説明

わさび成分組成物

【課題】変形性関節炎、関節リウマチ、II型糖尿病等の疾病を改善するために、わさび中に含まれるTNF−αの産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有した組成物、飲食品、および医薬品を提供する。
【手段】本わさび根茎、本わさび茎、本わさび葉等、わさびに含まれる6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート等のTNF−αの産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有する組成物、飲食品、医薬品。TNF−α成分は化学合成によって製造することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本わさびに含まれるTNF−αの産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有し、変形性関節炎、関節リウマチ、II型糖尿病等の疾病を改善するわさび成分組成物、この組成物を含む飲食品、および医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫担当細胞やサイトカインは生体内の免疫、造血、造骨、成長、内分泌系の調節に関与し、これらの調節系の破綻が各種炎症性疾患の発症に関与している。
【0003】
サイトカインは細胞の情報伝達に関わる分子量1万〜数万の可溶性タンパク質であり、10−10〜10−12Mの極低濃度で生理活性を発揮する。サイトカインはその構造面の特徴からインターロイキン、インターフェロン、TNFファミリー、ケモカインに大別され、機能面の特徴から増殖因子、造血因子、傷害因子、走化性因子、神経栄養因子などに分類される。
【0004】
変形性関節炎は老化や肥満、激しい運動や化膿性関節炎などの関節疾患の後に起こる事が多く、関節の中にある軟骨が変形してしまうことが原因で起こる関節の炎症である。また、膝関節や股関節などの体重を支えて負荷を受けている関節に起こりやすい病気である。
【0005】
関節リウマチは手足をはじめとする全身の関節が腫れて痛む疾病であり、平成14年度患者調査 厚生労働省によると、日本では32万人が罹患していると見積もられている。関節炎の炎症局所では白血球浸潤や骨・軟骨の破壊、血管新生、滑膜細胞の異常増殖などと共に、TNF−αやインターロイキン−1といった炎症性サイトカインの過剰な産生が見られる。
【0006】
関節リウマチに関連した結合組織疾患として、疾患皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、結節性多発性動脈炎(PN)、混合性結合組織病(MCTD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症(SSc)、シェーグレン症候群(SS)、ウェゲナー肉芽腫症(WG)、大動脈炎症候群、側頭動脈炎、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群、クローン病、リウマチ性多発筋痛症、再発性多発軟骨炎、好酸球性筋膜炎、スティル病、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、RS3PE症候群、ウェーバー・クリスチャン病、アジュバント関節炎、サルコイドーシス、繊維筋痛症、ANCA関連血管炎症候群、掌蹠膿疱症が挙げられ、これらの疾患にもサイトカイン制御の逸脱が見られる。
【0007】
わが国の平成14年の糖尿病患者数は「糖尿病が強く疑われる人」が740万人「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると1,620万人であり、平成9年の1,370万人と比べて増加傾向にある。(平成14年度糖尿病実態調査報告 平成16年6月 厚生労働省健康局)
この糖尿病の病態を憎悪させる因子として、サイトカインは重要である。単球やマクロファージで産生されるTNF−αは、チロシンリン酸化によるPI−キナーゼの活性化を抑制し、インスリンのグルコーストランスポーター4を介するグルコースの細胞内取り組み作用を抑制し、インシュリン抵抗性を惹起する。(Tagami, S.,et.al., J. Biol Chem. 277(5),3085-3092,2002)
【0008】
これらのサイトカインが関係する疾病に対して、近年になって抗サイトカイン療法が行われるようになってきた。インターロイキン−10のような抗炎症性のサイトカインで炎症反応を抑制したり、インフリキシマブ(特開2004−180686号公報)のように、抗TNF−αモノクローナル抗体薬剤が開発されている。また、炎症性サイトカインを抑制する薬剤として、肝実質細胞増殖因子(特開2000−239182号公報)や、チェノベンゾアズレン化合物(特開2003−533528号公報)、ラクトグロブリン等のペプチド(特開2004−196707号公報)などが考案されている。
