説明

アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システム

アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムは、少なくとも1枚のソーラーパネルを支持するサブフレームと、サブフレームを支持する支柱と、サブフレームと支柱とを連結するリンク型連結機構とを備えている。リンク型連結機構は、第1枢軸と、第2枢軸と、ボディ部材とを含んでいる。リンク型連結機構の第1枢軸と第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、ボディ部材によって離隔されている。このシステムは更に、少なくとも2つの直動型アクチュエータと、それらアクチュエータとサブフレームとを連結する回転ジョイント型連結機構と、それらアクチュエータを駆動する駆動系とを備えている。このシステムは更に、フィードフォワード制御系を備えている。フィードフォワード制御系はコンピュータを含み、このコンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、駆動系とコミュニケートして直動型アクチュエータを駆動する。このシステムは更に、フィードバック制御系を備えている。フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報をフィードフォワード制御系へ中継し、フィードフォワード制御系とフィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願のクロスレファレンス]
本件特許出願は、米国仮特許出願第61/146508号(2009年1月22日付けで米国特許庁に出願)、米国仮特許出願第61/171263号(2009年4月21日付けで米国特許庁に出願)、及び、米国仮特許出願第61/254963号(2009年10月26日付けで米国特許庁に出願)に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
[連邦政府による研究開発支援に関する陳述]
本件特許出願は連邦政府による研究開発支援を受けていない。
【0003】
[共同研究契約者の名称]
第三者との間で締結された共同研究契約は存在していない。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0004】
天空を移動する太陽を追尾する太陽追尾機能を備えた太陽光発電システム及び装置が公知となっている。在来のその種のシステムの多くは、簡単な制御方式を用いて、昼間時にソーラーパネルが太陽を追尾する動作を間欠的動作の形で実行するようにしたものであった。本願明細書に記載する太陽追尾システムは、そのような在来の太陽追尾システムに改良を施すものであり、特に、精緻なフィードフォワード制御系を用いて、天空を移動する太陽を追尾する動作を滑らかな連続的動作の形で実行できるようにすると共に、その太陽追尾システムの機械的機構を、コストを低減でき、且つ、太陽追尾システムの信頼性、耐久性、及び動作精度を向上させることのできる機械的機構とするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施の形態は、アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムであって、以下の構成としたものである。即ち、この太陽追尾システムは、少なくとも1枚のソーラーパネルを支持することのできるサブフレームと、前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱と、前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結機構とを備えており、前記リンク型連結機構は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでいる。更に、前記リンク型連結機構の前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔している。この太陽追尾システムは更に、少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有している。この太陽追尾システムは更に、前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとを連結している回転ジョイント型連結要素と、前記直動型アクチュエータを駆動するための駆動系とを備えている。この太陽追尾システムは更にフィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものである。この太陽追尾システムは更にフィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある。
【0006】
本発明の別の1つの実施の形態は、アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムであって、以下の構成としたものである。即ち、この太陽追尾システムは、少なくとも1枚のソーラーパネルを支持することのできるサブフレームと、前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱と、前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結機構とを備えており、前記リンク型連結機構は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでいる。更に、前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔しており、前記第1枢軸、前記第2枢軸、及び前記ボディ部材は、それらが一体化されて形成されている。この太陽追尾システムは更に、少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有している。この太陽追尾システムは更に、前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとを連結している回転ジョイント型連結要素と、前記直動型アクチュエータを駆動するための油圧システムを含む駆動系と、少なくとも1本の台座用支柱とを備えており、該台座用支柱の第1端部は基礎構造系のビーム材に連結されており、該台座用支柱の第2端部は直動型アクチュエータに連結されている。この太陽追尾システムは更にフィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものである。前記複数のテータ点は、一日の中での時刻、一年の中での時期、日付、GPS座標値、内部クロック、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置、前記リンク型連結機構の動作角度、制御弁の動作位置、及び太陽追尾センサの出力データ値を含んでいる。この太陽追尾システムの前記コンピュータは多項式スプライン曲線を利用している。この太陽追尾システムは更にフィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある。
【0007】
本発明の更に別の1つの実施の形態は、アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムであって、以下の構成としたものである。即ち、この太陽追尾システムは、少なくとも1枚のソーラーパネルを支持することのできるサブフレームと、前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱と、前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結機構とを備えており、前記リンク型連結機構は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでいる。更に、前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔しており、前記第1枢軸、前記第2枢軸、及び前記ボディ部材は、それらが一体化されて形成されており、前記第1枢軸の端部及び前記第2枢軸の端部は、前記支柱の上端部に取付けられたベアリングアセンブリ及び前記サブフレームの底部に取付けられたベアリングアセンブリに嵌装されている。この太陽追尾システムは更に、少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有しており、前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとは回転ジョイント型連結要素を用いて連結されている。この太陽追尾システムは更に、前記直動型アクチュエータを駆動するための油圧システムを含む駆動系を備えている。この太陽追尾システムは更に、第1端部及び第2端部を有する少なくとも1本の台座用支柱を備えており、該台座用支柱の該第1端部は基礎構造系のビーム材に連結されており、該台座用支柱の該第2端部は直動型アクチュエータに連結されている。この太陽追尾システムは更に、前記サブフレームがその機構的限界を超えて駆動されるのを防止する防止手段を備えている。この太陽追尾システムは更にフィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものである。前記複数のテータ点は、一日の中での時刻、一年の中での時期、日付、GPS座標値、内部クロック、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置、前記リンク型連結機構の動作角度、制御弁の動作位置、及び太陽追尾センサの出力データ値を含んでいる。前記コンピュータは、多項式スプライン曲線を利用している。この太陽追尾システムは更にフィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある。
【0008】
添付図面は本発明の様々な実施の形態の好適な数々の特徴を開示しており、それら図中の同一ないし対応する構成要素には同一の参照符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを正面から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムの早朝における姿勢を示した図である。 (図2A)本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムのジョイント型連結機構の詳細図である。 (図2B)本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムのリンク型連結機構の詳細図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを側方から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムの午後の半ばにおける姿勢を示した図である。 (図3A)本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムのジョイント型連結機構の詳細図である。 (図3B)本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムのリンク型連結機構の詳細図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの側面図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおける基部の配置形態を示した模式図であり、それら基部は直角三角形を成すように配置されている。
【図6B】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおける基部の配置形態を示した模式図であり、それら基部は二等辺三角形を成すように配置されている。
【図6C】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおける基部の配置形態を示した模式図であり、それら基部は正三角形を成すように配置されている。
【図7】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて支柱とプラットフォーム/サブフレームとを連結するために用いられているリンク型連結機構を斜め正面から見た斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて支柱とプラットフォーム/サブフレームとを連結するために用いられているピローブロック型ベアリングアセンブリの形態のリンク型連結機構を正面から見た斜視図である。
【図9A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおけるアクチュエータ基部と支柱基部とを示した模式図であり、それら基部はトーション抵抗バーによって安定化されている。
【図9B】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおける支柱基部とアクチュエータ基部とを示した側面図であり、それら基部はブレース斜材とトーション抵抗バーとで安定化されている。
【図10】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは、アクチュエータ基部を台座用支柱に連結したものである。
【図11】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおける油圧システムの動作プロセスを示したフローチャートである。
【図12A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて倒立姿勢で配設されたシングルアクションのアクチュエータのシリンダ部分を正面から見た斜視図である。
