説明

アセチル補酵素Aジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼの阻害薬としての置換5−フェニルアミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イルカルボニルアミノ−4−フェノキシ−シクロヘキサンカルボン酸

アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する式(I)の化合物、又はその塩を、それらの製造法、それらを含有する医薬組成物及び薬剤としてのそれらの使用と共に提供する。式(I)において、R、R及びRは、水素、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからそれぞれ独立して選ばれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する化合物、それらの製造法、活性成分としてそれらを含有する医薬組成物、DGAT1活性に関連する病状の治療法、薬剤としてのそれらの使用及びヒトのような温血動物におけるDGAT1の阻害に使用するための薬剤の製造におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、ヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常及び肥満の治療に有用な化合物に関し、更に詳しくは、ヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常及び肥満の治療に使用するための薬剤の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は細胞のミクロソーム画分に見出されている。該酵素は、ジアシルグリセロールと脂肪酸アシルCoAの結合を促進することによって、細胞におけるトリグリセリド合成の主経路と考えられているグリセロールリン酸経路の最終反応を触媒し、トリグリセリドの形成をもたらす。DGATがトリグリセリド合成の律速であるかどうかは不明であるが、この種の分子の産生を任された経路におけるステップのみを触媒する[Lehner & Kuksis(1996)Biosynthesis of triacylglycerols(トリグリセロールの生合成).Prog.Lipid Res.35:169−201]。
【0003】
2種類のDGAT遺伝子がクローニング及び特徴付けされている。コードされたタンパク質はどちらも同じ反応を触媒するが、それらに配列相同性はない。DGAT1遺伝子は、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子との類似性のために配列データベース検索から同定された。[Casesら(1998)、Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase,a key enzyme in triacylglycerol synthesis(トリアシルグリセロール合成における鍵酵素であるアシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の同定).Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13018−13023]。DGAT1活性は、脂肪細胞を含む多くの哺乳動物の組織で見出されている。
【0004】
分子プローブがこれまでなかったため、DGAT1のレギュレーションについてはほとんどわかっていない。DGAT1は脂肪細胞の分化時に著しくアップレギュレートされることが知られている。
【0005】
遺伝子ノックアウトマウスでの研究で、DGAT1の活性のモジュレーターは、II型糖尿病及び肥満の治療に有益であろうことが示されている。DGAT1ノックアウト(Dgat1−1−)マウスは、正常な空腹時血清中トリグリセリド濃度及び正常な脂肪組織組成からも明らかなように、生存可能でトリグリセリドの合成も可能である。Dgat1−1−マウスは野生型マウスよりもベースラインにおける脂肪組織が少なく、食餌性肥満に対して抵抗性がある。代謝速度は、通常食及び高脂肪食の両方でDgat1−1−マウスの方が野生型マウスよりも〜20%高い[Smithら(2000) Obesity resistance and multiple mechanisms of triglyceride synthesis in mice lacking DGAT(DGAT欠損マウスにおける肥満抵抗性及びトリグリセリド合成の多重機構).Nature Genetics 25:87−90]。Dgat1−1−マウスの身体活動の増加はエネルギー消費の増加の一部を説明する。Dgat1−1−マウスはインスリン感受性の増大も示し、糖処理速度が20%増加する。Dgat1−1−マウスでは、脂肪量の50%減少に従ってレプチン濃度も50%減少する。
【0006】
Dgat1−1−マウスをob/obマウスと交配すると、これらのマウスはob/ob表現型を示し[Chenら(2002) Increased insulin and leptin sensitivity in mice lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase(アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ欠損マウスにおけるインスリン及びレプチン感受性の増大)J.Clin.Invest.109:1049−1055]、Dgat1−1−表現型には無傷レプチン経路が必要なことを示している。Dgat1−1−マウスをAgoutiマウスと交配すると、正常血糖値ながら、野生型、Agouti又はob/ob/Dgat1−1−マウスと比べて70%減のインスリン濃度を伴う体重減少が見られる。
【0007】
Dgat1−1−マウスから野生型マウスに脂肪組織を移植すると、食餌性肥満に対する抵抗性とグルコース代謝の改良がこれらのマウスに付与される[Chenら(2003) Obesity resistance and enhanced glucose metabolism in mice transplanted with white adipose tissue lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase(アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ欠損白色脂肪組織を移植されたマウスにおける肥満抵抗性とグルコース代謝の増強)J.Clin.Invest.111:1715−1722]。
【0008】
国際特許出願WO2004/047755(Tularik及びJapan Tobacco)及びWO2005/013907(Japan Tobacco及びAmgen)に、DGAT−1の阻害薬である縮合二環式窒素含有ヘテロサイクルが記載されている。JP2004−67635(Otsuka Pharmaceuticals)には、DGAT−1を阻害するチアゾールアミド置換フェニル化合物(アルキルホスホネートでさらに置換されている)が記載されている。WO2004/100881(Bayer)には、DGAT−1を阻害する、イミダゾール、オキサゾール又はチアゾールで置換されたビフェニルアミノ化合物が記載されている。
【0009】
我々の同時係属国際出願PCT/GB2005/004726には、下記式(I)の化合物に類似した2化合物を含む、DGAT−1を阻害するオキサゾール化合物が記載されている。PCT/GB2005/004726中の一部の化合物は、ACAT酵素に対する活性も示す。
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明は、式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、R、R及びRは、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからそれぞれ独立して選ばれる]の化合物又はその塩を提供する。
【0013】
我々は、上記式(I)のような化合物において、上記のようにフェニル環の2及び2’位に置換基が存在しないことが、2又は2’位のいずれかに置換基を有する化合物と比べて一般的にACAT酵素に対する選択性の改良をもたらすことを見出した。
【0014】
当然のことながら、式(I)は、カルボキシ基とオキシ連結基がシクロヘキシル環を挟んで相互に対してシス又はトランス配置のいずれかである化合物を含む。
本明細書において“アルキル”という用語は直鎖及び分枝鎖アルキル基の両方を含むが、“プロピル”のように個別のアルキル基に言及する場合は直鎖形のみに特定される。類似の慣例が他の総称にも適用される。特に明記しない限り、“アルキル”という用語は好都合には1〜10個の炭素原子、適切には1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する鎖のことを言う。
【0015】
本明細書において“アルコキシ”という用語は、酸素原子に結合したアルキル基(先に定義の通り)を意味する。
誤解を避けるために言うと、本明細書においてある基が‘先に定義された’という語によって修飾されている場合、その基は該基のそれぞれ及びすべての特別の定義のほか、初出の最も広範な定義も包含することは理解されるはずである。
【0016】
どこにも記載されていない場合、ある特定の基の所望による適切な置換基は、本明細書中で類似基について述べたような置換基である。
式(I)の化合物は適切な酸塩又は塩基塩を形成しうるので、そのような場合、塩として化合物を投与するのが適切であり得、製剤学的に許容しうる塩は以下に記載のような従来法によって製造できる。
【0017】
適切な製剤学的に許容しうる塩は、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、α−グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩及び(あまり好ましくないが)臭化水素酸塩のような酸付加塩を含む。リン酸及び硫酸と形成される塩も適切である。別の側面において、適切な塩は、(I)族(アルカリ金属)塩、(II)族(アルカリ土類金属)塩、有機アミン塩、例えばトリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−メチルd−グルカミン及びリジンのようなアミノ酸の塩のような塩基塩である。荷電官能基の数及びカチオン又はアニオンの原子価数(valency)に応じて2以上のカチオン又はアニオンがあってもよい。
【0018】
しかしながら、製造時の塩の単離を容易にするためには、製剤学的に許容しうるものであろうがなかろうが選択溶媒中に低溶性の塩が好適であろう。
本発明の中では、式(I)の化合物又はその塩は互変異性の現象を示しうること、そして本明細書中の式の図は可能な互変異性体の一つしか表せないことは理解されるはずである。本発明は、DGAT1活性を阻害するいずれの互変異性体も包含し、式図に利用されたいずれか一つの互変異性体だけに限定されないことも理解されるはずである。
【0019】
式(I)の化合物のプロドラッグ及びその塩も本発明の範囲に含まれる。
様々な形態のプロドラッグが当該技術分野で公知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例については、
a)Design of ProdrugsH.Bundgaard編(Elsevier,1985)及びMethods in Enzymology,Vol.42,p.309−396 K.Widderら編(Academic Press,1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development,Krogsgaard−Larsen及びH.Bundgaard編,Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs”,H.Bundgaard著 p.113−191(1991);
c)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,,1−38(1992);
d)H.Bundgaardら,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);及び
e)N.Kakeyaら,Chem Pharm Bull,32,692(1984)参照。
【0020】
そのようなプロドラッグの例は、本発明の化合物のインビボで切断可能なエステルである。カルボキシ基を含有する本発明の化合物のインビボで切断可能なエステルは、例えばヒト又は動物体内で切断されて親酸を生ずる製剤学的に許容しうるエステルである。カルボキシの適切な製剤学的に許容しうるエステルは、(1−6C)アルキルエステル、例えばメチル又はエチル;(1−6C)アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル;(1−6C)アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;(3−8C)シクロアルコキシカルボニルオキシ(1−6C)アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソラン−2−イルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル;(1−6C)アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチル;アミノカルボニルメチルエステル及びそのモノ−又はジ−N−((1−6C)アルキル)形、例えばN,N−ジメチルアミノカルボニルメチルエステル及びN−エチルアミノカルボニルメチルエステルなどで、本発明の化合物中のいずれかのカルボキシ基のところで形成されうる。ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のインビボで切断可能なエステルは、例えばヒト又は動物体内で切断されて親ヒドロキシ基を生ずる製剤学的に許容しうるエステルである。ヒドロキシの適切な製剤学的に許容しうるエステルは、(1−6C)アルカノイルエステル、例えばアセチルエステル;及びフェニル基がアミノメチル又はN−置換モノ−もしくはジ−(1−6C)アルキルアミノメチルで置換されていてもよいベンゾイルエステル、例えば4−アミノメチルベンゾイルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノメチルベンゾイルエステルなどである。
【0021】
当業者であれば、式(I)のある化合物は不斉置換炭素及び/又は硫黄原子を含有すること、従って光学活性体及びラセミ体で存在及び単離されうることは分かるであろう。一部の化合物は多形を示しうる。本発明は、DGAT1活性の阻害に有用な性質を有するあらゆるラセミ体、光学活性体、多形又は立体異性体、又はそれらの混合物を包含する。当該技術分野では、光学活性体の製造法(例えば、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、酵素的分割、バイオトランスフォーメーション、又はキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離)、及び以下に記載する標準試験によるDGAT1活性の阻害に関する効果の測定法は周知である。
【0022】
式(I)のある化合物及びその塩は、非溶媒和形のほか溶媒和形、例えば水和形で存在しうることも理解されるはずである。本発明は、DGAT1活性を阻害する全てのそのような溶媒和形も包含することは理解されるはずである。
【0023】
前述のように、我々は良好なDGAT1阻害活性を有する一連の化合物を発見した。それらは一般的に良好な物理的及び/又は薬物動態学的性質も有している。以下の化合物は、好適な製薬学的及び/又は物理的及び/又は薬物動態学的性質を有している。
【0024】
一側面において、カルボキシ基とオキシ連結基はシクロヘキシル環を挟んでシス配置にあり、式(IA)の化合物を与える。
【0025】
【化2】

