説明

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む皮膚明色化組成物

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を有する皮膚明色化添加剤および皮膚明色化組成物について記載する。組成物は局所塗布に好適であり、ガランタミン、タスピンまたは両方などの阻害薬を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚明色化添加剤およびこれを含む組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、皮膚明色化添加剤を含み、それにより皮膚明色化添加剤がアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む、化粧用組成物に関する。皮膚明色化添加剤は、化粧用組成物中で使用されるときに、これを使用する消費者に、皮膚明色化の利点を驚くべきことに提供することができる組成物を生じる。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者はこの皮膚の特徴に関心がある。例えば消費者は、この皮膚の色素沈着の程度、そばかすおよび/またはしみに関心がある。他の消費者は、太陽光への曝露による皮膚の黒ずみを低減することを望んでいる。消費者の要求を満たすために、皮膚の特徴を改善する製品を開発するための多くの試みが行われてきた。しかしこれまで開発された製品はしばしば、低い効率、望ましくない副作用またはこの両方を有する傾向を有する。
【0003】
新たな皮膚明色化添加剤を含む化粧用組成物を開発することへの興味が高まっている。従って本発明は、新たな皮膚明色化添加剤を含む化粧用組成物に関する。本発明の化粧用組成物は、好ましくは明色化添加剤としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む。本発明の化粧用組成物は驚くべきことに、局所塗布後に皮膚明色化を生じることができる。
【0004】
(追加情報)
スキンケア化粧用組成物を作製する取り組みが開示されている。US6 875 425において、4置換レゾルシノール誘導体化合物を含む皮膚明色化剤が開示されている。
【0005】
皮膚処置組成物を作製する他の取り組みも開示されている。US7 250 158およびUS7 247 294には、皮膚明色化剤によって処置する方法が記載されている。
【0006】
皮膚を処置するまた他の取り組みが開示されている。US5 998 423には、多環式窒素複素環を含む組成物について記載されている。
【0007】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を使用するなお他の取り組みが開示されている。US2 701 225、US4 895 841、US4 948 807およびUS5 538 984には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用が記載されている。
【0008】
上の追加情報のいずれも、明色化添加剤としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む皮膚明色化組成物について記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6 875 425号明細書
【特許文献2】米国特許第7 250 158号明細書
【特許文献3】米国特許第7 247 294号明細書
【特許文献4】米国特許第5 998 423号明細書
【特許文献5】米国特許第2 701 225号明細書
【特許文献6】米国特許第4 895 841号明細書
【特許文献7】米国特許第4 948 807号明細書
【特許文献8】米国特許第5 538 984号明細書
【発明の概要】
【0010】
第1の態様において、本発明は皮膚明色化添加剤に関し、該皮膚明色化剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む。
【0011】
第2の態様において、本発明は皮膚明色化のための化粧用組成物に関し、該化粧用組成物は本発明の第1の態様の皮膚明色化添加剤を含む皮膚明色化剤を含む。
【0012】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様の化粧用組成物によって皮膚を明色化する方法に関する。
【0013】
本発明の他のすべての態様は、続いての詳細な説明および実施例を考慮したときにより容易に明らかになる。
【0014】
化粧用組成物は、本明細書で使用する場合、哺乳動物、とりわけヒトの皮膚への局所塗布のための組成物を含むことを意味する。このような組成物は概して、洗い流さない組成物または洗い流す組成物として分類されて、何らかの方法で最低限でもケラチノサイトに対するメラニンの影響を低下させる、コンディショナまたはトニック、口紅、着色化粧品、および一般に局所用の組成物を含むことを意味する。明色化および美白は、本明細書で使用する場合、同じことを意味して、明色化および美白は、皮膚の直接明色化ならびにしみおよびそばかすなどの皮膚斑の明色化を含む。皮膚明色化剤は、物理的な、しかしとりわけ生物学的な美白(即ちメラニン産生の低減)を生じるのに好適な構成要素を意味し、それにより該皮膚明色化剤は皮膚明色化添加剤を含む、本質的に皮膚明色化添加剤から成るまたは皮膚明色化添加剤から成ることでき、従って皮膚明色化源(即ち皮膚明色化添加剤以外の皮膚明色化化合物)を含有することもできる。「含むこと」とは、本明細書で使用する場合、本質的に成ることおよび成ることを含むことを意味する。