【図12B】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて倒立姿勢で配設されたシングルアクションまたはダブルアクションのアクチュエータのシリンダ部分を正面から見た斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは支柱を2本備えたものである。
【図14】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは支柱を2本備えたものである。
【図15】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの側面図であり、当該太陽追尾システムは支柱を2本備えたものである。
【図16】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを側面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは第3のアクチュエータを備えたものである。
【図16A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの機械的構造部分の詳細図であり、当該太陽追尾システムは第3のアクチュエータを備えたものである。
【図17】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの側面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを正面から見た斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは、スプロケットギア及びラックギアを介して駆動操作を行なうように構成した定回転力駆動レバーを備えたものである。
【図20】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを側面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは、スプロケットギア及びラックギアを介して駆動操作を行なうように構成した定回転力駆動レバーを備えたものである。
【図20A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおけるスプロケットギアの詳細図であり、当該太陽追尾システムは、定回転力駆動レバーを用いて駆動操作を行なうようにしたものである。
【図21】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの正面図であり、当該太陽追尾システムは、スプロケットギア及びラックギアを介して駆動操作を行なうように構成した定回転力駆動レバーを備えたものである。
【図22】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムを斜め正面から見た斜視図であり、当該太陽追尾システムは、地表面との間に設けた第3のアクチュエータでチェーンまたは綱索を引張する構成とすることによって、アクチュエータの動作位置にかかわらず一定のモーメントを提供できるようにしたものである。
【図22A】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの正面図であり、当該太陽追尾システムは、地表面との間に設けた第3のアクチュエータでチェーンまたは綱索を引張する構成とすることによって、アクチュエータの動作位置にかかわらず一定のモーメントを提供できるようにしたものである。
【図22B】本発明の実施の形態に係るフィードフォワード制御式の太陽追尾システムの側面図であり、当該太陽追尾システムは、地表面との間に設けた第3のアクチュエータでチェーンまたは綱索を引張する構成とすることによって、アクチュエータの動作位置にかかわらず一定のモーメントを提供できるようにしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しつつ本発明について更に詳細に説明して行く。添付図面は本発明の幾つかの好適な実施の形態を示したものである。尚、本発明は図示した以外の様々な形態で実施することも可能であり、以下に説明する具体的な実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
以下の説明では、どの図を参照して説明する場合でも、同一ないし対応する構成要素は同一の参照符号をもって指し示すこととする。また、以下の説明中の「第1」、「第2」等々の用語は、便宜上使用する用語に過ぎず、限定することを意図した用語ではない。
【0012】
以下に説明する本発明の様々な実施の形態は、太陽光発電システム(ないしは、その構成要素である、ミラー、光電変換セル(PV)、等々)を目標方向へ指向させる照準合わせのためのプラットフォームを提供するものであり、太陽光エネルギを電気エネルギ等の利用可能なエネルギに変換するために太陽光を最適に捕捉できるように、そのプラットフォームを支持するサブフレームの姿勢(指向方向)を制御するものである。また、以下に説明する本発明の様々な実施の形態は、強度、信頼性、効率、及び、保守点検容易性に関して最適化されたものである。更に、以下に説明する本発明の様々な実施の形態は、大きな風圧に耐えることができ、強風下でも、太陽追尾動作を実行し続けることを可能にしたものである。
【0013】
図1〜図5及び図17〜図18に示したように、本発明の1つの実施の形態によれば、太陽追尾システム2は基礎構造系1を備えており、この基礎構造系1は、I形鋼から成るビーム材を十字形に組んで構成したI形鋼十字組構成体4と、調節可能な基礎据付部材6(例えば、ねじ込み杭、鋼製据付部材、等々)とを備えている。基礎据付部材6は、太陽追尾システム2を据付ける据付面8に、I形鋼十字組構成体4を固定して取付けるための部材である。当業者には容易に理解されるように、本発明の実施の形態において、基礎据付部材6は、調節可能な部材としてもよく、調節不可能な部材としてもよい。また、これも当業者には容易に理解されるように、I形鋼から成るビーム材を組んで構成する構成体4は、必ずしも十字形に組んだものである必要はなく、例えばT字形に組んだ構成体としてもよく、更にその他の形態の基礎構造系としてもよい。I形鋼十字組構成体4には、2つの直動型アクチュエータ10、12と、1本の支柱14とが連結されている。本発明の1つの実施の形態によれば、2つの直動型アクチュエータ10、12は、その一方を東西方向操向用アクチュエータ10とし、他方を南北方向操向用アクチュエータ12としている。直動型アクチュエータ10の下端部とI形鋼十字組構成体4とを連結する連結機構、及び、直動型アクチュエータ12の下端部とI形鋼十字組構成体4とを連結する連結機構は、ピン型連結構造15とするとよく、ただし、その他の種類の連結機構を使用することも可能である。ピン型連結機構15は、直動型アクチュエータ10、12が二自由度の運動をすることを許容するものであり、それによって、直動型アクチュエータ10、12は、歪みなどを生じることなく適切な自由運動ができる状態とされている。当業者には容易に理解されるように、本発明の実施の形態を説明する際に使用する「二自由度の運動を許容する」という記載は、互いに独立した2通りの形態の運動を発生させ得ることを意味しており、そのような2つの運動としては、例えば、互いに直交する2本の回転軸心の周りの夫々の回転運動、互いに直交する2本の直線に沿った夫々の直線運動、それに、1本の回転軸心の周りの回転運動と1本の直線に沿った直線運動との組合せなどがある。更に、これも当業者には容易に理解されるように、ピン型連結機構は、例えば、2本の枢動ピンを備えたリンク部材を含み、そのリンク部材によって、二自由度の運動を許容するようにした連結機構などとすることができる。図1〜図5に示した本発明の好適な実施の形態では、支柱14の下端部とI形鋼十字組構成体4との連結は固定連結としてある。そのため、この実施の形態では、ピン型連結機構を2つ用いた連結形態とされている。ただし、本発明の実施の形態のうちには、ピン型連結機構を3つ用いた連結形態とすることが好ましいものもあり、そのような実施の形態では、支柱14とI形鋼十字組構成体4とを枢動ピンを介して連結する(不図示)ようにすればよい。本発明の好適な1つの実施の形態によれば、直動型アクチュエータ10の上端部、直動型アクチュエータ12の上端部、及び支柱14の上端部が、夫々にサブフレーム16に連結されており、そして、このサブフレーム16がプラットフォーム18を支持することによって、プラットフォーム18が太陽を追尾できるようにしている。本発明の好適な1つの実施の形態によれば、プラットフォーム18は架台であってもよく、ソーラーパネルそれ自体であってもよい。直動型アクチュエータ10、12とサブフレーム16とは、ジョイント型連結機構20を介して連結されており、このジョイント型連結機構20は、直動型アクチュエータ10、12が二自由度の運動をすることを許容するものである。直動型アクチュエータ10、12の下端部に装備されているピン型連結機構15と、直動型アクチュエータ10、12の上端部に装備されているジョイント型連結機構20とは、いずれも二自由度の連結機構であり、それら連結機構によって、直動型アクチュエータ10、12は、歪みなどを生じることなく適切な自由運動ができる状態とされている。支柱14とサブフレーム16とは、プラットフォーム18が支柱14を中心とする二自由度の回転運動をすることを許容する連結機構22を介して連結することが好ましい。ただし本発明の別の実施の形態として、支柱14とサブフレーム16とを、直動型アクチュエータ10、12とサブフレーム16とを連結しているジョイント型連結機構20と同様の連結機構を介して連結した構成とすることも可能である。当業者には容易に理解されるように、支柱14とサブフレーム16とを連結する連結機構も、また、直動型アクチュエータ10、12とサブフレーム16とを連結する連結機構も、以上に説明した連結機構に限られるものではなく、その他の様々な連結機構を用いることができる。以上に説明した実施の形態はいずれも、サブフレーム16と、支柱14の上端部、アクチュエータ10の上端部、及びアクチュエータ12の上端部との間の連結形態を、ピン型連結機構ないしそれと同等の連結機構を3つ用いた連結形態としたものである。尚、本発明の別の実施の形態として、サブフレーム16を用いずに、アクチュエータ10、12及び支柱14を、ピン型連結機構ないしリンク型連結機構を介してプラットフォーム18に直接的に連結する構成としてもよい。
【0014】
太陽追尾システムの支柱14及びアクチュエータ10、12と基礎構造系1との間の連結形態を、ピン型連結機構15を2つまたは3つ用いた連結形態とし、また支柱14及びアクチュエータ10、12とサブフレーム16との間の連結形態を、ジョイント型連結機構及び/またはリンク型連結機構22を用いた連結形態とすることによって、大荷重に耐えられる適切な強度を有し、しかも、基礎構造系1へは曲げ力が殆どもしくは全く伝達されない構成とすることができる。更に、支柱14及びアクチュエータ10、12と基礎構造系1との間の連結箇所にも、また、支柱14及びアクチュエータ10、12とサブフレーム16との間の連結箇所にも、小さな曲げ力しか作用しないため、太陽追尾システムを屋根上に設置するのに適したものとすることができる。実際に、本発明の太陽追尾システムの様々な実施の形態は、その殆どが、既製住宅のルーフトラスの間に設置するのに適したものであり、なぜならば、本発明の太陽追尾システムにおける基礎構造系1は、2本または3本以上のルーフトラスの上に架装することができるからである(ルーフトラスの間隔は、通常、8フィート〜10フィートである)。
【0015】
本発明の好適な1つの実施の形態では、直動型アクチュエータ10、12を構造部材としても利用している構成としている。直動型アクチュエータ10、12を構造部材として利用することによって、適切な動作を行なわせるために必要な強度を確保しつつ、製造コストを低減することができる。また本発明の好適な1つの実施の形態では、直動型アクチュエータ10、12を、油圧ポンプにより駆動される油圧シリンダとしている。
【0016】
添付図面から明らかなように、また特に図6A〜図6Cに示したように、直動型アクチュエータ10、12及び支柱14の夫々の下端部が基礎構造系1に連結している連結箇所の配置形態も、また、直動型アクチュエータ10、12及び支柱14の夫々の上端部がサブフレーム16に連結している連結箇所の配置形態も、いずれも三角形を成す配置形態とされる。基礎構造系1への連結箇所が成す三角形の寸法、並びに、サブフレーム16への連結箇所が成す三角形の寸法は、個々の実施の形態における必要条件に応じて様々に設定される。例えば、標準的なPVパネルのための太陽追尾システムは、ミラーを用いて太陽光を集中させる装置(即ち、コンセントレータ)のための太陽追尾システムと比べて、誤差の許容量が大きい。そのため、標準的なPVパネルのための太陽追尾システムは、厳しい照準精度を要求される太陽光集光装置のための太陽追尾システムと比べて、より小型のシステムとすることができ、それゆえ、連結箇所が成す三角形の寸法も、より小さなものとすることができ、また使用するアクチュエータも、より小型のものとすることができる。図6Aに示したのは直角三角形の配置形態(「RA」型太陽追尾システム)24であり、図6Bに示したのは、二等辺三角形の配置形態(「ISO」型太陽追尾システム)25であり、図6Cに示したのは正三角形の配置形態(「EQ」型太陽追尾システム)27である。
【0017】
図1〜図5に示したように、本発明の1つの実施の形態における基礎構造系1は、I形鋼十字組構成体4と、取外し可能で調節可能な複数の基礎据付部材6(例えば、打ち込み杭、ねじ込み杭、ねじ込み地中アンカー、等々)とを備えている。本発明の別の1つの実施の形態では、3つの基部(即ち、支柱14の基部と、2つのアクチュエータ10、12の夫々の基部)の夫々の下側に個別に基礎を設けるのではなく、単一の基礎によってそれら3つの据付箇所を支持するようにしている。そのような実施の形態とする場合には、例えば、大型のコンクリートスラブなどを基礎として用いるとよい。また、そのような実施の形態では、基礎構造系1を構成するコンクリートスラブに、I形鋼十字組構成体4などの構成体を据付けるための調節可能な据付部材を装備するようにしてもよく、或いはまた、3つの基部を個別に据付けるための調節可能な据付部材を装備するようにしてもよい。I形鋼十字組構成体4を据付ける場合には、その設置方位を、十字形に組んだビーム材の一方が南北方向に延在し、他方が東西方向に延在するような方位とした上で、調節可能な基礎据付部材6によってビーム材の水平を出すようにするとよい。2つのアクチュエータ10、12及び中央の支柱14は、予めそれらの下端部をI形鋼十字組構成体4に連結しておくことが好ましい。そのように構成した太陽追尾システムは、設置工事が短時間で完了し、設置強度が高く、設置費用が低廉である上に、供用期間(20年〜30年程度である)の終了後に太陽追尾システムを除去して原状回復するための工事費用も低廉である。
