説明

アキシャルギャップ型回転電機

【課題】回転子の両側に巻線固定子を設けたアキシャルギャップ型回転電機において、コイル数の増加を抑制しつつ、軸方向に作用する磁気吸引力をなるべくキャンセルすること。
【解決手段】一対の巻線固定子30,40に、複数のコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wが複数層に亘って分布巻されると共に、それらが回転軸18a方向に沿って2層に分離されて、各巻線固定子30,40に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アキシャルギャップ型回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャルギャップ型モータは、巻線固定子と回転子とが回転軸に沿ってギャップを隔てて設けられた構成とされている。
【0003】
しかしながら、アキシャルギャップ型モータでは、回転軸方向に沿って、巻線固定子と回転子との間で吸引力が作用してしまうため、軸受損失が大きくなったり、軸受寿命が短くなってしまうという問題がある。
【0004】
本願発明に関連する先行技術としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0005】
特許文献1には、単相インダクションモータにおいて、回転軸方向に沿って、ロータの両側に第1のステータ及び第2のステータを設け、第1のステータに主巻線を設けると共に、第2のステータに補助巻線を設けた構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平1−174248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アキシャルギャップ型モータにおいて、軸方向に作用する力を防止するためには、例えば、回転軸方向に沿って、1つの巻線固定子の両側に回転子を2つ設けるか、又は、同じく回転軸方向に沿って、1つの回転子の両側に2つの巻線固定子を設ける等して、複数箇所で作用する吸引力をキャンセルするように相互作用させて、軸方向における全体吸引力を低減させるような構成が提案される。
【0008】
しかしながら、前者のように2つの回転子を2つ設ける構成では、永久磁石が2倍必要となる。また、シャフトが両回転子に2箇所で固定されるため、シャフトの保持構成が複雑化する。
【0009】
また、後者のように、2つの巻線固定子を設けた構成では、コイルを2つの巻線固定子に分けて設ける必要があるため、コイル数が2倍必要でしかも各コイル間を結線するがある。このため、組立工数増加及びデッドスペースが増大するという問題があった。
【0010】
ちなみに、特許文献1に開示の技術では、第1のステータに主巻線を設けると共に、第2のステータに補助巻線を設けている。しかしながら、単相インダクションモータでは、主巻線に流れる電流は、補助巻線に流れる電流よりも大きいため、それぞれによる磁気吸引力は十分にはキャンセルされない。つまり、特許文献2は、そもそも軸方向に作用する力を防止するための技術を開示ないし示唆するものではない。
【0011】
そこで、本発明は、回転子の両側に巻線固定子を設けたアキシャルギャップ型回転電機において、コイル数の増加を抑制しつつ、軸方向に作用する磁気吸引力をなるべくキャンセルすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、このアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸(18a)を中心として回転自在に配設され、前記回転軸周りに複数極を呈する回転子(20、20B、20C、20D、220)と、前記回転軸方向における前記回転子の両面側にギャップを隔てて配設された一対の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)と、を備え、前記一対の巻線固定子に、複数のコイル(50U,50V,50W,52U,52V,52W、150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CW、250U,250V,250W,252U,252V,252W)が回転軸方向に沿った偶数層に亘って分布巻されると共に、前記各コイルが前記回転軸方向に沿って2群の層に分離されて、前記各巻線固定子に設けられ、かつ、2群にわたって周方向に同一の位置に、同一の相のコイルが巻回されない、ものである。
【0013】
また、上記課題を解決するため、このアキシャルギャップ型回転電機は、回転軸(18a)を中心として回転自在に配設され、前記回転軸周りに(4×N)極(Nは正の整数)の磁極を呈する回転子(20、20B、20C、20D、220)と、前記回転軸方向における前記回転子の両面側にギャップを隔てて配設され、略円盤状のバックヨーク磁心(32,42)と、前記バックヨーク磁心の前記回転子側に前記回転軸周りに沿って配設された複数の巻線固定子コア部と、N組の3相のコイル(50U,50V,50W,52U,52V,52W、150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CW、250U,250V,250W,252U,252V,252W)とをそれぞれ有する一対の巻線固定子と、を備え、前記各巻線固定子は、前記複数の巻線固定子コア部として、前記N組の3相のコイルがそれぞれ巻回される(3×N)個のコイル巻回コア部(34,44、134,144、134B,144B、134C,144C、234,244)と、前記各コイル巻回コア部間に設けられた(3×N)個のコイル間コア部(38,48、138B,148B、138C,148C、238,248)とを含み、一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向両端部(36a,36c,46a,46c)が、他方の前記巻線固定子に設けられた2つのコイル巻回コア部であって他の2つの相の前記コイルが巻回されたものの周方向端部(36a,36c,46a,46c)と対向すると共に、一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向略中間部(36b,46b)が、他方の前記巻線固定子に設けられた前記コイル間コア部であって、他の2つの相の前記コイルが巻回されたコイル巻回コア部間に存在するもの(38,48、138B,148B、138C,148C、238,248)と対向するものである。
【0014】
この場合に、前記回転子は、永久磁石(22、22D)によって呈される複数の磁極を有しており、各磁極は実質的に磁気的に独立していてもよい。
【0015】
また、前記回転子は、前記両巻線固定子に対して磁極を呈する永久磁石(22、22D)を有していてもよい。
【0016】
また、前記永久磁石(22)は、前記回転軸方向に沿う磁化容易軸を持つ異方性を有していてもよい。
【0017】
また、一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相のコイルが巻回されたもの先端部に、他方の前記巻線固定子に設けられた2つのコイル巻回コア部であって他の2つの相の前記コイルが巻回されたものの周方向端部と対向する端部側つば部(37a,37c、47a,47c、137a,137c、147a,147c)と、他方の前記巻線固定子に設けられた前記コイル間コア部であって、他の2つの相の前記コイルが巻回されたコイル巻回コア部間に存在するものと対向する中間つば部(37b,47b、137b,147b)と、が設けられており、前記端部側つば部と前記中間つば部とは磁気的に独立していてもよい。
【0018】
また、1つの前記コイル巻回コア部の先端部に設けられる各つば部が、連結部(39Fa,49Fa)によって連結されて一体化されていてもよい。
【0019】
また、前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部(134B,144B)の断面積は、前記コイル間コア部(138B,148B)の断面積の略3倍であってもよい。
【0020】
また、前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部(134C,144C)の断面形状の外周部は、外側に凸形状を有していてもよい。
【0021】
また、前記コイル巻回コア部(134C,144C)とその隣の前記コイル間コア部(138C,148C)との間の隙間が、略等幅の溝状に形成されていてもよい。
【0022】
また、前記コイル間コア部(138B,148B)は、前記各コイル巻回コア部(134B,144B)よりも外周側であって前記各コイル巻回コア部間でかつ前記各コイルの配設部分を除いた隙間に設けられていてもよい。
【0023】
また、前記Nは2以上の整数であってもよい。
【0024】
また、前記一方の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)は、少なくとも前記コイル巻回コア部及びコイル間コア部の位置及び形状と前記各コイルの相順及び巻数とに関して、他方の前記巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)を、前記回転軸と略直交する前記両巻線固定子間の平面を基準に鏡面対象形状にし、さらに、前記回転軸を中心にして(180/N)゜回転させた対称性を有していてもよい。
【0025】
