説明

アニオンフィルター、アニオンフィルターを用いた電解質体−電極接合体、及びアニオンフィルターを用いた二次電池

【課題】イオン伝導性が向上した二次電池、該二次電池に使用するアニオンフィルター、及び該二次電池に使用しうる電解質体−電極接合体の提供。
【解決手段】金属カチオン及びアニオンを含む電解質体1、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するアニオンフィルター2、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極3、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極4を有し、前記負極3、電解質体1及び正極4がこの順に配置され、前記負極3及び前記正極4が前記電解質体1によって電気化学的に接続され、前記アニオンフィルター2が、前記電解質体1中に、前記負極3及び前記正極4を隔てるように配されたことを特徴とする二次電池10。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、
前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するアニオンフィルター、
前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに
前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を有し、
前記負極、電解質体及び正極がこの順に配置され、前記負極及び前記正極が前記電解質体によって電気化学的に接続され、
前記アニオンフィルターが、前記電解質体中に、前記負極及び前記正極を隔てるように配されたことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記アニオンフィルターは、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、
前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、前記アニオンの透過量が少ないことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記アニオンフィルターは、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、
前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
構造体(A1)と構造体(A2)とが、添加剤の存在下で反応して、ケイ素−酸素結合を形成して連結された材質を有し、
前記構造体(A1)は、下記一般式(A1)で表される、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有するものであり、
前記構造体(A2)は、下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とが反応して、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものであり、
前記添加剤(A3)は、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物である
ことを特徴とするアニオンフィルター。
【化1】

[一般式(A1)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
は炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
、n、n及びnは0又は1であり、「n+n+2」及び「n+n+2」は各々のMの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
【化2】

[一般式(A2a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、Rは炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−Si−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−Si−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
及びn10は0又は1であり、「n+n10+2」はSiの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のR、R及びR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びn10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
【化3】

[一般式(A2b)中、Xは下記一般式(X1)、(X2)、(X3)及び(X4)からなる群より選ばれる1種以上の窒素若しくはリンを含有する基であり、R12はビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Lは単結合、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であり、LはXを構成するY又はR21に結合する。]
【化4】

[一般式(X1)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記R13とR14とが結合して環を形成していても良く、該アルキル基及びシクロアルキル基における1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13〜R15は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している水素原子が1つ以上の炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
(Z)は、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン若しくはフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、酢酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、又はテトラシアノホウ酸イオンである。]
【化5】

[一般式(X2)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R17は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、R16及びR17は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。(Z)は前記一般式(X1)における (Z)と同じである。]
【化6】

[一般式(X3)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R20は炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、前記R18及びR19が結合して環を形成していても良く、前記R19及びR20が結合して環を形成していても良く、R18〜R20は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
【化7】

[一般式(X4)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R21及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、R22は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R21及びR22が結合して環を形成していても良く、前記R22及びR23が結合して環を形成していても良く、R21〜R23は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
【化8】

[一般式(A3a)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R27は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R25及びR26が結合して環を形成していても良く、前記R26及びR27が結合して環を形成していても良く、R24〜R27は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R24、R25及びR26は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
【化9】

[一般式(A3b)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R28は炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R29は炭素数1〜20のアルキリデン基又は炭素数2〜20のアルケニリデン基であり、R30は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R28及びR29が結合して環を形成していても良く、前記R29及びR30が結合して環を形成していても良く、R28〜R30は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R28は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
【請求項5】
電解質体に含まれる金属カチオンとアニオンのうち、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するものであることを特徴とする請求項4に記載のアニオンフィルター。
【請求項6】
電解質体に含まれる金属カチオンとアニオンのうち、前記アニオンの透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないことを特徴とする請求項4又は5に記載のアニオンフィルター。
【請求項7】
酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のアニオンフィルター。
【請求項8】
多孔質基材によって補強されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のアニオンフィルター。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載のアニオンフィルター、
金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、
前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに
前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を有し、
前記負極、電解質体及び正極がこの順に配置され、前記負極及び前記正極が前記電解質体によって電気化学的に接続され、
前記アニオンフィルターは、前記電解質体中に前記負極及び前記正極とを隔てるように配されたことを特徴とする二次電池。
【請求項10】
前記アニオンフィルターよりも負極側の前記電解質体は非水系溶媒を含み、前記アニオンフィルターよりも正極側の前記電解質体は水系溶媒を含むことを特徴とする請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
ゲル状又は固体状の電解質体内に、請求項4〜8のいずれか一項に記載のアニオンフィルターが配され、前記アニオンフィルターの一方の側において正極が前記電解質体に接合し、前記アニオンフィルターの他方の側において負極が前記電解質体に接合されたことを特徴とする電解質体−電極接合体。
【請求項12】
請求項11に記載の電解質体−電極接合体を備えたことを特徴とする二次電池。
【請求項13】
前記電解質体−電極接合体を単位セルとして、前記単位セルを積層及び連結し、複数の単位セルを1つのラミネートセルに組んでなることを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
【請求項14】
前記正極が、充電時に、酸素を発生する材料又は酸化物を分解する材料を含むことを特徴とする請求項9、10、12又は13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記電解質体を構成する金属カチオンが、マグネシウムイオンであることを特徴とする請求項9、10、12、13又は14に記載の二次電池。

【図1】
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【公開番号】特開2013−20797(P2013−20797A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152941(P2011−152941)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】