【0026】
別の側面において、カルボキシ基とオキシ連結基はシクロヘキシル環を挟んでトランス配置にあり、式(IB)の化合物を与える。
【0027】
【化3】

【0028】
本明細書中の以上又は以下における式(I)の化合物への言及は、式(IA)及び(IB)の化合物にも適用されると解釈されるべきである。
本発明の一態様において式(I)、(IA)及び(IB)の化合物が提供され、代替の態様において式(I)、(IA)及び(IB)の化合物の塩、特に製剤学的に許容しうる塩が提供される。更なる態様において式(I)、(IA)及び(IB)の化合物のプロドラッグ、特にインビボで切断可能なエステルが提供される。更なる態様において式(I)、(IA)及び(IB)の化合物のプロドラッグの塩、特に製剤学的に許容しうる塩が提供される。式(I)、(IA)及び(IB)の化合物中の置換基の特別の値は次の通りである。そのような値は、適切な場合、以上又は以下で定義されているいずれかのその他の値、定義、特許請求の範囲又は態様と共に使用できる。
【0029】
1)Rは、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから選ばれる。
2)Rは、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから選ばれる。
【0030】
3)Rは、フルオロ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシ、好ましくはフルオロである。
4)Rは、フルオロ又はクロロ、好ましくはフルオロである。
【0031】
5)Rがシアノの場合、R及びRの少なくとも一つは水素でない。
6)Rは水素又はフルオロである。
7)Rは水素又はフルオロである。
【0032】
8)Rはフルオロであり、R及びRはそれぞれ独立して水素又はフルオロである。
本発明の更なる好適な化合物は実施例の各化合物であり、それぞれが本発明の更なる独立した側面を提供する。更なる側面において、本発明は実施例のいずれか二つ以上の化合物も含む。
【0033】
更なる側面において、本発明は下記のいずれか一つ又は複数、又はその塩を含む。
シス−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]−フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−(4−{[(5−{[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(3−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−(4−{[(5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;及び
トランス−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸。
【発明を実施するための形態】
【0034】
プロセス
式(I)の化合物及びその塩は、化学的に関連した化合物の製造に適用できることが知られているいずれかの方法によって製造できる。そのような方法は、式(I)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩の製造に使用する場合、本発明の更なる特徴として提供される。
【0035】
更なる側面において、本発明は、式(I)の化合物及びその塩が以下のようにプロセスa)〜b)によって製造できることも提供する(全ての可変基(variables)は、特に断りのない限り、式(I)の化合物で先に定義の通りである)。
【0036】
a)式(2)のアミンと式(3)のカルボン酸塩との反応{式中、Rは(1−6C)アルキル(例えばメチル、エチル、イソプロピル及びtert−ブチル)である}の後、R基の加水分解;
【0037】
【化4】

【0038】
b)式(4)(XはS又はOである)の化合物{式中、Rは(1−6C)アルキルである}の化合物の環化の後、R基の加水分解;
【0039】
【化5】

【0040】
その後必要であれば、
1)任意の保護基を除去する;及び/又は
2)塩を形成する。
プロセスa)
式(2)の化合物は、当該技術分野で周知の標準合成法を適用することによって製造できる。特に、式(2)の化合物は式(2A)の化合物の還元によって製造できる。
【0041】
【化6】

【0042】
式(2A)の化合物はスキーム1に図示したとおりSAr化学によって製造できる。スキーム中、Rは(1−6C)アルキル基であり、Xは例えばフルオロである。
【0043】
【化7】

