説明

アクティブ制振性能評価システム及びプログラム

【課題】振動モードの相違の影響を受けずに制振対象の制振性能を正確に評価できるアクティブ制振性能評価システムの提供。
【解決手段】制振対象9の振動を検出するセンサ2と制振対象を加振するアクチュエータ3とセンサ2の信号に応じて制振対象9の加振信号をアクチュエータ3に出力するアクティブ制振制御手段11とを有する制振装置1において、制御手段11の加振信号に外乱信号Aifを周波数掃引しながら重畳する外乱信号重畳手段21を制御手段11とアクチュエータ3との間に接続し、外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの周波数別振幅比Arf(=Aof/Aif)を検出する振幅比検出手段23を制御手段11とセンサ2との間に接続し、制御手段11に接続した評価手段22により、制御手段11を停止又は起動させながら停止時の周波数別振幅比Arfnと起動時の周波数別振幅比Arfcとの相違により制御手段11の制振性能を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブ制振性能評価システム及びプログラムに関し、とくに制振対象の振動に応じて制振対象を能動的に加振して振動を抑制するアクティブ制振装置の制振性能を評価するシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地震・風力その他の振動外乱を受ける建築構造物や機械構造物等の振動を抑制するため、例えば図6(A)に示すようなアクティブ制振装置1が用いられている。図示例のアクティブ制振装置1は、振動対象9の振動を検出するセンサ(加速度計等)2と、制振対象9を加振するアクチュエータ(加振機等)3と、センサ2の検出信号に基づきアクチュエータ3の作動を制御する制振制御システム(コントローラ)5とを有し、センサ2の検出信号に応じてアクチュエータ3を能動的に駆動することで制振対象9の振動を抑制する。図示例は制振対象9上に相対的可動に取り付けた付加質量4をアクチュエータ3で加振する付加質量型のアクティブ動吸振機(Active Mass Damper;AMD)を示しているが、付加質量型の他にも、制振対象9の基部近傍に設置したアクチュエータ3(圧電変換素子等)で制振対象9を直接加振する直動型のもの(特許文献1参照)、制振対象9の梁部分に組み込んだピエゾアクチュエータ3の加振により梁の曲げモーメントを制御するもの(非特許文献1及び2参照)、制振対象9の梁に沿って配設した力伝達手段をアクチュエータ3で加振するもの(特許文献2参照)等、様々な形式のアクティブ制振装置1が開発されている。
【0003】
アクティブ制振装置1の制振制御システム5は一般的に、図6(A)に示すように、センサ2のアナログ検出信号を入力してデジタル変換するアナログ/デジタル変換器(AD変換器)6と、そのデジタル信号に基づきアクチュエータ3にデジタル制御信号(指令信号)を出力するコンピュータ等の制御系10と、そのデジタル制御信号をアナログ変換してアクチュエータ3に出力するデジタル/アナログ変換器(DA変換器)7とで構成されている。制振制御システム5の制御系10は、同図(B)に示すように、制振対象9の振動特性Gf(s)とアクチュエータ3の振動特性Ga(s)とセンサ2の振動特性Gs(s)とに応じて設計され、例えば制御パラメタを含むプログラムK(s)(以下、アクティブ制振制御手段又はプログラムということがある)としてコンピュータに実装される。上述したように様々な形式のアクティブ制振装置1が開発されているが、制振対象特性Gf(s)とアクチュエータ特性Ga(s)とセンタ特性Gs(s)とに応じて設計されるアクティブ制振制御手段K(s)の原理的な構成は何れも同様である。このようなアクティブ制振制御プログラムに適用するための様々な制御理論・アルゴリズムが提案されているが(特許文献3〜5参照)、例えば最適フィードバック制御理論(非特許文献3参照)、H∞制御理論等のロバスト制御手法(非特許文献4参照)等が一般的に使われている。
【0004】
【非特許文献1】安藤雅倫他「ピエゾアクチュエータによる鉄骨造建物の上下振動の制御」日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸)、2002年8月、pp301−302
【非特許文献2】神永敏行他「ピエゾアクチュエータによる鉄骨造建物の上下振動の制御・その2」日本建築学会大会学術講演梗概集(東海)、2003年9月、pp289−290
【非特許文献3】増渕正美著「システム制御」コロナ社、1987年11月初版、p187−189
【非特許文献4】システム制御情報学会編「制御系設計−H∞制御とその応用−」朝倉書店、1994年6月初版、p11−12
【特許文献1】特開2003−221807号公報
【特許文献2】特開平5−018136号公報
【特許文献3】特許第2732681号公報
【特許文献4】特開平09−049544号公報
