説明

アクチュエータにおける原点出し方法およびアクチュエータにおける原点出しストッパ装置

【課題】 作動領域端で、高速での原点復帰が可能となり、装置の原点出し時間の短縮を図ることができるアクチュエータにおける原点出し方法およびアクチュエータにおける原点出しストッパ装置を提供する。
【解決手段】 ハウジング内に設けられた駆動機構によって一定の作動領域内で往復動操作されるスライダを、ストローク端で停止させるアクチュエータにおける原点出し方法において、上記ストローク端に、緩衝材25,26と剛体部8,9からなるストッパ装置を配設し、上記スライダ5を通常の駆動速度で上記ストローク端まで移動させてストッパ装置の緩衝材25,26に当接させて減速させ、さらにスライダ5を作動して、上記通常速度より極低速状態で上記ストッパ装置に押し当てて、緩衝材25,26の弾性に抗して緩衝材25,26を押し込み、該ストッパ装置の剛体部8,9によってスライダ5を停止させて原点出しをすることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動領域端で、高速での原点復帰が可能となり、装置の原点出し時間の短縮を図ることができるアクチュエータにおける原点出し方法およびアクチュエータにおける原点出しストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用ロボットとして利用される単軸ロボットアクチュエータは、駆動源にサーボモータ等を用いるとともに、この駆動源に連結されたボールネジが作動領域に設けられている。このボールネジにはボールナットが回転を規制された状態で、螺合しており、このボールナットにスライダが取付けられている。スライダには、作動領域内で作動させる各種の機器が搭載される。
【0003】
この種の単軸ロボットアクチュエータでは、サーボモータを適宜の方向に回転させることによって、ボールネジを同方向に回転させ、ボールネジの回転に伴って移動するボールナットを介してスライダを適宜の方向に移動させることができる(特許文献1参照)。
スライダが往復動のストローク端の位置まで移動した後には逆方向のストローク端の位置に向けてスライダを駆動する。
【特許文献1】実開昭63−120752号公報
【特許文献2】特開2003−309990号公報
【特許文献3】特開平7−151205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スライダの移動をこのように制御する場合は、エンコーダなどによってモータの回転数を検出して、回転数からスライダの位置を検出するか、ストローク端にセンサを設けて往復動ストローク位置を検出する必要がある。
このようなストローク端の位置を検出してこの位置を動作基準点とし、スライダを制御するもので、この動作基準点を決定することを原点出しという。この原点出しには、通常位置検出センサを用いて制御部に原点位置を認識させている。
しかしながら、位置検出センサを用いた場合、配線、設置スペースおよび制御対象が増えるという問題がある。
そこで、位置検出センサを用いない方法として、モータのフィードバック制御を用いた原点出し方法がある。この種のアクチュエータにおける原点出し方法としては、モータのフィードバック制御を用いて、作動領域端のストッパにスライダを押し付けて原点を認識させる方法が考えられる(特許文献2参照)。
しかしながら、このようなストッパが可動部と可動端の間に緩衝用としてゴム材等の弾性体を用いた場合(特許文献3参照)、弾性体の経年劣化により原点位置の基準の再現性が取れない場合がある。また、ストッパ材を金属の剛体にした場合、緩衝効果がなく、原点復帰時は、アクチュエータの破損を避けるため、低速でストッパへ押し当てることとなる。結果、可動域の範囲が広い場合、原点復帰完了までには時間が必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、作動領域端で、高速での原点復帰が可能となり、装置の原点出し時間の短縮を図ることができるアクチュエータにおける原点出し方法およびアクチュエータにおける原点出しストッパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、ハウジング内に設けられた駆動機構によって一定の作動領域内で往復動操作されるスライダを、ストローク端で停止させるアクチュエータにおける原点出し方法において、上記ストローク端に、緩衝材と剛体部からなるストッパ装置を配設し、上記スライダを通常の駆動速度で上記ストローク端まで移動させてストッパ装置の緩衝材に当接させて減速させ、さらにスライダを作動して、上記通常速度より極低速状態で上記ストッパ装置に押し当てて、緩衝材の弾性に抗して緩衝材を押し込み、該ストッパ装置の剛体部によってスライダを停止させて原点出しをすることにある。