【0044】
式(3)の化合物は、既報の方法(J.Het.Chem.1977,14,1385−1388)を用いて製造される通り、エステル(5a)のアルカリ加水分解によって製造できる。エステル(5a)は、プロセスb)で式(4)の化合物について記載したのと同様にして式(5b)(XはO又はSである)の化合物の環化によって製造できる。
【0045】
【化8】

【0046】
式(5a)の化合物を製造するための代替法を以下に図示する。
【0047】
【化9】

【0048】
式(2)の化合物は式(3)の化合物と、アミド結合を形成するための標準的条件下でカップリングできる。例えば、EDACを用い、所望によりDMAPの存在下、DCM、クロロホルム又はDMFのような適切な溶媒中、室温で実施されるカルボジイミドカップリング反応のような適切なカップリング反応を用いる。
【0049】
R基は、エステル加水分解に関して当該技術分野で公知のいずれかの条件によって除去できる。
プロセスb)
XがSである式(4)及び(5b)の化合物は、アミノカルボニルアシルヒドラジン又はエトキシカルボニルアシルヒドラジンとチオイソシアネート又はチオイソシアネート相当物、例えばアミノチオカルボニルイミダゾールとの、DMF又はMeCNのような適切な溶媒中、0〜100℃の温度での反応によって製造できる。アニリンからのアミノカルボニルアシルヒドラジン及びエトキシカルボニルアシルヒドラジンの製造は当該技術分野で周知である。例えば、アニリンをメチルクロロオキソアセテートと、ピリジンの存在下、DCMのような適切な溶媒中で反応させ、次いでエタノールのような適切な溶媒中0〜100℃の温度でヒドラジンと反応させる。次に、式(4)の化合物は、例えばカルボニルジイミダゾール、又は塩化トシル及び適切な塩基(例えばトリエチルアミン)のような薬剤を用いて、当該技術分野で公知の条件下で環化できる。R基は、エステル加水分解に関して当該技術分野で公知のいずれかの条件によって除去できる。
【0050】
イソ(チオ)シアネートR’−NCX(XはO又はSである)は市販されている、又は酸塩化物R’−NHと例えば(チオ)ホスゲン又は(チオ)ホスゲン相当物との反応の後、適切な塩基(例えばトリエチルアミン)との反応によって製造することができる。
【0051】
本発明の化合物中の様々な環置換基のある種のもの、例えばR、R及びRは、上記プロセスの前又は直後のいずれかに、標準的な芳香族置換反応によって導入又は従来の官能基修飾によって生成でき、それ自体も本発明のプロセス側面に含まれることは理解されるであろう。そのような反応は式(I)の一つの化合物を式(I)の別の化合物に変換できる。そのような反応及び修飾は、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化及び置換基の酸化を含む。そのような方法の試薬及び反応条件は化学分野で周知である。芳香族置換反応の特別の例は、濃硝酸を用いるニトロ基の導入、フリーデル・クラフツ条件下で例えばハロゲン化アシル及びルイス酸(例えば三塩化アルミニウム)を用いるアシル基の導入;フリーデル・クラフツ条件下でハロゲン化アルキル及びルイス酸(例えば三塩化アルミニウム)を用いるアルキル基の導入;及びハロゲン基の導入などである。修飾の特別の例は、ニトロ基のアミノ基への例えばニッケル触媒を用いた接触水素化又は塩酸の存在下で加熱しながら鉄で処理することによる還元;アルキルチオのアルカンスルフィニル又はアルカンスルホニルへの酸化などである。
【0052】
市販されていない場合、上記のような、方法手順に必要な出発物質は、標準的有機化学技術、構造的に類似した公知化合物の合成に類似した技術、上に示した参考文献中に記載又は図示された技術、又は上記手順もしくは実施例に記載の手順に類似した技術から選ばれる手順によって製造できる。読者は、Jerry March及びMichael SmithによるAdvanced Organic Chemistry,第5版,John Wiley & Sons出版,2001をさらに参照すれば、反応条件及び試薬に関する一般的ガイダンスが得られる。
【0053】
式(I)の化合物へのいくつかの中間体も新規であり、これらも本発明の別の独立した側面として提供されることは理解されるであろう。特に、式(4)の化合物は本発明の更なる側面を形成する。さらに、式(I)の化合物のエステル誘導体も本発明の更なる側面を形成する。
【0054】
本明細書中に記載の一部の反応においては化合物中のいずれかの感受性基を保護することが必要/望ましいこともあることも分かるであろう。保護が必要又は望ましい場合は当業者に周知であり、そのような保護に適切な方法も同じく周知である。従来の保護基は標準的慣習に従って使用できる(説明については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991参照)。
【0055】
保護基は、文献に記載されている又は熟練化学者に知られているいずれかの好適な方法によって、問題の保護基の除去の必要に応じて除去できる。そのような方法は、分子内の他所の基に対する妨害を最小限にしながら保護基を効果的に除去できるように選ばれる。
【0056】
従って、反応物が例えばアミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基を含む場合、本明細書中に記載の一部の反応においては該基を保護することが望ましいと思われる。
ヒドロキシ基の適切な保護基の例は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、トリメチルシリルのようなシリル基又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は保護基の選択に応じて必然的に変動する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適切な塩基を用いた加水分解によって除去できる。あるいは、トリメチルシリル又はSEMのようなシリル基は、例えばフッ化物又は酸水溶液によって除去できる。又は、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム担持炭素のような触媒の存在下での水素化によって除去できる。
【0057】
アミノ基の適切な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はtert−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は保護基の選択に応じて必然的に変動する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基又はアルコキシカルボニル基又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適切な塩基を用いた加水分解によって除去できる。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸又はリン酸、又はトリフルオロ酢酸のような適切な酸で処理することによって除去でき、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えばパラジウム担持炭素のような触媒上での水素化によって、又はルイス酸、例えばボロントリス(トリフルオロアセテート)による処理によって除去できる。第一級アミノ基の適切な代替保護基は、例えばフタロイル基で、これはアルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン又は2−ヒドロキシエチルアミンで、又はヒドラジンで処理することによって除去できる。
【0058】
カルボキシ基の適切な保護基は、例えば、エステル化基、例えばメチル又はエチル基(これは、例えば水酸化ナトリウムのような塩基を用いた加水分解によって除去できる)、又は例えばt−ブチル基(これは、例えば酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処理によって除去できる)、又は例えばベンジル基(これは、例えばパラジウム担持炭素のような触媒上での水素化によって除去できる)である。
【0059】
樹脂も保護基として使用できる。
保護基は合成中のいずれかの好適な段階で化学分野で周知の従来技術を用いて除去できる。又は後の反応段階もしくは後処理中に除去してもよい。
【0060】
熟練有機化学者であれば、上記文献、及びそれに添付されている実施例、そして本明細書中の実施例中に含有及び参照されている情報を使用及び適応させて、必要な出発物質、及び生成物を得ることができるであろう。
【0061】
保護基の除去及び製剤学的に許容しうる塩の形成は、標準技術を用いて通常の有機化学者の技能の範囲内である。さらに、これらのステップに関する詳細は本明細書中で先に提供されている。
【0062】
本発明の化合物の光学活性体が必要な場合、光学活性出発物質(例えば適切な反応ステップの不斉誘導によって形成される)を用いて上記手順の一つを実施することによって、又は化合物又は中間体のラセミ体を標準的手順を用いて分割することによって、又はジアステレオ異性体(製造された場合)のクロマトグラフィー分離によって得ることができる。酵素的技術も光学活性化合物及び/又は中間体の製造に有用でありうる。
【0063】
同様に、本発明の化合物の純粋な位置異性体が必要な場合、出発物質として純粋な位置異性体を用いて上記手順の一つを実施することによって、又は、位置異性体又は中間体の混合物を標準的手順を用いて分割することによって得ることができる。
【0064】
本発明の更なる側面に従って、本明細書中で先に定義した式(I)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を、製剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と共に含む医薬組成物も提供する。
【0065】
本発明の組成物は、経口用(例えば錠剤、ロゼンジ、ハード又はソフトキャンディ、水性又は油性懸濁液、エマルジョン、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、又は水性又は油性溶液又は懸濁液として)、吸入投与用(例えば微粉末又は液体エアゾールとして)、吹入投与用(例えば微粉末として)又は非経口投与用(例えば静脈内、皮下、筋肉内投与用の無菌水性又は油性溶液として、又は直腸投与用の坐剤として)に適切な形態を取ることができる。
【0066】
本発明の組成物は、当該技術分野で周知の従来の製薬用賦形剤を用いて従来手順によって得ることができる。従って、経口使用を意図する組成物は、例えば一つ又は複数の着色剤、甘味剤、フレーバー及び/又は保存剤を含有しうる。
【0067】
錠剤用の適切な製剤学的に許容しうる賦形剤は、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムのような不活性希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸のような造粒剤及び崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤;エチル又はプロピル−ヒドロキシベンゾエートのような保存剤、及びアスコルビン酸のような抗酸化剤などである。錠剤は、それらの崩壊及びその後の消化管内での活性成分の吸収を変更、又はそれらの安定性及び/又は外観を改良するためにコーティングされることもされないこともある。いずれの場合も当該技術分野で周知の従来のコーティング剤及び手順が使用される。
【0068】
経口用組成物は、硬質ゼラチンカプセル(その中で活性成分は不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている)の形態でも、軟質ゼラチンカプセル(その中で活性成分は水又は油、例えば落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されている)の形態でもよい。
【0069】
水性懸濁液は一般的に、微粉末形の活性成分を、一つ又は複数の懸濁化剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム;分散剤又は湿潤剤、例えばレシチン又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートと共に含有する。水性懸濁液は、一つ又は複数の保存剤(例えばエチル又はプロピル−ヒドロキシベンゾエート)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)、着色剤、フレーバー、及び/又は甘味剤(例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテーム)を含有することもできる。
【0070】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)中に懸濁化することによって製造できる。油性懸濁液は、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含有してもよい。口当たりの良い経口製剤を提供するために前述のような甘味剤及びフレーバーを添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存できる。
【0071】
水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適切な分散性粉末又は顆粒は、一般的に活性成分を分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び一つ又は複数の保存剤と共に含有する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は上で既述したものによって例示されている。甘味剤、フレーバー及び着色剤のような追加の賦形剤が存在してもよい。
【0072】
本発明の医薬組成物は水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、オリーブ油又は落花生油のような植物油、又は例えば流動パラフィンのような鉱油、又はこれらのいずれかの混合物でありうる。適切な乳化剤は、例えば、天然ガム、例えばアカシアガム又はトラガカントガム、天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されたエステル又は部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであろう。エマルジョンは、甘味剤、フレーバー及び保存剤を含有していてもよい。
