説明

アスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置

【課題】レーン引きユニットの操作性を容易にすると共に、アスファルトを敷き均すためのスクリードの操作に関係なくレーンの位置決めを高精度に管理する。
【解決手段】レーン引きユニット30の前端上部及び後端上部は、前側スクリュースプレッダ25の左右の支持部25a,25aを介して設けられたレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41、及び後側スクリュースプレッダ28の左右の支持部28a,28aに各々設けられたレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42で上下動可能に保持されている。前側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41は左右独立して上下動し、後側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42は左右連動して上下動する。よって、レーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41、42は、レーン引きユニット30の引上げ動作、押付け動作、及びロック状態の動作、並びにフリー状態の動作を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト合材等の舗装材を路面に敷き均して舗装するアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置に関するものであり、特に、路面に敷き均すアスファルトの境界線(レーン)を位置決めするためのレーン引きユニットをアスファルトフィニッシャ取り付ける構造を改良したアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前後に2つのホッパを設けた構造のアスファルトフィニッシャが知られている(例えば、特許文献1参照)。該アスファルトフィニッシャは、例えば、前側のホッパ(以下、「前側ホッパ」という)に耐磨耗性の優れた舗装材を搭載するとともに、後側のホッパ(以下、「後側ホッパ」という)に通常の安価な舗装材を搭載し、該前側ホッパの前記耐磨耗性の優れた舗装材を路面上の轍部分に敷き均すとともに、該後側ホッパの前記安価な舗装材をそれ以外の部分(例えば、轍間の中央部分や側路部分)に敷き均すようにして使用される。
【0003】
また、このようなアスファルトフィニッシャにおいて、レベリングアームにレーン引きユニットが取り付けられ、該レーン引きユニットにより所定のレーンを引きながら、当該レーンの境界線の両側で2種類の舗装材を弁別して同時舗装を行うことができるようにした構造も知られている(特許文献無し)。このようなアスファルトフィニッシャは、自走前進させながら所定のレーンに従って2種類の舗装材を用いて同時に舗装を行っているので、舗装の作業性が極めて向上する。その結果、路面全体として耐久性の高い舗装を安価に施工することが可能になるという利点を有している。
【0004】
図9及び図10は路面に所定のレーンを引きながら、当該レーンの境界線の両側で2種類の舗装材を弁別して同時舗装を行うことができるように構成されたレーン引きユニットを備える従来のアスファルトフィニッシャの後部構造の一例を示し、図9は上方より見た該後部構造の平面図、図10は左側方より見た該後部構造の側面図である。同図において、レーン引きユニット100は、図示しない機体の後部で、かつ、左右のレベリングアーム104,104を介して牽引されるスクリード101の前面にブラケット102,102を介して取り付けられ、上下方向の移動は自由で、左右方向の移動が規制された状態で路盤G上に接地保持されている。そして、該レーン引きユニット100は、前記スクリード101にその後面側より押されて前進移動する。
【0005】
また、前記レーン引きユニット100の前方には、レーン引きボックス103が配設されており、該レーン引きボックス103の上方に、該レーン引きボックス103を左右のレベリングアーム104,104でそれぞれ吊り下げて支持する吊り具を構成しているレーン引きユニット昇降用の油圧シリンダ105,105、及び手動のジャッキ106,106、並びにチェーン107などが設けられている。さらに、該レーン引きユニット100の幅方向外端部には、前方へ突出するようにしてエンドプレート108が設けられている。
【0006】
前記レーン引きボックス103は、その側面視(図10)において、前側に略U字状の溝部109を設け、かつ、後側に略V字状の溝部110を設けており、前側のU字状の溝部109に前側スクリュースプレッダ111を配設し、後側のV字状の溝部110に後側スクリュースプレッダ112を配設している。
【0007】
そして、前側のU字状の溝部109に前側ホッパの耐磨耗性の優れた舗装材がコンベア113で後方に搬送されて落下され、後側のV字状の溝部110に後側ホッパの安価な舗装材が図示しないコンベアで後方に搬送されて落下される。また、V字状の溝部110に落下された舗装材は後側スクリュースプレッダ112によって中央の開口部から中央の第1帯域へと流下されるとともに、レーン引きユニット100の外側端部から後述する第2帯域の外側になる第3帯域へ流下させて路面に広げられる。一方、U字状の溝部109に落下された舗装材は前側スクリュースプレッダ111でレーン引きユニット100の外側端部から前記第1帯域と前記第3帯域との間の第2帯域へ流下させて路面に広げられる。その際、前記エンドプレート108により前側ホッパの舗装材と後側ホッパの舗装材とが混ざらないように仕切られる。
