説明

アクリルゴム組成物

【課題】圧縮永久歪特性を低下させず、且つ低コストなアクリルゴム組成物及びOリング、ガスケット、パッキン等のシール部品として使用されるアクリルゴム組成物を提供すること。
【解決手段】ACMポリマー100重量部に対して、ヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるカーボンブラックを10〜100重量部と炭酸カルシウムを20〜100重量部配合したアクリルゴム組成物であり、好ましくは、前記カーボンブラックとは別種のMTカーボンを10〜100重量部配合すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Oリング、ガスケット等のシール部品及びその他のゴム部品として使用されるアクリルゴム組成物に関し、詳しくは圧縮永久歪特性を低下させず、且つ低コストなアクリルゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ACMシール材料は、FKM、VMQに次ぐ耐熱性、耐油性を有しており、NBR材料と比較すると耐熱レベルが50℃程度良好な材料である。しかし、価格の点でもNBR材料と比較して高価であり適用可能な品目が限られてくるのが現状である。
【0003】
そのため、従来、低価格材料の配合設計をする場合、可塑剤によりベース材料の硬さを低下させ、カーボンを多量に配合する方法、または珪藻土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸カルシウム等を増量剤として使用する方法が用いられる。
【0004】
しかし、上記方法では、物性、特に圧縮永久歪特性の低下が大きくなり、Oリング、ガスケット材料と言った高機能なシール材料としての機能が十分ではない欠点がある。
【0005】
特許文献1には、ACMにヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるカーボンブラックを配合することにより、圧縮永久歪特性が向上することが記載されているが、低コスト化のために珪藻土などの増量剤を多量に配合した場合、圧縮永久歪特性の悪化が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2007/145337
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、圧縮永久歪特性を低下させず、且つ低コストなアクリルゴム組成物を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の課題は、Oリング、ガスケット、パッキン等のシール部品として使用されるアクリルゴム組成物を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0011】
(請求項1)
ACMポリマー100重量部に対して、ヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるカーボンブラックを10〜100重量部と炭酸カルシウムを20〜100重量部配合したアクリルゴム組成物。
【0012】
(請求項2)
前記カーボンブラックとは別種のMTカーボンを10〜100重量部配合することを特徴とする請求項1記載のアクリルゴム組成物。
【0013】
(請求項3)
Oリング、ガスケット又はパッキンから選ばれるシール部品として使用することを特徴とする請求項1又は2記載のアクリルゴム組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで圧縮永久歪み特性に優れたアクリルゴム組成物を提供することができる。
【0015】
さらに本発明によれば、Oリング、ガスケット、パッキン等のシール部品として使用されるアクリルゴム組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明のアクリルゴム組成物は、ACMポリマー100重量部に対して、ヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるカーボンブラックを10〜100重量部と炭酸カルシウムを20〜100重量部配合することを特徴とする。
【0018】
<ACMポリマー>
本発明のACMポリマーに用いられる主成分モノマーは、例えばアクリル酸アルキル又はアクリル酸アルコキシアルキルと、アクリル酸ブチルと、官能基を有する架橋点モノマーを含む。
【0019】
アクリル酸アルキルとしては、アクリル酸エチル(EA)などが挙げられる。
【0020】
アクリル酸アルコキシアルキルとしては、アクリル酸メトキシエチル(MEA)、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシブチル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸メトキシエチル(MEA)が用いられる。
【0021】
官能基を有する架橋点モノマーとしては、カルボキシル基、エポキシ基、塩素基(活性塩素基を含む)からなる官能基の1種又は2種以上を組み合わせたモノマーが挙げられる。
【0022】
カルボキシル基を有する架橋点モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
【0023】
エポキシ基を有する架橋点モノマーとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0024】