【0073】
シロップ及びエリキシルは、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム又はスクロースのような甘味剤と共に製剤化できるが、粘滑剤、保存剤、フレーバー及び/又は着色剤を含有していてもよい。
【0074】
医薬組成物は、無菌の注射用水性又は油性懸濁液の形態を取ることもある。これらは前述の一つ又は複数の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて公知手順に従って製剤化できる。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容しうる希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中溶液であってもよい。
【0075】
吸入投与用の組成物は、活性成分を微粉末固体又は液滴のいずれかを含有するエアゾールとして分配するように調整された従来の加圧エアゾールの形態を取りうる。従来のエアゾール噴射剤、例えば揮発性フッ素化炭化水素又は炭化水素を用いることができ、エアゾール装置は計量された活性成分を分配するように都合よく調整されている。
【0076】
製剤に関する更なる情報について知りたい読者は、Comprehensive Medicinal Chemistryの第5巻25.2章(Corwin Hansch;編集局長),Pergamon Press(1990)参照。
【0077】
一つ又は複数の賦形剤と組み合わせて単一剤形を製造するための活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与経路に応じて必然的に変動することになろう。例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は一般的に、適切及び好都合な量(全組成物の約5〜約98重量%の範囲で変動しうる)の賦形剤と配合された例えば0.5mg〜2gの活性剤を含有することになろう。単一剤形は一般的に約1mg〜約500mgの活性成分を含有することになろう。投与経路及び用法・用量に関する更なる情報を知りたい読者は、Comprehensive Medicinal Chemistryの第5巻25.3章(Corwin Hansch;編集局長),Pergamon Press(1990)参照。
【0078】
本発明の更なる側面に従って、療法によるヒト又は動物の身体の治療法に使用するために本明細書中で先に定義した式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を提供する。
【0079】
我々は、本発明の化合物はDGAT1活性を阻害すること、従って本発明の化合物はそれの持つ血糖降下作用のために興味深いことを見出した。
本発明の更なる特徴は、薬剤として使用するための式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩である。
【0080】
好適には、これはヒトのような温血動物においてDGAT1活性の阻害を生じるための薬剤として使用するための式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩である。
【0081】
特に、これはヒトのような温血動物において糖尿病及び/又は肥満を治療するための薬剤として使用するための式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩である。
【0082】
そこで本発明の更なる側面に従って、ヒトのような温血動物においてDGAT1活性の阻害を生じるのに使用するための薬剤の製造における式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0083】
そこで本発明の更なる側面に従って、ヒトのような温血動物において糖尿病及び/又は肥満を治療するのに使用するための薬剤の製造における式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩の使用を提供する。
【0084】
本発明の更なる側面に従って、ヒトのような温血動物においてDGAT1活性の阻害を生じるのに使用するための、本明細書中で先に定義した式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を製剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0085】
本発明の更なる側面に従って、ヒトのような温血動物において糖尿病及び/又は肥満を治療するのに使用するための、本明細書中で先に定義した式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を製剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0086】
本発明の更なる特徴に従って、DGAT1活性の阻害を、そのような治療を必要とするヒトのような温血動物において生ずるための方法を提供する。該方法は、前記動物に有効量の本明細書中で先に定義した式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を投与することを含む。
【0087】
本発明の更なる特徴に従って、糖尿病及び/又は肥満を、そのような治療を必要とするヒトのような温血動物において治療するための方法を提供する。該方法は、前記動物に有効量の本明細書中で先に定義した式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を投与することを含む。
【0088】
前述のように、特別の病状の治療的又は予防的処置に必要とされる投与量の規模は、治療される宿主、投与経路及び治療される疾患の重症度に応じて必然的に変動するであろう。好ましくは1〜50mg/kgの範囲の日用量が使用される。しかしながら、日用量も治療される宿主、特別の投与経路及び治療される疾患の重症度に応じて必然的に変動するであろう。従って、最適量はいずれか特別の患者を治療する医師によって決定されうる。
【0089】
前述のように、本発明で定義された化合物は、それらのDGAT1活性阻害能のために興味深い。従って、本発明の化合物は、糖尿病、更に詳しくは2型糖尿病(T2DM)及びそれに由来する合併症(例えば網膜症、神経障害及び腎症)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖障害の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、代謝異常症候群、関節炎、骨粗鬆症、肥満及び肥満関連障害(すなわち、末梢血管疾患、(間欠性跛行を含む)、心不全及びある種の心筋症、心筋虚血、脳虚血及び再潅流、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、不妊及び多嚢胞性卵巣症候群を含む)を含む一連の病状の予防、遅延又は治療に有用でありうる。本発明の化合物は、筋衰弱、ニキビのような皮膚疾患、様々な免疫調節性疾患(例えば乾癬)、HIV感染、炎症性腸症候群及び炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎にも有用でありうる。
【0090】
特に、本発明の化合物は、糖尿病及び/又は肥満及び/又は肥満関連障害の予防、遅延又は治療にとって興味深い。一側面において、本発明の化合物は、糖尿病の予防、遅延又は治療に使用される。別の側面において、本発明の化合物は、肥満の予防、遅延又は治療に使用される。さらに別の側面において、本発明の化合物は、肥満関連障害の予防、遅延又は治療に使用される。
【0091】
本明細書中に記載のDGAT1活性の阻害は、単一療法として適用することも、治療される適応症のための一つ又は複数のその他の物質及び/又は治療と組み合わせて適用することもできる。そのような併用療法は、治療の個別成分の同時、順次又は別個投与によって達成できる。同時治療は単一の錠剤でも別の錠剤でもよい。例えば、そのような併用療法は、メタボリックシンドローム[腹部肥満(民族及び性別特異的なカットポイントに対する腹囲によって測定される)と以下のいずれか二つ、すなわち高トリグリセリド血症(>150mg/dl;1.7mmol/l);低HDLc(男性<40mg/dl又は1.03mmol/l及び女性<50mg/dl又は1.29mmol/l)又は低HDL(高密度リポタンパク質)の治療中;高血圧(SBP≧130mmgHg DBP≧85mmHg)又は高血圧の治療中;及び高血糖(空腹時血糖値≧100mg/dl又は5.6mmol/l又は耐糖能異常又は既存糖尿病)と定義される−国際糖尿病連合(International Diabetes Federation)&IAS/NCEPからの情報提供]の治療に有益でありうる。
【0092】
そのような併用療法は以下の主なカテゴリーを含みうる。
1)抗肥満療法、例えば食物摂取、栄養吸収又はエネルギー消費に影響を及ぼすことによって体重減をもたらすようなもの、例えばオルリスタット、シブトラミンなど。
2)インスリン分泌促進薬、例えばスルホニルウレア(例えばグリベンクラミド、グリピジド)、食事グルコース調節薬(例えばレパグリニド、ナテグリニド);
3)インクレチンの作用を改良する薬剤(例えばジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬及びGLP−1アゴニスト);
4)インスリン増感薬、例えばPPARガンマアゴニスト(例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン)、及び複合PPARアルファ及びガンマ活性を有する薬剤;
5)肝グルコースバランスを調節する薬剤(例えばメトホルミン、フルクトース1,6ビスホスファターゼ阻害薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害薬、グルコキナーゼ活性化薬);
6)腸からのグルコース吸収を削減するように設計された薬剤(例えばアカルボース);
7)腎によるグルコースの再吸収を防止する薬剤(SGLT阻害薬);
8)長期高血糖の合併症を治療するために設計された薬剤(例えばアルドースレダクターゼ阻害薬);
9)抗脂質異常症薬、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害薬(例えばスタチン);PPARα−アゴニスト(フィブラート、例えばゲムフィブロジル);胆汁酸抑制薬(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害薬(植物スタノール、合成阻害薬);胆汁酸吸収阻害薬(IBATi)並びにニコチン酸及び類似体(ナイアシン及び徐放製剤);
10)降圧薬、例えばβ−遮断薬(例えばアテノロール、インデラル);ACE阻害薬(例えばリシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン);アンギオテンシン受容体アンタゴニスト(例えばカンデサルタン)、αアンタゴニスト及び利尿薬(例えばフロセミド、ベンズチアジド);
11)鬱血調節薬、例えば抗血栓薬、線維素溶解活性化薬及び抗血小板薬;トロンビンアンタゴニスト;Xa因子阻害薬;VIIa因子阻害薬;抗血小板薬(例えばアスピリン、クロピドグレル);抗凝固薬(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン)及びワルファリン;
12)グルカゴンの作用に拮抗する薬剤;及び
13)抗炎症薬、例えば非ステロイド系抗炎症薬(例えばアスピリン)及びステロイド系抗炎症薬(例えばコルチゾン)。
【0093】
式(I)の化合物及びその製剤学的に許容しうる塩は、治療薬におけるそれらの使用のほか、新規治療薬探求の一環として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウスのような実験動物でDGAT1活性阻害薬の効果を評価するためのインビトロ及びインビボ試験系の開発及び標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0094】
上に示したように、全化合物及びそれらの対応する製薬学的許容塩ともDGAT1の阻害に有用である。式(I)の化合物及びそれらの対応する製剤学的に許容しうる酸付加塩のDGAT1阻害能は、以下の酵素アッセイを用いて示すことができる。
ヒト酵素アッセイ
DGAT1阻害薬を確認するためのインビトロアッセイは、昆虫細胞膜に発現されたヒトDGAT1を酵素源として使用する(Proc.Natl.Acad.Sci.1998,95,13018−13023)。手短に述べると、sf9細胞にヒトDGAT1をコードする配列を含有する組換えバキュロウィルスを感染させ、48時間後に収穫した。細胞を超音波処理によって溶解し、膜を41%のスクロースグラジエント上4℃で1時間、28000rpmで遠心分離することによって単離した。相間の膜フラクションを回収し、洗浄して液体窒素中に保存した。
【0095】
DGAT1活性は、Colemanが報告した方法(Methods in Enzymology 1992,209,98−102)の改変法によってアッセイした。1〜10μMの化合物を、全アッセイ体積200μl中0.4μgの膜タンパク質、5mMのMgCl、及び100μMの1,2ジオレオイル−sn−グリセロールと共に、プラスチックチューブ中でインキュベートした。反応は、14Cオレオイル補酵素A(最終濃度30μM)を添加することによって開始し、室温で30分間インキュベートした。1.5mLの2−プロパノール:ヘプタン:水(80:20:2)を添加して反応を停止した。1mLのヘプタンと0.5mLの0.1M炭酸塩緩衝液pH9.5を加えることによって放射性トリオレイン生成物を有機相中に分離した。DGAT1活性は、上部ヘプタン層の一定分量を液体シンチログラフィーでカウントすることによって定量した。
【0096】
このアッセイを用いると、化合物は一般的にIC50<10mM、好ましくは<1μM、さらに好ましくは<0.1μM、特に<0.05μM、さらに特に<0.01μMの活性を示す。実施例13はIC50=0.017μmを示した。
【0097】
式(I)の化合物及びそれらの対応する製剤学的に許容しうる酸塩のDGAT1阻害能は、以下の全細胞(ホールセル)アッセイ1)及び2)を使用してさらに示すことができる。
