説明

アゴニスト又はアンタゴニストホルモン特性を有する20−ケト−11β−アリールステロイドとその誘導体

【課題】より高い特異性を示す抗プロゲスチン化合物の必要性が残っている。
【解決手段】毒性の減少の可能性を有することに加え、我々はそれがジメチルアミノ類似物の総計の分子特性を保持するのみでなく、加えてそれがプロゲス チン受容体に強力に結合することを示すとともに、潜在プロゲステロン又は抗プロゲステロン活性を有することを見出していることから、11β−アリール部分 の4−位において置換される場合に特に有益となるN−ピペリジニルのようなサイクリックアミン置換体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロゲスチン受容体に結合すると確信され且つ潜在抗プロゲステロン活性(potent antiprogestational activity)を示す、ステロイドの新規のクラス、それを製造するために有用なステロイド中間体及びステロイド中間体の製造方法に関する。該化合物 は、出産前の子宮頸部熟成(cervical ripening)に生じる、ホルモン補充治療において及び受胎能と生殖の制御において、類線維腫、子宮内膜症、及びある種の腫瘍の処置のために有用であ る。
【背景技術】
【0002】
プロゲステロンは、生殖の健康と機能化(reproductive health and functioning)において主要な役割を演じる。例えば子宮、胸部、子宮頸部および視床下部性下垂体ユニットに関するそれの効果は、十分に確立されている。また、それは脳、免疫系、血管内皮系に関する、及び脂質代謝に関するような、十分研究されていない生殖以外の活性をも有する。与えられた効果のこ の広範な配列、それはプロゲステロンの幾つかの効果を模倣する(アゴニスト)、これらの効果と拮抗する(アンタゴニスト)又は混合された効果を示す(部分 的なアゴニスト又は混合されたアゴニスト/アンタゴニスト)化合物が、各種の病状及びコンディションを治療することにおいて有用とすることができることが明らかである。
【0003】
ステロイドホルモンは、一部、細胞内受容体への結合によって、その効果を強力に発揮する。妥当な受容体に結合し且つエストロゲン及びアンドロゲンホルモンのアンタゴニスト又は部分的なアゴニストである化合物は、かなり前から知られているが、しかしプロゲステロン受容体に結合し且つプロゲステロンの効果に拮 抗する化合物の発見が発表された1982年までは知られていなかった。その後、多くのそうした化合物が科学及び特許文献中に報告され、またインビトロでの、動物における及びヒトにおけるそれの効果が研究されている。エストロゲンとある種の酵素阻害剤のような化合物は、内因性のプロゲステロンの生理学的効果を妨げることができるとしても、この論文において、「抗プロゲスチン」は、プロゲスチン受容体に結合するそれらの化合物に制限される。
【0004】
抗プロゲスチンが、多くの医療コンディションにおいて有効であろうことを示唆する情報は、現在利用可能である。この情報は、Institute of Medicine (Donaldson,Molly S.;Dorflinger,L.;Brown,Sarah S.;Benet,Leslie Z.;Editors,Clinical Applications of Mifepristone (RU 486) and Other Antiprogestins, Committee on Antiprogestins: Assessing the Science, Institute of Medicine, National Academy Press, 1993)からの報告中に要約されている。プロゲステロンが生殖において演じる極めて重要な役割に鑑みて、それは避妊(長期間の及び突発的な又は性交後 の)、月経誘導及び妊娠の医療的終止を含む、生殖の制御における部分を果たし得ないことは予期できなくないが、しかし少数の臨床或いは前臨床研究によって 裏付けられている、多くの他の潜在的な使用がある。これらの中には以下のものがある: 1.分娩と出産−抗プロゲスチンは、分娩が胎児死亡により誘導する必要がある期間又はその時のような、分娩の前の子宮頸部熟成のために使用し得る。それは また、妊娠期間又は過期妊娠の分娩の誘発を促進するためにも使用し得る。
2.子宮平滑筋腫(類線維腫)の治療−これらの非悪性の腫瘍は、30歳以上の女性の20%までが罹り、その生殖の年間を通して女性における外科手術の最も普通の原因の一つである。子宮摘出、永続的な徴候の通例の治療は、勿論、生殖不能をもたらす。
3.子宮内膜症の治療−これは、よくあり(5乃至15%の発生率、不妊症の女性においてはより高い)、且つしばしば疼痛を伴う状態は、顕著な副作用を有す るダナゾール又はゴナドトロフィン放出ホルモン類似物のような医薬によって現在治療され、或いは外科的に処置する必要がある。
4.それがプロゲステロンを遮断する又は削減するために与え得る、ホルモン補充療法。
5.ガン、特に胸部ガン−多くの胸部ガンにおけるプロゲスチン受容体の存在は、転移性ガンの治療において、又はガンの再発或いは初めの進行の防止において抗プロゲスチンの使用を示唆している。
6.髄膜腫のような他の腫瘍−たとえ悪性でないとしても、これらの脳膜の腫瘍は、患者の死をもたらし、且つ非外科術的な治療を欠いている。
7.男性避妊−たとえこれが抗プロゲステロン効果かどうか疑問の余地があるとしても、そのような化合物の抗グルココルチコイド活性にそれが関与し得るように、抗プロゲスチンは、精子の生存能に干渉できる。
8.抗エストロゲン効果−少なくとも幾つかの抗プロゲスチンは、ある種の試験においてエストロゲンの作動を妨害するが、しかし旧来のホルモン受容体に含まれていないメカニズムを経るらしい。これは、その医薬的な使用についての各種の可能性を開く。
9.抗グルココルチコイド効果−これは、クッシング症候群の治療のような、幾つかの例証において有用とすることができる、抗プロゲスチンの通例の副作用で あり、そして例えば免疫疾患においての役割を演ずることができる。他の場合それは、そのような効果を最小化することが望まれる。
【0005】
プロゲステロンアゴニストの効果と使用は、十分に立証されている。加えて、周知の抗プロゲスチンに構造的に関連したある種の化合物が、ある種の生物学的系 統中で強いアゴニスト活性を有することが最近示されている(例えば、エストロゲンでプライムした未熟ウサギ子宮における旧来のエストロゲンの効果;C.E.Cookら、Life Sciences,52,155-162(1993)参照)。そのような化合物は、それらがプロゲスチンと抗プロゲスチン部位の両方の別個の部位に結合す る場合、ヒトの細胞由来受容体系において部分的アゴニストである(Wagnerら、 Proc.Natl.Acad.Sci.,93,8739-8744(1996))。かくして、抗プロゲスチンの全体的なクラスは、その臨床プロフィール において変化し得る多くのサブクラスを有することができる。
【0006】
11β−アリール置換基を有することに加え、最も初期の抗プロゲスチンは、17β−ヒドロキシル基と各種の17α−置換基によって置換された。(例えば、 Teutsch,Jean G.; Costerousse,Germain;Philibert,Daniel,及びDeraedt,Roger. Novel steroids. 米国特許第4,386,085号.1983;Philibert,Daniel;Teutsch,Jean G.;Costerousse,Germain,及びDeraedt,Roger. 3-ケト-19-ノル−Δ-4,9-ステロイド.米国特許第4,477,445号,1983; Teutsch,Jean G.; Pantin,Germain; Costerousse,Saint-Maurice; Daniel Philibert; La Varenne Saint Hilaire; Roger Deraedt,発明者.ステロイド誘導体.Roussel Uclaf,譲受人.米国特許第4,447,424号.1984;Cook,C.Edger; Tallent,C.Ray; Reel,Jerry R.,及びWani,Mansukh C. 17α-(置換メチル)-17β-ヒドロキシ/エステル化ヒドロキシステロイドとそれを含む薬学組成物.米国特許第4,774,236(1988)と 4,861,763(1989)を参照)。次いで、11β−アリールの存在において17β−アセチル、17α−アセチルオキシ基もまた、抗プロゲステロン 効果を持った化合物を生じ得ることが発見され(Cook,C.Edgar; Lee,Y.-W.; Reel,Jerry R.; Wani,Mansukh C.,Rector,Douglas.11β−置換プロゲステロン類似物.米国特許第4,954,490(1990)及び 5,073,548(1991))、またこれらの発見物の各種の置換物が同様に作製されている。
しかしながら、化合物の16α−エチル基の導入又は17α位での水素置換は、アゴニスト又は部分的アゴニスト活性に至ることが報告されている(C.E.Cookら、Life Sciences,52,155-162(1993))。
【0007】
一般に、しかしながら、抗プロゲステロン活性は、Δ4,9−3−ケトン又はΔ4−3− ケトン部分と一緒に、ステロイド核上の11β−アリール置換基の存在に常に関連している。広範な領域が抗プロゲステロン活性に関連した11β−アリール部 分上の置換基で報告されている(Teutsch,G.とPhilibert,D.History and perspectives of antiprogestins from the chemist's point of view.Human Reproduction.Jun;9(Supplement 1):12-31(1994)参照)。本発明の新規な特徴の一つは、強力且つ必然的に完全な抗プロゲステロン応答と、プロゲステロン応答の旧来のインビボ 測定において僅かな又は無しであるアゴニスト効果(エストロゲンでプライムした未熟雌ウサギでのClauberg試験のMcGinty適応)を達成するた めに、17β−アシル−17α−アシルオキシ置換パターンの存在において、11β−位での芳香族基が、塩基性窒素部分によって最も良好に置換されることの 発見である。
上記に関するCookら(1989,1991)の特許は、17β−アセチル、17α−アシルオキシ置換パターンの存在において11β−アリール置換基の 4−位(パラ位)上のアシリックN,N−ジメチルアミノ置換基の使用を示す。Ashbyら(Ashby J; Paton D; Lefevre PA,芳香族有機化合物上のジメチルアミノ(-NMe2)置換基のより劣る変異促進性置換のサイクリックアミン:発癌性と毒性の関 係.Cancer Lett,1983 17:263-71(1983)は、ある種の発癌性アリール化合物におけるサイクリックアミノ置換体の使用が、変異原性を顕著に減じるか又は取り除くこと を見出した。
Wunerwaldら、DD290 198(1991) 一部 "11β-aryl substituierten Estra-4,9-dien-3-one-17(S)-spiro-1'cyclohexan-2'-onen and 11β-arylsubstituierten Estra-4,9-dien-3-one-17(S)-spiro-1'cyclohexan-2'-olen sowie deren derivate"と題された、は、C17スピロサイクリックケトンとアルコール置換を持ったステロイド化合物を示す。
Rohdeら、米国特許第4,609,651号は、11β−アリールエストラジエン、その生成物とそれを含む製剤を報告する。これらの化合物は、17β−ヒドロキシ−17α−アルケニル置換される。
Kimら、PCT WO96/30390(1996)は、17α−アセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノ−フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン −3,20−ジオンの製造方法、該方法において有用な中間体及びその中間体の製造方法を報告する。11β−4−N,N−ジメチルアミノフェニルとα−アセ トキシ基の両方は、必須として示される。窒素複素環も17α−カルボニルオキシ基も示唆されていない。
Kimら、PCT WO97/4145は、11β−置換したフェニル基を持つ21−置換プロゲステロン誘導体を報告するが、複素環置換基は無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,386,085号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】C.E.Cookら、Life Sciences,52,155-162(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
1998年1月1日の時点で、抗プロゲスチンの臨床的な有望性にもかかわらず、米国内或いは他の国において抗プロゲスチン医薬は市販されていない。唯一の抗プロゲスチン薬は、承認され、世界中のどこでも臨床的使用に利用可能であり、且つその薬、ミフェプリストン(mifepristone)は、妊娠の医療的終止のために主に用いられる。多数のファクターがこの状態の原因であるが、確かに、上述したコンディションで使用することができる新規な抗プロゲステロン薬の必要性が存在する。
従って、より高い特異性を示す抗プロゲスチン化合物の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って本発明は、毒性の減少の可能性を有することに加え、我々はそれがジメチルアミノ類似物の総計の分子特性を保持するのみでなく、加えてそれがプロゲス チン受容体に強力に結合することを示すとともに、潜在プロゲステロン又は抗プロゲステロン活性を有することを見出していることから、11β−アリール部分 の4−位において置換される場合に特に有益となるN−ピペリジニルのようなサイクリックアミン置換体に関する。さらにそれは旧来にない抗エストロゲン活性 を示す。
【0012】
本発明の別な新規の特徴は、N−メチルインドール−5−イル化合物のような、融合した二環系(bicyclic system)を形成するために芳香族環の背部へのアミン含有残基の環化が、得られる化合物が抗グルココルチコイド活性を大きく減じることにおいて特に有 益となることである。
【0013】
11β−アリール基を有する17β−アシル−17α−アシルオキシステロイドは、その結合部位に適合するその能力と、それによって抗プロゲステロン活性を 促進するためのそのような手法においてプロゲスチンレセプターに結合するそれの能力を促進し得る、相当に組織的な且つ循環的な柔軟性によって特徴付けられ る。
【0014】
本発明の別の新規な特徴において、後述する構造式IIにおけるように、20−ケトンと17α−O−C(=O)パターンを保持すると同時に、17,17-スピロ環へのこれら部分の転換は、旧来のClaubergアッセイのMcGinty変法におけるいず れかの有意のアゴニスト活性を伴わない潜在抗プロゲステロン活性を持った化合物を導くにもかかわらず、これらの部分のより硬直な構造をもたらす。さらに、 これらの化合物は、周知の抗プロゲスチンで観測された通例の相対的に強いアンドロゲン受容体結合に対して、アンドロゲンホルモン受容体への顕著に減じられ た結合を、驚くべきことに示す。
【0015】
本発明の更なる新規な特徴は、17β−アシルと11β−アリール置換基の存在において、17α−O−(C=O)−パターンは、旧来のClaubergアッ セイのMcGinty変法におけるいずれかの有意のアゴニスト活性を伴わない強い抗プロゲステロン活性を保持すると同時に、17α−C(=O)−O−に入 れ替え得ることである。
【0016】
本発明の別な実施態様は、C5ヒドロキシル基を特徴とするプロゲステロン活性を有するステロイド化合物の製造のための中間体、及び相当するC5-10エポキシドの開環によってそのような化合物を製造するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のより完全な真価と付随する効果は、添付の図面と結び付けて考察する際、詳細な説明を参照することによってより良好に理解されるようになり容易に同一物は得られるであろう: 図1は、17β−アセチル、17α−カルボン酸エステル置換した化合物を製造するための合成スキームを示す。
【図2】図2は、17−スピロラクトン化合物を製造するための合成スキームを示す。
【図3】図3は、17α−エチニルと17α−オキシメチル置換した化合物を製造するための合成スキームを示す。
【図4】17α−アシルオキシ置換した化合物を製造するための合成スキームを示す。
【図5】17α−アルキル置換した化合物を製造するための合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、構造式I
【化1】

[式中、 R1
【化2】

(ただし、qは0又は1であり、Yは−(CH2m−(ただし、mは0乃至5の整数である)、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子である(任意に置換され且つそのCH2基が任意に置換されて良い))であり;又は R1は(N−イミダゾリル)−又は(N−ピロリル)−であり;及び R12はH又はハロであり;又は R1とR12は環
【化3】

