説明

アセチレン吸蔵材料とアセチレン吸蔵容器及び高純度アセチレンの供給装置並びに高純度アセチレンの精製装置

【課題】 アセチレンガスを分解爆発を起こさない低い圧力で大量に貯蔵することのできる金属錯体を提供する。
【解決手段】2価の遷移金属陽イオンと、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸から選択される少なくとも一方を中和して得られる第1配位子と、以下の構造式で表されるピリジン誘導体である第2配位子とをモル比2:2:1となるように水又は水と完全混合する極性有機溶媒中で混合して反応させることにより得られる
化学式:[M(pdc)(ap)]
で表されるアセチレン吸蔵材料。
(Mは2価の遷移金属陽イオン、pdcは2,3−ピリジンジカルボン酸イオン又は2,3−ピラジンジカルボン酸イオン、apはピリジン誘導体、n=1〜3)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチレンを安全に貯蔵するアセチレン吸蔵材料とその吸蔵材料を使用したアセチレン貯蔵容器、その吸蔵材料を使用した高純度アセチレンの供給装置、その吸蔵材料を使用しての高純度アセチレン精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アセチレンを含むガスを貯蔵するものとして、2価の金属イオンと、剛直な骨格の利用端末に前記2価の金属イオンに配位可能な窒素原子を有する2座配位可能な有機配位子と、2,3−ピラジンジカルボン酸とにより構成された有機金属錯体(特許文献1)や、2価の金属イオン、前記金属イオンに配位可能な原子を有する2座配置可能な有機配位子(Ligand)及び2,3−ピラジンジカルボン酸(pyzdc)からなる
化学式:Cu(Ligand)(pyzdc)
で表される三次元構造を有する有機金属錯体(特許文献2)等が知られている。
【特許文献1】特許第3746321号公報
【特許文献2】特開2000−210559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の有機金属錯体では、その結晶構造中に空間を有し、その空間の大きさと構成成分の特性に応じてガス成分を吸着・貯蔵するようにしているが、前記した従来の金属錯体では、アセチレンガスの貯蔵量を充分確保することができないという問題を残していた。
【0004】
本発明は、このような点に着目してなされたもので、アセチレンガスを分解爆発を起こさない低い圧力で大量に貯蔵することのできる金属錯体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、アセチレン吸蔵材料を、2価の遷移金属陽イオンと、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸から選択される少なくとも一方を中和して得られる第1配位子と、以下の構造式で表されるピリジン誘導体である第2配位子とをモル比2:2:1となるように水又は水とメタノールあるいはエタノールの混合溶媒中で混合して反応させることにより得られる
化学式:[M(pdc)(ap)]
で表される金属錯体で構成されることを特徴としている。
(Mは2価の遷移金属陽イオン、pdcは2,3−ピリジンジカルボン酸イオン又は2,3−ピラジンジカルボン酸イオン、apはピリジン誘導体、n=1〜3)

【0006】
また、請求項2に記載の発明は、2価の遷移金属陽イオンとして第二銅の塩を、第1配位子として2,3−ピラジンジカルボン酸(pzdc)を中和して得られる塩を、第2配位子として4−アミノメチルピリジン(4−amp)をそれぞれ用い、これらをモル比2:2:1となるように水中で混合して反応させることにより得られる、
化学式:[Cu(pzdc)(4−amp)]
で表される金属錯体で請求項1に記載されたアセチレン吸蔵材料を構成したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、そのアセチレン吸蔵材料を内部に充填したアセチレンを貯蔵するアセチレン貯蔵容器である。