1)3T3細胞におけるトリグリセリド合成の測定
マウス脂肪細胞の3T3細胞を新生ウシ血清含有培地中、6ウェルプレートでコンフルエントになるまで培養した。10%ウシ胎仔血清、1μg/mLインスリン、0.25μMデキサメタゾン及び0.5mMイソブチルメチルキサンチンを含有する培地中でインキュベートすることによって細胞の分化を誘導した。48時間後、細胞を10%ウシ胎仔血清及び1μg/mLインスリンを含有する培地中でさらに4〜6日間維持した。実験のために培地を無血清培地に交換し、化合物とプレインキュベートした細胞をDMSO(最終濃度0.1%)中で30分間可溶化した。デノボ(de novo)脂質生成を、0.25mM酢酸ナトリウム+1μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムを各ウェルに添加することによってさらに2時間測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞をリン酸塩緩衝化生理食塩水中で洗浄し、1%ドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。一定分量を取り出し、Lowry法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質評価キット(Perbio)を用いるタンパク質定量に供した。Colemanの方法(Methods in Enzymology 1992,209,98−104)に従って、脂質をヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)混合物、次いで一定分量の水とヘプタンを用いて有機相中に抽出した。有機相を回収し、溶媒を窒素流下で蒸発させた。抽出物をイソヘキサン:酢酸(99:1)中で可溶化し、脂質を順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、Lichrospherジオール−5、4×250mmカラム、イソヘキサン:酢酸(99:1)とイソヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)のグラジエント溶媒系、流速1mL/分を用いて分離した。これはSilversand及びHauxの方法(1997)に準拠する。放射性標識のトリグリセリド画分への取込みを、HPLC装置に接続したRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を用いて分析した。
2)MCF7細胞におけるトリグリセリド合成の測定
ヒト乳房上皮(MCF7)細胞をウシ胎仔血清含有培地中、6ウェルプレートでコンフルエントになるまで培養した。実験のために培地を無血清培地に交換し、化合物とプレインキュベートした細胞をDMSO(最終濃度0.1%)中で30分間可溶化した。デノボ脂質生成を、50μM酢酸ナトリウム+3μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムを各ウェルに添加することによってさらに3時間測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞をリン酸塩緩衝化生理食塩水中で洗浄し、1%ドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。一定分量を取り出し、Lowry法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質評価キット(Perbio)を用いるタンパク質定量に供した。Colemanの方法(Methods in Enzymology 1992,209,98−104)に従って、脂質をヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)混合物、次いで一定分量の水とヘプタンを用いて有機相中に抽出した。有機相を回収し、溶媒を窒素流下で蒸発させた。抽出物をイソヘキサン:酢酸(99:1)中で可溶化し、脂質を順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、Lichrospherジオール−5、4×250mmカラム、イソヘキサン:酢酸(99:1)とイソヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)のグラジエント溶媒系、流速1mL/分を用いて分離した。これはSilversand及びHauxの方法(J.Chromat.B,1997,703,7−14)に準拠する。放射性標識のトリグリセリド画分への取込みを、HPLC装置に接続したRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を用いて分析した。
3)化合物のACAT阻害能は、Billheimer(1985) Methods in Enzymology,111,286−293に記載された酵素アッセイの変法を用いて測定できる。該試験は、試験化合物がコレステロールのエステル化を阻害する能力を、放射性標識オレオイルCoAから形成された放射性標識コレステリルオレエートの量を測定することによって評価する。化合物を10μgの膜タンパク質及び267μMのコレステロールとインキュベートした。37℃で5分間のプレインキュベーション後、14Cオレオイル補酵素A(最終濃度50μM)を添加することによって反応を開始し、37℃でさらに30分間インキュベートした。2−プロパノール:ヘプタン(12:1)を添加して反応を停止した。ヘプタンと1M炭酸塩緩衝液pH9.5を加えることによって放射性コレステリルエステル生成物を有機相中に分離した。ACAT活性は、上部ヘプタン層の一定分量を液体シンチログラフィーでカウントすることによって定量した。
【0098】
化合物のACAT阻害に対するDGAT阻害の選択性は、特定の化合物についてDGAT及びACAT酵素アッセイで得られたIC50値の比として定義できる。例えば、実施例13は130倍の選択性を示した。
【0099】
上記その他の医薬組成物、プロセス、方法、使用及び薬剤製造の特徴には、本明細書中に記載された本発明の化合物の代替及び好適な態様も適用される。
【実施例】
【0100】
次に本発明を以下の実施例によって例示する。実施例中、特に断りのない限り、
(i)温度はセ氏温度(℃)で与えられる;操作は室温又は周囲温度、すなわち18〜25℃の範囲の温度及びアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で実施された;
(ii)有機溶液は無水硫酸マグネシウム上で乾燥された;溶媒の蒸発は回転蒸発器を用い、減圧下(600〜4000Pa;4.5〜30mmHg)、60℃までの浴温で実施された;
(iii)クロマトグラフィーはシリカゲル上フラッシュクロマトグラフィーを意味する;Biotageカートリッジが引用されている場合、これはKP−SIL(登録商標)シリカ、60Å、粒径32〜63mMを含有するカートリッジ(供給元Biotage(Dyax Corp.の事業部門)、1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USA)を意味する;
(iv)一般に、反応過程はTLCによって追跡された;反応時間は例示のためだけに提供される;
(v)収量は例示のためだけに提供され、必ずしも熱心なプロセス開発によって得られうるものではない;より多くの材料が必要な場合は調製を繰り返した;
(vi)提供されている場合、NMRデータ(H)は、主な特徴的プロトンのデルタ値の形態でテトラメチルシラン(TMS)に対するppmで与えられ、300又は400MHz(特に断りのない限り)で過ジュウテリオジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として用いて測定される(特に断りのない限り);ピークの多重度は次のように示される:s、一重線;d、二重線;dd、二重線の二重線(doublet of doublets);dt、三重線の二重線(doublet of triplets);dm、多重線の二重線(doublet of multiplets);t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、ブロード;
(vii)化学記号はそれらの通常の意味を有する;SI単位及び記号が使用される;
(viii)溶媒比は体積:体積(v/v)の用語で与えられている;
(ix)質量スペクトル(MS)(ループ)はHP 1100検出器を備えたMicromass Platform LCで記録した;特に断りのない限り、引用される質量イオンは(MH)である;
(x)LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分析)は、Waters 996 Photodiodeアレイ検出器を備えたWaters 2790 LCとMicromass ZMD MSを含むシステム上で、Phenomenex(登録商標)Gemini 5u C18 110A 50×2mmカラムを用い、流速1.1ml/分で5%の(水/アセトニトリル(1:1)+1%ギ酸)と0〜95%のアセトニトリル(最初の4分間で勾配増加、その残り部分(95〜0%)は水)で溶離して記録した;HPLCリテンションタイムが記録される場合、これらはこのシステムでは特に断りのない限り分で記録され、特に断りのない限り、引用される質量イオンは(MH)である;
(xi)相分離カートリッジのことが記述されている場合、ISOLUTE Phase Separator 70ml カラム(供給元:Argonaut Technologies,New Road,Hengoed,Mid Glamorgan,CF82 8AU,United Kingdom)が使用された;
(xii)SiliCycleカートリッジが引用されている場合、これはUltra Pure Silica Gel(粒径230〜400メッシュ、40〜63um孔径)を含有するカートリッジ(供給元:SiliCycle Chemical Division,1200 Ave St−Jean−Baptiste,Suite 114,Quebec City,Quebec,G2E 5E8,CANADA)を意味する;
(xiii)Isco Companionが引用されている場合、Combiflash companionクロマトグラフィー装置(供給元:ISOC Inc.Address Teledyne ISOC Inc,4700 Superior Street,Lincoln,NE 68504,USA)が使用された;
(xiv)マイクロ波が引用されている場合、これはBiotage Initiator sixty又はSmith Creatorマイクロ波(供給元Biotage(Dyax Corp.の事業部門)、1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USA)を意味する;
(xv)GCMSが引用されている場合、ガスクロマトグラフィー−質量分析の解析が、AOC 20i自動サンプラーを備え、‘GCMSソリューションズ’ソフトウェア、バージョン2.0によって制御されたQP−2010 GC−MSシステム(供給元:Shimadzu,Milton Keynes,MK12 5RE,UK)で実施された;GCカラムは、長さ25m、内径0.32mm、膜厚0.52μmのDB−5MS(供給元:J & W Scientific,Folsom,CA,USA)であった;
(xvi)遠心分離が引用されている場合、これはGenevac EZ−2plus(供給元:Genevac Limited,The Soveriegn Centre,Farthing Road,Ipswich,IP1 5AP,UK)を意味する;
(xvii)キラルクロマトグラフィーが引用されている場合、これは一般的に、20μmのMerck 50mm Chiralpak ADカラム(キラル固定相の供給元:Chiral Technologies Europe,Parc d’Innovation,Bd.Gonthier d’Andernach,67404 Illkirch Cedex,France)を用い、MeCN/2−プロパノール/AcOH(90/10/0.1)を溶離液として用い、流速80mL/分、波長300nm、Gilson分取用HPLC装置(200mlヘッド)を用いて実施される;
(xviii)融点はBuchi 530装置を用いて測定され、未補正である;
(xix)以下又は上記のプロセスセクションで下記略語が使用されうる:
EtO又はエーテル ジエチルエーテル
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
DME 1,2−ジメトキシエタン
MeOH メタノール
EtOH エタノール
O 水
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDCI(EDAC) 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート
EtOAc 酢酸エチル
NaHCO 重炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム
PO リン酸カリウム
PS ポリマー支持
BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
Dppf 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
dba ジベンジリジンアセトン
PS−CDI ポリマー支持カルボニルジイミダゾール
CHCN又はMeCN アセトニトリル
h 時間
min 分
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
NaOH 水酸化ナトリウム
AcOH 酢酸
DMA ジメチルアセトアミド
nBuLi n−ブチルリチウム
MgSO 硫酸マグネシウム
NaSO 硫酸ナトリウム
CDCl ジュウテロクロロホルム
CDOD 過ジュウテリウム化メタノール
Boc tert−ブトキシカルボニル
HCl 塩酸
全ての最終化合物名はACD NAMEコンピュータパッケージを用いて導き出した。
実施例1:シス−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]−フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸
【0101】
【化10】