【0009】
しかし、現在開発されている抗炎症剤の多くは、医薬品や合成物であったり、医師による処方が必要であったりと、日常的に摂取するのが難しい。
【0010】
食生活や住環境の変化により、関節炎や自己免疫系疾患といったサイトカイン関与の疾病が増加傾向である昨今では、より強力で容易に入手できるTNF−α産生抑制剤、あるいはこれを含む飲食品、医薬品の開発が強く望まれている。
【特許文献1】特開2004−180686号公報
【特許文献2】特開2000−239182号公報
【特許文献3】特開2003−533528号公報
【特許文献4】特開2004−196707号公報
【特許文献5】特開2004−083583号公報
【特許文献6】特開2005−225853号公報
【特許文献7】特開平11−240882号公報
【特許文献8】特開平10−001434号公報
【特許文献9】特開平07−215931号公報
【非特許文献1】平成14年度糖尿病実態調査報告 厚生労働省
【非特許文献2】Tagami, S.,et.al., J. Biol Chem. 277(5),3085-3092,2002
【非特許文献3】平成14年度患者調査 厚生労働省
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明の課題は、本わさびに含まれるTNF−α産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有し、変形性関節炎、関節リウマチといった炎症性疾患を改善し、上述の公知技術にない利点を有するわさび成分組成物、これを含む飲食品および医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明のわさび成分組成物によれば、本わさびに含まれるTNF−α産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有することを特徴とする。
【0013】
さらに上述の課題を解決するため、本発明の飲食品によれば、上述のわさび成分組成物を主成分として含有することを特徴とする。
【0014】
さらに上述の課題を解決するため、本発明の医薬品によれば、わさび成分組成物を主成分として含有することを特徴とする。
【0015】
なお、本発明で用いる本わさびとは、日本原産の植物であるWasabia japonica( 別名Eutrema wasabi)を示す。これは北欧原産の西洋わさび(ホースラディッシュ、Armoracia rusticana)とは全くの別種の植物であり、含有する成分も異なる。西洋わさびには、本発明では用いられるイソチオシアネート類は含有されず、このためTNF−α産生抑制作用は発現しない。
【発明の効果】
【0016】
本発明は本わさび根茎、本わさび茎、本わさび葉等の本わさびに含まれるTNF−α産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有し、生体のTNF−α産生を抑制し、結果として関節炎や関節リウマチといった炎症性疾患が改善されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体的に詳述する。
【0018】
本発明に用いられる原材料は本わさび根茎、本わさび茎、本わさび葉、またはこれらの抽出物からなるわさび成分である。これら本わさびの各部位を単独で、あるいは任意の比率で混合して使用する。
【0019】
上述のわさび成分は原材料をすりおろし処理、溶媒による抽出処理、乾燥処理、あるいはこれらの組み合わせによって得られる。すなわち、上述の本わさび根茎、本わさび茎、本わさび葉の有効成分は植物体の粉砕または裁断、すりおろし等の物理的手段により、あるいは水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の溶媒抽出手段により、さらには熱風乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等の乾燥手段により、またはこれらの処理を組み合わせることにより得られる。このようにして得られる本発明に係るわさび成分はイソチオシアネート類を有効成分として含む。
【0020】
また、これらのイソチオシアネート類は化学的な合成法により得ることができる(特開平7−215931号公報)。イソチオシアネート類の化学合成法を具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0021】