(ただしWはCH2,CH,NH,N,O,又はSであり、R4はH,CH3,又はC25である)を形成するように結合し;
Xは、O又はNOR5であり(ただしR5はH又はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6アリール,又はヘテロアリールであり、いずれも任意に置換されて良い);又は Xは、(H,H),(H,OH),(H,OSi(低級アルキル)3)、又は(H,OCOR5)(ただしR5はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は Xは
【化4】

(ただしYは−(CH2m(ただしm=0乃至3)であり、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子(任意に置換した)であり、又はZは1又は2の低級アルキル基で置換された炭素原子である))であり;
6はH,CH3,又はハロゲンであり;
7はC1−C4アルキル,C2−C4アルケニル,又はC2−C4アルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い;又は R7はO−CO−R8又はO−R8(ただしR8はH,C1−C18アルキル,C2−C18アルケニル,C2−C18アルキニル,C4−C8シクロアルキル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;及び R9はH,低級アルキル,アルケニル又はアルキニル,ハロ,O−CO−R8又はOR8(R8は上記定義の通りである)であり、及び薬学上許容されるその塩である]
のホルモン又はアンチホルモンステロイド化合物に関する。
好適な実施態様において、基R1又はR1とR12によって形成された環の窒素原子は、フェニル環の4−位である。
【0019】
本発明の別な実施態様に従えば、構造式II
【化5】

[式中 R1は(R23N)−,(ただしR2とR3はH,C1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は R1は(R23N(O))−,(ただしR2とR3はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は式中、R1は、
【化6】

(ただし、qは0又は1であり、Yは−(CH2m−(ただし、mは0乃至5の整数である)、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子である(任意に置換され且つそのCH2基が任意に置換されて良い))であり;又は R1は(N−イミダゾリル)−又は(N−ピロリル)−であり;又は R1はハロ−,HO−,CF3SO2O−,CH3O−,CH3S−,CH3S(O)−,CH3S(O2)−,CH3CO−,CH3CH(OH)−,NC−,HCC−,C65CC−,(2'−又は3'−フリル)−,(2'−又は3'−チオフェニル)−,(2'−,3'−又は4'−ピリジル)−,(2'−チアゾリル),(2'−N−メチルイミダゾリル)−,(5'−ピリミジニル)−,C65−,HCC−,H2C=CH−,C25−,又はMeC(=CH2)−であり;及び R12はH又はハロであり;又は R1とR12は環
【化7】

(ただしWはCH2,CH,NH,N,O,又はSであり、R4はH,CH3,又はC25である)を形成するように結合し;
Xは、O又はNOR5であり(ただしR5はH又はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6アリール,又はヘテロアリールであり、いずれも任意に置換されて良い);又は Xは、(H,H),(H,OH),(H,OSi(低級アルキル)3)、又は(H,OCOR5)(ただしR5はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は Xは
【化8】

(ただしYは−(CH2m(ただしm=0乃至3)であり、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子(任意に置換した)であり、又はZは1又は2の低級アルキル基で置換された炭素原子である))であり;
6はH,CH3,又はハロゲンであり;
10とR11はH,C1−C4アルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C4−C8シクロアルキル,C6アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり、又は R10とR11は任意に置換されたC3−C8シクロアルキル構造と薬学上許容されるその塩を結合した炭素を共に形成する]
のホルモン又はアンチホルモンステロイド化合物である。
好適な実施態様において、基R1又はR1とR12によって形成された環の窒素原子は、フェニル環の4−位である。
【0020】
本発明の別な実施態様に従えば、構造式I
【化9】

[式中 R1は(R23N)−,(ただしR2とR3はH,C1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は R1は(R23N(O))−,(ただしR2とR3はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は式中、R1は、
【化10】

(ただし、qは0又は1であり、Yは−(CH2m−(ただし、mは0乃至5の整数である)、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子である(任意に置換され且つそのCH2基が任意に置換されて良い))であり;又は R1は(N−イミダゾリル)−又は(N−ピロリル)−であり;及び R12はH又はハロであり;又は R1とR12は環
【化11】

(ただしWはCH2,CH,NH,N,O,又はSであり、R4はH,CH3,又はC25である)を形成するように結合し;又は R1はハロ−,HO−,CF3SO2O−,CH3O−,CH3S−,CH3S(O)−,CH3S(O2)−,CH3CO−,CH3CH(OH)−,NC−,HCC−,C65CC−,(2'−又は3'−フリル)−,(2'−又は3'−チオフェニル)−,(2'−,3'−又は4'−ピリジル)−,(2'−チアゾリル),(2'−N−メチルイミダゾリル)−,(5'−ピリミジニル)−,C65−,HCC−,H2C=CH−,C25−,又はMeC(=CH2)−であり;及び Xは、O又はNOR5であり(ただしR5はH又はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6アリール,又はヘテロアリールであり、いずれも任意に置換されて良い);又は Xは、(H,H),(H,OH),(H,OSi(低級アルキル)3)、又は(H,OCOR5)(ただしR5はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は Xは
【化12】

(ただしYは−(CH2m(ただしm=0乃至3)であり、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子(任意に置換した)であり、又はZは1又は2の低級アルキル基で置換された炭素原子である))であり;
6はH,CH3,又はハロゲンであり;
7はCOOR8又はO−R8(ただしR8はH,C1−C18アルキル,C2−C18アルケニル,C2−C18アルキニル,C4−C8シクロアルキル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;及び R9はH,低級アルキル,アルケニル又はアルキニル,ハロ又はO−CO−R8(R8は上記定義の通りである)又はO−R8(R8は上記定義の通りである)である、及び薬学上許容されるその塩である]
のホルモン又はアンチホルモンステロイド化合物である。
好適な実施態様において、基R1又はR1とR12によって形成された環の窒素原子は、フェニル環の4−位である。
【0021】
本発明の別な実施態様に従えば、構造式III
【化13】

[式中 R1は(R23N)−,(ただしR2とR3はH,C1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は R1は(R23N(O))−,(ただしR2とR3はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は式中、R1は、
【化14】

(ただし、qは0又は1であり、Yは−(CH2m−(ただし、mは0乃至5の整数である)、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子である(任意に置換され且つそのCH2基が任意に置換されて良い))であり;又は R1は(N−イミダゾリル)−又は(N−ピロリル)−であり;又は R1はハロ−,HO−,CF3SO2O−,CH3O−,CH3S−,CH3S(O)−,CH3S(O2)−,CH3CO−,CH3CH(OH)−,NC−,HCC−,C65CC−,(2'−又は3'−フリル)−,(2'−又は3'−チオフェニル)−,(2'−,3'−又は4'−ピリジル)−,(2'−チアゾリル),(2'−N−メチルイミダゾリル)−,(5'−ピリミジニル)−,C65−,HCC−,H2C=CH−,C25−,又はMeC(=CH2)−であり;及び R12はH又はハロであり;又は R1とR12は環
【化15】

