説明

アイソタクチックおよびレジオランダムなポリプロピレンベースのポリマーおよびブロックコポリマーの製造

キラルアニリンを与えるアニリンとスチレンとの一段階オルトアルキル化が、強酸触媒、例えばCFSOHを用いて得られる。配位子およびメタレーションを与える生成物の縮合が、重合温度に依存してアイソタクチックプロピレンまたは低いPDIを有するレジオランダムプロピレンまたはそれらのブロックを与えるプロピレンの重合を触媒する錯体を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国陸軍研究所および米国陸軍研究事務所認可番号DAAD 19−02−1−0275性能に関する高分子設計(Macromoleular Architecture for Performance,MAP)MURIのもと、米国政府支援で少なくとも一部行われ、NSF MRSECプログラム(DMR−0079992)を通じて支援される材料研究分担実験施設用コーネルセンターを利用している。米国政府は、本発明における相当の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年8月25日提出の米国仮特許出願第60/710,876号の利益を主張し、その全体を本明細書中に参照することにより組み込む。
【0003】
技術分野
本発明は、アニリン類の製造方法、アイソタクチックおよび/またはレジオランダム(regiorandom)ポリプロピレンおよびこれらの少なくとも一種類の一以上のブロックを含むブロックポリマーの製造を触媒するのに有用な遷移金属を含む錯体、この錯体を製造するのに有用な化合物、レジオランダムポリプロピレン並びにレジオランダムポリプロピレンおよび/または結合メチル基を有するポリエチレンのブロック少なくとも一種類を含む複数のブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
官能性アルケンの重合に耐性のある(tolerant)より官能基でありリビング挙動を示す触媒は、一般的にアモルファスアタクチックポリマーを製造する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
我々は、立体中心を含むオルト置換基を有するアニリンが幅広い立体選択性触媒に関する万能構成単位であると考えた。我々の最初の労力は、trans−2−ブテンのアイソスペシフィック重合(isospecific polymerization)用α−ジイミンNi(II)触媒中への組み込み用の嵩高いキラル置換基の合成に向けられた(この研究は、Cherian,A.E.等,Chem.Commun.20,3565−2567(2003)に記述されている。)。この研究は、Arienti,A.等,Tetrahedron 53,3795−3804(1997)に記述されているフェニルアセチレンとp−トルイジンとのゼオライト触媒反応、続く、生じる2,6−ビス(1−フェニルビニル)アニリンのPd/Cに触媒される水素化に依存した。しかしながら、この方法によって合成されうるアニリンの範囲は限られており、この合成は二つの工程を必要とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明において、強酸によって触媒される場合、パラ−置換アニリンとスチレン誘導体との反応がアニリンの高化学選択性オルト−アルキル化をもたらすことがわかった。
【0007】
本発明において、メチルアルミノキサンまたは別の助触媒(例えば、EtAlCl)の存在下においてこれらのアニリンから形成されるC−対称錯体が重合温度に依存してアイソタクチックポリプロピレンまたはレジオランダムポリプロピレンのいずれかの形成を触媒することも更にわかった。
【0008】
本明細書において、用語C−対称は、180°回転において同じ分子を得ることを意味する。
【0009】
本明細書において、用語レジオランダムポリプロピレンは、構造
【化1】

(式中、pユニットの割合は、少なくとも1%、典型的には15%以上であるが、99%より高くない。)
を有することを意味する。
【0010】
本明細書において、プロピレンの重合に関して用語3,1挿入は、
【化2】

の形成を意味する。
【0011】
レジオランダムポリプロピレンは、低いTを有するゴム状材料であり、多くの商業的応用に有用である、商業的に製造されるポリ(エチレン−co−プロピレン)(EPR)に構造および特性が似ている。本明細書においてレジオランダムポリプロピレンは、制御された分子量および分子量分布を含み、エチレンラン(ethylene run)(市販のEPRにおけるエチレンランは、他の点ではアモルファスであるポリマー中の小さい結晶性部分をもたらす。)を含まないEPRを超える利点を提供する。ミッドブロック(mid−block)として、本明細書におけるレジオランダムポリプロピレンは、非常に低いT(例えば、0℃〜−60℃)を有し、非常に柔軟かつ曲げやすいので優れた材料である。
【0012】
第一の態様である、本明細書における一態様は、構造
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基(例えば、炭素原子を1〜20個含む基)、ケイ素含有基であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよく、Arは、任意に水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基(例えば、炭素原子を1〜20個含む炭化水素)、またはケイ素含有基一つ以上で置換されていてもよい芳香族炭化水素または複素環からなる群から選択され、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよい。)
を有するキラルアニリンを合成する方法であって、
【化4】