【特許文献5】特開平06−106946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6(A)のようなアクティブ制振装置1の制振性能は、設計図等に示された制振対象9の振動特性Gf(s)に基づきコンピュータを用いて解析的・概略的に評価できるが、高次モードを含めた制振対象9の振動特性については実際の制振対象9に適用した現地計測結果に基づき評価する必要がある。一般にアクティブ制振装置1は制振対象9に減衰を付加することで振動伝達を低減して制振するものであり、アクティブ制振装置1の制振性能は制振対象9の振動伝達をどれだけ低減できたかを指標として評価することができる。従来、アクティブ制振装置1の制振性能を現地で計測する方法として、制振対象9にアクティブ制振装置1と共に他の加振機を設置し、他の加振機で制振対象9を加振しながらアクティブ制振装置1の停止時及び起動時における制振対象9の振動波形をそれぞれ測定し、停止時の振動波形と起動時の振動波形とを比較して評価する方法(他の加振機利用型)が実施されている。しかし、このようにアクティブ制振装置1の他に加振機を利用する評価方法は、他の加振機の設置にコスト及び手間がかかるという問題点がある。
【0006】
これに対し、制振対象9にアクティブ制振装置1のみを設置し、先ずアクティブ制振装置1を駆動して制振対象9の振動がある程度成長したところで制振装置1を停止して制振対象9の振動波形を測定し、次に制振対象9の振動がある程度成長したところで制振装置1の制御系10を起動して制振対象9の振動波形を測定し、停止時(非制御時)の振動波形と起動時(制御時)の振動波形とを比較して評価する方法(他の加振機不要型)も実施されている。しかしこの評価方法は、他の加振機を必要としない利点があるものの、アクティブ制振装置1の停止時と起動時とで振動モード(周波数やモード形状)が相違するような制振対象9に対する制振性能を正確に評価できない問題点がある。
【0007】
例えば制振対象9を4質点振動系とした場合に、図7に示すようにアクティブ制振装置1の停止時(非制御時)と起動時(制御時)とで振動モード形状(及び各質点の位相差)に相違が生じると、非制御時に単一モードで加振しても制御時から見ると複数の高次モードが存在することになり、非制御時の振動波形と制御時の振動波形とで比較条件が同一でなくなるため、正確な制振性能評価ができなくなる。また、他の加振機不要型の評価方法は、制振対象9の振動減衰波形の相違(例えば減衰比の相違)により制振性能を評価することになるので、制振性能の周波数特性の全体像を把握することが難しく、その点においても正確な制振性能評価が期待できない問題点がある。制振装置の停止時と起動時とで振動モード形状が相違するような制振対象9に対するアクティブ制振性能を、他に加振機を用いることなく正確に評価できる手法の開発が望まれている。
【0008】
そこで本発明の目的は、振動モードの相違の影響を受けずに制振対象の制振性能を正確に評価できるアクティブ制振性能評価システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
図1の実施例を参照するに、本発明によるアクティブ制振性能評価システムは、制振対象9の振動を検出するセンサ2と制振対象を加振するアクチュエータ3とセンサ2の検出信号に応じて制振対象9の振動抑制用の加振信号をアクチュエータ3に出力するアクティブ制振制御手段11とを有する制振装置1の制振性能を評価するシステムにおいて、制御手段11とアクチュエータ3との間に接続して制御手段11の出力加振信号に外乱信号(例えば所定振幅の正弦波信号)Aifを周波数掃引しながら重畳する外乱信号重畳手段21、制御手段11とセンサ2との間に接続して外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの周波数別振幅比Arf(=Aof/Aif)を検出する振幅比検出手段23、検出した周波数別振幅比Arfを記憶する記憶手段25、及び制御手段11に接続して制御手段11を停止又は起動させ且つ停止時の周波数別振幅比Arfnと起動時の周波数別振幅比Arfcとの相違(例えば両者のピーク比又は面積比)により制御手段11の制振性能を評価する評価手段22を備えてなるものである。
【0010】
また図1のブロック図及び図2の流れ図を参照するに、本発明によるアクティブ制振性能評価プログラムは、制振対象9の振動を検出するセンサ2の検出信号に応じて制振対象9を加振するアクチュエータ3に制振対象9の振動抑制用の加振信号を出力するアクティブ制振制御手段11としてコンピュータ10を機能させるプログラムの制振性能を評価するため、そのコンピュータ10を、制御手段11の出力加振信号に外乱信号(例えば所定振幅の正弦波信号)Aifを周波数掃引しながら重畳する外乱信号重畳手段21、外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの周波数別振幅比Arf(=Aof/Aif)を検出する振幅比検出手段23、検出した周波数別振幅比Arfを記憶する記憶手段25、及び制御手段11を停止又は起動させ且つ停止時の周波数別振幅比Arfnと起動時の周波数別振幅比Arfcとの相違(例えば両者のピーク比又は面積比)により制御手段11の制振性能を評価する評価手段22として機能させるものである。