また、本発明は、上記緩衝材として弾性体を用いるとともに、該弾性体を上記剛体部に形成した座繰り穴に収容し、該弾性体を上記剛体部よりも突出させて配置し、上記スライダに当接した該弾性体が上記座繰り穴内で弾性変形してから、上記剛体部によって上記スライダを停止させ、上記スライダと上記剛体部が接触した状態で、原点出しをすることにある。
さらに、本発明は、ハウジング内に内蔵された駆動機構によって一定の作動領域内で往復動操作されるスライダを、ハウジングのストローク端で停止させるアクチュエータにおける原点出しストッパ装置において、上記ハウジング両側のストローク端に、スライダを停止させる剛体部を設け、該剛体部の上記スライダに対向する面に凹部を形成し、該凹部内に上記剛体部の端面よりも突出させて弾性体を配設し、上記スライダを上記弾性体によって減速させてから、上記剛体部によって原点位置で停止させるようにしたことにある。
またさらに、本発明は、上記剛体部に座繰り穴を形成し、該座繰り穴に上記弾性体を収容したことにある。
また、本発明は、上記弾性体にゴム材あるいは低反発ゴム材を用いたことにある。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、位置検出センサを用いず、モータに複雑な制御対象を増やすことなく、繰り返しの原点出しに再現性を持たせることができる。
請求項2によれば、スライダに当接した該弾性体が上記座繰り穴内で弾性変形して座繰り穴内に収まるので、剛体部によって上記スライダを一定位置で停止させることができることから、常に一定位置での原点出しを行なうことができる。
請求項3によれば、弾性体によってスライダの速度を減速させてから剛体によってスライダを停止させるので、高速での原点復帰が可能である。
請求項4によれば、座繰り穴に上記弾性体を収容できるので、弾性体が経年劣化によって変形しても、剛体部で常時原点復帰の基準が決定されることから、安定した位置決め基準を保つことができる。
請求項5によれば、スライダの速度を効果的に減速することができるので、高速での原点出しを行なうことができることから原点出し時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図示の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図6は単軸ロボットアクチュエータを示し、図9はシートを組み付けた摺動部材を示す図である。図10は可動スライダを示す図である。
【0009】
図1ないし図6は、単軸ロボットアクチュエータを示したもので、アクチュエータ1の機構部1Aと駆動部1Bとで構成されている。
【0010】
上記機構部1Aは、ハウジング2A内にボールネジ軸3とボールネジナット4を内蔵し、ボールネジナット4と共に移動する可動スライダ5がハウジング2A上面に設けられている。ハウジング2Aは、底面を構成する長尺のリニアガイドレール6と、このリニアガイドレール6の両側に設けられた一対のサイドカバー7と、これらリニアガイドレール6および一対のサイドカバー7の前後方向の両側に装着される剛体部としてのフランジ8およびブラケット9と、これらフランジ8およびブラケット9相互間に上記一対のサイドカバー7上面相互の間隙を塞ぐようにハウジング2Aの開口溝2aに沿って配設された帯状のステンレスシート10とで構成されている。
【0011】
上記ボールネジ軸3は一端を回転軸受け11を介して上記フランジ8に支持され、他端を回転軸受け12を介してブラケット9に支持されている。このボールネジ軸3の他端の先は、カップリング13を介して駆動部1Bに設けられたサーボモータ14の回転軸14aに連結している。
【0012】
可動スライダ5は、ハウジング2Aの上面に長手方向、すなわち上記開口溝2aに沿ってスライドするもので、この可動スライダ5は、図9に示すように、上記一対のサイドカバー7とステンレスシート10の上部側に、後述する摺動部材16を覆うように配置された箱形のテーブルカバー15と、上記ステンレスシート10に摺動可能に装着された摺動部材16と、この摺動部材16を保持するとともに、上記テーブルカバー15の上面を通して被操作体を支持するスライダ本体17とを備えている。このスライダ本体17は、上記リニアガイドレール6に沿って摺動可能に配設されたリニアガイドブロック18と一体的に設けられており、上記ボールネジナット4の移動とともに上記ボールネジ軸3に沿ってハウジング2A内を往復動作されるものである。