原理的にはKiaer等の方法に従う。(Klaer etal., Acta chem. Scand, 11, 1298, 1957年)。出発物質としてω−クロロアルケノールを用い、CH−SNaと還流してω−メチルチオアルケノールを得、これにSOClを作用させてω−クロロアルケノールメチルサルファイドを得る。
【0022】
次にガブリエル法を用いてアミノ基を導入し、N−(ω−メチルチオアルキル)−フタルイミドを生成し、これらにヒドラジン水化物を加えて還流し、ω−メチルチオアルキルアミンを得る。さらに、Li等の方法(Lietal. J. Org. Chem., 62, 4539, 1997年)に従い、ラウチムジスルフィドを経て得られたω−メチルチオアルキルイソチオシアネートをmCPBAでメチルチオ基を酸化し、ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートを得る。
【0023】
上述のイソチオシアネート類として具体的には4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート、7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート、8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート、5−メチルチオペンチルイソチオシアネート、6−メチルチオへキシルイソチオシアネート、7−メチルチオへプチルイソチオシアネート、8−メチルチオオクチルイソチオシアネートが挙げられる。本発明では、これらを単独であるいは複数種を組み合わせて使用する。これらの中で特に6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートが好ましい。
【0024】
わさび成分組成物により産生が抑制されるサイトカインは、主にTNF−αであるが、インターロイキン−1α、インターロイキン−1β、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−7、インターロイキン−8、インターロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキン−11、インターロイキン−12、インターロイキン−15、インターロイキン−16、インターロイキン−17、インターロイキン−19、インターロイキン−20、インターロイキン−21、インターロイキン−23、インターロイキン−α、インターロイキン−β、インターロイキン−γ、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MIP−1α、MIP−1β、RANTESの産生抑制にも奏功する。
【0025】
わさび成分組成物により治療が期待できる疾病は、変形性関節炎、関節リウマチ、疾患皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、結節性多発性動脈炎(PN)、混合性結合組織病(MCTD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症(SSc)、シェーグレン症候群(SS)、ウェゲナー肉芽腫症(WG)、大動脈炎症候群、側頭動脈炎、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群、クローン病、リウマチ性多発筋痛症、再発生多発軟骨炎、抗酸球性筋膜炎、スティル病、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、RS3PE症候群、ウェーバー・クリスチャン病、アジュバント関節炎、サルコイドーシス、繊維筋痛症、ANCA関連血管炎症候群、掌蹠膿疱症、II型糖尿病である。これらの疾患の全てでTNF−αを主とするサイトカインの逸脱が観察される。
【0026】
上述の本発明に係る本わさび成分組成物はそれ単独で摂取することも可能であるが、各種飲食品あるいは医薬品、医薬部外品に添加して使用することもできる。具体的には、清涼院飲料水、茶飲料、ドリンク剤、アルコール飲料等の液体食品、菓子、米飯類、パン類、麺類、調味料等の固形食品、粉末状、顆粒状、カプセル状、錠剤等の医薬品、医薬部外品等に添加することができる。
【0027】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
本わさび根茎に含まれるイソチオシアネート類の抽出
本わさび根茎抽出物の調製を行った。すりおろした本わさび根茎2kgをステンレス製の密封容器内にいれ、25℃で3時間保温し、イソチオシアネート類を発生させた。その後、この容器内の空気を真空ポンプで吸引しながら1時間辛味成分を除去した。辛味を除去した本わさび根茎に100%エタノール3リットルを加え、1時間室温で撹拌抽出した後、加圧ろ過器にてろ過し、抽出液を得た。この抽出液をエバポレーターにて濃縮後凍結乾燥したものをフードミルにて粉砕し、75gの茶褐色粉末を得た。これを本わさび根茎抽出物として試験に供した。
