説明

アスコルビン酸リン酸塩の持続放出系

制御放出組成物を調製する新規方法を開示する。具体的には、本発明は、アスコルビン酸リン酸塩及び吸収性ポリマーの制御放出組成物を調製する方法に関する。また、本発明の方法により作製されるアスコルビン酸リン酸塩の新規制御放出組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、アスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物、並びに組織修復及び再生に対するその適用の分野、特に、アスコルビン酸リン酸塩及び生分解性ポリマーの制御放出組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、皮膚、腱、骨、軟骨、血管、及び靱帯を含む全ての結合組織の細胞外マトリクスの主なタンパク質成分である。コラーゲンがヒト組織の構造の確立及び維持において重要な役割を果たしていることは十分認められている。最近の研究で、コラーゲンは結合組織内の細胞と相互作用し、細胞の固定、遊走、増殖、分化、及び生存を調節するために必須のシグナルを伝達することが明らかになった。
【0003】
アスコルビン酸は、コラーゲンの水酸化に必要であることが周知である。アスコルビン酸は、プロリルヒドロキシラーゼ及びリシルヒドロキシラーゼの補助因子である。プロリンの水酸化は、コラーゲンの3重らせんの安定化に必須であり、一方リジンの水酸化は、コラーゲンの架橋に必要である。アスコルビン酸欠損に関連するコラーゲン産生の低下は、創傷治癒に障害を生じさせると考えられ、また他の有害反応を有する可能性もある。
【0004】
Shukla及びMasonら(Shukla,S.P,.Plasma and Urinary Ascorbic Acid Levels in the Postoperative Period,.Experientia 25:704,1969)は、手術侵襲がアスコルビン酸要求性を高めることを示唆した。しかし、Levensonら(Levensonら、Vitamins in Acute Illness,Annals of Surgery 24(5)p840〜856 1946)は、重篤な負傷患者で血漿アスコルビン酸濃度が正常値よりも低いことを報告した。一部の患者では、アスコルビン酸の血漿濃度は、大きな負傷後数時間以内に測定できないほどになる。Levensonらは、また、8日間にわたって毎日1000mgを筋肉注射してもアスコルビン酸の血中濃度は依然として正常以下であることも報告した。コラーゲンの生合成が必要な部位へのアスコルビン酸の局在及び制御放出製剤のために、アスコルビン酸を埋め込み可能な装置及び組織工学的スカフォールドに組み込むことは、組織修復及び再生を強化するために望ましい。
【0005】
アスコルビン酸リン酸塩の制御放出製剤は、溶液流延により調製されている。例えば、Hyongbum Kimら(Kim H.ら(2003):Sustained Release of Ascorbic−2−phosphate and Deamethasone from Porous PLGA Scaffolds for Bone Tissue Engineering Using Mesenchymal Stem Cells,Biomaterials 24:4671〜4679)は、アスコルビン酸の安定形であるアスコルビン酸リン酸塩を制御放出するための多孔質PLGAスカフォールドについて記載した。アスコルビン酸リン酸塩及びデキサメタゾンを含有する多孔質PLGAマトリクスは、溶媒流延/微粒子浸出法により調製された。アスコルビン酸リン酸塩制御放出製剤の調製における、既知の溶媒流延法の使用には問題点が存在する。この問題点としては、残留溶媒を除去する必要があること、溶媒流延により3次元(3D)医療機器部品を調製することが困難である又は不可能であること、インビボ及びインビトロの両方において溶媒流延構造からのアスコルビン酸リン酸塩の実質的なバースト放出が起こることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、アスコルビン酸制御放出組成物、並びにかかる組成物から作製される医療機器及び構成部品を作製するための新規及び改良法が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制御放出組成物を調製する方法に関する。具体的には、本発明は、アスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を調製する方法に関する。
【0008】
アスコルビン酸リン酸塩の新規制御放出組成物を作製する本発明の新規方法は、以下の工程を有する。アスコルビン酸リン酸塩は、約160℃以下の温度で約30分間乾燥させる。乾燥したアスコルビン酸リン酸塩は、約160℃以下の温度で吸収性脂肪族ポリエステルポリマーと溶融ブレンドされて、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する。所望により、このプロセスは、約160℃以下の温度で、アスコルビン酸及びポリマー組成物を所望の形態に加工する更なる工程を有する。
【0009】
本発明の別の態様は、上記プロセスにより作製される新規アスコルビン酸リン酸塩組成物である。この新規組成物は、160℃以下の温度で溶融加工することにより、医療機器又は構成部品に更に加工することができる。
【0010】
本発明の更に別の態様は、本発明の制御放出組成物から製造される医療機器である。
【0011】
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、以下の説明及び添付図面により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】先行技術の溶媒流延プロセスを用いて調製されるアスコルビン酸リン酸塩がロードされた40/60 PCL/PLAフィルムの放出プロファイルを示す。