また、前記一対の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)と前記回転子(20、20B、20C、20D、220)と間の各ギャップ長は、略同一であってもよい。
【0026】
また、前記Nは2以上の整数であり、同一相で直列接続される複数の前記コイルが、前記両巻線固定子に設けられており、これらの複数のコイルが前記一対の巻線固定子間を繋ぐように接続(260)されていてもよい。
【0027】
また、前記一対の巻線固定子の各コイルは、その周方向一端部からコイル巻線の一端部が引出されると共に、その周方向他端部からコイル巻線の他端部が引出されたものであり、前記一対の巻線固定子間において直列接続されるコイル同士が、前記回転軸に略直交する平面に投影した距離を基準にして近い端部同士を経由して接続(60U,60V,60W、260)されていてもよい。
【0028】
また、前記一対の巻線固定子の各コイルが並列に接続(70)されていてもよい。
【0029】
また、前記回転子は、前記回転軸周りに間隔を有して配設された永久磁石を複数有しており、前記各永久磁石間に、その各永久磁石とは磁気的に独立する、介在磁心(23D)が介在していてもよい。
【発明の効果】
【0030】
このアキシャルギャップ型回転電機によると、前記一対の巻線固定子に、複数のコイルが回転軸方向に沿った複数層に亘って分布巻されると共に、前記各コイルが前記回転軸方向に沿って2群の層に分離されて、前記各巻線固定子に設けられ、、かつ、2群にわたって周方向に同一の位置に、同一の相のコイルが巻回されないため、回転子の両側に巻線固定子を設けたアキシャルギャップ型回転電機において、コイル数の増加を抑制しつつ、軸方向に作用する磁気吸引力をなるべくキャンセルすることができる。
【0031】
また、別のアキシャルギャップ型回転電機によると、回転軸を中心として回転自在に配設され、前記回転軸方向における両面に前記回転軸周りに(4×N)極(Nは正の整数)の磁極面を呈する回転子と、前記回転軸方向における前記回転子の両面側にギャップを隔てて配設され、略円盤状のバックヨーク磁心と、前記バックヨーク磁心の前記回転子側に前記回転軸周りに沿って配設された複数の巻線固定子コア部と、N組の3相のコイルと、を有する一対の巻線固定子とで、回転子の両側に巻線固定子を設けたアキシャルギャップ型回転電機を構成できる。
【0032】
また、回転子が(4×N)極の磁極面を呈するのに対して、各巻線固定子にN組の3相のコイルが設けられることで、全体として分布巻された(2×N)組の3相のコイルを設ける構成であるため、コイル数の増加を抑制することができる。
【0033】
しかも、一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向両端部が、他方の前記巻線固定子に設けられた2つのコイル巻回コア部であって他の2つの相の前記コイルが巻回されたものの周方向端部と対向すると共に、一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向中間部が、他方の前記巻線固定子に設けられた前記コイル間コア部であって、他の2つの相の前記コイルが巻回されたコイル巻回コア部間に存在するものと対向するので、軸方向に作用する磁気吸引力をなるべくキャンセルすることができる。
【0034】
また、前記回転子が、永久磁石によって呈される複数の磁極を有していると、磁束密度を高くできる。
【0035】
さらに、回転子は、両巻線固定子に対して磁極を呈する永久磁石を有していると、各磁気回路において、磁束が界磁子の永久磁石を貫通して両巻線固定子間を通過することになる。
【0036】
また、前記永久磁石は、前記回転軸方向に沿う磁化容易軸を持つ異方性を有していると、回転軸方向に沿って強く着磁できる上、両巻線固定子の双方のギャップで磁束の漏れを少なくすることができる。
【0037】
また、コイル巻回コア部の先端部に、端部側つば部や中間つば部が設けられていると、両方の巻線固定子間の磁束のやりとりが、双方の対応するコイルによる磁束の合成磁束となるように、各つば部によって磁束の流れを調整することができる。
【0038】
また、1つの前記コイル巻回コア部の先端部に設けられる各つば部が、連結部によって連結されて一体化されていると、それらを一体物として容易に取扱うことができると共に、ギャップ精度を向上できる。
【0039】
また、前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部の断面積は、前記コイル間コア部の断面積の略3倍であると、各相に応じた磁気回路の断面積を略同じにして、磁束密度むらを防止できると共に、磁気飽和を防止できる。
【0040】
また、前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部の断面形状の外周部が外側に凸形状を有していると、コイルの巻線をコイル巻回コア部の外周に密着して巻回することができ、コイルの占積率向上を図ることができる。
【0041】
前記コイル巻回コア部とその隣の前記コイル間コア部との間の隙間が、略等幅の溝状に形成されていると、当該間隔にコイルを密に配設することができ、コイル占積率を向上させることができる。
【0042】
また、前記コイル間コア部が、前記各コイル巻回コア部よりも外周側であって前記各コイル巻回コア部間でかつ前記各コイルの配設部分を除いた隙間に設けられていると、各コイル間の隙間を有効利用して、コイル巻回コア部を設けることができる。
【0043】
また、前記Nが2以上の整数であると、各巻線固定子において、周方向に働く力をバランスよくすることができる。
【0044】
また、前記一方の巻線固定子は、少なくとも前記コイル巻回コア部及びコイル間コア部の位置及び形状と前記各コイルの相順及び巻数とに関して、他方の前記巻線固定子を、前記回転軸と略直交する前記両巻線固定子間の平面を基準に鏡面対象形状にし、さらに、前記回転軸を中心にして(180/N)゜回転させた対称性を有していると、両巻線固定子が略同条件で磁束を作るため、回転子を回転させるのに適した合成磁束を発生し易くできる。
【0045】
また、前記一対の巻線固定子と前記回転子との間の各ギャップ長は、略同一であると、回転子の両面側で、同様の磁気回路を形成することができる。
【0046】
また、同一相で直列接続される複数の前記コイルが、前記両巻線固定子に設けられており、これらの複数のコイルが前記一対の巻線固定子間を繋ぐように接続されていると、各巻線固定子内だけで同一相のコイルを接続する場合よりも、各コイル間を接続するわたり配線を短くできる。
【0047】
また、前記一対の巻線固定子の各コイルは、その周方向一端部からコイル巻線の一端部が引出されると共に、その周方向他端部からコイル巻線の他端部が引出されていると、同様構成のコイルを用いることができるので、生産性が向上する。また、前記一対の巻線固定子間において直列接続されるコイル同士が、前記回転軸に略直交する平面に投影した距離を基準にして近い端部同士を経由して接続されていると、わたり配線をより短くできる。
【0048】
また、前記各巻線固定のそれぞれにおいて、前記各コイルがスター結線(70)されていると、一対の巻線固定子間でのわたり配線を削減できる。
【0049】
前記回転子は、前記回転軸周りに間隔を有して配設された永久磁石を複数有しており、前記各永久磁石間に、その各永久磁石とは磁気的に独立する、介在磁心が介在していると、その介在磁心を利用して、リラクタンストルクを併用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機について説明する。図1は、同アキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図であり、図2は同アキシャルギャップ型回転電機を示す側面図である。
【0051】
このアキシャルギャップ型回転電機10は、所定の回転軸18a回りの回転力を発生させるものであり、1つの回転子20と、2つの巻線固定子30,40とを備えている。回転子20は、略円盤状に形成されており、所定の回転軸18aを中心として回転自在に配設されると共に、その回転軸18a回りに交互に複数の磁極を呈するようになっている。また、巻線固定子30,40も、略円盤状に形成されており、前記回転軸18a方向における回転子20の両面側にギャップを隔てて配設されている。また、これらの一対の巻線固定子30,40を全体として見ると、複数のコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,46Wが複数層(ここでは2層)に亘って分布巻されている。また、これらのコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wは2群の層に分離されて(ここでは2層に分離されて)、それぞれ各巻線固定子30,40に設けられ、、かつ、2群にわたって回転軸18a周りの周方向で同一の位置に、同一の相(U相、V相、W相等)のコイルが巻回されないようになっている。そして、これらコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wに3相交流電流を通電することで、回転子20を回転軸18a周りに回転させる磁束を発生させるようになっている。
【0052】
各部についてより具体的に説明する。
【0053】