【0029】
本わさび根茎抽出物をマススペクトルガスクロマトグラフィー(GCMS)に供した結果を表1に示す。本わさび根茎抽出から複数種のイソチオシアネート類が複検出された。
【0030】
〔表1〕
イソチオシアネート類含有率
投与群 含有率(重量%)
5−メチルスルフィニルペンチルイイソチオシアネート 0.21
6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート 3.0
7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート 0.16
8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート 0.014
6−メチルチオへキシルイソチオシアネート 0.055

【実施例2】
【0031】
ラットを用いたサイトカイン産生抑制試験
ラット腹腔内マクロファージのサイトカイン産生に対するわさび抽出物の抑制効果を分析した。実施例1記載の方法で、本わさび根茎抽出物を得た。
【0032】
ラット(Slc:SD, SPF, オス、7齢週)18匹をステンレス製個別ケージで10日間飼育した。動物室の温度は24±3℃に保ち、湿度55±15%、明期07:00−19:00、暗期19:00−07:00、換気回数18回/時間で飼育した。
【0033】
経口ゾンデを用い、各わさび抽出物を200mg/mlの濃度で10ml/kgの量を1日1回10日間投与した。
【0034】
被験物質投与終了翌日にラットを放血致死させ、氷冷したPBS200mlを腹腔内に投与した。腹部をよく揉んだ後、腹水を回収した。この腹水を4℃、1000rpmで10分間遠心分離し、10%FCS含有冷RPMI1640培地を加え懸濁した。この懸濁中の細胞数をトリパンプルーにより算定した。得られた算定数から、懸濁中の細胞数を2×10個/mlに調製した。
【0035】
懸濁中を96穴培養プレートに200mlずつ分注し、COインキュベーターにて37℃1時間静置培養した。培養後、このプレートに温めたRPMI1640培地を加えて非付着細胞の洗浄・除去を行い、残存した付着細胞をマクロファージとした。
【0036】
このプレートの各ウェルにPBS20μlと10%FCS含有RPMI1640培地を180μl加えて20時間培養した。培養後、プレートごとに遠心分離を行い、得られた培養上清をサイトカイン測定に供した。なお、サイトカインの測定はラットTNF−α測定キット( Endongen社)およびインターロイキンー12測定キット(Biosource International Inc.社)を用いて次に示すELISA法にて行った。
【0037】
TNF−α測定
96穴マイクロプレートのそれぞれのウェルに50μlの前処理バッファーを加えた。さらに試料を50μl加え、カバーをして室温にて1時間インキュベートした。マイクロプレートを3回洗浄した後に、50μlのビチオン標識抗体を加え、カバーをして室温にて1時間インキュベートした。マイクロプレートを3回洗浄した後に、100μlのストレプトアビジン−HRP試薬を加え、カバーをして室温にて30分間インキュベートした。マイクロプレートを3回洗浄した後に、100μlのTMBを加え、室温暗所にて10分間インキュベートした。100μlのストップソリューションを加え、反応を停止させた後に、測定波長450nmにて吸光度を測定した。
【0038】
インターロイキン−12測定
96穴マイクロプレートのそれぞれのウェルに100μlの試料を加え、さらに50μlのインキュベーションバッファーを加え、カバーをして室温にて2時間インキュベートした。マイクロプレート4回洗浄した後に、100μlのビチオン標識抗体を加え、カバーをして室温にて1時間インキュベートした。マイクロプレートを4回洗浄した後に、100μlのストレプトアビジン−HRP試薬を加え、カバーをして室温にて30分間インキュベートした。マイクロプレートを4回洗浄した後に、100μlのスタビライズドクロモゲンを加え、室温暗所にて30分間インキュベートした。100μlのストップソリューションを加え、反応を停止させた後に、測定波長450nmにて吸光度を測定した。
【0039】
表2から、本わさび根茎抽出物投与群は対照群と比較してTNF−αの産生を有意に抑制したことが分かる。
【0040】
〔表2〕
TNF−α産生抑制試験
投与群 TNF−α産生量(ng/ml)
対照群 4.66±1.29
本わさび根茎抽出物 ※ 0.38±0.18
※:p<0.05VS対照群

【0041】
表3から、本わさび根茎抽出物投与群は対照群と比較してのインターロイキンー12の産生を有意に抑制したことが分かる。
【0042】
〔表3〕
インターロイキンー12産生抑制試験
