説明

ろ過を用いた流体分配システム

【課題】全体的に選択触媒還元システムにおける流体のろ過に関する。
【解決手段】流体分配システムは、高体積のタンク18内流体ろ過と例えばSCRインジェクタのような外部装置16への低体積流体分配とを組み合わせたバイパス流体フィルタ36を備えている。流体フィルタ・ハウジングに沿って設けられた一つ以上の出口ポートは、他の流体分配システム・コンポーネントへ向かって流体26を放出するように構成することができる。液体還元剤が未使用時に凍結する場合のある例えばSCRシステムのようなシステムにおいて、既に融解した液体を他のシステム・コンポーネントに向かわせることは、所望の位置で最初に凍結した還元剤を融解するのに役立てることができる。流体分配システムは、分配サイクル時及びパージ・サイクル時に、フィルタを通る流れが同一方向を向くように配置することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に選択触媒還元システムにおける流体のろ過に関する。
【背景技術】
【0002】
選択触媒還元法(SCR)は、燃焼タイプの発電装置、例えば内燃エンジン又は他の燃料を燃やす装置の排ガスから特定のタイプの汚染物質を除去するために用いることができる。例えば、還元剤を触媒の存在下で排ガスの流れの中に導入して、NOX化合物を排ガスから除去して、水蒸気や窒素及び/又は二酸化炭素と置換することができる。尿素は、SCRシステムで用いることのできる還元剤の一例である。SCRシステムは、貯えられた還元剤をインジェクタ又は他の排気システム・コンポーネントに位置する供給ポイントに供給して、この還元剤を処理すべき排気ガス流の中に分散、又は挿入するように構成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一つの実施例において、流体分配モジュールは、内部タンク・ボリュームからの液体を受け容れるポンプ入口と、モジュール出口ポートと流体接続したポンプ出口とを有する流体ポンプを備えている。この流体分配モジュールは、前記ポンプ出口と流体接続する入口側と、流体フィルタから前記タンク・ボリュームへ流体を放出するための出口ポートを備えた出口側と、前記流体フィルタの前記入口側と前記出口側の間に設けられてフィルタ・エレメントを通って流れる液体から汚染物質を除去するフィルタ・エレメントとを有する流体フィルタを更に備えている。このフィルタ・エレメントは、このフィルタ・エレメントを通って流れる液体から汚染物質を除去することができる。
【0004】
別の実施例において、流体分配モジュールは、順方向動作と逆方向動作が可能で、ポンプ入口とポンプ出口とを有する流体ポンプを備えている。前記ポンプ出口は、モジュール出口ポートと流体接続され、前記ポンプ入口は、前記順方向動作時に内部タンク・ボリュームからの液体を受け取り、前記逆方向動作時に液体を放出するように構成されている。流体分配モジュールは、入口側と出口側とを有する流体フィルタを更に備えている。出口側は、流体フィルタからの液体を前記タンク・ボリュームに放出するための出口ポートを備えている。フィルタ・エレメントが、前記流体フィルタの前記入口側と前記出口側との間に設けられて、このフィルタ・エレメントを通って流れる液体から汚染物質を除去可能である。流体分配モジュールは、前記ポンプ入口を前記流体フィルタの前記入口側と流体接続させるパージ・ラインと、前記流体ポンプの前記順方向動作時に流体が前記パージ・ラインを通って流れるのを制限し、前記流体ポンプの前記逆方向動作時に流体が前記パージ・ラインを通って流れるのを許容するように動作するバルブと、を更に備えている。
【0005】
別の実施例において、流体分配システムを作動させるための方法は、液体貯蔵タンク内の液体を内部タンク・ボリュームから流体フィルタの入口側までの循環経路に沿って、流体フィルタを通って、流体フィルタの出口側から内部タンク・ボリュームへ戻るように循環させるステップと、前記循環経路に沿った位置から、前記液体の幾らかを、前記液体を消費する前記貯蔵タンクの外側の装置に供給するステップと、を備えている。前記循環経路に沿った前記位置は、前記内部タンク・ボリュームと前記流体フィルタの入口側との間に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施例に係る排ガス流内に還元剤を供給するSCRシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係る流体分配モジュールを示した図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の一実施例に係る環状流体フィルタを備えた流体分配モジュールの上面図である。
【図4】図3の流体分配モジュールの側面と底面を示す斜視図である。
【図5】流体フィルタを取り除いた図3の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の開示から明らかになるであろうが、SCR又は他の流体取り扱いシステムと方法の種々の実施例が、既知のシステムや方法に較べて一つ以上の長所を提供する。特に記載があるものを除き、概略図は、図示されたシステムの実際のコンポーネントの寸法や位置を示している訳ではないことに留意すべきである。これらは、どのように異なるコンポーネントが一緒になって機能するかを示すSCR又は他の分配システム・コンポーネントの配置例を意味しているに過ぎない。また、流体をフィルタリングして1つ以上の所望の供給点に供給する流体分配システムのこれらや他の実施例は、SCRシステムに限らず、他の流体取り扱いシステムも、これらの長所の教示を受け取ることができる。
【0008】