【図2】実施例3に記載のように調製された、アスコルビン酸リン酸塩がロードされた40/60 PCL/PLAフィルムの断面のSEM画像を示す。
【図3】実施例5に記載のように調製された、アスコルビン酸リン酸塩がロードされた40/60 PCL/PLAフィルムの放出プロファイルを示す。
【図4】実施例4に記載のように調製された、アスコルビン酸リン酸塩がロードされた35/65 PCL/PGAフィルムの放出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
アスコルビン酸リン酸塩(AZP)は、約260℃の融解温度を有するアスコルビン酸の安定形である。アスコルビン酸リン酸塩は、非常に吸湿性の高い白色粉末である。受け取った状態では、AZPは、最高約7.5重量%の水分を含有している場合がある。生体適合性、吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、水分に対する感受性が高く、水分は、特に高温でポリマーの分解を引き起こす恐れがある。従来の溶融加工条件を用いてAZPを吸収性脂肪族ポリエステルポリマーに溶融ブレンドしようとする試みは、典型的には失敗し、不成功の結果しか得られていない。本発明は、溶融加工によりアスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を作製する新規方法を提供する。アスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物は、組織修復及び再生に有用であり、特定の病状及び特定の患者の治癒過程に重要である場合がある。
【0014】
本発明のアスコルビン酸リン酸塩(AZP)の新規制御放出組成物は、AZP粉末を乾燥させ、このAZP粉末と予め乾燥させた生体適合性、吸収性脂肪族ポリエステルポリマーとを溶融ブレンドすることにより調製される。次いで、溶融ブレンドされたAZP/ポリマー組成物を、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム等が挙げられるが、これらに限定されない所望の医療機器又は構成部品の形態に更に溶融加工してもよい。本発明の新規組成物からかかる医療機器を形成するために用いることができる溶融加工は、本発明のプロセス要件に従って、射出成形、圧縮成形、押出成形等の従来のプロセスを含む。本発明の制御放出組成物から作製される医療機器は、身体組織及び/又は体腔に埋め込み可能であることが特に好ましいが、皮膚に実装されるメッシュ又はプレート等の外用で有用な場合もある。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「制御放出」は、ヒト及び動物の健康における治療剤の生物学的効果の時間及び空間を制御する治療剤の持続放出と定義される。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「バースト」は、制御放出プロセスの開始時に見られる初期の高速薬物放出と定義される。「バースト」は、表面脱着、細孔拡散、又は拡散プロセスを調節するための拡散前面バリアの欠如を含む多数の機序により引き起こされ得る。この初期の非定常状態期間は、「バースト放出」と呼ばれる場合もある。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性ポリマー」は、ヒト及び動物に埋め込まれたとき、分解され、身体に吸収され得る合成、生体適合性ポリマー(コポリマーを含む)と定義される。吸収性ポリマーは、湿った身体組織に曝露されたとき、容易に分解して小さなセグメントになる。セグメントは、次いで、体内に吸収されるか、又は体内を通過する。より具体的には、生分解されたセグメントは、セグメントの痕跡又は残留物が体内に永続的に保持されないように、体内に吸収されるか又は体内を通過するため、永続的な慢性の異物反応を誘発しない。
【0018】
本発明のプロセスでは、結合水を最低限に抑えるためにAZPを乾燥させる。約160℃以下の温度で約30分間加熱することにより、結合水をAZPから除去する。加工中のポリマーの分解を有効に防ぐ量まで、AZPを十分乾燥させる。例えば、残留水分を約1%以下まで低減する。AZPは、真空下、又は窒素若しくはアルゴンガス等の不活性雰囲気下で、従来の乾燥装置を用いて従来の方法で乾燥させることができる。AZP製造業者の物質安全性データシートには、AZPの分解温度は約260℃であると記載されているが、発明者らは、高温かつ長時間AZPを乾燥させると、AZPの分解が進行することを見出した。
【0019】
本発明のプロセスで有用な吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、また、加工前の水分含量を最低限に抑えるために乾燥させなければならない。吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、加工時間になるまで、室温で真空下で保存する等、従来の方法で乾燥させることができる。ポリマーは、乾燥不活性ガス条件下で保存する等の従来の方法で乾燥状態に保つことができる。
【0020】