図3は回転子の一部分解斜視図であり、図4は同回転子を示す斜視図である。図1〜図4に示すように、回転子20は、図示省略の回転軸部を介して回転自在に配設されている。なお、回転軸部は、図示省略の軸受によって回転自在に支持されている。また、この回転子20は、回転軸18a方向の両面において、前記回転軸18a周りに交互の磁性を持つ磁極面を呈する。ここでは、回転子の各磁極面は、回転軸18a周りに、(4×N)極(Nは正の整数、ここではN=1)の交互の磁極を呈する。
【0054】
より具体的には、回転子20は、複数(ここでは4つ)の永久磁石22を有している。各永久磁石22は、回転軸18a周りのドーナツ板状部材を複数(ここでは4つ)に分割した形状、即ち、回転軸18a周りに延びる弧状かつ帯状の板形状に形成されている。また、各永久磁石22は、回転軸18a周りに、間隔をあけて配設されており、この間隔によって各永久磁石22は実質的に磁気的に独立している。これにより、磁束の漏洩による無効磁束を低減することができる。このように永久磁石22によって磁界を発生させているため、各磁気回路における磁束密度を高くすることができる。
【0055】
また、各永久磁石22は、その両面側、つまり、各巻線固定子30,40に対して磁極を呈するようになっている。これにより、各永久磁石22を通る各磁気回路において、磁束が界磁子としての永久磁石22を貫通して、両巻線固定子30,40間を通過する。
【0056】
上記のような永久磁石22は、回転軸18aに沿った方向、即ち、永久磁石22の厚み方向に沿った磁化容易軸を持つ異方性の磁性材料を、当該回転軸18a方向に沿って着磁することで形成されることが好ましい。これにより、前記永久磁石22を、回転軸18a方向に沿って強く着磁できる上、巻線固定子30,40側の双方のギャップで磁束の漏れを少なくすることができる。
【0057】
また、各永久磁石22の両面、つまり、両巻線固定子30,40側の面に、それぞれ回転子磁心26が設けられている。各回転子磁心26は、各永久磁石22の形状に対応する弧状かつ帯状の板形状に形成されており、永久磁石22の両面に重ね合せ状に配設されている。これらの回転子磁心26も、回転軸18a周りに間隔をあけて配設され、相互に磁気的に独立している。
【0058】
この回転子磁心26により、励磁された巻線固定子30,40の外部磁界によって回転子20に減磁界が作用した場合に、各永久磁石22に作用する減磁界の影響を緩和し、もって、各永久磁石22が減磁するのを防止することができる。
【0059】
なお、上記回転子磁心26は、抵抗率が高い材質、例えば、圧粉鉄心で形成されていることが好ましい。これにより、回転子磁心26で生じた渦電流の減少効果を期待できる。特に、例えば、PWMインバータ駆動によって巻線固定子30,40が発生させるキャリア高周波数成分の磁束は、永久磁石22まで作用し難く、その磁束による渦電流は表皮効果によって回転子磁心26の表面近傍で発生し易い。そこで、回転子磁心26を高抵抗率の材料で形成することで、そのような高周波数成分の渦電流を有効に減少させることができる。
【0060】
なお、これらの各永久磁石22及び各回転子磁心26は、樹脂や非磁性金属等の非磁性体によって形成されるホルダ28によって上記配設形態で保持されると共に(図4参照)、回転軸部に固定されている。ホルダ28は、各永久磁石22及び各回転子磁心26と共にモールド成形されたものであってもよいし、又は、予め金型成形されたホルダ28に各永久磁石22及び各回転子磁心26等を嵌め込む等して固定した構成であってもよい。
【0061】
両巻線固定子30,40について説明する。
【0062】
図5は同アキシャルギャップ型回転電機に3相交流電流が通電された状態及び結線態様を示す説明図である。なお、図5で各巻線固定子コア部を示す符号のうち最初の符号は一方(下側)のものであり、2番目の符号は他方(上側)のものを示している。また、図5では、理解を容易にするため、各分割コイル巻回コア部36a,36b,36c,46a,46b,46c及びコイル間コア部38,48の各位置に、符号T1〜T12を付している。
【0063】
図1、図2及び図5に示すように、一方(ここでは下側)の巻線固定子30は、バックヨーク磁心32と、複数(ここでは12個)の巻線固定子コア部34,38と、N組(ここでは1組)の3相のコイル50U,50V,50Wとを備えている。
【0064】
バックヨーク磁心32は、鉄等の軟磁性体によって形成されており、略中央部に孔部が形成された略円盤状に形成されている。このバックヨーク磁心32は、圧粉鉄心、積層鋼板等のいずれで形成されていてもよい。このバックヨーク磁心32の回転子20側の面に上記巻線固定子コア部34,38が突出状に支持されている。
【0065】
各巻線固定子コア部34,38は、鉄等の軟磁性体によって形成されており、バックヨーク磁心32の前記回転子20側の面に、回転軸18a周りに間隔をあけて環状に配設されている。
【0066】
上記巻線固定子コア部34,38は、(3×N)個(ここでは3個)のコイル巻回コア部34と、(3×N)個(ここでは3個)のコイル間コア部38とを含んでいる。
【0067】
各コイル巻回コア部34は、間隔をあけて弧状に隣設された3つの分割コイル巻回コア部36a,36b,36cを有している。この各コイル巻回コア部34は、上記3相のコイル50U,50V,50W分の数(ここでは3つ)準備され、バックヨーク磁心32の前記回転子20側の面に、回転軸18a周りに略等間隔をあけて環状に配設されている。そして、各コイル巻回コア部34のそれぞれに、つまり、隣設する3つの分割コイル巻回コア部36a,36b,36cの外周周りのそれぞれに、上記3相のコイル50U,50V,50Wが巻回される。ここでは、3相のコイル50U,50V,50Wは、回転軸18a方向に沿って上方から見て、U相のコイル50U、V相のコイル50V,W相のコイル50Wがこの順で右回り(時計回り)に並ぶように配設されている。
【0068】
また、各コイル間コア部38は、上記コイル巻回コア部34と同数設けられており、当該各コイル巻回コア部34間に間隔をあけて配設されている。なお、コイル巻回コア部34とコイル間コア部38間の間隔は、バックヨーク磁心32の径方向に沿って略等幅に設定されている。また、このコイル間コア部38には、コイルは巻回されていない。
【0069】
また、上記コイル巻回コア部34を構成する分割コイル巻回コア部36a,36b,36c及びコイル間コア部38は、回転軸18aと略直交する平面において、2等辺三角形又は扇形状の各頂点を丸めた形状の断面形状を有しており、回転軸18aから外方向に向けて順次幅広になる姿勢で配設されている。バックヨーク磁心32に対する分割コイル巻回コア部36a,36b,36c及びコイル間コア部38の固定は、例えば、バックヨーク磁心32に形成された貫通孔部又は有底孔部に、各分割コイル巻回コア部36a,36b,36c及びコイル間コア部38を圧入したり焼きばめすることで、なされる。
【0070】
また、他方の巻線固定子40は、上記一方の巻線固定子30と同様構成、即ち、バックヨーク磁心32に対応するバックヨーク磁心42、3つの分割コイル巻回コア部36a,36b,36cを有するコイル巻回コア部34に対応して3つの分割コイル巻回コア部46a,46b,46cを有するコイル巻回コア部44、コイル間コア部38に対応するコイル間コア部48、3相のコイル50U,50V,50Wに対応する3相のコイル52U,52V,52Wとを備えている。
【0071】
この他方の巻線固定子40は、コイル巻回コア部44及びコイル間コア部48を含む巻線固定子コア部44,48と、3相のコイル50U,50V,50Wを、回転子20側に対向させた姿勢で、当該回転子20の上方にギャップを隔てて配設されている。
【0072】
両巻線固定子30,40の位置関係は次のようになっている。
【0073】
まず、一方の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であって所定相のコイル50U,50V,50Wが巻回されたものの周方向端部である分割コイル間コア部36a,36cが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル巻回コア部44であって他の2つの相のコイル52U,52V,52Wが巻回されたものの周方向端部である分割コア部46c,46aと対向している。
【0074】
例えば、図5に示すように、下方の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であってU相のコイル50Uが巻回されたものの周方向端部である分割コイル間コア部36a,36cが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル巻回コア部44であって他の2つのV相及びW相のコイル52V,52Wが巻回されたものの周方向端部である分割コア部46c,46aと対向している。
【0075】
また、一方の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であって所定相のコイル50U,50V,50Wが巻回されたものの周方向略中間部である分割コイル巻回コア部34bが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル間コア部48であって、他の2つの相のコイル52U,52V,52Wが巻回されたコイル巻回コア部44間に存在するものと対向している。
【0076】
