説明

アミノ酸誘導体、その調製方法、およびその治療的使用

本発明は、式(I) R1NH-CH(R2)-CH2-S-S-CH2-C(R3)(R4)-CONH-C(R5)(R6)-COOR7の新規化合物に関する(式中、R1は(アシルオキシ)アルキルカルバメート-C(O)-O-C(R8)(R9)-OC(O)-R10基であり; R2は炭化水素鎖、複素環で置換されているメチレン基であり; R4は水素原子であり、かつR3はフェニル基もしくはベンジル基、ヘテロアリール、複素環で置換されているメチレン基であるか、またはR3およびR4は一緒になって飽和環を形成し; R5およびR6は水素、炭化水素鎖、フェニル基もしくはベンジル基であるか、またはR5およびR6は一緒になって飽和環を形成し; R7は水素、フェニル基またはベンジル基、式CR12(R13)C(O)OR14またはOCR12(R13)OC(O)R14もしくはOCR12(R13)OC(O)OR14の基である)。本発明はまた、薬物としてのこれらの化合物の使用、ならびに該化合物および薬学的に許容される担体を含有する薬学的組成物に関する。本発明はさらに、式(I)の新規化合物の鎮痛効果および抗うつ効果を強化するための、少なくとも1つのカンナビノイド誘導体、および/またはモルヒネもしくはその1つの誘導体、および/またはGaba誘導体の組み合わせ使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続性作用を伴う、ネプリライシンおよびアミノペプチダーゼNの新規混合阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エンケファリン-Tyr-Gly-Gly-Phe-MetおよびTyr-Gly-Gly-Phe-Leu-がμおよびδオピオイド受容体の内因性リガンドであることが知られており、これら受容体の局在(Waksman et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 1523-1527(非特許文献1))および機能は異なるものであり、μ受容体は侵害受容性インパルスの伝達に本質的に関与し、δ受容体は気分、および特にストレスに対する適応挙動の制御に本質的に関与する(Noble and Roques, 2007, Expert Opin. Ther. Targets, 11, 145-159(非特許文献2))、(Jutkiewicz et al., 2006, Eur. J. Pharmacol., 531, 151-159(非特許文献3)で考察)。
【0003】
外因性エンケファリンの脳室内投与は、2つの酵素、すなわちエンケファリンのGly3-Phe4結合を開裂させるネプリライシン(NEP, E.C. 3.4.24.11)およびN末端チロシンを放出するアミノペプチダーゼN (APN, E.C. 3.4.11.2)によるこれらのペプチドの非常に速やかな異化反応を理由として、一過性の鎮痛応答を誘導する(Roques et al., 1993, Pharmacol. Rev. 45, 88-146(非特許文献4)で考察)。
【0004】
内因性エンケファリンをその酵素的分解より完全に保護することでエンケファリンの薬理活性、特に鎮痛活性および抗うつ活性を現す、これら2つの酵素の混合阻害剤が知られている。先行技術に記載の、これらの酵素活性の両方の混合阻害剤は、ヒドロキサメート官能基を有する化合物(FR2518088(特許文献1)およびFR2605004(特許文献2))、アミノホスフィン化合物(FR2755135(特許文献3)およびFR2777780(特許文献4))ならびにアミノ酸誘導体(FR2651229(特許文献5)およびWO2007/048787(特許文献6))である。ヒドロキサメート官能基を有する化合物の場合、脳室内経路を経由する投与後の良好なインビトロおよびインビボ活性が観察され(Eur. J. Pharmacol. 102, (1984), 525-528(非特許文献5); Eur. J. Pharmacol., 165, (1989), 199-207(非特許文献6); Eur. J. Pharmacol., 192, (1991), 253-262(非特許文献7))、関節炎ラットモデルにおける静脈内投与(iv)後でも著しい活性を示すことができた(Brain Research, 497, (1989), 94-101(非特許文献8))。出願FR2651229(特許文献5)に記載のホスフィン誘導体およびアミノ酸誘導体の場合、調査される分子が油、エタノールおよび水の混合物に可溶化している場合に、iv経路を経由する投与後に良好なインビボ活性を示した(J. Med. Chem., 43, (2000), 1398-1408(非特許文献9); J. Med. Chem., 44, (2001), 3523-3530(非特許文献10); J. Pharm. Exp. Ther., 261, (1992), 181-190(非特許文献11))。出願WO2007/048787(特許文献6)に記載のアミノ酸誘導体は、ヒトに対する投与に適合性のある用量での実験動物に対するiv経路および経口経路を経由する投与後に鎮痛特性を示す、水性媒体に可溶性の混合阻害剤である。残念ながら、動物疼痛モデルにおけるこれらの分子は、約10分の最大を伴う短い作用期間(約40分)を有し、15〜30分後には通常の状態に戻り、これは、ヒトにおいて作用期間が同一オーダーである場合、治療的使用において著しいハンディキャップを表すことがある。