【0018】
図10に示したように、本発明の好適な1つの実施の形態においては、アクチュエータ12の下側に台座用支柱44を装備することによって、一方のアクチュエータ10の下端部のジョイント型連結機構またはピン型連結機構15の高さと、他方のアクチュエータ12の下端部のジョイント型連結機構またはピン型連結機構15の高さとを異ならせた構成としている。このアクチュエータ下端部の(即ち、アクチュエータ12の基部の)ジョイント型連結機構またはピン型連結機構15の高さをこのように高くすることが望ましいのは、これによって、日出直後及び日没直前に東西方向に大きな角度で操向する際の太陽追尾システム2の安定性及び強度を向上させることができるからである。更に加えて、アクチュエータ12の下側に台座用支柱44を装備することによって、アクチュエータ12に歪みが発生しにくくなり、また、アクチュエータ12が周囲の部材と干渉しにくくなるため、太陽追尾システム2の操向角度を、プラットフォーム18を太陽光線に対して垂直な姿勢にするための操向角度に、効率的に到達させることができるようになる。
【0019】
図9A及び図9Bに示したように、本発明の好適な1つの実施の形態では、支柱14の基礎構造系1より幾分高い部位と、アクチュエータ10、12に装備されている基礎据付部材との間(アクチュエータとして油圧シリンダを用いた実施の形態ではそのシリンダとの間)に、斜材であるブレース材38が連結されている。このようにブレース材38を連結することによって、支柱14の強度を向上させ、及び/または、支柱14を製作するために必要とされる材料の量を低減することができ、もって、支柱14の製作コストを低減することができる。I形鋼十字組構成体4を使用しない実施の形態では、アクチュエータ10、12に装備されている基礎据付部材と、支柱14との間に、ブレース材ないしトーション抵抗バー40を連結することによって、アクチュエータ10、12及び支柱14の回転を阻止するようにするとよい。この場合、連結したブレース材ないしトーションバー40は、支柱基部17に結合した長尺の桿部材として機能することになり、また、アクチュエータ10、12に装備されている基礎据付部材は、支柱基部17の移動を阻止するアンカーとして機能することになる。アクチュエータ10、12に装備されている基礎据付部材をこのように利用することは非常に効果的であり、なぜならば、アクチュエータ10、12の基部に作用する荷重の方向は、最大抵抗を与えるねじ込み杭などの基礎据付部材42(または同様のもの)の軸心の延在方向に対して垂直な方向だからである。
【0020】
図1〜図5に示した好適な実施の形態に説明を戻して、支柱14の上端部に装備されているリンク型連結機構22は、そのボディ部材の延在方向が固定されており、そのため支柱14の中心軸の周りの回転力に対して抵抗力を発揮することができる。更に、支柱14それ自体も、リンク型連結機構22から伝達されるこの支柱14の中心軸の周りの回転力に対して抵抗力を発揮することができるように構成されている。このように、支柱14の中心軸の周りの回転力に抵抗し得ることから、較正作業を実行する際にこの太陽追尾システム2を直立姿勢に保持することが可能となっている。
【0021】
支柱14の上端部に装備するリンク型連結機構22の取付角度、及び、アクチュエータ10、12の上端部に装備するジョイント型連結機構20の取付角度は、リンク型連結機構22及びジョイント型連結機構20をそれら連結機構の機構的限界内で最適に使用することのできる取付角度とされている。アクチュエータ10、12の上端部に装備するジョイント型連結機構20の自由回転可能な角度範囲は、アクチュエータ10、12の自由回転可能な角度範囲に更に幾分かの余裕分を加えた角度範囲としておくのがよい。
【0022】
図7及び図8は、支柱14の上端部に装備されている二自由度のリンク型連結機構22を更に詳細に示した図である。この支柱14の上端部の二自由度のリンク型連結機構22は、非常に大きな捻り力に耐え得る十分な強度を有するように構成されている。図7に示した好適な実施の形態に係るリンク型連結機構22は、強風を受けたときに作用し得る最大の捻り力に耐えられるように構成されている。また、このリンク型連結機構22はボディ部材31を備えており、このボディ部材31によって第1枢軸33と第2枢軸35とが連結されている。第1枢軸33及び第2枢軸35は、夫々がベアリングアセンブリ28を備えたものとすることが好ましく、第1枢軸33のベアリングアセンブリ28と第2枢軸35のベアリングアセンブリ28とはそれらの軸心が互いに直交しており、これによってリンク型連結機構22は二自由度の運動が可能となっている。ボディ部材31は半径「r」を有するため、このボディ部材31に作用する捻り力は夫々の枢軸33、35に対応した各一対のベアリングアセンブリ28の間で分配され、そして各一対のベアリングアセンブリ28のベアリング30によって担持されるようになっている。
【0023】
図7に示した好適な実施の形態に係る支柱用リンク型連結機構22では、更に、第1枢軸33の軸心と第2枢軸35の軸心とが離隔しており、従って、それらの軸心間距離であるオフセット32が確保されている。そして、このオフセット32が確保されているために、日没時にサブフレーム16が略々水平線へ向けられたときにも、サブフレーム16と支柱14との間に十分な隙間が確保されるようになっている。また更に、このオフセット32が確保されているために、直動型アクチュエータ10、12の動作位置がそれらの伸縮限度の近傍にあるときにも、サブフレーム16に大きな角度の操向運動を行なわせることが可能となっている。また更に、このオフセット32が確保されているために、アクチュエータ12の動作位置がその短縮限度の近傍にあるときにも、このアクチュエータ12の梃比が適切に維持されるようになっている。
【0024】
図8に示したリンク型連結機構23は、図7に示したリンク型連結機構22と比べて更にコンパクトなリンク機構を構成しており、しかも水平線の近傍へ向けたときの角度範囲における特異点も少ない。本発明の別の実施の形態に係るこのリンク型連結機構23は、略々ピローブロック型のベアリングアセンブリを用いて構成されている。図7のリンク型連結機構22と、図8のリンク型連結機構23との基本的な相違点は、図8のリンク型連結機構23は枢軸を含んでいない(このリンク型連結機構23では、枢軸は支柱14及びサブフレーム16の一部である)のに対して、図7のリンク型連結機構22はリンク機構の一部として枢軸33、35を含んでおり、また、図7のリンク型連結機構22は、図8のリンク型連結機構23と比べて、枢軸の軸心間距離であるオフセットがより大きく確保されている。図8のリンク型連結機構23は鋼板29を備えており、この鋼板29によってベアリングアセンブリ28が適切な相対位置に保持されている。図8のリンク型連結機構23の短所は、図7に示したリンク型連結機構22と比べて、同一角度の回転運動を発生させるために、より長いアクチュエータを必要とすることである。図8のリンク型連結機構23を使用した太陽追尾システムは、その設置場所によっては、一年のうちに何日か、太陽に照準を合わせるための角度にすることができない日が生じるおそれがあるため、図8のリンク型連結機構23は好ましいものではない。むしろ、リンク型連結機構22の方が好ましく、なぜならば、リンク型連結機構22は、非常に大きな角度の回転運動を許容するものであるため、特に日出時や日没時に、サブフレーム16ないしプラットフォーム18を一列に並べて太陽光線に対して直交させる上で好都合だからである。
【0025】
図7及び図8から容易に理解されるように、リンク型連結機構22、23は、風圧による大きな荷重がそれらに作用したときに、その荷重のためにそれらリンク型連結機構が歪むことにより発生する角度変位量が、非常に小さなものとなるような構成とされている。リンク型連結機構22には、ベアリング30と枢軸との嵌め合い公差、並びに、ベアリング30とベアリングアセンブリ28との嵌め合い公差を、非常に小さくし得るという利点があり、そのためそれら構成部品を低コストで製作することができ、また、それら構成部品に発生する歪みを非常に小さなものとすることができる。また、枢軸33と枢軸35との間にオフセット32が確保されていることから、太陽追尾システムに、太陽系の運動を高精度で模した運動を行なわせることができ、そのため、一方のアクチュエータ10によって一日の中での時刻に応じた角度制御を行なわせ、他方のアクチュエータ12によって一年の中での日付に応じた角度制御を行なわせるようにすることができる。リンク型連結機構22のボディ部材31の長さによって、このリンク型連結機構22の構成部材が周囲の他の部材と衝突することなく到達可能な回転運動の最大角度が決まる。リンク型連結機構22の寸法は、アクチュエータ10、12に作用する荷重をできる限り小さく押さえつつ、必要なだけの運動の自由度を確保できる寸法にしてある。リンク型連結機構22は、一体化された金属製部品として形成することも可能であるが、溶接で接合して製作することも可能である。その典型的な構成例は、例えば、リンク型連結機構22のうちの枢軸33、35をボディ部材31とは別に製作し、そして、塑性加工により捻りを加えるかまたは切削加工により削り出して製作したボディ部材31にそれら枢軸33、35を溶接等により接合するというものである。リンク型連結機構22のボディ部材31の製作方法としては、その他にも、ブロック状の素材から鍛造により製作する方法、平板状のバー部材に塑性加工により捻りを加えて製作する方法、それに、鋳造により製作する方法などがある。
【0026】
当業者には容易に理解されるように、図示した実施の形態の変更構成例に相当する実施の形態として、ジョイント型連結機構20及び/またはピン型連結機構15の替わりに、ボールジョイントなどの連結機構を用いた構成とすることも可能である。それは、アクチュエータ10、12に装備する連結機構が、回転を許容する連結機構だからである。これに対して、支柱14の上端部に装備するジョイント型連結機構ないしリンク型連結機構22、23は、それをボールジョイントに替えることはできない。その理由は、支柱14の上端部に装備する連結機構は、自由な回転運動を阻止する機能を提供するものでなければならないからであり、また、そのオフセット32の長さ(即ち、ジョイント型連結機構ないしリンク型連結機構の部材の長さ)がゼロでないものとすることが好ましいからである。しかし、本発明の別の実施の形態として、オフセットの長さをゼロにしたリンク型連結機構を用いる構成とすることも可能である。
【0027】
図16及び図16Aに示した太陽追尾システム2は、アクチュエータ10、12に加えて更に、第3アクチュエータ34を備えたものである。第3アクチュエータ34をサブフレーム16に付加することにより、この第3アクチュエータ34がプラットフォーム18の一端の連結部36を昇降動し、サブフレーム16に対して相対的にある角度をもって傾斜させることができる。これによって日出時及び日没時の太陽追尾の精度が向上しており、なぜならば、プラットフォーム18の回転運動の自由度が増大することで、水平線に沿った走査(ISO型太陽追尾システムの場合)や、水平線を指向するまで下方への走査(RA型太陽追尾システムの場合)が可能となっており、それによって、一年の中のどの日でも、日出時及び日没時の太陽位置を正確に捕捉可能になっているからである。また、サブフレーム16の高さを一定高さだけ増大させることによっても、或いは、サブフレーム16の高さを調節可能にしておき、その高さを増大させる調節を加えることによっても、この太陽追尾システム2を日出直後及び日没直前の太陽を捕捉するのに適したものにすることができる。以上に説明した付加的機能は、太陽追尾システムに搭載するソーラーパネルの種類によっては特に好ましいものであり、また、日出直後ないしは日没直前に発電可能であることが重要である場合に特に好ましいものである。
【0028】
この太陽追尾システム2は、設置作業を短時間で、且つ低コストで行なえるように構成されている。特に組立作業を円滑に進めることができ、それは、この太陽追尾システムの構成によれば、複数の組立工程を同時並行的に進行させることができるからであり、例えば、基礎構造系1の組立工程、サブフレーム16の組立工程、その他構造部品(アクチュエータ10、12及び支柱14)の組立工程、それに基礎構造系1の設置場所及び設置方位を選定する工程などを同時並行的に進行させることができる。そして、それら同時並行的な工程によって組立てられた夫々のアセンブリを、最終的に、クレーン(またはそれに類似した作業機)を使用して相互に組付けることによって、設置作業を効率的に行なうことができる。この太陽追尾システムに電力を供給するための電源は、安定したクリーンな電源であればどのような形態のものでもよい。本発明の好適な1つの実施の形態においては、太陽追尾システムの電気関連部品は、風雨などの環境要因から防護することのできる収容体の中に収容されている。
【0029】
この太陽追尾システム2は、具体的な用途に合わせて様々な実施の形態とすることのできるものである。個々の実施の形態は、その実施の形態が用いられる特定の用途に必要とされる機能を提供するために、その実施の形態に固有の特徴を備えることになる。図6A〜図6Cに示した3通りの実施の形態は、標準的形態である二等辺三角形25の配置形態としたもの(図6B)、好適形態である直角三角形24の配置形態としたもの(図6A)、それに、正三角形27の配置形態としたもの(図6C)を図示している。更に、支柱14の高さ及びアクチュエータ10、12、34の長さも実施の形態によって様々に設定され、それによって太陽追尾システムの動作特性が様々に異なったものとなる。
【0030】
フィードフォワード制御系:
【0031】