本明細書に記載されるようなAZP制御放出組成物を調製するために用いることができる好適な吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、160℃以下の融解温度を有し、160℃以下の温度で溶融加工可能なものである。好適な吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、ラクチド(乳酸を含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、イプシロン−カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートが挙げられるが、これらに限定されないモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである。1つの実施形態では、吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、イプシロン−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、及びラクチド(乳酸を含む)が挙げられるが、これらに限定されないモノマーから調製される。別の実施形態では、吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、約40/60のモル比を有するイプシロン−カプロラクトン及びラクチドのコポリマーである。別の実施形態では、吸収性脂肪族ポリエステルポリマーは、約35/65のモル比を有するイプシロン−カプロラクトン及びグリコリドのコポリマーである。
【0021】
予め乾燥させたAZP粉末及び吸収性脂肪族ポリエステルポリマーを計量し、商品名BRABENDER(Hackensack,NJ)として販売されているもの等の従来の溶融ブレンド機を用いて乾燥不活性ガス下で溶融ブレンドして、組成物を形成する。十分に有効な量、例えば、組成物の総重量の約0.5重量%〜約20重量%の量、ポリマーにAZPを添加してもよい。1つの実施形態では、組成物の総重量の約2重量%〜約10重量%の量、ポリマーにAZPを添加してもよい。次いで、乾燥AZP粉末及び吸収性脂肪族ポリエステルポリマーを、160℃以下の温度に予熱しておいたミキサに供給し、乾燥不活性ガス下で約5分間〜約30分間溶融ブレンドして、AZP/ポリマー組成物を形成する。1つの実施形態では、混合物を約5分間〜約15分間溶融ブレンドする。更に別の実施形態では、混合物を約10分間溶融ブレンドする。
【0022】
次いで、AZP/ポリマー組成物を、好適な形態の制御放出組成物に更に加工するか、又は顆粒化若しくはペレット化して、好適な形態の制御放出組成物に更に加工する準備が整うまで乾燥条件下で保存してもよい。制御放出組成物の好適な形態は、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム等が挙げられるが、これらに限定されない医療機器である。これに限定するものではないが、本発明の組成物の埋め込み可能な医療機器又は構成部品への加工が特に好ましいが、埋め込み可能ではない装置及び構成部品にこの組成物を用いてもよい。これら形態又は実施形態は、加工温度が約160℃以下である限り、押出成形、射出成形を含む従来の溶融加工方法により、又は圧縮成形により調製することができる。
【0023】
1つの実施形態では、1つ以上の生物活性剤を、所望により、AZP制御放出組成物と併用してもよい。生物活性剤は、本明細書に記載のように調製されたAZP制御放出組成物中に含まれてもよく、又はAZP制御放出組成物上にコーティングされてもよい。
【0024】
好適な生物活性剤としては、感染予防剤(例えば、抗菌剤及び抗生物質)、炎症を緩和する剤(例えば、抗炎症剤)、酸化再生セルロースのような、接着形成を防ぐ又は最低限にする剤(例えば、Ethicon,Inc.から入手可能な商品名INTERCEED及びSURGICELとして販売されているもの)及びヒアルロン酸、及び免疫系を抑制する剤(例えば、免疫抑制剤)、異種又は自己の増殖因子、タンパク質(マトリックスタンパク質を含む)、ペプチド、抗体、酵素、血小板、血小板の豊富な血漿、糖タンパク質、ホルモン、サイトカイン、グリコサミノグリカン、核酸、鎮痛剤、ウィルス、ウィルス粒子、及び細胞型、走化性物質、抗生物質、並びにステロイド及び非ステロイド鎮痛剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
組織再生を促進するために、本発明のAZP制御放出組成物を生存組織と組み合わせてもよい。その起源は様々であってよく、組織は様々な形態を有することができるが、1つの実施形態では、組織は、所望により、組織の再成長の効果を強化して、治癒反応を刺激することが可能な微砕組織断片の形状である。別の実施形態では、生存組織は、所望により、組織の再生及び/又はリモデリングの能力のある生存細胞を含有する健常組織から採取された組織切片又はストリップの形状である場合がある。
【0026】
また、AZP制御放出組成物を細胞と併用して、コラーゲンの沈着を促進することもできる。好適な細胞型としては、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、線維芽細胞、幹細胞、多能性細胞、軟骨細胞前駆細胞、軟骨細胞、内皮細胞、臍帯細胞、間質細胞、間葉幹細胞、上皮細胞、筋芽細胞、腱細胞、靭帯線維芽細胞、ニューロン、骨髄細胞、滑膜細胞、胚幹細胞;脂肪組織由来の前駆細胞;末梢血前駆細胞;成人組織から隔離した幹細胞;遺伝子形質転換細胞;軟骨細胞と他の細胞との組み合わせ;骨細胞と他の細胞との組み合わせ;滑膜細胞と他の細胞との組み合わせ;骨髄細胞と他の細胞との組み合わせ;間葉細胞と他の細胞との組み合わせ;間質細胞と他の細胞との組み合わせ;幹細胞と他の細胞との組み合わせ;胚幹細胞と他の細胞との組み合わせ;成人組織から隔離した前駆細胞と他の細胞との組み合わせ;末梢血前駆細胞と他の細胞との組み合わせ;成人組織から隔離した幹細胞と他の細胞との組み合わせ;遺伝子形質転換細胞と他の細胞との組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
当業者は、外科医、医療従事者、又は他の生命科学従事者が医科学の原則及び適用され得る治療目的に基づいて生物活性剤のアイデンティティを決定し得ることを理解するであろう。
【0028】
