説明

アニソール類バリア性に優れた包装用材料

【課題】アニソール類バリア性に優れた包装用材料を提供する。
【解決手段】メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、アニソール類バリア性に優れた包装用材料。更に、ポリアミド(A)のガラス転移点Tgが55〜100℃であって、60℃、90%RHにおける2,4,6−トリクロロアニソール透過係数が0.0050g・mm/m2・day以下である特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニソール類バリア性に優れた包装用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
アニソール類とはアニソールおよびその誘導体であり、例えばアニソール、トリクロロアニソール、アニスアルデヒド、アネトールなどがあり、芳香や強烈な臭気を有するものが多い。
【0003】
中でも2,4,6−トリクロロアニソールはカビ臭の原因物質として知られており、その臭気が食品等に移行し、食品等から望ましくない臭気が感じられることがあり、近年問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決し、アニソール類バリア性に優れた包装用材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、アニソール類バリア性に優れた包装用材料が、上記課題を解決することを見出した。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装材料は、アニソール類バリア性に優れたものであり、フィルムやボトル等として利用でき、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の包装用材料は、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、アニソール類バリア性に優れた包装用材料である。
【0008】
本発明で使用するポリアミド(A)は、メタキシリレンジアミンを30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むポリアミドである。ポリアミド(A)はバリア性が良好であり、高湿度下でのガスバリア性も良好である。ポリアミド(A)としては、例えば、メタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と各種ジカルボン酸成分を重縮合することにより得られるポリアミド等が挙げられる。これらのポリアミドは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。ポリアミド(A)は、バリア性能が高く、耐熱性、成形加工性が良好である。ポリアミド(A)は、一種類もしくは複数の樹脂をブレンドして使用することができる。
【0009】
ポリアミド(A)の製造に使用できるメタキシリレンジアミン以外のジアミン成分としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
ポリアミド(A)の製造に使用できるジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類などを例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド(A)を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。
【0012】
本発明で利用できるポリアミド(A)として、たとえば、ポリメタキシリレンイソフタラミド(PA−MXDI)、カプロラクタム/メタキシリレンイソフタラミドコポリマー(PA−6/MXDI)などを例示できる。
【0013】
本発明で好ましく利用できるポリアミド(A)として、上記以外に、メタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とを重縮合することにより得られるポリアミドが挙げられる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示できるが、これら中でもアジピン酸とセバシン酸が好ましい。
【0014】
本発明で好ましく利用できるポリアミド(A)として、メタキシリレンジアミンを30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドを例示できる。
【0015】
このようなポリアミド(A)として、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド等が例示される。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸とセバシン酸との混合物を使用することで耐熱性やガスバリア性、結晶性を任意にコントロールできる。結晶性を低下させたい場合、あるいは非晶状態とする場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)が80/20〜30/70が好ましく、70/30〜40/60がより好ましい。ガスバリア性を重視する場合は、50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。耐熱性を重視する場合は、60/40以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。
【0016】
また、本発明で好ましく利用できるポリアミド(A)として、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドと、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドの混合物を例示できる。メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドと、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドを混合することで、結晶性を維持したまま、耐熱性やガスバリア性を任意にコントロールできる。ガスバリア性を重視する場合は、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド/メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド比が50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。
【0017】
本発明で好ましく利用できるポリアミド(A)として、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上、及びイソフタル酸を1〜30モル%含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドを例示できる。ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を加えることで、成形加工性、耐熱性を向上させることができる。