【0102】
エチルシス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(中間体1、698mg、2.00mmol)を3,4−ジフルオロフェニルイソチオシアネート(411mg、2.40mmol)のDMF(10mL)中撹拌溶液に一度に加え、反応混合物を65℃で30分間撹拌した。EDCI(461mg、2.40mmol)を一度に加え、反応混合物を85℃で3時間加熱した。該混合物を周囲温度に冷却し、水(15mL)を加え、得られた懸濁液をろ過してクリーム状固体を得た。該固体をMeOH(8mL)とTHF(4mL)の混合物中に取り、2NのNaOH水溶液(4mL)を一度に加え、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。2MのHClを添加して反応混合物を酸性化し、得られた沈殿物をろ過し、水(10mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて固体を得た。該固体を還流氷酢酸から再結晶化し、標記化合物を白色固体として得た(428mg、47%)。
1H NMR δ1.60 - 1.86 (m, 8H), 2.32 - 2.42 (m, 1H), 4.51 (s, 1H), 6.96 (d, 2H), 7.31 - 7.38 (m, 1H), 7.49 (q, 1H), 7.66 - 7.75 (m, 3H), 10.97 (s, 1H), 11.27 (s, 1H), 12.12 (s, 1H); MS m/e MH 459。
実施例2:シス−4−(4−{[(5−{[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサゾール−2−yl)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸
【0103】
【化11】