図1を参照して、SCRシステム10の例が模式的に描かれており、流体分配システム12、装置供給ライン14、そして装置16を備えている。この実施例において、流体分配システム12は、貯蔵タンク18と流体分配モジュール20を備えている。貯蔵タンク18は、少なくとも部分的に内部タンク・ボリューム24を形成するように設けられた一つ以上の壁22を備えている。液状流体26がタンク・ボリューム24に貯えられて、液面の上のタンク・ボリュームの残りの部分は空気又は他のガス状流体で占められている。流体26と称しているが、貯えられた材料は、例えば流体26が凍結した場合など、時には少なくとも部分的に固体である。分配モジュール20は、液体を他のSCRシステム・コンポーネント及び/又は流体分配システム12内へ分配するアセンブリである。図1の実施例に示すように、分配モジュール20は貯蔵タンク18に取り付けられて、分配モジュール20の少なくとも一部が貯蔵タンク18の一つ以上の壁を通して形成されたモジュール開口28を通って延在している。分配モジュール20は、タンクのモジュール開口28に容易に据付けできるように、単一のマルチ・コンポーネント・アセンブリとして製造することができ、より詳細は以下に記載する。
【0009】
装置供給ライン14は、流体分配システム12と装置16とを流体接続している。この場合の装置16は、装置供給ライン14を介して貯蔵タンク18から液状流体26を受け取る液体インジェクタである。他の実施例において、装置16は単純なノズル、噴霧器、又は他のタイプの流体を受け取る装置である。図示例において、液状流体26の一部として含まれた還元剤の用量が、例えば燃焼機関から排ガス導管32を通って流れる排ガス流30に、インジェクタ16によって供給、又は分散される。SCRシステム10に用いられる還元剤の一例は尿素であるが、他の還元剤も用いることができる。尿素は、所望濃度の水溶液の形状をしており、例えば溶液の凍結点を最小化する濃度である。ここで用いられる用語「還元剤」は、一般的にSCRシステムにおける貯蔵タンク18に貯えられた(時には凍結した)液状の溶液を意味する。
【0010】
図2を参照して、流体分配モジュール20の一つの実施例を示す。図示の流体分配モジュール20は、貯蔵タンク18の底に設けられているが、貯蔵タンク18の上部や他の位置に設けることもできる。図示のように、少なくとも流体分配モジュール20の一部が内部タンク・ボリューム24内に設けられ、他の部分は内部タンク・ボリューム24の外側に設けられている。流体分配モジュール20は、互いに流体接続され取り付けフランジ38で支持された流体ポンプ34と流体フィルタ36を備えている。流体分配モジュール20は、一つ以上の流体ライン40〜46と、バルブ48〜54とろ過器56も備えており、これらの動作の詳細は後述する。流体ライン40〜46は、図2に模式的に示されており、従来の管状導管や、図示の位置に限定されない。ここで用いている用語「流体ライン」は、流体が流れることのできるシステムのあらゆるコンポーネントを意味する。例えば、流体導管に加えて、流体ラインは、流体が流れる2つの部分間の堅固な接続や、バルブ又はバルブ本体、流体が流れるチャネル又は中空領域、などであってもよい。また、図2のバルブ48〜54は、すべて一方向の圧力動作チェック・バルブであるが、他の種類のバルブ及び/又はバルブ・アクチュエータも用いることができる。図示の実施例において、これらのコンポーネントは、すべてフランジ38のタンク側58の上に設けられている。フランジ38の反対側の外側60は、例えばヒーター64やセンサ66といった他のモジュールやシステム・コンポーネントを設けることのできるハウジング62を備えている。流体分配モジュール20は、もちろんここには図示していない追加のコンポーネントを備えることができるし、一つ以上の図示したコンポーネントを省略してもよい。
【0011】
流体ポンプ34は、流体をポンプ入口68へ吸い上げ、ポンプ出口70から放出する。流体ポンプ34は、順方向と逆方向の動作が可能であり、順方向動作時に流体はポンプ出口70から放出され、逆方向動作時にポンプ入口68から放出される。流体ポンプ34は、歯車ポンプやジェロータ・ポンプ、羽根車ポンプなどの容積式ポンプ、又は流体を入口から流入させ出口から流出させる他のポンプであってもよい。一つの実施例において、流体ポンプ34はジェロータ・ポンプであって、内部歯車が反対方向に回転した場合に、流体の流れを反転させることができる。ポンプの内部歯車を回転させる種々の方法を用いることができ、例えば様々な電気モータを結合させて用いることができる。一つの実施例において、ブラシレスDCモータを電磁結合によって流体ポンプ34と結合させることができるし、他のモータ及び/又は結合を用いることもできる。例えば、モータ出力軸は、直接ポンプ・エレメント例えば歯車や羽根車と結合させることができる。流体ポンプ34は、インジェクタ16を動作させるのに十分な、又はそれ以上の流体圧と流量を供給できる。例えば、流体ポンプ34はインジェクタ16が必要な流量の約2〜400倍の体積流量又は質量流量を供給でき、好ましくはインジェクタの動作流量の約20〜300倍を供給できる。
【0012】