塩素基(活性塩素基を含む)を有する架橋点モノマーとしては、例えば2−クロルエチルビニルエーテル、2−クロルエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロルアセテート、アリルクロルアセテート等が挙げられる。
【0025】
本発明のACMポリマーに用いられる主成分モノマーの好適な組み合わせは、アクリル酸メトキシエチル(MEA)−アクリル酸ブチル(BA)−活性塩素基含有架橋点モノマー、あるいはアクリル酸エチル(EA)−アクリル酸ブチル(BA)−活性塩素基含有架橋点モノマーが挙げられる。
【0026】
本発明のACMポリマーは、架橋点モノマーやその他共重合可能なモノマー成分を、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法で共重合させて得ることができる。
【0027】
本発明のACMポリマーに使用される他のモノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物;1,1−ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,7−トリヒドロペルフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロデシル(メタ)アクリレート等の含フッ素アクリル酸エステル;1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリル酸エステル;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミノ基含有アクリル酸エステル;メチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等のメタクリレート;メチルビニルケトン等のアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテル等のビニル及びアリルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のビニルニトリルなどが挙げられ、またその他にも、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルフマレート等が挙げられる。
【0028】
本発明のACMポリマーは市販品として入手することができ、市販品としては、例えばユニマテック社製「ノックスタイトPA−402L」が挙げられる。
【0029】
<カーボンブラック>
本発明において、カーボンブラックは、ヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるものが使用される。
【0030】
ヨウ素吸着量は、JIS K6221に基づいて測定された値であり、DBP吸油量は、JIS K6221のA法(機械法)に準じて測定される値である。
【0031】
ヨウ素吸着量が25mg/gを越えると、ゴムの補強性(引張強さ、伸び)は得られるが、硬度が高く加工性にやや劣り、また、圧縮永久歪(CSともいう)が悪化し易い。ヨウ素吸着量が15mg/g未満である場合は補強性が弱く、十分な引張強さが得られない。
【0032】
DBP吸油量が120cm/100g未満である場合は補強性が十分ではなく、シール時の圧力、圧縮等でシール材の破壊が生じやすくなる。DBP吸油量が130cm/100gを越えると、硬度が高く、ゴムの加工性が悪くなる。
【0033】
本発明において、カーボンブラックの配合量は、アクリルゴムポリマー100重量部に対し10〜100重量部の範囲であり、好ましくは20〜90重量部の範囲である。
【0034】
本発明のカーボンブラックは、市販品として入手することができ、たとえば、昭和キャボット社製「ショウブラックIP200」(ヨウ素吸着量20mg/g、DBP吸油量1
25ml/100g)が挙げられる。
【0035】
<MTカーボン>
本発明では、上記のカーボンブラックとは別種(別銘柄)の、MTカーボンを配合することができる。
【0036】
本発明に用いることができるMTカーボンは、ヨウ素吸着量が10〜20mg/g、DBP吸油量が30〜50cm/100gであるものが好ましい。このMTカーボンを併用することで、更に良好な圧縮永久歪み特性が得られるようになり、その配合量はACMポリマー100重量部に対し、10〜100重量部の範囲で配合され、好ましくは20〜80重量部の範囲で配合され、より好ましくは30〜70重量部の範囲で配合される。
【0037】
本発明のMTカーボンは、市販品として入手することができ、たとえば、Huber社製「Huber N−990(ヨウ素吸着量15mg/g、DBP吸油量43ml/100g)が挙げられる。
【0038】
<増量剤>
本発明においては、炭酸カルシウムが用いられるが、炭酸カルシウムを配合することで、低価格でありながら、圧縮永久歪の良好なアクリルゴム組成物を得ることができる。
【0039】
炭酸カルシウムの配合量は、ACMポリマー100重量部あたり20〜100重量部の範囲であり、好ましくは30〜80重量部の範囲、さらに好ましくは40〜60重量部の範囲である。
【0040】
炭酸カルシウムの配合量が20重量部より少ないと、アクリルゴム組成物の製品コストを下げることができないので、低コスト化の効果が得られず、100重量部より多くなると、圧縮永久歪み特性の悪化や引張強さの低下が見られる。
【0041】
本発明に用いられる炭酸カルシウムは市販品として入手することができ、たとえば、ホワイトンB(白石カルシウム社製)等が挙げられる。