例えば、図5に示すように、一方(下方)の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であってU相のコイル50Uが巻回されたものの周方向略中間部である分割コイル巻回コア部34bが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル間コア部48であって、他の2つの相のコイル52V,52Wが巻回されたコイル巻回コア部44間に存在するものと対向している。
【0077】
なお、他方の巻線固定子40を基準にしても、また、U相、V相、W相のいずれを基準にしても同様の位置関係となっている。
【0078】
また、一方の巻線固定子30側の各コイル50U,50V,50Wと、他方の巻線固定子40側のコイル52U,52V,52Wは、本回転電機10の回転軸18a方向の一方側から見て(例えば、上方から見て)同一方向に巻回されている。換言すれば、回転子20から見ると、一方の巻線固定子30側の各コイル50U,50V,50Wと、他方の巻線固定子40側のコイル52U,52V,52Wとは、互いに反対方向に巻回されている。なお、ここでいう巻回方向は、実際の巻回時における機械的な向きではなく、各相の通電方向を基準とした方向をいう。よって、本回転電機10の回転軸18a方向の一方側から見て(例えば、上方から見て)同一方向に巻回されている場合には、所定の相、例えばU相のコイル50U,52Uに最大電流を通電した場合に、他の2相、例えばV相とW相のコイル50V,50W,52V,52Wには逆方向の電流が流れる。よって、この場合には、所定の相、例えばU相のコイル50U,52Uにおける磁束の向きに対して、他の2相、例えばV相とW相のコイル50V,50W,52V,52Wの磁束の向きは逆になる。
【0079】
つまり、両巻線固定子30,40は、少なくともコイル巻回コア部34,44及びコイル間コア部38,48の位置及び形状と、各コイル50U,50V,50W,コイル52U,52V,52Wの相順及び巻数とに関して、回転軸18aと略直交する両巻線固定子30,40間の平面を基準にした鏡面対称形状にしかつ、回転軸18aを中心にして(180/N)゜(ここではN=1から180゜)、すなわち、電気角で1周期回転させた対称性を有している。
【0080】
このような両巻線固定子30,40の配置関係に加えて、回転子20の各永久磁石22がその両面側に対して磁極を呈していることから、一方の巻線固定子30から他方の巻線固定子40に向けて(又は他方の巻線固定子40から一方の巻線固定子30に向けて)、磁束は回転子20を貫通する。つまり、コイル50U,50V,50W,52U,52V,52Wを、両巻線固定子30,40に分けて設けても、それらの合成磁界によって回転子20を回転させることができる。
【0081】
各コイル巻回コア部44及び各コイル間コア部48による磁界の発生態様について図5を参照してより具体的に説明する。
【0082】
U相のコイル50U,52Uが巻回された各コイル巻回コア部34の略中央部の分割コイル巻回コア部36bとこれに対向するコイル間コア部48間では(T1及びT7参照)、U相電流によって発生した磁束が通過する。
【0083】
同様に、V相のコイル50V,52Vが巻回された各コイル巻回コア部34の略中央部の分割コイル巻回コア部36bとこれに対向するコイル間コア部48間では(T5及びT11参照)、V相電流によって発生した磁束が通過し、また、W相のコイル50W,52Wが巻回された各コイル巻回コア部34の略中央部の分割コイル巻回コア部36bとこれに対向するコイル間コア部48間では(T3及びT9参照)、W相電流によって発生した磁束が通過する。
【0084】
また、U相コイル50U,52UとV相コイル50V,52Vとが重複する部分である分割コイル巻回コア部36aと分割コイル巻回コア部46cとの対向部分(T12参照)と、分割コイル巻回コア部36cと分割コイル巻回コア部46aとの対向部分(T6参照)では、U相電流とV相電流とによって発生した磁束の重畳したものが通過する。
【0085】
同様に、V相コイル50V,52VとW相コイル50W,52Wとが重複する部分である分割コイル巻回コア部36aと分割コイル巻回コア部46cとの対向部分(T4参照)と、分割コイル巻回コア部36cと分割コイル巻回コア部46aとの対向部分(T10参照)では、V相電流とW相電流とによって発生した磁束の重畳したものが通過する。
【0086】
また、同様に、W相コイル50W,52WとU相コイル50U,52Uとが重複する部分である分割コイル巻回コア部36aと分割コイル巻回コア部46cとの対向部分(T8参照)と、分割コイル巻回コア部36cと分割コイル巻回コア部46aとの対向部分(T2参照)では、W相電流とU相電流とによって発生した磁束の重畳したものが通過する。
【0087】
図6は本アキシャルギャップ型回転電機におけるコイルの巻線形態と発生磁束との関係を示す図である。なお、図6では各巻線固定子コア部及びコイルの環状配列方向を部分的に繰返して平面状に展開した状態を示しており、各コイルを概念的に示している。
【0088】
すなわち、W相に所定方向の最大電流が通電された場合に着目すると、コイル巻回コア部34の中間部の分割コイル巻回コア部36bからこれに対向するコイル間コア部48に向けて、前記磁束Φ1に永久磁石22による磁束Φ2を重畳した磁束Φ3が通過する。
【0089】
一方、U相のコイル50U,52UとV相のコイル50V,52Vには、上記の逆方向の電流が通電され、当該U相のコイル50U,52UとV相のコイル50V,52Vで、前記磁束Φ1とは逆方向の磁束Φ4,Φ5が発生する。そして、U相のコイル50U,52UとV相のコイル50V,52Vとが相互に重なり合う部分では、それらの磁束Φ4,Φ5が重畳され、さらに永久磁石22による磁束Φ6を重畳した磁束Φ7が両者間を通過する。
【0090】
ここで、Iv=−Iw−Iu(Ixはx相を流れる電流)であるから、一方の巻線固定子30と他方の巻線固定子40との間を通過する磁束Φ3=Φ7であるから、両巻線固定子30,40間で大きさがほぼ等しい磁束が往き来する。
【0091】
W相に逆方向の最大電流が通電された場合、U相及びV相に所定方向及び逆方向に最大電流が通電された場合にも、同様に磁束が発生して通過する。
【0092】
従って、3相交流を流すと、両巻線固定子30,40によって回転軸18a周りに周期的に変化する磁束が生じ、これが経時的に変化して回転子20を回転させることになる。
【0093】
このようなコイル50U,50V,50W,52U,52V,52Wの配置形態は、次のような通常の4極12ティースの分布巻形態と同等と評価できる。つまり、通常の4極12ティースの分布巻形態は、1相あたり極数(4つ)のコイルを等間隔で、かつ、3相分の3層に積層するように配置することになる。このような配置では、回転子20の両側での対称性を維持することはできない。そこで、コイル50U,50V,50W及び52U,52V,52Wを2つの層に分け、各層で1つのコイル間コア部38,48を介在させてコイル50U,50V,50W及び52U,52V,52Wを設けて、各相毎に極数/2(ここでは2つ)のコイル50U,50V,50W及び52U,52V,52Wを設ける構成としている。これにより、コイル50U,50V,50W及び52U,52V,52Wに分けて両巻線固定子30,40に配設することができ、回転子20の両側で対称性よく配置することができる。コイル52U,52V,52Wを巻線固定子30にそのままスライドさせれば、1の固定子で通常の分布巻の巻線分布となる。
【0094】
また、上記各分割コイル巻回コア部36a,36c,46a,46cのうち回転子20側端部に、外方向に広がる端部側つば部37a,37c,47a,47cが設けられている。この端部側つば部37a,37c,47a,47cは、回転子20を介して対応する各分割コイル巻回コア部36a,36c,46a,46cと対向している。また、分割コイル巻回コア部36b,46bのうち回転子20側端部に、外方向に広がる中間つば部37b,47bが形成されている。この中間つば部37b,47bは、回転子20を介して対応するコイル間コア部38,48と対向している。さらに、コイル間コア部38,48のうち回転子20側端部に、外方方向に広がるつば部39,49が形成されており、これらは回転子20を介して対応する分割コイル巻回コア部36b,46bと対向している。
【0095】
また、これらの端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49とは、スリットを介して分離され、相互に実質的に磁気的に独立している。
【0096】
これらの端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49とは、分割コイル巻回コア部36a,36c,46a,46cや分割コイル巻回コア部36b,46b、コイル間コア部38,48に一体形成されている。なお、分割コイル巻回コア部36a,36c,46a,46cや分割コイル巻回コア部36b,46b、コイル間コア部38,48を、圧粉磁心にて形成することで、端部側つば部37a,37c,47a,47cや中間つば部37b,47b、つば部39,49を容易に一体形成できる。
【0097】
これらの端部側つば部37a,37c,47a,47cや中間つば部37b,47b、つば部39,49によって、回転子20と巻線固定子30,40との間で、鎖交磁束の増大を図ることができる。また、回転子20に対する巻線固定子30,40の平面度を高めることで、両者間の実質的なギャップ長をより小さくできる。特に、それらの間に存在するスリットによって、両方の巻線固定子30,40間の磁束のやりとりが、双方の対応するコイル50U,50V,50W及び52U,52V,52Wによる磁束の合成磁束となるように、磁束の流れを調整することができる。