(式中、R、R、RおよびRは、上で定義したとおりである。)と
【化5】

(式中、Arは、上で定義したとおりである。)
とを、触媒有効量のCFSOH、またはHClもしくはHBFを除く別の強酸の存在下において温度20〜250℃(例えば、100〜200℃)において、(III):(IIa)のモル比10:1〜0.1:1(例えば、10:1〜2:1)において反応させる工程を包含する、キラルアニリンを合成する方法に向けられる。
【0013】
第二の態様である、本明細書中の別の態様は、
【化6】

およびこれらの混合物からなる群から選択される構造を有するアニリンを合成する方法であって、
【化7】


【化8】

(式中、R、R、RおよびArは、第一の態様において定義したとおりである。)とを、触媒有効量のCFSOHまたはHClもしくはHBFを除く別の強酸の存在下において、温度20〜250℃(例えば、100〜200℃)において(III):(IIb)のモル比10:1〜0.1:1で反応させる工程を包含する、アニリンを合成する方法に向けられる。
【0014】
第三の態様である、本明細書中の更に別の態様は、構造
【化9】

(式中、R、R、RおよびRは、第一の態様において定義されたとおりであり、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、またはケイ素含有基であり、それらは互いに結合するかまたはR、R、R、R、RもしくはRの一以上と結合して環を形成していてもよく、RおよびRは、異なり、どちらも水素でなく、代わりにそれぞれハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、芳香族基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、または炭素含有基(例えば、炭化水素)、ケイ素含有基であり、それらは互いに結合して環を形成していてもよい。)を有する化合物に向けられる。
【0015】
第三の態様の一部において、Rがsec−フェネチルであり、RがMeであり、R/RがH、Meであるか、またはアセナフテンキノンから誘導され、R=Me、R=Ph、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合を除く。
【0016】
第一、第二および第三の態様の化合物は、第四、第五、第六または第七の態様の錯体の製造に有用である。
【0017】
第四の態様である、本明細書中の更に別の態様は、式
【化10】

(式中、R、R、RおよびRは、第一の態様において定義されたとおりであり;R、Rは、第三の態様において定義されたとおりであり、;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜5の整数であり;Mは、第3〜11族遷移金属であり;RおよびR10は、任意であり、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、またはケイ素含有基であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよく;Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素含有基(例えば、炭素原子を1〜20個含む基)、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは同一であっても異なっていてもよく、互いに結合するかまたはR、R、R、R、R、R、RもしくはR10の一以上と結合して環を形成していてもよく;MとNとの間の結合は、配位結合、共有結合、またはイオン結合である。)を有する錯体に向けられる。
【0018】
第五の態様である、本明細書中の更に別の態様は、式
【化11】

(式中、R、R、R、およびRは、第一の態様において定義されたとおりであり;R、Rは、第三の態様において定義されたとおりであり;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜4の整数であり;Mは、第3〜11族遷移金属であり;Lは、炭素含有基(例えば、炭化水素)、ケイ素含有基、またはホウ素含有基でありうる結合ブリッジであり;Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素含有基(例えば、炭素原子を1〜20個含む基)、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは、同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよく;MとNとLとNとの間の結合は、配位結合、共有結合、またはイオン結合である。)を有する錯体に向けられる。
【0019】
第五の態様の一部において、Rがsec−フェネチルであり、RがMeであり、R=Me、R=Ph、Lがα−ジケトンから誘導され、MがNiであり、nが1であり、YがBrであり、sec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合は除かれる。
【0020】
第六の態様である、本明細書中の更に別の態様は、式
【化12】

(式中、R、R、RおよびRは、第一の態様において定義されたとおりであり;R、Rは、第三の態様において定義されたとおりであり;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜4の整数であり;Mは、第3〜11族遷移金属であり;Xは、金属に結合可能な基(例えば、O、OR11、NR11、N(R11、P(R11、2−CN、C(R11、R11は、任意であり、複数のR11基が存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基(例えば、炭化水素)、またはケイ素含有基であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよい。)であり;Lは、炭素含有基(例えば、炭化水素)、ケイ素含有基、またはホウ素含有基でありうる結合ブリッジであり;Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素原子を1〜20個含む炭素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよく;N−L、L−X、X−M、およびM−N間の結合は配位結合、共有結合またはイオン結合である。)を有する錯体に向けられる。
【0021】
第六の態様の一部において、Rがsec−フェネチルであり、RがMeであり、R=Me、R=Ph、X=N(2,6−ジ−sec−フェネチル−4−メチル−フェニル)、Lがα−ジケトンから誘導され、MがNiであり、nが1であり、YがBrであり、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合は除かれる。
【0022】
第七の態様である、本明細書中の更に別の態様は、式
【化13】