本発明のAZP制御放出組成物は、コラーゲン合成を強化することが望ましい場合、以下の従来の外科手技で用いてもよい:ヘルニア修復及び骨盤底修復等の開腹手術;皮膚創傷治癒、軟骨修復、骨修復、靱帯修復等、及びこれらの等価物、並びに医学的転帰を改善するためにコラーゲン合成の強化が望ましい場合に開発され得る任意の新規手技が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
下記の実施例は本発明の原理及び実践の説明のためであり、これらに限定されるものではない。本発明の範囲及び趣旨内の多くの追加の実施形態は、ひとたびこの開示の利益を得ると、当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0030】
実施例1:AZP乾燥条件の評価
2−ホスファ−L−アスコルビン酸三ナトリウム塩(AZP)、(>98%(HPLC),Fluka,ロット番号:1322473 52607420)について以下の乾燥条件を試験した:90℃/24時間真空下、160℃/30分間乾燥窒素ブランケット下、及び200℃/30分間乾燥窒素ブランケット下。試験した時間は、評価時間、配合時間、並びにサンプル回収及び冷却時間を含む。
【0031】
6つのバイアル瓶を160℃の真空オーブンで30分間予め乾燥させ、乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックスに移した。AZP粉末を、グローブボックス内の各バイアル瓶(表1を参照)に計量した。次いで、AZP粉末のバイアル瓶を、表に示すような加熱条件に供した。
【表1】

【0032】
乾燥AZP粉末のバイアル瓶をパラフィルムで密封し、評価まで乾燥窒素ブランケット下で保存した。重量喪失%は、両方の加熱条件の累積であった。RT/N下のサンプルは、窒素ボックス内で保存した。加熱条件の過程における色の変化についてサンプルを評価した。色の変化は、AZPの分解の指標である。30分間以下加熱されたサンプルは、AZP粉末の元の白色が保持されていた。90℃/24時間処理で加熱されたサンプルは、非常に僅かに黄色を示したため、低温でさえも長時間加熱すると、AZPが一部分解されることが観察された。2回加熱処理を受けたサンプルは、僅かに黄色に変化した。200℃に加熱されたサンプル番号6は、最も濃い黄色を有していた。高温における更なる乾燥は重量減少を引き起こさなかったため、90℃/真空/24時間で乾燥が完了したと思われた。より高温で短時間でも、重量喪失に対して同じ乾燥効果を得ることができる。対照サンプルの重量変化が最低であることは、取扱プロセスが合理的であることを示した。それ故、160℃及び30分間が、乾燥及び加工条件の上限として選択された。
【0033】
最終的な乾燥プロセスは、以下の通りである:乾燥窒素ブランケット下でオーブンを160℃に予熱する;0.237L(8OZ)のバイアル瓶及びその蓋を160℃で30分間加熱することにより乾燥させ、乾燥窒素でパージされたグローブボックスに移し、計量する;グローブボックス内で、AZPをバイアル瓶に計量する;AZPのバイアル瓶を30分間オーブン内に入れる;約15分時点で1回バイアル瓶を振盪させる;AZPのバイアル瓶に蓋をし、予め乾燥させた蓋を用いてオーブン内で密封する;蓋をしたAZPのバイアル瓶をオーブン内から取り出し、計量する。AZPの重量及び重量喪失パーセントを算出した。加工の準備ができるまで、AZPのバイアル瓶を乾燥窒素雰囲気下で保存した。
【0034】
実施例2:溶媒流延フィルム処方の比較及び評価
乾燥窒素ブランケット下のグローブボックス内で、実施例1に記載のように160℃/30分間で予め乾燥させたAZP32ミリグラムの量を20mLの瓶に計量した。シリンジを用いて9.0mLのCHClを直ちに瓶に添加し、瓶に蓋をした。グローブボックスからAZP溶液を取り出し、10分間超音波処理した。この溶液をグローブボックスに戻し、次いで0.6グラムの40/60 PCL/PLAポリマー(ロット番号D99069,Birmingham Polymer,Inc.)をAZP溶液に添加し、再度蓋をした。混合物をグローブボックスから取り出し、ポリマーが完全に溶解するまで室温で振盪させた。VirTic凍結乾燥機(モデル:AdVantage,MFR:VirTic)の棚を6℃に予冷することにより、溶媒流延フィルムを調製した。AZP/ポリマー溶液を5cm×5cmのテフロンコーティングされた金属型に注ぎ、次いで直ちに予冷した棚に移した。窒素ブランケットを用いて蒸発を緩徐に進行させて、水の凝結を防いだ。溶媒を除去した後、約150マイクロメートル〜200マイクロメートルの厚さを有するフィルムを回収し、次のプロセス又は/及び特性評価のために真空下で保存した。
【0035】
皮膚生検穿孔器を用いて溶媒流延フィルムから8mmのディスクを打ち抜いた。次いで、ディスクをHPLCバイアル瓶に移した。2mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH=7.4)を、各バイアル瓶に添加した。バイアル瓶を、37℃及び100rpmで加熱し、振盪している水浴内でインキュベートした。各時点で、放出媒体を除去し、2mLの新たなPBSに交換した。放出媒体中のAZPを、HPLCを用いて測定した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。放出プロファイルを図1に示す。
【0036】
先行技術の溶媒流延を用いるアスコルビン酸リン酸塩制御放出系製剤では、不十分な成果しか得られなかった。図1に示すように、先行技術の溶媒流延により調製された40/60(モル/モル)PCL/PLAフィルム中のアスコルビン酸リン酸塩は、組成物中のAZPの総量の最高40重量%という高い割合のバーストを示した。不所望に高い割合のバーストは、AZPの親水性、及び溶媒蒸発によりフィルム中に生じる多孔性に起因する。
【0037】