【0013】
このスライダ本体17は、図10(a)(b)(c)および図11(a)(b)に示すように、略四角形の上面の四隅に支柱17aが立設され、かつ上面の前後方向を斜面に形成された台形の凸面部17bが設けられている。この凸面部17bの両側を挟むように上記前後一対の支柱17aが設けられており、前部の支柱17a相互間および後部の支柱17a相互間を連結部材17cでそれぞれ連結している。上記支柱17aの上面には、被操作体を支持するネジ孔等の螺子孔となる取付部17dが設けられている。上記ステンレスシート10はスライダ本体17の凸面部17bと連結部材17cとの間隙17fを通して組み付けられている(図9参照)。上記スライダ本体17の凸面部17bの上面には、上記摺動部材16の後述する樹脂シャフト21にそれぞれ対応する断面円弧状の2つの凹条17eが幅方向に沿って形成されている。上記スライダ本体17には、テーブルカバー15を組み付けるためのネジ孔17gが連結部材17cの上面中央部に形成され、上記支柱17aの外側面には、上面に取付孔17hを形成した突起部17iが外方に向けて突設されている。
【0014】
上記摺動部材16は、図9に示すように、互いに所定間隔を置いて対向する長尺の樹脂プレートから構成された一対のローラーホルダ19と、これら一対のローラーホルダ19の前端部相互間および後端部相互間を互いに連結したステンレス製のシャフト201,202と、一対のローラーホルダ19の中間部相互間を互いに連結した樹脂製のシャフト21とで、構成されている。ローラーホルダ19は、合成樹脂材料により成形された長尺のプレート薄板状に構成されており、上記スライダ本体17の支柱17aに対応する上記プレートの外側側面に、前後方向に一定長さの凹部19aが内側に向けて2箇所形成され、かつ下面側にも前後方向に一定長さの切り欠き部19bが2箇所形成されている。
【0015】
上記シャフト201,202は、図9に示すように、ステンレス製のもので、一対のローラーホルダ19の凹部19aよりも前側および後側の内側面に形成された凹状の軸受けハウジング19cに軸受け22を介して支持されており、このシャフト201,202の途中には、それぞれゴム等の弾性体で成形されたOリング等の弾性ローラ23が複数個(図示例では2個)互いに所定間隔を置いて装着されている。ローラーホルダ19の軸受けハウジング19cは、樹脂成形されるローラーホルダ19の成形時に一体に成形されている。
【0016】
一方、上記樹脂シャフト21は、図9に示すように、ローラーホルダ19の中間部相互間を連結したもので、ローラーホルダ19に設けられた2箇所の凹部19aの間で、上記シャフト201,202の位置よりも、スライダ本体17の凸面部17bの高さを考慮して、わずかに上方に配置されている。上記樹脂シャフト21は、実施例では、ローラーホルダ19の長手方向にずらせて2本設けられているが、必要に応じて1本あるいは3本以上設けることもできる。この樹脂シャフト21は、軸方向に沿って径の大きい大径部21aと、径の小さい小径部21bが一定間隔で交互に設けられている。上記樹脂シャフト21は、両端を上記ローラーホルダ19の側面に固定してもよく、あるいは回動可能に組みつけてもよい。また、大径部21aと小径部21bは、軸方向に凹凸が設けられていれば良く、グリス等の潤滑油が外部に流出しない程度の径の差を設けて形成されている。
【0017】
上記摺動部材16は、図9に示すように、一対のローラーホルダ19と、シャフト201,202と、樹脂シャフト21とで囲まれる開口部24に、上記スライダ本体17の支柱17aおよび連結部材17cを合わせてスライダ本体17に組付けられている。上記摺動部材16は、一対のローラーホルダ19の切り欠き部19bを上記スライダ本体17の突起部17iに係合させて上記スライダ本体17に組み付けられており、一対のローラーホルダ19が上記スライダ本体17の支柱17aの外側面にガイドされて位置決めされている。上記摺動部材16の樹脂シャフト21は、上記スライダ本体17の凸面部17bの2つの凹条17eに対応するように配置されている。
【0018】