流体フィルタ36は、そこを流れる流体から汚染物質を除去することのできるコンポーネントである。一つの実施例において、流体フィルタ36は一定のサイズ又はそこを流れる液状流体26より大きな固体粒子を除去する。幾つかの流体取り扱い分野において、他の種類のフィルタを他の種類の汚染物質、例えば望ましくない化学物質を流体から除去するのに用いることができる。図示のように、流体フィルタ36は内部タンク・ボリューム24内に設けられているが、少なくとも部分的に貯蔵タンク18の外側に設けてもよい。流体フィルタ36は、ハウジング72、フィルタ・エレメント74、入口側76、及び出口側78を備えている。フィルタ・エレメント74は、ハウジング72の内側に設けられ、入口側76と出口側78の間に位置している。ハウジング72は、少なくとも部分的にフィルタ・エレメントの縁の部分や他の領域を封止することによって、流体フィルタ36の入口側76から入った流体の幾らか、好ましくは流体のすべてが、フィルタの出口側78から内部タンク・ボリューム24へと放出される前に、フィルタ・エレメント74を通るようになっている。ハウジング72の内部ボリュームへの出入りを可能にする入口ポートと出口ポートが設けられている。フィルタ・エレメント74の利用可能な表面積を最適化するために、又は例えば他のシステム・コンポーネントとの接続のために入口ポート及び/又は出口ポートの適切な配置を容易にするために、ハウジング72は直接その中を流れるための種々の内部チャネル、バッフル、及び/又は仕切りを備えることもできる。ハウジング72は、ハウジング内でフィルタ・エレメント74を取り囲むために、及び/又はフィルタ・エレメントの上部に封止を形成するために、図示のような独立した蓋又はトップ80を備えている。ハウジング72は、特定の用途に適合させるために、あらゆる形状又は寸法に組立てることができる。少なくとも幾つかの実施例において、ハウジングは少なくとも部分的に一つ以上の分配モジュール・コンポーネントを取り囲むような形状をしている。
【0013】
図示の実施例において、流体フィルタ36の入口側76は種々の流体ラインやバルブを介してポンプ入口68やポンプ出口70と流体接続しており、フィルタの出口側78は、フィルタを通った流体が流体フィルタ36から内部タンク・ボリューム24へ放出される時に通る一つ以上の循環ジェット又は出口ポート82を備えている。フィルタ・エレメント74は、液体がそこを通ることを許容する液体透過性コンポーネントであって、一定のサイズ以上の粒子がそこを通るのを制限するようになっている。異なる種類のフィルタ・エレメント74やろ過材料が知られており、他のフィルタ特性と併せて、流体フィルタ36の容量に影響する異なる総表面積及び/又は材料の多層構造を有するように組立てることができる。
【0014】
取り付けフランジ38は、例えば流体ポンプ34又は流体フィルタ36のような一つ以上の他のモジュール・コンポーネントを取り付け、支持するためのコンポーネントである。取り付けフランジ38は、タンク壁のモジュール開口28のカバー又は蓋としても機能し、図示のように、この開口の縁部に又は縁部近傍に取り付けられる。SCRシステムは、取り付けフランジ38の外側60にヒーター64を備えているので、取り付けフランジ38は、金属又は他の熱伝導材料(例えば熱伝導性ポリマー材料)で構成されることが好ましく、それによって熱エネルギーは容易にフランジの厚みを通して内部タンク・ボリューム24に伝達され、タンク内の凍結した流体を解凍するのに役立つ。
【0015】
次に図2に示された流体ライン、バルブ、コンポーネント間の接続の特定の配置に関し説明すると、流体分配モジュール20は、入口ライン40、出口ライン42、循環ライン44、及びパージ・ライン46を備えている。入口ライン40は内部タンク・ボリューム24をポンプ入口68と接続して、分配サイクルの間、即ち流体分配モジュール20がSCRシステムのインジェクタ16に流体を供給するように動作している間、液状流体26が流体ポンプ34に流入するようになっている。入口チェック・バルブ48が入口ライン40に設けられて、入口ライン40を通ってポンプ入口68へ向かう流れを許容し、入口ライン40から内部タンク・ボリューム24への流れを制限する。ろ過器56が内部タンク・ボリューム24と入口チェック・バルブ48の間の入口ライン40に取り付けられて、流体が流体ポンプ34に入る前に流体から汚染粒子を除去するようになっている。出口ライン42がポンプ出口70をモジュール出口ポート84と接続して、分配サイクルの間に液状流体26が流体分配モジュール20から出て行くことができるようになっている。この実施例において、出口ライン42は取り付けフランジ38とハウジング内の開口を通り抜けるようになっており、装置供給ライン14と脱着するのに適切なコネクタ又は他の種類の終端構造を有している。
【0016】
循環ライン44は、ポンプ出口70を流体フィルタ36と接続している。より具体的には、図示の循環ライン44は、出口ライン42を流体フィルタ36の入口側76と流体接続している。循環ライン44は図示のようにポンプ出口70とモジュール出口ポート84の間ならどこででも出口ライン42と接続できる。他の実施例において、循環ライン44は流体フィルタ36を装置供給ライン14と接続している。循環ライン44は、SCRシステムのインジェクタを動作させるのに必要な量を超えた流体ポンプ34からの液体の流量を収容可能である。任意に設けることのできる流量絞り86が、循環ライン44内に又は循環ライン44に沿って位置して、そこを通る流体の体積流量を制限し、それによって装置供給ライン14及び/又はインジェクタ16のところでの最低流体圧を維持している。流量絞り86は、既知の寸法を有する穴を備えているか、又は可変の及び/又は制御可能な穴寸法を有している。従って、循環ライン44の少なくとも一部は、高流量で低圧の出口ライン42への分岐として記載される。
【0017】