実施例3:200℃の加工温度におけるAZP/(25/75PCL/PGA)フィルムの調製及び評価
AZP/ポリマー組成物を以下のように調製した:乾燥窒素でパージされたグローブボックス内にて、30.4グラムの25/75PCL/PGAポリマー(ロット番号UAZC020,Ethicon)及び0.63グラムの実施例1に記載のように160℃/30分間予め乾燥させたAZPを容器に計量し、一緒に乾燥混合することにより2重量%のAZP/ポリマー組成物を調製した。一方、30mLのBrabenderミキサ(モデル:R.E.E.6/2,C.W.Brabender Instruments,Hackensack,NJ)を200℃に予熱した。乾燥窒素ブランケットを維持した。ミキサを30rpmの速度に設定した。AZP/ポリマー混合物を速やかにグローブボックスからミキサに移し、閉めた。物質を約10分間混合させた。混合を停止し、AZPポリマー組成物を回収した。制御放出組成物への更なる加工の準備が整うまで、真空下で組成物を保存した。
【0038】
フィルムを以下のように調製した:圧縮成形装置(Carver Laboratory Press,モデル:2696)の圧盤を205℃に予熱した。約3.5グラムの組成物を圧盤上に置き、5分間加熱した。約2分間圧力を印加した(約88.96kN(20,000lbs))。加熱を停止し、圧盤及びフィルムを水で冷却しながら室温まで冷却し、加圧を続けた。フィルムは、約150マイクロメートル〜200マイクロメートルの厚さを有し、無傷であったが、色は分解を示す茶色であった。
【0039】
AZPの回収率を、HPLCアッセイを用いて決定した。121mgのフィルムを、50mLの体積測定用フラスコに移した。10mLのHFIPをフラスコに添加し、撹拌した。サンプルが完全に溶解した後、DI水を滴下して、フラスコの印まで充填した。HPLC分析前に、0.2マイクロメートルのシリンジフィルタを通して溶液を濾過した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。AZPの回収率は、1%未満であった。
【0040】
アスコルビン酸リン酸塩の融解温度は、260℃である。260℃未満の温度で熱処理することができる任意のポリマーを、溶融ブレンドプロセスを用いて制御放出組成物の組成物のために用いることができると想定できる。驚くべきことに、発明者らは、乾燥AZPと、吸収性ポリマーとの組み合わせを200℃で熱処理すると、AZPがほぼ完全に分解されることを見出した。対照的に、以下の実施例4及び5に示すように、約160℃以下の加工温度で調製されたフィルムは、フィルムからのAZP回収率が劇的に増加することが示された。
【0041】
実施例4:160℃の加工温度で調製されたAZP/(40/60PCL/PLA)フィルムの調製及び評価
AZP/ポリマー組成物を以下のように調製した:乾燥窒素でパージされたグローブボックス内にて、30.4グラムの40/60PCL/PLAポリマー(ロット番号UAZC020,Ethicon,Inc,Somerville,NJ)及び0.63グラムの実施例1に記載のように160℃/30分間予め乾燥させたAZPを容器に計量し、一緒に乾燥混合することにより2重量%のAZP/ポリマー組成物を調製した。AZP/ポリマーを乾燥窒素ブランケット下で混合した。30mLのBrabenderミキサ(モデル:R.E.E.6/2,C.W.Brabender Instruments Hackensack,NJ)を160℃に予熱した。乾燥窒素ブランケットを維持した。ミキサを30rpmの速度に設定した。AZP/ポリマー混合物をミキサに速やかに添加し、閉じた。物質を約10分間混合させた。混合を停止し、AZPポリマー組成物を回収した。望ましい制御放出組成物への更なる加工の準備が整うまで、真空下で組成物を保存した。このプロセスを繰り返して、5wt%及び10wt%のAZP/ポリマー組成物を調製した。
【0042】
以下のように2wt%、5wt%、及び10wt%のAZPポリマー組成物を用いてフィルムを調製した:圧縮成形装置(Carver Laboratory Press,モデル:2696,Wabash,IN)の圧盤を160℃に予熱した。約3.5グラムの組成物を圧盤上に置き、5分間加熱した。約2分間圧力を印加した(約88.96kN(20,000lbs))。加熱を停止し、圧盤及びフィルムを、水冷を用いて圧力下で室温まで冷却した。150マイクロメートル〜200マイクロメートルの厚さを有するフィルムを回収し、試験の準備が整うまで乾燥窒素下で保存した。
【0043】
1片のフィルムを横断面でトリミングし、顕微鏡スタッド上に実装し、EMS 550スパッタコーター(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)を用いて金の薄層でコーティングした。SEM解析は、JEOL JSM−5900LV SEM(JEOL(日本、東京))を用いて行った。各サンプルに関して、表面及び断面積を調べた。SEM画像は、AZP粒子がフィルムに埋め込まれており、均一に分布していることを示した。図2の代表的なSEM写真を参照。
【0044】
AZPの回収率を、HPLCアッセイを用いて決定した。AZPの回収率を、HPLCアッセイを用いて決定した。27mgのサンプルを、50mLの体積測定用フラスコに移した。10mLのジオキサンをフラスコに添加し、30〜50℃に穏やかに加熱しながら撹拌した。サンプルが完全に溶解した後、DI水を50mL滴下して、フラスコの印まで充填した。HPLC分析前に、0.2マイクロメートルのシリンジフィルタを通して溶液を濾過した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。フィルムと同様の方法で処理された乾燥AZPを対照として用いた。10wt%のAZPをロードしたフィルムからのAZPの回収率は、約84重量%であった。5wt%のAZPをロードしたフィルムからのAZP回収率を、同じ方法を用いて測定した。回収率は78%であった。