【0015】
本発明の化粧用組成物は、液剤、ローション、クリーム、美容液、ゲル、ソープバーもしくはトナー形であることができるか、またはフェイスマスクもしくはパッチによって塗布することができる。本発明の組成物は、皮膚が顔、頸、胸部、背中、腕、臀部、手、脚および頭皮を含むことを意味するときに、最低限でも皮膚を明色化する組成物である。本明細書に示すすべての範囲は、この中に包含されるすべての範囲を、例えばこの範囲が明示的に言及されていない場合に、暗黙的に含むことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で使用され得る皮膚明色化添加剤に関する唯一の制限は、該皮膚明色化添加剤がヒトへの使用に好適な局所組成物に使用され得ることである。本発明で使用する好ましい添加剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である。
【0017】
本発明での使用に好適な、例証的でしばしば好ましい皮膚明色化添加剤(即ちアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)は、式:
【0018】
【化1】

【0019】
【化2】

を有する化合物として表され、
式中、
各Rは独立してHまたはC−C直鎖、分枝もしくは環式アルキル置換基であり、各Rは独立して、H、C−C直鎖、分枝もしくは環式アルキル、C−Cアルケニル、またはアリール置換基である。
【0020】
本発明で使用するのに好適な皮膚明色化添加剤の他の例証的であるが非制限的な例は、ロウサリトール(lawsaritol)、フェンセリン、コリダリン、フィゾスチグミン、タクリン、イコペジル、ドネペジル、リバスチグミン、メトリフォネート、シサンドロールB、ゴミシンA、ゴミシンC、ゴミシンD、ゴミシンG、エンサクリン、リナリン、フペラジン(huperazine)A、フペリン(huperine)X、フペリン(huperine)Y、O−アセチルリコリン、およびルチジンを含む。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のいずれかの中和された誘導体が存在する程度まで、このような誘導体(例えばこの塩)は本発明で使用され得る。例証的な塩は、アンモニウム硫酸塩、リン酸塩および炭酸塩ならびにアンモニウムハロゲン塩およびこの混合物を含む。
【0021】
所望の化粧用組成物の皮膚明色化剤中で皮膚明色化添加剤または添加剤の混合物を使用することは、本発明の範囲内である。とりわけ好ましい実施形態において、使用される皮膚明色化添加剤は、ガランタミン(式Iによって表される。)、タスピン(式IIによって表される。)またはこの混合物である。
【0022】
通例、皮膚明色化添加剤は、皮膚明色化剤の重量で約25から約100%、好ましくは約50から約100%、および最も好ましくは約75から約100%を構成し、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。さらに本発明の皮膚明色化添加剤は通例、化粧用組成物の総重量に基づいて、化粧用組成物の重量で約0.01から約15%、好ましくは約0.1から約10%、最も好ましくは約0.5から約6%を構成して、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。皮膚明色化剤は通例、化粧用組成物の総重量に基づいて、化粧用組成物の重量で約0.0025から約15%を構成して、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。
【0023】
本発明で使用され得るアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、Indofine Chemical Company、Rubamin LimitedならびにSigma Aldrichなどの供給者から入手され得る。このような阻害薬は通例、植物から単離された天然生成物である。
【0024】
本明細書に記載する皮膚明色化剤および添加剤ならびにその他の任意ではあるが好ましいことが多い他の成分のための希釈剤、分散化剤および/または担体として作用する、商業的に許容されるおよび従来のビヒクルが使用され得ることが公知であるはずである。従って本発明での使用に好適な化粧用として許容されるビヒクルは、水性ベース、無水またはエマルションであり得て、それにより油中水型または水中油型エマルションが概して好ましい。水の使用が所望である場合、水は通例、化粧用組成物の残りを構成し、好ましくは化粧用組成物の重量で約5から約99%、最も好ましくは約40から約80%を構成して、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。
【0025】
水に加えて場合により有機溶媒が含まれて、本発明の化粧用組成物内で担体として作用し得るまたは担体を補助し得る。本発明での使用に好適な有機溶媒の種類の例証的および非制限的な例は、エチルおよびイソプロピルアルコールなどのアルカノール、この混合物などを含む。
【0026】
使用に好適な他の任意の添加剤は、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ネオペンチルグリコールジカプラートなどのエステル油、この混合物などを含む。通例、このようなエステル油は本発明の化粧用組成物の乳化を補助し、有効量がしばしば利用されて安定な最も好ましくは油中水型エマルションが得られる。