(式中、R、R、RおよびRは、第一の態様において定義されたとおりであり、R、R、RおよびRは、第三の態様において定義されたとおりである。)を有する錯体に向けられる。
【0023】
第七の態様の一部において、Rがsec−フェネチルであり、RがMeであり、R/Rがα−ジケトンから誘導され、R=Me、R=Ph、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合は除かれる。
【0024】
第四、第五、第六および第七の態様の錯体は、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五および第十六の態様に関する触媒として有用である。
【0025】
第八の態様である、本明細書中の更に別の態様は、触媒有効量の第四、第五、第六または第七の態様の錯体の存在下、温度−80〜200℃(例えば、−80〜−70℃)においてプロピレンを重合する工程を包含する、T50℃超かつPDI3未満(例えば、1.5未満)のアイソタクチックポリプロピレンの製造方法に向けられる。アイソタクチックポリプロピレンは、食品および別の包装、建築材料、自動車部品、および別の消費財に有用である。
【0026】
第九の態様である、本明細書中の更に別の態様は、触媒有効量の第四、第五、第六または第七の態様のいずれか一つの錯体の存在下、温度−80〜200℃(例えば、−60〜50℃)においてプロピレンを重合する工程を包含する、3,1−挿入の割合少なくとも1%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)、およびPDI3未満(例えば、1.2未満)を有するレジオランダムポリプロピレンの製造方法に向けられる。レジオランダムポリプロピレンは、接着材組成物中の接着材成分としておよびアスファルト充填材として有用である。
【0027】
第十の態様である、本明細書中の更に別の態様は、触媒有効量の第四、第五、第六、または第七のいずれかの態様の錯体の存在下、温度−80〜200℃(例えば、−80〜−70℃)において、次にまたはその前に温度−80〜200℃(例えば、−80〜50℃)において各ブロックを重合する工程を包含する、T50℃超かつPDI3未満(例えば、1.5未満)のアイソタクチックポリプロピレンのブロックおよび3,1−挿入の割合少なくとも1%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)、かつPDI3未満(例えば、1.2未満)のレジオランダムポリプロピレンのブロックを含有するブロックコポリマーの製造方法に向けられる。このブロックコポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンとエチレンco−プロピレンポリマーとの相溶剤として有用である(この組み合わせはプラスチックラップ、フィルム並びに食品およびその他の物体用の容器の製造に有用である。)。
【0028】
第十一の態様である、本明細書中の更に別の態様は、ポリプロピレンの3,1−挿入の割合が1〜99%の範囲内であり、PDI2.0未満(例えば、1.5未満、例えば、1.2未満)であるレジオランダムプロピレンベースのポリマー(例えば、レジオランダムポリプロピレン)に向けられる。第十一の態様のレジオランダムプロピレンベースのポリマーは、接着材組成物中の接着材成分として、およびアスファルト充填材として有用である。
【0029】
第十二の態様である、本明細書中の更に別の態様は、一方のブロックがT50℃超かつM1,000〜999,000のアイソタクチックプロピレンベースのポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)であり、一方のブロックがポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)かつM1,000〜999,000のレジオランダムプロピレンベースのポリマー(例えば、レジオランダムポリプロピレン)である、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のジブロックコポリマーに向けられる。第十二の態様のジブロックコポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンとエチレン−co−プロピレンポリマーとの相溶剤として有用である(この組み合わせは、プラスチックラップ、フィルム、並びに食品および別の物体用の容器の製造に有用である。)。
【0030】
第十三の態様である、本明細書中の更に別の態様は、第一ブロックがT50℃超かつM1,000〜998,000のアイソタクチックプロピレンベースのポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)であり、第二ブロックがポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)、かつM1,000〜998,000のレジオランダムプロピレンベースのポリマー(例えば、ポリプロピレン)であり、第三ブロックがT50℃超かつM1,000〜998,000のアイソタクチックプロピレンベースのポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)である、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のトリブロックコポリマーに向けられる。第十三の態様のトリブロックコポリマーは、医療機器(例えば、バルーン拡張カテーテル、例えば欧州1508349A1に記述されているもの)、靴底および接着材組成物の接着材成分に有用である。
【0031】