【0042】
<架橋剤および架橋促進剤>
本発明のアクリルゴム組成物は、例えばトリアジン加硫、高級脂肪酸金属塩/イオウ加硫のいずれの加硫系で加硫させてもよい。
【0043】
トリアジン系加硫剤としては、1,3,5−トリチオシアヌル酸、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメチルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメチルカプトトリアジン、1−シクロヘキシルアミノ−3,5−ジメチルカプトトリアジン等が挙げられる。
【0044】
また、トリアジン系加硫剤としてトリチオシアヌル酸架橋剤を用いた場合に、架橋促進剤としては、例えばジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等を用いることもできる。
【0045】
イオウ加硫系化合物としては、イオウ以外に、4,4’−ジチオジモルホリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、2−メルカプトイミダゾリン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N-シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィド、高分子多硫化物等のイオウ供与性化合物も用いられる。
【0046】
イオウ加硫系化合物を加硫剤として用いた場合に、架橋促進剤としては、高級脂肪酸金属塩を用いることができ、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸バリウム等が挙げられる。
【0047】
<その他の配合剤>
本発明のアクリルゴム組成物においては、必要に応じて、ステアリン酸、パルチミン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、老化防止剤、可塑剤、補強材、充填剤、光安定剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を含有してもよい。
【0048】
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、アクリルゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などの樹脂;などを配合することができる。
【0049】
<ゴム組成物の調製、架橋及び成形>
本発明のゴム組成物の調製においては、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機または、オープンロール等を用いて混練するなどの適宜の混合方法が採用できる。
【0050】
架橋の際には、本発明のアクリルゴム組成物を加熱する。加熱温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140〜200℃、更に好ましくは150〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間、より好ましくは3分〜60分加熱である。
【0051】
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
【0052】
また、一次架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、加熱温度は好ましくは150〜250℃で、加熱時間は好ましくは0.5時間〜24時間行う。加熱方法はオーブン加熱等を適宜選択すればよい。
【0053】
本発明のゴム組成物の成形方法は、特に限定されない。圧縮成形、射出成形、トランスファー成形あるいは押出成形などのいずれの方法を用いることも可能である。
【0054】
本発明では、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレスなどを用いて、成形と架橋を同時に行う方法、成形後に架橋を行う方法のいずれでもよい。
【0055】
本発明のアクリルゴム組成物は、加硫・成形し、Oリング、ガスケット又はパッキンから選ばれるシール部品およびその他のゴム部品等に好適に使用でき、その他のゴム部品としては、オイルシール、バルブ等として好適に用いられる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明の効果を例証する。
【0057】
実施例1
ACMポリマー(ユニマテック社製「ノックスタイトPA−402L」) 100重量部
カーボンブラック(昭和キャボット社製「ショウブラックIP200」)
(ヨウ素吸着量20mg/g、DBP吸油量125cm/100g) 50重量部
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製「ホワイトンB」) 50重量部
硫黄 0.5重量部
ステアリン酸Na 1.5重量部
【0058】
これらの配合物(加硫剤及び加硫促進剤を除く)をニーダーで混練し、次いで加硫剤及
び加硫促進剤を配合してオープンロールにて混練した。
【0059】
このゴム組成物の成形は、加硫プレスにより、170℃ 20分の一次加硫、及び加熱
オーブンによる150℃ 24時間の二次加硫により行い、150mm×150mm×2mmの加硫シートとG25サイズ(内径24.4mm、線径3.1mm)のOリングを得た。
【0060】
得られた加硫シートについて、常態物性を測定すると共に、Oリングの圧縮永久歪試験
