説明

アクチュエータ及びこれを用いた電動歯ブラシ

【課題】電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化されたアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現すること。
【解決手段】可動体110では、アウターヨーク150は所定間隔を空けて対向して配置された側壁部152、153を有する。マグネット160は、アウターヨーク150に非磁性体170を介して設けられ、アウターヨーク150の対向する内壁面に、それぞれ異なる磁極を対向させて、エアギャップを介して配置されている。可動体110には、シャフト180が設けられている。固定体120は、エアギャップに配置され、マグネット160を周回するコイル128を有する。固定体120は、可動体110を、弾性体130を介して可動自在に支持する。交流供給部140は、可動体110の共振周波数に略等しい周波数の交流をコイル128に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシ或いは電動音波歯ブラシ等に用いられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動音波歯ブラシを含む電動歯ブラシでは、往復直線運動により、歯と歯茎の境界部分に斜め(約45度の角度)に当てて左右に振動するバス磨き用の歯ブラシと、軸回りの所定角度範囲で往復(正逆)回転運動して、歯茎から歯に向かって回転させるように動くローリング磨き用の歯ブラシが知られている。
【0003】
これら歯ブラシの駆動には、通常の軸回り回転を行う回転式DCモータの回転を、運動方向変換機構を介して直線往復運動又は往復回転運動する構造が多く用いられている。また、この構造以外にも、リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動する構造又は、アクチュエータの振動によって駆動源とは別体の共振振動機構を共振させて歯ブラシを往復回転運動する構造が知られている。
【0004】
リニア駆動アクチュエータにより歯ブラシを往復直線運動させる構造は、特許文献1に示すように、リニア駆動アクチュエータによって、歯ブラシ部に直結する出力軸の軸方向の往復振動を直接発生させてバス磨きを実現している。この構造では、運動変換機構による動力ロスがなく、また高速な振動を行わせることができるものとなっている。
【0005】
また、アクチュエータと、駆動源とは別体の共振振動機構とを有する構造は、特許文献2に示すように、電磁石及び永久磁石を備える駆動手段によって、レバーアームを備える共振振動機構を励振して、歯ブラシ部に同軸で直結するレバーアームを首振り運動させてローリング磨きを実現している。
【特許文献1】特開2002−078310号公報
【特許文献2】特許第3243529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動歯ブラシでは、ローリング磨きを実現できるとともに、ローリング磨き用歯ブラシを駆動させる駆動部分が収容される柄の部分を極力細くしたいため、歯ブラシの駆動部分の小型化が望まれている。
【0007】
しかしながら、通常の軸回り回転するモータを用いローリング磨きを実現するためには、モータとは別に当該モータの回転を往復回転運動に変換するための運動方向変換機構が必要となる。また、特許文献1のようリニア駆動アクチュエータを用いローリング磨きを実現するためには、リニア駆動アクチュエータとは別にトルク発生機構(駆動源)が必要となる。
【0008】
また、特許文献2に示す構造では、駆動源とともに、駆動源とは別の共振振動機構が必要なる。
【0009】
したがって、従来の構造では、モータ或いはリニア駆動アクチュエータを電動歯ブラシの駆動源としてみた場合、駆動源に加えて、駆動源とは別の運動方向変換機構又はトルク発生機構又は共振振動機構の配置スペースを確保する必要があるので、歯ブラシの小型化には困難であるという問題がある。
【0010】
さらに、歯ブラシの駆動部分として、モータなどのアクチュエータとは別体の運動方向変換機構といった駆動伝達機構を備える場合、駆動伝達機構では、騒音発生の恐れ及び伝達される動力ロスの発生による効率悪化の恐れがあり、これらの対策も考慮する必要がある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現できる、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のアクチュエータは、所定間隔を空けて対向する内壁面を有するアウターヨークと、前記アウターヨークに設けられ、前記対向する内壁面のそれぞれにエアギャップを介して異なる磁極面が対向する磁石とを有する可動体と、前記可動体に設けられた出力軸と、前記エアギャップに配置され、前記磁石を周回するコイルを有する固定体と、前記固定体に前記可動体を可動自在に支持する弾性支持部と、前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部とを有する構成を採る。