【0104】
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、192mg、4.80mmol)を周囲温度で3−アミノ−5−フルオロベンゾトリフルオリド(430mg、2.40mmol)のDMF(10mL)中撹拌溶液に加えた。5分後、ジ−2−ピリジルチオノカルボネート(557mg、2.40mmol)を一度に加え、撹拌を10分間続けた。エチルシス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(中間体1、698mg、2.00mmol)を反応混合物に一度に加え、65℃で30分間撹拌した。次にEDCI(460mg、2.40mmol)を一度に加え、反応混合物を85℃で3時間加熱した。該混合物を周囲温度に冷却し、水(15mL)を加え、得られた懸濁液をろ過してクリーム状固体を得た。該固体をMeOH(8mL)とTHF(4mL)の混合物中に取り、2NのNaOH水溶液(4mL)を一度に加え、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。2MのHClを添加して反応混合物を酸性化し、得られた沈殿物をろ過し、水(10mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて固体を得た。該固体を還流氷酢酸から再結晶化し、標記化合物を白色固体として得た(448mg、44%)。
1H NMR δ1.59 - 1.87 (m, 8H), 2.31 - 2.43 (m, 1H), 4.51 (s, 1H), 6.96 (d, 2H), 7.37 (d, 1H), 7.69 (d, 2H), 7.73 - 7.82 (m, 2H), 11.01 (s, 1H), 11.69 (s, 1H), 12.11 (s, 1H); MS m/e MH 509。
実施例3〜9
下記化合物を市販のイソチオシアネートを用い、実施例1に記載した方法によって製造した。
【0105】
【化12】

【0106】
【化13】

【0107】
実施例10〜11
下記化合物を市販のアニリンを用い、実施例2に記載した方法によって製造した。
【0108】
【化14】

【0109】
実施例12:トランス−4−(4−{[(5−{[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]−アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸
【0110】
【化15】

【0111】
エチルトランス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(中間体3、698mg、2.00mmol)を4−(ジフルオロメトキシ)フェニルイソチオシアネート(483mg、2.40mmol)のDMF(10mL)中撹拌溶液に一度に加え、反応混合物を65℃で30分間撹拌した。EDCI(461mg、2.40mmol)を一度に加え、反応混合物を85℃で3時間加熱した。該混合物を周囲温度に冷却し、水(15mL)を加え、得られた懸濁液をろ過してクリーム状固体を得た。該固体をMeOH(8mL)とTHF(4mL)の混合物中に取り、2NのNaOH水溶液(4mL)を一度に加え、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。2MのHCl水溶液を添加して反応混合物を酸性化し、得られた沈殿物をろ過し、水(10mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて固体を得た。該固体を還流氷酢酸から再結晶化し、標記化合物を白色固体として得た(392mg、40%)。
1H NMR δ1.31 - 1.59 (m, 4H), 1.87 - 1.99 (m, 2H), 2.01 - 2.11 (m, 2H), 2.20 - 2.31 (m, 1H), 4.23 - 4.33 (m, 1H), 6.94 (d, 2H), 7.17 (t, 1H), 7.24 (d, 2H), 7.63 (d, 2H), 7.70 (d, 2H), 10.94 (s, 1H), 11.08 (s, 1H), 12.07 (s, 1H); MS m/e MH 489。
実施例13〜17
下記化合物を市販のイソチオシアネートを用い、実施例12に記載した方法によって合成した。
【0112】
【化16】