【0011】
好ましくは、記憶手段25にセンサ2の周波数別振動伝達特性Gsfとアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafとを記憶し、評価手段22により、外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの周波数別振幅比Arfとセンサ2及びアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gsf、Gafとから制振対象9の周波数別振動伝達率Gff(=Arf/(Gsf・Gaf))を算出し且つ制御手段11の停止時の周波数別振動伝達率Gffnと起動時の周波数別振動伝達率Gffcとの相違により制御手段11の制振性能を評価する。
【0012】
更に好ましくは、図1に示すように、アクチュエータ3に取り付ける加振力測定器32、及び評価手段25による制御手段11の停止時に外乱信号Aifに対する加振力測定器32の測定信号Amfを入力し且つ外乱信号Aifに対する測定信号Amfの周波数別振幅比Aqf(=Amf/Aif)からアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gaf(=Aqf)を検出して記憶手段11に設定するアクチュエータ特性同定手段31を更に含める。
【0013】
図6に示すように、アクチュエータ3を制振対象上に相対移動可能に取り付けた付加質量4を含むものとし、且つ、加振力測定器32をその付加質量4上に取り付ける加速度計とした場合は、記憶手段11に付加質量4の大きさmsと加速度計32のゲインkmsとを記憶し、アクチュエータ特性同定手段31により、外乱信号Aifに対する加速度計32の測定信号Amfの周波数別振幅比Aqf(=Amf/Aif)と付加質量4の大きさmsと加速度計32のゲインkmsとからアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gaf(=(Aqf・ms)/kms)を検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるアクティブ制振性能評価システム及びプログラムは、アクティブ制振制御手段11を評価手段22により停止又は起動させながら、外乱信号重畳手段21により制御手段11の出力加振信号に外乱信号Aifを周波数掃引しながら重畳してアクチュエータ3に出力し、振幅比検出手段23により外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの周波数別振幅比Arf(=Aof/Aif)を検出して記憶手段25に記憶し、評価手段22により制御手段11の停止時の周波数別振幅比Arfnと起動時の周波数別振幅比Arfcとの相違に基づき制御手段11の制振性能を評価するので、次の有利な効果を奏する。
【0015】
(イ)アクティブ制振制御手段11からアクチュエータ3への加振信号に外乱信号Aifを重畳して制振対象9を加振するので、制御手段11の停止時(非制御時)の周波数別振幅比Arfnと起動時(制御時)の周波数別振幅比Arfcとを同じ加振条件(制振対象9の加振状態)で検出することができ、加振条件の相違に起因する制振性能評価の精度低下を避けることができる。
(ロ)制振手段11の起動時の周波数別振幅比Arfnを停止時の周波数別振幅比Arfcと同じアクチュエータ3で制振対象9を加振しながら検出するので、起動時・停止時の周波数別振幅比(周波数特性)を同じ条件で検出することができ、起動時・停止時の振動モードの相違の影響を受けずに制振性能を正確に評価することができる。
(ハ)また、外乱信号Aifの周波数を所望の範囲で掃引しながら周波数別振幅比Arfn、Arfcを検出し、任意の周波数範囲で周波数別振幅比Arfn、Arfcの相違(制振性能の周波数特性)を把握することができるので、広範囲な周波数特性に基づき制振性能を評価することができる。
(ニ)更に、センサ2の周波数別振動伝達特性Gsfとアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafと基づいて周波数別振幅比Arfを制振対象9の周波数別振動伝達率Gffに変換し、制御手段11の停止時の周波数別振動伝達率Gffnと起動時の周波数別振動伝達率Gffcとの相違により制御手段11の制振性能を評価することにより、制振対象9に対する一層正確な制振性能評価が可能となる。