【0098】
このように構成されたアキシャルギャップ型回転電機10によると、一対の巻線固定子30,40に、複数のコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wが複数層に亘って分布巻されると共に、それらが回転軸18a方向に沿って2群の層に分離されて、各巻線固定子30,40に設けられている。このため、回転子20の両側に巻線固定子30,40を設けた回転電機10において、一方の巻線固定子30によって作用する磁気吸引力と、他方の巻線固定子40によって作用する磁気吸引力とをなるべくキャンセルして、スラスト力を軽減することができる。
【0099】
特に、回転子20は回転軸18a周りに(4×N)極の磁極面を呈するのに対して、各巻線固定子30,40にN組の3相のコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wを設けることで、全体として(2×N)組の3相コイルを設ける構成であるため、回転子20の両面側でそれぞれ回転子20回転用の磁気回路を形成する場合に比べて、コイル数の増加を抑制することができる。
【0100】
しかも、一方の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であって所定相のコイル50U,50V,50Wが巻回されたものの周方向端部である分割コイル間コア部36a,36cが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル巻回コア部44であって他の2つの相のコイル52U,52V,52Wが巻回されたものの周方向端部である分割コア部46a,46cと対向している。また、一方の巻線固定子30に設けられたコイル巻回コア部34であって所定相のコイル50U,50V,50Wが巻回されたものの周方向略中間部である分割コイル巻回コア部34bが、他方の巻線固定子40に設けられたコイル間コア部48であって、他の2つの相のコイル52U,52V,52Wが巻回されたコイル巻回コア部44間に存在するものと対向している。このため、回転子20の両側で、軸方向に作用する磁気吸引力をなるべく同じにして、当該磁気吸引力をなるべくキャンセルすることができる。
【0101】
また、両巻線固定子30,40は、上記のように、鏡面対称形状にして回転させた対称性を有しているため、両巻線固定子30,40が略同条件で磁束を発生させるため、回転子20を円滑に回転させるのに適した合成磁界を発生し易くできる。
【0102】
なお、上記一対の巻線固定子30,40と回転子20間の各ギャップ長は、略同一であることが好ましい。回転子20の両側で、同様の磁気回路を形成するためである。
【0103】
本アキシャルギャップ型回転電機の基本的構成は上記の通りである。以下では、上記構成を前提にして、好ましい具体的構成、又は、好ましい変形例について説明する。なお、以下の説明では、上記したものと同様要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0104】
図7は回転子の変形例を示している。この変形例では、リング状の磁性材料を、その周方向に沿って区分された各エリア毎に交互に逆極性に着磁することによって、回転子20Bを形成している。なお、回転子20Bのうち回転軸部に取付けられる部分は、着磁されていないか、又は、着磁されてもよいがトルク発生には寄与しない。また、回転子20Bの周方向において着磁された部分間は無着磁部分である。本変形例は、形状加工の自由度に優れたボンド磁石を用いる場合に有効である。
【0105】
図8及び図9は回転子の他の変形例を示している。この変形例の回転子20Cでは、各永久磁石22を、一対の回転子磁心26Cで挟込むようにして所定の配列形態で保持している。各回転子磁心26Cは、各永久磁石22に対応する幅広部26Ca,26Cbを有しており、これらは連結部26Ccを介して連結されている。なお、連結部26Ccは、小幅又は肉薄で、容易に磁気飽和し得る程度の断面積を有している。また、幅広部26Ca,26Cbのうち一方の磁極に対応する幅広部26Caは、内周側の回転軸部周りの内環部26Cdで相互に連結されると共に、回転軸部に固定されている。これにより、ホルダ等を別途設ける必要なく、各永久磁石22を保持できるようにしている。なお、各幅広部26Caは同一磁極に対応しているので、上記のように相互に連結しても磁束漏洩は防止されている。
【0106】
図10は、回転子のさらに他の変形例を示している。この変形例に係る回転子20Dは介在磁心を有している。すなわち、回転子20Dは、回転軸18aに間隔を有して配設された複数(ここでは4つ)の永久磁石22Dを備えており、その各永久磁石22D間に、各永久磁石22Dとは磁気的に独立する介在磁心23Dが介在している。この介在磁心23Dは、巻線固定子30,40の双方に面している。つまり、各永久磁石22Dと介在磁心23Dとは、回転軸18a周りで環状かつ交互に配置されている。これらの各永久磁石22Dと介在磁心23Dとは、非磁性体によって形成された図示省略のホルダによって磁気的に独立した状態で保持されている。上記介在磁心23Dとしては、例えば、圧粉鉄心のように、等方性の軟磁性材料を用いることが好ましい。なお、介在磁心23Dのうち両巻線固定子30,40側の両端部は、より多くの磁束を導けるように他の部分よりも幅広に形成されている。
【0107】
上記介在磁心23Dを設けることで、永久磁石22Dによる磁極中心を示すd軸のインダクタンスLdよりも、極間を示すq軸のインダクタンスLqを大きくすることができ、逆突極性(Lq>Ld)を示す。このため、電流位相をq軸に対して適当な進み角をもって制御することで、いわゆるマグネットトルクに対して、いわゆるリラクタンストルクを更に加えて、トルクやエネルギー効率を高めることができる。一般に、トルク式は以下のようになる。ここで、Lq>Ldとすることで、第二項のリラクタンストルクを利用できる。
T−Pn[φaacosβ+0.5(Lq−Ld)Ia2sin(2β)]
ここで、Pn:極対数、φa:電機子鎖交磁束、Ia:電流値、β:電流位相である。
【0108】
図11は巻線固定子に係る変形例を示している。この変形例に係る巻線固定子30E,40Eでは、上記実施形態における端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49とを省略している。このように、端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49は必須のものではない。
【0109】
図12は巻線固定子に係る他の変形例を示している。この変形例に係る巻線固定子30F,40Fでは、上記各端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49とを、それぞれ内周側及び外周側で、連結部39Fa,49Faで連結している。連結部39Fa,49Faは、小幅又は肉薄で、容易に磁気飽和し得る程度の断面積を有している。
【0110】
この変形例によると、各端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49と一体物として容易に取扱うことができる。また、それらを一体物として取扱うことができるので、各ギャップ精度の向上を図ることもできる。
【0111】
なお、上記各端部側つば部37a,37c,47a,47cと、中間つば部37b,47bと、つば部39,49とを全て連結部39Fa,49Faで連結する必要はないが、コイル巻回コア部34,44の先端部に設けられる端部側つば部37a,37c,47a,47cと中間つば部37b,47bとは連結部39Fa,49Faで連結して一体化することが好ましい。
【0112】
また、上記実施形態において、バックヨーク磁心32,42と、各コイル巻回コア部34,44及び各コイル間コア部38,48と、端部側つば部37a,37c,47a,47c及び中間つば部37b,47b及びつば部39,49とに関し、いずれを分割別体とし、いずれを組合わせて一体化するのは任意である。
【0113】
図12に示す例では、各コイル巻回コア部34,44及び各コイル間コア部38,48と、端部側つば部37a,37c,47a,47c及び中間つば部37b,47b及びつば部39,49とを一体化し、バックヨーク磁心32,42をそれらとは別体として形成している。この構成によれば、バックヨーク磁心32,42を、鋼板等の薄板を回転軸18a方向に積層した積層鋼板によって容易に形成することができる。また、各コイル巻回コア部34,44及び各コイル間コア部38,48と、端部側つば部37a,37c,47a,47c及び中間つば部37b,47b及びつば部39,49との一体化物については、圧粉鉄心、例えば、等方性の圧粉鉄心で形成することができる。
【0114】
図13は巻線固定子のさらに他の変形例を示す斜視図である。図13に示すように、端部側つば部37a,37c,47a,47cと中間つば部37b,47bとつば部39,49は、それぞれコイル巻回コア部34,44及びコイル間コア部38,48とは別体とされていてもよい。この構成は、コイル50U,50V,50W,52U,52V,52Wを容易にコイル巻回コア部34,44及びコイル間コア部38,48に外嵌めできるようにし、コイル占積率向上にも貢献する。
【0115】