投与群 インターロイキンー12産生量(ng/ml)
対照群 1.49±0.32
本わさび根茎抽出物 ※ 0.18±0.08
※:p<0.05VS対照群

【実施例3】
【0043】
本わさび根茎抽出物入りタブレットの制作
実施例2にて作成した本わさび根茎抽出物3部に対して果糖2部を加えて打錠して1.0g、直径7mmのタブレットを得た。
【実施例4】
【0044】
本わさび根茎抽出物による関節炎抑制ヒト試験
実施例3で作成した本わさび根茎抽出物入りタブレットを用いて軽度関節炎の改善効果を確認した。軽度関節炎患者7名に本わさび根茎抽出物入りタブレットを飲用させ(1日6粒、8週間)、症状の程度を表4のようにスコア化した。
【0045】
〔表4〕
程度(スコア)換算表
4+ 3+ 2+ + −
日常生活の 全く 手につかない 4+と2+ 余り差し 支障なし
支障度 出来ない ほど苦しい の中間 支えなし

【0046】
実施例4の結果を図1に示す。図1に示したとおり、本わさび根茎抽出物入りタブレットの摂取により関節炎の症状が軽減された。
【実施例5】
【0047】
本わさび根茎抽出物による関節リウマチ抑制ヒト試験
実施例3で作成した本わさび根茎抽出物入りタブレットを用いて軽度関節リウマチの改善効果を確認した。軽度関節リウマチ患者7名に本わさび根茎抽出物入りタブレットを飲用させ(1日6粒、8週間)、症状の程度を表4のようにスコア化した。
【0048】
実施例5の結果を図2に示す。図2に示したとおり、本わさび根茎抽出物入りタブレットの摂取により関節リウマチの症状が軽減された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述のとおり、本発明は本わさびに含まれるTNF−αの産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有し、変形性関節炎、関節リウマチ、II型糖尿病等の疾病を改善するわさび成分組成物であり、これを飲食品や、医薬品として人体内に投与することにより、容易に、かつ安全に前記疾病を防止し得、産業上の利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本わさび根茎抽出物入りタブレットを用いて軽度関節炎の改善効果を示した図である。
【図2】本わさび根茎抽出物の摂取前後とスコア(生活支障度)との関係を表した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本わさびに含まれるTNF−αの産生抑制作用を呈する成分を有効成分として含有することを特徴とするわさび成分組成物。
【請求項2】
本わさびが本わさび根茎、本わさび茎、または本わさび葉である請求項1のわさび成分組成物。
【請求項3】
TNF−αの産生抑制作用を呈する有効成分が6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートである請求項1のわさび成分組成物。
【請求項4】
TNF−αの産生抑制作用を呈する有効成分が4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート、および8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートの群れから選択される一種または複数種である請求項1のわさび成分組成物。
【請求項5】
TNF−αの産生抑制作用を呈する有効成分が5−メチルチオペンチルイソチオシアネート、6−メチルチオへキシルイソチオシアネート、7−メチルチオへプチルイソチオシアネート、および8−メチルチオオクチルイソチオシアネートの群れから選択される一種または複数種である請求項1のわさび成分組成物。
【請求項6】
TNF−αの産生抑制作用を呈する有効成分が本わさび根茎、本わさび茎、または本わさび葉の粉砕またはすりおろし処理、溶媒による抽出処理、乾燥処理またはこれらの組み合わせ処理によって得られる請求項1、3または4のわさび成分組成物。
【請求項7】
TNF−αの産生抑制作用を呈する有効成分が化学合成によって得られる請求項1、3または4のわさび成分組成物。
【請求項8】
請求項1のわさび成分組成物を主成分として含有してなる飲食品。
【請求項9】
請求項1のわさび成分組成物を主成分として含有してなる医薬品。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−132635(P2009−132635A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308760(P2007−308760)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(591011007)金印株式会社 (20)
【Fターム(参考)】