上記ステンレスシート10は、上記摺動部材16の片側のシャフト201(202)の下方開口を通してスライダ本体17の凸面部17bと連結部材17cとの間隙17fの一方から、樹脂シャフト21の上面を通して反対側の間隙17fを通して、他方側の上記摺動部材16のシャフト202(201)の下面側を通して組み付けられている。上記摺動部材16のシャフト201,202は、スライダ本体17の凸面部17bの外側で、上記ステンレスシート10を、上記一対のサイドカバー7上面に押し付けるように配置されている。
【0019】
上記テーブルカバー15は、図9に示すように、四角形の上面15Aと、上面15Aの四辺に、斜め下方向に向けて設けられた側壁面15Bとで蓋形状に形成されており、上記摺動部材16の上から被せるようにしてスライダ本体17に組みつけられている。テーブルカバー15の上面15A四隅には、スライダ本体17の支柱17aに対応するように開口穴15aが形成されており、この開口穴15aに支柱17aの先端が組み付けられている。この支柱17aの先端の取付部17dに被操作体を組付けるものである。テーブルカバー15の上面15A中央部両側には、2箇所の取付穴15bが形成されており、この取付穴15bに図示しないネジを通して、上記スライダ本体17の連結部材17cに形成したネジ孔17gに螺合している。上記テーブルカバー15の幅方向の側壁面15Bには、それぞれ内側に向けて凹部15cが2箇所に設けられており、この凹部15cにスライダ本体17の突起部17iに設けられた係合部17jに係合する開口部15dが設けられている。
【0020】
上記フランジ8およびブラケット9には、図4ないし図8に示すように、可動スライダ5に対向する面に、それぞれ凹部8a,9aが形成されており、この凹部8a,9aにはゴム材、あるいは低反発ゴム材で形成した円柱状の弾性体25,26が緩衝材として配設されている。この弾性体25,26は、剛体部としての上記フランジ8およびブラケット9の表面よりも突出するようにして凹部8a,9aに接着あるいは圧入によって配設されており、上記フランジ8およびブラケット9の面よりも先に弾性体25,26が可動スライダ5に当接して可動スライダ5の速度を減速させるものである。
この弾性体25,26の周囲の上記フランジ8およびブラケット9の面には、凹部8a,9aの入り口側の径を拡大するように、座繰り穴8b,9bが形成されている。剛体部としての上記フランジ8およびブラケット9は、衝撃吸収部としての弾性体25,26とともに、それぞれストッパ装置が構成されている。
上記フランジ8およびブラケット9には、上記ステンレスシート10の前後の両端部を押えるシート押さえ27,28が設けられている。
【0021】
上記駆動部1Bに設けられたモータ14は、ハウジング2B内に収納されており、このハウジング2Bの後端には、モータ14に電力および駆動信号を送るケーブルコネクタ29を収納する端末カバー30が、着脱可能に装着されている。端末カバー30は、モータ14後端と一定の空間を形成するように箱形に形成されており、下部側の一側を切り欠いて凹部30aを形成し、この凹部30aの下面側にケーブル31を通す相通孔30bが形成されている。
【0022】
次に、単軸ロボットアクチュエータの作動に先立ってアクチュエータの原点出し方法を説明する。
原点出しは、可動スライダ5を通常速度で駆動し、たとえば、上記フランジ8に向けて走行させる。可動スライダ5は、スライダ本体17が弾性体25に当接し、弾性体25を変形させる。弾性体25は変形しながら押し潰させて座繰り穴8b内に圧縮され座繰り穴8b内に収納される。こうして、可動スライダ5は、スライダ本体17が剛体部としてのフランジ8表面に当接して停止される。このようにして、片方の位置決めが図られて原点出しが行なわれる。また、逆方向に同様の動作が可能であり、可動スライダ5を作動し、可動スライダ5をブラケット9に向けて走行させて、スライダ本体17を弾性体26に当接させ、弾性体26を圧縮させる。そして、弾性体26を変形させて座繰り穴9b内に収納させる。スライダ本体17は、剛体部としてのブラケット9表面に当接して停止され、原点出しが行なわれる。こうして、原点出しが行なわれると、この位置を基準にして制御部では、可動スライダ5の制御を開始する。
【0023】