なお、上記コイル巻回コア部34,44における分割コイル巻回コア部36a,36b,36c,46a,46b,46c間の隙間は、コイルが配置されるコイル巻回コア部34,44とコイル間コア部38,48との間の隙間よりも小幅であってもよい。この場合でも、端部側つば部37a,37c,47a,47cや中間つば部37b,47b、つば部39,49の各間の各隙間は等幅であることが好ましい。両巻線固定子30,40の両側及び各相での対称性を保つためである。
【0116】
各コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wの結線構成について説明する。
【0117】
まず、図1及び図5に示すように、上記各コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wの周方向の一端部からコイル巻線の一端部が引出されると共に、その周方向他端部からコイル巻線の他端部が引出されている場合には、一対の巻線固定子30,40間で接続されるコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52W同士は、回転軸18aに略直交する平面に投影した距離を基準にして近い端部同士を経由して接続されている。つまり、各コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wが同様の引出し端部を持ち、それらが回転子20から見て同様の向き及び姿勢で取付けられているとする。すると、コイル50Uの他端部とコイル52Uの一端部とが上記平面を基準にして比較的近い位置に配設される。そこで、これらの端部間をわたり配線60Uで結線するとよい。同様に、コイル50Vの他端部とコイル52Vの一端部とをわたり配線60Vで結線し、コイル50Wの他端部とコイル52Wの一端部とをわたり配線60Wで結線するとよい。なお、図1に示すわたり配線60U,60V,60Wは分解斜視図に応じた長さで示されているが、実際にはもっと短い。
【0118】
なお、コイル50U,50V,50Wの一端部は、配線62を介して巻線固定子30でそれぞれ中性点に接続される。また、コイル52U,52V,52Wの他端部は、配線64を介して電源に接続される。
【0119】
このように同様構成のコイル50U,50V,50W,52U,52V,52Wを用いることで、生産性を向上させることができる。また、各相で50U,50V,50W,52U,52V,52Wを接続するわたり配線60U,60V,60Wを短くできるという利点もある。
【0120】
なお、上記Nが2以上の整数である場合、即ち、各巻線固定子30,40に3相のコイル50U,50V,50W,52U,52V,52Wが設けられた場合に好ましい配線形態については後述する。
【0121】
また、図11に示すように、前記各巻線固定子30,40のそれぞれにおいて、コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wが配線70を介してそれぞれスター結線等され、それぞれのコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wが並列に接続されると共に、それぞれに配線72を介して外部電源からの電流が供給されるようにしてもよい。
【0122】
この場合には、一対の巻線固定子30,40間でコイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52Wを接続するわたり配線を削減できるという利点がある。例えば、回転子20の外径を大きくしたいと思っても、両巻線固定子30,40間のわたり配線によって当該回転子20の外径を小さくするように制限される。本形態は、そのような制約を少なくすることができる。本形態は、各コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52W等での抵抗値等のばらつきが小さい場合に適した結線態様である。
【0123】
また、巻線固定子30,40に対して同一の電源から電流供給して駆動するようにすれば、インバータ回路等も1つ設けるだけでよい。
【0124】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機について説明する。図14は同アキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図であり、図15は同回転電機におけるコイル巻回コア部及びコイル間コア部を示す概略断面図である。
【0125】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機110は、第1実施形態に対して、コイル巻回コア部134,144に係る構成で異なっている。その他の構成は、第1実施形態と同様構成であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0126】
このコイル巻回コア部134,144では、第1実施形態で説明した分割コイル巻回コア部36a,36b,36c,46a,46b,46cが一体化されている。
【0127】
また、各分割コイル巻回コア部36a,36b,36c,46a,46b,46cの端部に設けられた端部側つば部137a,137c,147a,147cと、中間つば部137b,147bは、スリットを介して相互に分割されている。
【0128】
なお、図16に示すように、端部側つば部137a,137c,147a,147cと、中間つば部137b,147bとの間には必ずしもスリットを設ける必要はない。このようにスリットを無くすことで、パーミアンスを小さくすることができる。もっとも、コギングトルクを低減するためには、端部側つば部137a,137c,147a,147cと、中間つば部137b,147bとの間にスリットを設けることが好ましい。
【0129】
この第2実施形態では、分割コイル巻回コア部36a,36b,36c,46a,46b,46c内で隙間を省略できるので、コア占積率を向上できると共に、それらを一体物として容易に取扱うことができる。
【0130】
以下、第2実施形態にかかるアキシャルギャップ型回転電機の変形例について説明する。
【0131】
図17はコイル巻回コア部に係る他の変形例を示している。この変形例に係るコイル間コア部138B,148Bの外周側部分が、コイル巻回コア部134B,144Bの外周部よりも外周側に延出するように形成されている。このコイル間コア部138B,148Bの外周側延出部分は、コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52W間に存在する範囲内に存在している。
【0132】
この変形例によると、各コイル50U,50V,50W及びコイル52U,52V,52W間の隙間を有効利用して、コイル巻回コア部134B,144Bの断面積を大きくすることができる。
【0133】
もっとも、各相での磁束量を考慮すると、コイル巻回コア部134B,144Bやコイル間コア部138B,148Bの形状に拘らず、コイル巻回コア部134B,144Bの断面積は、コイル間コア部138B,148Bの断面積の略3倍であることが好ましい。これにより、各相に応じた磁気回路の断面積を略同じにして、磁束密度むらを防止できると共に、磁気飽和を防止できる。
【0134】
図18はコイル巻回コア部及びコイル間コア部に係る変形例を示す分解斜視図であり、図19は同アキシャルギャップ型回転電機を回転子と2つの巻線固定子とで分割した斜視図であり、図20は同変形例に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す側面図であり、図21は同アキシャルギャップ型回転電機の斜視図である。
【0135】
このコイル巻回コア部134C,144Cは、回転軸18aと略直交する平面において、外側に凸形状を有している。より具体的には、コイル巻回コア部134C,144Cは、前記平面において、円弧状に凸である断面形状を有していることが好ましく、ここではバックヨーク磁心32,42の外周接線方向に長い楕円形状断面を有している。
【0136】
そして、コイル150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CWが各コイル巻回コア部134C,144Cの外周部に、その凸形状に沿って巻回されている。
【0137】
また、コイル間コア部138C,148Cのうち前記コイル巻回コア部134C,144Cの外側面に対向する面は、当該コイル巻回コア部134C,144Cの外側面形状に応じた凹み形状を有している。これにより、各コイル巻回コア部134C,144Cと、コイル間コア部138C,148Cとの間の隙間が、略等幅の溝状に形成されるようになっている。
【0138】
この変形例によると、各コイル巻回コア部134C,144Cの断面形状の外周部が外側に凸形状を有しているため、コイル150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CWを各コイル巻回コア部134C,144Cの外周部に密着状に巻回することができ、コイル占積率向上を図ることができる。
【0139】
また、各コイル巻回コア部134C,144Cと、コイル間コア部138C,148Cとの間の隙間が、略等幅の溝状に形成されているため、当該隙間にコイル150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CWを充填状に密に配設することができ、コイル占積率向上及びコア占積率向上を図ることができる。