第十四の態様である、本明細書中の更に別の態様は、T50℃超かつM1,000〜999,000のアイソタクチックプロピレンベースのポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)のブロック少なくとも一種類およびポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)かつM1,000〜999,000のレジオランダムプロピレンベースのポリマー(例えば、レジオランダムポリプロピレン)のブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のマルチブロックコポリマーに向けられる。第十四の態様の複数のブロックコポリマーの複数のブロックコポリマーは、医療機器(例えば、バルーン拡張カテーテル、例えば、欧州1508349A1に記述されているもの)、靴底および接着材組成物の接着材成分に有用である。
【0032】
第十五の態様である、本明細書中の更に別の態様は、メチレン基1000個あたり1〜100個のメチル基を有しM1,000〜999,000のエチレンベースのポリマー(例えば、ポリエチレン)のブロック少なくとも一種類およびポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%(例えば、少なくとも6%または少なくとも20%)かつM1,000〜999,000のレジオランダムプロピレンベースのポリマー(例えば、レジオランダムポリプロピレン)のブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のマルチブロックコポリマーに向けられる。第十五の態様のコポリマーは、ポリエチレンとエチレン−co−プロピレンとの相溶剤として有用であり、この相溶化組み合わせは、靴底の製造に有用であり、かつ接着材として有用である。第十五の態様のコポリマーは、更に医療機器(例えば、バルーン拡張カテーテル)、靴底および接着材組成物の接着材成分にも有用である。
【0033】
第十六の態様である、本明細書中の更に別の態様は、メチレン基1000個あたり1〜100個のメチル基を有し、M1,000〜999,000のエチレンベースのポリマー(例えば、ポリエチレン)のブロック少なくとも一種類およびエチレンの割合1〜99%かつM1,000〜999,000のポリ(エチレン−co−C〜C10αオレフィン)(例えば、ポリ(エチレン−co−プロピレン))のブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のマルチブロックコポリマーに向けられる。第十六の態様のコポリマーは、アイソタクチックポリプロピレンとエチレン−co−プロピレンとの相溶剤として有用であり、この相溶剤組み合わせは、医療機器(例えば、バルーン拡張カテーテル、例えば、EP 1508349 A1に記述されているもの)、靴底、および接着材組成物の接着材成分に有用である。
【0034】
第十七の態様である、本明細書中の更に別の態様は、炭素原子1000個あたり0〜50個のメチル分枝を有し、M1,000〜999,000のエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類および炭素原子1000個あたり51〜300個のメチル分枝を有し、M1,000〜999,000のエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満かつM1,000〜1,000,000のマルチブロックポリエチレンに向けられる。
【0035】
第十八の態様である、本明細書中の更に別の態様は、単一モノマーからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のモノマーの化学連接性(chemical connectivity)(構造異性(constitutional isomerism)としても知られている)によって近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマーに向けられる。単一モノマーから製造されるポリマーは、更に微量(例えば、10重量%未満)の別のモノマーを有するポリマーも含む。
【0036】
第十九の態様である、本明細書中の更に別の態様は、エチレンからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のエチレンユニットの化学連接性(構造異性としても知られている)によって近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマーに向けられる。
【0037】
第二十の態様である、本明細書中の更に別の態様は、プロピレンからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のプロピレンユニットの化学連接性(構造異性としても知られている)によって近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマーに向けられる。
【0038】
第二十一の態様である、本明細書中の更に別の態様は、ブロックを生じる重合中の反応条件を変えることによる、ブロックがブロック中のモノマーの化学連接性(構造異性としても知られている)によって近接ブロックから区別される、単一モノマーからのマルチブロックポリマーの製造方法に向けられる。
【0039】
第二十二の態様である、本明細書中の更に別の態様は、単一モノマーからのマルチブロックポリマーの製造方法であって、異なるポリマー位置化学(regiochemistry)を製造し、ブロックを生じる重合中にポリマー鎖を交換しうる二種類以上の触媒を使用することによる、ブロックがブロック中のモノマーの化学連接性によって近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマーの製造方法に向けられる。
【0040】
第二十三の態様である、本明細書中の更に別の態様は、ミクロ相分離を示さないマルチブロック熱可塑性エラストマーに向けられる。
【0041】
本明細書において、用語「レジオランダムプロピレンベースのポリマー」は、ポリマーがアモルファスのままである、すなわち、材料のアモルファス性をなくすことのない量の他のユニットと共に、実質的にプロピレンユニットを含む(例えば、プロピレンユニット少なくとも90%)ポリマーを意味する。存在しうる他のユニットとしては、例えば、連続メチレン基が挙げられる。
