説明

アマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置

【課題】生産性の高いアマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置を提供する。
【解決手段】アマチュア巻線装置10は、ワーク1を支持する対の支持機11と、各支持機11を巻線ステーションAと待機ステーションBの間で移動するインデックス機70と、支持機11に支持されたワーク1の位置と形状を検出するワーク検出器80と、ワーク1に巻線を施す巻線機30とを備え、巻線ステーションAにて巻線作業が行われている間に、待機ステーションBにてワーク1の搬入、搬出工程とワーク位置出し工程が並行して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアマチュア巻線装置として、特許文献1に、線材をワークのコアに巻回する巻線機を備えるとともに、コアに巻線を施したコイルをスロット内に押し込む手段を備えるものが開示されている。
【特許文献1】特開2000−060084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来のアマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置にあっては、ワークを巻線機にセットした後にワークの回転位置出しを行っていたため、コアに巻線を始めるまでに時間がかかり、アマチュアを製造する作業タクト時間が増大するという問題点があった。
【0004】
また、巻線機にセットされたワークは、スロット内に装着されているインシュレータにズレが生じる可能性があるため、インシュレータが正規位置よりズレたまま巻線が行われると、不良品が発生するという問題点があった。
【0005】
また、この他にも、巻線を施したワークはコイルがスロットからはみ出していたり、コイルエンドの高さが規定以上になったり、コミュテータに対する線材の絡げが不良になる等の異常が生じる可能性がある。このため、ワークを巻線機から外した後の別工程でこれらの異常を検査する必要があり、アマチュアを製造する作業タクト時間が増大するという問題点があった。
【0006】
あるいは、始めからコミュテータとコア間の間隔が正規の寸法になっておらず、この不良のアマチュアに巻線してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、アマチュアを製造する作業タクト時間を削減し、生産性の高いアマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ワークに巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線方法において、ワークを支持する対の支持機と、各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動するインデックス機と、支持機に支持されたワークの位置と形状を検出するワーク検出器と、ワークに巻線を施す巻線機とを用い、巻線ステーションにて行われる巻線機によってワークに巻線を施す巻線工程と、待機ステーションにて行われる巻線を施したワークを支持機から搬出するワーク搬出工程と、新しいワークを支持機に搬入するワーク搬入工程、及びワーク検出器によって検出されるワークの位置に基づいて支持機の所定位置にワークを支持するワーク位置出し工程と、これらの各ステーションでの全工程が終了する毎にインデックス機を作動させて各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動させるインデックス工程と、からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ワークに巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線装置において、ワークを支持する対の支持機と、各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動するインデックス機と、支持機に支持されたワークの位置と形状を検出するワーク検出器と、ワークに巻線を施す巻線機とを備え、巻線ステーションにて巻線機によってワークに巻線を施す一方、この間に待機ステーションにて巻線を施したワークを支持機から搬出し、新しいワークを支持機に搬入し、ワーク検出器によって検出されるワークの位置に基づいて支持機の所定位置にワークを支持し、これらの各ステーションでの全工程が終了する毎にインデックス機を作動させて各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動させる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、巻線ステーションにて巻線作業が行われている間に、待機ステーションにてワークの搬入、搬出工程とワーク位置出し工程が並行して行われることにより、巻線ステーションではワークの位置出しを行う必要がなく、すぐに巻線動作を開始することが可能となり、アマチュアの作業タクト時間を大幅に削減し、生産性を高められる。