【0140】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機について説明する。図22は同アキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図であり、図23は同回転電機を回転子と2つの巻線固定子とに分割した状態を示す斜視図であり、図24は同アキシャルギャップ型回転電機におけるコイルの配置態様及び結線態様を示す説明図である。なお、図24では、理解を容易にするため、各コイル巻回コア部を3分割する各位置及びコイル間コア部の各位置に、符号TS1〜TS24を付している。
【0141】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機110は、第2実施形態の図18〜図21に示す変形例に対して、各巻線固定子230,240のそれぞれに、3相のコイル250U,250V,250W又は3相のコイル252U,252V,252Wを複数組設けている点で異なっている。その他の構成は、上記した構成と同様構成であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0142】
つまり、本一方の巻線固定子230は、3相のコイル250U,250V,250Wを2組(つまり、N=2)有している。3相のコイル250U,250V,250Wは、その順で回転軸18a周りに間隔をあけて配設されている。また、これらの3相のコイル250U,250V,250Wが巻回されるコイル巻回コア部234及びその各間のコイル間コア部238もこれに合わせて、回転軸18a周りに短寸に形成されている。
【0143】
また、他方の巻線固定子240も、同様に、3相のコイル252U,252V,252Wを2組(つまり、N=2)有すると共に、これらが巻回されるコイル巻回コア部244及びその各間のコイル間コア部248を有している。
【0144】
また、これらの両巻線固定子230,240は、回転軸18aと略直交すると共に両巻線固定子230,240間の平面を基準に鏡面対象形状にし、さらに、回転軸18aを中心にして(180/N)゜、つまり、90゜回転させた対称性を有している。
【0145】
また、回転子220は、その両面に交互に(4×N)極、つまり、8極の磁極を呈するようになっている。
【0146】
本実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機210によると、各巻線固定子230,240では、180゜対象位置に同相のコイル250U,250V,250W,252U,252V,252Wが存在する。このため、回転子20の外周囲でバランスよく磁力を作用させることができ、回転子20の傾きを有効に抑制できる。これにより、振動や音の低減を図ることができる。
【0147】
ちなみに、N=3の場合には、120゜対象位置に同相のコイルが存在するので、同様に、回転子の外周囲でバランスよく磁力を作用させることができる。つまり、Nが2以上であれば、上記効果を期待できる。
【0148】
また、Nが2以上の整数である場合には、同一相で直列接続される250U,250V,250W,252U,252V,252Wが両巻線固定子230,240に設けられており、これらが両巻線固定子230,240間を繋ぐように接続されることで、各コイル間配線を短くできる。
【0149】
これを図24を参照して具体的に説明する。
【0150】
まず、比較例として、一方の巻線固定子230でU相の2つのコイル250Uを直列に接続し、他方の巻線固定子でU相の2つのコイル252Uを直列に接続し、これらを直列に接続使用とする場合を考える。この場合には、2つのコイル250U間でバックヨーク磁心32半周分の配線が必要で、2つのコイル252U間でバックヨーク磁心42半周分の配線が必要で、さらにこれらを接続する1/4周分の配線が必要となる。つまり、合計1と1/4周分の配線が必要となる。
【0151】
これに対して、上記接続態様では、図24に2点鎖線で示すように、コイル250Uからコイル252U間で1/4周分の配線260が必要で、これが3接続箇所分必要となる。つまり、合計3/4周分の配線が必要となる。なお、配線262は外部又は中性点への接続用の配線を示している。
【0152】
従って、Nが2以上の整数である場合には、同一相で直列接続される250U,250V,250W,252U,252V,252Wが両巻線固定子230,240に設けられており、これらが両巻線固定子230,240間を、周方向で交互に繋ぐように接続されることで、各コイル間配線を短くできる。
【0153】
{変形例}
なお、上記したアキシャルギャップ型回転電機は、モータとしても発電機としても使用することができる。
【0154】
また、上記各実施形態及び各変形例に係る構成は、相互に反しない限り、互いに適宜組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第1実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図である。
【図2】同アキシャルギャップ型回転電機を示す側面図である。
【図3】回転子の一部分解斜視図である。
【図4】回転子を示す斜視図である。
【図5】アキシャルギャップ型回転電機に3相交流電流が通電された状態及び結線態様を示す説明図である。
【図6】アキシャルギャップ型回転電機におけるコイルの巻線形態と発生磁束との関係を示す図である。
【図7】回転子の変形例を示す斜視図である。
【図8】回転子の他の変形例を示す斜視図である。
【図9】同上の他の変形例に係る回転子を示す分解斜視図である。
【図10】回転子のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図11】巻線固定子の変形例を示す分解斜視図である。
【図12】巻線固定子の他の変形例を示す分解斜視図である。
【図13】巻線固定子のさらに他の変形例を示す分解斜視図である。
【図14】第2実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図である。
【図15】同上の回転電機におけるコイル巻回コア部及びコイル間コア部を示す概略断面図である。
【図16】コイル巻回コア部の変形例を示す概略断面図である。
【図17】コイル巻回コア部に係る他の変形例を示す分解斜視図である。
【図18】コイル巻回コア部及びコイル間コア部に係るさらに他の変形例を示す分解斜視図である。
【図19】同上の変形例に関しアキシャルギャップ型回転電機を回転子と2つの巻線固定子とで分割した状態を示す斜視図である。
【図20】同上の変形例に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す側面図である。
【図21】同上の変形例に係るアキシャルギャップ型回転電機の斜視図である。
【図22】第3実施形態に係るアキシャルギャップ型回転電機を示す分解斜視図である。
【図23】同上のアキシャルギャップ型回転電機を回転子と2つの巻線固定子とに分割した状態を示す斜視図である。
【図24】同上のアキシャルギャップ型回転電機におけるコイルの配置態様及び結線態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0156】
10,110,210 アキシャルギャップ型回転電機
18a 回転軸
20,20B,20C,20D,220 回転子
22,22D 永久磁石
23D 介在磁心
26,26C 回転子磁心
26Ca,26Cb 幅広部
26Cc 連結部
30,40,30E,40E,30F,40F,230,240 巻線固定子
32,42 バックヨーク磁心
34,44,134,144,134B,144B,134C,144C,234,244 コイル巻回コア部
36a,36b,36c,46a,46b,46c 分割コイル巻回コア部
37a,37c,47a,47c,137a,137c,147a,147c 端部側つば部
37b,47b,137b,147b 中間つば部
38,48,138B,148B,138C,148C,238,248 コイル間コア部
39Fa,49Fa 連結部
50U,50V,50W,52U,52V,52W,150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CW,250U,250V,250W,252U,252V,252W コイル
60U,60V,60W 配線
260 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(18a)を中心として回転自在に配設され、前記回転軸周りに複数極を呈する回転子(20、20B、20C、20D、220)と、
前記回転軸方向における前記回転子の両面側にギャップを隔てて配設された一対の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)と、
を備え、
前記一対の巻線固定子に、複数のコイル(50U,50V,50W,52U,52V,52W、150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CW、250U,250V,250W,252U,252V,252W)が回転軸方向に沿った偶数層に亘って分布巻されると共に、
前記各コイルが前記回転軸方向に沿って2群の層に分離されて、前記各巻線固定子に設けられ、かつ、2群にわたって周方向に同一の位置に、同一の相のコイルが巻回されない、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項2】
