説明

アスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造

【課題】アスファルトフィニッシャにおいて舗装材をコンベアによってスクリュースプレッダへ搬送するとき、舗装材をスクリュースプレッダのトラフに確実に落下させる。
【解決手段】コンベア35,35の二条の搬送幅を制限するために、前側ホッパ15の下部中央部付近に山形状傾斜カバー61を配置して、前側ホッパ15から落ちた舗装材がカバー61の傾斜部分を滑り落ちて、コンベア35,35の二条の搬送幅領域に落下するように落下幅を規制している。さらに、コンベア35,35の中央領域を挟んで、山形状傾斜カバー61の底面幅と同じ幅で仕切板62、62を前側スクリュースプレッダ25の前面まで設け、コンベア35,35の二条の搬送幅を一定の幅に保っている。これにより、前側スクリュースプレッダ25で広げられた舗装材は、レーン引きユニット30で規制される帯域幅に略一致して帯域形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト合材等の舗装材を路面に敷き均して舗装するアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造に関するものであり、特に、路面に敷き均すアスファルトの境界線(レーン)を位置決めするレーン引きユニットによって規制された路幅に沿って舗装材を敷き均すアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前後に2つのホッパを設けた構造のアスファルトフィニッシャが知られている(例えば、特許文献1参照)。該アスファルトフィニッシャは、例えば、前側のホッパ(以下、「前側ホッパ」という)に耐摩耗性の優れた舗装材を搭載するとともに、後側のホッパ(以下、「後側ホッパ」という)に通常の安価な舗装材を搭載し、該前側ホッパの前記耐摩耗性の優れた舗装材を路面上の轍部分に敷き均すとともに、該後側ホッパの前記安価な舗装材をそれ以外の部分(例えば、轍間の中央部分や側路部分)に敷き均すようにして使用される。
【0003】
また、このようなアスファルトフィニッシャにおいて、スクリードアームにレーン引きユニットが取り付けられ、該レーン引きユニットにより所定のレーンを引きながら、当該レーンの境界線の両側で2種類の舗装材を弁別して同時舗装を行うことができるようにした構造も知られている(特許文献無し)。このようなアスファルトフィニッシャは、自走前進させながら所定のレーンに従って2種類の舗装材を用いて同時に舗装を行っているので相互の密着性が良い舗装品質と作業性が極めて向上する。その結果、路面全体として耐久性の高い舗装を安価に施工することが可能になるという利点を有している。
【0004】
図11及び図12は路面に所定のレーンを引きながら、当該レーンの境界線の両側で2種類の舗装材を弁別して同時舗装を行うことができるように構成されたレーン引きユニットを備える従来のアスファルトフィニッシャの後部構造の一例を示し、図11は上方より見た該後部構造の平面図、図12は左側方より見た該後部構造の側面図である。同図において、レーン引きユニット100は、図示しない機体の後部で、かつ、左右のレベリングアーム104,104を介して牽引されるスクリード101の前面にブラケット102,102を介して取り付けられ、上下方向の移動は自由で、左右方向の移動が規制された状態で路面G上に接地保持されている。そして、該レーン引きユニット100は、前記スクリード101にその後面側より押されて前進移動する。
また、前記レーン引きユニット100の前方には、レーン引きボックス103が包含されるように前記レーン引きユニット100に適宜取り付けられている。
【0005】
また、前記レーン引きユニット100の上方には、該レーン引きユニット100を左右のレベリングアーム104,104でそれぞれ吊り下げて支持する吊り具を構成している
レーン引きユニット昇降用の油圧シリンダ105,105と、手動のジャッキ106,106及びチェーン107とが設けられている。さらに、該レーン引きユニット100の幅方向外端部には、前方へ突出するエンドプレート108が設けられて舗装材の各レーン間の帯域が仕切られる。
【0006】
前記レーン引きボックス103はその側面視(図12)において、前側に略U字状の溝部109を設け、かつ、前記レーン引きユニット100は後側に略V字状の溝部110を設けており、前側の略U字状の溝部109に前側スクリュースプレッダ111を配設し、後側の略V字状の溝部110に後側スクリュースプレッダ112を配設している。