【0008】
一方、レーン引きユニット100及びレーン引きボックス103の吊り具として設けられているレーン引きユニット昇降用の油圧シリンダ105,105と手動のジャッキ106,106、及びチェーン107は、舗装施工中、フリーの動作状態で使用される。しかし、レーン引きユニット100が浮き上がって来るときには、前記油圧シリンダ105,105に背圧をかけてレーン引きユニット100を下に押し付けて調整する。
【特許文献1】特許第3471598号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のアスファルトフィニッシャは、レーン引きユニット100が舗装材を路面に押し固めるためのスクリード101を牽引するレベリングアーム104に取り付けられているため、舗装施工中、レーン引きユニット100はスクリード101に対してフリーの状態ではない。したがって、舗装施工中にレーン引きユニット100が浮き上がったときには、油圧シリンダ105,105に背圧を負荷してレーン引きユニット100を下に押し付けるようにしているが、油圧シリンダ105,105に背圧を負荷してレーン引きユニットを下に押し付けても後側のジャッキ106,106は手動であるためにレーン引きユニット100を押し付ける操作や上下位置調整の動作ができず、下面の隙間を一定に保つことが容易でなく、スクリード101によるアスファルトの施工厚さ管理に影響を及ぼす問題があった。
【0010】
また、油圧シリンダ105,105でレーン引きユニット100を下に押し付けるとレベリングアーム104,104に反力が作用し、スクリード101を浮き上がらせて舗装平坦度に悪影響を及ぼす問題もあった。
【0011】
さらに、路床の上に路盤(すなわち、アスファルト施工前の下地)を施工する場合に、油圧シリンダ105,105をロック状態(油圧を閉じ込める状態)にして、レーン引きユニット100の上下動を固定して使用することができなかった。
【0012】
また、舗装作業時にレーン引きユニット100を舗装路面から引き上げるには、前端の油圧シリンダ105,105を縮小し、かつ、後端のジャッキ106,106を手動で操作しなければならないので手間がかかる問題もあった。
【0013】
そこで、レーン引きユニットの操作性を容易にすると共に、アスファルトを敷き均すためのスクリードの操作に関係なくレーンの位置決めを高精度に管理することができるレーン引きユニットの取付装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、舗装材を収納する複数のホッパを有し、レーン引きユニットによって形成されたレーン間の各帯域に対して、異種類の前記舗装材を同時に、又は同種類の前記舗装材を同時に敷き均すアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置において、前記レーン引きユニットは、複数の油圧シリンダを介して、前記舗装材を路面の幅方向へ広げるスクリュースプレッダに取付けられているアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、レーン引きユニットは、舗装材を路面に固めるためのスクリードを牽引するレベリングアームに取付けられているのではなく、前記舗装材を路面の幅方向へ広げるスクリュースプレッダに取付けられている。したがって、レーン引きユニットは、スクリードに対してフリーな状態にあるので、スクリードによる舗装材の施工厚の管理に影響されることはなく、スクリードによって舗装材の施工厚を一定に維持しながら、複数の油圧シリンダによってレーン引きユニットを自由に上下動させることができる。その結果、アスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置の操作性が向上すると共に、舗装材を敷き均すためのスクリードの操作に関係なく、レーンの位置決めを高精度に管理することができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、レーン引きユニットを駆動する油圧シリンダが4個で構成され、前側の2個の油圧シリンダは左右独立して上下駆動し、後側の2個の油圧シリンダは左右連動して上下駆動することにより、レーン引きユニットに対して、引き上げ動作、押し付け動作、ロック状態にする動作、及びフリー状態にする動作の4つの動作モードを実行させることを特徴とする請求項1記載のアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、レーン引きユニットは、前側の2個の油圧シリンダによって左右独立して上下駆動し、後側の2個の油圧シリンダによって左右連動して上下駆動するので、レーン引きユニットに対して、引き上げ動作、押し付け動作及びロック状態にする動作、並びにフリー状態にする動作の4つの動作モードを実行させることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、舗装施工中に