【0042】
本明細書において、用語「アイソタクチックプロピレンベースのポリマー」は、コモノマーの量が材料の結晶性をなくすことのない量で存在する、実質的にプロピレンユニットを含む(例えば、プロピレンユニット少なくとも90%)ポリマーを意味する。存在しうる別のユニットとしては、例えば、エチレン、C〜C20−αオレフィン、および官能基を含むC〜C20αオレフィン(例えば、ウンデセニルアルコール)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマー由来のユニットが挙げられる。用語「アイソタクチックポリプロピレン」は、文脈が他に示さない限り、本明細書中、アイソタクチックプロピレンベースのポリマーを意味するように使用される。
【0043】
本明細書において、用語「エチレンベースのポリマー」は、材料の結晶性をなくさない量で存在するコモノマーと共に、実質的にエチレンユニットを含む(例えば、エチレンユニット少なくとも90%)ポリマーを意味する。存在しうる別のユニットとしては、例えば、プロピレン、C〜C20αオレフィン、官能基、例えばC〜C20αオレフィンを含む、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマー由来のユニットが挙げられる。
【0044】
本明細書において、用語「マルチブロック」は、一より多いブロックを意味し、用語「複数のブロック」と同義である。
【0045】
発明の詳細な説明
第一および第二の態様に関する別の強酸は、例えば、H−Yゼオライト(例えば、Linde LZ−Y82)、HBr、CFCOH、HNO、HSO、またはP−トルエンスルホン酸でありうる。
【0046】
これから、第四、第五および第六の態様に関するMを説明する。(VIII)、(IX)または(X)のMがNiである場合に非常に良好な結果が得られた。Ni以外では、(VII)のメタライジング(metallizing)に関する最良の金属は、PdおよびCoであると考えられる。Ni以外では、(VIII)および(IX)におけるMは、例えば、Pd、Co、Ti、Zr、Hf、Cr、Rh、Ir、Fe、Ru、Cu、AgまたはZnでありうる。第十五および第十六の態様における新規の要素は、節「メチレン基1000個あたり1〜100個のメチル基」によって示されるPEブロックにおける分枝である。
【0047】
本発明および実施例の要素は、Cherian,A.E.等,“A C−Symmetric,Living,α−diimine Ni(II) catalyst regioblock copolymers from propylene,”J.Am.Chem.Soc.,127(40),13770−13771(2005年10月、以下「Cherian(I)およびその支持情報」と言う。)およびCherian,A.E.等,“Acid−catalyzed ortho alkylation of anilines with styrenes:an improved route to chiral anilines with bulky substituents,”Org.Lett.7(23),5135−7(2005年11月10日、以下「Cherian(II)およびその支持情報」と言う。)において見出される。Cherian(I)およびその支持情報全体およびCherian(II)およびその支持情報全体を本明細書中に参照することによって組み込む。
【0048】
Cherian(II)の5136頁における表Iの生成物2、5、6、7、8、9、10および11を本明細書中の第一の態様によって包含する。それらは、前記表Iの脚注に記述されるようにかつCherian(II)に関する支持情報のS2、S3、S4、S5、S6、およびS7頁に記述されるように製造される。
【0049】
Cherian(II)の5137頁における表IIの生成物3、13、14および15を本明細書中の第二の態様によって包含する。それらは、表IIの脚注およびCherian(II)に関する支持情報S2、S7、S8、およびS9頁に記述されるように製造される。
【0050】
Cherian(I)の13770頁の錯体rac 1の配位子を本明細書中の第三の態様によって包含する。この配位子は、Cherian(II)の第一製造生成物15によって製造され、その製造は、Cherian(II)に関する支持情報のS8およびS9頁に記述されている。この生成物の製造は、更にCherian(I)に関する支持情報のS3頁にも記述されており、rac−4−メチル−2−(sec−(2,4,6−トリメチルフェネチル)アニリンと称されており、以下、「MTMPEA」と言う。MTMPEAをアセナフテンと反応させて前記配位子を形成する。この反応は、Cherian(I)に関する支持情報S3およびS4頁に記述されており、この配位子はrac−ArN=C(An)C=NArと称され、Arは4−メチル−2−(sec−2,4,6−トリメチルフェネチル)フェニルであり、Anはアセナフテンである。
【0051】
錯体rac−1は、Cherian(I)に関する支持情報のS4頁に記述されるような前記配位子から製造される。錯体rac−1を、本明細書中の第四、第五、第六および第七の態様によって包含する。本明細書中の第四、第五、第六、および第七の態様によって包含される別の錯体は、本明細書中の第一および第二の態様のアニリンをアセナフテンと反応させ、形成される中間体を(DME)MBr(DME=1,2−ジメトキシエタン、例えば、(DME)NiBr)と反応させることによってメタライジングすることによって製造される。
【0052】
錯体rac−1または第一および第二の態様の別のアニリンの相当する錯体を使用するプロピレンの重合に関する一般的な手順は、Cherian(I)に関する支持情報のS4頁に記述されている。
【0053】
第七の態様に合う化合物の例およびその製造を以下の表に示す。
【0054】

