説明

アナンシエータ

【課題】シートキーとLEDが実装されるプリント基板との距離を縮めることで視認性を向上させ、ケーブル及びコネクタを備えることなくシートキーとプリント基板とを接続することで超薄型に構成する。
【解決手段】操作キー部2aに対応する位置に導電体2bが形成されたシートキー2と、シートキー2に形成された導電体2bに対向する位置に開接点の導電体3aが形成され、シートキー2と重ねられるプリント基板3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば設備機器を管理するアナンシエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の操作キー部及びこの各操作キー部に対応するLED(Light Emitting Diode)により構成される表示装置を用いて設備機器を管理するアナンシエータは、多くの管理点を一覧表示できる直感的なインターフェースであり、機械式のスイッチを用いたもの(例えば、特許文献1参照)やタッチパネルを用いたものがある。
これらのアナンシエータは、PC(Personal Computer)のLCD(Liquid Crystal Display)等を用いたものよりも簡単な操作端末であるため、PCが普及した現在でも依然として高い需要がある。
【0003】
しかしながら、アナンシエータは、LCDと比較すると表示の表現力に劣り、また、LCDは生産数の拡大と技術進歩により年々低価格化と薄型化が進んでいる。したがって、今後もアナンシエータを提供していくためには、徹底した低コスト化と薄型化が求められている。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されるような機械式のスイッチやタッチパネルを用いたアナンシエータに対して、シートキーを用いることにより薄型に構成したアナンシエータがある(例えば、特許文献2,3参照)。
【0005】
この特許文献2,3に開示されるアナンシエータ100は、図4に示すように、LED101が実装されたプリント基板102上に、導電体103とレジスト(絶縁体)104が形成された複数のシート105及び表面シート106等を重ねることにより複数の操作キー部107aが形成されるシートキー107と、プリント基板102及びシートキー107を収容するフレーム108とを備え、管理者がシートキー107に形成された所望の操作キー部107aを押圧する(図4に示す矢印B)ことにより、操作キー部107aの上下に配置された導電体103が導通してケーブル109・コネクタ110を介してプリント基板102に押圧した場所の接点情報を伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−115091号公報
【特許文献2】特開2003−140809号公報
【特許文献3】特開2005−250759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2,3に開示されるシートキー107を用いたアナンシエータ100においても、図4に示すように、シートキー107とLED101が実装されたプリント基板102との間に、シートキー107を貼り付けるための、フレーム108から突出した平面部108aを設ける必要があるため、LED101とシートキー107の表面との間に距離が生じ、LED101が発光した際の特に斜め方向からの視認性が悪いという課題があった。
また、シートキー107の上下の導電体103が導通することにより出力される信号をプリント基板102に送信するために、ケーブル109及びコネクタ110を設ける必要があるため、アナンシエータ100の薄型化を妨げる要因となっているという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、シートキーとLEDが実装されるプリント基板との距離を縮めることでLEDによる発光の視認性を向上することができ、また、ケーブル及びコネクタを備えることなくシートキーとプリント基板とを接続することで超薄型に構成することができるアナンシエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るアナンシエータは、操作キー部に対応する位置に導電体が形成されたシートキーと、シートキーに形成された導電体に対向する位置に開接点の導電体が形成され、シートキーに重ねられるプリント基板とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上記のように構成したので、操作キーに対応して導電体が形成されたシートとこの導電体の対向する位置に開接点の導電体が形成されたプリント基板とを貼り合わせることで、超薄型で斜め方向からも視認性のよいアナンシエータを構成することができる。また構成要素を削減することによりコストダウンも図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアナンシエータの構成を示す分解斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアナンシエータの構成を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるシートキーの構成を示す分解斜視図である。