【0011】
また、当初から寸法不良のアマチュアを事前に排除するようにして、無駄な巻線作業を行わないようにすることも可能である。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1はモータのアマチュア(多極電機子)を構成するワーク1の斜視図である。ワーク1は、ロータ軸(出力軸)5と、このロータ軸5に設けられるコア2及びコミュテータ(整流子)7と、このコミュテータ7から突出する端子6とを備える。
【0014】
環状のコア2は、複数のティース3が径方向外側に向けて放射状に突出し、各ティース3の間に各スロット4が開口している。各端子6に絡げられる線材が各ティース3に巻回されてアマチュアコイルが形成される。
【0015】
図示しない整流子モータは、コミュテータ7から供給される電流が端子6を介してアマチュアコイルに流れることにより、マグネット(永久磁石)とアマチュアコイルの間に磁力が働き、ロータ軸5を回転駆動する。
【0016】
図2は本発明の実施の形態におけるアマチュア巻線装置10を示す斜視図である。このアマチュア巻線装置10は、ワーク1のコア2に線材8を自動的に巻回しアマチュアを製造するものである。
【0017】
ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、アマチュア巻線装置10の構成について説明する。なお、図2において、矢印は各部の動作方向を示している。
【0018】
巻線ステーションAには、線材8をワーク1のコア2に巻回する対の巻線機30を備える。各巻線機30はコア2を挟むようにしてY軸方向に並んで設けられ、各巻線機30がコア2の各ティース3に対して同時に巻線を行うようになっている。
【0019】
巻線機30のフライヤ31は、回転筒32を介してノズル33が取り付けられる。図示しない線材供給源から供給されるワイヤWは、ヘッド41及び回転筒32のガイド穴(図示せず)を通ってノズル33へと導かれる。
【0020】
フライヤ31を回動させる機構として、フライヤ31はヘッド41に対してY軸回りに回転可能に支持され、このフライヤ31をベルト36及びプーリ34,35を介して回転駆動するフライヤ駆動モータ39を備える。
【0021】
線材8をティース3に案内するセンターフォーマ機構60がフライヤ31とコア2の間に設けられる。このセンターフォーマ機構60はフライヤ31によって巻回される線材8をティース3へと案内するセンターフォーマ61と、このセンターフォーマ61を支持するセンターフォーマ支持軸62と、このセンターフォーマ支持軸62をフライヤ31の中心軸上にて回転可能に支持する図示しない軸受と、センターフォーマ61の回転を止める図示しないセンターフォーマ回転止め機構とを備える。
【0022】
センターフォーマ回転止め機構は、図示しない永久磁石を用いてセンターフォーマ61の回転を止め、巻線作業時にセンターフォーマ61をコア2の外周面に押し当てて固定する。なお、センターフォーマ回転止め機構は、これに限らず、ベルト及びプーリ、あるいは遊星歯車機構等を介してフライヤ31と対向して回転する機構を設け、センターフォーマ61を静止させるようにして、巻線作業時にセンターフォーマ61をコア2から僅かに離しても良い。
【0023】
各巻線機30を三次元方向に移動する移動機構40がそれぞれ設けられる。この移動機構40として、巻線機30を搭載するヘッド41と、ヘッド41をY軸方向に移動可能に支持するYガイド44と、Yガイド44をボールネジ42を介して駆動するモータ43とを備える。これにより、巻線機30がコア2に対してY軸方向に進退させられる。
【0024】
同じく、巻線機30の移動機構40として、Yガイドフレーム97をX軸方向に移動可能に支持するXガイド45と、このXガイド45をボールネジ46を介して駆動するモータ47とを備える。これにより、巻線機30がコア2に対してX軸方に移動させられる。
【0025】
