説明

アクセルペダル装置

【課題】電子アクセルペダル装置の樹脂部品が帯電して障害を起こすことを低減する。
【解決手段】近年、電子アクセルペダル装置において樹脂部品の採用が増加している。しかし、樹脂は絶縁性が高いために、摩擦・接触することで容易に帯電し電荷を蓄積する。そのため、アクセルペダル装置内部での摩擦部材の摩擦で発生する電荷、運転者の靴とアクセルペダルとの摩擦で発生する電荷、乗り物内で発生した電荷等が、樹脂部品に流れ込み蓄積する。そのようにして蓄積した電荷は、位置センサに過電圧として侵入し、乗り物の急加速を引き起こす等の障害を起こす虞があるために、電荷を漏洩させる機能を有する帯電防止樹脂を備えることで、障害が起きることを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルの踏み込み操作をセンサによって検出し、原動力を電子制御するシステムを採用した乗り物に適用される電子アクセルペダル装置に関する。電子アクセルベダルを通じて電子制御されるものであれば、乗り物と原動力の形態や種類を問わず適用される。乗り物としては、車両、電車、船舶、航空機、ロケット等既に存在するもの以外に、今後新規開発されるものにも適用される。原動力を生み出す動力源として、内燃機関や電気モーター、ジェットエンジンやロケットエンジン等既に存在するもの以外に、今後新規開発されるものにも適用される。
【背景技術】
【0002】
乗り物を電子制御する試みは、航空機の分野でフライバイワイヤシステムが導入されたのが始まりである。パイロットの操作は、電気的な回路を通じて飛行制御コンピュータを通り油圧アクチュエータに伝えられる。アクチュエータに繋がれていたリンクが廃止され軽量化が進んだ他、危険飛行を防止する制御をコンピュータに織り込むことが可能となる等の利点があった。コンピュータの進歩に伴い、複雑で精密な制御が可能となったことから、航空機以外の乗り物にも電子制御は普及してきた。それに伴い、原動力を制御する手段として電子アクセルペダル装置の導入が進んでいる。
【0003】
車両に関しても、内燃機関や電気モーターといった動力源の種類を問わず、電子制御と電子アクセルペダルの導入が進んでいる。電子制御スロットルシステムは、従来の機械制御式スロットルシステムに比べて、コンピュータを通じて精密で正確な内燃機関の制御が可能となるためである。同様に電気モーターのトルクを精密に制御する手段として、電子アクセルペダルの導入が進んでいる。二酸化炭素排出を低減する効果の高い、電気モーターを搭載したハイブリッド車や電気自動車の普及は進む傾向にあり、電子制御に不可欠な電子アクセルペダルの搭載率は今後も高まると予想される。
【0004】
電子アクセルペダル装置は、運転者の踏込み力を加えて揺動するペダルアーム、ペダルアームの踏込み量を検出する位置センサとそれに付属する電気部品、ペダルアームの踏込みに対して復帰力を付加するスプリング、ペダルアームの揺動に伴って摺動抵抗を付加する摩擦部材、ベダルアームが揺動する軸となるペダル軸、ペダルアームの端部にあって運転者の足と接するペダル板、及びそれらの支持部材等で構成されている。
【0005】
従来の機械式アクセルペダル装置においては、リンク機構を有するために金属部品が採用されていた。しかし、電子アクセルペダル装置においては、リンク機構は廃止され、高重量化や防錆処理の必要性及び防錆効果を有する素材の高価格等の問題から、近年は樹脂部品の採用が進んでいる。金属部品よりも、成形の自由度が高い、組付けが容易である、部品コストを削減出来る等の利点もある。摩擦部材以外に、ペダルアームやペダル軸、ペダル板や支持部材等まで樹脂を用いて、一体化されたモジュールとして供給されるケースが増えている。樹脂素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が採用され、金属部品に劣らない強度や耐久性を持つように設計・加工されている。
【0006】
