アスベストコンクリートブロック及びその製造方法
【課題】廃棄されたアスベスト材を、構造物を構築するためのコンクリートブロックの中にセメント材と共に封じ込めることでコンクリートの骨材として利用しつつ、効果的なアスベストの廃棄を可能にするアスベストコンクリートブロック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部10bと、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部10aと、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルト5が打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【解決手段】アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部10bと、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部10aと、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルト5が打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公害産業廃棄物としてのアスベスト(石綿)を無公害化処理するためのアスベストコンクリートブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然の蛇紋岩及び角閃石系列の硅塩鉱物繊維の一般名であるアスベスト(石綿)は、古くより電気及び熱絶縁材料及び耐熱材料として建築材料その他に種々の形態で重宝に利用されてきたが、衆知のようにその微細ダクト粒子は人間が吸い込むと、肺胞領域に到達して吸収により肺の組織が影響を受け、発癌性を示し、通常少なくとも4〜7年の累露が重篤な肺の病気(繊維癌)を招く結果となる問題を有する一般的な大気汚染物として、その使用が禁止されていることはもちろん、現在は、過去に使用されたアスベストを無公害的に取除き処理することが、国を挙げての大きな地球環境的問題の一つとなっている。
【0003】
ここにおいて、従来既設のアスベスト含有材料を除去する場合、以上の繊維を無公害に除去することが必要となる。このため、アスベストを二酸化珪酸塩の融点以上に加熱してガラス状に固形化し、繊維状の微細ダクト化を防止する必要がある。アスベスト(二酸化珪酸塩)の融点は2050℃と比較的高いため従来は、大量処理に適したバーナー溶融処理は、温度不足のため採用できずアスベスト廃棄物を粉末化してルツボに入れ、アーク式の電気炉で処理していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−141537号公報
【特許文献2】特開2002−030813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの処理法にあっては、ルツボ式のためアスベストの粉末化現象や電気炉容量の大型化等にも限定され、また、電気料金も高価であり、さらに非連続的のバッチ処理方法であるため、処理能力にも限界がり、またその処理コストも例えば20万円/tのオーダの極めて高価であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、廃棄されたアスベスト材を、構造物を構築するためのコンクリートブロックの中にセメント材と共に封じ込めることでコンクリートの骨材として利用しつつ、効果的なアスベストの廃棄を可能にするアスベストコンクリートブロック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下の構成を備えるものである。
【0007】
(1)アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部と、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部と、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、
前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルトが打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が前記直方体の表面より落ち込んだ凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【0008】
(2)前記コンクリートブロックの形状が、直方体形状に、その対向する2つの端面に更に直方体を付加した形状であり、該付加された直方体に所定数のアンカーボルトが打ち込まれていることを特徴とする前記(1)記載のアスベストコンクリートブロック。
【0009】
(3)外枠に所定数のアンカーボルトとスペーサを固定する工程と、
前記外枠に内枠を固定金具で設置する工程と、
前記外枠と前記内枠の間の空間に、セメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記混合物が固化した後に、前記内枠を除去する工程と、