【0013】
本発明の電動歯ブラシは、上記構成のアクチュエータと、前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部とを有する構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく達成できるので、小型化のアクチュエータ及び電動歯ブラシを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアクチュエータ100を示す斜視図である。図2は、同アクチュエータの要部分解斜視図である。図3は、アクチュエータ100における可動体及び固定体の構成を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示すように、アクチュエータ100は、可動体110と、固定体120と、固定体120に可動体110を可動自在に支持する弾性体130と、交流供給部140(図2及び図3)とを有する。
【0018】
可動体110は、アウターヨーク150と、マグネット160と、弾性体接続部172、174と、可動体110に設けられた回転往復振動伝達シャフト(以下、「シャフト」という)180と、を有する。
【0019】
固定体120は、基台122と、支持壁部124、126と、コイル128(図2参照)とを有する。固定体120では、シャフト180の延在方向に沿って長い矩形板状をなす基台122の表面中央部にコイル128が配置されている。また、基台122の長手方向で離間する端辺部から支持壁部124、126が立設されている。なお、コイル128には、図2に示すように交流供給部140から交流電源が供給される。
【0020】
図2及び図3に示すように、アウターヨーク150は、ここでは、断面略U字状をなし、板状の磁性体を折曲することで形成されている。アウターヨーク150は、矩形板状のヨーク中央部151と、ヨーク中央部151の両側辺部からそれぞれ垂下され、互いに対向する側壁部152、153とを有する。
【0021】
アウターヨーク150は、図1及び図2に示すように、アウターヨーク150の長手方向(シャフト180の延在方向に相当)で離間する端部(両側辺部の延在方向で離間する端部)に、弾性体130を介して支持壁部124、126に接続される弾性体接続部172、174が取り付けられている。
【0022】
弾性体接続部172、174の一方にはアウターヨーク150の延在方向と同方向で突出するシャフト180が取り付けられている。すなわち、シャフト180は、アウターヨーク150に取り付けられた弾性体接続部174から、マグネット160と側壁部152、153とが対向する方向と略直交する方向に突出して設けられている。なお、弾性体接続部172、174は非磁性体にすることが望ましい。
【0023】
このようにシャフト180は、弾性体接続部174を介してアウターヨーク150に固定されることによって、可動体110の重心を通る軸線上に位置するように可動体110に取り付けられた状態となっている。これによりシャフト180は、可動体110とともに回転往復振動し、その振動を外部に伝達する。
【0024】
なお、アクチュエータ100が電動歯ブラシに用いられる場合、シャフト180には、シャフト180と同一軸心上で、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結される。これにより歯ブラシ部はシャフト180と同様の運動、ここでは回転往復振動であるローリングを行うこととなる。
【0025】
マグネット160は、図3に示すように、アウターヨーク150のヨーク中央部151における裏面の中央部分に、アウターヨーク150の対向する側壁部152、153間にエアギャップが形成されるように、非磁性体170を介して取り付けられている。なお、マグネット160は、アウターヨーク150に、非磁性体170を介さずにアクチュエータ150の対向する側壁部152、153間にエアギャップが形成されるように設けても良い。
【0026】
マグネット160は、ヨーク中央部151から垂下するように設けられ、側壁部152、153のそれぞれの内壁面に対して、互いに異なる磁極を対向させている。
【0027】
ここでは、マグネット160のN極側が、アウターヨーク150の側壁部152の内壁面に対向し、S極側が、アウターヨーク150の側壁部153の内壁面に対向している。