【0045】
AZP/ポリマーフィルムからのAZPの放出を、以下の方法により測定した:皮膚生検穿孔器を用いてフィルムから10mmのディスクを打ち抜いた。次いで、ディスクをHPLCバイアル瓶に移した。1.5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH=7.4)を、各バイアル瓶に添加した。バイアル瓶を、37℃及び100rpmで加熱し、振盪している水浴内でインキュベートした。各時点で、放出媒体を除去し、2mLの新たなPBSに交換した。放出媒体中のAZPを、HPLCを用いて測定した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。放出プロファイルを図3に示す。
【0046】
実施例5:130℃の加工温度におけるAZP/(35/65PCL/PGA)フィルムの調製
AZP/ポリマー組成物を以下のように調製した:乾燥窒素でパージされたグローブボックス内にて、30.4グラムの35/65PCL/PGAポリマー(ロット番号UAZC020,Ethicon)及び0.63グラムの実施例1に記載のように160℃/30分間予め乾燥させたAZPを容器に計量し、一緒に乾燥混合することにより2重量%のAZP/ポリマー組成物を調製した。一方、30mLのBrabenderミキサ(モデル:R.E.E.6/2,C.W.Brabender Instruments)を130℃に予熱した。乾燥窒素ブランケットを維持した。ミキサを30rpmの速度に設定した。AZP/ポリマー混合物を速やかにグローブボックスからミキサに移し、閉めた。物質を約10分間混合させた。混合を停止し、AZPポリマー組成物を回収した。制御放出組成物への更なる加工の準備が整うまで、真空下で組成物を保存した。このプロセスを繰り返して、5wt%及び10wt%のAZP/ポリマー組成物を調製した。
【0047】
以下のように2wt%、5wt%、及び10wt%のAZP/ポリマー組成物を用いてフィルムを調製した:圧縮成形装置(Carver Laboratory Press,モデル:2696 Wabash,IN)の圧盤を130℃に予熱した。約3.5グラムの組成物を圧盤上に置き、5分間加熱した。約2分間圧力を印加した(約88.96kN(20,000lbs))。加熱を停止し、圧盤及びフィルムを、水冷を用いて圧力下で室温まで冷却した。150〜200マイクロメートルの厚さを有するフィルムを回収し、試験の準備が整うまで乾燥窒素条件下で保存した。
【0048】
AZPの回収率を、HPLCアッセイを用いて決定した。50mgのフィルムを、50mLの体積測定用フラスコに移した。10mLのジオキサンをフラスコに添加し、30〜50℃に穏やかに加熱しながら撹拌した。サンプルが完全に溶解した後、DI水を滴下して、フラスコの印まで充填した。HPLC分析前に、0.2マイクロメートルのシリンジフィルタを通して溶液を濾過した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。フィルムと同様の方法で処理された乾燥AZPを対照として用いた。5wt%のAZPをロードしたフィルムからのAZP回収率は、約92%であった。AZP/ポリマーフィルムからのAZPの放出を、以下の方法により測定した:皮膚生検穿孔器を用いてフィルムから10mmのディスクを打ち抜いた。次いで、ディスクをHPLCバイアル瓶に移した。1.5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH=7.4)を、各バイアル瓶に添加した。バイアル瓶を、37℃及び100rpmで加熱し、振盪している水浴内でインキュベートした。各時点で、放出媒体を除去し、2mLの新たなPBSに交換した。放出媒体中のAZPを、HPLCを用いて測定した。PDA検出器を備えるモデル2695 HPLCシステム(Waters,Milford,MA,USA)により、Geminiカラム(Phenomenex,Torrance,CA,USA)を用いてHPLCを実施した。238nmにおける紫外線吸収を測定した。5mMのKH2PO4、6mMのH3PO4、12mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム、10%のメタノールを含有する定組成移動相(pH2.5)を用いた。流速は、1mL/分であった。10mLの体積測定用フラスコ内で5mgのAZPを水に溶解させ、十分混合することにより、AZP標準原液を調製した。使用前に、原液を1:10及び1:100に希釈した。放出プロファイルを図4に示す。
【0049】
本発明のAZP組成物の製造方法、及びこの方法により製造される新規組成物は、多くの利点を有する。この利点としては、20wt%未満という低い割合のバースト放出後、持続放出するというAZPのより望ましい放出プロファイルが挙げられる。持続放出は、1週間以上の期間にわたる。1つの実施形態では、持続放出は、約3週間以上である。別の利点は、種々の幾何学的形状の装置の作製に対する好適性、並びに溶媒流延法よりも優れた機械的特性、並びに加工に安全に用いることができる溶媒中の可溶性及び不溶性材料を含む広い材料選択の利用可能性である。
【0050】
本発明はその詳細な実施形態に関して図示及び説明が行われたが、当業者には、当該形態及び詳細におけるさまざまな変更は、本請求発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) アスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を作製する方法であって、
約160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩を吸収性脂肪族ポリエステルポリマーと溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法。