循環バルブ50が循環ライン44に設けられて、例えば分配サイクルの間、又は流体ポンプ34の順方向動作の間、循環ライン44を通って流体フィルタ36への流れを許容するように動作する。循環バルブは、例えばパージ・サイクルの間、又は流体ポンプ34の逆方向動作の間、循環ライン44と流体フィルタ36を通る逆方向への流れを制限するように動作することもできる。図示の循環バルブ50は、流体の流れを流体ポンプ34から離れて流体フィルタ36に向かうように一方向にのみ許容するチェック・バルブである。リリーフ・バルブ52も、流体フィルタ36の入口側76と流体連結するように設けられている。図示のリリーフ・バルブ52は、(例えばフィルタ・コンポーネントが凍結した材料によってブロックされた場合など)流体フィルタがすべての過剰な流れを収容できないほど過度の体積流量が生じた場合、流体の流れが循環ライン44の外で内部タンク・ボリューム24内に向かうことを許容し、及び/又は流体フィルタ36が損傷するのを防止するように動作する。このリリーフ・バルブ52は、循環ライン44に沿って、又は流体フィルタ36の入口側76に沿ってどこに位置してもよく、分配サイクルの間、必要に応じて循環ライン又はフィルタにかかる圧力を軽減するようになっている。この例において、リリーフ・バルブ52は循環バルブ50と流体フィルタ36の間に設けられて、流体フィルタ36が他の供給源からの液体を受け取った場合に、例えば以下に概説するパージ・サイクルの間に、必要に応じてラインの圧力を軽減するようにもなっている。
【0018】
パージ・ライン46は、ポンプ入口68と流体接続しており、パージ・サイクルの間、SCRシステムの他の部分からの流体を内部タンク・ボリューム24に戻すように構成されている。図示の実施例において、パージ・ライン46は入口ライン40を流体フィルタ36と接続して、この機能が実現できるようにしている。特に、パージ・ライン46の一端は、ポンプ入口68と入口チェック・バルブ48の間の入口ライン40と接続されている。この実施例において、パージ・ライン46の他端は、流体フィルタ36の入口側76と接続されている。この配置により、先で述べるように、パージ・サイクルの間、追加の流体ろ過ができるようになっている。他の実施例において、ポンプ入口の末端と対向するパージ・ライン46の末端は、内部タンク・ボリューム24内に設けられて、パージされた流体が流体フィルタ36を通過することなく、直接パージ・ライン46から内部タンク・ボリューム24に放出されるようになっている。パージ・バルブ54がパージ・ライン46に設けられて、例えば分配サイクルの間、又は流体ポンプの順方向動作の間、流体ポンプ34が流体をポンプ出口70から外に吸い上げるように動作した時に、流体がパージ・ライン46を通って流れるのを制限するように動作する。パージ・バルブ54は、例えばパージ・サイクルの間、流体ポンプ34が流体をポンプ入口68から外に吸い上げるように動作した時に、流体がパージ・ライン46を通って流れるのを許容するようにも動作することができる。図示のパージ・バルブ54は、流体を流体ポンプ34から離れ、流体フィルタ36に向かう一方向にのみ流れることを許容するパージ・チェック・バルブである。
【0019】
ハウジング62は、例えばヒーター64やセンサ66といった種々のコンポーネントを囲むのに有用であって、これらを貯蔵タンク18内の環境やハウジング62の外側の環境から隔離する。ヒーター64は、熱エネルギーをタンク・ボリュームに伝達できる熱源であれば、どのような種類であってもよい。図示のように、ヒーター64はハウジング内に設けられるか、又はシステムのどこに設けられてもよく、複数のヒーターを用いることができる。センサ66は、一つ以上のシステム状態又はモジュール内又はモジュール周辺の変動をモニタできるものであれば、どのような種類のセンサでもよい。一つの実施例において、センサ66は出口ライン42及び/又は装置供給ライン14の流体圧をモニタできる圧力センサである。センサ66は、温度センサ、流質センサ、流量センサ、又は他の種類のセンサであってもよく、一つ以上のセンサを用いることができる。
【0020】
流体分配モジュール20を含むシステムの動作を、分配サイクルとパージ・サイクルの観点から記載できる。SCRシステムの通常動作の間、分配サイクルが発生し、還元剤が貯蔵タンク18から処理すべき排ガス流に供給されるようになっている。寒い気候において、システムが非活動状態であることにより、分配サイクルの始めにシステム内の還元剤の幾らか又は全部が凍結している場合がある。このような条件下で、流体ポンプ34が通電されるより前で分配サイクルの始めに、図2のヒーター64のようなヒーターが通電される。一定期間の過熱後、又は一定量の還元剤の解凍後、流体ポンプ34が通電されて、液状流体26を内部タンク・ボリューム24からろ過器56と入口ライン40と入口チェック・バルブ48を通ってポンプ入口68へと吸い上げる。ポンプの入口側が低圧であることと、加圧された流体フィルタ36に対する向きによって、分配サイクルの間、パージ・バルブ54は閉じている。
【0021】
内部タンク・ボリューム24から流体ポンプ34に吸い上げられた流体は、ポンプ出口70を通ってポンプを出て、出口ライン42、装置供給ライン14、及び循環ライン44を加圧する。循環ライン44及び/又は流量絞り86は、一定流量の流体がそこを流れるのを許容し、装置供給ライン14を通って流れる流体の体積流量の2桁倍まで、又はそれ以上が流れる。循環ライン44と循環バルブ50を通って流れる流体は、流体フィルタ36の入口側76に達し、さらにフィルタ・エレメント74を通ってフィルタの出口側78に流れる。流体は、さらに循環ジェット82を通って内部タンク・ボリューム24へと流れ、そこで再循環と追加のろ過のために再び流体ポンプ34に吸い上げられる。循環ジェット82は、ハウジング72の底部又はその近傍に設けられるか、又は直接液状流体が他のモジュール・コンポーネントに向かって流れるように設けられ、そこで循環ジェット82から噴出された既に解凍され循環された還元剤は、解凍プロセスを継続するために役立てることができ、内部タンク・ボリューム24から吸い上げるためにポンプに液状の還元剤を確実に供給できるようにする。フィルタを通る高体積流量の流体と組み合わされたこの種のジェットの配置は、凍結した還元剤の迅速な解凍を容易にする。
【0022】