同じく、巻線機30の移動機構40として、Xガイドフレーム38をZ軸方向に移動可能に支持するZガイド48と、このZガイド48をボールネジ49を介して駆動する昇降モータ50とを備える。これにより、巻線機30がコア2に対してZ軸方に昇降させられる。支柱103とZガイド48の間には対のスプリング51が張設され、昇降モータ50の負荷を軽減するようになっている。
【0026】
各巻線機30の間には端子6を覆うコミュテータカバー20と、このコミュテータカバー20を移動するコミュテータカバー移動機構22が設けられる。
【0027】
円筒状のコミュテータカバー20がコミュテータ7を覆った状態で、対の切り欠き部21から各端子6が突出する。
【0028】
コミュテータカバー移動機構22は、コミュテータカバー20を支持する支持部材23と、この支持部材23をZ軸方向に昇降駆動する昇降シリンダ24とを備える。
【0029】
巻線機30には線材8を掴む図示しないクランプと線材8を切断する図示しないカッタが移動可能に設けられている。
【0030】
図3に示すように、アマチュア巻線装置10にはワーク1を支持する対の支持機11と、各支持機11を巻線ステーションAと待機ステーションBの間で移動するインデックス機70が設けられる。
【0031】
支持機11は、架台9に対してZ軸回りに回転可能に支持されるワーク支持台12と、このワーク支持台12をギア53,54を介して回転駆動する割り出しモータ13と、ワーク支持台12上でロータ軸5を掴むように支持するチャック15と、チャック15を開閉駆動するチャックシリンダ14とを備える。
【0032】
支持機11はチャック15をZ軸方向に移動させるチャック移動機構16を備える。このチャック移動機構16は、支持機11が設けられる昇降台18と、この昇降台18を架台9に対してZ軸方向に昇降可能に支持するガイドフレーム17と、この昇降台18を図示しないボールネジ等を介して昇降駆動する昇降モータ19とを備える。ガイドフレーム17の支持部材55と昇降台18の間には対のスプリング52が張設され、昇降モータ19の負荷を軽減するようになっている。
【0033】
インデックス機70は各支持機11を搭載するインデックスアーム71を備え、このインデックスアーム71をZ軸まわりに180°回動して各支持機11を巻線ステーションAと待機ステーションBの間で移動する。
【0034】
各支持機11はインデックスアーム71に吊り下げられるようにして搭載される。インデックスアーム71の下面に支持部材55を介してガイドフレーム17が連結される。
【0035】
インデックスアーム71の両端部には対の開口部72が形成される。各開口部72は各支持機11の回転軸と同軸上に開口する。各支持機11のチャック15及び各チャック15に支持されるワーク1は各開口部72を挿通して昇降するようになっている。
【0036】
インデックスアーム71の中央部にはインデックス軸73が連結され、このインデックス軸73が架台9に対してZ軸まわりに回転可能に支持される。インデックス軸73はインデックスモータ74によって回転駆動される。
【0037】
待機ステーションBにはワーク検出器80が設けられる。このワーク検出器80によって支持機11に支持されたワーク1の取り付け位置とワーク1の形状をそれぞれ検出する。
【0038】
ワーク検出器80は、レーザー検出ユニット81がレーザー光をワーク1に照射しながら昇降し、測定ユニット82がレーザー光の照射状態が変化した箇所を捉えて、コア2のエッジを検出したり、コミュテータ7のエッジを検出することにより、高さ方向または周回転方向の寸法を測定し、インシュレーダーが正しい位置に挿入されているかなどを検出する。
【0039】
また、レーザー検出ユニット81にCCDカメラを搭載し、測定ユニット82に画像処理装置を組み込み、マスター形状との違いにより巻線状態等を検出することもできる。
【0040】
ワーク検出器80をX軸とY軸に移動する移動機構83が設けられる。この移動機構83として、ワーク検出器80を搭載する台座84と、台座84をX軸方向に移動可能に支持するXガイド85と、このXガイド85をボールネジ86を介して駆動するモータ87とを備える。これにより、ワーク検出器80がX軸方に移動させられる。
【0041】
同じく、ワーク検出器80の移動機構83として、Xガイドフレーム100をY軸方向に移動可能に支持するYガイド99と、このYガイド99をボールネジ88を介して駆動するモータ89とを備える。これにより、ワーク検出器80がY軸方向に進退させられる。
【0042】
測定ユニット82はコア2またはアマチュアコイルの下端部の高さa、コア2またはアマチュアコイルの上端部の高さb、コミュテータ7の下端部の高さc、コミュテータ7の上端部の高さdを測定する。