(2) 約160℃以下の温度で、前記アスコルビン酸及びポリマー組成物を所望の形態に加工する更なる工程を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記組成物が、前記組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量のアスコルビン酸を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記組成物が、前記組成物の約2重量%〜約10重量%の量のアスコルビン酸を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、ラクチド、グリコリド、イプシロン−カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群から選択されるモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、イプシロン−カプロラクトン及びグリコリドから調製されるコポリマーである、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記組成物が、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される医療機器に形成される、実施態様2に記載の方法。
(8) 前記吸収性ポリマー及び前記アスコルビン酸リン酸塩が、約5分間〜約30分間溶融ブレンドされる、実施態様1に記載のプロセス。
(9) 前記組成物と、少なくとも1つの生物活性剤とを組み合わせる工程を更に含む、実施態様1に記載のプロセス。
(10) 前記組成物を生存組織と組み合わせる工程を更に含む、実施態様1に記載のプロセス。
【0052】
(11) 前記組成物を細胞と組み合わせる工程を更に含む、実施態様1に記載のプロセス。
(12) 制御放出組成物であって、
160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩と吸収性脂肪族ポリエステルポリマーとを溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法により製造されるアスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を含む、制御放出組成物。
(13) 前記プロセスが、約160℃以下の温度で前記アスコルビン酸及びポリマー組成物を所望の形態に加工する更なる工程を含む、実施態様12に記載の組成物。
(14) 前記組成物が、約0.5重量%〜約20重量%の量のアスコルビン酸リン酸塩を含む、実施態様12に記載の組成物。
(15) 前記組成物が、約2重量%〜約10重量%の量のアスコルビン酸リン酸塩を含む、実施態様12に記載の組成物。
(16) 前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、ラクチド、グリコリド、イプシロン−カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群より選択されるモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである、実施態様12に記載の組成物。
(17) 前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、イプシロン−カプロラクトン及びグリコリドから調製されるコポリマーである、実施態様12に記載の組成物。
(18) 前記組成物が、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される医療機器に形成される、実施態様13に記載の組成物。
(19) 前記吸収性ポリマー及び前記アスコルビン酸リン酸塩が、約5分間〜約30分間溶融ブレンドされる、実施態様12に記載の組成物。
(20) 前記組成物が少なくとも1つの生物活性剤を更に含む、実施態様12に記載の組成物。
【0053】
(21) 前記組成物が生存組織を更に含む、実施態様12に記載の組成物。
(22) 前記組成物が細胞を更に含む、実施態様12に記載の組成物。
(23) 20重量%以下のバースト放出後、制御放出されるアスコルビン酸リン酸塩及び吸収性脂肪族ポリエステルポリマーを含む制御放出組成物。
(24) 医療機器であって、
160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩を吸収性脂肪族ポリエステルポリマーと溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法により製造されるアスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物、を含む、医療機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を作製する方法であって、
約160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩を吸収性脂肪族ポリエステルポリマーと溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