(ただしWはCH2,CH,NH,N,O,又はSであり、R4はH,CH3,又はC25である)を形成するように結合し;
Xは
【化16】

(ただしYは−(CH2m(ただしm=0乃至3)であり、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子(任意に置換した)であり、又はZは1又は2の低級アルキル基で置換された炭素原子である))であり;
6はH,CH3,又はハロゲンであり;
7はH,いずれも任意に置換されて良いC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニル;O−CO−R8C,COOR8又はO−R8(ただしR8はH,C1−C18アルキル,C2−C18アルケニル,C2−C18アルキニル,C4−C8シクロアルキル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;及び R9はH,低級アルキル,アルケニル又はアルキニル,ハロ,O−CO−R8,O−R8(R8は上記定義の通りである)である、及び薬学上許容されるその塩である]
のホルモン又はアンチホルモンステロイド化合物である。
好適な実施態様において、基R1又はR1とR12によって形成された環の窒素原子は、フェニル環の4−位である。
【0022】
式IとIIの同上の化合物は、2つの水素原子によって3−位でA環上に置換された化合物を特に含む。これらの化合物は、相当するカルボニル化合物に対してインビボで酸化を受けるものと確信される。
【0023】
本発明の範囲内では、ヘテロ原子(heteroatom)の用語は、酸素,窒素,硫黄,ケイ素又はホウ素を意味する。ハロゲンは、フッ素,塩素,臭素又は ヨウ素を意味し、またハロは、フルオロ,クロロ,ブロモ又はイオドを意味する。アラルキル,アラルケニル,又はアラルキニルは、アリール置換基を持つC1−C4アルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニル基を意味する。低級アルキルは、C1−C4アルキル基を意味する。ヘテロアリールは、1乃至5のヘテロ原子を含み且つ芳香族電子特性を有するとして当業者により一般に承知されている、一緒に融合し又は結合し得る1以上の環構造からなる5乃至12の非水素原子の単位を意味する。
ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル,又はヘテロアルキニルは、ヘテロアリール置換基を持つC1−C4アルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニル基を意味する。
【0024】
「任意に置換された」は、1以上のヘテロ原子及び/又はハロゲン及び/又は1乃至4の炭素原子のアルキル基及び/又は2乃至4の炭素原子のアルケニル及び /又はアルキニル基及び/又は3乃至7の炭素原子のシクロアルキル基及び/又は6乃至12の炭素原子のアリール基及び/又はヘテロアリール基によって置換 されない又は置換されたことを意味し、ここでのアルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,アリール又はヘテロアリール基は、1以上のヘテロ原子 及び/又はハロゲンによって更に置換し得る。置換は、サイクリックアミン複素環のCH2基上で直接起こり得る。その原子価が許容される場合、ヘテロ原子は、炭素鎖の内部或いは一重又は二重結合によってそれに接合することによってのいずれかで置換し得る。例えば、−CH2−CH2−CH=O,−CH2(C=O)−CH3,−CH2−CH2−O−CH3,−CH2−CH2−CH2OH,CH3−CH2−CH2O−,CH2−CH2−C(=O)−NH2,CH3−CH2−C(O)−NH−及びCF3−CC−は、全てこの定義の範囲内である。
原子価と立体考慮が許容される全てのケースにおいて、アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキル基は、付加の二重又は三重結合及び/又は分枝鎖を含み得る。
構造式I,IIとIII中で明らかなようにC6での基R6は、α又はβ位の何れかの中として良い。好ましい実施態様において、基R6は、α−位に配される。
【0025】
別の実施態様において、C11β−アリール基は、先に記載した通り、基R1とR12によって置換されたピリジンで置換して良い。特に、本発明は、ジアルキルアミノフェニル又はシクロアミノフェニル基が示唆される場合の全ての化合物中のジアルキルアミノピリジル又はシクロアミノピリジル基によってC11位での置換を提供する。
【0026】
好適な実施態様において、構造式Iを有するステロイドは、次のように置換される: R1−Phが4−(N−ピペリジノ)フェニル,4−(N−ピロリジノ)フェニル,4−(N−モルホリノ)フェニル,1−メチルインドール−5−イル又は1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イルであり;
XがO,NOH,又はNOCH3であり;
6がH,CH3,F又はClであり;
7が H,メチル,エチル,エチニル,1−プロピニル,トリフルオロ−1−プロピニル,3−ヒドロキシプロピン−1−イル,プロピル,3−ヒドロキシプロピ ル,3−ヒドロキシ−1−プロペニル(E−又はZ−),アセトキシ,プロピオノミシ,ベンジルカルボキシ,ベンゾイルオキシ又はメトキシメチルであり;及 び R9がH,CH3,アセトキシ,フルオロ,クロロ又はメトキシである。
【0027】
別の好適な実施態様において、構造式IIを有するステロイドは、以下のように置換される: R1−Ph が4−アミノフェニル,4−(N−メチルアミノ)フェニル,4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル,4−(N−ピペリジノ)フェニル,4−(N−ピロリ ジノ)フェニル,4−(N−モルホリノ)フェニル,1−メチルインドール−5−イル,1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,4−メトキシ フェニル,4−アセチルフェニル,4−(メチルチオ)フェニル又は4−(メチルスルフィニル)フェニルであり;
XがO,NOH,又はNOCH3であり;
6がH,CH3,F又はClであり;
1011がH2,(CH3,H),(H,CH3)又は(CH32である。
【0028】
別の好適な実施態様において、構造式Iを有するステロイドは、以下の通り置換される。
1−Phが4−アミノフェニル,4−(N−メチルアミノ)フェニル,4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル,4−(N−ピペリジノ)フェニル,4−(N− ピロリジノ)フェニル,4−(N−モルホリノ)フェニル,1−メチルインドール−5−イル,1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,4−メト キシフェニル,4−アセチルフェニル,4−(メチルチオ)フェニル又は4−(メチルスルフィニル)フェニルであり;
XがO,NOH,又はNOCH3であり;
6がH,CH3,F又はClであり;
7がCOOR8(ただしR8はメチル,エチル,プロピル,フェニル又はベンジルである)であり;及び R9がH,CH3,アセトキシ,フルオロ,クロロ又はメトキシである。
【0029】
特有の非制限的な実施例は、化合物 17α−アセトキシ−11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−アセトキシ−11β−(4−(N−ピロリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−アセトキシ−11β−(1−メチルインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−アセトキシ−11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−17α−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−プロピオニルオキシ−11β−(4−(N−ピロリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 11β−(1−メチルインドール−5−イル)−17α−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−17α−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−3,20−ジオキソ−17α− ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン、 11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ− ラクトン、 11β−(1−メチルインドール−5−イル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ− ラクトン、 11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン −24−オイック酸δ−ラクトン、 17α−カルボメトキシ−11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−カルボメトキシ−11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−カルボメトキシ−11β−(1−メチルインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン、 17α−カルボメトキシ−11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンを含 む。
【0030】
11フェニル基上にアミン基を持つ本発明のそれら化合物は、従ってアミンによって形成される塩をも含み得る。適当な薬学上許容される塩は、当業者に周知であり、カルボン酸塩,硫酸塩,リン酸塩及びハライドを含む。
【0031】
プロゲステロン、抗プロゲステロン及び/又は抗グルココルチコイド活性を有するステロイドは、ヒト及び霊長類、家庭のペット及び家畜のようなヒト以外の動 物における受胎能の制御における、及びこれらの活性が有益となる動物又はヒトにおける医療コンディションの処置における使用を有する。かくして、それらは、受胎能と生殖の制御におけるその使用に加えて、類線維腫、クッシング症候群、緑内障、子宮内膜症、分娩前の子宮頸部熟成、ホルモン補充療法、月経前緊張症候群及びガンの治療(treatment)において有用となり得る。
【0032】
本発明の化合物は、各種の方法によって投与して良い。かくして、経口ルートによって活性とされる本発明のそれらの生産物は、液剤、懸濁液、乳液、舌下及び 口内錠剤を含む錠剤、軟ゼラチンカプセル中に用いられる溶液を含む軟ゼラチンカプセル、水溶液又は油懸濁液、乳化剤、丸剤、ロゼンジ、トローチ、錠剤、シ ロップ又はエリキシルなどにおいて投与して良い。非経口投与で活性な本発明の製品は、蓄積注射、SilasticTMと生分解性インプラントを含むインプラント、筋肉内及び静脈内注射によって投与して良い。
【0033】
組成物は、薬学組成物の製造のための当該分野で周知のいずれの方法に従い製造しても良く、そのような組成物は、甘味料、香料、着色料及び保存料からなる群 から選択される1つ以上を含み得る。錠剤の製造用に好適である無毒の薬学上許容される賦形剤と混合して該活性剤を含んでいる錠剤は、許容可能である。これ らの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム,炭酸ナトリウム,乳糖,リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤,コーンスターチ,又はアル ギン酸のような造粒及び崩壊剤;デンプン,ゼラチン又はアカシアのような結合剤;及びステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸またはタルクのような潤滑剤 として良い。錠剤は、未被覆として良く或いは消化管中での崩壊と吸収を遅延するための及びそれによってより長い期間にわたって維持された作動を提供するた めに周知の技法によって被覆しても良い。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル単独又はロウと共に、のような時間遅延材料を利 用し得る。
【0034】
経口使用のための製剤はまた、硬ゼラチンカプセルとして提供しても良く、その場合に有効成分は、例えば炭酸カルシウム,リン酸カルシウム又はカオリンのような不活性希釈剤と混合され、或いは軟カプセルとして提供して良く、その場合に有効成分は、落花生油,液状パラフィン又はオリーブ油のような油媒体と混合される。
【0035】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合して該活性材料を含む。そのような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム,メチル セルロース,ヒドロキシプロピルエチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルピロリドン,トラガカントゴム及びアカシアゴムのような懸濁剤、及び 天然発生ホスファチド(例えばレシチン),アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアラート),エチレンオキシドと長鎖脂 肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール),エチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから得られた部分エステルとの縮 合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート),又はエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物から得られた部分エステルの縮 合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)のような分散剤或いは湿潤剤を含む。該水性懸濁液はまた、エチル又はN−プロピルp−ヒド ロキシ安息香酸のような1以上の保存料,1以上の着色料,1以上の香料及びショ糖,アスパルテーム又はサッカリンのような1以上の甘味料をも含み得る。当 該分野で周知であるように、眼用製剤は、浸透圧について調節されるであろう。
【0036】
油懸濁液は、落花生油,オリーブ油,ゴマ油,椰子油のような植物油中、或いは液体パラフィンのような鉱油中に有効成分を懸濁することによって製造して良 い。該油懸濁液は、ミツロウ,硬パラフィン,セチルアルコールのようなある種の増粘剤を含み得る。甘味料は、美味な経口製剤を提供するために添加し得る。 これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存して良い。
【0037】
水の添加によって水性懸濁液の製造のために好適な本発明の分散可能な粉末及び顆粒は、分散,懸濁及び/又は湿潤剤、及び1以上の保存料と混合した有効成分から製造し得る。適当な分散或いは湿潤剤と懸濁剤は、先に開示したそれらによって例示される。付加の賦形剤、例えば、香料及び着色料もまた存在させて良い。
【0038】
本発明の薬学組成物は、水中油型エマルジョンの形態としても良い。その油相は、オリーブ油又は落花生油のような植物油,液状パラフィンのような鉱油,又は これらの混合物として良い。適当な乳化剤は、アカシアゴム及びトラガカントゴムのような天然ゴム,大豆レシチンのような天然ホスファチド,ソルビタンモノ オレアートのような脂肪酸とヘキシトール無水物から得られるエステル及び部分エステル,及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートのようなこれら部 分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物を含む。該エマルジョンは、甘味料及び香料をも含み得る。
【0039】
シロップとエリキシルは、グリセリン,ソルビトール又はショ糖のような甘味料と共に製剤として良い。そのような製剤は、粘滑薬,保存料,香料又は着色料をも含み得る。
【0040】
本発明の薬学組成物は、無菌の注射可能な水溶液又は油性の懸濁液のような無菌の注射可能な製剤の形態として良い。この懸濁液は、上述しているそれらの適当 な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて周知の技術に従って製剤化して良い。該無菌の注射可能な製剤は、1,3−ブタンジオールの溶液のような、無毒の非経口 的に許容可能な希釈剤又は溶媒中で無菌の注射可能な溶液又は懸濁液としても良い。使用し得る許容可能なビヒクルと溶媒の中では、水及びリンゲル溶液,等張 食塩水がある。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として通常的に用いられる。この目的のために、いずれのブランドの不揮発性油も合成モノ又は ジグリセリドを含めて利用し得る。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用製剤の製造において同様に使用し得る。滅菌は、無菌濾過、照射又は熱的な滅 菌(例えばオートクレーブ)によるような当業者に周知の通常の方法によって実施できる。
【0041】
水性製剤(即ち水中油型エマルジョン,シロップ,エリキシル及び注射用製剤)は、最適な安定性のpHを達成するように製剤化し得る。最適なpHの決定は、当業者に周知の通常の方法によって実行し得る。適当な緩衝剤もまた、該製剤のpHを維持するために使用して良い。
【0042】
本発明の化合物は、該薬剤の直腸投与用の座薬の形態で投与しても良い。これらの組成物は、常温で固体であるが、直腸温度で液体となり、従って該薬剤を放出 するために直腸内で溶融する、適当な無刺激性賦形剤と該薬剤とを混合することによって調製できる。そのような材料の非制限的な実例は、ココアバター及びポ リエチレングリコールである。
【0043】
それらは、座薬、吸入剤、粉末及びエアゾル製剤により鼻内,眼内,膣内,及び直腸内ルートによって投与することもできる。
【0044】
局所ルートにより好適に投与される本発明の製品は、アプリケータースティック,溶液,懸濁液,エマルジョン,ゲル,クリーム,軟膏,ペースト,ジェル,塗布剤,粉末,及びエアゾルとして投与して良い。
【0045】
抗グルココルチコイド活性を有する製品は、特にクッシング症候群,多毛症のような過剰な内因性グルココルチコイドによって特徴付けられる病理学的状態にお いて、及び特に副腎性器症候群,緑内障のようなグルココルチコイド過剰に関連した眼の状態,過剰のグルココルチコイド分泌に関連したストレス状態などにお いて価値がある。
【0046】
プロゲステロン活性を有する製品は、プロゲステロン剤,排卵抑制剤,月経調整剤,避妊薬,ウシにおける妊孕期の同期化,子宮内膜症などための剤として特に 価値がある。避妊薬の目的で用いる場合、それらは、例えばエチニルエストラジオール又はエストラジオールエステルのようなエストロゲン剤と利便的に混合して良い。
【0047】
抗プロゲステロン活性を有する製品は、プロゲステロンの効果に拮抗することによって特徴付けられる。そのように、それらは月経周期におけるホルモン不規則の制御において及びウシにおける妊孕期の同期化のために特に価値がある。
【0048】
本発明の化合物は、生殖周期の全体を地位して受胎能の制御のために使用し得る。それらは、着床に不利な子宮を与える性交後の避妊のような、及び「月に一度の」避妊剤として特に価値がある。それらはプロスタグランジン、オキシトシンなどとの接合体において使用して良い。
【0049】
本発明の製品の更に重要な有用性は、ホルモン依存性ガンの増殖を抑制する、その能力にある。そのようなガンは、腎臓、胸部、子宮内膜、卵巣ガン、及びプロ ゲステロン受容体を所有することによって特徴付けられる且つ本発明の製品に適応することを意図し得る前立腺ガンを含む。抗プロゲステロン剤の他の利用は、 乳房線維嚢胞病の治療を含む。ある種のガン、特に黒色腫は、コルチコイド/抗コルチコイド療法に有利に応答し得る。
【0050】
本発明に従う化合物は、ヒト,家庭のペット,及び家畜のようないずれの温血動物に対しても投与できる。家庭のペットは、イヌ,ネコなどを含む。家畜は、ウシ,ウマ,ブタ,ヒツジ,ヤギなどを含む。
【0051】
単一用量形態を導くための担体材料と組み合わせて良い有効成分の量は、治療する疾患,哺乳動物の種,及び投与の特有の形態に基づいて変わるであろう。治療 に有効な量は、ルーチンの実験によって、及び類似ステロイド化合物により同じ疾患状態を治療するために用いた量からの類似性によって決定し得る。例えば、 該ステロイドの単位用量は、好ましくは有効成分の0.1ミリグラムから1グラムまでを含んで良い。より好ましい単位用量は、0.001から0.5グラムま でである。子宮内膜症或いは類線維腫の特異的治療のためには、0.01乃至10mg/ 体重kg、好ましくは0.3から3mg/kgまで、より好ましくは0.1から1mg/kgまでの量を経口的に投与して良い。同様に用量は、これら化合物の 他の治療目的のために用いて良い。通常、該化合物は、1日1乃至4回毎日、好ましくは1日1乃至2回投与して良いが、例えばホルモン補充療法における使用 のためには、それらをシクロファシック養生法(cyclophasic regimen)で投与して良い。いずれのケースにおいても、投与の頻度とタイミングは、体内におけるその特有な化合物の半減期、製剤の用量及び投与の ルートのような要因に基づくであろう。しかしながら、何れかの特有の患者のための特有な用量レベルは、用いる特有の化合物の活性;その時治療している個人 の年齢,体重,全般的な健康,性別及び食事,及び投与のルート;排出速度;前もって投与している他の薬剤;及び当業者によって十分に理解される、治療を受 けている特有の疾患の重篤度に依存するであろうことが理解されるであろう。
【0052】
全般的に記載されている本発明の更なる理解は、説明の目的のためにここに提供される幾つかの総括的な実施例を参照することによって得ることができる。
【0053】
本発明の化合物は、例えば図1−5中に概要を示した方法によって、当業者に周知の通常の方法によって作製し得る。かくして、例えば図1中に示したような、化合物A−13(Ar=4−Me2N−C64−) は、周知の化合物3−メトキシ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−オン(A−1,米国特許第4,512,986号参照)で開始し て作製して良い。これは、p−トルエンスルホン酸の存在中で無水酢酸での処理によってエノールアセテートA−2に変換される。この化合物とメチルリチウム との反応は、17α−ヒドロキシ−メチル化合物A−3を与えるように,ZnCl2の存在中でホルムアルデヒドと反応させて生成する。その20−ケトンは、C−20でエピメリックなジオールの混合物として通例得られるA−4に、LiAlH4のような各種のハイドライド試薬によって還元され得る。これらを分離する必要はないが(たとえそれらが望まれるとしても)、しかし5(10)−エン−3−オンA−6に、好ましくはシュウ酸のような温和な酸で加水分解することができる、ジエノールエーテルA−5 にアンモニア中でリチウムによって変換することができる。ピリミジウム三臭化物によるA−6の処理は、p−トルエンスルホン酸のような酸の存在中でエチレ ングリコールによる通例の手法において得ることができるケタールA−8から、4,9−ジエン−3−オンA−7を与える。カルボニルへの両方の水酸基の酸化 は、塩化オキサリル/ジメチルスルホキシド(Swern試薬)によって実行でき、さらにNaOCl2による得られたA−9の更なる酸化は、メチルエステルA−10を生じるようにMe3SiCHN2とメタノールを反応させることで17α−ホルミル基をカルボン酸に変換する。ヘキサフルオロアセトンとNa2HPO4の存在中でH22による5(10)二重結合A−10のエポキシ化は、例えば、17α−カルボメトキシ−11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(A−13,Ar=4−Me2N−C64-)に、酸、好ましくは塩酸とメタノールによって変換可能な、化合物A−12(Ar=4 Me2N−C64-)をもたらすため、CuBr/ジメチルスルフィド複合体のようなCu(I)塩の存在中でアリールマグネシウム臭化物との反応を経て、エポキシドA−11が生成する。
【0054】