(ホ)他の加振機を用いる必要がなく、しかもアクティブ制振装置1の制御系10にプログラムとして実装することで制振対象9に対する制振装置1の制振性能評価を簡単に且つ自動的に行うことができるので、性能評価に関わるコスト及び時間の大幅な削減に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明のアクティブ制振性能評価システム20を、アクティブ制振装置1の制振制御システム5の制御系10に組み込んだ実施例のブロック図を示す。図示例のアクティブ制振装置1は、制振対象9の振動を検出するセンサ2に接続するAD変換器6と、制振対象9を加振するアクチュエータ3に接続するDA変換器7と、アクティブ制振制御手段11が内蔵された制御系10とを有する。図示例では制御系10をコンピュータとし、アクティブ制振制御手段11をコンピュータ10の内蔵プログラムとしている。センサ2による制振対象9の振動検出信号(センサ信号)をAD変換器6経由でコンピュータ10に入力し、その検出信号をコンピュータ10のアクティブ制振制御プログラム11において加振信号(制御信号)に変換し、変換した加振信号をDA変換器7経由でアクチュエータ3へ出力することで制振対象9の振動を抑制する。
【0017】
アクティブ制振装置1の制振制御手段11は、上述したように制振対象9の振動特性Gf(s)に応じて設計されているが、実際に適用する制振対象9の振動特性Gf(s)に応じて制振性能を評価して調整する必要がある。図示例のアクティブ制振性能評価システム20は、アクティブ制振装置1の制振制御手段11の制振性能を、適用する制振対象9の振動伝達率(アクチュエータ3の加振力に対するセンサ2の検出信号の比率)の低減を指標として評価するものであり、制振制御手段11に接続された評価手段22と、制御系10の制振制御手段11とアクチュエータ3との間の信号化合点13に接続された外乱信号重畳手段21と、制御手段11とセンサ2との間の信号分岐点12に接続された振幅比検出手段23と、記憶手段25とを有する。
【0018】
図示例のアクティブ制振性能評価システム20は、評価手段22によりアクティブ制振装置1の制振制御手段11を停止及び起動させたうえで、外乱信号重畳手段21により周波数fを掃引しながら所定振幅の外乱信号Aif(例えば正弦波信号)を発生させ、制振制御手段11とアクチュエータ3との間の信号化合点13に外乱信号Aifを加える。制振制御手段11の停止時には外乱信号Aifがアクチュエータ3に出力されて制振対象9を加振するが、制振制御手段11の起動時には、その加振信号(制御信号)に外乱信号Aifが重畳されてアクチュエータ3に出力されて停止時と同様に制振対象9を加振しながら制振制御を行う。その後、センサ2による制振対象9の振動検出信号Aofを制振制御手段11とセンサ2との間の信号分岐点12から振幅比検出手段23に入力し、外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの振幅比Arf(=Aof/Aif)を周波数f別に検出し、検出した周波数f別の振幅比Arfを記憶手段25に記憶する。制振制御手段11の停止時及び起動時に外乱信号Aifの周波数fを掃引しながら振幅比Arfの検出を繰り返することにより、停止時における振幅比Arfの周波数特性(周波数f別の振幅比Arfn)と起動時における振幅比Arfの周波数特性(周波数f別の振幅比Arfc)とをそれぞれ検出することができる。
【0019】
外乱信号Aifに対するセンサ検出信号Aofの振幅比Arfには、(1)式に示すように、制振対象9の振動伝達率Gffだけでなく、センサ2の振動伝達特性Gsfとアクチュエータ3の振動伝達特性Gafとが反映されている。しかし、掃引周波数fの範囲内でセンサ2及びアクチュエータ3の振動伝達特性Gsf、Gafがほぼ一定(フラット)であれば、振幅比Arfから制振対象9の振動伝達率Gffの変化を把握できる。例えば図示例の評価手段22において記憶手段25に記憶された停止時の周波数別振幅比Arfnと起動時の周波数別振幅比Arfcとを対比し、所定周波数範囲における両者のピーク比又は面積比の相違を検出することにより、アクティブ制振装置1の適用によって制振対象9の振動伝達率がどれだけ低減できたかを評価する。
Arf=Aof/Aif=Gaf・Gff・Gsf …………………(1)
【0020】
好ましくは、アクティブ制振装置1のセンサ2の周波数f別の振動伝達特性Gsfとアクチュエータ3の周波数別の振動伝達特性Gafとを記憶手段25に記憶しておく。センサ2及びアクチュエータ3の振動伝達特性Gsf、Gafが予め把握されていれば、性能評価システム20の振幅比検出手段23において(1)式に基づき振幅比Arfn、Arfcから制振対象9の振動伝達率Gffn、Grfcを周波数f別に算出し、評価手段22において制振制御手段11の停止時の周波数別振動伝達率Gffnと起動時の周波数別振動伝達率Gffcとの相違により制御手段11の制振性能を正確に評価することができる。ただし、センサ2の振動伝達特性Gsfは掃引周波数fの範囲内でフラットであることが多く、その場合は振動伝達特性Gsfを一定値としてもよい。アクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafは仕様書等に基づき設定してもよい。また、図示例のようにアクティブ制振性能評価システム20にアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafを同定するアクチュエータ特性同定手段31を含め、その特性同定手段31により周波数別振動伝達特性Gafを同定して記憶手段25に設定することも可能である。アクチュエータ特性同定手段31の一例もコンピュータ10の内蔵プログラムであり、その作用の詳細については後述する。