【0113】
【化17】

【0114】
中間体1:エチルシス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
i)エチルシス−4−(4−ニトロフェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0115】
【化18】

【0116】
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、4.39g、109.7mmol)を、エチル4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシレート(18g、104.5mmol)及び1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(11.1mL、109.7mmol)のDMF(200mL)中撹拌溶液に、0℃、窒素雰囲気下で1分間かけて少しずつ加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌した後、周囲温度に温めて2時間撹拌した。次に、水(750mL)及びEtOAc(300mL)を加え、層を分離させた。水性層をEtOAc(2×300mL)で抽出し、合わせた有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮して残渣を得た。粗残渣をカラムクロマトグラフィーにより、イソヘキサン中10〜40%EtOAcのグラジエントを溶離液として用いて精製し、標記化合物を黄色油として得た(6.95g、23.7mmol、23%)。
1H NMR δ 1.15 - 1.23 (m, 3H), 1.65 - 1.90 (m, 8H), 2.45 - 2.54 (m, 1H), 4.08 (q, 2H), 4.72 - 4.79 (m, 1H), 7.16 (d, 2H), 8.18 (d, 2H)。
【0117】
対応するトランス−シクロヘキシル異性体、エチルトランス−4−(4−ニトロフェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(中間体2)も、この反応から白色固体として単離した(5.50g、18%)。
1H NMR (CDCl3) δ1.19 (t, 3H), 1.40 - 1.64 (m, 4H), 2.00 - 2.16 (m, 4H), 2.24 - 2.36 (m, 1H), 4.07 (q, 2H), 4.23 - 4.32 (m, 1H), 6.84 (d, 2H), 8.11 (d, 2H)。
ii)エチルシス−4−(4−アミノフェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0118】
【化19】

【0119】
パラジウム(10wt%)担持炭素(200mg)をエチル4−(4−ニトロフェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(6.95g、23.7mmol)のEtOH(200mL)中溶液に一度に加え、反応混合物を水素雰囲気下、周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物をろ過し、真空下で濃縮して、標記化合物を黄色油として得た(6.24g、100%)。
1H NMR δ1.19 (t, 3H), 1.53 - 1.67 (m, 4H), 1.71 - 1.85 (m, 4H), 2.37 - 2.46 (m, 1H), 4.08 (q, 2H), 4.19 - 4.26 (m, 1H), 4.58 (s, 2H), 6.50 (d, 2H), 6.66 (d, 2H); MS m/e MH 264。
iii)エチルシス−4−(4−{[メトキシ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0120】
【化20】

【0121】
メチルクロロオキソアセテート(2.41mL、26.1mmol)を、エチルシス−4−(4−アミノフェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(6.24g、23.7mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(8.25mL、47.4mmol)のDCM(200mL)中撹拌溶液に2分間かけて滴下添加し、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。水(75mL)を加えて層を分離させた。有機層を塩酸水溶液(1M、75mL)、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(75mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)真空下で濃縮して標記化合物を白色固体として得た(8.23g、100%)。
1H NMR δ1.18 (t, 3H), 1.60 - 1.85 (m, 8H), 2.38 - 2.50 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 4.07 (q, 2H), 4.47 - 4.54 (m, 1H), 6.93 (d, 2H), 7.63 (d, 2H), 10.70 (s, 1H); MS m/e (M-H) 348。
iv)エチルシス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0122】
【化21】

【0123】
ヒドラジン一水和物(2.29mL、47.1mmol)をエチルシス−4−(4−{[メトキシ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(8.23g、23.6mmol)のEtOH(200mL)中撹拌溶液に一度に加え、反応混合物を70℃で1時間撹拌した。周囲温度に冷却後、該混合物をろ過し、エーテル(200mL)で洗浄して標記化合物(中間体1)を白色固体として得た(7.80g、95%)。これをそれ以上精製せずに使用した。
1H NMR δ1.18 (t, 3H), 1.59 - 1.86 (m, 8H), 2.41 - 2.49 (m, 1H), 4.07 (q, 2H), 4.50 (s, 1H), 4.60 (s, 2H), 6.93 (d, 2H), 7.71 (d, 2H), 10.23 (s, 1H), 10.49 (s, 1H)。
中間体3:エチルトランス−4−(4−{[ヒドラジノ(オキソ)アセチル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
【0124】
【化22】

【0125】
中間体3は、中間体1で記載した反応条件を用い、中間体1(i)の反応条件中に記載した中間体2から出発して合成した。
1H NMR δ1.17 (t, 3H), 1.32 - 1.57 (m, 4H), 1.89 - 1.97 (m, 2H), 2.00 - 2.09 (m, 2H), 2.29 - 2.39 (m, 1H), 4.05 (q, 2H), 4.22 - 4.31 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 6.92 (d, 2H), 7.70 (d, 2H), 10.23 (s, 1H), 10.48 (s, 1H); MS m/e MH 350。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、R、R及びRは、水素、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシからそれぞれ独立して選ばれる]の化合物、又はその塩。
【請求項2】
式(IA)
【化2】

の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその塩。
【請求項3】
式(IB)
【化3】

の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその塩。
【請求項4】
が、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩。
【請求項5】
が、フルオロ、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから選ばれる、請求項4に記載の化合物、又はその塩。
【請求項6】
がフルオロである、請求項5に記載の化合物、又はその塩。
【請求項7】
が、水素又はフルオロである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩。
【請求項8】
が、水素又はフルオロである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、又はその塩。
【請求項9】
シス−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]−フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−(4−{[(5−{[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
シス−4−{4−[({5−[(3−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−(4−{[(5−{[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(3−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(4−シアノフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−(4−{[(5−{[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)カルボニル]アミノ}フェノキシ)シクロヘキサンカルボン酸;
トランス−4−{4−[({5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}カルボニル)アミノ]フェノキシ}シクロヘキサンカルボン酸;
又はこれらのいずれかの製剤学的に許容しうる塩から選ばれる、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
薬剤として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩。
【請求項11】
DGAT1活性の阻害を必要とするヒトのような温血動物においてDGAT1活性の阻害を生ずるための方法であって、前記動物に有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項12】
糖尿病及び/又は肥満の治療を必要とするヒトのような温血動物において糖尿病及び/又は肥満を治療するための方法であって、前記動物に有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
ヒトのような温血動物においてDGAT1活性の阻害を生ずるのに使用するための薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩の使用。
【請求項14】
薬剤が、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満の治療に使用するためのものである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその製剤学的に許容しうる塩を製剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と共に含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくはプロドラッグの製造法であって、以下のステップ(すべての可変基は特に断りのない限り式(I)の化合物で先に定義したとおり):
a)式(2)のアミンと式(3)のカルボン酸塩との反応{式中、Rは(1−6C)アルキル(例えばメチル、エチル、イソプロピル及びtert−ブチル)である}の後、R基の加水分解;
【化4】

b)式(4)(XはS又はOである)の化合物{式中、Rは(1−6C)アルキルである}の化合物の環化の後、R基の加水分解;
【化5】

の一つを含み、その後必要であれば、
1)任意の保護基を除去すること;及び/又は
2)塩を形成すること、
を含む前記方法。

【公表番号】特表2009−538892(P2009−538892A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512664(P2009−512664)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001990
【国際公開番号】WO2007/138311
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】