6員の17,17−スピロラクトン基を組み込んでいる11β−アリールステロイドは、図2中 に概略を示すような方法に従って合成できる。化合物B−1の17−ケト部分は、シアン化ナトリウムと酢酸によって17β−シアノ−17α−ヒドロキシシア ノヒドリンB−2に変換され、次いでその水酸基は通例の手法でトリメチルシリル基によって保護される。シアノ化合物B−3は、次いでメチルマグネシウム臭 化物との反応によって17α−ヒドロキシ−20−ケトンB−4に変換され、そしてその17α−OHがそのシリルエーテルとして再度保護される。好ましくは リチウムt−ブチルトリメチルシリルアミドのような金属アミドと、ブロモ酢酸エチルのようなα−ハロエステルの使用による、得られたB−5のアルキル化に より、γ−ケトエステルB−6が生成する。その11β−アリール基は、上述した通り導入され、そして得られた化合物B−8は、酸と水、好ましくは溶媒とし てCH2Cl2と共にトリフルオロ酢酸と水によって、17α−ヒドロキシエステルB−9に加水分解される。ラクトンへの平衡を進めるためのエタノールの除去と共に、好ましくはCH2Cl2の ような有機溶媒中でのこの化合物と好ましくはトリフルオロ酢酸のような無水酸との加熱は、例えば11β-(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニ ル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン(B−10,Ar=4−Me2N−C64-)のようなスピロラクトン化合物の構造をもたらす。
【0055】
中間体A−7は、プレグナン核の17α−位中のアルキニル又はオキシメチルのような炭素置換を有する11β−アリール化合物を作製するために用いることもできる。かくして、図3中 に示した通り、アルデヒドC−1への例えばSwern試薬による酸化、Seyferth-Gilbert試薬による反応、及び例えばp−トルエンスルホン 酸の存在中エチレングリコールによるモノケタール化(monoketalization)により、エチニル化合物C−2が生成する。上述した通りのC−3 へのエポキシ化、11β−アリール化及び脱ケタール化(deketalization)/脱水素化により、例えば11β−(4−(N,N−ジメチルアミ ノ)フェニル)−17α−エチニル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(C−4,Ar=4−Me2N−C64-)が生じる。ジカルボニル化合物A−9は、不安定な中間体C−5を与えるように選択的に還元し得る(例えばLiAl(OBut)3H によって)。化合物C−5は、上述した通り11βアリール部分の導入、続いて酸、好ましくはトリフルオロ酢酸及び水とによる処理によって、例えば 11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−17α−ヒドロキシメチル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン (C−6,Ar=4−Me2N−C64-)のようなヒドロキシメチルジエノンC−6に変換することができ、或いは、有機無水andyピリジンによる処理、続いて11β−アリール化及び酸処理によってC−8(例えばAr=4−Me2N−C64-,R=CH3又はC65) のような各種のエステルに変換できる。例えばヨウ化メチル或いはメチルトリフラートのようなアルキル化剤による水酸基のアルキル化、続いて11β−アリー ル化及び酸/水処理により、例えば11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−17α−メトキシメチル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン −3,20−ジオン(C−10,Ar=4−Me2N−C64-,R=CH3)のような17α−アルコキシメチル化合物が生成する。
【0056】
化合物B−4は、p−トルエンスルホン酸の存在中で例えばエチレングリコールによってジケタールD−1に最初に変換し、次いで上述した通りのエポキシ化とアリール化の標準法によって、図4中に示した通りの一連の17α−アシルオキシ化合物D−4に変換することができる。得られる化合物D−3は、C−17α−ヒドロキシルでエステル化し、さら にカルボン酸、無水トリフルオロ酢酸及びp−トルエンスルホン酸による処理によって望まれる化合物D−4に脱ケタール化/脱水素し得る。代替的且つより好 ましくは、化合物B−4は、カルボン酸、無水トリフルオロ酢酸及びp−トルエンスルホン酸による処理によって17α−アシルオキシ化合物D−5に変換し得 る。モノケタールの選択形成は、D−6を生じるようにp−トルエンスルホン酸の存在中でのエチレングリコールとの反応によって直ちに生じる。この化合物 は、過酸化水素、ヘキサフルオロアセトン及びNa2HPO4との反応によってエポキシドD−7に直ちに変換 される。エポキシドD−7がCuBr/ジメチルスルフィド複合体で予備処理されているアリールグリニャール試薬と反応するとしても、銅試薬の過剰なモルで はないグリニャール試薬で養生を行うべきであり、他の反応はD環置換を含めて生じ得る。この反応における収率は、一般に約40%である。驚くべきことに、 生成物D−8のより良好な収率(約60%)が、銅のソースとしてCuIを用いた場合に得られる。さらに驚くべきことには、最良の収率が、CuIとエポキシ ドD−7とが、例えばテトラヒドロフランのような有機溶媒中で一緒に混合され、且つテトラヒドロフラン中のグリニャール試薬が低温、好ましくは摂氏約0℃ で撹拌した混合物に直ちに加えられる場合に得られる。かくして、この後者の方法のbu使用は、90%の過剰なD−8の収率を得ることができる。標準条件下 での、好ましくはトリフルオロ酢酸と水の下でのD−8の脱ケタール化/脱水素は、望まれる類似物D−4を直ちにもたらす。
【0057】
17α−炭素置換化合物は、図5の方法に従い得ることもできる。化合物B−1は、(EtO)2P(O)CN/LiCNとSmI2による連続処理によって、17−シアノ化合物E−1に変換される。この化合物のアニオンは、例えばリチウムジエチルアミドのような金属ジアルキルアミドの使 用によって生成され、次いで17α−置換−17β−シアノ化合物E−2を生成するために、アルキル化剤、例えばヨウ化エチルで処理される。該シアノ基は、 水素化ジイソブチルアルミニウム,メチルリチウム,及びピリジニウムジクロマートによる連続処理によって17β−アセチルに変換される。得られる化合物 E−5は、エポキシドE−6、その11β−アリール中間体E−7及び望まれる最終生成物E−8に変換するために、先に述べた手法において処理される。
【0058】
1がアミン或いはサイクリックアミン化合物である場合の本発明に従う化合物は、R1がハロゲン,又はCF3SO2O−のような脱離基である、相当する化合物に変換すること、その後R1の 相当するアミン化合物の存在においてPd錯体での処理によって、相当するHOアリール化合物から当業者に周知の通常の方法によって調製しても良い。そのよ うな方法は、当業者に周知である(例えば、Louieら、J.Org.Chem.62:1268-1273(1997)とGuramら、 Angew.Chem.Int.Ed.Engl.34:1348-1350(1995)を参照)。
【0059】
本発明はまた、ステロイドと銅(I)とを、好ましくは有機溶媒中で予備混合すること、及び有機溶媒中のArMgXの溶液を混合するために添加することに よって、5(10)α−オキシド−9(11)−エンステロイドと、アリールグリニャール試薬ArMgXとのエポキシド開環反応によってC5水酸基を持つ11β−アリール置換ステロイド中間体を製造する方法をも提供する。エポキシステロイドと銅(I)塩の予備混合によって、開環した生成物の改善された収率が観測される。
【0060】
好ましい銅(I)塩は、ヨウ化銅,臭化銅,塩化銅及びシアン化銅のように当業者に周知である。好ましい実施態様において、ヨウ化銅が用いられる。
【0061】
好ましいアリールグリニャール試薬ArMgX(ただしXはハロゲン原子である)は、マグネシウムとの反応により、相当するアリールハライド化合物から当業 者に周知の通常の方法によって製造し得る。好ましい実施態様において、アリールグリニャール試薬のAr基は、アミン基によって、より好ましくはピペリジノ 基によってパラ位で置換される。
【0062】
該反応は、グリニャール試薬の調製と銅試薬の形成のために当業者に周知の有機溶媒中で行なうことができる。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン 及びジメチルエーテルのようなエーテル溶媒を使用し得る。該試薬の可溶化を促進するためベンゼン,トルエン又はキシレンのような少量の芳香族溶媒も使用し 得る。
【0063】
ステロイド化合物対銅塩対アリールグリニャールのモル比は、典型的には1:1−6:1−6、好ましくは1:2:4である。
【0064】
一実施態様において、5(10)α−オキシド−9(11)−エンステロイドは、β−アセチル又は置換したβ−アセチル基によって17位で置換される。17−アセチル基のための好適な置換基は、基R9のために望まれる上述した通りのものである。
【0065】
本発明の化合物は、プロゲスチンレセプターに良好な親和性をもって結合し(表1)、且つインビトロでの(表2)或いはインビボでの(表3,4)抗プロゲス テロン活性を有する。現時の抗プロゲスチンとは対照的に、これらの化合物は、次の新規な特徴:17,17六員スピロラクトン機 能;17α−C(C=O)ORへの17α−OC(=O)R機能の逆転;及び11−アリール部分上のサイクリック及びビサイクリックアミノ置換基、を有す る。
【0066】
そのような化合物は、子宮内膜症、子宮平滑筋腫(類線維腫)及びある種のガンと腫瘍の治療において、ホルモン補充療法において、同様に避妊のような生殖と 受胎能における各種の工程の制御において有用である。そのような化合物の可能性のある使用のより詳細な記載は、Donaldson,Molly S.; Dorfinger,L.; Brown,Sarah S.; Benet,Leslie Z.,Editors, Clinical Applications of Mifepristone(RU 486) and Other Antiprogestins, Committee on Antiprogestins: Assessing the Science,Institute of Medicine,National Academy Press,1993中に与えられる。それらはまた、他のステロイドの合成のための中間体としても有用である。
【0067】
総括的に記載されている本発明の更なる理解は、説明の目的のみのためにここに提供され且つ他に特記されない限りは制限することを意図するものでない幾つかの特有な実施例を参照することによって得ることができる。
【実施例】
【0068】
実施例1. 17α−カルボメトキシ−11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(A−13,Ar=4−Me2N−C64-)の合成 17α−ヒドロキシメチル−3−メトキシ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−オール(A−4)
乾燥テトラヒドロフラン(THF,300mL)中17α−ヒドロキシメチル−3−メトキシ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−オ ン(A−3,米国特許第4,512,986号,12.0g,35mmol)を、リチウムアルミニウム水素化物(2.7g,71.1mmol)によって、 0℃で1.5時間撹拌することによって処理した。その反応は、Rochelle's塩溶液(60mL,飽和)によって終止し、エーテルで抽出した。合体し た有機抽出物を乾燥し(MgSO4)、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;CH2Cl2中10%までのアセトン)によって部分的に分離されるC−20エピマーの混合物として、該生成物を得るために溶媒を留去した。合計収量は10g(89%)であった。1H NMR(250MHz;CDCl3)(劣る極性異性体)δ 7.
21(d,1,J=8.5Hz,1−H),6.75(d,1,J=2.75,8.6Hz,2−H),6.62(dd,1,J=2.7Hz,4−H),3.78(s,3,CH3O),1.34(d,3,J=6.46Hz,21−CH3),1.01(s,3,18−CH3).
【0069】
20−ヒドロキシ−17α−ヒドロキシメチル−3−メトキシ−19−ノルプレグナ−2,5(10)−ジエン(A−5)
THF(1.1L)中の化合物A−4(C−20異性体の混合物;39.0g,113.2mmol)とt−BuOH(400mL)とを、−78℃で50分間にわたり液体NH3の1.5Lにゆっくりと加え、次いでリチウムのワイヤー(8.3g,1.20mol)を加えた。−78℃で3時間撹拌したその反応後、MeOH(250mL)を慎重に加え、NH3を留去した。飽和NH4Clによる分配、EtOAc(3x500mL)による水相の抽出及び水と塩水(brine)とによる合体した有機相の洗浄、続いて乾燥(MgSO4)及び溶媒の留去により、次の反応に好適な、100%の収率で、粗A−5が得られた。
【0070】
20−ヒドロキシ−17α−ヒドロキシメチル−19−ノルプレグン−5(10)−エン−3−オン(A−6)
上記の粗A−5を、THF(650mL)とジオキサン(800mL)の混合物中に溶解し、次いで水(500mL)中のシュウ酸(22.5g,250.0mmol)を加えた。該反応物は、室温で一晩撹拌し、希釈NaHCO3溶液によってゆっくりと終止した。その水相を、CH2Cl2で3回抽出した。その有機相を合体し、飽和NaHCO3と塩水で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥した。溶媒を留去し、白色固体として生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc/ヘキサン)により精製し、2つの工程について95%収率で白色固体(C−20エピマーの混合物)としてA−6(35.7g)を得た。
【0071】
20−ヒドロキシ−17α−ヒドロキシメチル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3−オン(A−7)
−2℃での不活性雰囲気下で乾燥ピリジン中、上記の粗A−6(35.5g,106.7mmol)を、ピリミジントリブロミド(41.7g,117.3mmol)によって処理し、その反応混合物を一晩、室温までゆっくりと昇温した。その反応は、Na2SO3で終止した。溶媒の大部分を真空中で除去した。残存するスラリーを水で希釈し、CH2Cl2で3回抽出した。有機相を合体し、H2O,希釈したCuSO4,H2O,及び塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、溶媒を留去し、橙色固体を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1EtOAc/ヘキサンまでの1:1EtOAc/ヘキサン)により精製し、全体で63%の収率で白色固体としてA−7(22.32g)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3);(劣る極性異性体)δ 5.67(s,1,4−H)
,3.97(dd,1,J=3.3,8.0Hz),3.74(d,1,J=9.2Hz),1.33(d,3,J=6.47Hz,21−CH3),1.14(s,3,18−CH3);(より極性の異性体)δ 5.67(s,1,4−H),3.52(t,1,J=3.52Hz),1.35(d,3,J=6.42Hz,21−CH3),0.93(s,3,18−CH3).
【0072】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−20−ヒドロキシ−17α−ヒドロキシメチル−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン(A−8)
250mLのベンゼン中、A−7(より極性な異性体)の3.6g(11.0mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物の175mg、及びエチレングリ コールの2.9mLの溶液を、Dean-Starkトラップとコンデンサーを備えた500mLフラスコ中に入れた。その反応液を一時間還流により加熱し、 常温まで冷却し、5%NaHCO3溶液で洗浄した。そのベンゼン相を、ワットマン1相分離濾紙を通して濾過し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒の留去と真空中での乾燥により、ケタールA−8の3.31g(82%収率)が得られた。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ 7.35(bs,1,11−H),3.95(m,4,3−ケタール),1.31(d,3,21−CH3),0.72(s,3,18−CH3).
【0073】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン−17α−カルボキシアルデヒド(A−9)
塩化オキサリルの溶液(7.64mL,15.3mmol,CH2Cl2中2M)を、ドライアイス-イソプロパノール浴中で−55℃に冷却し、CH2Cl2の5mL中ジメチルスルホキシド(DMSO)2.4mLの溶液を加えた。その反応混合物を2分間撹拌し、CH2Cl2の20mL中ジオールA−8の2.60g(6.95mmol)を5分間にわたり加えた。該反応混合物を15分間撹拌し、トリエチルアミン(TEA)の9.70mLを加えた。該反応混合物を5分間撹拌し、室温まで昇温させた。該相を分離し、その水相をCH2Cl2の2x50mLで抽出した。有機相を合体し、水(4x30mL)と飽和NaCl(30mL)で洗浄した。有機相を、ワットマン1相分離濾紙を通して濾過し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒の留去と真空中での乾燥により、TLCによって相同であった白色泡状としてケトアルデヒドA−9(2.14g,83%収率)が得られた。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 9.87(s,1,−CHO),5.53(m,1,11−H),3.98(s,4,3−ケタール),2.23(s,3,21−CH3),0.77(s,3,18−CH3).
【0074】
17α−カルボメトキシ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(A−10)
レゾルシノール(251mg,2.28mmol)を、ジオキサンの10.5mLと1Mリン酸緩衝液(pH3.5)の3.5mL中、A−9(650mg,1.76mmol)の溶液に加えた。水0.70mL中NaClO2(190mg,2.1mmol) の溶液を、5分間かけて撹拌しながら加えた。その溶液は、更に20分間撹拌し、150mLの冷水中に注いだ。得られた白色のエマルジョンを、EtOAcの 2x75mLと2x50mLで抽出した。合体した抽出液を、飽和NaCl溶液の25mLで洗浄し、ワットマン1相分離濾紙を通して濾過した。メタノール (20mL)を濾液に加え、次いでヘキサン中の2M(トリメチルシリル)ジアゾメタン溶液の1.14mLを加えた。その溶液を、その反応の進行度を調べる ために取り出したアリコートのTLC分析が完全となった2.5 時間まで撹拌した。溶媒の留去によって粗生成物の0.80gが得られた。該粗生成物は、MeOHにより溶出される5.9x72cmセファデックスLH20 カラムによるクロマトグラフィーにより精製した。純粋なA−10を含む分画を合体し、濃縮し、純粋な生成物315mgを得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.56(s,1,11−H),3.98(bs,4,3−ケタール),3.68(s,3,−COOCH3),2.23(s,3,21−CH3),0.72(s,3,18−CH3).
【0075】
17α−カルボメトキシ−5(10)−エポキシ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−19−ノルプレグナ−9(11)−エン−20−オン(A−11)
メチルエステルA−10(295mg,0.74mmol)を、0℃で塩化メチレン(2.2mL)に溶かした。リン酸一水素ナトリウム(10mg/mL水溶 液の73μL,0.734mg,0.0052mmol)、ヘキサフルオロアセトン三水和物(112μL,0.177g,0.80mmol)、及び30%H22水 溶液(159μL)を加え、その反応混合物を一晩活発に撹拌した。該反応混合物は、一晩、14℃までゆっくりと昇温した。該反応混合物を塩化メチレン (30mL)で希釈し、冷5%NaCl溶液(15mL)で洗浄し、ワットマン1相分離濾紙を通して濾過した。溶媒を濾液から留去して、カラムクロマトグラ フィーによって精製した白色泡状物(279mg)を得た。大部分の白色泡状物(254mg)を、アセトン/塩化メチレン(5:95,v/v)によりスラ リー化し、直径1.3cmカラムに充填したカラムクロマトグラフィー用のシリカゲル60(5g,230−400メッシュ)にてクロマトグラフィーにかけ た。5(10)α−とβ−エポキシドの混合物(119.6mg)を、12乃至24mL分画中、アセトン/塩化メチレン(5:95,v/v)で溶出した。先 導クロマトグラフィーで5(10)α−とβ−エポキシドの全重量で別に13.1mgを得た。TLC:アセトン/塩化メチレン(5:95,v/v)で展開し たシリカゲル60 F−254 Rf 5(10)α−エポキシドについて0.36及び5(10)β−エポキシドについて0.39(マイナーなスポット)。1H NMR(250MHz;CDCl3)(α−異性体)δ 6.02(m,1,11−H)
,3.93(m,4,3−ケタール),3.68(s,3,COOCH3),2.51(s,3,21−CH3),0.73(s,3,18−CH3);(β−異性体)δ 5.85(m,11−H,2.45(s,21−CH3),0.71(s,18−CH3).
【0076】
17α−カルボメトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−5α−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−9−エン−20−オン(A−12,Ar=4−Me2N−C64-)
アルゴン雰囲気中の無水条件下、マグネシウム片(545mg,41.4mmol)を、マグネチックスターラー、付加の通路、ストッパー及びアルゴン入口ア ダプターを施した還流コンデンサーを備えた50mL三首丸底フラスコに入れた。テトラヒドロフラン(5mL、ナトリウム/ベンゾフェノンから新たに蒸留し た)を反応フラスコに加えた。4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン(3.20g,16mmol)と1,2−ジブロモエタン (280μL,3.25mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶かし、付加通路に入れた。この溶液の1mLを、活発に撹拌したマグネシウム片に迅速 に加えた。反応物に温和な加熱を開始した。残存している4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン/1,2−ジブロモエタン溶液を、還流を維持するための速度 で滴下添加した。添加が完了し、さらに活発な反応が鎮静化した後、ヨウ素の結晶を加え、そして反応混合物を、幾つかの未反応Mg残存物を伴ったオリーブグ リーン色の溶液が生じるまでの2.25時間、還流した。該反応混合物を室温まで冷却し、テトラヒドロフランで20μLまで希釈し、グリニャール試薬の保存 溶液とした。この保存溶液の2mLを、臭化銅ジメチルスルフィド複合体(320mg,1.56mmol)を入れた50mLの三首丸底フラスコに加えた。得 られた濃厚な均質スラリーは、テトラヒドロフランの3mLで希釈した。室温で15分後、得られた淡い緑色スラリーを−10℃に冷却した。エポキシド A−11(132mg,幾つかのβ−エポキシドが存在した)をテトラヒドロフラン(2.5mL)中に溶かし、0.5mL のテトラヒドロフラン濯ぎとともに淡い緑色スラリーに加えた。該反応混合物を−10℃で1.5時間撹拌し、一晩室温までゆっくり昇温した。室温で40時間 後、反応混合物を飽和した塩化アンモニウム溶液に注ぎ、45分間撹拌した。該反応混合物を塩化メチレンで抽出した。その抽出液を飽和塩化アンモニウム溶液 (50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し(30分間、磁力撹拌した)、及びワットマン1相分離濾紙を通して濾過した。該溶媒を濾 液から留去し、170mgの粗生成物を得て、それをSephadex LH-20上でメタノールで溶出するクロマトグラフィーにかけた。推論可能な純度の望まれるA−12(Ar=4−Me2N−C64−,25.9mg,0.048mmol)を、1500乃至1600mL分画中に溶出した。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.6(d,2,Ar−H),6.64(d,2,Ar−H)、4.22(m,1,11−H),3.71(s,3,COOCH3),2.90[s,6,N(CH3)2]、2.17(s,3,21−CH3),0.42(s,3,18−CH3