【0007】
そして、前側の略U字状の溝部109に前側ホッパの耐摩耗性の優れた舗装材がコンベア113で後方に搬送されて落下され、後側の略V字状の溝部110に後側ホッパの安価な舗装材がコンベア27で後方に搬送されて落下される。また、略V字状の溝部110に落下された舗装材は後側スクリュースプレッダ112によって中央の開口部から中央の第1帯域へと流下されるとともに、レーン引きユニット100の外側端部から後述する第2帯域の外側になる第3帯域へ流下させて路面に広げられる。一方、略U字状の溝部109に落下された舗装材は前側スクリュースプレッダ111でレーン引きボックス103の外側端部から前記第1帯域と前記第3帯域の間の第2帯域へ流下させて路面に広げられる。その際、前記エンドプレート108により前側ホッパの舗装材と後側ホッパの舗装材とが混ざらないように仕切られる。
【0008】
このようにして、レーン引きボックス103及びレーン引きユニット100によりレーンを引きながら舗装を行うアスファルトフィニッシャは、前側ホッパ及び後側ホッパからの各舗装材を分離しながら夫々のコンベアにより機体後方の路面上に摺設されたレーン引きユニット100へ搬送し、略U字状の溝部109及び略V字状の溝部110に落下させて前後のスクリュースプレッダ111,112がそれぞれの舗装材を受けて路面の幅方向へ拡散している。これによって、例えば、前側ホッパに搭載された耐摩耗性の優れた舗装材を路面の第1帯域(中央帯域)の両側領域(轍部分)である第2帯域へ投下して敷き均し、後側ホッパに搭載された安価な舗装材を路面の第1帯域及び第3帯域へ投下して敷き均すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3471598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術のように、スクリュースプレッダが舗装材を受けるレーン引きボックスの溝部構造は舗装材がこぼれないよう一定以上の淵の高さが必要である為、舗装材をレーン引きボックスの上方から落下させるにはコンベアを斜めに配置しなければならなかった。このため舗装材を搬送するコンベア、及びその周辺の構造を特殊なものにしなければならず、機体の台車及び構成部品を汎用のアスファルトフィニッシャと共用化することができずコスト高の一因になっていた。
【0011】
そこで、アスファルトフィニッシャにおいて、舗装材をホッパ内に水平配置された前記汎用コンベアによってスクリュースプレッダへ搬送するときに、スクリュースプレッダが舗装材を受ける一定の高さが必要な略U字状の溝部109を有する上記レーン引きボックス103も廃止する場合に、レーン引きボックス103によって形成されるべき走行方向に直交した左右方向に並ぶレーン間の所定の帯域に舗装材を確実に搬送させなければならない解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、これらの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、機体に装備されたチャージングフィーダの落下口から第1ホッパ及び第2ホッパへ落下した各舗装材を、各ホッパ内に配置されたコンベアによって機体後方のスクリュースプレッダへ搬送して路面の幅方向へ拡散させると同時に、機体と共に移動可能なレーン引きユニットによって路面の幅方向に並ぶレーン間の各帯域を形成させて、これらの各舗装材を同時に敷き均すスクリードを備えたアスファルトフィニッシャにおけるコンベア搬送構造において、前記ホッパ内に配置されたコンベアのうち少なくとも一方は搬送路を二条設けると共に、該二条の搬送路に舗装材を均等に分配させる前記チャージングフィーダの落下口の直下に配置した略一定幅の山形状傾斜カバーと、該二条の搬送路の搬送幅を夫々一定に制限させる該山形状傾斜カバーの幅と略同位置で前記コンベアの略終端まで形成した2枚の仕切板を設けたことを特徴とするアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造を提供する。
【0013】