【0028】
また、マグネット160は、アウターヨーク150の延在方向の長さに対応した長さを有する直方体であり、外形が同形状の非磁性体170を介してヨーク中央部151に、当該ヨーク中央部151の延在方向に沿って取り付けられている。
【0029】
これにより、マグネット160は、アウターヨーク150の長手方向の長さと同様の長さを有し、対向する側壁部152、153の内壁面の全面に対して、異なる磁極の面をそれぞれ対向させている。
【0030】
マグネット160とアウターヨーク150の側壁部152、153との間のエアギャップには、マグネット160の両側壁面(磁極面)160a、160b、側壁部152、153の内壁面及びヨーク中央部151の裏面とのそれぞれから離間して、マグネット160を周回するコイル128が配置されている。
【0031】
コイル128は、ここでは、ボイスコイルであり、マグネット160の周囲を囲むように巻回されている。具体的には、コイル128は、エアギャップ内で、マグネット160と側壁部152、153との対向方向と直交する方向に巻回されている。
【0032】
このコイル128が設けられる基台122に立設される支持壁部124、126は、図1及び図2に示すように、基台122の長手方向で離間する両端辺部から立ち上がるリブ122a、122b上に配設されている。支持壁部126は、可動体110のシャフト180が挿通する開口部126aを有する。
【0033】
この支持壁部126の開口部126aにシャフト180を挿通させて、支持壁部124、126は、弾性体接続部172、174との間に架設される弾性体130を介して、可動体110を、通常状態では、略水平方向(基台122と略平行)に保持する。
【0034】
弾性体130は、支持壁部124、126の対向領域において、可動体110を、左右前後方向に変位自在に支持して、可動体110を、マグネット160及びシャフト180のねじり方向に支持している。ここでは、弾性体130は、支持壁部124、126どうしで対向する面の上下端部において略水平に、対向方向に突出して設けられた板状のジグザグバネからなる。つまり、弾性体130は、一端部から他端部側に向かって細帯状の金属板が一方の幅方向に延びて他方の幅方向に折り返すことを繰り返してジグザグに配置され、弾性体130自体は一端部と他端部とを固定するとねじり方向に伸縮する。
【0035】
このように構成された弾性体130を介して、可動体110は、側辺部と直交する端部の上下辺部分で、固定体120の支持壁部124、126のそれぞれに、ねじり方向に可動自在に支持されている。
【0036】
可動体110のイナーシャJ、ねじり方向のバネ定数kspとした場合、可動体110は、固定体120に対して、下記式(1)によって算出される共振周波数で振動する。
【0037】
【数1】

本実施の形態のアクチュエータ100は、交流供給部140によって、コイル128に可動体110の共振周波数fと略等しい周波数の交流を供給する。これにより、可動体110を効率良く駆動させることができる。
【0038】
可動体110及び固定体120では、アウターヨーク150、マグネット160及びコイル128が、磁気回路を形成する。
【0039】
図3に示すように、アクチュエータ100では、マグネット160から発生した磁束(白抜き矢印で示す)は、コイル128が配置されるエアギャップ、アウターヨーク150の側壁部152、ヨーク中央部151、側壁部153、反対側のエアギャップを順に通る磁気回路となっている。
【0040】
次に、アクチュエータ100の動作を説明する。
【0041】
本アクチュエータ100における可動体110は、弾性体130を介して固定体120により支持されるバネマス系構造であり、コイル128に可動体110の共振周波数fに等しい周波数の交流が供給されると、可動体110は共振状態で駆動される。このとき発生する回転往復振動が、可動体110のシャフト180に伝達される。
【0042】
アクチュエータ100は、下記式(2)で示す運動方程式及び下記式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0043】
【数2】

【0044】
【数3】

すなわち、アクチュエータ100における慣性モーメント、回転角度、トルク定数、電流、バネ定数、減衰係数、負荷トルクなどは、式(2)を満たす範囲内で適宜変更でき、電圧、抵抗、インダクタンス、逆起電力乗数は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0045】
図4は、本実施の形態1に係るアクチュエータの動作を説明するための模式図である。なお、図4(a)では白抜き矢印でマグネットによる磁気回路の磁束の流れを示しているが、図4(b)〜図(d)では同様の流れであるため、図示省略している。