当業者には容易に理解されるように、本発明の様々な実施の形態に用いられるフィードフォワード制御系は、様々な手段を用いて構成し得るものであり、そのフィードフォワード制御系に入力される入力データとしては、例えば、一日の中での時刻、日付、GPS座標、基礎構造系の設置方位などがあり、またそれらのみに限定されない。本発明の好適な1つの実施の形態では、コンピュータを含む制御用ハードウェアが、それら入力に基づいて、所与の一日の中で変化する太陽の角度位置を表わす複数組のデータ値集合を算出するようにしている。本発明に用いるコンピュータを含む制御用ハードウェアは、通常のプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)の入出力機能と同等の入出力機能を備えたものとすることが好ましい。更に、本発明の好適な1つの実施の形態におけるフィードフォワード制御系では、一連の多項式スプライン曲線を用いて、直動型アクチュエータ10、12、34の動作位置を制御するようにしている。それら多項式スプライン曲線を作成するには、一日の中で変化する太陽の角度位置を、複数の測定点において測定し、そして、測定して得られた太陽の角度位置へ太陽追尾システムを指向させるための直動型アクチュエータ10、12、34の動作位置を、太陽の角度位置の測定値と、本発明の実施の形態に係る太陽追尾システムの機械構成部分の形態とに基づいて、それら複数の太陽の角度位置の各々について算出するようにしている。こうして求めた直動型アクチュエータ10、12、34の複数の作動位置が、スプライン曲線を生成するための複数のデータ点となり、生成されたスプライン曲線は、日出から日没までの期間における時刻「t」の関数となる。様々な実施の形態のうちには、このようにして生成するスプライン曲線に加えて更に別のスプライン曲線を併用するようにした実施の形態もあり、併用されるスプライン曲線は、例えば、リンク型連結機構22の枢軸33、35の角度位置、並びに、時間の関数であるそれら角度位置の変化速度である角速度を、直動型アクチュエータ10、12、34の動作位置、並びに、それらの線速度に対応させたスプライン曲線などである。
【0032】
また、集中制御用コンピュータ、或いは、個々の太陽追尾システムに装備されているコンピュータが、予め格納されたデータに基づいて、翌日の昼間時に使用するスプライン曲線を前夜の夜間時に算出するようにしている。集中制御用コンピュータがスプライン曲線を算出するようにするのは、例えば、1箇所または数箇所の太陽光発電施エリアに設置されている多数の太陽追尾システムの全てにおいて同じスプライン曲線を使用する場合などであり、その場合には、個々の太陽追尾システムにデータテーブルの格納機能を備えておく。そのデータテーブルには、スプライン曲線に適用する係数を格納しておくとよく、ここでいうスプライン曲線に適用する係数とは、アクチュエータ(油圧シリンダ)の動作位置(またはその動作位置に対応した角度位置)、並びに、それに対応したモータ回転速度(またはオンオフ動作回数ないし制御弁の動作位置)を、t(これは時刻である)、及びΔt(これはタイムゾーン内のGPS経度位置に対応した時刻偏差である)の関数として表わすためのものである。別法として、個々の太陽追尾システムに、十分に大容量の格納機能を備えておき、数年分のデータテーブルを格納しておくようにするのもよい。様々な実施の形態のうちには、そのデータテーブルの中に、複数組のスプライン曲線を格納すると共に、然るべき要因に基づいて選択される補正曲線集合を格納するようにした実施の形態があり、ここでいう然るべき要因としては、例えば、日付、または、GPS座標値として与えられる経度値及び時刻偏差(設置位置)、または、それら日付と設置位置との両方などである。
【0033】
本発明の別の1つの実施の形態では、データテーブルを用いて太陽追尾システムを制御するようにしているが、ただしそのデータテーブルにスプライン曲線を格納して用いるのではなく、そのデータテーブルに入力データと入力時刻とを対応させて格納しておき、その格納しておいたデータを用いて太陽追尾システムを制御するようにしている。本発明の更に別の実施の形態として、太陽の角度位置の算出作業の全てをリアルタイムで行なうようにしたものがある。この実施の形態では、アクチュエータの動作位置、及び/または、リンク型連結機構22の角度位置に基づいて、フィードフォワード制御を行なうようにしており、ただしスプライン曲線を用いてアクチュエータの動作位置及び動作速度を表わすのではなく、高度角及び方位角から、アクチュエータの動作位置、及び/または、リンク型連結機構22の角度位置をリアルタイム算出するようにしている。本発明の更に別の実施の形態では、フィードフォワード制御も行なわず、スプライン曲線も使用せず、太陽の角度位置を表わす高度角及び方位角の標準値からアクチュエータの動作位置を算出すると共に、一連の制御ルールを適用することによって制御を行なうようにしている。
【0034】
本発明の好適な1つの実施の形態では、スプライン曲線方式を用いて、フィードフォワードモデルを構築するようにしている。このようにしているのは、太陽の角度位置及びその微分値(角度位置の変化速度)をリアルタイムで算出する方式では、格段に大きな計算能力が必要とされる上に、非常に大きな計算誤差が発生し、更には、多くの特異点が発生する可能性があるからである。そして、計算処理の複雑さの増大はハードウェアの高コスト化につながる一方で、制御系の精度及び安定性は劣ったものとなる。
【0035】
好適な1つの実施の形態では、スプライン曲線方式を用いて、アクチュエータ10、12、34の動作速度の調節制御と動作位置の調節制御とを、昼間時を通して並行して実行するようにしており、また、それらのうち動作速度の調節制御の方はインクリメント調節方式とし、動作位置の調節制御の方は連続調節方式(または、インクリメント調節方式ではあるが、インクリメント幅と調節頻度とを非常に細かくしてインクリメント調節方式であることが殆ど認知できないようにした方式で)実行するようにしている。
【0036】
本発明の好適な1つの実施の形態において用いられているスプライン曲線は、マルチセグメントの三次多項式スプライン曲線であって、以下の数式で表わされるものである。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
【数3】

【0040】
【数4】

【0041】
以上の一連の数式の解法は当業者には周知のものである。また、以上の具体例として示した一連の数式の係数を求めるための連立方程式は、各々が16個の変数を含む16個の数式(動作位置を表わす数式)を含むものであり、その一意の解を求めるためには16個のデータ点が必要である。動作位置に関する複数の条件式(それらは変数tのある値に対応した条件式である)と、連続性に関する複数の条件式(それらは関数f、f、f、fが連続するという条件を表わした条件式である)との組合せによって、それら16個のデータ点が確定される。より高次の多項式スプライン曲線を用いれば、更に大規模な連立方程式になるものの、サブフレーム16及び/またはプラットフォーム18の角度を目標角度に合わせるための直動型アクチュエータ10、12、34の動作位置の精度が向上する。また、支柱用リンク型連結機構22の枢動軸の目標角度位置を表わす一連のスプライン曲線を用いて、フィードフォワード補正ループを形成している。これに関しては、支柱用リンク型連結機構22の2本の枢軸の夫々の実際の角度位置を測定し、それらを夫々の目標角度位置と比較して、夫々の制御誤差を導出する。そして、それら制御誤差に所定のゲインを乗じて得られる値をフィードバック補正ループで用いて、フィードフォワード制御系に補正を施すようにしている。
【0042】
フィードフォワード制御系の好適な1つの実施の形態では、時間微分を用いて運動のヒステリシスを抑制ないし排除するようにしている。また、一連のスプライン曲線を算出する際に、時刻tの値に微小増分期間(Δt期間)を加算して時刻を進めた上でその算出を行なうことによって、太陽追尾システムの応答及び制御回路の応答の物理特性に起因する時間遅れを殆ど排除することができる。太陽追尾システムを駆動するために用いる様々なスプライン曲線の各々を算出する際に、Δt期間を加算して算出を行なうようにすれば、駆動手段の動作とセンサのフィードバック信号とが、より高精度で一致するようになる。一方、動作位置の検証と、誤差の測定とには、Δt期間を加算しないリアルタイム時刻を用いる。以上のようにΔt期間を加算することによって、実際に制御誤差が1桁程度小さくなる。
【0043】
本発明の様々な実施の形態のうちには、スプライン曲線を、その複数のセグメントのうちの少なくとも1つにおいて、二次多項式スプライン曲線としている実施の形態があり、また、同じく三次多項式スプライン曲線としている実施の形態もあり、同じく更に高次の多項式スプライン曲線としている実施の形態もある。
【0044】
更に、アクチュエータ10、12、34の目標動作位置を表わしている数式の一次導関数を算出することによって、アクチュエータ10、12、34の目標動作速度を導出するようにしている。直動型アクチュエータ10、12、34として油圧シリンダを用いている場合には、その目標動作速度の値を更に、作動流体の必要流量の値に変換し、この変換はコンピュータによって容易に行なうことができる。また、その作動流体の必要流量の値を更に、フィードフォワード制御系が使用する、ポンプ駆動用モータの回転速度ないしそのモータへ供給する必要のある電流の値に転換する。
【0045】
フィードフォワード制御系は、アクチュエータ10、12、34の制御を、非常に精度が高くしかも滑らかな制御方式(例えば、ポンプ駆動用モータの回転速度制御、アクチュエータ駆動手段のパルス変調制御、或いは、制御弁の高速オンオフ制御など)で行なう。このような制御方式によれば、アクチュエータ10、12、34を過度に駆動することが殆どまたは全くないため、アクチュエータ10、12、34並びにその他の機械構成部品の摩耗並びに歪みを低減することができ、また、供給電流及び消費電力を小さく抑えることができる。
【0046】
更に、上に示した一連のスプライン曲線を構成する4つの数式(関数f、f、f、f)の夫々の導関数が連続するという条件を課すことによって、太陽追尾システム2の機械的構成部品の動作を最大限に滑らかにすることができると共に、それら機械的構成部品の摩耗を最小にすることができる。また、かかる条件を課すことによって、機器の信頼性も向上する。
【0047】
本発明の好適な1つの実施の形態においては、アクチュエータ10、12、34の動作位置を表わしているセンサ信号、及び/または、リンク型連結機構22の角度位置を表わしているセンサ信号を用いて、フィードフォワード制御系に補正ないし更新を施すようにしている。これは、フィードバック制御系を形成しているということである。当業者には容易に理解されるように、このようなフィードバック制御系を形成するための入力信号としては、直動型アクチュエータの動作位置を表わしている信号、リンク型連結機構22の2本の枢軸33、35の夫々の角度位置を表わしている信号、それに、太陽光検出センサの出力信号などを用いることができるが、またそれらのみに限定されない。風の抵抗力や機器の各部に作用する摩擦力は、環境条件及び時間と共に変化している。それらの小さな変動ないし変化を補償するには、誤差信号に小さなゲインを乗じた信号に基づいて、アクチュエータ10、12、34の動作速度に調節を施すことで、それらアクチュエータの実際の動作位置と目標動作位置とを一致させるようにすればよい。また、誤差信号に更に小さなゲインを乗じた信号に基づいて、アクチュエータ10、12、34を今後動作させる際に供給する電力に調節を施すようにすれば、フィードフォワード制御モデルの精度が次第に向上して、そのときの環境条件及び機器状態により即したモデルへと変化して行く。
【0048】
通信機能を備えるようにすることで、太陽追尾システムの実稼働時間を大幅に増大させることができる。また別の実施の形態として、制御系にインターネット通信の機能を付与することで、制御系が、保守整備要求の送信、及び/または、ステータス問合せに対する応答を行なえるようにしたものがある。
【0049】
本発明の様々な実施の形態は、その太陽追尾システムの設定を、以下に列挙する設定カテゴリのうちのいずれか1つとすることが好ましい。
【0050】
1.PVパネルに適合させ、且つ、緯度30°〜50°の地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0051】
2.PVパネルに適合させ、且つ、緯度0°〜30°の地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0052】
3.PVパネルに適合させ、且つ、緯度50°以上の高緯度地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0053】
4.PVパネルに適合させ、且つ、緯度30°〜50°の地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0054】
5.PVパネルに適合させ、且つ、緯度0°〜30°の地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0055】
6.PVパネルに適合させ、且つ、緯度50°以上の高緯度地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0056】
7.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度30°〜50°の地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0057】
8.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度0°〜30°の地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0058】
9.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度50°以上の高緯度地域で地表面上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0059】