【0027】
所望ならば皮膚軟化薬も、本発明の化粧用組成物内で担体として使用され得る。1−ヘキサデカノール(即ちセチルアルコール)などのアルコールは、シリコーン油および合成エステルとして概して分類される皮膚軟化薬と同様に所望であることが多い。使用のために好適なシリコーン油は、3から9個の、好ましくは4から5個のシリコン原子を含有する環式または直鎖ポリジメチルシロキサンを含む。本明細書に記載する本発明の化粧用組成物中の皮膚軟化物質として有用な不揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。本明細書で有用な、本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンは、例えばポリジメチルシロキサンを含む。
【0028】
場合により使用され得るエステル皮膚軟化薬は以下の通りである:
(1)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。この例はネオペンタン酸イソアラキジル、イソノナン酸(isonanonoate)イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイルおよびオレイン酸オレイルを含む。
(2)エトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル。
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、エトキシ化モノステアリン酸プロピレングリコール、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、モノステアリン酸エトキシ化グリセリル、モノステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、満足な多価アルコールエステルである。
(4)ろうエステル、例えばミツろう、鯨ろう、ステアリン酸ステアリルおよびベヘン酸アラキジル。
(5)このコレステロール脂肪酸エステルが例である、ステロールエステル である。
【0029】
皮膚軟化薬は使用時に、通例、化粧用組成物の重量で約0.1から約50%を構成して、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。
【0030】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸も、本発明の組成物内に化粧用として許容される担体として含まれ得る。このような脂肪酸の例証的な例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸またはエルカ酸、およびこの混合物を含む。ジメチルスルホキシドなどの皮膚浸透を向上させると考えられる化合物は、任意の担体として使用され得る。
【0031】
多価アルコール型の保湿剤も、本発明の化粧用組成物で使用され得る。保湿剤はしばしば、皮膚軟化薬の有効性の向上を助け、鱗屑形成を減少させ、蓄積した鱗屑の除去を刺激して、皮膚の感触を改善する。代表的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコールならびにさらに好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこの誘導体を含むアルキレンポリオールおよびこの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロールおよびこの混合物を含む。最良な結果のために、保湿剤は好ましくはプロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。保湿剤の量は、化粧用組成物の総重量に基づいて、化粧用組成物の重量で概して0.2から25%、および好ましくは約0.5から約15%に及び得て、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。
【0032】
増粘剤も本発明の化粧用組成物中で化粧用として許容される担体の一部として利用され得る。代表的な増粘剤は、架橋アクリレート(例えばカルボポール982)、疎水性修飾アクリレート(例えばカルボポール1382)、セルロース系誘導体および天然ゴムを含む。有用なセルロース系誘導体には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に好適な天然ゴムは、グアー、キサンタン、菌核、カラゲナン、ペクチンおよびこれらのゴムの組合せを含む。増粘剤の量は、化粧用組成物の重量で0.0から5%、通常0.001から1%、最適には0.01から0.5%に及び得る。
【0033】
水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、保湿剤および/または増粘剤は集合的に、化粧用組成物の重量で1から99.9%、好ましくは80から99%の量で化粧用として許容される担体を構成する。
【0034】