【0077】
17α−カルボメトキシ−11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(A−13,Ar=4−Me2N−C64-)
化合物A−12(25.9mg,0.048mmol)を、メタノールの10mLに2滴の濃塩酸を加えることで調製したメタノール中塩酸の2mLに溶かし た。該反応混合物を室温で45分間、磁気的に撹拌した。重炭酸ナトリウム溶液の20ミリグラムを、該反応混合物に加えた。該反応溶媒を留去し、塩化メチレ ン(0.4mL)中で残渣を溶かし、アセトン/塩化メチレン(3:7,v/v)
によりスラリー化し、5mLディスポーサブルピペットに充填したカ ラムクロマトグラフィー用シリカゲル60(0.4g,230−400メッシュ)でクロマトグラフィーにかけた。TLC分析によって高い純度のA−13が、 2.8mL乃至5.6mL分画中にアセトン/塩化メチレン(3:7,v/v)で溶出された。1mL/分の流速で脱イオン水/メタノール(2:8,v/v) で溶出したRP−18カラム(YMC社.55 120A ODS 4.6x150mm)による、254nmのUV検出器でのHPLC分析は、84.7%の望まれる生成物(Rt4.82分)
と14.3%の未知の不純物(Rt5.16分)を示した。調整用HPLCによる精製により、HPLCによって99%純度であったA−13(Ar=4−Me2N−C64-)(4.9mg,20.8%)を得た。1H NMR(CDCl3
25MHz)δ 7.01(d,2,Ar−H);6.65([d,2,Ar−H),5.75(s,1,4−H),4.34(m,1,11−H),3.73(s,3,COOCH3),2.91(s,6,N(CH3)2);質量分析(70eV)m/z(rel.強度)475.2723.
【0078】
実施例2. 11β-[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン(B−10,Ar=4−Me2N−C64-)の合成 17β−シアノ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−エストラ−5(10),9(11)−ジエン−17α−オール(B−2)
メタノールの1800mL中のB−1の100g(0.318mol)とKCNの227.7g(3.5mol)の懸濁物に、室温で 180mL(3.18mol)の酢酸を非常にゆっくり滴下し、特に最初の5当量(90mL)は3時間にわたり、加えた。該懸濁物は、溶液から沈澱した乳白 色の17β−シアノ生成物の増加に従って漸次透明となった。該反応混合物を3時間撹拌しておき、12Lの氷水中に注ぎ、一晩静置させた。TLCによる分析 (1:2EtOAc/ヘキサン)は、スポット変換までのスポットを示した。該生成物を採取し、1%酢酸溶液と水で洗浄し、乾燥して、精製することなく次の 工程に使用される白色粉末固体の96.41g(89%収率)を得た。B−2の1H NMRスペクトルは、その構造に一致していた。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.
60(bs,1,11−H),4.0(s,4,3−ケタール),0.91(s,3,18−CH3).
【0079】
17β−シアノ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−17α−トリメチルシリルオキシエストラ−5(10),9(11)−ジエン(B−3)
3.0Lのトルエン中B−2の96.41g(0.283mol)の懸濁液に、室温でトリメチルシリル塩化物(TMSCL)の 395mL(3.113mol)を一度に加え、次いでピリミジンの265mLを滴下により加えた。該tan反応溶液を60℃とし、一晩撹拌した。 TLC(1:2EtOAc/ヘキサン)による分析は、主要な生成物B−3と微量の出発材料とを示した。該反応混合物は、冷却させておき、氷(2L)上に注 いだ。該生成物をトルエンで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、乾燥して、ほぼ定量的な収率で黄色残渣(116.9g)としてB−3を得た。化合物B−3は、精製することなしに次の工程で用いた。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.
38(bs,1,11−H),3.74(s,4,3−ケタール),0.66(s,3,18−CH3),0.10[s,9,(CH3)3Si].
【0080】
3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−17α−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(B−4)
アルゴン下で無水トルエンの855mL中B−3の112.8g(0.27mol)と乾燥テトラヒドロフラン(THF)の255mLの溶液に、メチルマグネ シウムブロミドの806mL(3:1トルエン/THF中1.4M,1.13mol)を一度に加えた。暗緑色溶液が還流までに生じ、さらに16時間還流し た。該反応混合物を室温まで冷却し、冷10%NH4Cl水溶液の2.0Lに注いだ。有機相を分離し、水相をトルエンで2度抽出した。合体した有機抽出液を、水相がpH5となるまでHCl溶液(1:99濃塩酸/水)で洗浄し、直後に、塩基性となるまでNaHCO3の2.5%溶液で洗浄した。塩水で洗浄した後、その溶液をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、乾燥して、粗残渣(55g)を得た。洗浄液の再抽出によって別に21gを得た。イソクラチックな溶離液(ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2,31:8:1)によるシリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、純白色固体としてB−4の45.1g(46.7%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.57(bs,1,11−H),3.98(s,4,3−ケタール),2.83(s,1,−OH),2.27(s,3,21−CH3),0.69(s,3,18−CH3).
【0081】
3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−17α−トリメチルシリルオキシ−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(B−5)
アルゴン下に室温で、CH2Cl2(500mL) 中B−4(45g,0.126mol)とトリエチルアミン(77.5mL,0.56mol)とを撹拌し、トリメチルシリルトリフラート (25.86mL,0.14mol)で処理した。2時間と3.75時間で、該反応混合物を5%重炭酸ナトリウム溶液(700mL)に注いだ。相を分離し、 その水相をCH2Cl2(2x350mL)で再抽出した。抽出液を脱イオン水(2x500mL)と飽和NaCl(500mL)で洗浄し、濾過した。溶媒を留去し、残渣を室温で一晩、真空中で乾燥させた。ヘキサン/CH2Cl2(25:75)によるシリカゲルでのイソクラチッククロマトグラフィーにより、B−5(39g,72%収率)が得られた。1H NMR(CDCl3、250MHz)δ 5.60(br s,1,11−H)、3.99(s,4,3−ケタール),2.15(s,3,21−CH3),0.53(s,3,18−CH3),0.11[s,9,−O−Si(CH3)3].
【0082】
3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−20−オキソ−17α−トリメチルシリルオキシ−19,21−ジノルコラ−5(10),9(11)−ジエン−24−オイック酸エチルエステル(B−6)
アルゴン下、THF(348mL,ナトリウム/ベンゾフェノンから新たに蒸留した)とN−tert−ブチルトリメチルシリルアミン (43.5mL,228mmol)を0−5℃に冷却し、n−ブチルリチウム(250.8mmol,ヘキサン中2.5M溶液の50.2mL)を10分間にわ たって加え、その溶液を0−5℃で1.5時間保持した。THF(250μL)中TMSエーテルB−5(39g,92mmol)をアルゴン下で−78℃に冷 却した。10分後、リチウムアミド溶液の半量を10分間にわたって加えた。さらに10分後、ブロモ酢酸エチル(50mL,450mmol)を5分間にわ たって加えた。該反応混合物を4時間−78℃で保持し、そして一晩、室温までゆっくりと加温した。次いでそれを冷希釈NaHCO3溶液(脱イオン水2Lと5%NaHCO3溶 液40mL)中に注ぎ、EtOAc(3x500mL)で抽出した。抽出液を脱イオン水(3x500mL)と飽和NaCl(500mL)で洗浄し、数時間硫 酸ナトリウムとともに撹拌することによって乾燥した。濾過と溶媒留去により、暗橙色油状物(66g)が得られ、それをCH2Cl2(100mL)に溶かし、ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(8:1:1,v:v:v)によってシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけた。混合した分画の再クロマトグラフィーによって、トータルで純粋なB−6の30.0gと、B−5の10.2gとが得られた。消費されたB−5に基づいて、B−6の収率は86.6%であった。1H NMR(CDCl3、250MHz)δ 6.09(br s,1,11−H),4.14(q,2,J=7.1Hz,−CH2−CH3),3.99(s,4,3−ケタール),1.26(t,3,−CH2−CH3),0.52(s,3,18−CH3),0.
12[s,9,O−Si(CH3)3].
【0083】
3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−5(10)α−エポキシ−20−オキソ−17α−トリメチルシリルオキシ−19,21−ジノルコル −9(11)−エン−24−オイック酸エチルエステル(B−7)と、11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,3−[1,2−エタンジイ ルビス(オキシ)]−5α−ヒドロキシ−20−オキソ−17α−トリメチルシリルオキシ−19,21−ジノルコル−9−エン−24−オイック酸エチルエス テル(B−8,Ar=4−Me2N−C64-)
Na2HPO4(1.49g,10.51mmol)、ヘキサフルオロアセトン三水和物(9.1mL,65.4mmol)とH2O中30%H22溶液(13.5mL)を、CH2Cl2(66mL)と共に、塩が完全に溶解するまで0℃で撹拌した。該混合物を、0℃でCH2Cl2(329mL)中B−6(27.7g,53.7mmol)の撹拌溶液に一部を加えた。該反応混合物を0−5℃で一晩活発に撹拌した。次いでそれを冷(0−5℃)CH2Cl2の700mLで希釈し、冷0.05%NaHCO3溶液(500mL),5%重炭酸ナトリウム溶液(10mL)を含む冷5%Na223溶液(500mL),冷脱イオン水(500mL)及び冷飽和NaCl(500mL)で洗浄し、NaSO4で乾燥し、そして濾過した。濃縮と乾燥により、更なる精製なしに用いられる粗B−7(27.4g)を得た。
アルゴン下、グリニャール試薬を、マグネシウム(6.13g,0.25mol)と、開始剤として1,2−ブロモメタン(1.00mL,11.6mmol) とともにTHF(241mL,ナトリウム/ベンゾフェノンから新たに蒸留した)中4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン(45.38g,0.23mol) から調製した。窒素下でCuBr・ジメチルスルフィド複合体(47.2g,0.23mol)とTHF(241mL,ナトリウム/ベンゾフェノンから新たに 蒸留した)を撹拌しつつ、グリニャール溶液を30分間にわたり室温で滴下して加えた。該スラリーを室温で2時間より長く撹拌した後、それを−5℃に冷却し た;THF(250mL)に溶かした粗エポキシドB−7(29.3g,B−6の58.1mmolから)を30分間にわたり加えた。−5℃で15分以上経過 した後、該反応混合物を一晩、室温までゆっくりと加温した。ついでそれを飽和NH4Cl溶液(1.5L)中に注ぎ;得られた混合物 を2時間活発に撹拌した。脱イオン水(1L)を加え、得られたエマルジョンを塩化メチレン(3x700mL)で抽出した。抽出液を脱イオン水 (2x700mL)、飽和NaCl溶液(700mL)で洗浄し、濾過した。濃縮と乾燥に続いて、ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(60:40:5,v:v:v)によるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、B−8(22.3g,B−6から59.2%)が得られた。1H NMR(CDCl3、250MHz)δ 7.04[d,2,J=8.7Hz,N(CH32へのAr−Hメタ],6.62[d,2,J=8.7Hz(N(CH32へのAr−Hオルト],4.45(s,1,5−OH),4.27(m,1,11−H),4.12(q,2,J=7.1Hz,CH2CH3),3.88−4.08(m,4,3−ケタール),2.89[s,6,N(CH32],1.24(t,3,J=7.1Hz,CH2CH3),0.20(s,3,18−CH3),0.13[s,9,O−Si(CH3)3].
【0084】
11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸エチルエステル(B−9,Ar=4−Me2N−C64-)
0−5℃でCH2Cl2(250mL) 中B−8(10.9g,16.8mmol)と脱イオン水(604μL,33.6mmol)とを活発に撹拌しつつ、トリフルオロ酢酸 (21mL,273mmol)を5−10分間にわたり滴下して加えた。該反応フラスコをアルゴンで溢流し、密封し、一晩室温までゆっくり昇温させた。次い で溶媒を留去し、得られた残渣を真空中で濃縮した。塩化メチレンを二度加え、濃縮操作を繰り返した。真空中で1.25時間の最後の濃縮の後、トリフルオロ 酢酸塩として単離した、得られた粗生成物B−9(Ar=4−Me2N−C64、黒褐色油状)は、相当に純粋であることがTLCによって分析され、且つ更なる精製なしにB−10(Ar=4−Me2N−C64)を合成するために使用した。特徴付けの目的のために、該粗生成物を、ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(60:40:5,v:v:v)によるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製する前に、Na2CO3とCH2Cl2の間で分配した。1H NMR(CDCl3,250MHz)δ 6.99[d,2,J=8.8Hz,N(CH32へのAr−Hメタ],6.63[d,2,J=8.8Hz,(N(CH32へのAr−Hオルト],5.75(s,1,4−H),4.36(m,1,11−H),4.12(q,2,J=7.1Hz,−CH2CH3),2.90[s,6,N(CH32],1.24(t,3,J=7.1Hz,CH2-CH3),0.40(s,3,18−CH3).IR(CH2Cl2)3490(17α−ヒドロキシル),2935(飽和炭化水素),1729(エステルカルボニル),1703(20−カルボニル),1655(3−カルボニル),1606cm-1(ジエン);質量分析(70eV),m/z(rel強度)519(7),473(8),389(10),121(100),C3241NO5はm/z519でM+を要する。
【0085】
11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン(B−10,Ar=4−Me2N−C64
アルゴン下、粗B−9(Ar=4−Me2N−C64 B−8の10.9gから)をCH2Cl2(300mL)に溶かした。トリフルオロ酢酸(46mL)を加え、撹拌した反応混合物を一晩還流した。翌朝、反応溶媒を留去した。CH2Cl2を二度加え、濃縮した。得られた残渣を、新鮮な試薬(CH2Cl2の 300mLとトリフルオロ酢酸の46mL)を加える前に15分間真空中でさらに乾燥し、そして一晩還流を繰り返した。その反応溶媒を留去した。得られた残 渣を乾燥し、新鮮な試薬を加え、一晩還流を繰り返した。この一連の方法は、別に3回行った。反応溶媒の最後の留去後、得られた残渣をCH2Cl2(300mL) に再溶解し、希釈重炭酸ナトリウム溶液に注いだ(水相のpHが8であった)。その相を混合し、分離し、該水相を塩化メチレン(2x200mL)で再抽出し た。該抽出液を脱イオン水(300mL)と飽和NaCl(300mL)で洗浄し、濾過した。溶媒を留去し、泡状物をCH2Cl2(50mL)に溶かし、シリカゲルクロマトグラフィーによって、11Lのヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(5:5:1,v:v:v)、4Lのヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(4:6:1,v:v:v)、1.6Lのヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(3:7:1,v:v:v)及び1Lのヘキサン/EtOAc/CH2Cl2(2:8:1,v:v:v)の段階濃度勾配により、スピロラクトンB−10(Ar=4−Me2N−C64)[4.54g、消費したB−8(1.4g回収された)に基づいて65.9%]を得た。得られたスピロラクトンB−10(Ar=4−Me2N−C64)は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって>99%純度となることが示された淡黄色固体であった。1H NMR(CDCl3、250MHz)δ 6.96[d,2,J=8.8Hz,N(CH32へのAr−Hメタ],6.63[d,2,J=8.8Hz,N(CH32へのAr−Hオルト],5.76(s,1,4−H),4.39(m,1,11−H),2.91[s,6,N(−CH32],0.52(s,3,18−CH3);IR(CH2Cl2)2935(飽和炭化水素),1740(エステルカルボニル),1718(20−カルボニル),1657(3−カルボニル),1606cm-1(ジエン);質量分析(70eV)m/z(rel強度)473(35),121(100),C3035NO4はm/z473でM+を要する。調製HPLCで調製し[RP−18,脱イオン水/アセトニトリル(1:1,v:v)]、72時間真空中81−82℃でDrieriteRの存在中で乾燥した分析試料は、1H NMR分析により部分的に加水分解されていることが示された。C3035NO4・0.25H2Oの分析計算値:C,75.41;H,7.49;N,2.93。測定値:C,75.57;H,7.45;N,2.93
【0086】
実施例3. 11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−17α−エチニル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(C−4,Ar=4−Me2N−C64)の合成 17α−ホルミル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(C−1)
CH2Cl2(10mL)中、塩化オキサリル(31.8mL,63.6mmol)を不活性雰囲気下で−60℃まで冷却した。ジメチルスルホキシド(DMSO,6.0mL,84.6mmol)を滴下して加え、反応物を30分間撹拌し、次いで乾燥CH2Cl2(44mL)中化合物A−7(7.0g,21.2mmol;異性体の混合物)をゆっくりと加えた。その反応物を−60℃で30分間撹拌した。次いでEt3N(19.5mL,140.0mmol)を加え、その混合物を−60℃で20分間撹拌し、そして1時間にわたり室温までゆっくり加温した。反応はH2Oで終止し、CH2Cl2で3回抽出し、さらにH2Oと塩水で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去して、次の工程で精製することなしに用いた茶色油状固体を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 9.84(s,1,ホルミル−H),5.68(s,1,4−H),2.34(s,3,21−CH3),0.96(s,3,18−CH3).
【0087】
3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチニル−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(C−2)
乾燥THF(50mL)中t−BuOK(3.08g,25.2mmol)と、乾燥THF(25mL)中(CH3O)2POCHN2(3.78g,25.18mmol;Seyferth/Gilbert試薬を、不活性雰囲気下で−78℃まで冷却した。 次いで、Seyferth/Gilbert試薬をt−BuOK溶液でゆっくりと処理し、−78℃で10分間撹拌した。乾燥THF(80mL)中上記反応か らの化合物C−1(仮定した19.0mmol)をゆっくり加えた。該反応物を−78℃で撹拌し、次いで一晩室温までゆっくりと昇温させ、H2Oで終止し、CH2Cl2で4回抽出した。その有機相を合体し、塩水で洗浄し、MgSO4で 乾燥した。溶媒を留去し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc/ヘキサン)によって精製し、固体(4.98g)を得、 ベンゼン(300mL)に溶かし、さらにエチレングリコール(11.8mL,212mmol)とp−トルエンスルホン酸(330mg,1.74mmol) で処理した。該反応物を1.5時間還流で加熱し、室温まで冷却し、NaHCO3水溶液で反応を終止した。その水相をEtOAcで2回抽出した。その有機相を合体し、H2Oと塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を留去し、残渣の黄色固体をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc/ヘキサン)によって精製し、望む生成物C−2を得た(C−1から69%収率)。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.60(bs,1,11−H),4.04(s,4,3−ケタール),2.43(s,1,エチニル−H),2.31(s,3,21−CH3),0.59(s,3,18−CH3)。
【0088】
11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−17α−エチニル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(C−4,Ar=4−Me2N−C64
11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン(B−10,Ar=4−Me2N−C64-)の合成のための上述した方法によって、化合物C−2をエポキシドC−3に、次いで表題化合物C−4(Ar=4−Me2N−C64)に変換した。1H NMR(250MHz;
CDCl3)δ 7.28(d,2,Ar−H),6.99(d,2,Ar−H),5.76(s,1,4−H),4.40(d,1,11−H),2.91[s,6,N(CH3)3],2.33(s,1,C≡C−H),0.33(s,3,18−CH3).
【0089】
実施例4. 17α−アセトキシ−11β−[4−(N−ピペリジノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(D−4,R=CH3,Ar=4−(N−ピペリジノ)フェニル)の合成 17α−アセトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(D−5,R=CH3
450mLのCH2Cl2中、p−トルエンスルホン酸(57g,0.302mol)と、酢酸(216mL,3.78mol)の懸濁液に、トリフルオロ酢酸無水物の534mL(3.78mol)をゆっくりと加え、0℃の温度に維持した。透明な溶液が得られた後、CH2Cl2の300mL中B−4(50g,0.14mol)の冷(0℃)溶液を加えた。得られた黄褐色溶液を10分間0℃で撹拌した。該反応混合物を氷水に注ぎ、飽和K2CO3溶液の2Lで塩基性とし、さらにpH9.0となるまで固体K2CO3を加えた。生成物をCHCl3で抽出し、NaSO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、乾燥して、更なる精製なしに用いた淡黄色の結晶状固体としてD−5,R=CH3の49.72g(99%収率)を得た。 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.70(bs,1,4−H),2.12(s,3,21−CH3),2.08(s,3,17−OCOCH3),0.80(s,3,18−CH3).
【0090】
17α−アセトキシ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(D−6,R=CH3
p−トルエンスルホン酸(1.33g,7.0mmol)、エチレングリコールの115mL(2.1mol)、及びトルエンの1.0Lの混合物を還流させ、300mLのトルエンを留去した。トルエンの250mL中化合物D−5(R=CH3,49.72g,0.14mol)を加え、得られた混合物を還流するよう加熱し、300mLのトルエンを留去した。該反応混合物を氷水中に注ぎ、飽和NaHCO3溶液で中性化した。生産物をCH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、乾燥して、D−6,R=CH3の54gを得て、更なる精製なしに用いた。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.57(bs,1,11−H),3.99(s,4,3−ケタール),2.07(s,3,21−CH3),2.06(s,3,17−OCOCH3),0.62(s,3,18−CH3).
【0091】
17α−アセトキシ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−5(10)α−オキシド−19−ノルプレグン−9(11)−エン−20−オン(D−7,R=CH3
0℃に冷やした塩化メチレン320mL中、ケタールD−6(R=CH3,25g,0.0625mol)の溶液に、H22(30%)の14.7mL(0.148mol)、ヘキサフルオロアセトン三水和物の8.3mL、及びNa2HPO4の1.77g(0.0125mol)の冷やした(0℃)混合物を加えた。得られた混合物を0℃で12時間、活発に撹拌した。冷反応混合物は、塩水によって反応を止めた。有機相をCH2Cl2で抽出し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して黄色固体(28.8g)を得て、SiO2フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:1)によって精製し、β−エポキシド異性体の約20%を含む、D−7の21.34gを得た(B−4から74%の単離した収率)。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.05(bs,1,α−エポキシドの11−H),5.85(bs,0.2,β−エポキシドの11−H),3.92(m,4,3−ケタール),2.08(s,3,21−CH3),2.06(s,3,17−OCOCH3),0.62(s,3,18−CH3).
【0092】
17α−アセトキシ−3,3−[1,2−エタンジイルビス(オキシ)]−5α−ヒドロキシ−11β−[4−(N−ピペリジノ)フェニル]−19−ノルプレグン−9−エン−20−オン(D−8,R=CH3,Ar=4−(N−ピペリジノ)フェニル)
グリニャール溶液は、触媒量(5滴)のジブロモエタンの存在するTHFの480mL中、4−(N−ピペリジニル)−フェニルブロミドの55.47g(0.23mol)とマグネシウムの5.62g(0.231g−原子)とから新たに調製した。N2下で0℃に冷やした乾燥THFの480mL中、エポキシドD−7(R=CH3,24g,0.0577mol)とCuI(21.9g,0.
115mol)の撹拌した懸濁液に、該グリニャール試薬を一度に加えた。15分間撹拌後、その緑黄色の懸濁液は、飽和NH4Cl溶液で反応終止した。その生成物をAtOAcで抽出し、有機相の分離を促進するためにエーテルを加えた。合体した有機抽出液をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、粗反応生成物の65.10gが得られ、それをSiO2フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:1)によって精製し、D−8、R=CH3の27.
71g(93%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.02(d,2,J=8.6Hz,芳香族−H),6.8(d,2,J=8.6Hz,芳香族−H),4.44(s,1,5−OH),4.28(d,1,J=7.3Hz,11−H),3.92(m,4,3−ケタール),3.09(m,4,N−CH2)),2.10(s,3,21−CH3),2.06(s,3,17−OCOCH3),0.27(s,3,18−CH3)。
【0093】
17α−アセトキシ−11β−[4−(N−ピペリジノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(D−4,R=CH3,Ar=4−(N−ピペリジノ)フェニル)
トリフルオロ酢酸(79mL,1.024mol)を、0℃でCH2Cl2の2800mL中D−8(33.12g,0.064mol)とH2O(57mL,1.024mol)の混合物に滴下して加えた。該反応混合物を1.5時間活発に撹拌し、飽和NaHCO3溶液(1.8L)で注意深く中性化した。その生成物をCH2Cl2で抽出し、合体した抽出液をNa2SO4で乾燥し、濾過し濃縮して32.34gの粗生成物を得た。フラッシュSiO2カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:1)によって純粋なD−4,R=CH3,Ar=4−(N−ピペリジノ)フェニルの9.47gが得られた。EtOHからの再結晶により6.45gの結晶性化合物を得た(HPLC,逆相YMC−C18カラム,85%MeOH:15%H2O,1.0mL/分により>99%純度)。カラムクロマトグラフィーからの純度の劣る分画(14.27g)は、フラッシュSiO2カ ラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:2)によって更に精製して12.97gの純粋な生成物とし、EtOHから再結晶して別に9.76gの生 成物(HPLCによって>99%純度)を得た。該結晶化合物は、NMR分析により示した通り、ca.1モルのエタノールを含んでいた。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.90(d,2,J=8.7Hz,芳香族−H),6.82(d,2,J=8.7Hz,芳香族−H),5.78(bs,1,4−H),4.38(d,1,J=7.3Hz,11−H),3.71[m,2,HOCH2CH3(溶媒)],2.13(s,3,21−CH3),2.09(s,3,17−OCOCH3),1.23[t,3,HOCH2CH3(溶媒)],0.34(s,3,18−CH3).
【0094】
実施例5. 11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,10−ジオン(D−4,Ar=4−Me2N−C64-,R=CH2CH3
CH2Cl2の10mL中、プロピオン酸(1.70g,22.9mmol)とp−TsOH(1.45g,7.65mmol)の溶液を0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(9.64g,45.9mmol)を該冷却溶液に加え、次いでCH2Cl2の5mL中D−3(Ar=Me2N−C64-,WO89/12448とWO96/30390)の400mg(0.765mmol)の溶液を加えた。水を加えた後、0℃で1時間撹拌した。飽和NaHCO3溶液を加え、混合物を固体K2CO3の添加によってpH>8に調整した。有機相を分離し、水相をCH2Cl2で抽出した。その有機溶液を合体し、塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を留去して、粗生成物を得て、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、D−4(Ar=Me2N−C64-,R=CH2CH3)の175mg(47%収率)を得た;1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.98(d,2,Ar−H),6.63(d,2,Ar−H),5.77(s,1,4−H),4.38(bd,1,11−H),2.91[s,6,N(CH32],2.09(s,3,21−CH3),1.18(t,3,CH3CH2COO),0.36(s,3,18−CH3);質量分析,m/z489(M+),400,372,251,121.C3139NO4・0.5H2Oの計算値:C,74.67;H,8.08;N,2.81.測定値:C,74.74;H,7.92;N,2.54.
次の実施例は、適当なD−3と、トリフルオロ酢酸無水物とp−トルエンスルホン酸の存在中で相当するカルボン酸との反応によって上述した方法によって調製した。
【0095】