図2の例のように配置された流体フィルタ36は、流体が装置供給ライン14に達する前の分配サイクルの間、内部タンク・ボリューム24内で連続的に液状流体26をろ過するバイパス・フィルタ又はパラレル・フィルタとみなすことができる。貯蔵された液状流体26の体積と比較した流体ポンプ34の体積流量容量は、液体が凍結していない場合、分配サイクルの間、貯蔵液体の全体積を時間当たり複数回ろ過できる程度のものである。この配置又は同様の他の配置は、貯蔵タンク18が満タンになった後、還元剤又は他の貯蔵液体の全体積を迅速かつ効果的にろ過できて、いかなる寸法のイン・ライン・フィルタの必要性を除去できる。一つの実施例において、ポンプ出口とインジェクタの間にイン・ライン流体フィルタを用いることなく、ポンプ出口がインジェクタと流体接続される。もちろん、他の実施例において、低容量フィルタ(図示せず)を装置供給ライン14、入口ライン40又は出口ライン42に含むことができる。このような補助の低容量フィルタは、貯蔵タンク18の再充填後で流体フィルタ36を通過する前に、装置供給ライン14へ向かう途中での初期の少量の液体をろ過するために用いることができるが、しかし不必要である。例えば、どの時間帯であれ、装置16が閉じた位置にある状態で、分配モジュール20を通電することができ、それによって装置16が不使用の時でさえ、タンク内の液体が連続的にろ過される。
【0023】
装置供給ライン14に対してイン・ラインのいかなるフィルタも省略したり寸法を小さくしたりすることによって、イン・ライン・フィルタ内に存在して流体をインジェクタに届けるために解凍が必要な凍結材料がなくなるか減少するので、システム起動時に、システムが還元剤をインジェクタ又は他の供給点へより迅速に供給するのに役立つ。フィルタがシステムの低流量部分に設けられている場合、このようなイン・ライン・フィルタ内の解凍は、例外的に遅くなる。加えて、図示のようにバイパス配置で流体フィルタ36を内部タンク・ボリューム24内に設けることで、タンク内及び/又は他の分配モジュール20のコンポーネント近傍の凍結材料の解凍を加速するイン・タンク液体循環が実現できる。
【0024】
以下で述べるパージ・サイクルの間、流体分配システムにバイパス・フィルタを用いることによって、更なるメリットが実現される。分配サイクルの終了後で、システム停止の前に、このパージ・サイクルが開始される。パージ・サイクルの間、流体ポンプ34は逆方向動作して、流体をシステム・ラインから吸い上げて、内部タンク・ボリューム24内に放出し、それによって液体はシステム・ライン内及び/又は他のシステム・コンポーネント内で凍結することがなく、特に、貯蔵タンク18の外のライン及び/又は他のシステム・コンポーネントでの凍結を防ぐことができる。再び図2を参照して、パージ・サイクルの間、流体ポンプ34を通る流体の流れは、ポンプ出口70がポンプの低圧側になり、ポンプ入口68がポンプの高圧側になるように動作する。流体は出口ライン42を通って装置供給ライン14からポンプ出口70へ吸い上げられる。排気導管からの空気又は他のガスは、インジェクタを開放状態におくことによって、装置供給ライン14の装置端への進入が許容され、例えば装置供給ライン14内に真空が形成されるのを防止する。これは、他の手段、例えばインジェクタ近傍のバルブを開放することによっても実現可能である。循環バルブ50はパージ・サイクルの間、閉じた状態を維持しており、それによって流体フィルタ36を通る流体の逆流が許容されないようになっている。流体の流れは、流体ポンプ34からポンプ入口68の外側へ、そして入口ライン40へと続く。入口ライン40は入口チェック・バルブ48によって閉じられており、システム・ラインからパージされたすべての流体は、パージ・ライン46と開放されたパージ・バルブ54とを通って流体フィルタ36の入口側76へ、そしてフィルタ・エレメント74を通り循環ジェット82を通って内部タンク・ボリューム24へと続く。すべての液状流体がモジュールから排出された後でさえ、パージ・サイクルは一定期間継続することができ、ガス状流体がシステムを通って流れるのを許容して、フィルタ・エレメント74に吸収された液体を除去するのに役立てることができる。
【0025】
図示し記載したように配置することで、分配サイクル又はパージ・サイクルの間、流体フィルタ36は流体の逆流にさらされない。従って、フィルタ・エレメント74に捕獲された粒子は、直接内部タンク・ボリューム24へ流れ戻されない。即ち、上で議論した実施例において、流体フィルタ36を通る流体の流れは、分配サイクルとパージ・サイクルの間、図2に矢印で示すように、常に同一方向を向いており、パージ・サイクルの間さえ、流体のろ過が行なわれている。換言すれば、流体ポンプ34が流体をポンプ出口70の外に吸い上げる場合も、流体ポンプ34が流体をポンプ入口68の外に吸い上げる場合も、流体はフィルタ・エレメント74を通って流体フィルタ36の入口側76から流体フィルタ36の出口側78へと流れる。
【0026】
流体フィルタ36をより高圧の装置供給ライン14ではなくて低圧の循環ライン44に沿って設けることによって、システム起動時にフィルタ・ハウジング内の空気を圧縮するためにポンプを使う必要がなくなり、かつ、より大きなシステム・フィルタの使用が可能となる。例えば、記載したようにシステムの低圧部分に沿って流体フィルタ36を設けることで、例えばフィルタ・ハウジングのようなフィルタ・コンポーネントを、システムの高圧部分に設けられたより小さなフィルタと同じ力又は内部負荷にさらされる、より大きな表面積を有するフィルタとして設計することを可能にする。
【0027】