【0055】
Cherian(I)の表1のエントリー6における重合を、本明細書中の第八の態様によって包含する。
【0056】
Cherian(I)の表1のエントリー1〜5における重合を、本明細書中の第九の態様によって包含する。
【0057】
一方のブロックがアイソタクチックポリプロピレンであり、第二のブロックがレジオランダムポリプロピレンであるジブロック重合の一般的な手順は、第一の重合が−60℃の代わりに−78℃で行われることを除いてCherian(II)に関する支持情報のS5頁に記述されている。上に記述されるような別の錯体は錯体rac−1に置換されうる。これらの重合は、本明細書中の第十の態様に合う。
【0058】
Cherian(I)の13771頁、Cherian(I)の本文の第二〜最後のパラグラフに記述される重合を、本明細書中の第十の態様によって包含する。
【0059】
Cherian(I)の13771頁における表1のエントリー1〜5の重合において形成されるポリマーを、本明細書中の第十一の態様によって包含する。
【0060】
Cherian(I)の13771頁における本文、第二〜最後のパラグラフに記述されているポリマーを、本明細書中の第十二、第十三および第十四の態様によって包含する。
【0061】
本明細書中の第十五の態様のポリマーは、エチレンを本明細書中の第四、第五、第六または第七の態様の錯体の存在下、0℃において重合し、続くエチレンの除去およびプロピレンの添加および0℃における重合、および最後にプロピレンの除去およびエチレンの再添加および0℃における重合によって製造されうる。
【0062】
本明細書中の第十六の態様のポリマーは、エチレンを本明細書中の第四、第五、第六または第七の態様の錯体の存在下、0℃において重合し、続くプロピレンのエチレンへの添加および0℃における重合、および最後にプロピレン/エチレン混合物の除去およびエチレンの再添加および0℃における重合によって製造されうる。
【0063】
第十七の態様のマルチブロックポリマーは、[(CH−block−((CH−(CHMe)1−xであり、触媒(例えば、錯体XIベースの触媒)を用いて、分枝比を変えるために重合温度を変えながらエチレンを重合することによって製造されうる。
【0064】
第十八の態様のマルチブロックポリマーは、[(CH−block−((CH−(CHMe)1−xであり、触媒(例えば、錯体XIベースの触媒)を用いて、分枝比を変えるために重合温度を変えながら1−ヘキセンを重合することによって製造されうる。
【0065】
第十九の態様のマルチブロックポリマーは、[(CH−block−((CH−(CHMe)1−xであり、触媒(例えば、錯体XIベースの触媒)を用いて、分枝比を変えるために重合温度を変えながらエチレンを重合することによって製造されうる。
【0066】
第二十の態様のマルチブロックポリマーは、[(CH−block−((CH−(CHMe)1−xであり、触媒(例えば、錯体XIベースの触媒)を用いて、分枝比を変えるために重合温度を変えながらプロピレンを重合することによって製造されうる。
【0067】
第十七、第十八、第十九および第二十の態様において列挙される式において、mおよびnは、それぞれ20〜10,000の範囲内であり、xは0.999〜0.5の範囲内であり、Mは1,000〜1,000,000グラム/モルの範囲内である。
【0068】
第二十一の態様の方法は、以下の処理条件によって示される。触媒(例えば、錯体XIベースの触媒)を用いてエチレンを重合し、重合中、反応温度を変えて異なる化学連接性の部分を与える。
【0069】
第二十二の態様の方法は、以下の処理条件によって示される。異なる位置選択性を示す二種類のリビング触媒(例えば、錯体XIベースの触媒および別の錯体、例えば非メタロセンIV族触媒)を用いてプロピレンを重合し、重合中ポリマー鎖の二金属交換が異なる化学連接性の部分を与える。
【0070】
第二十三の態様のエラストマーは、錯体XIベースの触媒を用いて−60℃において、次に0℃において、次に最後に−60℃において逐次プロピレンを重合することによって製造されうる(アイソタクチックPP)−block−(レジオランダムPP)−block−(アイソタクチックPP)である。このエラストマーは、破壊する傾向をもたらす鎖の引き抜き(chain pull out)に耐え、従って、別の熱可塑性エラストマーより破壊する傾向が低い。
【0071】
本明細書中、ポリマーのブロックの1ミクロン以下の二つの異なるレジーム(regime)への分離を意味するために用語「ミクロ相分離」を使用する。そのような分離が存在しない場合、微結晶が存在し(しかしながらこの材料がエラストマーであることに留意すべきである。)、この材料はミクロ相分離が存在する場合よりも高融点材料でありうる。ミクロ相分離は、ブロックコポリマーが混和性でない二種類のブロックを有する場合に生じる。これらの二種類のブロックは、油と水のように分離したがるが、互いに共有結合しており、マイクロメートル/ナノメートルスケールにおいてのみ分離しうる。
【0072】
変形
上記発明の説明は、ある実施態様および好ましい態様を説明して提示した。変形および改良が当業者にとって明らかであるので本発明がそのように制限されることを意図しておらず、変形および改良は全て本発明の精神および範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造
【化1】