【0008】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記アセチレン吸蔵材料を内部に充填したアセチレン貯蔵容器と、容器を減圧してアセチレンガスを脱着させる圧力操作機構とで構成した高純度アセチレンガスの供給装置であり、請求項5に記載の発明は前記アセチレン吸蔵材料を吸着分離材として充填した塔と、圧力操作機構と温度操作機構との少なくとも一方とで構成した高純度アセチレンの精製装置である。
【0009】
本発明では、2価の遷移金属陽イオンと、金属に配位結合可能な部位を有する2価の陰イオン2,3−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸から選択される少なくとも一方を中和して得られる第1配位子と、両末端に金属に配位結合可能な部位を有する以下の構造式で表されるピリジン誘導体である第2配位子とでアセチレン吸着に適した細孔を構成しているので、分解爆発を起こさない低い圧力でアセチレンガスを大量に貯蔵することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
2価の遷移金属陽イオンとして塩化銅や硝酸銅等の第二銅の塩を使用し、金属に配位結合可能な部位を有する2価の陰イオンである第1配位子として2,3−ピラジンジカルボン酸を使用し、両末端に金属に配位結合可能な部位を有する電化を持たない第2配位子として非対称な構造の物質である4−アミノメチルピリジン(4−amp)を用いることでより高い貯蔵量と、貯蔵・放出に適した圧力特性とを両立する多孔質金属錯体が得られる。
【0011】
なお、この電化を持たない第2配位子としては、上述の4−アミノメチルピリジン(4−amp)に変えて、4−(2−アミノエチル)ピリジンや4−(3−アミノプロピル)ピリジン等のアミノ基が結合する炭素鎖を2つ以上に増加させたものであってもよい。
【0012】
上述の多孔質金属錯体の合成手順は、まず、各原料を以下のモル比となるように計量する。

【0013】
ついで、第1配位子である2,3−ピラジンジカルボン酸(Hpzdc)を容器内で水に溶解し、炭酸水素ナトリウムを加えて2,3−ピラジンジカルボン酸を中和する。中和後の溶液に第2配位子である4−アミノメチルピリジン(4−amp)を加えて攪拌・混合する。
【0014】
配位子の混合溶液に、硝酸銅水溶液を徐々に滴下する。この硝酸銅水溶液の滴下により、粉末状沈殿が生成し始める。滴下終了後しばらくは攪拌を継続する。沈殿物を吸引濾過して回収する。このとき、吸引しながら水及びアルコール(メタノール又はエタノール)で沈殿物を洗浄した後に風乾して収量を測定する。
【0015】
このとき、2価の遷移金属塩としては、第1〜第3系列の遷移金属元素の2価の陽イオンを含み、対イオンとして金属に2座以上のキレート配位をしない化学種を含むものが望ましく、具体的には、塩化物イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオンなどである。
【0016】
なお、配位子が酸性物質であるときには、他の原料と混合する前に単独の溶液としてから、塩基を加えて中和する。中和後の溶液には金属又は第1・第2配位子と強固な配位結合を形成して目的の多孔質錯体の生成を妨げる可能性のある不純物が含まれないことが望ましい。この点から、中和の際にはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなど)を塩基として用いることが最も望ましい。また、中和後の塩を結晶化して単離精製してもよい。
【0017】
さらに、溶媒としては、水のみではなく、水と完全混合する極性有機溶媒(メタノール・エタノールなどのアルコール、アセトン、N,N´−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン等の極性溶媒)、あるいはそれらを予め混合した溶媒を、各原料の溶解性に応じて適宜用いてもよい。水と分相する有機溶媒は原料物質が均一に混合しないため好ましくない副反応を併発する。
【0018】
そして、混合の順番としては、あらかじめ第1配位子と第2配位子とを混合した溶液を調整し、この混合溶液と金属塩とを反応させることが適切である。単独の配位子と金属塩とを混合することは、それらの組み合わせによっては目的物が得られなくなるため、避けるべきである。
【実施例1】
【0019】
(1) 三角フラスコ中に第1配位子として、0.297g(1.8mmol)の2,3−ピラジンジカルボン酸を水100mLに溶解し、淡褐色の水溶液をえた。