界面活性剤も本発明の化粧用組成物中に存在し得る。界面活性剤の総濃度は、化粧用組成物の重量で約0から約40%、および好ましくは約0から約20%、最適には約0から約5%に及び得る。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性活性物質から選択され得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2から100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合されたC10−C20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質;エチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノおよびジC−C20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);ならびにポリオキシエチレンソルビタンならびにこの組合せを有するものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪アミド(例えばメチルグルコンアミド)も好適な非イオン性界面活性剤である。
【0035】
好ましいアニオン性界面活性剤は、石鹸、アルキルエーテル硫酸およびスルホン酸、アルキル硫酸およびスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸アルキルおよびジアルキル、C−C20アシルイセチオン酸、アシルグルタミン酸、C−C20アルキルエーテルリン酸およびこの組合せを含む。
【0036】
香料は本発明の化粧用組成物で使用され得る。使用され得る例証的および非制限的な香料の種類の例は、Bauer,K.,et al.,Common Fragrance and Flavor Materials,VCH Publishers(1990)に記載されている香料のような、テルペンおよびテルペン誘導体を含む香料を含む。
【0037】
本発明で使用され得る例証的であるが、非制限的な芳香剤の種類の例は、ミルセン、ジヒドロミレノール(dihydromyrenol)、シトラール、タゲトン、シス−ゲラン酸、シトロネル酸、この混合物などを含む。
【0038】
好ましくは、本発明の化粧用組成物で使用される芳香剤の量は、化粧用化合物の重量で約0.0%から約10%、さらに好ましくは約0.00001%から約5%、最も好ましくは約0.0001%から約2%の範囲内にある。
【0039】
多様な種類の任意の追加の活性成分が本発明の化粧用組成物で使用され得る。活性成分は、皮膚軟化薬以外のおよび組成物の物理的特徴を改善するだけの成分以外の皮膚有益剤として定義される。このカテゴリに限定されないが、一般的な例は、タルクおよびシリカ、ならびにαヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、亜鉛塩、およびサンスクリーンを含む。
【0040】
βヒドロキシ酸は、例えばサリチル酸を含む。ジンクピリチオンは、本発明の化粧用組成物で有用な亜鉛塩の例である。
【0041】
サンスクリーンは、紫外線光を遮断するために普通に使用される物質を含む。例証的な化合物は、PABA、けい皮酸塩およびサリチル酸塩の誘導体である。例えばアボベンゾフェノン(パルソール1789(登録商標))メトキシけい皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても公知)が使用できる。メトキシけい皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンはそれぞれ、商標名パルソールMCXおよびベンゾフェノン−3で市販されている。組成物で使用されるサンスクリーンの正確な量は、太陽の紫外線放射から所望の程度の保護に応じて変化することがある。太陽光線を反射または散乱する添加剤も使用され得る。これらの添加剤は酸化亜鉛および2酸化チタンなどの酸化物を含む。
【0042】
多くの化粧用組成物、とりわけ水を含有する化粧用組成物は、潜在的に有害な微生物の増殖から保護されるべきである。従って抗菌化合物、例えばトリクロサン、および保存料は通例必要である。好適な保存料は、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、多種多様の4級アンモニウム化合物を含む。本発明の特に好ましい保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールである。保存料は通常は、化粧用組成物の重量で約0.1%から2%に及ぶ量で使用される。
【0043】
本発明の化粧用組成物と共に使用され得るまた他の任意の成分は、2酸(例えばマロン酸およびセバシン酸)、ビタミンEなどの抗酸化剤、レチノイン酸、レチナール、レチノールおよびレチニルエステルを含むレチノイド、共役リノール酸、ペトロセリン酸およびこの混合物、ならびにしわ低減、抗座瘡効果および皮脂の影響の低減で周知のその他の従来の成分を含む。
【0044】
本発明の化粧用組成物で使用され得るなお他の任意の成分は、本明細書に記載する皮膚明色化添加剤に加えて皮膚明色化源である。本発明の皮膚明色化添加剤と共に使用され得る皮膚明色化源の例証的であるが、非制限的な例は、皮膚明色化添加剤に加えて、ナイアシンアミド、ビタミンCおよびこの誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸、レゾルシノールおよびこの誘導体(例えばフェルラ酸、バニリン酸などによってエステル化されたものを含む。)、クズ、カモミールおよびノコギリソウの抽出物ならびに皮膚明色化源の任意の混合物である。
【0045】