しかしながら、樹脂は絶縁性が高いために、摩擦・接触等により容易に帯電し電荷を蓄積するという欠点を有する。摩擦部材が樹脂である場合には、揺動に伴って押し付けられ摩擦することで強く帯電し、アクセルペダル内部に電荷を蓄積する。位置センサに回路を通じて電力が供給されると、位置センサや回路に接する樹脂部品に電荷が漏洩し蓄積することがある。また、アクセルペダル周辺は静電気が発生し易く、それらが流れ込み易い環境にアクセルベダルは置かれる。運転中の乗り物の振動によって、運転者とそれに接触する座席やシートベルト等に電荷が発生し、運転者が帯電して電荷が足下の靴を通じてペダル板・ペダルアームに流れ込む。運転者の靴とペダル板との摩擦・接触によっても電荷が発生し流れ込む。運転中の内燃機関や制御用コンピュータ等の電子機器から生じる静電気も、電荷として流れ込む。電気自動車やハイブリッド車に搭載される高出力電気モーターからも静電気は発生し、運転者やボディーを通して電荷が流れ込む。そのような事情により、表面固有電気抵抗値が高い通常の樹脂部品を備える場合には、常にアクセルペダル装置に電荷が蓄積することは避けられない。
【0007】
樹脂部品に電荷が蓄積すると、以下のようなアクセルペダル装置の障害を起こすことで、安全運転に関わる重大な不具合を引き起こす虞がある。1)位置センサや電気回路に過電圧として侵入し、位置センサを破壊し運転不能とする。2)位置センサや電気回路に過電圧として侵入し、運転者の意図しない電気信号をコンピュータに送ることで、意図と反した乗り物の急加速を引き起こす。3)ペダルアームが揺動せず戻り不良を引き起こし、運転者の意図と反してアクセルベダルが踏み込まれた状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−155373号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】赤松清監修 帯電防止材料の技術と応用 シーエムシー出版 2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、樹脂部品を備えた電子アクセルペダル装置において、樹脂に電荷が蓄積することで障害が起きることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
電子アクセルペダル装置の静電気対策としては、特許文献1が先行する。運転者に帯電した電荷が足下を通じて樹脂製のペダルアームに流れ込む場合に、位置センサを破壊することを防止するために、ペダルアームとボディー間にアース経路を設けて電荷を漏洩させる技術が、当該公報で提案されている。
【0012】
しかし、樹脂のような絶縁性の高い物質では、金属のような導電性物質と違ってアース経路を設けても電荷は漏洩せず蓄積した状態が続くので、この対策では充分な効果が望めない。そのため、樹脂に電荷が蓄積することを効果的に防止するためには、電荷を漏洩させる機能を有する帯電防止樹脂を備える必要がある。樹脂部品すべてに帯電防止樹脂を備えることが望ましいが、位置センサを正常に作動させるために、電気回路の絶縁性を確保するための樹脂部品は、除外しなければならない。
【発明の効果】
【0013】
アクセルペダル装置を構成する樹脂部品に帯電防止樹脂を備えることで、電荷は速やかに漏洩し易くなる。摩擦部材が摩擦しても電荷を蓄積し難くなり、運転者に帯電した電荷、あるいは乗り物の電子機器や動力源から発生する電荷が流れ込んできた場合でも、電荷は速やかに漏洩し内部に蓄積し難くなる。そのため、乗り物を運転する際に、以下のような電子アクセルペダル装置に固有の障害が起きる虞が低減され、運転中の安全性向上に役立つ。1)位置センサや電気回路に過電圧として侵入し、位置センサを破壊し運転不能とする。2)位置センサや電気回路に過電圧として侵入し、運転者の意図しない電気信号をコンピュータに送り、意図と反した乗り物の急加速を引き起こす。3)ペダルアームが揺動せず戻り不良を引き起こし、運転者の意図と反してアクセルベダルが踏み込まれた状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、電子アクセルペダル装置の実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。図1は、本発明の実施形態であって、位置センサ8とそれに付属する電気部品、スプリング7、及び締結用ネジに金属部品を備えている以外は、構成部材すべてに樹脂を備えたアクセルペダルモジュールである。以下に実施形態の内容を説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではなく、他の異なる態様の樹脂部品を備える電子アクセルペダル装置の実施例に応用される。