を行った。
【0061】
組成物の配合および、各評価の結果を表1に示す。
【0062】
<評価方法>
(常態物性)
1.ゴム硬度Hs;JIS K6253に準拠しタイプAデュロメーターで測定した。
2.引張強さTB(MPa);JIS K6251に準拠。
3.伸びEB(%);JIS K6251に準拠。
【0063】
(圧縮永久歪CS試験)
上記のG25サイズ(内径24.4mm、線径3.1mm)のOリングについて、JIS K6262に準拠して150℃×70時間、150℃×140時間及び150℃×300時間(いずれの場合も25%圧縮)の耐熱老化後の圧縮永久歪CS(%)を評価した。
【0064】
実施例2
実施例1において、ショウブラックIP200を20重量部に減量し、MTカーボン40重量部を加えて同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0065】
参考例
実施例1において、ショウブラックIP200及び炭酸カルシウムを用いず、代わりにFEFカーボン(東海カーボン社製;ヨウ素吸着量が44mg/g、DBP吸油量が115cm/100g)50重量部を配合(従来のアクリルゴム配合)させて同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0066】
比較例1
実施例1において、ショウブラックIP200(昭和キャボット社製カーボンブラック)及び炭酸カルシウムを用いず、代わりにFEFカーボン80重量部、及び、可塑剤としてアデカサイザーRS−107(旭電化工業社製)を30重量部配合させて同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
比較例2
実施例1において、ショウブラックIP200をFEFカーボンに代えて、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0068】
比較例3
実施例1において、炭酸カルシウムをメタケイ酸カルシウム(NYCO社製「NYAD400」)に代えて、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0069】
比較例4
実施例1において、炭酸カルシウムを珪藻土(中央シリカ社製「Silika 6B」)に代えて、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0070】
比較例5
実施例1において、炭酸カルシウムをケイ酸アルミニウム(VANDERVILT社製「DIXIE CLAY」)に代えて、同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0071】
比較例6
実施例1において、炭酸カルシウムの配合量を120重量部に代えて同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
表1より、実施例1では、従来のアクリルゴム配合である参考例と比較して、ほぼ同等のCSを保ったまま、低コスト化が実現した。
【0074】
さらに実施例2では、実施例1にMTカーボンを配合させることで、更にCSが向上したことがわかる。
【0075】
比較例1では、従来のアクリルゴム配合である参考例において、可塑剤を配合し、カーボンを多量に配合することで低コスト化を図ったが、CSが悪化したことがわかる。
【0076】
比較例2では、従来のアクリルゴム配合である参考例に炭酸カルシウムを配合したが、ヨウ素吸着量が高く、DBP吸油量が低いFEFカーボンを用いたため、十分なCSが得られなかったことがわかる。
【0077】
比較例3〜5は、実施例1において、用いる増量剤として、炭酸カルシウムを配合せずに、メタケイ酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸アルミニウムをそれぞれ用いたため、CSが悪化したことがわかる。特に、メタケイ酸カルシウムを用いた比較例3及び珪藻土を用いた比較例4では、TBの悪化が著しいことがわかる。
【0078】
比較例6では、炭酸カルシウムの配合量が100重量部より多いので、圧縮永久歪が悪化し、さらにTBも低下していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のアクリルゴム組成物は、加硫・成形し、Oリング、ガスケット又はパッキンから選ばれるシール部品およびその他のゴム部品等に好適に使用でき、その他のゴム部品としては、オイルシール、バルブ等として好適に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACMポリマー100重量部に対して、ヨウ素吸着量が15〜25mg/g、DBP吸油量が120〜130cm/100gであるカーボンブラックを10〜100重量部と炭酸カルシウムを20〜100重量部配合したアクリルゴム組成物。
【請求項2】
前記カーボンブラックとは別種のMTカーボンを10〜100重量部配合することを特徴とする請求項1記載のアクリルゴム組成物。
【請求項3】
Oリング、ガスケット又はパッキンから選ばれるシール部品として使用することを特徴とする請求項1又は2記載のアクリルゴム組成物。

【公開番号】特開2010−159377(P2010−159377A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4091(P2009−4091)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】