前記内枠を除去した後に形成された空間に、アスベスト材とセメント材の混合物を注入する工程と、
アスベスト材とセメント材の前記混合物が固化した後に、所定数のアンカーボルトとスペーサが固定された上蓋を前記外枠に締結する工程と、
前記外枠と前記上蓋と前記固化したコンクリートで形成される空間にセメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記すべてのコンクリートが固化した後に、前記外枠と前記上蓋を取除く工程よりなることを特徴とするアスベストコンクリートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
上記アスベストコンクリートブロック及びその製造方法を用いれば、人体に問題のあるアスベスト廃材をコンクリート骨材として有効活用することができると共に、その複数のアスベストコンクリートブロックを締結金具で組み上げることにより、有用な構造物を容易に作製できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、外枠1を準備し、その外枠にスペーサ4とアンカーボルト5をボルト7で固定する。このスペーサはアスベストコンクリートブロックに凹部を形成するためのものであり、アンカーボルト5は完成した複数のブロックを接続金具で固定するためのボルトを挿入するためのものである。
【0013】
このスペーサ4の厚みは、締結用のボルト15(図8参照)の頭部の高さよりも大きいものとする。このようにすることで、複数のブロックの締結時に、ボルトの頭部が邪魔にならないようにすることができるからである。
【0014】
この外枠1は、図1に示すように、複数の部材から構成されていて、アスベストコンクリートブロックを作製する際には、これら複数の部材が図1の締結具6で締結される。この締結具6は、先端がピン形状になっており、複数の部材に設けられた穴にその先端部が挿入され、その後、図のように下方に回転され締結が完了する。ブロックの製造工程が終了した場合には、該締結具を上側に回転し、ピン形状の先端をハンマー等で打って締結具6を抜くことになる。
【0015】
次に、上記の外枠1の中に内枠2を挿入する。この場合、内枠は外枠の底面まで下ろさないようにする。そのため、内枠2の上部に固定具9を取付けて外枠1に固定し、外枠1の中で浮いた状態にしておく。
【0016】
内枠2の設置が終わったら、外枠と内枠の隙間に通常のコンクリート材を入れる。このコンクリート材はセメントと砂利、砂等の骨材を混合したものである。コンクリート材は底面部にも十分に回り込むようにする。
【0017】
コンクリート材の充填が終了したら、乾燥させ固化するまで放置する。固化したら、内枠2を上方に持ち上げ抜き去る。そして、内枠を抜いたあとに完成した空間8aに、廃棄しようとするアスベストとセメントを混合したものを注入する(図2参照)。この際、砂利等の骨材を混入する必要はない。アスベストが骨材としての機能を果たすからである。アスベストとセメントの注入が終了したら、同様に固化するまで放置する。
【0018】
固化したら、図2に示すように外枠1の上蓋3を被せる。この上蓋にもスペーサ4とアンカーボルト5が取付けられている。上蓋3の取り付けが終了したら、最後に上蓋に開いた穴3aからセメントと骨材が混合されたものを注入しアスベストとセメント材が混合された中心部材を封じ込める。
【0019】
上記の最後のコンクリート材が固化するのを待ち、固化が終了したら前記のボルトを全て取り外す。次に、上記したように締結具の先端部をハンマーでたたいた後、回転させることで、全ての締結具を外す。図3に模式的に上蓋と外枠を外した状態を示す。また、アンカーボルト5をスペーサ4と共に外枠1にボルト7で固定した状態を図4に示す。
【0020】
なお、上記のアスベストと生コンクリートの混合材はあらかじめ作製しておくものとする。その作製工程を模式的に表したのが図5である。この工程は、アスベストの空中への離散を防止するため密閉された建屋の中で行われなければならない。この工程では、搬入されたアスベストを小さく砕いた後、生コンクリートと混ぜる。そして、その混合物を前記したように、外枠で形成された、コンクリート枠の中空部8aにコンベヤー等で搬送して注入する。
【0021】
図6にコンクリート材の注入作業の一例を示す。外枠1と内枠2が組まれたものは、図のようにコロ22上のベルト21に載せられて搬送されるものとする。そして、作業は図に示すように天井から霧24が散布されている雰囲気の中で行う。こうすることで、問題のあるアスベストの離散を防止することが出来るからである。
【0022】
図7に完成したアスベストコンクリートブロック10とその断面図を示す。この図から分かるように、他のブロックとの締結部は、凹部10cが設けられさらにそこにアンカーボルト5が打ち込まれた状態になっている。
【0023】
図8に、完成したアスベストコンクリートブロック10を組合せ締結金具16a、16bで締結した状態を示す。図に示すように、平板上のもの、L型のもの等の種々の金具が必要である。必要であれば、鋳物、ダイキャスト等により作製してもよい。