【図4】従来のアナンシエータの構成を示す断視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るアナンシエータ1の構成を示す分解斜視図である。図1(a)は表側からの分解斜視図であり、図1(b)は裏側からの分解斜視図である。また、図2はこの発明の実施の形態1に係るアナンシエータ1の構成を示す断面図である。
アナンシエータ1は、図1,2に示すように、シートキー2、プリント基板3及び樹脂フレーム4から構成される。
【0013】
シートキー2は、管理者が管理を行う設備機器の異常等に対応して操作を行うための複数の操作キー部2aが形成されたシート状のスイッチである。図1(b)に示すように、このシートキー2の裏面には、操作キー部2aに対応する位置に導電インク(導電体)2bが印刷により形成されている。また、後述するプリント基板3に実装されたLED3bに対向するシートキー2の位置には、LED3bとの接触を回避し、このLED3bによる光を透過させるための開口部2cが形成されている。また、図2に示すように、操作キー部2aには、各操作キー部2aの名称または機能等が記入されたカードを挿入するためのカードポケット2dが形成されている。
【0014】
プリント基板3は、管理者によるシートキー2に形成された操作キー部2aの押圧に応じて、この押圧された操作キー部2aに対応するLED3bを発光・消光させるものである。図1(a)に示すように、このプリント基板3の表面には、シートキー2に形成された導電インク2bに対向する位置に開接点の導電体3aがパターン印刷により形成され、また、各操作キー部2aに対応してシートキー2側に向けて発光する超薄型(例えば、0.2mm程度)のLED3bが実装されている。このプリント基板3はシートキー2に重ねられ、接着剤等により貼り付けられる。
【0015】
樹脂フレーム4は、シートキー2及びプリント基板3を保持するものである。この樹脂フレーム4の上面には、貼り付けられたシートキー2及びプリント基板3を収容して保持するための収容部4aが形成されている。
【0016】
次に、上記のように構成されるシートキー2の詳細について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1におけるシートキー2の構成を示す分解斜視図である。図3(a)は表側からの分解斜視図であり、図3(b)は裏側からの分解斜視図である。
シートキー2は、図3に示すように、表面シート5、カードスペーサ6、ベースシート7及びレジスト層8から構成される。
【0017】
表面シート5は、アナンシエータ1の名称または機能等が記入されたカードを保持し透かして見せるためのものであり、透明ポリエステル等を印刷によって一部を不透明にすることにより形成されるものである。図3(a)に示すように、この表面シート5には、管理者が管理を行う設備機器等を選択して操作を行うための操作キー部5aが、下部に挿入されるカードに記入された文字を視認することができるように、印刷を行わないことにより透明に形成され、また、プリント基板3に実装されたLED3bに対応する位置に、このLED3bによる光を透過させるための透過部5bが印刷を行わないことにより透明に形成される。
【0018】
カードスペーサ6は、表面シート5に形成された操作キー部5aに対応する位置に、各操作キー部2aの名称または機能等が記入されたカードを挿入するためのスペース6aが形成されるものである。また、プリント基板3に実装されたLED3bに対応する位置には、LED3bとの接触を回避し、このLED3bによる光を透過させるための開口部6bが形成される。
【0019】
ベースシート7は、管理者によりシートキー2に形成された操作キー部2aが押圧された際に、この押圧された操作キー部2aに対応して、プリント基板3に形成された開接点の2つの導電体3aを導通させるものである。図3(b)に示すように、このベースシート7の裏面には、表面シート5に形成された操作キー部5aに対応する位置に導電インク2bが印刷により形成される。また、プリント基板3上に実装されたLED3bに対応する位置には、LED3bとの接触を回避し、このLED3bによる光を透過させるための開口部7aが形成される。
【0020】
レジスト層8は、シートキー2とプリント基板3とを絶縁するためのものでありレジスト(絶縁体)により構成される。このレジスト層8には、ベースシート7に形成された導電インク2bに対応する位置に開口部8aが形成される。また、プリント基板3上に実装されたLED3bに対応する位置には、LED3bとの接触を回避し、このLED3bによる光を透過させるための開口部8bが形成される。
【0021】
シートキー2は、上記のように構成される、表面シート5、カードスペーサ6、ベースシート7及びレジスト層8を順に重ねて、接着剤等により貼り付けることによって構成される。