【0043】
測定ユニット82は画像処理をして巻線を施したワーク1の形状を認識し、例えばコア2のスロット4からアマチュアコイルがはみ出しているかどうかを判定する。
【0044】
待機ステーションBにはコイル成形機90が設けられ、このコイル成形機90によってワーク1のアマチュアコイルの形状を自動的に修正する。
【0045】
コイル成形機90は、ワーク1のアマチュアコイルにその半径方向から押し当てられる成形板91と、この成形板91をZ軸方向に移動可能に支持するZガイド92と、この成形板91をボールネジ(図示せず)を介して駆動するモータ93と、Zガイドフレーム102をY軸方向に移動可能に支持するYガイド94と、このYガイド94をボールネジ95を介して駆動するモータ96とを備える。モータ96が作動することにより、成形板91がY軸方向に進退し、ワーク1に押し当てられる。モータ93が作動することにより、コイル成形機90がZ軸方に昇降させられる。
【0046】
コイル成形機90の成形板91は、その先端部がZ軸方向に延び、ワーク1のコア2のスロット4に差し込まれるようになっている。コア2のスロット4からはみ出したアマチュアコイルは成形板91の先端部に押されることにより、スロット4内に収まるように成形される。
【0047】
次に、アマチュア巻線装置10の巻線動作について説明する。
【0048】
(1)ワーク搬入工程
待機ステーションBにある支持機11にワーク1を次の手順で搬入する。
・支持機11のチャック15を開く。
・図示しない搬送機によってワーク1のロータ軸5をチャック15に自動的に挿入する。
・チャック15を閉じ、ロータ軸5を掴むように支持する。
なお、このワーク1のロータ軸5をチャック15に挿入する作業を手動で行っても良い。
【0049】
(2)ワーク位置出し工程
支持機11に支持されたワーク1の高さを次の手順で調節する。
・チャック移動機構16の昇降モータ19を作動させて昇降台18を所定の測定位置に下降させる。
・ワーク検出器80によってコア2の上端部の高さbを測定する。
・ワーク1が架台9に対して所定の高さになるようにチャック移動機構16の昇降モータ19を作動させて昇降台18を昇降し、停止する。
【0050】
(3)巻線前ワーク検査工程
セットされたワーク1の形状等が正常であるか否かを次の手順で検査する。
・ワーク検出器80はコア2の下端部の高さa、コア2の上端部の高さb、コミュテータ7の下端部の高さc、コミュテータ7の上端部の高さdをそれぞれ測定するとともに、予めコア2のスロット4に介装されているインシュレータの有無を確認する。
・測定されたデータa,b,c,dを基にワーク1の形状が正常であり、インシュレータが装着されているか否かを判定する。
・ここでワーク1の形状やインシュレータの装着状態に異常があると判定された場合、アラームを出し、チャック15を開き、図示しない搬送機を介して異常のあるワーク1を所定の回収パレットに搬送する。続いて上記(1)(2)(3)の工程を繰り返し、新たなワーク1をセットする。なお、このワーク1の交換作業は作業者が手動で行っても良い。
・一方、ワーク1の形状が正常であると判定された場合、次のワーク位置出し工程に進む。
【0051】
(4)ワーク位置出し工程
ワーク1を次の手順で所定の回転位置に保持する。
・支持機11の割り出しモータ13を回転作動させ、ワーク検出器80によってコア2のスロット4の端部を検出する。
・検出されるスロット4の端部が所定の回転位置に来るように割り出しモータ13を回転作動させ、停止する。
【0052】
(5)インデックス工程
インデックスモータ74を作動してインデックスアーム71を180°回動させ、停止する。巻線前のワーク1を支持した支持機11を待機ステーションBから巻線ステーションAへと移動する。
【0053】
(6)巻線工程
各巻線機30を次の手順で作動し、ワーク1のコア2に巻線を行う。
・コミュテータカバー20を下降させて端子6を覆い、コミュテータカバー20の切り欠き部21から各端子6が突出させる。
このとき、巻線開始時に所定の端子6が各巻線機30のフライヤ31に対峙し、あらためてワーク1の回転位置を調節する必要がなく、この巻線作業がすぐに開始される。
・各巻線機30のノズル33を各端子6のまわりを移動し、各ノズルから繰り出される線材8をワーク1の各端子6に絡げる作業を行う。
・昇降モータ19を作動させ、ワーク1を所定の巻線位置に上昇させる。
・コミュテータカバー20を上昇させ、各巻線機30のセンタフォーマ61を各ティース3に押し当てる。これにより、ワーク1のコア2は各センタフォーマ61の間に挟持される。