本発明の化粧用組成物は、ヒト皮膚への局所塗布のための生成物、とりわけおよび少なくとも皮膚を明色化する生成物として主に使用することを意図している。それゆえ本発明者らは、記載した添加剤が予想外に皮膚明色化能力を有し、それにより該添加物が明色化または美白が所望である皮膚の範囲に塗布される局所化粧用組成物中で皮膚明色化添加剤として使用され得ることを発見した。本発明の化粧用組成物を使用する他の利点は、皮膚保湿、皮膚に対する皮脂の影響の低減および皮膚のしわの低減を含み得る。本発明の化粧用組成物は、約30℃から約45℃の融点を有することが多く、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。とりわけ好ましい実施形態において、本発明の化粧用組成物は、約4.5から約7.5のpHを有し、そこに含まれるすべての範囲が含まれる。
【0046】
本発明の化粧用組成物が作製されるとき、所望の成分は順不同で、通常約70から約80℃の温度にて、大気圧下で混合される。
【0047】
本発明の組成物の包材は、パッチ、ボトル、チューブ、ロール・ボール・アプリケータ、噴射剤駆動エアゾール装置、圧搾容器または蓋つきビンであることができる。
【0048】
続いての実施例は、本発明の理解を例証および促進するために提供される。実施例は、請求項の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0049】
実験:
単層培養物は、製造者の説明書に従って、黒色ヒト新生児包皮(HEMn−DP;C−202−5C;Cascade Biologics(商標))によるヒト表皮メラニン細胞の凍結保存培養物から開始した。ヒトメラニン細胞増殖サプリメント(HMGS;S−0002−5,Cascade Biologics)を添加した培地254(M−254−500,Cascade Biologics)で細胞を培養した。これらの培養物のストックを生成して、継代2回目で液体窒素下のSythn−a−Freeze(登録商標)凍結保存培地(R−005−50.Cascade Biologics)中に貯蔵した。
【0050】
アッセイで使用するために、製造者の説明書に従って細胞を解凍し、継代培養して必要に応じて細胞数を増加させた。次に細胞を6ウェルプレートに約200,000細胞/ウェルで播種して、37℃、5%COにてインキュベートし、継代4回目でアッセイに使用した。
【0051】
メラニン細胞を6ウェルプレートに接着させたら(約4から6時間)、活性物質による処置の前に、無PMAヒトメラニン細胞増殖サプリメントを含有する培地254(HMGS−2;S−016−5、以下欠乏培地と呼ぶ)によって約16時間、または一晩にわたって培地を置き換えた。
【0052】
(スクリーニングアッセイの開発)
スクリーニングアッセイを開発するために、多種多様の細胞濃度およびインキュベーション時間を試験して、メラニンの最適化された測定可能なレベルを得た。このプロセスの間に、細胞に添加した物質はなかった。標準メラニン(M8631,Sigma Aldrich)に加えて、ストック溶液をソルバブル(商標)試薬(5NE9100,Perkin Elmer)中で調製して、分光光度計を使用して細胞から抽出したメラニンのレベルを評価するための標準曲線を得た。方法の開発を行って、劣化または退色なしにメラニンを溶液中に可溶化するために必要な最適時間を得た。
【0053】
(試験溶液の添加)
活性物質のストックすべてをジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノールまたは培地で希釈してから、欠乏培地でさらに希釈した。3通りの6ウェルプレート中の細胞に72時間にわたって処置を加え、その後、細胞を収集した。各アッセイに3通りの適切な溶媒対照を含めた。
【0054】
(細胞の収集および細胞溶解物の調製)
72時間後、細胞から培地を除去して、細胞をダルベッコリン酸緩衝溶液(PBS)で1回洗浄した。PBS洗浄液を除去および廃棄して、過剰なPBSすべてが可能な限り除去されるように注意を払った。トリプシン−エチレンジアミン4酢酸(EDTA)溶液(R−001−100,Cascade Biologics(商標))1mLを添加して、細胞を室温にて約1分間インキュベートした。すべての細胞がプレートから剥離するように、微視的観察を行った。得られた細胞懸濁液を1.5mlエッペンドルフ管に移し、50μlを細胞カウント(ベックマン・コールター・カウンタ)のために除去して、残りの懸濁液を13,000rpmにて5分間遠心分離した。上清を廃棄して、細胞ペレットを−20℃にて凍結させた。
【0055】
(総メラニンの定量)
細胞ペレットを室温にて解凍し、各ペレットをソルバブル(商標)試薬(6NE9100,Perkin Elmer)75μL中に再懸濁させた。各管を短時間ボルテックス処理してから、60℃の水浴で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの後、各管をボルテックス処理して、次に13,000rpmで15分間遠心分離した。抽出されたメラニンを含有する上清を96ウェルプレートに移し、490nmでの吸光度をダイネックスMRX−IIプレートリーダで記録した。
【0056】
(データの統計解析)
各成分は3通りずつ試験を行って、関連するビヒクル対照と比較した。抽出したメラニンの総量をメラニン標準曲線から計算した。得られたデータすべてを試料中の細胞の総数に正規化した。データは、分散についてF検定を、続いてStudentのt検定(F検定の結果に応じて等分散または不当分散を仮定して)を行った。
【0057】
【表1】

対照
a−水ビヒクル処置の平均値;b−未処置の平均値;c、dおよびe−10μM、1μMおよび0.1μMそれぞれにおけるガランタミン処置の平均値。