(2) 溶液に0.296g(3.5mmol)の炭酸水素ナトリウムを加え、2,3−ピラジンジカルボン酸を中和した。中和の確認は二酸化炭素の発泡を目視することで行った。
(3) 中和後の溶液に第2配位子として、0.100g(0.9mmol)の4−アミノメチルピリジンを加えて、溶解した。
(4) 配位子の混合溶液を攪拌しながら、第二銅の塩として0.405g(1.7mmol)の硝酸銅三水和物を水100mLに溶解して得られた淡青色水溶液を少量づつ滴下した。滴下を続けると、青色粉末状沈殿が生成した。滴下終了後約1時間攪拌を継続した。
(5) 生成物をブフナー漏斗により吸引濾過することで固液分離して沈殿を回収した。未反応物を除去するために吸引を続けながら水及びアルコール(メタノール又はエタノール)を注いで沈殿を洗浄した。これを風乾し、目的錯体とした。
(6) 25℃において、アセチレン吸着を測定したところ大気圧付近で、錯体1g当たり67mLの吸着量が得られた。
【0020】
前記実施例1で得られた錯体について、元素分析と熱重量分析を行った結果、得られた錯体の組成は、下表に示すように金属と配位子の比がCu:pzdc(第1配位子):4−amp(第2配位子)が1:1:0.5(=2:2:1)でCu1原子あたり水が2分子取り込まれているとして計算した値とよく一致した。

【0021】
また、熱重量分析の結果を図1に示す。この図1から、100℃までに約11.5%の重量減少を示し、この値は、元素分析で水2分子を吸着しているとした値(11.3%)とよく一致した。
【0022】
[比較例1]
(1) 三角フラスコ中に第1配位子として、0.375g(2.27mmol)の2,3−ピラジンジカルボン酸を水100mLに溶解し、淡褐色の水溶液をえた。
(2) 溶液に0.296g(3.5mmol)の炭酸水素ナトリウムを加え、2,3−ピラジンジカルボン酸を中和した。中和の確認は二酸化炭素の発泡を目視することで行った。
(3) 中和後の溶液に第2配位子として、0.100g(0.9mmol)のピラジンを加えて、溶解した。
(4) 配位子の混合溶液を攪拌しながら、第二銅の塩として0.405g(1.7mmol)の硝酸銅三水和物を水100mLに溶解して得られた淡青色水溶液を少量づつ滴下した。滴下を続けると、青色粉末状沈殿が生成した。滴下終了後約1時間攪拌を継続した。
(5) 生成物をブフナー漏斗により吸引濾過することで固液分離して沈殿を回収した。未反応物を除去するために吸引を続けながら水及びアルコール(メタノール又はエタノール)を注いで沈殿を洗浄した。これを風乾し、目的錯体とした。
(6) 25℃において、アセチレン吸着量を測定したところ大気圧付近で、錯体1g当たり42mLの吸着量が得られた。
【0023】
[比較例2]
(1) 三角フラスコ中に第1配位子として、0.468g(2.8mmol)の2,3−ピラジンジカルボン酸を水50mLに溶解し、淡褐色の水溶液をえた。
(2) 溶液に0.470g(5.6mmol)の炭酸水素ナトリウムを加え、2,3−ピラジンジカルボン酸を中和した。中和の確認は二酸化炭素の発泡を目視することで行った。
(3) 中和後の溶液に第2配位子として、0.217g(1.4mmol)の4,4´−ビピリジルをエタノール50mLに溶解したものを加えて混合した。
(4) 配位子の混合溶液を攪拌しながら、第二銅の塩として0.683g(2.8mmol)の硝酸銅三水和物を水100mLに溶解して得られた淡青色水溶液を少量づつ滴下した。滴下を続けると、青色粉末状沈殿が生成した。滴下終了後約1時間攪拌を継続した。
(5) 生成物をブフナー漏斗により吸引濾過することで固液分離して沈殿を回収した。未反応物を除去するために吸引を続けながら水及びアルコール(メタノール又はエタノール)を注いで沈殿を洗浄した。これを風乾し、目的錯体とした。
(6) 25℃において、アセチレン吸着量を測定したところ大気圧付近で、錯体1g当たり58mLの吸着量が得られた。
【0024】
[比較例3]
実施例1と同じ原料を用いて、第2配位子が過剰となるよう、Cu:pzdc(第1配位子):4−amp(第2配位子)のモル比が1:1:2の条件で同様に合成を行った。
(1) 三角フラスコ中に第1配位子として、0.491g(2.9mmol)の2,3−ピラジンジカルボン酸を水100mLに溶解し、淡褐色の水溶液をえた。