【0021】
図示例では、アクティブ制振性能評価システム20の重畳手段21、評価手段22、検出手段23をそれぞれコンピュータ10の内蔵プログラムとし、記憶手段25をコンピュータ10のメモリ等の一次又は二次記憶装置としている。性能評価システム20をアクティブ制振装置1の制御系10に制振制御手段11と共に組み込むことにより、アクティブ制振装置1を制振対象9に設置するだけで、その制振対象9に対する制振制御手段11の制振性能を自動的に評価することが可能となる。ただし、本発明の制振性能評価システム20は制振制御装置1の制御系10に組み込むことを必須の条件とするものではなく、制振制御装置1の制御系10と接続可能であるが独立したシステムとすることも可能である。
【0022】
図2は、図1のようにコンピュータ10のプログラムとして実装されたアクティブ制振性能評価システム20による評価処理の流れ図を示す。先ずステップS101において、性能評価システム20の評価手段22によりアクティブ制振装置1の制振制御手段11を例えば停止させたのち、ステップS102において外乱信号Aifの周波数fを初期値fi(例えば0.1Hz)に設定する。このような初期値fiは、予め定めて記憶手段25に記憶しておくことができる。ステップS103において、評価手段22から外乱信号重畳手段21に周波数fを入力して所定振幅の正弦波外乱信号Aifを発生させ、制振制御手段11の出力加振信号(この場合は加振信号=0)に外乱信号Aifを重畳してアクチュエータ3に出力する。ステップS104〜S105において、出力した外乱信号Aifにより生じる制振対象9の振動(センサ2からの振動検出信号)が定常状態になるまで待機したのち、性能評価システム20の振幅比検出手段23にセンサ2の振動検出信号Aofを入力して外乱信号Aifに対する検出信号Aofの振幅比Arf(=Aof/Aif)を検出する。例えばステップS104において、振幅比検出手段23を予め定めた時間(例えば外乱信号Aiの周期のn倍等)だけ待機させるか、センサ2の検出信号Aofの振幅の変動がある一定値になるまで待機させる方法が考えられる。
【0023】
振幅比検出手段23は、ステップS107において検出した振幅比Arfを記憶手段25に記憶したのち、評価手段22に対して周波数fの振幅比Arfが記録されたことを通知する。評価手段22は、ステップS108において設定範囲の周波数fの振幅比Arfが全て記憶されたか否かを確認し、全て終了していない場合はステップS109において外乱信号Aifの周波数fを所定刻み値Δf(例えば0.001Hzの刻み値)だけ変化させたうえでステップS103へ戻り、上述したステップS103〜S107のサイクルを繰り返す。このような刻み値Δfも、予め定めて記憶手段25に記憶しておくことができる。例えば外乱信号Aifの周波数fを所定刻み値Δfで上昇させながら設定周波数fmaxになるまで振幅比Arfの検出を繰り返すことにより、ステップS110において制振制御手段11の停止時における周波数別振幅比Arfnを検出する。
【0024】
好ましくは、(例えばステップS101又はそれ以前において)センサ2の周波数f別の振動伝達特性Gsf及びアクチュエータ3の周波数f別の振動伝達特性Gafを予め記憶手段25に記憶しておき、ステップS106において記憶手段25に記憶した周波数別振動伝達特性Gsf及びGafを振幅比検出手段23に読み込み、(1)式に基づき振幅比Arfを制振対象9の振動伝達率Gff(=Arf/(Gsf・Gaf))に変換し、変換した振動伝達率Gffを記憶手段25に記憶する(ステップS107)。周波数f毎に振動伝達率Gffを記憶しながら上述したステップS103〜S107のサイクルを繰り返すことにより、ステップS110において制振制御手段11の停止時における制振対象9の周波数別振動伝達率Gffnを検出することができる(図5参照)。
【0025】
次いでアクティブ制振性能評価システム20は、ステップS101においてアクティブ制振装置1の制振制御手段11を起動したうえで図2の流れ図を実行することにより、制振制御手段11の起動時における周波数別振幅比Arfc(及び制振対象9の周波数別振動伝達率Gffc)を検出する(図5参照)。この場合は制振制御手段11から加振信号が出力されているが、ステップS103において正弦波外乱信号Aifを加振信号に重畳してアクチュエータ3へ出力することにより、制振制御を行いながらも停止時と同様に制振対象9を定常加振する状態を作り出すことができ、外乱信号Aifの周波数fを所定刻み値Δfで変化させながらステップS105の振幅比Arfの検出(及びステップS106の振動伝達率Gffの算出)を繰り返すことにより、停止時と同様に起動時の周波数振幅比Arfc(及び制振対象9の周波数別振動伝達率Gffc)を検出することができる。