【0016】
ペダルアーム1は、運転者の足の踏込みに応じてペダル軸2周りに揺動し、端部にはペダル板3が接着されている。スプリング7は、ペダル板3と逆の端部に付けられ、ペダルアーム1の踏込みに対して復帰力を付加する。摩擦板6はペダル軸2を覆って溶着され、支持部材であるハウジング4側の固定板5と摩擦し摺動抵抗を発生する。固定板5は、ペタル軸2を支える軸受部材でもある。位置センサ8は、ペダル軸2内に装着された磁石の位置をセンシングし、電気的な回路10を通じて、電気信号をコネクタ9に出力している。コネクタ9は、外部の制御用コンピュータと電気的な回路により接続されており、電気的な回路10を通じて位置センサ8に電力を供給し、位置センサ8からの電気信号を送信している。なお、図を簡略化するために締結用ネジは省略してある。
【0017】
電子アクセルペダル装置に特有の機構として、摺動抵抗付加機構がある。運転者の踏込み力が多少変動してもアクセル操作量を所望の値に保持するために設けられている。アクセル踏込み量をセンサによって検知し、これに基づいてスロットル開度等を制御する電子制御システムでは、スロットルバルブ等を動かすアクチュエータとアクセルベダルとを機械的に繋ぐリンクが廃止されたリンクレスシステムが用いられている。この場合には、アクセルペダルとアクチュエータは電気的な回路でしか繋がっておらず、アクセルペダルにはアクチュエータを操作する際の負荷が、従来のようにリンクを通じて伝わることがない。負荷を代替するための摺動抵抗を付加することで、所望のペダル位置を保持するために運転者に求められる踏込み力が低減され、アクセル操作を安定させている。
【0018】
摺動抵抗付加機構として、ペダルアームの軸周りの揺動に連動する樹脂製摩擦部材を備えた機構が広く用いられている。摩擦部材として、例えばナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の耐摩耗性を有する樹脂素材が採用されている。多くの異なる態様の実施例が存在するが、本発明の実施形態では、運転者がアクセルペダルを踏込み操作すると、ペダルアーム1の揺動に伴い、ハウジング4側に設けられた固定板5と、ペダルアーム1側に設けられた摩擦板6とが互いに押し付けられ摩擦し、摺動抵抗が発生する。
【0019】
摩擦部材は、摩擦の度合いが高い分、発生・蓄積する電荷も多い。樹脂製摩擦部材に電荷が大量に蓄積すると、摩擦部材(本発明の実施形態においては摩擦板6と固定板5)が、電荷によって生じたクーロン力によって引き合い、スプリングの復帰力に抗して固着し、ペダルアームが揺動しなくなることがある。その場合、運転者の意図と反してアクセルペダルが踏み込まれた状態になることがあり、安全走行上危険である。また、位置センサに電荷が流れ込み障害を起こすこともある。
【0020】
本発明の実施形態においては、備えている基本樹脂素材を以下の5種類に分類する。1)摩擦板6を構成するナイロン。2)ペダル板3を構成するスチレンブタジエンゴム。3)摩擦板6とペダル板3以外の部材、ハウジング4・ペダル軸2・ペダルアーム1・固定板5等を構成するポリプロピレン。4)ペダルアーム1とペダル板3等を接着するポリウレタン系接着剤。5)位置センサ8や電気的な回路10、コネクタ9等の電気部品を被覆して絶縁するためのシリコン。シリコンを除く上記の基本樹脂素材に帯電防止機能を付加することで、電荷の蓄積を低減させる効果を持たせた。
【0021】