、レーン引きユニットが路面から浮き上がってきたときは、4個の油圧シリンダに背圧をかけることによって、当該レーン引きユニットを路面上に押し下げることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、舗装施工中において、4個の油圧シリンダはそれぞれ伸縮フリーの状態で使用されるので、レーン引きユニットが浮き上がってきたときは、各油圧シリンダに背圧を負荷してレーン引きユニットを下に押し付けることによって、路面との間の隙間を一定に保つ(すなわち、舗装の平坦性を保つ)ことができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、レーン引きユニットはスクリュースプレッダに取付けてあるので、当該レーン引きユニットに力を加えて上下動させても、スクリードに影響を及ぼすことなくレーン引きユニットを駆動させることができる。その結果、高精度な舗装工事を低コストで行うことができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、各油圧シリンダを左右独立して動作させたり、左右連動して動作させることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、レーン引きユニットに、引き上げ動作、押し付け動作、及びロック状態にする動作、並びにフリー状態にする動作の4つの動作モードを実行させることができる。その結果、アスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置による舗装の作業性が一段と改善される。
【0022】
、請求項3記載の発明によれば、舗装施工中において、4個の油圧シリンダはそれぞれ伸縮フリーの状態で使用されるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、レーン引きユニットが浮き上がってきたときは、各油圧シリンダに背圧を負荷してレーン引きユニットを下に押し付けることにより、舗装の平坦性を維持することができる。また、舗装作業終了時は、油圧シリンダを縮小することにより、レーン引きユニットを回送可能高さまで容易に引き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、レーン引きユニットの操作性を容易にすると共に、アスファルトを敷き均すためのスクリードの操作に関係なくレーンの位置決めを高精度に管理することができるレーン引きユニットを提供するという目的を達成するために、舗装材を収納する複数のホッパを有し、レーン引きユニットによって形成されたレーン間の各帯域に対して、異種類の前記舗装材を同時に、又は同種類の前記舗装材を同時に敷き均すアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置において、前記レーン引きユニットは、複数の油圧シリンダを介して、前記舗装材を路面の幅方向へ広げるスクリュースプレッダに取付けられているアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置を提供することによって実現した。
【実施例】
【0024】
以下、本発明のアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置について、好適な実施例をあげて説明する。図1及び図2は本発明を適用したアスファルトフィニッシャの一実施例を示し、図1は該アスファルトフィニッシャの概略全体構成を示す側面図、図2は上方より見た該アスファルトフィニッシャの平面図である。
【0025】
同図に示すように、アスファルトフィニッシャ10は、左右一対のクローラ11,11に支持された機体12を有し、該機体12にエンジン13を搭載している。そして、当該アスファルトフィニッシャ10が自走する際は、前記エンジン13のエンジン出力により、走行装置を構成する走行モータ14が回転し、クローラ11が駆動されて機体12が自走する。
【0026】
前記アスファルトフィニッシャ10は、1回の舗装作業で異なる2種類の舗装材を同時に、または、同種類の舗装材を同時に敷き均すことができるように、舗装材を収納する複数のホッパと、この舗装材を車体後方の舗装施工面へ搬送するコンベアと、敷き均し装置が備えられている。すなわち、図1に示すように、車体12の前部(図中左方部)に、例えば、耐磨耗性の優れた舗装材を搭載する第1ホッパ(以下、「前側ホッパ」という)15が設けられ、該前側ホッパ15の後上部に通常の安価な舗装材を搭載する第2ホッパ(以下、「後側ホッパ」という)16が設けられている。
【0027】
また、前記機体12の前側において、舗装材の受入ホッパ17の先端とチャージングフイーダ18の上端にはスプロケット19,19を介して巻き掛けられた無端チェーン20が備えられ、該チャージングフイーダ18の下端にはスラストプレート19aを介して巻き掛けられた無端チェーン20が備えられている。これら無端チェーン20は、エンジン13のエンジン出力にて駆動されてチャージングフイーダ18を上方向(図1の右回転)に回動させ、図示しないダンプカーから受入ホッパ17に投入された舗装材をチャージングフイーダ18の上方へ移送させる。
【0028】