【0026】
図5は、本発明のアクティブ制振性能評価システム20により検出した制振制御手段11の停止時及び起動時における周波数別振動伝達率Gffn、Gffcの一例を示す。図示例のグラフは、図4に示すようにデジタル信号処理装置(DSP)に実装した制振対象(床モデル)9の周波数別振動特性(Gf)41とセンサの周波数別特性(Gsf)42とアクチュエータの周波数別特性(Gaf)43とからなる仮想モデル40を用い、その仮想モデル(DSP)40にアクティブ制振性能評価システム20が実装された図1の制振制御システム5を接続し、性能評価システム20で検出した制振対象9の周波数別振動伝達率Gffn、Gffcをデシベル値(dB値=20×log10(Gff))で示したものである。
【0027】
例えば図5のグラフにおいて、1次モードの固有振動数fnの0.8〜2.0倍の範囲内(0.8fn〜2.0fn)におけるGffn及びGffcのピーク値の比率(振動伝達率比=Gffc/Gffn)を指標とすることにより、アクティブ制振性能評価システム20の評価手段22により制振制御手段11の1次モードにおける制振性能を評価することができる。或いは振動伝達率比(=Gffc/Gffn)に代えて、例えば0.8fn〜2.0fnの範囲内におけるGffnの面積(ΣGffn)及びGffcの面積(ΣGffc)を求め、その両者の面積の比率(面積比=ΣGffc/ΣGffn)により、アクティブ制振制御手段11の1次モードにおける制振性能を評価手段22において評価することも可能である。
【0028】
例えば図5のグラフにおいて1次モードの固有振動数fn(6.5Hz付近)におけるデシベル値のピーク値の差(=20×log10(Gffc)−20×log10(Gffn))は約−15dBであるから、アクティブ制振性能評価システム20の評価手段22により、振動伝達率比(=Gffc/Gffn)が約0.177(=10(−15/20)=10−0.75)であると評価することができる。この1次モードの振動伝達率比は、図4のデジタル信号処理装置(DSP)に実装した制振対象特性41、センサ特性42、アクチュエータ特性43、及び制振制御システム5の制振制御手段11のパラメタに基づき解析的に算出した振動伝達率比とほぼ一致していた。本発明者は、図4の制振対象特性41、センサ特性42、アクチュエータ特性43を変化させながら上述した1次モードの振動伝達率比の評価を繰り返し、解析的な結果とほぼ一致する振動伝達率比が得られることを確認できた。この結果から、本発明のアクティブ制振性能評価システム20がアクティブ制振制御手段11の制振性能の評価に有効であることを確認することができた。
【0029】
本発明のアクティブ制振性能評価システム20によれば、アクティブ制振制御手段11の停止時(非制御時)・起動時(制御時)の周波数別振幅比を同じ条件で検出することができ、起動時・停止時の振動モードの相違の影響を受けずにアクティブ制振制御手段11の制振性能を正確に評価することができる。また、外乱信号Aifの周波数を所望の範囲で掃引しながら任意の範囲でアクティブ制振制御手段11の制振性能を評価することができ、広範囲な周波数特性に基づく制振性能評価の高精度化を図ることができる。更に、アクティブ制振装置1の制御系10にプログラムとして実装することにより、制振対象9に対する制振装置1の制振性能評価を簡単に且つ自動的に行うことができ、性能評価に関わるコスト及び時間の大幅な削減に貢献できる。
【0030】
こうして本発明の目的である「振動モードの相違の影響を受けずに制振対象の制振性能を正確に評価できるアクティブ制振性能評価システム及びプログラム」の提供を達成することができる。
【実施例1】
【0031】
図1のアクティブ制振装置1の制振制御システム5は、アクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafを同定するアクチュエータ特性同定手段31を有し、同定手段31によりアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafを同定して記憶手段25に設定している。アクチュエータ特性同定手段31を設けることにより、例えば振動伝達特性Gafが不明のアクチュエータ3を制振制御システム5に接続して用いた場合でも、制振制御システム5の制振性能を正確に評価することが可能となる。また、同じ構成のアクチュエータ3であっても多少の個体差が考えられるが、アクチュエータ特性同定手段31で振動伝達特性Gafを同定することにより、アクチュエータ3の個体差等に影響されない制振性能評価が可能となる。