(式中、R、R、R、およびRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基、ケイ素含有基、であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよく、Arは、任意に一以上の水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基(例えば、炭化水素)、ケイ素含有基、で置換されていてもよく、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよい芳香族炭化水素または複素環からなる群から選択される。)
を有するキラルアニリンの製造方法であって、
【化2】

(式中、R、R、RおよびRは、上で定義したとおりである。)と
【化3】

(式中、Arは、上で定義したとおりである。)
とを触媒有効量のCFSOH、またはHClもしくはHBF以外の別の強酸の存在下、20〜250℃の温度において、(III):(IIa)のモル比、10:1〜0.1:1で反応させる工程を包含する、キラルアニリンの製造方法。
【請求項2】
該温度が100〜200℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【化4】

およびこれらの混合物からなる群から選択される構造を有するアニリンの製造方法であって、
【化5】


【化6】

(式中、R、RおよびR並びにArは、請求項1において定義されるとおりである。)
とを触媒有効量のCFSOHまたはHClもしくはHBF以外の別の強酸の存在下、20〜250℃の温度において、(III):(IIb)のモル比、10:1〜2:1で反応させる工程を包含する、アニリンの製造方法。
【請求項4】
該温度が100〜200℃の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
構造
【化7】

(式中、R、R、RおよびRは、請求項1において定義されるとおりであり、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基、またはケイ素含有基であり、互いに結合するかまたはR、R、R、R、RもしくはRの一以上に結合して環を形成していてもよく、RおよびRは、異なり、水素でなく、代わりにそれぞれハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、芳香族基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基、またはケイ素含有基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。)
を有する化合物。
【請求項6】
がsec−フェネチルであり、RがMeであり、R/RがH、Meまたはアセナフテンキノン誘導体であり、R=Me、R=Ph、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合を除く、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】

【化8】

(式中、R、R、R、R、RまたはRは、請求項5において定義されるとおりであり;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜5の整数であり;Mは、第3〜11族遷移金属であり;RおよびR10は、任意であり同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基、またはケイ素含有基であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよく;Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは同一であっても異なっていてもよく、互いに結合するかまたはR、R、R、R、R、R、RもしくはR10の一以上に結合して環を形成していてもよく;MとNとの間の結合は配位結合、共有結合またはイオン結合である。)
を有する錯体。
【請求項8】

【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、請求項5において定義されるとおりであり;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜4の整数であり;Mは、第3〜11族遷移金属であり;Lは、炭素含有基、ケイ素含有基、またはホウ素含有基でありうる結合ブリッジであり;Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは、同一であっても異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよく;MとNとLとNとの間の結合は、配位結合、共有結合、またはイオン結合である。)
を有する錯体。
【請求項9】
がsec−フェネチルであり、RがMeであり、R=Me、R=Ph、Lがα−ジケトン誘導体であり、MがNiであり、nが1であり、YがBrであり、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合を除く、請求項8に記載の錯体。
【請求項10】

【化10】

(式中、R、R、R、R、R、およびRは、請求項5において定義されるとおりであり;nは、1〜3の整数であり;mは、0〜4の整数であり;Mは第3〜11族遷移金属であり;Xは、金属に結合可能な基、例えば、O、OR11、NR11、N(R11、P(R11、2−CN、C(R11、であり;R11は、任意であり、複数のR11基が存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、R11は、水素原子、ハロゲン原子、フルオロカーボン基、複素環化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、炭素含有基、またはケイ素含有基であり、それらの二以上が互いに結合して環を形成していてもよく;Lは炭素含有基、ケイ素含有基、またはホウ素含有基である結合ブリッジであり;Yは水素原子、ハロゲン原子、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、複素環化合物残基、炭素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基または錫含有基であり、mが2、3または4である場合、複数の基Yは同一であっても異なってもよく、互いに結合して環を形成していてもよく;N−L、L−X、X−M、およびM−N間の結合は、配位結合、共有結合、またはイオン結合である。)
を有する錯体。
【請求項11】
がsec−フェネチルであり、RがMeであり、R=Me、R=Ph、X=N(2,6−ジ−sec−フェネチル−4−メチル−フェニル)、Lがα−ジケトン誘導体であり、MがNiであり、nが1であり、YがBrであり、かつsec−フェネチル基の全立体中心が同一の絶対配置である場合を除く、請求項10に記載の錯体。
【請求項12】