図3〜5は、図示の流体分配モジュール20の種々のコンポーネントを示しており、図2に模式的に描写されたコンポーネントの物理的配置の一例を示している。流体分配モジュール20の上面図を図3に示す。この図で示されているのは、先に述べたコンポーネントであって、例えば流体ポンプ34、流体フィルタ36、取り付けフランジ38、及びろ過器56である。この例において、流体フィルタ36は環状又はリング状であって、取り付けフランジ38のタンク側の流体分配モジュールの他のコンポーネントを囲んでいる。このような形状のフィルタは、「渦巻きポット」としても機能し、解凍した還元剤の貯蔵物が、流体ポンプ34を囲む一つ以上の循環ジェット82の位置にあるフィルタを通って連続的に循環し、フィルタから排出されて、入口ライン40近傍又はろ過器56近傍の凍結した還元剤の解凍を加速する。これは、例えば解凍した液体が、他のモジュール・コンポーネントから離れ、タンク側の壁に向かうようにフィルタから排出された場合に生じうるポンプの材料切れの可能性を防止する。同様の結果が、他のモジュール・コンポーネントを部分的にのみ囲む形状の流体フィルタによって得られる。このような流体ポンプ34近傍の液体還元剤の貯蔵を維持することによって、タンク内の液状流体が流体分配モジュール20から移動して、車両移動時にポンプが材料切れになるのを防止する。
【0028】
図示の流体フィルタ36は、環状ハウジング72を備えており、フィルタ・エレメントはその中に設けられている。流体フィルタ36の入口側76は、ハウジング72の外径又は周辺長と一致しており、流体フィルタ36の出口側78は、ハウジング72の内径又は内壁に一致している。複数の循環ジェット又は出口ポート82がハウジング72の底部近傍(即ち、取り付けフランジ38に最も近いハウジング端部)の流体フィルタ36の出口側78に設けられている。出口ポート82は、流体の流れをあらゆる方向に向けるように設けられ、構成され、及び/又は、形状をしている。例えば、一つ以上の出口ポート82は、放出された流体を一つ以上の他のモジュール・コンポーネント、例えば流体ポンプ、流体ライン、又はバルブなどに向かわせるように構成されている。少なくとも幾つかの実施例において、出口ポート82のすべてが流体分配モジュール20の中心に向けられているわけではない。一つ以上の出口ポート82は、わずかに上を向き、下を向き、又は横を向くことによって、他のモジュール・コンポーネント周りに所望の流体流れパターンを得て、液体をタンク・ボリュームの特定の部分に直接向かわせている。一つ以上の出口ポート82は、ハウジング72の外径に沿って設けることによって、内部流路がハウジング内に形成されて、フィルタの出口側から流体が直接流れるようになっている。換言すれば、フィルタの入口側と出口側は、フィルタ・ハウジングの物理的に対向する位置に設ける必要は無い。図示のように、取り付けフランジ38は、所望の位置で流体ポンプ34や流体フィルタ36をそれぞれ支持するための支持機構92、94を備えることができる。後述の種々の流体ライン及び/又はバルブを収容可能な流体ポンプ34に取り付けられたバルブ・マニホールド96を図3に示す。
【0029】
図4は、図3の流体分配モジュール20の底面図である。この図において、図2のハウジング62とそこに収容されたコンポーネントは省略されている。出口ライン42の一部が、その端部のモジュール出口ポート84と共に示されている。出口ライン42は、装置供給ラインに取り付けられて、流体が流体分配モジュール20からインジェクタへ流れるのを許容するように構成されている。また、流体フィルタ36の入口側76に設けられた流体接続部を図4に示す。特に、循環ライン44とパージ・ライン46が流体フィルタ36の入口側76と接続されており、この場合ハウジング72の底部に沿う形になっている。循環ライン44とパージ・ライン46の一部は、流体ポンプ34(図3に示す)から凹部98とハウジングの底部の間に形成された開口を通ってハウジングの外径へと延在している。凹部98は、取り付けフランジ38のフィルタ支持機構94に形成されて、循環ライン44とパージ・ライン46の一部を収容するようになっている。循環ライン44とパージ・ライン46の一部を収容することに加えて、凹部98によって形成された開口は、環状流体フィルタ36の外径と内径の間の、そして支持機構94を横断する流体流路を形成している。この流体流路は、貯蔵タンクの他の領域からの液体を環状ハウジング72の内部(即ち、この例では出口側78)に流れることを許容し、それによって還元剤が解凍した場合に、そこに形成されたいかなる液体貯蔵部分も、決して完全に枯渇しないようになっている。限定された量の液状流体がフィルタ・ハウジングの一方から他方へ流れるのを許容するための、追加の凹部や開口を取り付けフランジ38やハウジング72又は他のコンポーネントに形成することができる。
【0030】
この例において、流体ポンプは取り付けフランジ38に形成されたハウジング88の下に又は少なくとも部分的にハウジング88に設けられたモータ86によって動作する。このように、流体分配モジュール20が貯蔵タンクに据え付けられた場合に、モータ86は取り付けフランジ38の外側でタンク・ボリュームの外側に設けられる。モータ86は、隣接した結合コンポーネントを介して流体ポンプと電磁的に結合してもよく、そこでは一つの結合コンポーネント(図示せず)は、モータに取り付けられ、他の結合コンポーネント(図3のコンポーネント90)は流体ポンプ34に取り付けられる。結合コンポーネントの一方は磁性材料を備えており、他方は磁性及び/又は強磁性材料を備えており、結合コンポーネントは同調して長軸まわりに回転し、それによってモータの回転運動を適切にポンプ・コンポーネントに伝えて、ポンプが動作するようにしている。
【0031】