実施例6. 11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−フェニルアセトキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.35(m,5,C65CH2COO)、6.95(d,2,Ar−H)、6.62(d,2,Ar−H)、5.79(s,1,4−H)、4.32(bd,1,11−H)、4.24(m,2,C65CH2COO)2.90[s,6,N(CH32]、2.02(s,3,21−CH3)、0.32(s,3,18−CH3);質量分析,m/z551(M+),417,372,251,121.C3641NO4の計算値:C,78.37;H,7.49;N,2.54.測定値:C,78.25;H,7.49;N,2.52.
【0096】
実施例7. 11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−ベンゾイルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 8.04(m,2,Ar−H)
,7.44−7.64(m,3,Ar−H),6.99(d,2,Ar−H),6.64(d,2,Ar−H),5.78(s,1,4−H),4.47(bd,1,11−H),2.96[s,6,N(CH32],2.12(s,3,21−CH3),0.42(s,3,18−CH3).質量分析,m/z537(M+),417,372,251,121.C3639NO4・0.5H2Oの計算値:C,76.89;H,7.37;N,2.56.測定値:C,76.92;H,7.26;N,2.54.
他のプロピオナートエステルは、D−6(R=-CH2CH3)を与えるためのエチレングリコールとp−トルエンスルホン酸によるケタール化、次いでエポキシドD−7(R=-CH2CH3)を与えるための過酸化水素とヘキサフルオロアセトンによるエポキシ化によって、D−5(R=-CH2CH3,D−5,R=-CH3を調製するためのその記載に類似の方法によって調製した)から調製した。
妥当なグリニャール試薬とD−7(R=-CH2CH3)の反応を銅(I)が触媒し、次いでD−8(R=-CH2CH3)を得るための加水分解を酸で触媒して、D−4(R=-CH2CH3)が得られた。
【0097】
実施例8. 17α−プロピオニルオキシ−11β−[4−(N−ピロリジノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.96(d,2,Ar−H)
,6.45(d,2,Ar−H),5.77(s,1,4−H),4.38(bd,1,11−H),2.08(s,3,21−CH3),1.21(t,3,CH3CH2COO),0.38(s,3,18−CH3);質量分析,m/z515(M+),446,354,147.C3341NO4 0.25・H2Oの計算値:C,76.19;H,8.04;N,2.67.測定値:C,76.05;H,8.05;N,2.67.
【0098】
実施例9. 11β−(1−メチルインドール−5−イル)−17α−プロピオニルオキシ−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.26(m,3,Ar−H)
,7.03(m,1,Ar−H),6.38(d,1,J=3Hz,Ar−H),5.80(s,1,4−H),4.58(bd,1,11−H),3.76(s,3,NCH3),2.08(s,3,21−CH3),1.19(t,3,CH3CH2COO),0.34(s,3,18−CH3);質量分析,m/z499(M+),425,382,251,131.C3237NO4・0.25H2Oの計算値:C,76.24;H,7.50;N,2.78.測定値:C,76.05;H,7.53;N,2.61.
【0099】
実施例10. 17α−アセトキシ−11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(D−4,Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,R=CH3)の合成 3,20−ビス[3,3−エタンジイルビス(オキシ)]−5α−ヒドロキシ−11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−19−ノルプレグン−9−エン−17αオール(D−3,Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)
臭化銅(I)−ジメチルスルフィド複合体を、乾燥THFの10mL中5−ブロモ−1−メチル−2,3−ジヒドロインドールの 1.32g(6.22mmol)とマグネシウムの181mg(7.46mmol)から新たに調製したグリニャール試薬に加えた。その溶液を30分間撹拌 し、0℃に冷却した。THFの5mL中、D−2(WO96/30390)の518mg(1.24mmol)の溶液を加えた。その混合物を常温までゆっくり と昇温し、1時間撹拌した。反応をNH4Cl水溶液で終止し、CH2Cl2で抽出した。そのCH2Cl2の溶液を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒の留去によって粗生成物を得て、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン100:5)で精製し、D−3(Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)の200mg(30%収率)を得た。 1H NMR(250MHz;CDCl3
δ6.95(s,1,Ar−H),6.85(d,1,Ar−H),6.35(d,1,Ar−H),3.9(m,8,3−及び20−ケタール),2.71(s,3,N−CH3),1.39(s,3,21−CH3),0.48(s,3,18−CH3).
【0100】
17α−アセトキシ−11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(D−4,Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,R=CH3
AcOH(612mg,10.2mmol)と、CH2Cl2の8mL中p−TsOH(646mg,3.4mmol)の溶液を0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(4.24g,20.2mmol)をその冷溶液に加え、次いでCH2Cl2の5mL中D−3(Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)の180mg(0.34mmol)の溶液を加えた。水を該混合物に加え、0℃1時間撹拌した。飽和NaHCO3溶液を加え、混合物を固体K2CO3の添加によってpH>8に調整した。有機相を分離し、水相をCH2Cl2で抽出した。その有機溶液を合体し、塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒の留去によって粗生成物を得て、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン100:5)で精製し、エーテル/ヘキサンから結晶化してD−4(Ar=1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,R=CH3
の47mg(28%収率)を得た。 1H NMR(250MHz;CDCl3
δ6.84(s,1,Ar−H),6.78(d,1,Ar−H),6.34(d,1,Ar−H),5.78(s,1,4−H),4.35(m,1,11−H),2.93(s,3,N−CH3),2.13(s,3,CH3CO),2.10(s,3,CH3CO),0.38(s,3,18−CH3).
【0101】
次のD−4は、適当なグリニャール試薬とD−2との反応、次いで得られたD−3と、トリフルオロ酢酸無水物とp−トルエンスルホン酸の存在中でAcOHとの反応によって類似の方法で調整した。
【0102】
実施例11. 17α−アセトキシ−11β−(4−メトキシフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.04(d,2,Ar−H)
,6.80(d,2,Ar−H),5.79(s,1,4−H),4.41(bd,1,11−H),3.77(s,3,OCH3),2.13(s,3,CH3CO),2.09(s,3,CH3CO),0.33(s,3,18−CH3);質量分析,m/z462(M+),402,359,331,251.
【0103】
実施例12. 17α−アセトキシ−11β−[4−(N−ピロリジノ)フェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.95(d,2,Ar−H)
,5.46(d,2,Ar−H),5.77(s,1,4−H),4.38(bd,1,11−H),2.13(s,3,CH3CO),2.10(s,3,CH3CO),0.38(s,3,18−CH3);質量分析,m/z501(M+),147.C3239NO4・0.75H2Oの計算値:C,74.60;H,7.92;N,2.72.測定値:C,74.49;H,7.81;N,2.69.
【0104】
実施例13. 17α−アセトキシ−11β−(1−メチルインドール−5イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.23(m,3,Ar−H)
,7.01(d,1,Ar−H),5.79(s,1,4−H),4.58(bd,1,11−H),3.75(s,3,N−CH3),2.14(s,3,CH3CO),2.08(s,3,CH3CO),0.32(s,3,18−CH3);質量分析,m/z485(M+),425,382,251.C3135NO4の計算値:C,76.67;H,7.27;N,2.88.測定値:C,75.99;H,7.30;N,2.81.
【0105】
実施例14. 17α−アセトキシ−11β−(4−N,N−ジメチルアミノ−3−フルオロフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.75(m,3,Ar−H)
,5.79(s,1,4−H),4.37(bd,1,11−H),2.88[s,6,N(CH32],2.13(s,3,CH3CO)、2.11(s,3,CH3CO),0.35(s,3,18−CH3);質量分析,m/z493(M+),433,390,251,139.C3036FNO4の計算値:C,73.00;H,7.35;N,2.84.測定値:C,72.88;H,7.42;N,2.88.
【0106】
実施例15. 17α−アセトキシ−11β−[2−(N,N−ジメチルアミノ)ピリド−5−イル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン 1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.89(d,1,J=2.5Hz,Pyr−H),6.27(dd,1,J=2.5,10Hz,Pyr−H),6.47(d,1,J=10Hz,Pyr−H),5.77(s,1,4−H),4.35(bd,1,11−H),3.05[s,6,N(CH32],2.13(s,3,CH3CO),2.09(s,3,CH3CO),0.41(s,3,18−CH3);質量分析,m/z476(M+),416,373,251,122.C293624の計算値:C,73.08;H,7.61;N,5.88.測定値:C,72.54;H,7.62;N,5.85.
【0107】
実施例16. 11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−エチル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(E−8,Ar=4−Me2N−C64-,R=-CH2CH3)の合成 17−シアノ−3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]エストラ−5(10),9(11)−ジエン(E−1)
乾燥THFの200ml中B−1(6.0g,19.1mmol)の溶液を、DMF中LiCN(115mL,57.3mmol)の0.5M溶液に加え、次い でシアノホスホン酸ジエチルの9.34g(57.3mmol)を加えた。該混合物は、水で希釈する前に室温で30分間撹拌し、次いでEtOAc/ヘキサン (1:1)で3回抽出した。その有機溶液を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去して濃厚な油状として粗ホスファートを得た。
ヨウ化サマリウム(II)溶液(THF中0.1M,764mL,76.4mmol)をN2下でフラスコに移した。THF240mL中の上記粗生成物と、t−BuOHの2.83g(38.2mmol)との溶液を加え、その反応混合物を一晩撹拌した。その反応をNH4Cl溶液で終止し、EtOAc/ヘキサン(1:1)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去して粗生成物を得て、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。17α−と17β-異性体の混合物として、E−1の収率4.92g(79%)。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.56(m,1,11−H),3.99(bs,4,3−ケタール),0.91と0.82[s,3(両方のシグナルの合計),α−とβ−異性体の18−CH3].
【0108】
17−シアノ−3,3−[エタンジイル(オキシ)]−17α−エチルエストラ−5(10),9(11)−ジエン(E−2,R=-CH2CH3
乾燥THFの20mL中、Et2NHの溶液を−78℃に冷却し、n−BuLi溶液の3.69mL(ヘキサン中2.5M、9.25mmol)を加えた。その混合物を−78℃で20分間撹拌した。分離フラスコ中、E−1の2.0gを乾燥THFの40mLに溶かした。この溶液を−78℃で冷却し、Et2NHの溶液をそれに加えた。−78℃で20分間の撹拌後、ヨウ化エチル(4.03g,25.8mmol)をその鮮明な橙色溶液に加えた。該混合物を−78℃で30分間撹拌し、さらに常温で20分間撹拌した。飽和NH4Cl溶液を加え、そして該混合物をEtOAcで抽出した。その有機溶液を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去して粗生成物を得て、溶出液としてEtOAc/ヘキサン(1:4)を用いてシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、E−2(R=-CH2CH3)の1.63g(75%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.58(bs,1,11−H),3.99(bs,4,3−ケタール),1.15(t,3,-CH2CH3),1.06(s,3,18−CH3).
【0109】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチル−17β−ホルミルエストラ−5(10),9(11)−ジエン(E−3,R=-CH2CH3
DIBAL−Hの溶液(17.6mL,トルエン中1.0M,17.6mmol)の溶液を、−42℃(アセトニトリル−ドライアイス浴)で、新たに蒸留したトルエン400mL中、E−2(R=-CH2CH3)の3.1g(8.78mmol)の溶液に滴下して加えた。その添加が完遂した後、該混合物を−42℃で1時間撹拌した。飽和NH4Cl溶液を加え、該混合物を常温まで昇温させた。該混合物を常温で一晩撹拌した。有機相を分離し、水相をトルエンで2回抽出した。合体した有機相を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去して粗生成物を得て、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン1:4)によって精製し、E−3(R=-CH2CH3)の2.3g(73%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 9.54(s,1,-CHO),5.57(bs,1,11−H),3.98(bs,4,3−ケタール),0.74(t,CH2CH3),0.71(s,18−CH3).
【0110】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチル−20−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン(E−4,R=-CH2CH3
メチルリチウム(9.3mL,THF中1.4M,12.9mmol)を、−78℃で乾燥THFの230mL中、E−3(R=CH2CH3)(2.3g,6.5mmol)の溶液に加えた。該混合物を−78℃で30分間撹拌し、室温までゆっくり昇温させた。さらに10分間の撹拌後、飽和NH4Cl溶液を加えた。得られた混合物をEtOAcで抽出し、合体したEtOAcを塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去して、次の反応に好適な生成物2.28g(95%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.49(s,1,11−H),3.91(s,4,3−ケタール),1.06(s,3,21−CH3),0.90(t,3,CH2CH3),0.78(s,3 18−CH3).
【0111】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチル−19−ノルプレグナ−5(10),9(11)−ジエン−20−オン(E−5,R=-CH2CH3
CH2Cl2の1mL中DMSO(503mg,6.45mmol)の溶液を、−60℃(ドライアイス/CHCl3浴)でCH2Cl2の5mL中塩化オキサリル(375mg,2.96mmol)の溶液に加えた。該混合物を−60℃で10分間撹拌した。CH2Cl2の2mL中E−4(R=CH2CH3)(500mg,1.34mmol)の溶液を加えた。該混合物を−60℃で15分間撹拌した。TEA(1.49g,14.8mmol)を加え、該混合物を常温まで昇温させた。反応を水で終止し、CH2Cl2で抽出した。CH2Cl2抽出液を水、次いで塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl3/アセトン100:1)によって精製し、E−5(R=-CH2CH3)の354mg(71%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 5.23(m,1,11−H),3.95(s,4,3−ケタール),2.02(s,3,21−CH3),0.73(t,CH2CH3),0.71(s,3,18−CH3).
【0112】
3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチル−5(10)α−オキシド−19−ノルプレグン−9(11)−エン−20−オン(E−6,R=-CH2CH3
ヘキサフルオロアセトン三水和物(73μL)と0.1M Na2HPO4溶液2.8mLを、CH2Cl2の2mL中、B−5(R=-CH2CH3)の335mg(0.91mmol)の溶液に加えた。該溶液は、50%過酸化水素溶液の89μLを加える前に0℃に冷却した。該混合物を常温までゆっくり昇温し、一晩撹拌した。その反応を10%Na223水溶液で終止し、CH2Cl3で抽出した。そのCH2Cl2抽出液を水、次いで塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4
。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン100:3)によって精製し、E−6(R=-CH2CH3)の150mg(43%収率)を得た。
【0113】
11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−3,3−[エタンジイルビス(オキシ)]−17α−エチル−5β−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−9−エン−20−オン(E−7,Ar=4−Me2N−C64-,R=-CH2CH3
臭化銅(I)−ジメチルスルフィド複合体(800mg,3.9mmol)を、THF中4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニルマグネシウムブロミドの1M溶液の3.9mL(3.9mmol)に加えた。該混合物を常温で30分間撹拌した。乾燥THFの2mL中、E−6(R=-CH2CH3)の150mg(0.
39mmol)の溶液を加え、該反応物を二日間常温で撹拌した。該反応をNH4Cl水溶液で終止し、CH2Cl2で抽出した。そのCH2Cl2溶液を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン100:3)によって精製し、E−7(Ar=4−Me2N−C64-,R=-CH2CH3)の130mg(66%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 7.03(d,2,Ar−H),6.63(d,2,Ar−H),4.25(m,1,11−H),3.96(m,4,3−ケタール),2.90(s,6,N(CH32),2.03(s,3,21-CH3),0.71(t,3,-CH2CH3),0.28(s,3,18−CH3).
【0114】
11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−エチル−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(E−8,Ar=4−Me2N−C64-,R=-CH2CH3
濃塩酸2滴を、メタノールの10mL中E−7(R=-CH2CH3)の130mg(0.26mmol)の溶液に加えた。その混合物を常温で2時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をNaHCO3水溶液で処理し、CH2Cl2で抽出した。
CH2Cl2溶液を塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン100:3)によって精製し、E−8(Ar=4−Me2N−C64-,R=-CH2CH3)の70mg(61%収率)を得た。1H NMR(250MHz;CDCl3)δ 6.94(d,2,Ar−H),6.57(d,2,Ar−H),5.69(s,1,4−H),2.84[s,6,N(CH32],2.03(s,3,21-CH3),0.67(t,3,-CH2CH3),0.28(s,3,18−CH3).
【0115】
本発明の化合物の生物学的活性を、インビトロ及びインビボ試験によって調べた。
受 容体結合 プロゲステロンホルモンへの該化合物の親和性を、C.E.Cookら、Human Reproduction,Volume 9,supplement 1,23-39頁(1994)中に記載されたそれらに類似の標準方法によって検査した。しかしながら、受容体はヒト起源とし、異なる放射性リガンドを用い た。かくして、プロゲスチンレセプター結合性のために、ヒトT−47D胸部ガン細胞と[3H]−R5020からのサイトゾル中で得られた受容体を放射性リガンドとして用いた。データは、IC50値、即ち放射性リガンド結合の50%が阻害される化合物の濃度として表した。
表1は、本発明の化合物がプロゲスチン受容体に強力に結合するが、親和性の度合が変わっていることを示す。細胞の及び全部の動物試験はまた、本発明の化合物の生物学的活性の更なる特徴付けを果たす。
【0116】
ヒト細胞におけるプロゲステロン及び抗プロゲステロン活性の測定 栄養培地中で増殖させたヒトT−47Dは、標準プロゲスチンR5020単独又はR5020プラス試験化合物とインキュベーションし、次いで測定物として[3H]−チミジンの組込みを用いた増殖についての標準方法によって評価した。
表2にこれらの結果を示す。抗プロゲスチン活性のデータは、EC50、 即ち0.15nMのR5020−介在増殖を50%阻害する化合物の濃度として表される。最大の阻害%(化合物の有効性の評価基準)もまた与えられる。この アッセイのアゴニスト形式において、化合物は0.01から10nMまでの範囲の濃度で試験し、いずれの用量での最大阻害%も表2中に記される。大部分の化 合物については、プロゲステロン活性を欠き、且つこのアッセイにおいて潜在抗プロゲステロン活性を示すことを見ることができる。しかしながら、17α−位 における非常に極性の水酸基の存在は、抗プロゲステロン活性を非常に少なくし、且つこれは、該OHがメチレン基によって17−炭素原子から分離される場合 に等しく保持される。
【0117】
イ ンビボでのプロゲステロン及び抗プロゲステロン活性の測定 プロゲステロン活性及び抗プロゲステロン活性は、McGinty試験(試験化合物単独、McGintyら、 Endocrinology,24:829-832(1939)の方法)又は抗-McGinty試験(試験化合物プラスプロゲステロン、Tamaraら、 Jpn.J.Fertil.Steril.24:48-81(1979)の方法)の手段によってウサギにおいて測定した。結果は、 McPhail(McPhail,J.Physiol.,83:146(1934))に従ってスコアした。これらは当業者に周知の標準方法である。これら のアッセイの結果を表3(アゴニスト活性)と4(アンタゴニスト活性)中に示した。プロゲステロン及び抗プロゲステロン活性のこの旧来の試験において、幾 つかの化合物がアゴニスト又は混合されたアゴニスト/アンタゴニスト活性のいずれかを示したことを、驚くべきことに見出した。Cookら(Human Reproduction,Volume 9,Supplement 1,pp32-39(1994))が、アンタゴニストからアゴニストまで、ある種の11β−アリール−19−ノルプレグナンステロイドのプロフィールを逆 転できることを報告しているとしても、それは、そのような逆転が、17α−位で置換変異体によって影響を及ぼし得ることを以前に報告してはいない。しかし 表3に示した通り、17α−メトキシメチル基の置換は、有意なプロゲステロン活性をもたらすことができる。更に驚くべきことには、11β−アリール基の 4−位での変異がこの効果を有し得ることが見出された。抗プロゲステロン化合物活性の包括的な要約において、Teutsch(Human Reproduction,Volume 9,Supplement 1,pp.12-31(1994))は、この減少の言及をしていない。しかしながら、17α−アセトキシ−11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェ ニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン(Cookら、Human Reproduction,Volume 9,Supplement 1,pp32-39(1994))と、17α−アセトキシ−11β−(−4−メトキシフェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20
−ジオン (表3と4)との比較は、このアッセイにおいて後者がアゴニストとアンタゴニスト特性を有するのに対して、前者の化合物は潜在抗プロゲステロン活性を有す ることを示す。この一連のアリール基の4−位での塩基性窒素置換基の存在は、この広範に許容されたアッセイによって表されたような潜在抗プロゲステロン活 性に必要とされる。かくして、隣接したアミノ基の塩基性が低い、4−ジメチルアミノアリール置換基の3−位における強力な電子吸引性フッ素原子の存在が、抗プロゲステロン活性が僅かな又は持たずに、強いプロゲステロン活性をもたらすことを観測し得る。
【0118】
サイクリック構造、モノサイクリック又はビサイクリックのいずれかへの窒素の更なる組込みは、驚くべきことに、潜在抗プロゲステロン活性を保持する。従って17α−アセトキシ−11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンは、経口抗プロゲステロン活 性のための抗Claubergアッセイ(McPhail,J.Physiol.,83:146(1934)を行った。このアッセイにおいて、未熟なニュー ジーランド白ウサギを、6日間エストラジオールでの処理によってエストラゲンをプライムした。ついでそれらには、5日間、プロゲステロンを皮下的に、及び 試験化合物を(経口的に)投与した。その処理の1日後、子宮を切開し、組織学的に調べた。子宮内膜の応答は、McPhailの方法によって評価付けし、阻 害%をそれぞれの用量で決定した。統計的分析はED50値を提供する。この化合物のED50は、周知の抗プロゲスチ ン、ミフェプリストンでの4.14mg/日と比べ、0.9mg/日であった。加えて、本発明の化合物は、ミフェプリストンが67%のみであるのに対し、子 宮内膜応答の阻害において100%有効であった。従って、該試験化合物は、このアッセイにおいてミフェプリストンよりも約5倍強力であり、その阻害はミ フェプリストンで生じるよりもより完全であった。
【0119】
17α−CO−OCH3への17α−O−CO−CH3の逆転は、何れかの顕著なプロゲステロン活性なしに、高い潜在抗プロゲステロン化合物をもたらす。スピロ−ケトラクトン(構造式II)を形成するための 17β−アセチルと17α−アセトキシ部分との結合はまた、プロゲステロン活性の徴候なしに潜在抗プロゲステロン活性をもたらす。さらに、この後者の化合 物をアンドロゲン受容体に結合するその能力について試験した場合に(ラット中心前立腺からのサイトゾル受容体と、放射性リガンドとして[3H]−5α−ジヒドロテストステロンを用いた)、それは非常に低い親和性(90nMのIC50対R1881の0.2nM)を有することを見出した。
【0120】
インビボでの抗グルココルチコイド活性 未熟な雄のラットの胸腺重量に関するデキサメタゾン(7日間1日当たり6μg)の効果を阻止する該化合物の能力を評価した。幾つかの化合物は、1日当たり 1000μgの用量で抗グルココルチコイド活性の無いことを示した。このようにコントロール動物は胸腺平均重量307±17(S.E.)mgを有し;デキ サメタゾンの6μg単独で処理した動物は胸腺平均重量65±8mgを有し;且つデキサメタゾンの6μgと17α−アセトキシ−11β−(1−メチルイン ドール−5イル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンの1000μgで処理した動物は胸腺平均重量105±8mgを有し、デキサメタゾン単独と有意の差はなく、該化合物がインビボでの僅かな抗グルココルチコイド活性を有するか又は有しないことを示している。単独で与えた場合、有意なグ ルココルチコイド活性はいずれも無い(胸腺重量270±13mg)。
【0121】
抗エストロゲン活性該化合物は、エストロゲン−刺激アルカリホスファターゼ活性を阻害する能力についてのイシカワヒト子宮内膜腺癌細胞系においてインビトロで試験した場合に 抗エストロゲン性ではなかった(例えば、Holinkaら(Cancer Res,46:2771-2774(1986)及びSimard(Cancer Res.57:3494-3497(1997)の方法を参照)。加えて、該化合物は、ミフェプリストン(IC50=783nM)に比較してヒトエストロゲン受容体(IC50>3000nM) より少ない親和性を示した。しかしながら、インビボにおいて、それらはミフェプリストンについて報告された、例えばWolfら (Fertil.Steril.52:1055-1060(1989)のタイプの非競合抗エストロゲン活性を示した。驚くべきことにそれらは、ミフェプリ ストンとエストロゲン、例えばエストラジオールの両方の17β−ヒドロキシ置換特性を有していないが、しかし代わりにプロゲステロンの17β−アセチル置 換特性を有するにもかかわらず、この活性を示した。このように、17α−アセトキシ−11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンは、10-6M までの濃度で、イシカワアッセイにおいて不活性であった。しかしながら、未熟雌ウサギに1日当たり5μgのエストラジオールと同時にその化合物を経口的に 10mg/日で投与し、その子宮を除去し且つ秤量した場合、その子宮重量は、エストロゲン処理したウサギに比べて減少した。未処理の未熟ウサギからの子宮 の重量は、エストラジオール無しでの246±87(S.E.)からエストラジオール単独での1402±104mgまで増加した。エストラジオールと 17α−アセトキシ−11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンの10mg/日によるウサギの 同時処理は、998±98mgにまで子宮重量を減じた。同様に、10mg/日での17α−アセトキシ−11β−(4−N−ピロリジノ)フェニル)−19− ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンは919±115mgにまで子宮重量を減じ、また17α−アセトキシ−11β−(1−メチル−インドリ ル)−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオンは同じ要領で956±115mgにまで子宮重量を減じた。後者の化合物はまた、抗エストロゲ ン活性のためのイシカワ細胞アッセイにおいて不活性であった。
本発明の内容の中には、プロゲステロンの活性の治療はアゴニストとアンタゴニスト活性の両方を含む。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0122】
明らかに、本発明の多くの改変と変化が上記の教示に照らして可能である。それは、従って、添付の特許請求の範囲の範囲内であり、本発明はここでの特有の記載以外に実施し得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式II
【化1】