【0024】
図9、図10に実際のアスベストコンクリートブロックの使用例を示す。図9は防波堤ブロックであり、図10は津波よけブロックである。
【実施例2】
【0025】
図11に第2の実施例に係るアスベストコンクリートブロック30を示す。その製造方法、及び構造は実施例1のコンクリートブロックとほぼ同様であるが、本実施例のブロックの形状は、その両端面に更に直方体形状のブロック部を有している。
【0026】
このような形状とすることで、図12に示すようにフォークリフトで容易に運搬が可能となり、アスベストコンクリートブロックの組み立て作業を効率良く行えることとなる。また、図13に示したように、その端部にワイヤーをかけて容易に吊り下げ、移動することもできる。
【0027】
かかる形状のコンクリートブロックを作製するためには、実施例1の外枠を一部変更する必要があるものの、作業性に優れたコンクリートブロックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】アスベストコンクリートブロックを作製するための外枠と内枠を組んだ状態を示す斜視図である。
【図2】外枠と内枠の間にコンクリート材を流し込んで、コンクリートブロックの一部を作製した状態を示す斜視図である。
【図3】コンクリートブロックが固化した後に、枠と上蓋を外した状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】アンカーボルトをコンクリートブロックに埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図5】アスベスト廃材と生コンクリートを混合する工程を示した図である。
【図6】アスベストコンクリートブロックの流れ作業工程を示した図である。
【図7】(a)完成したアスベストコンクリートブロックを示す図である。(b)アスベストコンクリートブロックの断面図である。
【図8】複数のアスベストコンクリートブロックを締結金具で組み上げた状態を示す図である。
【図9】アスベストコンクリートブロックを利用した防波堤ブロックを示す図である。
【図10】アスベストコンクリートブロックを利用した津波よけブロックを示す図である。
【図11】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックを示す図である。
【図12】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックを、フォークリフトで運搬している状態の図である。
【図13】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックに、ワイヤーをかけて吊り下げた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 外枠
1a、1b 外枠の側板
2 内枠
3 上蓋
3a 穴
4 スペーサ
5 アンカーボルト
6 締結具
7 ボルト
8 コンクリートブロックの一部
8a 中空部
9 固定具
10 アスベストコンクリートブロック
10a コンクリート
10b アスベストとコンクリートの混合物
10c 凹部
15 ボルト
16a、16b 締結金具
20 作業者
21 搬送ベルト
22 コロ
23 セメントタンク
24 霧
30 実施例2のアスベストコンクリートブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、公害産業廃棄物としてのアスベスト(石綿)を無公害化処理するためのアスベストコンクリートブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然の蛇紋岩及び角閃石系列の硅塩鉱物繊維の一般名であるアスベスト(石綿)は、古くより電気及び熱絶縁材料及び耐熱材料として建築材料その他に種々の形態で重宝に利用されてきたが、衆知のようにその微細ダクト粒子は人間が吸い込むと、肺胞領域に到達して吸収により肺の組織が影響を受け、発癌性を示し、通常少なくとも4〜7年の累露が重篤な肺の病気(繊維癌)を招く結果となる問題を有する一般的な大気汚染物として、その使用が禁止されていることはもちろん、現在は、過去に使用されたアスベストを無公害的に取除き処理することが、国を挙げての大きな地球環境的問題の一つとなっている。
【0003】
ここにおいて、従来既設のアスベスト含有材料を除去する場合、以上の繊維を無公害に除去することが必要となる。このため、アスベストを二酸化珪酸塩の融点以上に加熱してガラス状に固形化し、繊維状の微細ダクト化を防止する必要がある。アスベスト(二酸化珪酸塩)の融点は2050℃と比較的高いため従来は、大量処理に適したバーナー溶融処理は、温度不足のため採用できずアスベスト廃棄物を粉末化してルツボに入れ、アーク式の電気炉で処理していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−141537号公報