【0022】
次に、上記のように構成されるアナンシエータ1の動作について説明する。
図2に示すように、設備機器を管理する管理者によって、この設備機器等を操作するために、シートキー2に形成された所望の操作キー部2aが押圧されると(図2に示す矢印A)、この操作キー部2aに対応する導電インク2bによって、プリント基板3に形成された開接点の2つの導電体3aが導電して接点が閉じる。
【0023】
ここで、シートキー2をプリント基板3に直接貼り付けて構成したので、プリント基板3に実装されたLED3bとシートキー2の表面との距離を縮めることができるため、LED3bによる発光の斜め方向からの視認性を向上させることができる。
また、シートキー2の操作キー部2aに対応する位置に導電インク2bを形成し、この導電インク2bに対向する、プリント基板3上の位置に開接点の導電体3aを形成するように構成したので、この導電インク2bにより開接点の2つの導電体3aを導通させることによって、プリント基板3に直接信号を出力させることができるため、シートキー2及びプリント基板3にケーブル及びコネクタを備える必要がなくなり、超薄型に構成することができる。
【0024】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、操作キー部2aに対応する位置に導電インク2bが形成されたシートキー2と、この導電インク2bに対向する位置に開接点の導電体3aが形成されたプリント基板3とを重ねるようにして構成したので、シートキー2とプリント基板3に実装されたLED3bとの距離を縮めることができるため、このLED3bによる発光の視認性を向上することができる。また、シートキー2及びプリント基板3にケーブル及びコネクタを設けることなく、管理者によってシートキー2に形成された操作キー部2aが押圧されることを示す信号をプリント基板3に直接出力させることができるため、超薄型に構成することができ、また、低コスト化を実現することができる。
【0025】
また、従来のアナンシエータでは、シートキーの上下のシートに対向して形成された導電体が導通することにより出力される信号をプリント基板に送信していたが、この発明の実施の形態1に係るアナンシエータ1では、シートキー2のベースシート7に形成された導電インク2bによって、プリント基板3に形成された開接点の導電体3aを導通させることにより信号を出力させる構成とすることで、シートキー2の層の数を減らすことができるため、さらにコストを削減することができる。さらに、シートキー2の部品点数の削減及びケーブル、コネクタの削減により、組み立て工数を削減することができる。
【0026】
なお、この発明の実施の形態1に係るアナンシエータ1では、プリント基板3の表面に超薄型のLED3bを設けるように構成したが、これに限るものではなく、例えば、プリント基板3に開口部を形成して、プリント基板3の裏面に、シートキー2側に照射するLEDを設けるように構成してもよい。
【0027】
また、この発明の実施の形態1におけるシートキー2では、表面シート5、導電インク2bが形成されたベースシート7及びレジストにより構成されるレジスト層8をそれぞれ別に成形して重ねるように構成したが、表面シート5の裏面に導電インク2b及びレジストを直接形成するように構成してもよく、このように構成することで、シートキー2の層の数をさらに減らすことができ、より薄型に構成することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 アナンシエータ
2 シートキー
2a 操作キー部
2b 導電インク(導電体)
2c 開口部
2d カードポケット
3 プリント基板
3a 導電体
3b LED
4 樹脂フレーム
4a 収容部
5 表面シート
5a 操作キー部
5b 透過部
6 カードスペーサ
6a スペース
6b 開口部
7 ベースシート
7a 開口部
8 レジスト層
8a,8b 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器を管理するための操作キー部を有するアナンシエータにおいて、
前記操作キー部に対応する位置に導電体が形成されたシートキーと、
前記シートキーに形成された導電体に対向する位置に開接点の導電体が形成され、前記シートキーに重ねられるプリント基板と
を備えることを特徴とするアナンシエータ。
【請求項2】
前記プリント基板にはLED(Light Emitting Diode)が実装され、
前記シートキーには、前記LEDに対向する位置に開口部が形成される
ことを特徴とする請求項1記載のアナンシエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−60597(P2011−60597A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209385(P2009−209385)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】