図5は図3の流体分配モジュール20の一部の拡大上面図であって、マニホールド96の詳細を示している。マニホールド96は、一つ以上の上記流体ライン及び/又はバルブの少なくとも一部を包含している。この図において、明確性のために流体フィルタは省略されており、幾つかの他のコンポーネント、例えば流体ポンプ34、ろ過器56及び支持機構94には、番号が付されている。マニホールド96は、結合コンポーネント90と対向する流体ポンプ34の一面に取り付けられて、ポンプ入口とポンプ出口を覆うようになっている。マニホールド・ハウジング100とポンプ面の間で、ポンプ入口は入口ライン40と流体接続され、ポンプ出口は出口ライン42と別個に流体接続されている。入口ライン40はろ過器56から流体ポンプ34へと流体を吸い上げる。入口ライン40は、そこに据え付けられた入口チェック・バルブ48を有しており、パージ・サイクルの間、流体がパージ・ライン46とパージ・バルブ54を通って流れるようになっている。循環ライン44は出口ライン42から分岐し、そこに設けられた循環バルブ50を有しており、パージ・サイクルの間、流体の流れがフィルタをバイパスしてパージ・ライン46から直接出口ライン42へ流れるのを防止している。マニホールド96は、リリーフ・バルブ52も収容している。マニホールド96は上記バルブのすべてを都合よく収容して、システム流体ライン及び/又はポートのすべてを一緒のグループにして、コンパクトなユニットにまとめている。モジュール・コンポーネントのこの効率的なパッケージングは、システム起動時の直接加熱を可能にしている。例えば、複数のより低パワーの加熱源を個別に設けて、分配モジュールの異なる場所にある種々のコンポーネントを解凍する代わりに、単一の比較的パワフルな加熱源がマニホールド96の近傍に設けられて、バルブ、流体ポンプ・ポート、フィルタ・ハウジング・ポートといったモジュール・コンポーネントを同時に解凍することができる。
【0032】
上記配置の一つ以上に従って、流体分配システムを動作させるための例示的な方法についても記載することができる。一つの実施例において、この方法は、インジェクタ又は他の装置が必要とする流体流量より大きな流体流量(例えば質量流量又は体積流量)を供給することが可能な流体ポンプを設けるステップと、このポンプを動作させてポンプからの液体流量をインジェクタの要求以上にするステップと、インジェクタに必要な液体流量を供給するステップと、ポンプからの過剰な液体流量を流体フィルタへ供給する、又は流体フィルタへ迂回するステップとを備えている。このように、もしインジェクタがポンプから放出される流体のすべてを用いない場合であっても、流体ポンプはその最大容量で動作し、過剰な液体はろ過され浄化されるというメリットが実現する。過剰な流体ポンプ容量を利用するフィルタをシステムに備えていることによって、システム設計者又は製造者に、耐久性の向上した、より低温で動作する、より大きな流体ポンプを利用するという選択肢を提供し、又はより小さなポンプと比較してより安定した流体供給ができる。例えば、幾つかのインジェクタ又は他の装置は、約1リッター/時間以下の、またしばしばその5〜10%程度に低い体積流量のみを必要とする。そのように小さな単位時間当たりの液体量を供給可能な流体ポンプを製造することは、特に5barを超える圧力で、及び/又は空の供給ラインがしばしば再補充を要求するようなSCRシステムのような分野で、そのような流体ポンプを製造することは、困難であり、非現実的である。
【0033】
他の実施例によれば、流体分配システムを動作させるための方法は、液体貯蔵タンク内の液体を循環経路に沿って循環させるステップを備えている。この循環経路は、タンク・ボリュームから流体フィルタの入口側へ、フィルタ・エレメントを通ってフィルタの出口側へ、そしてタンク・ボリュームへ戻るように連続している。この方法は、循環経路に沿った位置から幾らかの液体を貯蔵タンクの外側の液体を消費する装置、例えば上記インジェクタへと供給するステップを更に備えている。流体が装置へ供給される循環経路に沿った位置は、内部タンク・ボリュームと流体フィルタの入口側の間に設けることができる。上で述べたように、フィルタを通り循環経路に沿った液体の体積流量又は質量流量は、外部装置の流量より著しく大きくすることができる。一つの実施例において、循環経路に沿った液体の流量は、装置に流れる流量の少なくとも2倍であり、上記のように流体ポンプの容量に依存してさらに大きくすることができる。
【0034】
この方法は、分配サイクルとパージ・サイクルを更に含めることができる。例えば、分配サイクルは、液体をタンク内に循環させている間に、流体ポンプを順方向動作させるステップを備えることができる。続いて、パージ・サイクルは、流体ポンプを逆方向動作させて、流体が装置へ供給される流体供給ラインをパージするステップを備えることができる。上述のような流体分配システムを用いることによって、パージされた流体は流体フィルタの入口側に向かわせることができ、フィルタ・エレメントを通る、分配サイクルの間と同じ方向にパージされた液体を流すようになっている。
【0035】
ここに記載した流体分配構造の一つ以上の実施例から、種々の循環経路が明らかである。一つの例は、タンク・ボリュームから始まり、続くコンポーネントを通って、再びタンク・ボリュームに達する経路であって、ろ過器、入口ライン、入口バルブ、ポンプのポンプ入口、ポンプのポンプ出口、出口ライン、循環ライン、循環バルブ、フィルタの入口側、フィルタ・エレメント、フィルタの出口側、そして出口ポートへと続く経路である。もちろん、他のコンポーネントを循環経路に含めることができるし、及び/又は、幾つかの場合において1つ以上のコンポーネントを省略することができる。タンク・ボリュームと流体フィルタの入口側の間の循環経路に沿った例示的な位置に、ポンプ出口とシステムの出口ラインを含めることができる。しかし、液体がインジェクタに供給されるシステム内の位置又は貯蔵タンクの外側の他の位置は、そのように限定されない。例えば、タンク・ボリューム自体は、記載したように循環経路の一部であって、本方法を実施するために、二次流体ポンプを用いて、流体はタンク・ボリュームから直接タンクの外側の位置に供給することができる。その場合、システムは、タンク内の液体を連続的にろ過する専用ポンプによって動作するイン・タンク・フィルタを含めることができ、それによって別個のポンプによってタンクの外側に供給される液体は、追加のろ過をほとんど、又はまったく必要としない。