【特許文献2】特開2002−030813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの処理法にあっては、ルツボ式のためアスベストの粉末化現象や電気炉容量の大型化等にも限定され、また、電気料金も高価であり、さらに非連続的のバッチ処理方法であるため、処理能力にも限界がり、またその処理コストも例えば20万円/tのオーダの極めて高価であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、廃棄されたアスベスト材を、構造物を構築するためのコンクリートブロックの中にセメント材と共に封じ込めることでコンクリートの骨材として利用しつつ、効果的なアスベストの廃棄を可能にするアスベストコンクリートブロック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下の構成を備えるものである。
【0007】
(1)アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部と、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部と、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、
前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルトが打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が前記直方体の表面より落ち込んだ凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【0008】
(2)前記コンクリートブロックの形状が、直方体形状に、その対向する2つの端面に更に直方体を付加した形状であり、該付加された直方体に所定数のアンカーボルトが打ち込まれていることを特徴とする前記(1)記載のアスベストコンクリートブロック。
【0009】
(3)外枠に所定数のアンカーボルトとスペーサを固定する工程と、
前記外枠に内枠を固定金具で設置する工程と、
前記外枠と前記内枠の間の空間に、セメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記混合物が固化した後に、前記内枠を除去する工程と、
前記内枠を除去した後に形成された空間に、アスベスト材とセメント材の混合物を注入する工程と、
アスベスト材とセメント材の前記混合物が固化した後に、所定数のアンカーボルトとスペーサが固定された上蓋を前記外枠に締結する工程と、
前記外枠と前記上蓋と前記固化したコンクリートで形成される空間にセメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記すべてのコンクリートが固化した後に、前記外枠と前記上蓋を取除く工程よりなることを特徴とするアスベストコンクリートの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
上記アスベストコンクリートブロック及びその製造方法を用いれば、人体に問題のあるアスベスト廃材をコンクリート骨材として有効活用することができると共に、その複数のアスベストコンクリートブロックを締結金具で組み上げることにより、有用な構造物を容易に作製できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、外枠1を準備し、その外枠にスペーサ4とアンカーボルト5をボルト7で固定する。このスペーサはアスベストコンクリートブロックに凹部を形成するためのものであり、アンカーボルト5は完成した複数のブロックを接続金具で固定するためのボルトを挿入するためのものである。
【0013】
このスペーサ4の厚みは、締結用のボルト15(図8参照)の頭部の高さよりも大きいものとする。このようにすることで、複数のブロックの締結時に、ボルトの頭部が邪魔にならないようにすることができるからである。
【0014】
この外枠1は、図1に示すように、複数の部材から構成されていて、アスベストコンクリートブロックを作製する際には、これら複数の部材が図1の締結具6で締結される。この締結具6は、先端がピン形状になっており、複数の部材に設けられた穴にその先端部が挿入され、その後、図のように下方に回転され締結が完了する。ブロックの製造工程が終了した場合には、該締結具を上側に回転し、ピン形状の先端をハンマー等で打って締結具6を抜くことになる。
【0015】
次に、上記の外枠1の中に内枠2を挿入する。この場合、内枠は外枠の底面まで下ろさないようにする。そのため、内枠2の上部に固定具9を取付けて外枠1に固定し、外枠1の中で浮いた状態にしておく。
【0016】
内枠2の設置が終わったら、外枠と内枠の隙間に通常のコンクリート材を入れる。このコンクリート材はセメントと砂利、砂等の骨材を混合したものである。コンクリート材は底面部にも十分に回り込むようにする。
【0017】
コンクリート材の充填が終了したら、乾燥させ固化するまで放置する。固化したら、内枠2を上方に持ち上げ抜き去る。そして、内枠を抜いたあとに完成した空間8aに、廃棄しようとするアスベストとセメントを混合したものを注入する(図2参照)。この際、砂利等の骨材を混入する必要はない。アスベストが骨材としての機能を果たすからである。アスベストとセメントの注入が終了したら、同様に固化するまで放置する。