10.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度30°〜50°の地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0060】
11.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度0°〜30°の地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0061】
12.集光型PVパネルに適合させ、且つ、緯度50°以上の高緯度地域で建物の屋根上に設置する場合に適合させるための、最適設定。
【0062】
尚、様々な実施の形態のうちには、0°、30°、及び50°以外の緯度範囲に合わせて最適設定を施したものもある。また、以上のものに変更を加えた本発明の実施の形態として、上記の12通りの設定カテゴリの各々に対して、風圧に対する耐力を高めるための更にもう一段階の最適設定を施すようにしたものがある。
【0063】
上記の12通りの設定カテゴリの各々において、更に、三角形の寸法、プラットフォーム18ないしソーラーアレイの寸法、アクチュエータ10、12、34の長さ、及び/または、支柱14の高さに対して、個々の実施の形態に特有の条件に合わせた調節を施すようにするのもよい。例えば、標準的なPVパネルは、低コストで製作可能な太陽追尾システムとすることが要求されるが、角度許容誤差は大きい。一方、太陽光を合焦させるための太陽追尾システムや、太陽光を集光するための太陽追尾システムは、標準的なPVパネルを搭載する太陽追尾システムよりも角度許容誤差は小さいが、単位出力あたりのコストは低廉となる。
【0064】
設置地域が北米大陸である場合には、緯度の関係から、PVパネルの仰ぎ角は、水平線を指向しているときの最小角度から、正午の最大角度まで増大させて行くことになり、その最大角度は、設置場所の緯度と、当日が一年のうちのどの日であるかに応じて決まることになる。ISO型太陽追尾システム(二等辺三角形25に基づく)では、ある特定の緯度範囲内に設置するのであれば、その緯度範囲内のどの場所に設置する場合でも支柱14の必要高さは同じになるが、しかしながら、その緯度範囲から外れた場所に設置する場合には、支柱14の必要高さがそれとは異なった高さになる。設置位置が赤道に近いほど、支柱14としてより背の高いものが必要となり、設置位置が北へ行くに従って、支柱14としてより背の低いものが必要となる。ISO型太陽追尾システムにおいては、いかなる場合にも、支柱14の高さは、アクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34が完全に短縮したときの長さを考慮して、その長さに適合する高さにすべきである。
【0065】
サブフレームに取付けたソーラーパネルのアレイパネル及びパネルフレームが、地表面との間に適切な間隔を維持できるように、支柱14の基部、アクチュエータ10の基部、及びアクチュエータ12の基部の高さには、余裕を持たせておくのがよい。本発明の1つの実施の形態として、支柱14及びアクチュエータ10、12の各々に高さ調節機構を付加したものがあり、それら高さ調節機構によって高さを上昇させることで、地表面との間に適切な間隔を維持することが可能となっており、また、太陽追尾システムにより大型のプラットフォーム18を搭載することが可能となっている。また、基礎構造系1の全体の下側に複数の高さ調節機構を装備することによって、基礎構造系1の全体の高さを調節できるようにするのもよく、例えば、I形鋼十字組構成体4の下側に複数の高さ調節機構を装備し、それら高さ調節機構によって、I形鋼の水平を取ると共に、I形鋼十字組構成体4の全体の高さを調節できるようにするのもよい。また、このように、高さ調節機構によって水平を取ることができるようにしておくことは、地表面が傾斜している設置場所に太陽追尾システムを設置する場合に特に有用である。
【0066】
本発明の1つの実施の形態として、高さ調節機構を、I形鋼十字組構成体4の構成部材のうち高さ調節機構の直上または直下を延在していない構成部材の先端に、斜材としてのトーション抵抗バー40を介して連結したものがある。トーション抵抗バー40で連結することによって、高さ調節機構の安定性が高まり、高さ調節機構に作用する捻り力に対抗する力も高まる。
【0067】
アクチュエータ10、12、34が発生する駆動力の大きさも、太陽追尾システムの必要とされる高さ寸法に合わせて設定するのがよい。大型の太陽追尾システムになるほど、構成部品も大型でなければならず、アクチュエータ10、12、34も大型のものが必要となる。
【0068】
ISO型太陽追尾システム(二等辺三角形25に基づく)を、北半球の北方高緯度領域内、または南半球の南方高緯度領域内の設置場所に設置する場合には、アクチュエータ10、12の短縮時の上端高さよりも支柱14の上端高さの方を高くした実施の形態、即ち、図示した実施の形態とはそれらの高さの相対関係を逆にして構成した実施の形態とすると有利である。また、本発明の実施の形態に係るISO型太陽追尾システムをそのように構成した場合には、その太陽追尾システムを、支柱14が赤道から遠い側に位置するような向きで設置するのがよい。これは、システムの設置場所が赤道から離れた場所になるほど、夏期及び冬期の日出位置が南北へ大きく離れるようになるからである。
【0069】
既述のごとく、本発明の好適な1つの実施の形態では、直動型アクチュエータ10、12、34として油圧シリンダが使用されており、油圧シリンダが使用されるのは、油圧システムは信頼性及び強度に優れたシステムであることが知られているからである。また、油圧システムはシステム構成部品の入手が容易であり、油圧技術に習熟した人材には不足することがない。ただし、これと異なる構成の実施の形態として、油圧シリンダの替わりにスクリューロッド式、空圧式、またはその他の方式の直動型アクチュエータを使用した実施の形態とすることも可能である。そのような実施の形態では、アクチュエータの駆動源としてモータを用いることが好ましい。ただし、当業者には容易に理解されるように、アクチュエータを駆動するための手段としては様々な手段を用いることができ、例えば、制御弁を備えたポンプ、ギアを備えたモータ、ベルトプーリ機構を備えたモータなどの手段を用いることができ、またそれらのみに限定されない。
【0070】
本発明の好適な実施の形態のうちに、太陽追尾システムの制御系をフィードフォワード制御系としたものがある。このフィードフォワード制御系は、太陽追尾システムの設置位置の座標値、日付、及び時刻に対応した、太陽の角度位置を、前もって予測し、そして、その予測値に基づいて制御を行なうものである。このフィードフォワード制御系に入力される入力データとしては、例えば、一日の中での時刻、日付、GPS座標値、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置または角度位置を表わすフィードバック値、それに太陽追尾センサの出力データ値などがあり、またそれらのみに限定されない。このフィードフォワード制御系の出力によって制御される制御対象量は、モータ回転速度や、作動流体流量などである。油圧システムを含む構成とした実施の形態のうちには、このフィードフォワード制御系が更に、作動流体の流れの方向を制御する制御弁の動作位置を制御するようにした実施の形態がある。また、そのような実施の形態では、流量調節可能な1つの制御弁を、或いは、1つまたは複数のバイナリの制御弁を、過剰流量分の作動流体をリザーバへ還流させるためのダンプ弁として装備するようにしている。このフィードフォワード制御系は、ポンプを駆動するモータを制御して作動流体の流れを発生させるに際して、その作動流体の流量が、太陽追尾システムに必要な運動を発生させるための必要流量に略々正確に一致するように制御を行なうことができる。そのため、作動流体の流量が過剰となることは通常はなく、ただし、必要流量が小さすぎて、モータ及びポンプがその必要流量を正確に発生させることができない場合などには作動流体の流量が過剰となることがある。また、太陽追尾システムの運動が停止していてポンプがスタンバイモードで運転されているとき(例えばウォーミングアップ運転中)にも、作動流体の流量が過剰となることがある。
【0071】
本発明の1つの実施の形態に用いられている、以上に説明したフィードフォワード制御系においては、その制御系に入力される様々な入力データのうち、一日の中での時刻と、日付とは、無線周波数信号(RF信号)から取得するか、或いは、ローカル・サーバ、GPSシステム、内部クロック、等々から取得するようにしている。GPS座標値は、内部GPSシステムから取得するか、或いは、外部GPSから取得してフラッシュメモリに格納するようにしている。また別の実施の形態においては、GPS座標値を、ローカル・サーバ等から取得するようにしている。基礎構造系の設置方位は、セットアップ時に入力してフラッシュメモリに格納するか、或いは、センサ等から入力されるようにしている。油圧シリンダの動作位置は、リアルタイムで取得するようにしており、例えばセンサ等から入力されるようにしている。太陽追尾センサの出力データも、リアルタイムで取得するようにしており、例えばセンサ等から入力されるようにしている。
【0072】
更に、このフィードフォワード制御系からは、アクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34の動作位置を測定しているセンサの測定値の予測値、または、リンク型連結機構22の動作角度を測定しているセンサの測定値の予測値が出力され、そして、出力されたセンサの測定値の予測値は、当該センサが実際に出力する測定値(実測値)と比較されて、制御誤差が導出される。この制御誤差が、このフィードフォワード制御系の中のフィードバック制御系の部分で利用される。即ち、その制御誤差に比較的小さなゲインを乗じて得られた値に基づいて、ポンプ回転速度(またはモータ回転速度)及び制御弁の動作位置に対して動的補正を施すことによって、太陽追尾システムに目標とする運動を発生させるようにしている。本発明の好適な1つの実施の形態では、このフィードバック制御系の部分の制御によって、太陽追尾システムの機械構造部分の特性変化を補償するようにしており、補償する機械構造部分の特性変化には、摩擦力に関する特性変化や、環境条件の変化、特に温度変化に伴う特性変化などがあるが、それのみに限定されない。
【0073】
また、様々な実施の形態のうちには、太陽光検出センサの出力信号を利用してフィードバック制御を行なうことによって、太陽追尾システムの動作を最適化するようにしたものがある。太陽光検出センサは、プラットフォーム18に実際に入射している太陽光の入射方向が、最適入射方向(プラットフォーム18に対して垂直な方向)からどれほど偏位しているかを検出するセンサであり、この太陽光検出センサの出力に比較的小さなゲインを乗じて時間積分した値に基づいてフィードバック制御を行なうことで、フィードフォワード制御による位置制御に対して、その補正量が低速で変化する安定した補正を施し、もって、フィードフォワード制御の制御目標値に対して、制御目標値から所定範囲内の補正を加えるようにしている。こうして補正された制御目標値が出力されるために、アクチュエータ10、12、34(油圧シリンダ)の動作位置に補正が加えられ、最終的には、ポンプ駆動信号及び制御弁駆動信号に補正が加えられることになる。この実施の形態では、太陽光検出センサとして、二次元電荷結合デバイス(2D−CCD)などの画像センサに僅かな光学部材を組合せたものを使用するとよく、そうすれば、ただ1個のセンサによって太陽光の入射方向を検出することができ、特に、画像センサを用いる場合には、その画像センサの出力信号に計算処理を施して、画像の輝度中心点を求めるようにすればよい。ただし、この実施の形態に使用するセンサとして、同様の機能を有するその他の様々なセンサを使用することが可能である。
【0074】
アクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34の動作位置の「時間あたり変化量」(これはアクチュエータの動作位置を表わす数式の一次導関数である)と、油圧ポンプを駆動するモータの回転速度との間には、一定の関係が存在しており、その関係を既述した数学モデルが、太陽追尾システムの制御系にその1つの構成要素として組込まれている。これについて説明すると、先ず、スプライン曲線を表わしている数式を微分して得られる一次導関数は、アクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34の作動ロッドの移動速度を表わす。油圧システムを制御する制御系は、アクチュエータとして使用している油圧シリンダのシリンダ内径寸法即ちロッド外径寸法が分かっていれば、そのアクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34の作動ロッドを、一次導関数で表わされる移動速度で移動させるための作動流体の必要流量を算出することができる。制御系は更に、この作動流体の必要流量の値と、ポンプの1回転あたりの吐出量とから、ポンプの必要回転速度を算出することができる。そして、このポンプの必要回転速度から、当該ポンプを駆動するモータの回転速度を制御するための駆動回路へ送出すべき制御信号の値を算出することによって、必要流量の作動流体の流れを発生させることができる。
【0075】
本発明のシステムの動作速度は非常に低速であるため、大型のモータを必要としない。本発明のシステムを駆動するモータは、耐久性に優れた小型モータ(例えば電気掃除機用モータと同程度の大きさのモータ)であればよい。また、モータの始動回数を少なくすることが、モータの摩耗を低減する上で有効である。そのため、連続運転用モータとして構成されている小型モータを使用して連続制御を行なう方が、連続運転用ではないために始動及び停止を頻繁に行なわねばならない大型モータを使用するよりも良好な結果が得られる。フィードフォワード制御系は、駆動量をバランスさせることができるため、オンオフ動作の実行回数を最小限に抑えることができる。また、制御弁の動作の実行回数を最小限に抑えることは、動作信頼性を向上させる上でも重要である。フィードフォワード制御系が駆動量をバランスさせることで、制御弁の動作の実行回数も最小限に抑えられる。