そして、原点出しされたデータをもとに制御部では、可動スライダ5の往復動制御を開始する。通常の走行に際しては、駆動コントローラからケーブル31を介して駆動信号が送られると、ケーブルコネクタ29を通してモータ14に駆動信号が送られ、モータ14を回転駆動する。モータ14の回転は、カップリング13を介してボールネジ軸3に伝達され、ボールネジ軸3の回転にともなって、ボールネジナット4がボールネジ軸3に沿って移動する。そして、ボールネジナット4と一体に移動するスライダ本体17が、上記リニアガイドレール6に沿って摺動可能に配設されたリニアガイドブロック18とともに移動を開始する。こうして、スライダ本体17とともに可動スライダ5が移動し、可動スライダ5に装着された被操作体を移動操作する。可動スライダ5はテーブルカバー15の内部で、ステンレスシート10を摺動部材16で支え、摺動部材16の弾性ローラ23と樹脂シャフト21によって、ステンレスシート10を保持する。ステンレスシート10は片側のシャフト201(202)の弾性ローラ23の下面側を通して、樹脂シャフト21の上面側を通し、他方側のシャフト202(201)の弾性ローラ23の下面側を通して組み付けられている。摺動部材16の弾性ローラ23は、シャフト201,202とともに自由に回転するので、可動スライダ5の移動をスムーズに行なうことができる。また、摺動部材16の樹脂シャフト21は、合成樹脂で形成されているので、ステンレスシート10の滑りが良く、可動スライダ5の移動を効率的に行なうことができる。
こうして、可動スライダ5はボールネジ軸3によって、開口溝2aに沿って往復動され、可動スライダ5の取付部17dに取付けられた被操作体を往復制御する。
【0024】
上記実施の形態によると、両端の原点出しが行なわれると、この位置を基準にして制御部では、可動スライダ5の制御を開始するので、原点位置の基準の再現性が確保され、安定した位置決め基準が保たれることから、確実な往復動制御を行なうことができる。弾性体25,26は、座繰り孔8b,9b内に弾性変形して圧縮されるので、可動スライダ5は、フランジ8およびブラケット9に当接して原点位置が決められることから、原点位置の基準が変動しない。よって、確実な往復動駆動を行なうことができる。
【0025】
また、可動スライダ5は、スライダ本体17に、摺動部材16を組付け、摺動部材16の上にテーブルカバー15を被せて一体に組み付けられる。さらに、摺動部材16を、樹脂材料で成形した一対のローラーホルダ19と、これら一対のローラーホルダ19の前端部相互間および後端部相互間を互いに連結したステンレス製のシャフト201,202と、一対のローラーホルダ19の中間部相互間を互いに連結した樹脂シャフト21とで構成し、シャフト201,202の途中には、それぞれゴム等の弾性体で成形されたOリング等の一対の弾性ローラ23が互いに所定間隔を置いて装着されているので、軽量で、かつステンレスシート10との滑りが良好である。また、ステンレスシート10との接触が滑らかであることからステンレスシート10に必要以上の負荷を加えず、ステンレスシート10の耐久性の向上を図ることができる。
【0026】
またさらに、摺動部材16の上にテーブルカバー15を被せて一体に組み付けているので、内部のスライダ本体17等が側壁面15Bによって外部から見えず外観の向上を図ることができるとともに、外部から埃、ごみ等が入り込まない。また、中間部相互間を互いに連結した樹脂シャフト21には、大径部21aと小径部21bを設けているので、グリス等の潤滑油が小径部21bに溜まり外部に漏れ出る虞がない。さらに、被操作体を取付部17dに取付けることによって、可動スライダ5に被操作体を取付けることができるので、被操作体を強固に固定することができる。可動スライダ5をコンパクトな構成にすることができるので、アクチュエータ1の全長を短縮して小型化を図ることができる。またさらに、前部の支柱17a相互間および後部の支柱17a相互間を連結部材17cでそれぞれ連結しているので、応力が集中する肉厚の薄い部分あるいは被操作体の取付部の剛性を確保することができる。
【0027】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、本実施の形態では、可動スライダ5は、剛体部であるフランジ8およびブラケット9に当接して原点位置を決めているが、可動スライダ5に図4に示すようなストッパ32を設けて、このストッパ32を、たとえばフランジ8(もしくはブラケット9)側に設けられた固定部33に当接させて原点出しを行なうようにすることもできる。これによって、フランジ8および可動スライダ5相互の接触に伴う損傷などを防ぐことができる。など、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態によるロボットアクチュエータにおけるスライダ構造を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態によるロボットアクチュエータにおけるスライダ構造を示す正面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【図6】図2のD−D線断面図である。