【0058】
表中のデータは予想外に、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用により、培養した細胞中のメラニン産生の低減が生じることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚明色化添加剤として使用するための、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項2】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬がナイアシンアミドと組合された、請求項1に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項3】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が式:
【化1】

【化2】

(式中、
各Rは独立してHまたはC−C直鎖、分枝もしくは環式アルキル置換基であり、各Rは独立して、H、C−C直鎖、分枝もしくは環式アルキル、C−Cアルケニル、またはアリール置換基である。)
によって表されるまたはこの混合物である、請求項1または請求項2に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項4】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬がロウサリトール(lawsaritol)、フェンセリン、コリダリン、フィゾスチグミン、タクリン、イコペジル、ドネペジル、リバスチグミン、メトリフォネート、シサンドロールB、ゴミシンA、ゴミシンC、ゴミシンD、ゴミシンG、エンサクリン、リナリン、フペラジン(huperazine)A、フペリン(huperine)X、フペリン(huperine)Y、O−アセチルリコリン、ルチジンおよびこの混合物から成る群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項5】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が植物由来である、請求項1から4のいずれか一項に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項6】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬がガランタミン、もしくはタスピンまたはこの混合物である、請求項3および5のいずれか一項に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項7】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が式Iおよび/またはIIの塩である、請求項3に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬。
【請求項8】
(a)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を含む皮膚明色化剤;および
(b)化粧用に許容される担体;
を含む化粧用組成物。
【請求項9】
皮膚明色化剤がアセチルコリンエステラーゼ阻害薬から本質的に成るまたはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬から成る、請求項8に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が皮膚明色化剤の重量で25から100%を構成する、請求項8または請求項9に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が化粧用組成物の重量で0.01から15%を構成する、請求項8から10のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
化粧用組成物が抗酸化剤、共役リノール酸、ペトロセレン酸、α−および/またはβ−ヒドロキシ酸、レチノイドおよびこの混合物から成る群のいずれか1つをさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
化粧用組成物が局所塗布に好適である、請求項8から12のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項14】
化粧用組成物がサンスクリーンもしくはナイアシンアミドまたはこの混合物をさらに含む、請求項8から11および13のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項15】
皮膚に請求項8から14のいずれか一項に記載の化粧用組成物を局所塗布するステップを含む、皮膚を明色化する方法。
【請求項16】
化粧用組成物がナイアシンアミドをさらに含む、請求項15に記載の皮膚を明色化する方法。

【公表番号】特表2012−511532(P2012−511532A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540027(P2011−540027)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066349
【国際公開番号】WO2010/066639
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】