この構成によれば、コンベアの搬送路を二条に分配して形成されたその上方に、屋根状に形成された山形状傾斜カバーをチャージングフィーダの落下口の直下に配置することにより、舗装材の落下量をコンベアの二条の搬送路に対し均等に分配することができる。また、舗装材は山形状傾斜カバーの一定幅により二条のコンベア中央部への落下を阻止すると共に、前記山形状傾斜カバーの幅に略合わせて2枚の仕切板をコンベアの略終端まで延設することにより、二条の搬送路の各搬送幅を所望の一定幅に制限するので、走行方向に直交した左右方向に並ぶレーン間の所定の帯域に舗装材を確実に搬送することができる。これによって、汎用のアスファルトフィニッシャにおけるコンベア、機体の台車及びその周辺の構造を変更することなく、また、上記レーン引きボックスを廃止することができるので、コストを抑えることができると共に、汎用の各部品間の互換性も期待できる。
【0014】
請求項2記載の発明は、上記2枚の仕切板には、前記コンベアの略終端において上記二条の搬送路の搬送幅を機体後方に向って漸次縮小する衝立板を設けたことを特徴とするアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造を提供する。
【0015】
この構成によれば、コンベアの二条の搬送路の各搬送幅を所望の一定幅から調整容易に幅変更できるので、走行方向に直交した左右方向に並ぶレーン間の所定の帯域に対して所望の幅変更の要求があった場合にも舗装材を確実に搬送することができるという上記請求項1記載の作用および効果を簡単な構造により的確に奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、チャージングフィーダの落下口の直下に略一定幅の山形状傾斜カバーを配置し、さらに、該山形状傾斜カバーの幅と略同位置に2枚の仕切板をコンベアの略終端まで形成するだけで、搬送幅を一定の幅に制限してホッパからコンベアの終端まで舗装材を搬送することができる。これによって、汎用のアスファルトフィニッシャにおけるコンベアの構成要素を変更することなく、コンベアに形成された二条の搬送路の搬送幅を所望の幅に規制しながら舗装材を必要な場所まで搬送することが可能となる。言い換えると、コンベア搬送幅規制用の山形状傾斜カバーと2枚の仕切板とを用いることにより、汎用のアスファルトフィニッシャのコンベア構造をそのまま使用して、舗装材の搬送幅を規制することができる。これによって、コンベアの構成部品を共用化することができると共に、コンベアに特殊な構成要素がなくなるので故障などのリスクを低減させることができる。
また、前記レーン引きユニットの前方には、レーン引きボックスが包含されるように前記レーン引きユニットに適宜取り付けられているが、該レーン引きボックスを廃止できるので構造が簡略にできる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、2枚の仕切板には、前記コンベアの略終端に搬送路の幅を漸次縮小する衝立板が設けられるので、所定の帯域に対して所望の幅変更の要求があった場合にも舗装材をスクリュースプレッダの受入れ口まで確実に搬送することができる。これによって、レーン引きユニットによって形成されたレーン間の各帯域に対してそれぞれ対応する所望の舗装材を確実に敷き均すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用したアスファルトフィニッシャの概略全体側面図。
【図2】図1に示す同上アスファルトフィニッシャの平面図。
【図3】同上アスファルトフィニッシャの一部平面図。
【図4】図3に示す同上アスファルトフィニッシャの左側面図。
【図5】図3のA−A線矢視図。
【図6】図3のB−B線矢視図。
【図7】図3のC−C線矢視図。
【図8】上方より見たコンベアと仕切板及び衝立板の概略配置構造と動作説明図。
【図9】側方より見たコンベアと仕切板及び衝立板の概略配置構造と動作説明図。
【図10】仕切板及び衝立板の概略構成を示す斜視図と動作説明図。
【図11】従来のアスファルトフィニッシャにおける後部構造の一部を上部から見た平面図。
【図12】図11に示す後部構造の左側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、機体に装備されたチャージングフィーダの落下口から第1ホッパ及び第2ホッパへ落下した各舗装材を、各ホッパ内に配置されたコンベアによって機体後方のスクリュースプレッダへ搬送して路面の幅方向へ拡散させると同時に、機体と共に移動可能なレーン引きユニットによって路面の幅方向に並ぶレーン間の各帯域を形成させて、これらの各舗装材を同時に敷き均すスクリードを備えたアスファルトフィニッシャにおけるコンベア搬送構造において、前記ホッパ内に配置されたコンベアのうち少なくとも一方は搬送路を二条設けると共に、該二条の搬送路に舗装材を均等に分配させる前記チャージングフィーダの落下口の直下に配置した略一定幅の山形状傾斜カバーと、該二条の搬送路の搬送幅を夫々一定に制限させる該山形状傾斜カバーの幅と略同位置で前記コンベアの略終端まで形成した2枚の仕切板を設けたことを特徴とするアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造を提供することによって実現した。