【図7】図5のF−F線断面図である。
【図8】図6のG−G線断面図である。
【図9】図1の可動スライダを示す分解斜視図である。
【図10】スライダ本体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図11】(a)は、図10(b)のH−H線断面図、(b)は図10(a)のI−I線断面図である。
【図12】ステンレス製のシートを組み付けた摺動部材を示し、図9のJ−J線断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 アクチュエータ
1A 機構部
1B 駆動部
2A,2B ハウジング
3 ボールネジ軸
4 ボールネジナット
5 可動スライダ
6 リニアガイドレール
7 サイドカバー
8 フランジ(剛体部)
8b 座繰り孔
9 ブラケット(剛体部)
9b 座繰り孔
10 ステンレスシート
11,12 回転軸受け
13 カップリング
14 サーボモータ(モータ)
15 テーブルカバー
16 摺動部材
17 スライダ本体
17a 支柱
17b 凸面部
17c 連結部材
17d 取付部
17e 凹条
18 リニアガイドブロック
19 ローラーホルダ
19c 軸受けハウジング
201,202 ステンレス製のシャフト
21 樹脂シャフト
22 軸受け
23 弾性ローラ
24 開口部
25,26 弾性体
27,28 シート押さえ
30 端末カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に設けられた駆動機構によって一定の作動領域内で往復動操作されるスライダを、ストローク端で停止させるアクチュエータにおける原点出し方法において、上記ストローク端に、緩衝材と剛体部からなるストッパ装置を配設し、上記スライダを通常の駆動速度で上記ストローク端まで移動させてストッパ装置の緩衝材に当接させて減速させ、さらにスライダを作動して、上記通常速度より極低速状態で上記ストッパ装置に押し当てて、緩衝材の弾性に抗して緩衝材を押し込み、該ストッパ装置の剛体部によってスライダを停止させて原点出しをすることを特徴とするアクチュエータにおける原点出し方法。
【請求項2】
上記緩衝材として弾性体を用いるとともに、該弾性体を上記剛体部に形成した座繰り穴に収容し、該弾性体を上記剛体部よりも突出させて配置し、上記スライダに当接した該弾性体が上記座繰り穴内で弾性変形してから、上記剛体部によって上記スライダを停止させ、上記スライダと上記剛体部が接触した状態で、原点出しをすることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータにおける原点出し方法。
【請求項3】
ハウジング内に内蔵された駆動機構によって一定の作動領域内で往復動操作されるスライダを、ハウジングのストローク端で停止させるアクチュエータにおける原点出しストッパ装置において、上記ハウジング両側のストローク端に、スライダを停止させる剛体部を設け、該剛体部の上記スライダに対向する面に凹部を形成し、該凹部内に上記剛体部の端面よりも突出させて弾性体を配設し、上記スライダを上記弾性体によって減速させてから、上記剛体部によって原点位置で停止させるようにしたことを特徴とするアクチュエータにおける原点出しストッパ装置。
【請求項4】
上記剛体部に座繰り穴を形成し、該座繰り穴に上記弾性体を収容したことを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータにおける原点出しストッパ装置。
【請求項5】
上記弾性体にゴム材あるいは低反発ゴム材を用いたことを特徴とする請求項3または4に記載のアクチュエータにおける原点出しストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−38909(P2009−38909A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201722(P2007−201722)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】