【0046】
コイル128に交流供給部140から交流が供給されると、フレミングの左手の法則に従い、コイル128には、図中矢印F1、F2、F3、F4で示す推力が発生する。これにより、コイル128を有する基台122及び支持壁部124、126に弾性体130を介して取り付けられている可動体110には、回転重心を軸中心とした回転力が発生する。
【0047】
アクチュエータ100の1周期分の動作について説明する。
【0048】
図4(a)に示す向きでコイル128に電流が流れる(この方向を順方向電流と呼ぶ)と、マグネット160のN極面160aに対向するコイル128の部分128aには、上向き(アウターヨーク150側の方向)に推力F1が発生し、マグネット160のS極面160bに対向するコイル128の部分128bには、下向き(基台122側の方向)に推力F2が発生する。
【0049】
これにより、コイル128を有する基台122から立ち上がる支持壁部124、126(図1及び図2参照)に弾性体130を介して支持された可動体110に相対的に回転する力が発生し、可動体110は、図4(b)に示す位置となるように可動する。
【0050】
図4(b)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性体130の復元力により矢印R1、R2の反力が発生する。図4(b)に示す状態から図4(d)に示す状態までは、コイル128に図4(a)とは逆方向の電流が供給される。これにより、可動体110は、図4(b)の状態から図4(c)の状態までは、矢印R1、R2で示す反力と、矢印F3、F4で示す推力とによって、固定体120に対して時計回りに回転する。また、可動体110は、図4(c)の状態から図4(d)の状態までは、矢印F3、F4で示す推力によって、固定体120に対して時計回りに回転する。
【0051】
図4(d)に示す状態のアクチュエータ100では、弾性体130の復元力により矢印R3、R4の反力が発生する。図4(d)に示す状態から図4(a)に示す状態を経て図4(b)に示す状態までは、コイル128に順方向電流が供給される。これにより、可動体110は、図4(d)の状態から図4(a)の状態までは、矢印R3、R4で示す反力と、矢印F1、F2で示す推力とによって、固定体120に対して反時計回りに回転する。また、可動体110は、図4(a)の状態から図4(b)の状態までは、矢印F1、F2で示す推力によって、固定体120に対して反時計回りに回転する。
【0052】
次に、図4の各状態で供給される交流電流について簡単に説明する。
【0053】
コイルに流れる交流は、図5(a)に示すように周波数fのパルス波でもよいし、図5(b)に示すように周波数fの正弦波でもよい。
【0054】
図4(a)の状態では、図5に示す時点t1の順方向の電流が供給され、図4(b)の状態では図5の時点t2で示すように電流の向きが切り替えられ、図4(c)の状態では、図5に示す時点t3の逆方向の電流が供給される。また、図4(d)の状態では、図5の時点t4で示すように電流の向きが切り替えられて、図4(d)の状態では、図5に示す時点t5順方向の電流が供給される。これが1周期分の動作であり、このような動作が繰り返されることで、可動体110が回転往復振動される。
【0055】
アクチュエータ100では、可動体110は、回転往復運動つまり回転往復振動を行い、この回転往復振動はシャフト180を介して外部に出力される。シャフト180に、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部が連結されている場合、歯ブラシ部は回転往復振動してローリング磨きを行うことができる。
【0056】
このようにアクチュエータ100は、式(2)、(3)を満たし、式(1)で示す共振周波数を用いた共振現象により駆動する。これにより、アクチュエータ100では、定常状態において消費される電力は負荷トルクによる損失及び摩擦などによる損失だけとなり、低消費電力で駆動、つまり、可動体110を低消費電力で回転往復振動させることができる。以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ100では、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく実現して小型化を図ることができ、更に、往復回転運動を低消費電力で実現することができる。
【0057】