【0032】
図3は、図1のアクチュエータ特性同定手段31によるアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gafの同定の流れ図を示す。先ずステップS201において、アクティブ制振性能評価システム20により制振制御手段11を停止したうえで、アクチュエータ3に加振力測定器(例えば加速度計)32を取り付ける。例えばアクチュエータ3を図6のようなアクティブ動吸振機(AMD)とした場合は、制振対象9を加振する付加質量4上に加振力測定器32を取り付ける。そして上述した図2の流れ図と同様に、ステップS202において外乱信号Aifの周波数fを初期値fiに設定し、ステップS203において外乱信号重畳手段21に周波数fに応じた所定振幅の正弦波外乱信号Aiを発生させてアクチュエータ3に出力する。ステップS204〜S205において、外乱信号Aifによるアクチュエータ3(付加質量4)の振動が定常状態になるまで待機したのち加振力測定器32の測定信号Amをアクチュエータ特性同定手段31に入力し、外乱信号Aifに対する加振力測定器32の測定信号Amの振幅比Aqf(=Amf/Aif)を検出する。
【0033】
例えばアクチュエータ3をアクティブ動吸振機(AMD)とした場合に、外乱信号Aifに対する加振力測定器32の測定信号Amの振幅比Aqfには、(2)式に示すように、アクチュエータ3の振動伝達特性Gafと共に、付加質量4の大きさ(質量)ms及び加振力測定器32のゲインkmsが反映されている。しかし、付加質量4の大きさmsは一定値であり、加振力測定器32のゲインkmsも一般に掃引周波数fの範囲内でフラットであると考えることができるので、制振性能を評価する限りにおいては振幅比Aqfをアクチュエータ3の振動伝達特性Gafとみなしても大きな問題は生じない。物理的に意味のある振動伝達特性Gafを求める必要がある場合は、図3のステップS206に示すように、制振制御システム5の記憶手段11に付加質量4の大きさmsと加速度計32のゲインkmsとを予め求めて記憶しておき、アクチュエータ特性同定手段31において(2)式に基づき振幅比Aqfからアクチュエータ3の周波数別振動伝達特性Gaf(=(Aqf・ms)/kms)を周波数f別に算出することができる。
Aqf=Amf/Aif=Gaf・kms/ms ……………………(2)
【0034】
図3のステップS207において検出した振幅比Aqf(及び振動伝達特性Gaf)を記憶手段25に記憶したのち、ステップS208において設定範囲の周波数fの振幅比Aqf(又はGaf)が全て記憶されたか否かを確認し、全て終了していない場合はステップS209において外乱信号Aifの周波数fを所定刻み値Δfだけ変化させたうえでステップS203へ戻り、上述したステップS203〜S207のサイクルを繰り返す。上述した図2の流れ図と同様に、外乱信号Aifの周波数fが設定周波数fmaxになるまで振幅比Aqf(及び振動伝達特性Gaf)の検出を繰り返すことにより、ステップS210においてアクチュエータ3の特性である周波数別振幅比Aqf(及び振動伝達特性Gaf)を同定できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明システムの一実施例の構成を示す説明図である。
【図2】図1のシステムにおける性能評価プログラムの流れ図の一例である。
【図3】図1のシステムにおけるアクチュエータの特性同定方法の流れ図の一例である。
【図4】図1のシステムの性能確認実験装置の説明図である。
【図5】本発明システムによる制振性能評価の結果を示すグラフの一例である。
【図6】従来のアクティブ制振装置の一例の説明図である。
【図7】アクティブ制振装置の停止時(非制御時)と起動時(制御時)とにおける制振対象の振動モード形状の相違を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1…アクティブ制振装置 2…振動センサ
3…アクチュエータ 4…付加質量
5…アクティブ制振制御システム 6…AD(アナログ/デジタル)変換器
7…DA(デジタル/アナログ)変換器 9…制振対象(構造物)
10…制御系(コンピュータ) 11…制御手段
12…信号分岐点 13…信号加合点
14…スイッチ
20…制振性能評価手段 21…外乱信号重畳手段(信号発生手段)
22…振幅比検出手段 23…評価手段
25…記憶手段
31…アクチュエータ特性同定手段 32…加振力測定器(加速度計)
33…AD(アナログ/デジタル)変換器
40…仮想モデル 41…制振対象振動特性
42…センサ特性 43…アクチュエータ特性
44…加速度ゲイン 45…加速度ゲイン
46…AD(アナログ/デジタル)変換器 47…DA(デジタル/アナログ)変換器