[式中 R1は(R23N)−,(ただしR2とR3はH,C1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は
1は(R23N(O))−,(ただしR2とR3はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル又はC2−C4アルキニルの組み合わせであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は
式中、R1は、
【化2】

(ただし、qは0又は1であり、Yは−(CH2m−(ただし、mは0乃至5の整数である)、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子である(任意に置換され且つそのCH2基が任意に置換されて良い))であり;又は
1は(N−イミダゾリル)−又は(N−ピロリル)−であり;又は
1はハロ−,HO−,CF3SO2O−,CH3O−,CH3S−,CH3S(O)−,CH3S(O2)−,CH3CO−,CH3CH(OH)−,NC−,HCC−,C65CC−,(2'−又は3'−フリル)−,(2'−又は3'−チオフェニル)−,(2'−,3'−又は4'−ピリジル)−,(2'−チアゾリル)−,(2'−N−メチルイミダゾリル)−,(5'−ピリミジニル)−,C65−,HCC−,H2C=CH−,C25−,又はMeC(=CH2)−であり;及び
12はH又はハロであり;又は
1とR12は環
【化3】

(ただしWはCH2,CH,NH,N,O,又はSであり、R4はH,CH3,又はC25である)を形成するように結合し;
Xは、O又はNOR5であり(ただしR5はH又はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6アリール,又はヘテロアリールであり、いずれも任意に置換されて良い);又は
Xは、(H,H),(H,OH),(H,OSi(低級アルキル)3),又は(H,OCOR5),(ただしR5はC1−C4アルキル,C3−C6シクロアルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C6−C12アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり;又は
Xは
【化4】