また、アクチュエータ100では、マグネット160は、アウターヨーク150に対して、側壁部152、153の間に、異なる磁極面をそれぞれの側壁部152、153に対向するように設け、コイル128の内部に配置されることで磁気回路を形成している。本実施の形態の磁気回路を形成する場合、複数のマグネットを側壁部152、153の内壁面に取り付ける場合と比べて、マグネットの個数を減らすことができ、組立性の向上及びコストの削減を図ることができる。なお、アクチュエータ100を有する電動歯ブラシでも上述した同様の効果を得ることができ、電動歯ブラシ自体の小型化も図ることができる。
【0058】
(実施の形態2)
図6は、本発明に係る実施の形態2のアクチュエータを示す斜視図、図7は同アクチュエータの分解斜視図である。なお、このアクチュエータ100Aは、図1に示す実施の形態1に対応するアクチュエータ100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100において、可動体110を固定体120に回動自在に軸支した構成である。ここでは、アクチュエータ100の構成において、シャフト180と同一軸心で回動自在に軸支している。
【0060】
すなわち、アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100の構成においてシャフト180が挿通される支持壁部126の開口部126aに軸受126bを取り付けている。支持壁部126は、軸受126bを介してシャフト180を回動自在に支持している。また、シャフト180において支持壁部126から突出する部位にはブッシュ126cが外嵌されている。
【0061】
さらに、アウターヨーク150に取り付けられる弾性体接続部172に、シャフト180と同軸心上に配置される支持軸部172aが、シャフト180の突出方向とは逆方向に突設されている。支持軸部172aはシャフトと略同一の外径を有する。
【0062】
この弾性体接続部172に対して、弾性体130を介して接続される支持壁部124には、支持軸部172aを挿通する軸受124aが取り付けられている。支持壁部124の軸受124aに挿通された支持軸部172aの端部には、支持壁部124の裏面側で、ブッシュ124bが外嵌されている。
【0063】
このようにアクチュエータ100Aでは、可動体110は、支持軸部172a及びシャフト180で支持壁部124、126に回動自在に軸支されている。このため、アクチュエータ100Aでは、コイル128に交流供給部140から交流が供給され、固定体120に対してシャフト180の軸心を中心に安定して回転往復振動することとなる。
【0064】
よって、回転及び軸方向のみ自由度を持ち、アクチュエータ100A自体の耐衝撃性を向上させるとともに可動体110を安定して回転往復振動させることができる。
【0065】
また、アクチュエータ100Aでは、可動体110の可動運動を伝達して出力するシャフト180が、可動体110を固定体120に軸支させる軸部として用いられている。
【0066】
(実施の形態3)
図8は、本発明に係る実施の形態3のアクチュエータを示す斜視図、図9は同アクチュエータの分解斜視図、図10は、同アクチュエータに用いられる粘弾性体としてのエラストマーを示す図である。なお、図8及び図9に示すアクチュエータ100Bは、図6及び図7に示す実施の形態2に対応するアクチュエータ100Aにおいて、弾性体130の構成を替えた構造であり、その他の構成は同様の構成である。よって、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
アクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100Aの構成において、実施の形態1におけるアクチュエータ100の弾性体130と同様のジグザグバネである弾性体130に替えて自身の減衰が大きい粘弾性体、ここではエラストマー197を用いている。
【0068】
エラストマー197は、図10に示すように、支持軸部172aとシャフト180と挿通する挿通口198を備えた中央部197aと、中央部197aから支持軸部172a及びシャフト180の軸心と直交する方向に突出するアーム部197bとを備える。
【0069】
エラストマー197は、支持壁部124(126)と弾性体接続部172(174)との間に配置されバネとして機能する。エラストマー197は、アーム部197bの延在方向でずれた位置に形成された孔部198a、198bに、支持壁部124(126)と弾性体接続部172(174)の突起が嵌入されている。なお、図9では、エラストマー197の孔部198a、198bに嵌入される突起のうち、支持壁部124に形成された突起124c及び弾性体接続部174に形成された突起174cのみを示す。図示しないが、支持壁部124の突起124cと同様の突起が支持壁部126に形成され、弾性体接続部174の突起174cと同様の突起が弾性体接続部172に形成されている。ここでは、エラストマー197のアーム部197bにおいて、中央部197aに近い位置の孔部198aに弾性接続部174(172)の突起174cが圧入により嵌合されている。また、中央部197aよりも遠い位置の孔部198bに支持壁部124(126)の突起124cが圧入により嵌合されている。