また、前記チャージングフイーダ18には、移送経路の途中に排出口21aが開閉自在に設けられており、該排出口21aが閉鎖された状態では、受入ホッパ17から移送されて来る舗装材は全てチャージングフイーダ18の上端まで移送され、該上端に設けた排出部21bから舗装材を排出して後側ホッパ16へ供給する。一方、途中に設けた排出口21aを開放すると、受入ホッパ17から移送されてくる舗装材が、該排出口21aから前側ホッパ15に収容される。
【0029】
さらに、前記チャージングフイーダ18は、枢着ピン22によって機体12に上下方向回動自在に支持されている。また、該枢軸ピン22で連結されている部分よりも上側に位置している折り畳み部18aは下方に回動させて倒伏できるように形成されている。そして、該チャージングフイーダ18の上下方向への回動は、機体12の前側上部と該チャージングフイーダ18の前側下部との間に取り付けた回動用油圧シリンダ23の伸縮によって操作され、折り畳み部18aの上下方向の回動は、本体部18bと該折り畳み部18aとの間に取り付けた上端側折り畳み用油圧シリンダ24の伸縮によって操作される。
【0030】
また、チャージングフイーダ18は、舗装施工中、図1に実線で示しているように、上端側折り畳み用油圧シリンダ24を縮めて折り畳み部18aと本体部18bがほぼ直線をなすように保持されるとともに、前端ローラ40が路面に接地するまで回動用油圧シリンダ23を縮めて、チャージングフイーダ18の後端側が上方に持ち上がって傾斜した状態で保持される。一方、道路上を自走する時には、図1に2点鎖線で示しているように、回動用油圧シリンダ23を伸長させて前端側が上方に大きく持ち上がるように傾斜させるとともに、上端側折り畳み用油圧シリンダ24を伸長させて折り畳み部18aを本体部18bに対して下側に路面とほぼ平行になるまで倒伏させて折り畳むことができ、これにより道路走行の支障にならないように車高を低くすることができるようになっている。
【0031】
ここで、チャージングフイーダ18の駆動で前側ホッパ15に収容される舗装材は、後述するバーフイーダコンベ35,35の駆動により前側スクリュースプレッダ25へ送られて道路の施工面の第1帯域及び第2帯域の外側となる第3帯域に拡散され、前側スクリード26,26で敷き均される。また、後側ホッパ16に収容された舗装材は、後述するバーフイーダコンベア36,36の駆動により後側スクリュースプレッダ28へ送られて道路の舗装施工面の前記第1帯域と前記第3帯域に挟まれた第2帯域に拡散され、後側スクリード29,29で敷き均される。
【0032】
また、このように構成されたアスファルトフィニッシャ10における後側スクリード29の前面には後述するレーン引きユニットが取り付けられ、該レーン引きユニットに設けられている開閉式のサイドプレートにより前側ホッパ15の舗装材と後側ホッパ16の舗装材とが混ざらないように仕切られる。
【0033】
図3乃至図8は前記レーン引きユニット30を取り付けたアスファルトフィニッシャの後部構造の一例を示す図で、図3は該後部構造の一部平面図、図4は図3に示す後部構造の左側面図であり、図5は図3のA−A線矢視図であり、図6は図3のB−B線矢視図、図7は後側スクリュースプレッダ28が略V字状の溝部45に投下された舗装材51を路盤50に広げる状態を示す図、図8はレーン引きユニット30が規制して各舗装材を中央の前記第1帯域L1と両側の前記第2帯域L2,L2に広げた状態を示す図である。
【0034】
同図において、前記前側ホッパ15の舗装材を機体後方へ搬送する前記コンベア35,35は、アスファルトフィニッシャ10の走行方向に直行した左右方向に並ぶ路面帯域のうちの中央帯域(第1帯域)L1の左右の前記第2帯域L2,L2(すなわち轍の帯域)に舗装材を落下させるように、機体2の左右方向に一定間隔をあけて二条配設されている。これにより、前側スクリュースプレッダ25で広げられた舗装材の左右の第2帯域位置L2,L2は、後述するレーン引きユニット30で規制される帯域位置に略一致して帯域形成作業を容易にすることができる。
【0035】
前記レーン引きユニット30は、前記機体12の後方で、かつ、後側スクリード29の前面にブラケット31,31を介して取り付けられており、上下方向の移動は自由で、左右方向の移動が規制された状態で路盤G上に接地保持されている。そして、該レーン引きユニット30は、図4に示すスクリードアーム32を介して牽引される前側スクリード26及び後側スクリード29により、その後面側より押されて前進移動するように構成されている。
【0036】
また、レーン引きユニット30の前端上部及び後端上部は、前側スクリュースプレッダ25の左右の支持部25a,25aを介して該前側スクリュースプレッダ25に設けられているレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41、及び後側スクリュースプレッダ28の左右の支持部28a,28a、28b,28bを介して該後側スクリュースプレッダ28に設けられているレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42で上下動可能に保持されている。なお、該前側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41は左右独立して上下方向に駆動し、該後側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42は左右連動して上下方向に駆動するように構成されている。これにより、該前側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41と該後側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42とは、レーン引きユニット30を引き上げる動作、路面に押し付ける動作、及びロック状態にする動作、並びにフリー状態にする動作をそれぞれ実行することが可能である。