(ただしYは−(CH2m(ただしm=0乃至3)であり、又はYは−(CH2n−Z−(CH2p−(ただし、n=0乃至2,p=0乃至2、及びZは異種原子(任意に置換した)であり、又はZは1又は2の低級アルキル基で置換された炭素原子である))であり;
6はH,CH3,又はハロゲンであり;
10とR11はH,C1−C4アルキル,C2−C4アルケニル,C2−C4アルキニル,C4−C8シクロアルキル,C6アリール,アラルキル,アラルケニル,アラルキニル,ヘテロアラルキル,ヘテロアラルケニル又はヘテロアラルキニルであり、いずれも任意に置換されて良い)であり、又は
10とR11は結合した炭素原子と共に任意に置換されたC3−C8シクロアルキル構造を形成する]
のホルモン又はアンチホルモンステロイド化合物及び薬学上許容されるその塩。
【請求項2】
1−Phが4−アミノフェニル,4−(N−メチルアミノ)フェニル,4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル,4−(N−ピペリジノ)フェニル,4−(N−ピロリジノ)フェニル,4−(N−モルホリノ)フェニル,1−メチルインドール −5−イル,1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル,4−メトキシフェニル,4−アセチルフェニル,4−(メチルチオ)フェニル又は4−(メチルスルフィニル)フェニルであり;
XがO,NOH,又はNOCH3であり;
6がH,CH3,F又はClであり;
1011がH2,(CH3,H),(H,CH3)又は(CH32である、
請求項1の構造式IIを有するステロイド。
【請求項3】
11β−(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ−ラクトン、 11β−(4−(N−ピペリジノ)フェニル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ− ラクトン、 11β−(1−メチルインドール−5−イル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン−24−オイック酸δ− ラクトン、11β−(1−メチル−2,3−ジヒドロインドール−5−イル)−3,20−ジオキソ−17α−ヒドロキシ−19,21−ジノルコラ−4,9−ジエン −24−オイック酸δ−ラクトン、およびその混合物からなる群から選択される請求項1記載のステロイド。
【請求項4】
治療目的のためにそれが必要な患者に、請求項1記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む、プロゲステロンの活性を治療的に処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120972(P2010−120972A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40245(P2010−40245)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【分割の表示】特願2000−534564(P2000−534564)の分割
【原出願日】平成11年3月5日(1999.3.5)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】