48…周波数特性分析器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制振対象の振動を検出するセンサと制振対象を加振するアクチュエータと前記センサの検出信号に応じて制振対象の振動抑制用の加振信号を前記アクチュエータに出力するアクティブ制振制御手段とを有する制振装置の制振性能を評価するシステムにおいて、前記制御手段とアクチュエータとの間に接続して前記制御手段の出力加振信号に外乱信号を周波数掃引しながら重畳する外乱信号重畳手段、前記制御手段とセンサとの間に接続して前記外乱信号に対するセンサ検出信号の周波数別振幅比を検出する振幅比検出手段、前記検出した周波数別振幅比を記憶する記憶手段、及び前記制御手段に接続して制御手段を停止又は起動させ且つ停止時の前記周波数別振幅比と起動時の前記周波数別振幅比との相違により制御手段の制振性能を評価する評価手段を備えてなるアクティブ制振性能評価システム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、前記記憶手段に前記センサ及びアクチュエータの周波数別振動伝達特性を記憶し、前記評価手段を、前記外乱信号に対するセンサ検出信号の周波数別振幅比と前記センサ及びアクチュエータの周波数別振動伝達特性とから制振対象の周波数別振動伝達率を算出し且つ前記制御手段の停止時の周波数別振動伝達率と起動時の周波数別振動伝達率との相違により制御手段の制振性能を評価するものとしてなるアクティブ制振性能評価システム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、前記アクチュエータに取り付ける加振力測定器、及び前記評価手段による制御手段の停止時に前記外乱信号に対する加振力測定器の測定信号を入力し且つ前記外来信号に対する測定信号の周波数別振幅比からアクチュエータの周波数別振動伝達特性を検出して前記記憶手段に設定するアクチュエータ特性同定手段を更に含めてなるアクティブ制振性能評価システム。
【請求項4】
請求項3のシステムにおいて、前記アクチュエータを制振対象上に相対移動可能に取り付けた付加質量を含むものとし、前記加振力測定器を付加質量上に取り付ける加速度計とし、前記記憶手段に付加質量の大きさと加速度計のゲインとを記憶し、前記アクチュエータ特性同定手段を、前記外乱信号に対する加速度計の測定信号の周波数別振幅比と前記付加質量の大きさ及び加速度計のゲインとからアクチュエータの周波数別振動伝達特性を検出するものとしてなるアクティブ制振性能評価システム。
【請求項5】
制振対象の振動を検出するセンサの検出信号に応じて制振対象を加振するアクチュエータに制振対象の振動抑制用の加振信号を出力するアクティブ制振制御手段としてコンピュータを機能させるプログラムの制振性能を評価するため、当該コンピュータを、前記制御手段の出力加振信号に外乱信号を周波数掃引しながら重畳する外乱信号重畳手段、前記外乱信号に対するセンサ検出信号の周波数別振幅比を検出する振幅比検出手段、前記検出した周波数別振幅比を記憶する記憶手段、及び前記制御手段を停止又は起動させ且つ停止時の前記周波数別振幅比と起動時の前記周波数別振幅比との相違により制御手段の制振性能を評価する評価手段として機能させるアクティブ制振性能評価プログラム。
【請求項6】
請求項5のプログラムにおいて、前記記憶手段に前記センサ及びアクチュエータの周波数別振動伝達特性を記憶し、前記評価手段を、前記外乱信号に対するセンサ検出信号の周波数別振幅比と前記センサ及びアクチュエータの周波数別振動伝達特性とから制振対象の周波数別振動伝達率を算出し且つ前記制御手段の停止時の周波数別振動伝達率と起動時の周波数別振動伝達率との相違により制御手段の制振性能を評価するものとしてなるアクティブ制振性能評価プログラム。
【請求項7】
請求項6のプログラムにおいて、前記評価手段による制御手段の停止時に前記アクチュエータに取り付けた加振力測定器の前記外乱信号に対する測定信号を入力し且つ前記外来信号に対する測定信号の周波数別振幅比からアクチュエータの周波数別振動伝達特性を検出して前記記憶手段に設定するアクチュエータ特性同定手段を更に含めてなるアクティブ制振性能評価プログラム。
【請求項8】
請求項7のプログラムにおいて、前記アクチュエータを制振対象上に相対移動可能に取り付ける付加質量を含むものとし、且つ、前記加振力測定器を付加質量上に取り付ける加速度計とした場合に、前記記憶手段に付加質量の大きさと加速度計のゲインとを記憶し、前記アクチュエータ特性同定手段を、前記外乱信号に対する加速度計の測定信号の周波数別振幅比と前記付加質量の大きさ及び加速度計のゲインとからアクチュエータの周波数別振動伝達特性を検出するものとしてなるアクティブ制振性能評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−43875(P2010−43875A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206306(P2008−206306)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】