【0070】
アクチュエータ100Bによれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができるとともに、エラストマー197は、支持壁部124(126)と弾性体接続部172(174)との間に配置して、支持壁部124(126)と弾性体接続部172(174)の突起(図では124c、174cのみ示す)を孔部198a、198bに圧入するだけで、両部材に取り付けられる。これにより、ジグザグバネ等の金属バネを用いた場合と異なり、ネジによる締結又は接着などの煩雑な取り付け工程を必要とすることなく、アクチュエータ100C自体の組立性の向上を図ることができる。
【0071】
また、上記各実施の形態におけるアウターヨーク150は、マグネット160の異なる磁極でそれぞれ対向する内壁面を有し、コイル128と、マグネット160とで磁気回路を形成すれば、どのように構成してもよく、アウターヨーク150全体を断面円弧状に形成してもよいし、ヨーク本体部を円弧状に形成してもよい。
【0072】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るアクチュエータは、電動歯ブラシ等の往復回転運動を、駆動源とは別体の駆動伝達機構を用いることなく小型化を実現できる効果を有し、電動歯ブラシ等に用いられる往復回転振動させるアクチュエータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアクチュエータを示す斜視図
【図2】同アクチュエータの要部分解斜視図
【図3】同アクチュエータにおける可動体及び固定体の構成を示す概略断面図
【図4】同アクチュエータの動作を説明するための模式図
【図5】同アウターヨークにおいてコイルに供給される交流の周期を示す図
【図6】本発明に係る実施の形態2のアクチュエータを示す斜視図
【図7】同アクチュエータの分解斜視図
【図8】本発明に係る実施の形態3のアクチュエータを示す斜視図
【図9】同アクチュエータの分解斜視図
【図10】同アクチュエータに用いられる粘弾性体であるエラストマーを示す図
【符号の説明】
【0075】
100、100A、100B アクチュエータ
110 可動体
120 固定体
128 コイル
130 弾性体
140 交流供給部
150 アウターヨーク
160 マグネット
170 非磁性体
180 シャフト
172a 支持軸部
124a 軸受
197 エラストマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を空けて対向する内壁面を有するアウターヨークと、前記アウターヨークに設けられ、前記対向する内壁面のそれぞれにエアギャップを介して異なる磁極面が対向する磁石とを有する可動体と、
前記可動体に設けられた出力軸と、
前記エアギャップに配置され、前記磁石を周回するコイルを有する固定体と、
前記固定体に前記可動体を可動自在に支持する弾性支持部と、
前記可動体の共振周波数に略等しい周波数の交流を前記コイルに供給する交流供給部と、
を有するアクチュエータ。
【請求項2】
前記磁石は、前記アウターヨークに非磁性体を介して設けられている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記可動体は、前記固定体に前記出力軸を中心に回転自在に軸支されている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記弾性支持部は、前記固定体と前記可動体とに介設され、前記固定体と前記可動体の間で変形自在な粘弾性体である請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
前記アクチュエータの出力軸に、当該出力軸と同一軸心上で連結され、頭部に軸方向と直交して設けられた毛束部を備える歯ブラシ部と、
を有する電動歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−11604(P2010−11604A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166535(P2008−166535)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】