【実施例】
【0020】
以下、図1乃至図7を用いて、本発明のアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造について、好適な実施例をあげて説明する。図1及び図2は本発明を適用したアスファルトフィニッシャの一実施例を示し、図1は該アスファルトフィニッシャの側面図、図2は上方より見た該アスファルトフィニッシャの平面図である。
【0021】
同図に示すように、アスファルトフィニッシャ10は、左右一対のクローラ11,11
に支持された機体12を有し、該機体12にエンジン13を搭載している。そして、当該アスファルトフィニッシャ10が自走する際は、前記エンジン13のエンジン出力により、走行装置を構成する走行モータ14が回転し、クローラ11が駆動されて機体12が自走する。
【0022】
前記アスファルトフィニッシャ10は、1回の舗装作業で異なる2種類の舗装材を同時に、敷き均すことができるように、舗装材を収納する複数のホッパと、この舗装材を車体後方の舗装施工面へ搬送するコンベアと、敷き均し装置が備えられている。すなわち、図1に示すように、車体12の前部(図中左方部)に、例えば耐摩耗性の優れた舗装材を搭載する第1ホッパ(以下、「前側ホッパ」という)15が設けられ、該前側ホッパ15の後上部に通常の安価な舗装材を搭載する第2ホッパ(以下、「後側ホッパ」という)16が設けられている。
【0023】
また、前記機体12の前側において、舗装材の受入ホッパ17の先端とチャージングフィーダ18の上端にはスプロケット19,19を介して巻き掛けられた無端チェーン20が備えられ、該チャージングフィーダ18の下端にはスラストプレート19aを介して巻き掛けられた無端チェーン20が備えられている。これら無端チェーン20は、エンジン13のエンジン出力により、フィーダ装置を構成する油圧モータにて駆動されてチャージングフィーダ18を上方向(図1の右回転)に回動させ、図示しないダンプカーから受入ホッパ17に投入された舗装材をチャージングフィーダ18の上方へ移送させる。
【0024】
また、前記チャージングフィーダ18には、移送経路の途中に排出口21aが開閉自在に設けられており、該排出口21aが閉鎖された状態では、受入ホッパ17から移送されて来る舗装材は全てチャージングフィーダ18の上端まで移送され、該上端に設けた排出部21bから舗装材を排出して後側ホッパ16へ供給する。一方、途中に設けた排出口21aを開放すると、受入ホッパ17から移送されてくる舗装材が、該排出口21aから前側ホッパ15に収容される。
【0025】
さらに、前記チャージングフィーダ18は、枢着ピン22によって機体12に上下方向回動自在に支持されている。また、該枢軸ピン22で連結されている部分よりも上側に位置している折り畳み部18aは下方に回動させて倒伏できるように形成されている。そして、該チャージングフィーダ18の上下方向への回動は、機体12の前側上部と該チャージングフィーダ18の前側下部との間に取り付けた回動用油圧シリンダ23の伸縮によって操作され、折り畳み部18aの上下方向の回動は、本体部18bと該折り畳み部18aとの間に取り付けた上端側折り畳み用油圧シリンダ24の伸縮によって操作される。
【0026】
そして、チャージングフィーダ18は、舗装施工中、図1に実線で示しているように、上端側折り畳み用+油圧シリンダ24を縮めて折り畳み部18aと本体部18bがほぼ直線をなすように保持されるとともに、前端ローラ40が路面に接地するまで回動用油圧シリンダ23を縮めて、チャージングフィーダ18の後端側が上方に持ち上がって傾斜した状態で保持される。一方、道路上を自走する時には、図1に2点鎖線で示しているように、回動用油圧シリンダ23を伸長させて前端側が上方に大きく持ち上がるように傾斜させるとともに、上端側折り畳み用油圧シリンダ24を伸長させて折り畳み部18aを本体部18bに対して下側に路面とほぼ平行になるまで倒伏させて折り畳むことができ、これにより道路走行の支障にならないように車高を低くすることができるようになっている。
【0027】