回転軸(18a)を中心として回転自在に配設され、前記回転軸周りに(4×N)極(Nは正の整数)の磁極を呈する回転子(20、20B、20C、20D、220)と、
前記回転軸方向における前記回転子の両面側にギャップを隔てて配設され、略円盤状のバックヨーク磁心(32,42)と、前記バックヨーク磁心の前記回転子側に前記回転軸周りに沿って配設された複数の巻線固定子コア部と、N組の3相のコイル(50U,50V,50W,52U,52V,52W、150CU,150CV,150CW,152CU,152CV,152CW、250U,250V,250W,252U,252V,252W)とをそれぞれ有する一対の巻線固定子と、
を備え、
前記各巻線固定子は、前記複数の巻線固定子コア部として、前記N組の3相のコイルがそれぞれ巻回される(3×N)個のコイル巻回コア部(34,44、134,144、134B,144B、134C,144C、234,244)と、前記各コイル巻回コア部間に設けられた(3×N)個のコイル間コア部(38,48、138B,148B、138C,148C、238,248)とを含み、
一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向両端部(36a,36c,46a,46c)が、他方の前記巻線固定子に設けられた2つのコイル巻回コア部であって他の2つの相の前記コイルが巻回されたものの周方向端部(36a,36c,46a,46c)と対向すると共に、
一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相の前記コイルが巻回されたものの周方向略中間部(36b,46b)が、他方の前記巻線固定子に設けられた前記コイル間コア部であって、他の2つの相の前記コイルが巻回されたコイル巻回コア部間に存在するもの(38,48、138B,148B、138C,148C、238,248)と対向する、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項3】
請求項2記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転子は、永久磁石(22、22D)によって呈される複数の磁極を有しており、各磁極は実質的に磁気的に独立している、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転子は、前記両巻線固定子に対して磁極を呈する永久磁石(22、22D)を有する、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記永久磁石(22)は、前記回転軸方向に沿う磁化容易軸を持つ異方性を有する、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
一方の前記巻線固定子に設けられたコイル巻回コア部であって所定相のコイルが巻回されたもの先端部に、
他方の前記巻線固定子に設けられた2つのコイル巻回コア部であって他の2つの相の前記コイルが巻回されたものの周方向端部と対向する端部側つば部(37a,37c、47a,47c、137a,137c、147a,147c)と、
他方の前記巻線固定子に設けられた前記コイル間コア部であって、他の2つの相の前記コイルが巻回されたコイル巻回コア部間に存在するものと対向する中間つば部(37b,47b、137b,147b)と、
が設けられており、
前記端部側つば部と前記中間つば部とは磁気的に独立している、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項7】
請求項6記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
1つの前記コイル巻回コア部の先端部に設けられる各つば部が、連結部(39Fa,49Fa)によって連結されて一体化されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項8】
請求項2〜請求項7のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部(134B,144B)の断面積は、前記コイル間コア部(138B,148B)の断面積の略3倍である、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項9】
請求項2〜請求項8のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転軸と略直交する平面において、前記コイル巻回コア部(134C,144C)の断面形状の外周部は、外側に凸形状を有している、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項10】
請求項2〜請求項9のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記コイル巻回コア部(134C,144C)とその隣の前記コイル間コア部(138C,148C)との間の隙間が、略等幅の溝状に形成された、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項11】
請求項2〜請求項10のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記コイル間コア部(138B,148B)は、前記各コイル巻回コア部(134B,144B)よりも外周側であって前記各コイル巻回コア部間でかつ前記各コイルの配設部分を除いた隙間に設けられている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項12】
請求項2〜請求項11のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記Nは2以上の整数である、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項13】
請求項2〜請求項12のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記一方の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)は、少なくとも前記コイル巻回コア部及びコイル間コア部の位置及び形状と前記各コイルの相順及び巻数とに関して、他方の前記巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)を、前記回転軸と略直交する前記両巻線固定子間の平面を基準に鏡面対象形状にし、さらに、前記回転軸を中心にして(180/N)゜回転させた対称性を有する、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項14】
請求項2〜請求項13のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記一対の巻線固定子(30,40、30E,40E、30F,40F、230,240)と前記回転子(20、20B、20C、20D、220)と間の各ギャップ長は、略同一である、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項15】
請求項2〜請求項14のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記Nは2以上の整数であり、
同一相で直列接続される複数の前記コイルが、前記両巻線固定子に設けられており、これらの複数のコイルが前記一対の巻線固定子間を繋ぐように接続(260)されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項16】
請求項2〜請求項15のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記一対の巻線固定子の各コイルは、その周方向一端部からコイル巻線の一端部が引出されると共に、その周方向他端部からコイル巻線の他端部が引出されたものであり、
前記一対の巻線固定子間において直列接続されるコイル同士が、前記回転軸に略直交する平面に投影した距離を基準にして近い端部同士を経由して接続(60U,60V,60W、260)されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項17】
請求項2〜請求項14のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記各巻線固定のそれぞれにおいて、前記各コイルがスター結線(70)されている、アキシャルギャップ型回転電機。
【請求項18】
請求項2〜請求項17のいずれかに記載のアキシャルギャップ型回転電機であって、
前記回転子は、前記回転軸周りに間隔を有して配設された永久磁石を複数有しており、
前記各永久磁石間に、その各永久磁石とは磁気的に独立する、介在磁心(23D)が介在する、アキシャルギャップ型回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−211892(P2008−211892A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45346(P2007−45346)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】