非特許文献1によると、静電気による障害を防止するために、産業界では様々な帯電防止樹脂が開発され市場に投入されてきた。カーボンブラックや金属粉末等の導電性物質が添加され、導電パスが形成された帯電防止樹脂は、蓄積した電荷が引き起こす放電等による障害を防止するため、半導体産業、電子工業等で広く利用されるに至っている。帯電防止樹脂では、表面固有電気抵抗値が下がる結果として、摩擦・接触等で静電気が発生しても速やかに漏洩するため、内部に電荷を蓄積し難くなる。そのため、帯電防止樹脂を既成の樹脂に置き換えてアクセルペダル装置に採用することで、静電気を原因とする様々な障害が起きることを低減させることが可能となる。
【0022】
非特許文献1では、帯電防止樹脂の目的が、表面固有電気抵抗値毎に記されている。通常の樹脂の表面固有電気抵抗値は、10の13乗Ω以上であり、静電荷が蓄積するため絶縁目的に利用される。10の12乗Ωから10の13乗Ω間の樹脂は、帯電するが静的状態での障害防止に利用される。10の10乗Ωから10の12乗Ω間の樹脂は、帯電するがすぐ減衰し、動的状態での障害防止目的に利用される。10の8乗Ωから10の9乗Ω間の樹脂は、帯電せず蓄電防止目的に利用される。10の7乗Ωから10の8乗Ω間の樹脂は、帯電せず導電性付与目的に利用される。本発明においては、この記載に倣って、表面固有電気抵抗値が10の12乗Ω以下であり、かつ帯電防止を目的として機能する樹脂を帯電防止樹脂と定義する。
【0023】
樹脂の表面固有電気抵抗値を下げる方法として、金属被覆をメッキ等で表面に付着させる、界面活性剤を表面に付着させる等の方法があるが、表面上の電荷が漏洩するだけで、樹脂内部の電荷は漏洩せずに蓄積するため効果は不充分である。そのため、電荷の蓄積を効果的に低減するには、導電性物質を樹脂に混入し練り込み、内部に有効な導電パスを形成させる必要がある。効果の持続性の面でも有利である。樹脂に混入する導電性物質としては、例えば、炭素繊維、導電性カーボンブラック、カーボンフィブリル、カーボンナノチューブ、金属繊維、金属粉末、金属フレーク、金属酸化物粉末、金属被覆繊維等が挙げられる。導電性物質を混入する際には、従来からのアクセルペダル装置の構造要件である、強度や耐久性を低下させることがないよう留意が必要である。
【0024】
帯電防止樹脂は、本来すべての樹脂部品に備えるべきである。導電パスがアクセルペダル装置の金属部分と樹脂部分にまたがって広範囲に形成され、電荷を漏洩する効果が高くなるからである。一部分だけに備えても、他が絶縁性樹脂であれは、そこに電荷が流れ込み蓄積し、位置センサに流れ込む虞がある。絶縁性樹脂が位置センサから離れていても、隣接する部材を通じて、電荷が位置センサに流れ込む虞はある。そのため、一部分だけに帯電防止樹脂を備えても、充分な効果は望めない。本発明においても、電気的な回路10の絶縁性樹脂部品に電荷が流れ込み蓄積する虞はあり、電荷の蓄積による障害を完全に防止することは不可能である。しかしながら、絶縁性部品を除いて帯電防止樹脂を備えることで、アクセルペダル装置全体に導電パスを広範囲に形成し、発生した電荷を速やかに漏洩させることで、障害を起き難くすることは可能である。
【0025】
以上の事情を鑑みて、実施例1と2に示す帯電防止機能を付加した電子アクセルペダル装置を開発するに至った。以下にそれぞれの内容を説明する。
【実施例1】
【0026】
実施例1の樹脂素材に帯電防止機能を付与するために、導電性物質としてカーボンブラックを練り込むこととした。カーボンブラックを混入すると、黒色に限定されるという不都合があるが、既に帯電防止を目的として、自動車用樹脂燃料タンクにおいて多くの採用実績がある。カーボンブラックは、樹脂への混練り性・分散性が良く、経済的であり、ゴムに対する補強効果、樹脂素材の機械的強度の向上・紫外線劣化防止等の効果もある。
【0027】
タイヤを始めとして、カーボンブラックをゴムに配合することは一般的に行われており、アクセルペダル装置のペダル板に備えている先例もある。その場合には、強度や耐摩耗性を向上させることを目的としており、帯電防止は目的とされていない。そのため、偶然の結果として、ペダル板に備えた当該ゴムの表面固有電気抵抗値が10の12乗Ω以下だったとしても、本発明においては当該ゴムを帯電防止樹脂には含めない。帯電防止樹脂として、内部に有効な導電パスが形成された樹脂を採用すべきである。