【0037】
さらに、レーン引きユニット30の幅方向外端部から前方へ突出するように設けた開閉式のサイドプレート43により、前記前側ホッパ15の前記舗装材が第2帯域L2,L2に広げられるように規制して、該第2帯域L2,L2の外側の帯域(以下、「第3帯域」という)に敷設される後側ホッパ16の前記舗装材と混ざらないように仕切られる。
【0038】
また、前記レーン引きユニット30は、側面視(図4)において、略V字状の溝部45を備え、該V字状の溝部45の底板の中央部(この部分は前記中央の帯域L1に相当している)は開口している。そして、該V字状の溝部45に後側スクリュースプレッダ28が配設されている。
【0039】
なお、前記前側スクリュースプレッダ25と前記後側スクリュースプレッダ28の高さ調整は、該前側スクリュースプレッダ25の支持部25a,25aに設けられているレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41、及び、該後側スクリュースプレッダ28の支持部28a,28a、28b,28bに設けられているレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42で上下動可能に保持される。したがって、該前側スクリュースプレッダ25と該後側スクリュースプレッダ28の高さ調整により、前記レーン引きユニット30も前後のスクリュースプレッダ25,28と一体に移動されることになる。
【0040】
また、前側スクリュースプレッダ25の駆動装置25cについては、前記スクリュースプレッダ昇降用油圧シリンダ25b,25bの上下動により支持部(シャフトを含む)25a,25aを介して上下動され、駆動装置25cを取り付けるフレーム33に設けたレール25dを介して摺動される。
【0041】
これにより、図8に示すように、後側ホッパ16の舗装材51が前記コンベア35によってレーン引きユニット30の略V字状の溝部45に投下された後、後側スクリュースプレッダ28は、舗装材51を中央の開口部から中央の第1帯域L1へ流下させるとともに、レーン引きユニット30の外側端部から第3帯域L3へ流下させて路面に広げることができる。
【0042】
一方、レーン引きユニット30の前端面は、前述のとおり第2帯域L2,L2に、前側スクリュースプレッダ25で広げられた舗装材が集積されるので、この集積された舗装材をレーン引きユニット30の前端面で押しながら、同時に、その下面の隙間から所定量を飲み込まれて平準化され、後方の後側スクリード29で平坦に舗装施工される。
【0043】
このような舗装施工中においては、4本の前側レーン引きユニット昇降用シリンダ41,41と後側レーン引きユニット昇降用シリンダ42,42は、それぞれ伸縮フリーの状態で使用されるが、レーン引きユニット30が浮き上がってきたときは、該前側レーン引きユニット昇降用シリンダ41,41及び/または後側レーン引きユニット昇降用シリンダ42,42に背圧をかけてレーン引きユニット30を下に押し付け、下面の隙間を一定に保つ(すなわち、舗装の平坦性を保つ)ことができる。
【0044】
また、路床の上に路盤50を施工する場合には、前記前側レーン引きユニット昇降用シリンダ41,41及び後側レーン引きユニット昇降用シリンダ44,44をロックして、レーン引きユニット30の上下動を固定して使用することができる。
【0045】
さらに、舗装施工作業中は、前側レーン引きユニット昇降用シリンダ41,41、及び後側レーン引きユニット昇降用シリンダ42,42を個別に伸縮してレーン引きユニット30の底面と路面上に突出するマンホールとの干渉を避けることができる。また、レーン引きユニット30と前後のスクリュースプレッダ25,28との間隔を容易に調整することができるので、該前後のスクリュースプレッダ25,28から舗装材を効率良く路面に広げることができる。以上のように、レーン引きユニット30によるレーンの規制によって、図8に示すように、耐磨耗性のある舗装材を第2帯域L2,L2(車両の轍部分)に舗装し、安価な舗装材を中央帯域L1及び第2帯域L2,L2の外側領域(第3帯域)に舗装することができる。
【0046】
また、舗装材の配置については、前側ホッパ15の舗装材を轍部(図8の第2領域L2,L2)にし、後側ホッパ16の舗装材を中央帯域L1と両端の領域(第3領域)にして従来のマルチレーンと同じ配置にしている。ここで、中央の領域L1は仕切板46(図5参照)を設けて蓋をし、前側ホッパ15の舗装材を押しながら施工を行う。これによって、施工時の操作性は現状のマルチレーンと同じにすることができる。
【0047】