【0036】
ここに開示した発明の形態は、現在のところ好ましい実施例を構成しているが、他にも多くの形態が可能である。本発明のすべての同等な形態や変形例を記載することをここでは意図していない。ここで用いられた用語は、単に記述的なものであって、限定するためのものではなく、本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変形が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部タンク・ボリュームからの液体を受け容れるポンプ入口と、モジュール出口ポートと流体接続したポンプ出口とを有する流体ポンプと、
前記ポンプ出口と流体接続する入口側と、流体フィルタから前記タンク・ボリュームへ流体を放出するための出口ポートを備えた出口側と、前記流体フィルタの前記入口側と前記出口側の間に設けられてフィルタ・エレメントを通って流れる液体から汚染物質を除去するフィルタ・エレメントとを有する流体フィルタと、
を備えたことを特徴とする流体分配モジュール。
【請求項2】
前記出口ポートが放出された液体を一つ以上の他の流体分配モジュール・コンポーネントに向かわせるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体分配モジュール。
【請求項3】
前記流体フィルタが、少なくとも部分的に一つ以上の他の流体分配モジュール・コンポーネントを囲むハウジングを備え、
前記流体フィルタが前記ハウジング内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体分配モジュール。
【請求項4】
前記ポンプ入口に流体接続したパージ・ラインと、
前記流体ポンプが前記ポンプ出口から流体を吸い上げる場合に、前記パージ・ラインを通って流体が流れることを制限し、前記流体ポンプが前記ポンプ入口から流体を吸い上げる場合に、前記パージ・ラインを通って流体が流れることを許容する前記パージ・ラインに設けられたバルブと、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の流体分配モジュール。
【請求項5】
前記流体ポンプが前記ポンプ出口から流体を吸い上げる場合や、前記ポンプ入口から流体を吸い上げる場合に、流体が前記流体フィルタの前記入口側から前記出口側へ前記フィルタ・エレメントを通って流れるように、前記パージ・ラインが前記ポンプ入口と前記流体フィルタの前記入口側とを流体接続していることを特徴とする請求項4に記載の流体分配モジュール。
【請求項6】
前記流体ポンプが、前記モジュール出口ポートに接続される装置を動作するために必要な流量の約2倍から約400倍の流量を提供可能であることを特徴とする請求項1に記載の流体分配モジュール。
【請求項7】
順方向動作と逆方向動作が可能な流体ポンプであって、モジュール出口ポートと流体接続されたポンプ出口と、前記順方向動作時に内部タンク・ボリュームからの液体を受け取り、前記逆方向動作時に液体を放出するように構成されたポンプ入口とを有する流体ポンプと、
入口側と、流体フィルタからの液体を前記タンク・ボリュームに放出するための出口ポートを備えた出口側と、前記流体フィルタの前記入口側と前記出口側との間に設けられて、フィルタ・エレメントを通って流れる液体から汚染物質を除去可能なフィルタ・エレメントと、を有する流体フィルタと、
前記ポンプ入口を前記流体フィルタの前記入口側と流体接続させるパージ・ラインと、
前記流体ポンプの前記順方向動作時に流体が前記パージ・ラインを通って流れるのを制限し、前記流体ポンプの前記逆方向動作時に流体が前記パージ・ラインを通って流れるのを許容するように動作するバルブと、
を備えたことを特徴とする流体分配モジュール。
【請求項8】
前記ポンプ出口を前記流体フィルタの前記入口側と流体接続させる循環ラインと、
前記流体ポンプの前記逆方向動作時に流体が前記循環ラインを通って流れるのを制限し、前記流体ポンプの前記順方向動作時に流体が前記循環ラインを通って流れるのを許容するように動作するバルブと、
を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の流体分配モジュール。
【請求項9】
両方の前記バルブを収容するバルブ・マニホールドを更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の流体分配モジュール。
【請求項10】
前記流体フィルタの前記入口側と流体連結されたリリーフ・バルブを更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の流体分配モジュール。
【請求項11】
前記流体フィルタが、少なくとも部分的に一つ以上の他の流体分配モジュール・コンポーネントを囲むハウジングと、前記ハウジング内に設けられた前記フィルタ・エレメントと、前記ハウジングに沿って設けられて放出された液体を前記コンポーネントに向ける前記出口ポートと、を備えていることを特徴とする請求項7に記載の流体分配モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36465(P2013−36465A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173624(P2012−173624)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(502429154)ティーアイ グループ オートモーティヴ システムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (39)
【Fターム(参考)】