【0018】
また、ジアミン成分として、メタキシリレンジアミンにパラキシリレンジアミンを加えることで、ポリアミド樹脂(A)の融点やガラス転移点、耐熱性を向上させることができる。パラキシリレンジアミンは、ジアミン成分の70モル%を超えない範囲であれば、任意の割合で添加して耐熱性、バリア性や成型加工性をコントロールすることができる。好適なポリアミド(A)としては、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを含み、メタキシリレンジアミンが30モル%以上であるジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドが例示される。
【0019】
ポリアミド(A)の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、重合条件により製造される。ポリアミドの重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、メタキシリレンジアミンをアジピン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
【0020】
また、ポリアミド(A)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。ポリアミド(A)の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、重合条件により製造される。
【0021】
ポリアミド(A)の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定によるPMMA(ポリメタクリル酸メチル)換算値として、18000〜70000が好ましく、より好ましくは、20000〜50000である。この範囲であると、耐熱性、成形加工性が良好である。
【0022】
ポリアミド(A)の融点は、150〜300℃が好ましい。この範囲であると、押出機中での融解が容易となり、生産性、成形加工性が良好となる。
【0023】
ポリアミド(A)のガラス転移点(Tg)は、55〜100℃が好ましく、より好ましくは60〜100℃、さらに好ましくは70〜100℃である。この範囲であると、耐熱性が良好である。
【0024】
なお、融点、ガラス転移点は、DSC(示差走査熱量測定)法により測定できる。測定には、例えば、島津製作所(株)製DSC−50を用い、サンプル量は約5mgとし、昇温速度は10℃/分の条件で室温から300℃まで加熱して測定することができる。雰囲気ガスは窒素を30ml/minで流した。ガラス転移点としては、いわゆる中点温度(Tgm)を採用した。なお、Tgmとは広く知られているように、DSC曲線において、ガラス状態ならびに過冷却状態(ゴム状態)のベースラインの接線と転移のスロープの接線との交点の中点温度である。
【0025】
ポリアミド(A)には、溶融成形時の加工安定性を高めるため、あるいはポリアミド(A)の着色を防止するためにリン化合物を添加することができる。リン化合物としてはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むリン化合物が好適に使用され、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のリン酸塩、次亜リン酸塩、亜リン酸塩が挙げられるが、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜リン酸塩を使用したものがポリアミドの着色防止効果に特に優れるため好ましく用いられる。ポリアミド(A)中のリン化合物の濃度はリン原子として1〜500ppm、好ましくは1〜350ppm、更に好ましくは1〜200ppmである。
【0026】
本発明の包装用材料は、ポリアミド(A)の60℃、90%RHにおける2,4,6−トリクロロアニソール透過係数が0.0050g・mm/m・day以下であり、好ましくは0.0040以下である。この範囲であると、他の同様の構造を有する化合物であるアニソール類やその置換体などに対するバリア性が良好である。アニソール類として、アニソール、トリクロロアニソール、アニスアルデヒド、アネトールおよびそれらの置換体等が例示できる。
【0027】
本発明の包装用材料は、無機充填材を含んでも良い。無機充填材を用いることによって、成形品の剛性、寸法安定性、加工性などを向上させることができる。
【0028】
本発明の包装用材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、艶消剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤等を加えることができる。
【0029】
また、包装用材料には、目的を損なわない範囲で、ポリアミド(A)以外のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート等の樹脂を一種もしくは複数ブレンドできる。
【0030】
中でも、ポリアミド(A)以外のポリアミドを好ましくブレンドでき、より好ましくは、脂肪族ポリアミド樹脂をブレンドできる。脂肪族ポリアミド樹脂は、成形品の機械物性を改善できることから好ましく用いられる。脂肪族ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612ナイロン666等を単独又は複数以上を使用することができる。
【0031】
本発明の包装用材料は、公知の方法により、フィルム、ボトル等に成形することができる。特に食品保護フィルムとして有用である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
【0033】
(1)アニソール類バリア性
60℃、90%RHの雰囲気下にてISO6179:1998(E)B法に準じてフィルムの2,4,6−トリクロロアニソール透過度を求め、フィルム厚みを考慮し2,4,6−トリクロロアニソール透過係数(g・mm/m・day)を測定した。測定は、2,4,6−トリクロロアニソール約5gをステンレス製カップにいれ、透過面積60mmφとして試験片で封じ2〜3日ごとに重量測定し、減少分を2,4,6−トリクロロアニソール透過量とした。なお、値が低いほどアニソール類バリア性が良好であることを示す。
【0034】
(2)ポリアミドの融点、ガラス転移点
島津製作所(株)製DSC−60を用いて、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。測定条件は、約5mgのサンプルを10℃/minの条件で昇温し、300℃に到達した時点で急冷し、再び10℃/minの条件で昇温した。
【0035】
(3)数平均分子量