【0018】
固化したら、図2に示すように外枠1の上蓋3を被せる。この上蓋にもスペーサ4とアンカーボルト5が取付けられている。上蓋3の取り付けが終了したら、最後に上蓋に開いた穴3aからセメントと骨材が混合されたものを注入しアスベストとセメント材が混合された中心部材を封じ込める。
【0019】
上記の最後のコンクリート材が固化するのを待ち、固化が終了したら前記のボルトを全て取り外す。次に、上記したように締結具の先端部をハンマーでたたいた後、回転させることで、全ての締結具を外す。図3に模式的に上蓋と外枠を外した状態を示す。また、アンカーボルト5をスペーサ4と共に外枠1にボルト7で固定した状態を図4に示す。
【0020】
なお、上記のアスベストと生コンクリートの混合材はあらかじめ作製しておくものとする。その作製工程を模式的に表したのが図5である。この工程は、アスベストの空中への離散を防止するため密閉された建屋の中で行われなければならない。この工程では、搬入されたアスベストを小さく砕いた後、生コンクリートと混ぜる。そして、その混合物を前記したように、外枠で形成された、コンクリート枠の中空部8aにコンベヤー等で搬送して注入する。
【0021】
図6にコンクリート材の注入作業の一例を示す。外枠1と内枠2が組まれたものは、図のようにコロ22上のベルト21に載せられて搬送されるものとする。そして、作業は図に示すように天井から霧24が散布されている雰囲気の中で行う。こうすることで、問題のあるアスベストの離散を防止することが出来るからである。
【0022】
図7に完成したアスベストコンクリートブロック10とその断面図を示す。この図から分かるように、他のブロックとの締結部は、凹部10cが設けられさらにそこにアンカーボルト5が打ち込まれた状態になっている。
【0023】
図8に、完成したアスベストコンクリートブロック10を組合せ締結金具16a、16bで締結した状態を示す。図に示すように、平板上のもの、L型のもの等の種々の金具が必要である。必要であれば、鋳物、ダイキャスト等により作製してもよい。
【0024】
図9、図10に実際のアスベストコンクリートブロックの使用例を示す。図9は防波堤ブロックであり、図10は津波よけブロックである。
【実施例2】
【0025】
図11に第2の実施例に係るアスベストコンクリートブロック30を示す。その製造方法、及び構造は実施例1のコンクリートブロックとほぼ同様であるが、本実施例のブロックの形状は、その両端面に更に直方体形状のブロック部を有している。
【0026】
このような形状とすることで、図12に示すようにフォークリフトで容易に運搬が可能となり、アスベストコンクリートブロックの組み立て作業を効率良く行えることとなる。また、図13に示したように、その端部にワイヤーをかけて容易に吊り下げ、移動することもできる。
【0027】
かかる形状のコンクリートブロックを作製するためには、実施例1の外枠を一部変更する必要があるものの、作業性に優れたコンクリートブロックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】アスベストコンクリートブロックを作製するための外枠と内枠を組んだ状態を示す斜視図である。
【図2】外枠と内枠の間にコンクリート材を流し込んで、コンクリートブロックの一部を作製した状態を示す斜視図である。
【図3】コンクリートブロックが固化した後に、枠と上蓋を外した状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】アンカーボルトをコンクリートブロックに埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図5】アスベスト廃材と生コンクリートを混合する工程を示した図である。
【図6】アスベストコンクリートブロックの流れ作業工程を示した図である。
【図7】(a)完成したアスベストコンクリートブロックを示す図である。(b)アスベストコンクリートブロックの断面図である。
【図8】複数のアスベストコンクリートブロックを締結金具で組み上げた状態を示す図である。
【図9】アスベストコンクリートブロックを利用した防波堤ブロックを示す図である。
【図10】アスベストコンクリートブロックを利用した津波よけブロックを示す図である。
【図11】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックを示す図である。
【図12】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックを、フォークリフトで運搬している状態の図である。
【図13】実施例2に係るアスベストコンクリートブロックに、ワイヤーをかけて吊り下げた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 外枠
1a、1b 外枠の側板
2 内枠
3 上蓋
3a 穴
4 スペーサ
5 アンカーボルト
6 締結具
7 ボルト
