを自覚している、18才〜65才(包括的)の女性における、14週間の、二重盲式で、無作為化された、頭部分割及び比較臨床研究であった。この研究は、2週間の前処理段階(実際の処理段階の前に、適切な製品の塗布方法を知るために頭部の両側にプラシーボを使用する)と、それに続く12週間の処理段階からなる。
【0087】
試験会場に到着すると、被験者は、皮膚の健康を評価するために、資格を有する皮膚の採点者により頭皮を評価される前に、30分間、環境的に制御された部屋(21℃±1(70F°±2)かつ相対湿度30〜45%)に順応された。被験者が、資格を有する皮膚の採点者により頭皮を評価された後、免許を有する美容師が毛刈りのために2箇所の頭皮部位(およそ1.8cm×1.8cmの領域)を特定した。1箇所は、生え際のおよそ10.2cm(4”)〜12.7cm(5”)後方の、最上部左方頭皮上であり、もう1箇所は最上部右方頭皮上に対称的に設置された。型板を用いて4つの角部に印をつけ、各処理部位の中心のわずか下に刻み目をつけた。毛刈り部位は、頭部/頭皮の中心線からそれぞれの側の両方におよそ5.1cm(2”)側方であった。免許を有する美容師が、次いで、小電池式バリカンを用いて、それぞれの頭皮の毛刈り部位内の毛髪を、約1mmの長さに切断した。部位の準備ができた後、訓練を受けた臨床助手が、小さく、永続的な点状の刺青を、各処理部位上の印をつけた刻み目(処理部位の中心のわずかに下に位置する)の上およそ1mmに定置させて、指定した研究時点で実施されたデジタル画像化のためにこれらの部位を特定するための基準を提供した。
【0088】
基準として、4、8及び12週目に、型板を用い、シャーピー(Sharpie)(登録商標)マーカー又は同等物を用いて型板の4つの角部に印をつけて、毛刈りされた頭皮部位を特定した。免許を有する美容師が、次いで、以前実施したように、2箇所の毛刈り部位内の短い毛髪を1mmの長さに均等に切断した。毛刈りに続いて、技術者が、ハイスコープ(Hi-Scope)(登録商標)画像デジタル化システムを用いて、それぞれの毛刈りされた頭皮部位の基準画像を取り込んだ。各下方処理部位内に定置された刺青は、取り込み及び保存のために画像の位置を合わせる参照点として用いた。この基準画像は、研究中、処理後の画像をブレンドするときに用いた。次の日、毛刈り視察のおよそ24時間後、技術者が、ハイスコープ(Hi-Scope)(登録商標)画像デジタル化システムを用いて、それぞれの下方頭皮毛刈り部位の画像を取り込んだ。各下方処理部位内に定置された刺青は、1日目に基準として取り込まれた画像と、毛嚢開口部を揃えた後、取り込み及び保存のために画像の位置を合わせる参照点として用いた。この手順は4、8及び12週目に用いた。
【0089】
ヒト臨床試験において、ヘアトニック処理毛髪では、プラシーボ処理毛髪に対比して、毛髪直径の統計的に有意な増大が観察された。トニック処理毛髪の基準調整平均からの変化は、プラシーボ処理毛髪の変化よりも大きく、結果は統計的に有意であった(p=0.0466)。これは頭部分割デザインであるため、被験者による変動は最小限に抑えられた。さらに、研究を通して正確に同じ毛髪が画像化されたため、研究中に異なる毛髪を測定することによる幅の変動も大幅に最小限に抑えられた。
【0090】
(実施例13):臨床研究−処理効果の比較
【0091】
【表6】