【0076】
本発明の様々な実施の形態のうちには、アクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34に、そのアクチュエータ(油圧シリンダ)の動作時の長さ(即ち、アクチュエータの一端の連結部の中心から他端の連結部の中心までの長さ)を直接的に測定するセンサを装備したものがあり、このようなセンサは、シリンダボディの外部に取付けるようにしてもよく、シリンダボディの内部に組込むようにしてもよい。上述のフィードバック制御のアルゴリズムで用いられている個々のアクチュエータ(油圧シリンダ)10、12、34の動作位置を表わすフィードバック信号は、このセンサから得られるものである。ただし、本発明の好適な実施の形態のうちには、このようなセンサを使用せずに、リンク型連結機構の枢軸の角度位置をエンコーダで測定し、その測定値からアクチュエータの動作位置を算出することによって、フィードバック信号を得るようにしたものもあり、この方式の方が、アクチュエータの動作位置を直接的に測定する方式よりも精度がよくコスト的にも有利である。
【0077】
RA型太陽追尾システムまたはISO型太陽追尾システムとして構成された本発明の実施の形態のうちには、アクチュエータ10、12の上端部とサブフレーム16とを連結するユニバーサルジョイント型連結機構を取付けるための取付孔をサブフレーム16に複数設けたものがある。このような実施の形態では、太陽追尾システムの設置場所の緯度や許容誤差の要求に応じて、サブフレーム16へのユニバーサルジョイント型連結機構の取付位置を変更することができる。支柱14、アクチュエータ10、及びアクチュエータ12の夫々の上端部がサブフレーム16に連結している3つの連結箇所が互いに近接するように、ユニバーサルジョイント型連結機構を取付ける取付孔を選択することで、日出時及び日没時などに太陽追尾システムの操向角度を非常に大きな角度にすることができ、一方、それらの連結箇所が互いに離隔するように、ユニバーサルジョイント型連結機構を取付ける取付孔を選択することで、太陽追尾システムの操向精度を向上させることができる。
【0078】
本発明の1つの実施の形態として、太陽追尾システムの操向可能な角度範囲を360°の全周としたものがある。この実施の形態では、この角度範囲で操向可能にするために、アクチュエータ10、12として、その動作ストロークが(三角形を成している3つの連結箇所の高さと比べて)長いものを使用すると共に、支柱14の上端部の高さが、動作位置が中点にあるときのアクチュエータ10、12の上端部の高さと等しくなるようにしている。
【0079】
センサについて:様々な実施の形態のうちには、その実施の形態における制御系が、運動の自由度の各々に対応して1種類または2種類以上のセンサを備えているものがある。それらセンサには、例えば、エンコーダ、直動型変位センサ、水平検出センサ、それにビジョンセンサなどがあり、またそれらのみに限定されない。エンコーダは、例えば、リンク型連結機構の摺動軸33、35の角度位置を直接的に測定するためなどに用いられる。直動変位センサには、磁歪センサ、レーザセンサ、超音波センサ(例えばMTS社製のセンサなど)等々があり、直動偏位センサは、例えば、直動型アクチュエータ10、12、34の動作長さを計測するためなどに用いられる。プラットフォーム18が水平姿勢にあるか否かを検出するためには、ジャイロスコープや水銀スイッチなどのデバイスが用いられる。更に、実施の形態のうちには、その制御系に、マシンビジョンシステム、及び/または、光電素子(ないしはそれに類似した素子)を組込んだものもある。マシンビジョンシステムは、太陽追尾システムが指向している方向の角度位置と、太陽光が実際に入射してくる方向の角度位置との間の、角度的な誤差を測定するために用いられている。この測定された誤差に基づいて、その誤差を低減するように、制御系の補正ないし較正が行なわれる。
【0080】
本発明の様々な実施の形態のうちには、直動型アクチュエータの動作長さを測定するセンサを用いる替わりに、或いは、直動型アクチュエータの動作長さを測定するセンサと併用する補助センサとして、太陽追尾システムの指向方向に関する高度角及び方位角を測定するセンサを使用しているものがある。高度角及び方位角を測定する装置を使用することによって、太陽追尾システムに確実に高精度の動作を行なわせることができるため、例えば、太陽光合焦方式、太陽光集光方式、それにミラー反射集光方式などのような、許容誤差の小さな太陽光発電システムにも、本発明の太陽追尾システムを好適に適用することができるようになる。更に、本発明の1つの実施の形態においては、制御系に入力する入力データとして、上で述べた入力データに加えて更に、発電系に関する統合データを入力するようにしたものがあり、この実施の形態では更に、本発明のオプション装備であるインターネット接続を介して、太陽光発電システムの所有者や保守整備サービス提供者がその統合データにアクセスできるようにしている。本発明の様々な実施の形態のうちには、更に、太陽光検出センサの出力信号をフィードバック信号として利用することで、太陽追尾動作が適切に行なわれているか否かを検証できるようにしたものがある。この太陽光検出センサは、太陽の角度位置がプラットフォーム18の延在平面に直交する方向からどれだけ偏位しているかを直接的に検出するセンサであって、例えば、太陽光発電システムの出力電力を測定することによってその偏位を検出するようにしたセンサなどがある。
【0081】
また別の実施の形態として、太陽光の入射角度をリアルタイムで測定すると共に、測定値の差分を算出する計算処理によって一次導関数に相当する値を導出することにより、その測定値を直動型アクチュエータの目標動作位置へと直接的に変換するようにしたものがある。この実施の形態では、先に説明したスプライン曲線を利用する方法の代替方法として、測定値を計算処理によって直動型アクチュエータの目標動作位置へ変換する方法が採用されているのである。
【0082】
昼間時較正作業について:本発明の1つの実施の形態として、光電素子などの検出素子を備えたものがあり、中空管はその軸心がプラットフォーム18の延在平面に対して垂直な方向に延在するようにして取付けられており、その中空管の底部に検出素子が配設されている。中空管の直径及び長さは、中空管の中を通過した太陽光が検出素子によって検出されるか否かのときに、検出精度が必要精度となるような大きさに選定されている。これとは別の方法として、太陽追尾システムに搭載されている一つ以上のソーラーパネルの出力電力を測定し、その測定値に基づいて、プラットフォーム18に対する太陽光の入射角度(これはソーラーパネルに対する太陽光の入射角度である)が許容角度範囲にあるか否かを検出するようにしてもよい。出力電力の測定値を利用する場合には、出力電圧の増大と低下により、制御系が較正作業を実行しているときに太陽の現在位置に関する更なる情報を得ることができる。即ち、較正作業における通常の太陽位置検出方式では所定時間が経過しても太陽の現在位置を検出できなかった場合に、制御プログラムは、プラットフォーム18の指向方向を円を描くように変化させ(即ち、走査円に沿って走査し)、そして、一周するごとに走査円の半径を段階的に増大させることによって、同心円走査を実行する。この同心円走査における走査円の中心は、較正作業を開始した時点のプラットフォーム18の指向方向であり、この同心円走査を実行しているうちに、太陽の現在位置が検出されるか、或いは、その走査円の半径が所定の大きさに達した(即ち、プラットフォーム18の当初の指向方向からの偏位角が所定の大きさに達した)ならば、その時点で同心円走査を終了する。プラットフォーム18の当初の指向方向からの偏位角が所定の大きさに達した場合には、太陽追尾システムは、較正作業を開始する前に使用していた予測太陽移動経路に従って所定時間が経過するまで太陽追尾動作を続行する。そして、太陽が再びセンサで検出されるようになったならば、そのまま通常の太陽追尾動作を続行する。一方、太陽が再びセンサで検出されるようにならなかった場合には、太陽の探索作業を再び開始する。その探索作業によって太陽が発見されたならば、発見時のリンク型連結機構22の枢動軸33、35の角度位置に応じた較正オフセット量を設定する。一方、所定回数の探索作業を行なっても太陽が発見されなかったならば、較正作業を再度実行できるようにするための保守整備要求メッセージを送信する。また、太陽の中心位置を求めるために、太陽追尾システムは、走査によって太陽が発見された走査円に沿って、太陽が検出されなくなる限界点まで走査を続ける。そして、その走査円のうちの太陽が検出されていた円弧部分の長さと、その円弧部分を通過していたときの時刻とを測定し、その円弧部分に関するそれら情報を用いて、太陽追尾システムの設置場所のGPS座標値と当日の日付とから得られる、当日の太陽の予測見かけ形状に基づいて、太陽の中心位置を算出する。
【0083】
本発明の1つの実施の形態として、上で説明した同心円走査をマシンビジョンセンサを用いて行なうようにしたものがあり、この実施の形態によれば、その同心円走査を、太陽追尾システムを実際に操向走査して行なうのではなく、ソフトウェアで実行するため、より高速の同心円走査が可能である。また、本発明の別の1つの実施の形態として、太陽の検出を、光学センサを用いて行なうのではなく、ソーラーパネルから出力される電力を計測するセンサを用いて行なうようにしたものがある。
【0084】
本発明の好適な1つの実施の形態として、太陽を探索するための同心円走査において、ある走査円に沿って走査を行なっているときに、太陽が検出され始めた角度位置及び時刻と、太陽が検出されなくなった角度位置及び時刻とを記録するようにしたものがある。この実施の形態では、その記録データを用いて計算処理を行なうことによって、太陽追尾システムの同心円状の回転走査における運動が既知であること、天空を横切る太陽の運動が既知であること、及び、太陽の見かけの大きさ及び形状が既知であることを利用して、太陽の中心を求めるようにしている。
【0085】
夜間時較正作業について:毎日の夜間時に、太陽追尾システムの姿勢を、そのプラットフォーム18が水平に延展する水平姿勢にした上で、水平検出センサ(ジャイロスコープなど)に基づいて、その水平姿勢のチェックを行なう。その水平姿勢が、所定許容範囲内にあることが確認されたならば、この夜間時較正作業の作業手順は終了する。一方、その水平姿勢が、所定の許容範囲から外れていた場合には、昼間時較正作業において太陽を探索するために行なう走査作業と同様の作業を行なって水平姿勢を検出し、そして、前述のようにしてオフセット角度を設定するか、或いは、最大探索領域が広い場合には、スプライン曲線を生成するための方位角及び高度角の入力データに検出結果を適用する。
【0086】
通信機能(コミュニケーション)について:好適な1つの実施の形態においては、太陽追尾システムが、光ファイバー、無線、及び/または、有線などの回線を組合せて構築したローカル・イーサネット(登録商標)・ネットワークなどのネットワークを備えており、そのネットワークを介して、太陽追尾システムが、インターネットに接続されているローカル・サーバと通信を行なえるようにしている。同じ太陽光発電施設内に設置されている一群の太陽追尾システムの総台数に応じた適宜の台数のローカル・サーバが、それら一群の太陽追尾システムにとっての、上位制御及びデータ取得システム(supervisory control and data acquisition system: SCADAシステム)としての機能を提供するようにしてある。このSCADAシステムはインターネット接続を利用して、自らのローカル・クロックをリモート・サイトの原子時計クロックと同期させる作業を毎日実行する。また、このSCADAシステムは更に、自らのリアルタイム・クロックを太陽追尾システムのリアルタイム・クロックに同期させる作業を夜間またはシステム始動時に実行する。更に加えて、このSCADAシステムは、夜間にスプライン曲線を生成するために必要なその他の情報を中継し、その際に、時刻、太陽追尾システムの位置座標、太陽光の入射角度座標、ないしはスプライン曲線の係数を取得する。SCADAシステムは更に、データ集積装置としても機能し、また、アラームのモニタ、データの収集、等々の機能も実行する。更には、この接続を利用してメッセージないしレポート(例えば保守整備要求など)を送信する。
【0087】
上述のいずれの較正作業に関しても、その較正作業によって得られた補正量の値は、それを制御系の出力に適用することによって太陽追尾システムの性能を向上させることができ、また、それをフィードフォワード制御系の入力データとすることによって太陽の予測移動経路を表わす出力に、その較正作業によって得られた補正量を組込むことができる。
【0088】
風圧の影響の緩和について:好適な1つの実施の形態として、強風による大きな風圧が作用したときに、その風圧によってシステムの構成部品が破損ないし変形するのを防止するために、その風圧に対処するための動作をアクチュエータ10、12、34に行なわせるように構成した太陽追尾システム2がある。アクチュエータ10、12、34として油圧シリンダを使用する太陽追尾システムの場合には、個々の油圧シリンダにカウンタバランス弁を装備することによって、そのような構成とすることができる。カウンタバランス弁の作動点は、風圧のために作動流体の圧力が上昇して通常風力下で必要とされる圧力を超えそうになったときに、作動流体を放出して圧力上昇を回避するように設定しておく。かかる状況下で放出された作動流体は、油圧シリンダの両端とリザーバタンクとの間を流動する。カウンタバランス弁から放出される作動流体の放出量は、風圧の大きさに応じた量となる。カウンタバランス弁は必要なときにしか開弁しないため、油圧シリンダの動作量は極めて小さい。一瞬の強風が過ぎ去ったならば、油圧シリンダは駆動システムに駆動されて放出前の動作位置に所定誤差範囲内で復帰する。この復帰に要する時間は作動流体の放出によって生じた油圧シリンダの動作量によって異なるが、常に数分以内に復帰可能である。この機能を備えることによって、システムを強風による損傷から防護することができる。また、この機能を備えた太陽追尾システムが太陽光エネルギの捕集を行なうことのできる上限風速は、この機能を備えていない太陽追尾システムにおける上限風速よりも、はるかに大きな風速となる。
【0089】