・各巻線機30のフライヤ31を回転し、各ノズルから繰り出される線材8をワーク1の各ティース3に巻回する作業を行う。
・昇降モータ19を作動させ、ワーク1を所定のからげ位置に上昇させ、上記端子6に線材8を絡げる。
・図示しないクランプによって線材8を掴み、端子6からクランプへと延びる線材8を図示しないカッタによって切断する。
・割り出しモータ13を回転作動させ、次に巻線が行われるティース3を各センタフォーマ61に対峙させる。
【0054】
上記動作を繰り返して線材8を端子6に絡げる作業と各ティース3に巻回する作業を繰り返し、ワーク1にアマチュアコイルを形成し、巻線作業を終了する。
【0055】
なお、巻線方法は、単一のティース3毎に線材8を巻回する集中巻きに限らず、複数のティース3に渡って線材8を巻回する分布巻きをしても良い。
【0056】
(7)インデックス工程
インデックスモータ74を作動してインデックスアーム71を180°回動させ、停止する。巻線後のワーク1を支持した支持機11を巻線ステーションAから待機ステーションBへと移動する。
【0057】
(8)巻線成形工程
ワーク検出器80とコイル成形機90を用いて次の手順でワーク1のアマチュアコイルを成形する。
・ワーク検出器80によってレーザー光の照射状態が変化した箇所を捉えてアマチュアコイルコア2のスロット4からはみ出しているコイルはみ出し部を検出する。
・検出されたコイルはみ出し部をコイル成形機90によってスロット4内に押し込む。
【0058】
(9)巻線後ワーク検査工程
ワーク1の形状等が正常であるか否かを次の手順で検査する。
・ワーク検出器80はコイルエンド下端部の高さa、コイルエンド上端部の高さbをそれぞれ測定するとともに、レーザー光の照射状態が変化した箇所を捉えてアマチュアコイルの形状を画像処理し、巻線後のワーク1の寸法、形状に異常があるかどうかを判定する。
【0059】
(10)ワーク搬出工程
待機ステーションBにある支持機11からワーク1を次の手順で搬出する。
・支持機11のチャック15を開く。
・前記巻線後ワーク検査工程にてワーク1の寸法、形状に異常があると判定された場合、アラームを出し、図示しない搬送機を介して異常のあるワーク1を所定の回収パレットに搬送する。なお、このワーク1の搬出作業は作業者が手動で行っても良い。
・一方、前記巻線後ワーク検査工程にてワーク1の寸法、形状に異常が無いと判定された場合、チャック15を開き、図示しない搬送機を介してワーク1を所定のパレットに搬送する。
【0060】
前記した(1)ワーク搬入工程に戻り、続く(2)〜(10)の各工程が繰り返し行われ、新たなワーク1に巻線が順次行われる。
【0061】
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
【0062】
ワーク1に巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線装置10において、ワーク1を支持する対の支持機11と、各支持機11を巻線ステーションAと待機ステーションBの間で移動するインデックス機70と、支持機11に支持されたワーク1の位置と形状を検出するワーク検出器80と、ワーク1に巻線を施す巻線機30とを備え、巻線ステーションAにて巻線機30によってワーク1に巻線を施す一方、待機ステーションBにて巻線を施したワーク1を支持機11から搬出し、新たなワーク1を支持機11に搬入し、ワーク検出器80によって検出されるワーク1の位置に基づいて支持機11の所定位置にワーク1を支持し、これらの各ステーションA,Bでの全工程が終了する毎にインデックス機70を作動させて各支持機11を巻線ステーションAと待機ステーションBの間で移動させる構成としたため、巻線ステーションAにて巻線作業が行われている間に、待機ステーションBにてワーク1の搬入、搬出工程とワーク位置出し工程が並行して行われることにより、巻線ステーションAではワーク1の位置出しを行う必要がなく、すぐに巻線動作を開始することが可能となり、アマチュアの作業タクト時間を大幅に削減し、生産性を高められる。
【0063】
また、巻線ステーションAにてワーク1に巻線を施している間に、待機ステーションBにてワーク検出器80によって検出される巻線される前のワーク1の形状に基づいてワーク1が正常か異常かを検査する巻線前ワーク検査工程が行われるため、待機ステーションBにて異常のあるワーク1を排除し、巻線ステーションAにて正常なワーク1のみに巻線を行うことが可能となり、不良品の発生を未然に防ぎ、製造歩止まりを高められる。