ここで、チャージングフィーダ18の駆動で排出口21aから前側ホッパ15に落下される舗装材は、前側ホッパ15内に配置されたバーフィーダコンベア35,35の駆動により前側スクリュースプレッダ25へ送られて道路の舗装施工面の中央の第1帯域の外側の第2帯域に拡散される。また、後側ホッパ16に収容された舗装材は、スクリューコンベア27,27(図2参照)の駆動により後側スクリュースプレッダ28へ送られて幅方向に拡散されると同時に、レーン引きユニット30の中央の開口部から道路の舗装施工面の中央の第1帯域へと流下されるとともに、レーン引きユニット30の外側端部から後述する第2帯域の外側になる第3帯域へ流下させて路面に広げられる。そして、前記第2帯域に拡散された舗装材と前記第1帯域及び第3帯域に拡散された舗装材とが、同時に後側スクリード29,29で敷き均される。
【0028】
また、このように構成されたアスファルトフィニッシャ10における後側スクリード29の前面には前述したレーン引きユニット30が取り付けられ、該レーン引きユニット30に設けられている開閉式のサイドプレートによって前側ホッパ15の舗装材と後側ホッパ16の舗装材とが混ざらないように仕切られる。
【0029】
図3乃至図7は前記レーン引きユニット30を取り付けたアスファルトフィニッシャ10の主要構成、特に、コンベア搬送幅規制構造周辺の主要構成を示す図であり、図3は該アスファルトフィニッシャの一部平面図、図4は図3に示すアスファルトフィニッシャの左側面図、図5は図3のA−A線矢視図、図6は図3のB−B線矢視図、図7は図3のC−C線矢視図である。
【0030】
図3に示すように、前記前側ホッパ15の舗装材を機体後方へ搬送するコンベア35,35は、アスファルトフィニッシャ10の走行方向に直行した左右方向に並ぶ路面帯域のうちの中央帯域(第1帯域)及び該中央帯域の左右の第2帯域(すなわち、轍の帯域)にそれぞれ舗装材を落下させるように機体2の左右方向に一定間隔をあけて二条配設されている。これにより、前側スクリュースプレッダ25で広げられた舗装材の左右の第2帯域の位置は、レーン引きユニット30で規制される帯域位置に略一致し、帯域形成作業を容易にすることができる。
【0031】
ここで、コンベア35,35の二条の搬送幅を制限するために、図5に示すように、前側ホッパ15の下部中央部付近、すなわちチャージングフィーダ18の落下口の真下に住宅の切妻屋根のように左右両方向に「へ」の字に傾斜する山形状傾斜カバー61が配置されている。該山形状傾斜カバー61は、第1のホッパ15からの舗装材が該山形状傾斜カバー61の傾斜部分を滑り落ちてコンベア35,35の二条の搬送幅領域に落下するように落下幅を規制している。該山形状傾斜カバー61は、図3に示すように、前側ホッパ15の開口領域においてコンベア35,35の流れ方向となるa−c間に亘って配置されていると共に、a側からc側へ向けて高くするように傾斜配置されている。
【0032】
さらに、図6に示すように、コンベア35,35の下部中央部付近には、該コンベア35,35で舗装材を搬送している間、二条の搬送幅を一定の幅に保つために、コンベア35,35の中央領域を挟み、かつ、山形状傾斜カバー61の底面幅とほぼ同じ幅で仕切板62、62を設けている。該仕切板62、62は、図3に示すようにコンベア35,35の中央領域の両側で、また該山形状傾斜カバー61の底面幅と同じ幅で、コンベア35,35に沿ってa−b間に亘って設けられている。
尚、c−b間はホッパ15の後方に形成された機体を構成するトンネル空間であるので、合材が落下しないから、c−b間には該山形状傾斜カバー61は不要としている。
さらに、仕切板62、62には、該仕切板62、62の終端部分、すなわちコンベア35,35の略終端である前側スクリュースプレッダ25の手前部分に、図3,図4,図6,図7に示すように前記二条の搬送路の搬送幅を機体12後方に向かって漸次縮小する衝立板63,63が設けられている。
【0033】
図8及び図9はコンベア35,35と仕切板62,62及び衝立板63,63の配置構造を概略的に示し、図10は仕切板62,62と衝立板63,63の概略配置構造を示す斜視図である。
【0034】
図8〜図10を使用して衝立板63,63の構造をさらに説明すると、衝立板63,63は仕切板62,62の終端部分において、コンベア35,35側(第2帯域側)に突出して設けられており、終端部分に最大突出部分を設けて後方に向かってコンベア搬送幅を漸次縮小する平面視楔状に形成されている。また、衝立板63,63には、コンベア35,35の終端部まで送られて路面G上に落下する舗装材をガイドするガイド部材64,64が、コンベア35,35と対向する面及び終端面から路面Gに向かって垂設されている。