【0092】
* 片側検定
画像解析アルゴリズムを用いて、デジタル顕微鏡写真から毛髪の直径を測定した。アルゴリズムは、自動的に幾つかの工程を実施して、各デジタル画像内の毛髪を分離及び特徴付けする。まず、アルゴリズムは、局所的背景平準機能を実行し、カラー画像内の赤成分を増強した。カラー画像の自動閾値化を実行して、背景の毛髪の2値画像(黒及び白)を得た。次いで、アルゴリズムは、連続黒線として毛髪を特定し、分岐点及び高曲率点で線を個々の毛髪に分割した。次に、アルゴリズムは、非常に短い対象物を削除し、残る対象物を「毛髪」として保持した。最終工程では、アルゴリズムは、検出されたそれぞれの毛髪の位置及び直径(幅)を測定し、記録した。
【0093】
本明細書で使用した毛髪システム画像収集及び解析方法は、この実施例の研究のために、異なる処理、頭皮画像化部位、及び時点を用いたことを除いて、バーガー、RS(Berger, R.S.)らにより、2003年、「ミノキシジル、1%ピリチオン亜鉛、及び両方の組み合わせの、毛髪密度に対する効果:無作為化比較試験(The effects of minoxidil, 1% pyrithione zinc and a combination of both on hair density: a randomized controlled trial.)」、British Journal of Dermatology、第149巻354〜362頁に公開された方法であった。
【0094】
(実施例14):相乗効果の実施例
培養下の一次ヒト真皮乳頭細胞からなるインビトロモデルは、代謝的ストレスを受けた真皮乳頭細胞の生存率の驚くべき相乗的増加を示す。一次ヒト真皮乳頭細胞は、低減した標準組織培養培地で、48時間、代謝的ストレスを受けた。このストレス期間中、細胞を以下の混合物で処理した。48時間後、セルタイターグロ(Cell Titer Glo)(商標)キット(プロメガ(Promega))を用いて、ATPの量により細胞の代謝活性を測定した。
【0095】
個々の構成成分は、ストレスを受けた真皮乳頭細胞の生存率をほとんど増加させなかった又は全く増加させなかったが、3つの構成成分の混合物は、細胞生存率において、算出平均だけでなく、個々の構成成分の期待された相加効果をも上回る、統計的に有意な増加を生みだす相乗効果をもたらした。従って、研究者らは、細胞生存率において、組み合わせが、所与の個々の成分単独の効果又は互いに加えた効果よりも、期待以上に有意に大きな増加をもたらすことを実証した。真皮乳頭は、標準的なヒトの毛髪において、毛髪直径のコントロールセンターである。インサイチュでの、真皮乳頭細胞の生存率向上は、毛髪直径の増大をもたらす。従って、真皮乳頭細胞の生存率の向上は、毛髪直径の増大と相関する。
【0096】
【表7】

【0097】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙する正確な数値に狭義に限定されるものとして理解するべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙した値と、その値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図したものである。例えば、「40ミリメートル」として開示する寸法は、「約40ミリメートル」を意味することを意図したものである。
【0098】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0099】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全かつ有効な量の、
a.キサンチン化合物、好ましくはカフェインと、
b.ビタミンB3化合物、好ましくはナイアシンアミドと、
c.パンテノール化合物、好ましくはパンテノールと、を含む、
より濃く、より豊かな毛髪の外観を与えるように毛幹直径を増大させるためのヘアケア組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
a.0.1%〜10%のカフェイン、好ましくは0.5%〜5%のカフェイン、より好ましくは1%〜2%のカフェインと、
b.0.1%〜25%のナイアシンアミド、好ましくは0.5%〜15%のナイアシンアミド、より好ましくは3.5%〜7.5%のナイアシンアミドと、
c.0.01%〜3%のパンテノール、好ましくは0.02%〜1%のパンテノール、より好ましくは0.2%〜0.5%のパンテノールと、
d.所望により、好ましくはセルロースベース、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである増粘剤と、
e.所望により、10〜90%のアルコール、好ましくは15〜75%のアルコール、より好ましくは25%〜50%のアルコールであって、好ましくはエタノールであるアルコールと、
f.所望により、シャンプー等に入れることができる多くのその他のジャンクと、
g.所望により、水と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
より濃く、より豊かな毛髪が求められる部位に、請求項1又は2に記載の組成物を局所的に塗布することを含む、より濃く、より豊かな毛髪の外観を与えるように毛幹直径を増大させるための方法。
【請求項4】
より濃く、より豊かな毛髪が求められる部位に、安全かつ有効な量のAQP3上昇調節剤を含むヘアケア組成物を局所的に塗布することを含む、より濃くより豊かな毛髪の外観を与えるように毛幹直径を増大させるための方法。
【請求項5】
より濃く、より豊かな毛髪が求められる部位に、安全かつ有効な量の育毛阻害物質を含むヘアケア組成物を局所的に塗布することを含む、より濃く、より豊かな毛髪の外観を与えるように毛幹直径を増大させるための方法。
【請求項6】
前記育毛阻害物質が、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ヘキサミジン、ヘキシルイソブチレート、メンチルアントラニレート、メトフラン、3−ブチリデンフタリド、グリセリルジラウレート、ヘキサンジオール、アグマチン、アミノグアニジン、フェニルブチルニトロン及びその他のスピントラップ、エトキシキン、塩化セチルピリジニウム、緑茶抽出物、カテキン、フィトステロール、ウルソル酸、植物抽出物、植物抽出物化合物、3−ブチリデンフタリド、それらの塩、誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。

【公表番号】特表2009−545633(P2009−545633A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523870(P2009−523870)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/019180
【国際公開番号】WO2008/027541
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】