【0064】
さらに、巻線ステーションAにてワーク1に巻線を施している間に、待機ステーションBにてワーク検出器80によって検出される巻線を施したワーク1の形状に基づいてワーク1が正常か異常かを検査する巻線後ワーク検査工程が行われるため、この巻線後ワーク検査工程を別に設けてアマチュアの作業タクト時間を増大することなく、製品の品質向上がはかれる。
【0065】
待機ステーションBにワーク1のコイルはみ出し部をスロット4内に押し込むコイル成形機90を備えたため、巻線ステーションAにてワーク1に巻線を施している間に、待機ステーションBにてワーク検出器80によってワーク1のコイルはみ出し部を検出し、検出されるコイルはみ出し部をコイル成形機90によってスロット4内に押し込む巻線成形工程が行われることにより、アマチュアの作業タクト時間を増大することなく、製造歩止まりを高められる。
【0066】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のアマチュア巻線方法及びアマチュア巻線装置は、例えば等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態を示すワークの斜視図。
【図2】同じく巻線位置の斜視図。
【図3】同じく巻線位置の断面図。
【符号の説明】
【0069】
1 ワーク
2 コア
3 ティース
4 スロット
5 ロータ軸
10 巻線位置
11 支持機
31 巻線機
70 インデックス機
80 ワーク検出器
90 コイル成形機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線方法において、ワークを支持する対の支持機と、各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動するインデックス機と、支持機に支持されたワークの位置と形状を検出するワーク検出器と、ワークに巻線を施す巻線機とを用い、巻線ステーションにて行われる巻線機によってワークに巻線を施す巻線工程と、待機ステーションにて行われる巻線を施したワークを支持機から搬出するワーク搬出工程と、新しいワークを支持機に搬入するワーク搬入工程、及びワーク検出器によって検出されるワークの位置に基づいて支持機の所定位置にワークを支持するワーク位置出し工程と、これらの各ステーションでの全工程が終了する毎にインデックス機を作動させて各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動させるインデックス工程と、からなることを特徴とするアマチュア巻線方法。
【請求項2】
前記待機ステーションにて前記ワーク検出器によって検出される巻線される前のワークの形状に基づいてワークを検査する巻線前ワーク検査工程が行われることを特徴とする請求項1に記載のアマチュア巻線方法。
【請求項3】
前記待機ステーションにて前記ワーク検出器によって検出される巻線を施したワークの形状に基づいてワークを検査する巻線後ワーク検査工程が行われることを特徴とする請求項1または2に記載のアマチュア巻線方法。
【請求項4】
ワークに巻線を施してアマチュアを製造するアマチュア巻線装置において、ワークを支持する対の支持機と、各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動するインデックス機と、支持機に支持されたワークの位置と形状を検出するワーク検出器と、ワークに巻線を施す巻線機とを備え、巻線ステーションにて巻線機によってワークに巻線を施す一方、この間に待機ステーションにて巻線を施したワークを支持機から搬出し、新しいワークを支持機に搬入し、ワーク検出器によって検出されるワークの位置に基づいて支持機の所定位置にワークを支持し、これらの各ステーションでの全工程が終了する毎にインデックス機を作動させて各支持機を巻線ステーションと待機ステーションの間で移動させる構成としたことを特徴とするアマチュア巻線装置。
【請求項5】
前記待機ステーションにてワークに巻線を施したコイルをスロット内に押し込むコイル成形機を備えたことを特徴とする請求項4に記載のアマチュア巻線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−252019(P2007−252019A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67794(P2006−67794)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】