本発明の1つの実施の形態として、油圧システムのリザーバが支柱の内部に収容されている構成としたものがある。これは、支柱の内部空間の一部分を、作動流体を収容するための空間としたものである。
【0090】
当業者には容易に理解されるように、本発明の実施の形態には、太陽追尾システムが機構的限界を超えて駆動されることを防止するための防止手段として、バンパーなどの部材を装備するようにするとよい。そのため、本発明の1つの実施の形態として、太陽追尾システムが機構的限界を超えて駆動されることを防止するためのバンパーを装備したものがある。そのバンパーは、太陽追尾システムが強風に曝されたときに、太陽追尾システムが損傷したり、不都合な方向へ移動したりするのを防止するものである。また、システムが強風に曝されたときに、電源が故障していた場合には、上述の風圧の影響を緩和するための機構と、そのバンパーとが、太陽追尾システムを水平に延展する姿勢に持って行くように構成されており、それは、風圧による荷重が最小になる姿勢である。尚、電源が故障しても、そのとき強風が吹いていなければ、この実施の形態の太陽追尾システムは、電源が故障したときの姿勢が、電源が回復するまで維持される。
【0091】
バランスについて:太陽追尾システム2は、リンク型連結機構22を中心としてバランスの取れた構成としておくことが望ましく、そうすることで、地表面との間の間隔を可及的に広く取ることができ、また、風圧による荷重が、プラットフォーム18を水平に延展する姿勢に持って行くように作用するものとなる。更に、そうすることで、多くの状況下において、アクチュエータ10、12、34に作用する荷重を可及的に小さくする効果が得られる。尚、ここでいうバランスとは、質量的なバランスではなく、形状的なバランスのことである。
【0092】
作動流体について:アクチュエータとして油圧シリンダを使用する実施の形態では、その油圧シリンダの作動圧力を低圧とし、また、その動作時間比を小さくした構成とすることが望ましく、そうすることで、作動流体として生分解性作動油を好適に使用することができるようになる。生分解性作動油は環境に優しく、また、生分解性作動油を使用することによって、太陽追尾システムの撤去費用及び保守整備費用も軽減される。
【0093】
油圧ホースの損傷について:既述のごとく、本発明の実施の形態のうちには、油圧シリンダに直接、カウンタバランス弁を装備したものがある。そのような実施の形態では、油圧ホースに損傷が発生したときに、そのカウンタバランス弁の機能によって、油圧シリンダの動作位置が、油圧が回復するまで現状位置に保持される。また、作動流体の圧力源の圧力が、油圧シリンダを動作させることができない圧力にまで低下したときには、制御系がその状況を検出して自動的に油圧システムをシャットダウンするようにしてある。いずれの場合にも、作動流体の漏出量は極めて少量である。この実施の形態の油圧システムに使用されている、接続部品、密封用シール材、それに油圧ホースは、いずれも最新技術を用いて製作されたものであって、保守整備作業の負担が小さく、漏出発生確率の小さい、高品質のものである。
【0094】
本発明の太陽追尾システムの実施の形態のうちには、複数の油圧シリンダへ油圧を供給するために、1台のポンプと複数の制御弁とを用いる構成としたものもあり、また、それとは異なる構成として、個々の油圧シリンダごとに個別のモータ付きポンプ(例えばモータ付き双方向ポンプなど)を用いる構成としたものもある。
【0095】
本発明の別の1つの実施の形態として、駆動系を積層構造とし、基層である第1層の駆動操作機構の上に第2層の駆動操作機構を搭載し、その上に第3層の駆動操作機構を搭載し、その上に第4層の駆動操作機構を搭載するというように積層して、駆動操作量が累積する構成としたものがある。この積層構造方式とすることによって、駆動操作の自由度を増大させることができ、また、連結機構の機械構造的限界に影響されにくくなる。
【0096】
本発明の1つの実施の形態として、サブフレームに更なる運動自由度を付与して、補助的な駆動操作としてその運動を行なわせるようにしたものがある。この更なる運動自由度は、1本または複数本の回転軸心の周りの回転運動であり、その回転軸心を適宜設定することによって運動の範囲を拡大し、また運動の精度を向上させることができる。例えば、本発明の様々な実施の形態のうちには、太陽追尾システムを水平線に沿って操向させる回転運動(方位角を変化させる回転運動)の角度範囲が非常に狭いものや、そのような回転運動が不可能なものがある。そのような実施の形態では、南北方向の回転運動を可能にすることが、日出直後及び日没直前に水平線上に位置している太陽を追尾する上で効果的である。
【0097】
更に、本発明の1つの実施の形態として、アクチュエータの基部及び支柱の基部に対して補助的な駆動操作を加えるように構成したものがあり、この構成もまた、太陽追尾システムの融通性及び精度を向上させるための1つの手段である。この実施の形態では、アクチュエータ及び支柱の基部を基礎構造系に据付けるための基礎据付部材の各々を、単一の回転可能な基部形成部材に取付けておくようにするとよい。
【0098】
本発明の1つの実施の形態として、ストラット型ダンパなどの緩衝器を更に装備したものがあり、このような緩衝器を付加することで、太陽追尾システムの振動を排除し、摩耗量を低減することができる。
【0099】
更に、本発明の実施の形態のうちには、太陽追尾以外の用途に用いるためのシステムとしたものがあり、例えば、衛星用パラボラアンテナの操向システム、推進手段(例えばプロペラやジェットエンジンなど)の操向システム、それに、兵器の搭載/照準システムなどがある。
【0100】
本発明の1つの実施の形態として、フィードフォワード制御を行なわないシステムとしたものがある。この実施の形態では、スプライン曲線によって表わされている位置を、標準的な比例積分微分制御(PID制御)のための入力データとして利用している。
【0101】
また別の実施の形態として、枢動連結箇所を追加して更なる回転運動を可能にした構成とするのもよく、例えば、支柱14の上端部に装備したリンク型連結機構22の全体を回転可能にした構成、支柱14の全体を回転可能にした構成、それに、太陽追尾システム2の全体を回転に可能にした構成などとすることができる。それらの構成とすることの主たる目的は、早朝や遅い午後における太陽追尾システムの精度を向上させることにある。本発明の実施の形態に搭載する太陽光エネルギ変換機器の種類によっては、以上のように枢動連結箇所を追加して更なる回転運動を可能にすることによって、日出時及び日没時の発電可能時間を1〜2時間延長できる可能性がある。
【0102】
本発明の別の実施の形態として、太陽追尾システムの設置姿勢を、水平ではない姿勢としたものもある。例えば、太陽追尾システムの設置場所は、建物の側壁であることもあれば、傾斜地の急斜面などであることもある。それらの設置場所では、太陽光の入射時間の一日を通した合計時間が短くなるが、太陽光が入射しているときに太陽追尾を行なうことで効率が向上するという利点が得られる。
【0103】
本発明の更に別の実施の形態として、支柱の高さを変化させるようにしたものがある。この実施の形態では、直動型アクチュエータなどを用いて支柱の上端部を上下に移動可能にするとよく、ただしその上下移動の際に、支柱の上端部に装備した連結機構が支柱の軸心を中心として回転することがないように、回転を防止できる直動型アクチュエータを用いるか、または、その直動型アクチュエータとは別に回転防止のための枠体などを設けておく。この実施の形態によれば、動作ストロークの短い各々のアクチュエータを使用して、プラットフォームを広い角度範囲において操向することが可能となる。
【0104】
当業者には容易に理解されるように、本発明の実施の形態は、アクチュエータを2つだけ備えた太陽追尾システムに限定されない。本発明の実施の形態のうちには、第3アクチュエータを備えたものがある。この第3アクチュエータは、アクチュエータ10、12と同様に、その一端がサブフレーム16に直接連結され、また、支柱14の反対側であり、アクチュエータ10、12のうちの東西方向操向用アクチュエータに対して対称的な配設位置に配設されている。この第3アクチュエータは、東西方向操向用アクチュエータと同じ機能を果たすものであって、この第3アクチュエータが付加されることで、強度及び安定性が向上している。
【0105】
図12A及び図12Bに示したように、本発明の実施の形態のうちには、太陽追尾システムで使用する1つ以上の油圧シリンダを、反転シリンダ76としたものがある。このようなシリンダの構成は、引張力だけを発揮するものであり、ロッドに付着した塵芥が重力によって移動する際に、ロッドのシール部材78から離れる方向へと移動することが利点となる。
【0106】
更に、図13〜図15に示したように、本発明の実施の形態のうちには、第2支柱80を備えた構成(4本脚の構成)とすることによって、安定性を向上させ、捻り力に対する抵抗を高めたものがある。この実施の形態によれば、第2支柱80は、リンク型連結機構22の下側の回転軸と整列して配設されており、下側連結枢軸82は、第1支柱14と第2支柱80との間を延在して両端がそれら支柱14、80によって支持されている。リンク型連結機構22は更に、一対のリンク型連結機構補強部材81により補強されている。
【0107】
図19〜図21に示したように、本発明の別の実施の形態として、スプロケットギア48及びラックギア50を介して駆動操作を行なうように構成した定回転力駆動レバー46を備えたものがある。この実施の形態によれば、更に、並設した複数台の太陽追尾システム56の東西方向操向操作を、1個のアクチュエータ52で行なえるようになっている。1個のアクチュエータ52が1本のロッド54を往復動させるようにしてあり、このロッド54に、個々の太陽追尾システム56に装備されたラックギア50が連結されている。それらラックギア50は個々の太陽追尾システム56に装備されたスプロケットギア48に噛合している。スプロケットギア48には支柱上端リンク部材58が直接連結されており、ロッド54が往復動すると、支柱上端リンク部材58は東西方向に(ないしはセットアップ時に設定した目標方向に)回転する。ロッド54は地表面に沿って、または地表面の近傍を延在するものであるが、ただし、太陽追尾システムの運動に支障を生じないだけの隙間が地表面との間に確保されている。スプロケットギア48の歯部はその半径寸法がR1であり、この半径寸法は、支柱上端リンク部材58の下側枢軸の回転軸心60からロッド54に連結されているラックギア50までの距離に等しい。様々な実施の形態のうちには、支柱64を2つの支柱部分から成る分割型支柱として、ロッド54及びスプロケットギア48をその支柱64の2つの支柱部分の間に配設したものもあり、或いはまた、ロッド54及びスプロケットギア48を支柱65の近傍に配設したものもある。個々の太陽追尾システム56に装備された第2アクチュエータ66は、要求性能に応じて、連続的に作動するようにしてもよく、周期的に作動させるようにしてもよい。その他の様々な実施の形態のうちには、第2アクチュエータ66の替わりに、長さが固定した部材、または、手動で長さを調節できる部材を使用したものがある。この実施の形態によれば、他の実施の形態に係る太陽追尾システムと比べて低コストで製作することができ、性能の点でも優れたものである。
【0108】
更に別の実施の形態として、東西方向操向用アクチュエータを水平配置として、そのアクチュエータによってラックギアを駆動し、そのラックギアによって支柱用リンク型連結機構の一部を構成しているスパーギアを回転させるように構成したものがある。このスパーギアの中心部は、支柱用リンク型連結機構の下側枢軸である。支柱用リンク型連結機構の上側枢軸は、このスパーギアの周縁部の2箇所においてこのスパーギアに結合されることで、十分に長いスパンをもってこのスパーギアに連結されており、これによって、強度及び安定性を確保されており、また、上側枢軸は下側枢軸から十分な距離をもって離隔しているために、適切な角度方向の運動の自由度が得られており、太陽の全ての角度位置に太陽追尾システムが到達できるようになっている。上側枢軸と下側枢軸とは、互いに直交する方向としておくことが好ましい。上側枢軸の両端がサブフレームに連結されている2つの連結箇所と、第2アクチュエータの一端がサブフレームに連結されている1つの連結箇所とは、それら3つの連結箇所が安定した三角形を成すような配置とされている。水平配置としたアクチュエータは、その固定側の端部が短支柱で支持され、そのロッド側の端部が上記支柱(主支柱)で支持されている。短支柱と、主支柱と、第2アクチュエータの基部とは、安定した三角形を成すような配置とされている。主支柱は2つの支柱部分から成る分割型支柱としてもよく、或いは、ただ1本の支柱であって、ただしその支柱に、駆動されるラックギアとアクチュエータ支持部材とを挿通することのできる挿通部を形成したものとしてもよい。
【0109】
図22、図22A、及び図22Bに示した更に別の実施の形態では、第3アクチュエータとして、その下端を地表面に連結したアクチュエータ68を使用している。この実施の形態は、スプロケット使用直角三角形型(RAS型)太陽追尾システムであって、東西方向操向用アクチュエータ74に正対する位置に、スプロケットまたはノンスリッププーリ72を配設し、このスプロケットまたはノンスリッププーリ72に懸装したチェーンまたは綱索70の一端を第3アクチュエータ68で引張るようにしたものである。この実施の形態では、東西方向操向用アクチュエータ74がどの東西角度位置にあるときにも、一定の大きさの回転力を付与することができ、水平線の近傍を指向しているときの安定性が向上する。チェーンまたは綱索70は、スプロケットまたはノンスリッププーリ72の上側に懸装するようにしてもよく、下側に懸装するようにしてもよい。
【0110】
以上に本発明の様々な好適な実施の形態の構成並びにそれらの変更構成について詳細に説明したが、容易に理解されるように本発明は以上に説明した実施の形態の構成並びに変更構成に限定されるものではなく、当業者であればそれら構成に対して特許請求の範囲に記載した本発明の概念及び範囲から逸脱することなく更にその他の変更ないし変形を加えることが可能である。例えば、本発明は4本以上のアクチュエータを備えた構成とすることもでき、3本以上の支柱を備えた構成とすることもでき、斜めに延在する支柱を備えた構成とすることもでき、更にその他の構成要素を備えた構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 基礎構造系