【化11】

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項5において定義されるとおりである。)
を有する錯体。
【請求項13】
触媒有効量の請求項7〜12のいずれか一項に記載の錯体の存在下、温度−80〜200℃においてプロピレンを重合する工程を包含する、Tが50℃超であり、PDIが3未満であるアイソタクチックプロピレンの製造方法。
【請求項14】
触媒有効量の請求項7〜12のいずれか一項に記載の錯体の存在下、温度−80〜200℃においてプロピレンを重合する工程を包含する、3,1−挿入の割合少なくとも1%、例えば、少なくとも6%または少なくとも20%、およびPDI3未満を有するレジオランダムポリプロピレンの製造方法。
【請求項15】
触媒有効量の請求項7〜12のいずれか一項に記載の錯体の存在下、温度−80〜200℃における各ブロックの重合、次にまたはその前に温度を−80〜200℃に変化させる工程を包含する、T50℃超かつPDI3未満のアイソタクチックポリプロピレンのブロック並びに3,1−挿入の割合少なくとも1%およびPDI3未満を有するレジオランダムポリプロピレンのブロックを含有するブロックコポリマーの製造方法。
【請求項16】
プロピレンの3,1−挿入割合が1〜99%の範囲内であり、プロピレン中の挿入残部が主に1,2挿入であり、PDI2.0未満を有する、レジオランダムプロピレンベースのポリマー。
【請求項17】
レジオランダムポリプロピレンからなる、請求項16に記載のレジオランダムプロピレンベースのポリマー。
【請求項18】
PDI1.5未満を有する、請求項17に記載のレジオランダムポリプロピレン。
【請求項19】
一方のブロックがT50℃超およびM1,000〜999,000を有するアイソタクチックプロピレンベースのポリマーであり、一方のブロックがポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%、およびM1,000〜999,000を有するレジオランダムプロピレンベースのポリマーである、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するジブロックコポリマー。
【請求項20】
該レジオランダムプロピレンベースのポリマーがレジオランダムポリプロピレンからなる、請求項19に記載のジブロックコポリマー。
【請求項21】
第一ブロックがT50℃超およびM1,000〜998,000を有するアイソタクチックプロピレンベースのポリマーであり、第二ブロックがプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%、およびM1,000〜998,000を有するレジオランダムプロピレンベースのポリマーであり、第三ブロックがT50℃超およびM1,000〜998,000を有するアイソタクチックプロピレンベースのポリマーである、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するトリブロックコポリマー。
【請求項22】
該レジオランダムプロピレンベースのポリマーがレジオランダムポリプロピレンからなる、請求項21に記載のトリブロックコポリマー。
【請求項23】
50℃超およびM1,000〜999,000を有するアイソタクチックプロピレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類並びにポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%およびM1,000〜999,000を有するレジオランダムプロピレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するマルチブロックコポリマー。
【請求項24】
該レジオランダムプロピレンベースのポリマーがレジオランダムポリプロピレンからなる、請求項23に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項25】
メチレン基1000個あたり1〜100個のメチル基およびM1,000〜999,000を有するエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類並びにポリプロピレンの3,1−挿入の割合1〜99%を有するレジオランダムプロピレンのブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するマルチブロックコポリマー。
【請求項26】
該エチレンベースのポリマーがポリエチレンからなり、該プロピレンベースのポリマーがポリプロピレンからなる、請求項25に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項27】
メチレン基1000個あたり1〜100個のメチル基を有し、M1,000〜999,000のエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類並びにエチレンユニットの割合1〜99%およびM1,000〜999,000を有するポリ(エチレン−co−C〜C10αオレフィン)のブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するマルチブロックコポリマー。
【請求項28】
該エチレンベースのポリマーがポリエチレンからなり、該ポリ(エチレン−co−C〜C10αオレフィン)がポリ(エチレン−co−プロピレン)からなる、請求項27に記載のマルチブロックコポリマー。
【請求項29】
炭素原子1000個あたり0〜50個のメチル分枝およびM1,000〜999,000を有するエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類並びに炭素原子1000個あたり50〜300個のメチル分枝およびM1,000〜999,000を有するエチレンベースのポリマーのブロック少なくとも一種類を含有する、PDI3未満およびM1,000〜1,000,000を有するマルチブロックポリエチレン。
【請求項30】
単一モノマーからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のモノマーの化学連接性で近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマー。
【請求項31】
エチレンからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のエチレンユニットの化学連接性で近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマー。
【請求項32】
プロピレンからメチルより大きい分枝がなく製造され、かつブロックがブロック中のプロピレンユニットの化学連接性で近接ブロックから区別されるマルチブロックポリマー。
【請求項33】
重合中の反応条件を変えてブロックを生じることによって、ブロックがブロック中のモノマーの化学連接性で近接ブロックから区別される、単一モノマーからマルチブロックポリマーを製造する方法。
【請求項34】
単一モノマーからマルチブロックポリマーを製造する方法であって、異なるポリマー位置化学を製造し、重合中にポリマー鎖を交換してブロックを生じうる二種類以上の触媒を使用することによる、ブロックがブロック中のモノマーの化学連接性で近接ブロックから区別される、マルチブロックポリマーを製造する方法。
【請求項35】
ミクロ相分離を示さないマルチブロック熱可塑性エラストマー。

【公表番号】特表2009−506072(P2009−506072A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528240(P2008−528240)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033601
【国際公開番号】WO2007/117267
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508057896)コーネル・ユニバーシティー (12)
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
【Fターム(参考)】