東ソー(株)製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値を求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/l溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃にて測定した。また、検量線は標準試料として分子量の異なる6水準のPMMA(ジーエルサイエンス製 Mp=1,140、11,550、52,550、100,000、518,900、1,250,000)をHFIPに溶解させて測定し作成した。
【0036】
<製造例1>
(ポリアミド(A1)の合成)
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油製TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A1)を得た。
ポリアミド(A1)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30000であった。
【0037】
<製造例2>
(ポリアミド(A2)の合成)
アジピン酸(ローディア製)を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とメタキシリレンジアミンのモル比が3:7の混合ジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド(A2)を得た。ポリアミド(A2)の融点は258℃、ガラス転移点は89℃、数平均分子量は25000であった。
【0038】
<製造例3>
(ポリアミド(A3)の合成)
アジピン酸の代わりにセバシン酸を用いた以外は製造例2と同様にして、ポリアミド(A3)を合成した。ポリアミド(A3)の融点は215℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は19000であった。
【0039】
<製造例4>
(ポリアミド(A4)の合成)
アジピン酸とイソフタル酸(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)のモル比が9:1の混合ジカルボン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A4)を得た。
ポリアミド(A4)の融点は226℃、ガラス転移点は94℃、数平均分子量は48000であった。
【0040】
<製造例5>
(ポリアミド(A5)の合成)
セバシン酸の代わりに、セバシン酸とアジピン酸のモル比が4:6の混合ジカルボン酸を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド(A5)を合成した。ポリアミド(A5)の融点は185℃、ガラス転移点は75℃、数平均分子量は35000であった。
【0041】
<実施例1>
アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)を、30mmφのスクリューとTダイを備える二軸押出機にて押出成形し、50μm厚のフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0042】
<実施例2〜7>
ポリアミド(A)を表1記載のものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0043】
<実施例8>
MXナイロン(グレードS6007)とナイロン6(宇部興産製 グレード1024B)をそれぞれ30mmφスクリューを備えた押出機で共押出した後、二軸延伸および熱固定を行い、N6/MXD6/N6=5/5/5μm構成の二軸延伸フィルムを作成した。評価結果を表1に示す。
【0044】
<比較例1>
ポリアミド(A)を表1記載のものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0045】
<比較例2>
ポリアミド(A)のかわりに、市販のLLDPEフィルム(厚み40μm)を用いた。評価結果を表1に示す。
【0046】
尚、表1記載の略号は以下の通りである。
A1:製造例1で得られたポリアミド
A2:製造例2で得られたポリアミド
A3:製造例3で得られたポリアミド
A4:製造例4で得られたポリアミド
A5:製造例5で得られたポリアミド
S6007:アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)、融点は240℃、数平均分子量は45000であった。
N6:ナイロン6(宇部興産製 グレード1024B)
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
【0047】
【表1】

【0048】
以上の実施例で示したように、本発明の包装用材料はアニソール類バリア性に優れ、その工業的価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、アニソール類バリア性に優れた包装用材料。
【請求項2】
ポリアミド(A)のガラス転移点Tgが55〜100℃である請求項1に記載の包装用材料。
【請求項3】
ポリアミド(A)の60℃、90%RHにおける2,4,6−トリクロロアニソール透過係数が0.0050g・mm/m・day以下である請求項1に記載の包装用材料。
【請求項4】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項5】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上、及びイソフタル酸を1〜30モル%含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項6】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを含み、メタキシリレンジアミンが30モル%以上であるジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項7】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項8】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項9】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項10】
ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドと、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドの混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の包装用材料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の包装用材料からなる食品保護フィルム。

【公開番号】特開2011−148945(P2011−148945A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13178(P2010−13178)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】