約160℃以下の温度で、前記アスコルビン酸及びポリマー組成物を所望の形態に加工する更なる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量のアスコルビン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、前記組成物の約2重量%〜約10重量%の量のアスコルビン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、ラクチド、グリコリド、イプシロン−カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群から選択されるモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、イプシロン−カプロラクトン及びグリコリドから調製されるコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される医療機器に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記吸収性ポリマー及び前記アスコルビン酸リン酸塩が、約5分間〜約30分間溶融ブレンドされる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記組成物と、少なくとも1つの生物活性剤とを組み合わせる工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記組成物を生存組織と組み合わせる工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記組成物を細胞と組み合わせる工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
制御放出組成物であって、
160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩と吸収性脂肪族ポリエステルポリマーとを溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法により製造されるアスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物を含む、制御放出組成物。
【請求項13】
前記プロセスが、約160℃以下の温度で前記アスコルビン酸及びポリマー組成物を所望の形態に加工する更なる工程を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、約0.5重量%〜約20重量%の量のアスコルビン酸リン酸塩を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約2重量%〜約10重量%の量のアスコルビン酸リン酸塩を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、ラクチド、グリコリド、イプシロン−カプロラクトン、ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群より選択されるモノマーから調製されるホモポリマー又はコポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記吸収性脂肪族ポリエステルポリマーが、イプシロン−カプロラクトン及びグリコリドから調製されるコポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、繊維、ロッド、ねじ、止め金、縫合糸アンカー、フィルム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される医療機器に形成される、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記吸収性ポリマー及び前記アスコルビン酸リン酸塩が、約5分間〜約30分間溶融ブレンドされる、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が少なくとも1つの生物活性剤を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が生存組織を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が細胞を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項23】
20重量%以下のバースト放出後、制御放出されるアスコルビン酸リン酸塩及び吸収性脂肪族ポリエステルポリマーを含む制御放出組成物。
【請求項24】
医療機器であって、
160℃以下の温度で約30分間アスコルビン酸リン酸塩を乾燥させる工程と、
約160℃以下の温度で、前記乾燥させたアスコルビン酸リン酸塩を吸収性脂肪族ポリエステルポリマーと溶融ブレンドして、アスコルビン酸リン酸塩及びポリマー組成物を形成する工程と、を含む、方法により製造されるアスコルビン酸リン酸塩の制御放出組成物、を含む、医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−512159(P2012−512159A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540858(P2011−540858)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067289
【国際公開番号】WO2010/068654
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509263146)アドバンスト・テクノロジーズ・アンド・リジェネレイティブ・メディスン・エルエルシー (17)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Technologies and Regenerative Medicine, LLC
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham, MA 02767, United States of America
【Fターム(参考)】