(2) 溶液に0.492g(5.9mmol)の炭酸水素ナトリウムを加え、2,3−ピラジンジカルボン酸を中和した。中和の確認は二酸化炭素の発泡を目視することで行った。
(3) 中和後の溶液に第2配位子として、0.631g(5.8mmol)の4−アミノメチルピリジンを加えて、溶解した。
(4) 配位子の混合溶液を攪拌しながら、第二銅の塩として0.703g(2.9mmol)の硝酸銅三水和物の淡青色水溶液を少量づつ滴下した。滴下を続けると、青色粉末状沈殿が生成した。滴下終了後約1時間攪拌を継続した。
(5) 生成物をブフナー漏斗により吸引濾過することで固液分離して沈殿を回収した。未反応物を除去するために吸引を続けながら水及びアルコール(メタノール又はエタノール)を注いで沈殿を洗浄した。これを風乾し収量を測定したところ0.861gであった。
(6) この生成物は真空化で130℃に加熱すると、褐色に変色し、不安定なものであることが確認された。
【0025】
これにより、同じ原料を用いても、第2配位子が過剰量となるようにすると、実施例1とは異なる生成物が得られることを確認した。この生成物は吸着した水分などを除去するための加熱真空脱気中に分解し、ガスの吸着材として使用するには不適当なものであった。
【0026】
実施例1と比較例1及び2での錯体において25℃、大気圧付近でのアセチレン吸着量の測定結果を次表に示す。

この表からも分かるように、実施例1で示す本発明の錯体は、従来技術として例示した比較例1及び2で得られる錯体に比して、15〜59%のアセチレン吸着量の向上が見られる。
【0027】
また、各錯体の圧力と吸着量との関係は、図2に示す通りであった。
【0028】
さらに、実施例1で示す本発明の錯体、及び従来技術として例示した比較例1で得られる錯体について、多孔質材料の表面積・細孔容積・細孔径等の物性を評価する手法として一般的に行われる、液化窒素温度における窒素ガス吸着量を測定した結果を図3に示す。
比較例1の手法で得られた錯体はごく低い圧力から吸着等温線が急激に立ち上がり、直径2nm以下のミクロ孔と呼ばれる細孔を有する多孔質材料に特徴的な挙動を示した。一方、本発明(実施例1)の手法で得られた錯体は、低圧部の立ち上がりのない緩やかな曲線を示した。この等温線は非多孔質である場合に特徴的な挙動である。相対圧力0.8で吸着量が増大するのは、固体表面における窒素の液化によるものである。
これらのことから、本発明(実施例1)の手法で得られた錯体は、アセチレンに対して親和力が高く、アセチレン分子を選択的に吸着する細孔を有することが確認された。
【0029】
さらにまた、図4に示すように吸着量は温度を上げると減少することから、圧力操作に温度操作を加えて効率的にアセチレンの吸脱着を行うことができる。
【0030】
また本発明に係る多孔質金属錯体の別の実施形態として、2価の遷移金属陽イオンと、金属に配位結合可能な部位を有する2価の陰イオンである第1配位子により形成される層状構造を、第2配位子が柱状に連結することにより多孔質構造を形成し、第1配位子に導入した置換基により細孔径を制御することも考えられる。
【0031】
図5は上述の多孔質金属錯体を利用した高純度アセチレン供給装置の一例を示すフロー図を示す。
この高純度アセチレン供給装置は、アセチレン吸着能を有する多孔質金属錯体(1)を充填した容器(2)と、この容器(2)を加熱するヒータ(3)と、この容器(2)に流量調整弁(4)を介して連通接続したダイヤフラム式ドライ真空ポンプ(5)とで構成してある。
【0032】
この高純度アセチレン供給装置では、多孔質金属錯体(1)が内部に充填されている容器(2)内を真空引きして前処理を行い、別途精製した高純度アセチレンガスを容器(2)内の多孔質金属錯体(1)に吸着させ、真空ポンプ(5)を作動させて脱着させることで溶媒蒸気を含まない高純度のアセチレンガスを供給することになる。
【0033】
図6は、多孔質金属錯体を利用した高純度アセチレン精製装置の一例を示すフロー図を示す。
この高純度アセチレン精製装置は、市場に流通している溶解アセチレンから高純度アセチレンを得る場合を示している。