2 太陽追尾システム
4 I形鋼十字組構成体
6 基礎据付部材
8 据付面
10 アクチュエータ
12 アクチュエータ
14 支柱
15 ジョイント型/ピン型連結機構
16 サブフレーム
17 支柱基部
18 プラットフォーム
20 ジョイント型連結機構
22 リンク型連結機構
23 リンク型連結機構
24 直角三角形
25 二等辺三角形
26 中心軸
27 正三角形
28 ベアリングアセンブリ
29 鋼板
30 ベアリング
31 ボディ部材
32 オフセット
33 第1枢軸
34 第3アクチュエータ
35 第2枢軸
36 連結部
38 ブレース材
40 トーション抵抗バー
42 基礎部材
44 台座用支柱
46 定回転力駆動レバー
48 スプロケットギア
50 ラックギア
52 東西方向操向用アクチュエータ
54 ロッド
56 太陽追尾システム
58 支柱上端リンク部材
60 回転軸心
64 支柱
66 第2アクチュエータ(南北方向操向用アクチュエータ)
68 地表面に連結するアクチュエータ
70 チェーン
72 スプロケット
74 東西方向操向用アクチュエータ
76 反転シリンダ
78 ロッドのシール部材
80 第2支柱
81 リンク型連結機構補強部材
82 下側連結枢軸
84 引張バー
86 チェーン連結部
88 止着ピン
90 トーションバー
92 押動バー
94 案内ピン
96 基礎板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて、
少なくとも1枚のソーラーパネルを支持するためのサブフレームを備えており、
前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱を備えており、
前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結要素を備えており、該リンク型連結要素は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでおり、
前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔しており、
少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有しており、
前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとを連結している回転ジョイント型連結要素を備えており、
前記直動型アクチュエータを駆動するための駆動系を備えており、
フィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものであり、
フィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある、
ことを特徴とする太陽追尾システム。
【請求項2】
前記直動型アクチュエータの前記第1端部と基礎構造系とを連結している回転ジョイント型連結要素を更に備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1本の台座用支柱を更に備えており、該台座用支柱の該第1端部は基礎構造系に連結されており、該台座用支柱の該第2端部は回転ジョイント型連結要素を介して直動型アクチュエータに連結されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記第1枢軸、前記第2枢軸、及び前記ボディ部材は、それらが一体化されて形成されているか、または、それらが夫々に別体の部材として形成されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第1枢軸の端部及び前記第2枢軸の端部は、前記支柱の上端部に取付けられたベアリングアセンブリ及び前記サブフレームの底部に取付けられたベアリングアセンブリに嵌装されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
複数本のビーム材と複数個の据付部材とを含む基礎構造系を更に備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
複数本のブレース材を更に備えており、それらブレース材は、その第1端部がビーム材に連結され、その第2端部が前記支柱に連結されていることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項8】
前記回転ジョイント型連結要素と、前記リンク型連結要素とは、二自由度の運動を許容する連結要素であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記駆動系は油圧システムを含んでいることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記支柱の内部に前記油圧システムのリザーバが収容されていることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項11】
前記直動型アクチュエータは油圧シリンダであり、前記駆動系は油圧ポンプに連結された電気モータであり、前記フィードフォワード制御系は前記電気モータ及び前記油圧システムに含まれる一連の制御弁とコミュニケートして前記サブフレームを目標位置へ移動させることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項12】
複数本のトーションバーを更に備えており、それらトーションバーは、その第1端部が前記直動型アクチュエータの基部に連結され、その第2端部が前記支柱の基部に連結されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記サブフレームがその機構的限界を超えて駆動されるのを防止する防止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のデータ点は、予め定められているデータ点であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のデータ点は、リアルタイムで算出されるデータ点であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のテータ点は、一日の中での時刻、日付、GPS座標値、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置、前記リンク型連結要素の動作角度、制御弁の動作位置、及び太陽追尾センサの出力データ値を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピュータは多項式スプライン曲線を利用していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記多項式スプライン曲線は時間微分特性を有することを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記多項式スプライン曲線は、二次項式スプライン曲線、三次多項式スプライン曲線、または四次以上の多項式スプライン曲線であることを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項20】
アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて、
少なくとも1枚のソーラーパネルを支持するためのサブフレームを備えており、
前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱を備えており、
前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結要素を備えており、該リンク型連結要素は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでおり、
前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔しており、
前記第1枢軸、前記第2枢軸、及び前記ボディ部材は、それらが一体化されて形成されており、
少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有しており、
前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとを連結している回転ジョイント型連結要素を備えており、
前記直動型アクチュエータを駆動するための油圧システムを含む駆動系を備えており、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1本の台座用支柱を備えており、該台座用支柱の該第1端部は基礎構造系に連結されており、該台座用支柱の該第2端部は回転ジョイント型連結要素を介して直動型アクチュエータに連結されており、
フィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものであり、
前記複数のテータ点は、時刻、日付、GPS座標値、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置、前記リンク型連結要素の動作角度、制御弁の動作位置、及び太陽追尾センサの出力データ値を含んでおり、
前記コンピュータは多項式スプライン曲線を利用しており、
フィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある、
ことを特徴とする太陽追尾システム。
【請求項21】
アクチュエータ駆動式且つフィードフォワード制御式の太陽追尾システムにおいて、
少なくとも1枚のソーラーパネルを支持するためのサブフレームを備えており、
前記サブフレームを支持するための少なくとも1本の支柱を備えており、
前記サブフレームと前記支柱とを連結するリンク型連結要素を備えており、該リンク型連結要素は、第1枢軸と、第2枢軸と、前記第1枢軸と前記第2枢軸との間を延在するボディ部材とを含んでおり、
前記第1枢軸と前記第2枢軸とは、それらの延在方向が実質的に互いに直交しており、且つ、前記ボディ部材の長さと略々等しい距離だけ互いに離隔しており、
前記第1枢軸、前記第2枢軸、及び前記ボディ部材は、それらが一体化されて形成されており、
前記第1枢軸の端部及び前記第2枢軸の端部は、前記支柱の上端部に取付けられたベアリングアセンブリ及び前記サブフレームの底部に取付けられたベアリングアセンブリに嵌装されており、
少なくとも2つの直動型アクチュエータを備えており、それら直動型アクチュエータは各々が第1端部と第2端部とを有しており、それらアクチュエータは各々が構造部材として機能するものであり、
前記直動型アクチュエータの前記第2端部と前記サブフレームとを連結している回転ジョイント型連結要素を備えており、
前記直動型アクチュエータを駆動するための油圧システムを含む駆動系を備えており、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1本の台座用支柱を備えており、該台座用支柱の該第1端部は基礎構造系のビーム材に連結されており、該台座用支柱の該第2端部は回転ジョイント型連結要素を介して直動型アクチュエータに連結されており、
前記サブフレームがその機構的限界を超えて駆動されるのを防止する防止手段を備えており、
フィードフォワード制御系を備えており、該フィードフォワード制御系はコンピュータを含んでおり、該コンピュータは、複数のデータ点を入力として用いて前記直動型アクチュエータの目標動作位置を算出し、そして、前記駆動系とコミュニケートして前記直動型アクチュエータを前記目標動作位置へ駆動するものであり、
前記複数のテータ点は、一日の中での時刻、一年の中での時期、日付、GPS座標値、内部クロック、基礎構造系の設置方位、油圧シリンダの動作位置、前記リンク型連結要素の動作角度、制御弁の動作位置、及び太陽追尾センサの出力データ値を含んでおり、
前記コンピュータは、時間微分特性を有する多項式スプライン曲線を利用しており、
フィードバック制御系を備えており、該フィードバック制御系は、センサデバイスによって収集された情報を前記フィードフォワード制御系へ中継し、前記フィードフォワード制御系と前記フィードバック制御系とは統合された1つの制御系として機能するようにしてある、
ことを特徴とする太陽追尾システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図16A】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図20A】
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【図21】
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【図22】
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【図22A】
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【図22B】
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【公表番号】特表2012−516059(P2012−516059A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548112(P2011−548112)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021708
【国際公開番号】WO2010/085592
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(311017887)インスピレド スルギカル テクノロジーズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】