【0028】
アクセルペダル装置全体に有効な導電パスを形成するために、表面固有電気抵抗値の設定に際しては、摩擦板6・ペダル板3・固定板5等、摩擦の度合いが高く、電荷を多く発生・蓄積する部品を構成する基本樹脂素材を特に低い値とした。他の基本樹脂素材に関しても、帯電防止機能が有効となるように設定した。1)ナイロンは、表面固有電気抵抗値を10の4乗Ωとし、導電性付与レベルとした。2)スチレンブタジエンゴムは、表面固有電気抵抗値を10の8乗Ωとし、蓄電防止レベルとした。3)ポリプロピレンは、表面固有電気抵抗値を10の8乗Ωとし、蓄電防止レベルとした。4)ポリウレタン系接着剤は、表面固有電気抵抗値を10の10乗Ωとし、動的状態での障害防止レベルとした。5)電気回路絶縁部分のシリコンには、カーボンブラックは混入していない。
【0029】
ナイロンについては、水分を吸収する性質があり、吸水率の増加に伴い表面固有電気抵抗値は下がる傾向にある。そのため、帯電防止処理を施していないナイロンでは、乾燥して低湿度の地域ほど表面固有電気抵抗値は高くなり、電荷を蓄積し易くなる等、湿度の高低により地域差が生まれる。例えば、日本のような高湿度国の方が、米国・中国・ロシアのような低湿度国よりも、平均すると表面固有電気抵抗値は低くなる。導電性物質としてカーボンブラックをナイロンに混入することで、そのような外的環境要因に左右されず、安定して電荷を漏洩させることが可能になった。
【実施例2】
【0030】
カーボンブラックを混入すると外観が黒色に限定されるので、デザイン面から好ましくないケースが生じることがある。そのため実施例2では、基本樹脂素材であるポリプロピレンに、導電性物質として、カーボンブラックに換えて酸化亜鉛を混入した。酸化亜鉛は、経済性に優れ、白色に近くポリプロピレンの着色を損なわず、混入することで強度や耐摩耗性を向上させる効果もあった。樹脂素材の各表面固有電気抵抗値は、実施例1と同じ値に設定した。
【0031】
実施例1と2においては、帯電防止樹脂を備えることで、導電パスを広範囲に形成した電子アクセルペダル装置が実現された。そのため、摩擦部材の摩擦による帯電、運転者の靴とアクセルペダルとの摩擦等による帯電、また乗り物内で発生した静電気による帯電等があっても、電荷は速やかに漏洩して蓄積し難くなり、電荷の蓄積による様々な障害がアクセルペダル装置に起きることが低減された。
【産業上の利用可能性】
【0032】
樹脂部品を備えた電子アクセルペダル装置において、電荷が蓄積して乗り物の安全運転に関わる障害を起こすことが低減される。本発明は、原動力を制御するのに電子アクセルペダルを利用するすべての乗り物に応用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 ペダルアーム
2 ペダル軸
3 ペダル板
4 ハウジング
5 固定板
6 摩擦板
7 スプリング
8 位置センサ
9 電気回路
10 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの踏み込み操作をセンサによって検出して電気信号に変換し、この電気信号に基いて、乗り物の原動力を制御する電子制御システムに適用される電子アクセルペダルにおいて、帯電防止樹脂を備える、ことを特徴とするアクセルペダル装置。
【請求項2】
アクセルペダルの踏み込み操作をセンサによって検出して電気信号に変換し、この電気信号に基いて、車両の原動力を制御する電子制御システムに適用される電子アクセルペダルにおいて、帯電防止樹脂を備える、ことを特徴とするアクセルペダル装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−235858(P2011−235858A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111307(P2010−111307)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(710004019)
【Fターム(参考)】