【0035】
そして、このように構成された衝立板63,63及びガイド部材64,64では、図8〜図10中に舗装材の流れを矢印で示しているように、舗装材がコンベア35,35の終端部近くまで送られて来ると、衝立板63,63の傾斜面による規制により舗装材を第2帯域側に寄せ、さらにガイド部材64,64のガイドで舗装材を第1帯域側に流さないように規制しながら路面Gの第2帯域内に供給することができる。
【0036】
したがって、本実施例のコンベア搬送規制構造では、コンベア35,35の二条の搬送
幅を山形状傾斜カバー61及び仕切板62,62によって制限することにより、更には衝立板63,63を追加してより大きく制限することにより、汎用のアスファルトフィニッシャ10のコンベア構造を変更することなく、従来のコンベアをそのまま使用して轍の帯域幅に適合した搬送幅で舗装材を搬送することができる。
【0037】
また、本実施例のコンベア搬送規制構造をアスファルトフィニッシャに適用すれば、汎用のアスファルトフィニッシャ10のコンベア部分の各構成要素(部品)を共用化してなるアスファルトフィニッシャを使用することができるとともに、レーン引きボックス103を廃止可能にしたことでコンベア35,35の特殊構造がなくなるため、アスファルトフィニッシャ10を低コスト化することができる。また、故障等のリスクを低減させることもできる。
【0038】
以上、本発明に係るアスファルトフィニッシャにおけるコンベア搬送幅規制構造の構成及び動作の実施例を詳細に説明したが、本発明は当該実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明はチャージングフィーダを装備してないアスファルトフィニッシャにも応用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 アスファルトフィニッシャ
15 前側ホッパ
16 後側ホッパ
17 受入ホッパ
18 チャージングフィーダ
25 前側スクリュースプレッダ
27 スクリューコンベア
28 後側スクリュースプレッダ
29 後側スクリード
30 レーン引きユニット
43 サイドプレート
45 略V字状の溝部
61 山形状傾斜カバー
62 仕切板
63 衝立板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に装備されたチャージングフィーダの落下口から第1ホッパ及び第2ホッパへ落下した各舗装材を、各ホッパ内に配置されたコンベアによって機体後方のスクリュースプレッダへ搬送して路面の幅方向へ拡散させると同時に、機体と共に移動可能なレーン引きユニットによって路面の幅方向に並ぶレーン間の各帯域を形成させて、これらの各舗装材を同時に敷き均すスクリードを備えたアスファルトフィニッシャにおけるコンベア搬送構造において、
前記ホッパ内に配置されたコンベアのうち少なくとも一方は搬送路を二条設けると共に、該二条の搬送路に舗装材を均等に分配させる前記チャージングフィーダの落下口の直下に配置した略一定幅の山形状傾斜カバーと、
該二条の搬送路の搬送幅を夫々一定に制限させる該山形状傾斜カバーの幅と略同位置で前記コンベアの略終端まで形成した2枚の仕切板を設けたことを特徴とするアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造。
【請求項2】
請求項1記載の2枚の仕切板には、前記コンベアの略終端において上記二条の搬送路の搬送幅を機体後方に向って漸次縮小する衝立板を設けたことを特徴とするアスファルトフィニッシャのコンベア搬送幅規制構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−62734(P2012−62734A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209996(P2010−209996)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【出願人】(000194516)世紀東急工業株式会社 (17)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(390019998)東亜道路工業株式会社 (42)
【出願人】(000239437)福田道路株式会社 (24)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】