図中符号(6)は溶解アセチレン容器、(7)は活性炭やゼオライト等の吸着剤を充填した水分・溶媒除去塔、(8)は本発明に係る多孔質金属錯体を充填したアセチレン精製塔、(9)はアセチレン精製塔内を減圧し、吸着したガスを他の塔に移送する又は系外に排気するための真空ポンプ、(10)は各精製塔(8)を加熱することで吸着したアセチレンガスを脱離させるためのヒーターである。
【0034】
この高純度アセチレン精製装置では、溶解アセチレンに含まれるアセトンまたはジメチルホルムアミドの溶媒蒸気や水分を、水分・溶媒除去塔(7)で除去することからなる前処理を行い、この前処理済みアセチレンをアセチレン精製塔(8)に導入する。
アセチレン精製塔(8)では、多孔質金属錯体がアセチレンを吸脱着する性質を利用して、圧力スイング法や温度スイング法を用いて精製し、高純度のアセチレンガスを得ることができる。この場合の圧力スイング法としては、あらかじめ吸着ガスを脱離させたアセチレン精製塔(8)に原料ガスを吸着させ、自圧又は真空ポンプの作動で、他塔に移送して再吸着させるという操作を繰り返して、再吸着−脱離を繰り返すことで不純物が除去され精製アセチレンガスを得る。一方温度スイング法による場合は、加温により、吸着したガスを脱離させて圧力を上げ、他塔に移送し再吸着−脱離を繰り返すことで不純物が除去され精製アセチレンガスを得る。
精製工程の効率化のため、これら2つを組み合わせて装置を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】熱重量分析の結果を示すグラフである。
【図2】各錯体の圧力と吸着量との関係を示すグラフである。
【図3】液化窒素温度における窒素ガス吸着量を示すグラフである。
【図4】吸着量と温度との関係を示すグラフである。
【図5】高純度アセチレン供給装置の一例を示すフロー図である。
【図6】高純度アセチレン精製装置の一例を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2価の遷移金属陽イオンと、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸から選択される少なくとも一方を中和して得られる第1配位子と、以下の構造式で表されるピリジン誘導体である第2配位子とをモル比2:2:1となるように水又は水とメタノールあるいはエタノールの混合溶媒中で混合して反応させることにより得られる
化学式:[M(pdc)(ap)]
で表されるアセチレン吸蔵材料。
(Mは2価の遷移金属陽イオン、pdcは2,3−ピリジンジカルボン酸イオン又は2,3−ピラジンジカルボン酸イオン、apはピリジン誘導体、n=1〜3)

【請求項2】
第二銅の塩と、2,3−ピラジンジカルボン酸を中和して得られる塩と、4−アミノメチルピリジンとをモル比2:2:1となるように水中で混合して反応させることにより得られる、
化学式:[Cu(pzdc)(4−amp)]
で表される請求項1に記載のアセチレン吸蔵材料。
(pzdcは2,3−ピラジンジカルボン酸イオン、4−ampは4−アミノメチルピリジン)
【請求項3】
請求項1または2に記載したアセチレン吸蔵材料を内部に充填したアセチレンを貯蔵するアセチレン貯蔵容器。
【請求項4】
請求項1または2に記載したアセチレン吸蔵材料を内部に充填したアセチレン貯蔵容器と、容器を減圧してアセチレンガスを脱着させる圧力操作機構とで構成した高純度アセチレンガスの供給装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載したアセチレン吸蔵材料を吸着分離材として充填した塔と、圧力操作機構と温度操作機構との少なくとも一方とで構成した高純度アセチレンの精製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−13897(P2013−13897A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210390(P2012−210390)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2008−72711(P2008−72711)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000158301)岩谷瓦斯株式会社 (56)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】