8 コンクリートブロックの一部
8a 中空部
9 固定具
10 アスベストコンクリートブロック
10a コンクリート
10b アスベストとコンクリートの混合物
10c 凹部
15 ボルト
16a、16b 締結金具
20 作業者
21 搬送ベルト
22 コロ
23 セメントタンク
24 霧
30 実施例2のアスベストコンクリートブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部と、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部と、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、
前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルトが打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が前記直方体の表面より落ち込んだ凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【請求項2】
前記コンクリートブロックの形状が、直方体形状に、その対向する2つの端面に更に直方体を付加した形状であり、該付加された直方体に所定数のアンカーボルトが打ち込まれていることを特徴とする請求項1記載のアスベストコンクリートブロック。
【請求項3】
外枠に所定数のアンカーボルトとスペーサを固定する工程と、
前記外枠に内枠を固定金具で設置する工程と、
前記外枠と前記内枠の間の空間に、セメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記混合物が固化した後に、前記内枠を除去する工程と、
前記内枠を除去した後に形成された空間に、アスベスト材とセメント材の混合物を注入する工程と、
アスベスト材とセメント材の前記混合物が固化した後に、所定数のアンカーボルトとスペーサが固定された上蓋を前記外枠に締結する工程と、
前記外枠と前記上蓋と前記固化したコンクリートで形成される空間にセメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記すべてのコンクリートが固化した後に、前記外枠と前記上蓋を取除く工程よりなることを特徴とするアスベストコンクリートの製造方法。
【請求項1】
アスベスト材とセメント材を混合したのち固化させることにより作製された中核部と、セメント材と骨材を混合したのち固化させることにより作製され、前記中核部の外側を覆う外殻部と、からなる直方体形状のコンクリートブロックであって、
前記外殻部の隅部及び稜線部に所定数のアンカーボルトが打ち込まれ、該アンカーボルトの周辺部が前記直方体の表面より落ち込んだ凹部形状であることを特徴とするアスベストコンクリートブロック。
【請求項2】
前記コンクリートブロックの形状が、直方体形状に、その対向する2つの端面に更に直方体を付加した形状であり、該付加された直方体に所定数のアンカーボルトが打ち込まれていることを特徴とする請求項1記載のアスベストコンクリートブロック。
【請求項3】
外枠に所定数のアンカーボルトとスペーサを固定する工程と、
前記外枠に内枠を固定金具で設置する工程と、
前記外枠と前記内枠の間の空間に、セメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記混合物が固化した後に、前記内枠を除去する工程と、
前記内枠を除去した後に形成された空間に、アスベスト材とセメント材の混合物を注入する工程と、
アスベスト材とセメント材の前記混合物が固化した後に、所定数のアンカーボルトとスペーサが固定された上蓋を前記外枠に締結する工程と、
前記外枠と前記上蓋と前記固化したコンクリートで形成される空間にセメント材と骨材の混合物を注入する工程と、
前記すべてのコンクリートが固化した後に、前記外枠と前記上蓋を取除く工程よりなることを特徴とするアスベストコンクリートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−49223(P2008−49223A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225307(P2006−225307)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【特許番号】特許第4025803号(P4025803)
【特許公報発行日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(506285611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【特許番号】特許第4025803号(P4025803)
【特許公報発行日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(506285611)
【Fターム(参考)】
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