さらに、前側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41は左右独立して上下動し、後側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ42,42は左右連動で上下動する。このとき、施工中のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41及び42,42は、フリーの状態で使用することができるが、レーン引きユニット30が浮き上がってきたときには、各レーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41及び42,42に背圧をかけてレーン引きユニット30を下に押し下げる。なお、路盤50上の施工用に、各レーン引きユニット昇降用油圧シリンダ41,41及び42,42をロックした状態(油圧を閉じ込める状態)で使用することもできる。
【0048】
さらに、舗装作業終了時は、前側レーン引きユニット昇降用シリンダ41,41、及び後側レーン引きユニット昇降用シリンダ42,42を縮小し、更に前後のスクリュースプレッダ25,28も縮小することにより、レーン引きユニット30を回送可能高さまで容易に引き上げることができる。
【0049】
以上、本発明に係るアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの構成及び動作の実施例を詳細に説明したが、本発明は当該実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例に係るアスファルトフィニッシャの側面図。
【図2】図1に示すアスファルトフィニッシャの平面図。
【図3】本発明の一実施例に係るアスファルトフィニッシャの後部構造の一部を示す一部平面図。
【図4】図3に示す後部構造の左側面図。
【図5】図3のA−A線矢視図。
【図6】図3のB−B線矢視図。
【図7】後側スクリュースプレッダが略V字状の溝部に投下された舗装材を路盤に広げる状態を示す図。
【図8】レーン引きユニットが規制して、各舗装材を中央の帯域L1と両側の帯域L2,L2に広げた状態を示す図。
【図9】従来のアスファルトフィニッシャにおける後部構造の一部を上部から見た平面図。
【図10】図9に示す後部構造の左側面図。
【符号の説明】
【0051】
10 アスファルトフィニッシャ
15 前側ホッパ
16 後側ホッパ
17 受入ホッパ
18 チャージングフィーダ
25 前側スクリュースプレッダ
25a 支持部
25b スクリュースプレッダ昇降用油圧シリンダ
26 前側スクリード
27 スクリューコンベア
28 後側スクリュースプレッダ
28a 支持部
28b 支持部
29 後側スクリード
30 レーン引きユニット
31 ブラケット
32 レベリングアーム
41 前側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ
42 後側のレーン引きユニット昇降用油圧シリンダ
43 サイドプレート
45 V字状の溝部
46 仕切板
50 路盤
51 舗装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装材を収納する複数のホッパを有し、レーン引きユニットによって形成されたレーン間の各帯域に対して、異種類の前記舗装材を同時に、又は同種類の前記舗装材を同時に敷き均すアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置において、
前記レーン引きユニットは、複数の油圧シリンダを介して、前記舗装材を路面の幅方向へ広げるスクリュースプレッダに取付けられていることを特徴とするアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置。
【請求項2】
上記油圧シリンダは4個で構成され、前側の2個の前記油圧シリンダは左右独立して上下駆動し、後側の2個の前記油圧シリンダは左右連動して上下駆動することにより、上記レーン引きユニットに対して、引き上げ動作、押し付け動作、ロック状態にする動作、及びフリー状態にする動作の4つの動作モードを実行させることを特徴とする請求項1または2記載のアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置。
【請求項3】
舗装施工中に、上記レーン引きユニットが路面から浮き上がってきたときは、4個の上記油圧シリンダに背圧をかけることにより、該レーン引きユニットを路面上に押し下げることを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトフィニッシャにおけるレーン引きユニットの取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−100999(P2010−100999A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270727(P2008−270727)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【出願人】(000194516)世紀東急工業株式会社 (17)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(390019998)東亜道路工業株式会社 (42)
【出願人】(000239437)福田道路株式会社 (24)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】