【0005】
作用期間とは、薬物に含有される有効成分がその治療効果または予防効果をその作用部位で生成する時間のことであることが想起される。それは次に生物により排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FR2518088
【特許文献2】FR2605004
【特許文献3】FR2755135
【特許文献4】FR2777780
【特許文献5】FR2651229
【特許文献6】WO2007/048787
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Waksman et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 1523-1527
【非特許文献2】Noble and Roques, (2007), Expert Opin. Ther. Targets, 11, 145-159
【非特許文献3】Jutkiewicz et al., (2006), Eur. J. Pharmacol., 531, 151-159
【非特許文献4】Roques et al., (1993), Pharmacol. Rev. 45, 88-146
【非特許文献5】Eur. J. Pharmacol. 102, (1984), 525-528
【非特許文献6】Eur. J. Pharmacol., 165, (1989), 199-207
【非特許文献7】Eur. J. Pharmacol., 192, (1991), 253-262
【非特許文献8】Brain Research, 497, (1989), 94-101
【非特許文献9】J. Med. Chem., 43, (2000), 1398-1408
【非特許文献10】J. Med. Chem., 44, (2001), 3523-3530
【非特許文献11】J. Pharm. Exp. Ther., 261, (1992), 181-190
【発明の概要】
【0008】
上記分子の作用期間を向上させる目的で、その構造の修正を行った。
【0009】
本発明の目的のうち1つは、エンケファリンの分解の原因である両方の酵素活性を一緒に阻害すること、ならびに特にiv経路または経口経路を経由する投与後に中枢および末梢試験においてその薬理特性を発現させることが可能であり、かつ実験動物に対する作用期間が120分以上である、新規水溶性化合物を提供することである。
【0010】
したがって新規化合物は、モルヒネ物質の特性、特に鎮痛、挙動に対する有益な効果(疼痛の情動成分および抗うつ応答の低下)、ならびに末梢(止痢、鎮咳、抗炎症)効果を、その主要な欠点(耐性、身体的および精神的嗜癖、呼吸抑制、便秘、悪心など)を有することなく有する。
【0011】
さらに、末梢成分が重要である炎症痛、神経原性疼痛および神経障害性疼痛、ならびに侵害受容性疼痛は、特に経口経路を経由して投与される本発明の化合物により減少するか、さらには排除され、これは後者がなければ中枢神経系に到達することを強いられる。この非常に興味深いが予期しない結果は、脳に入ることが不可能なアンタゴニスト―メチルナロキソニウム―の使用により以前に示された(Milne R.J. et al. (1990) Neuroscience Lett. 114, 259-264)。これは、本発明の化合物による脳オピオイド受容体の刺激を理由とするすべての効果を、これらの疼痛、特に神経原性疼痛、神経障害性疼痛、神経炎症性疼痛および侵害受容性疼痛に対する該化合物の鎮痛効果を改変することなく、全面的に減少させる。
【0012】
本発明の別の目的は、その抗侵害受容特性について公知であるが高用量で有害な二次的効果を有する化合物と、本発明において特許請求される化合物との間の組み合わせを提案することである。より具体的には、これらの組み合わせは、モルヒネおよびその誘導体、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9 THC)およびその誘導体、ならびにガバペンチンまたはプレガバリンなどのGabaの誘導体に関する。実際、有効用量未満の、本出願において特許請求される化合物のうち1つと上述の鎮痛薬(モルヒネ、Δ9 THC、ガバペンチン)のうち1つとの組み合わせにより得られる抗侵害受容性応答の強力な相乗作用を確認することができた。
【0013】
より具体的には、本発明の目的は、下記式(I)を有する化合物、ならびに該化合物(I)と薬学的に許容される無機塩基または有機塩基との付加塩、およびその異性体の各々、特にその光学異性体(鏡像異性体およびジアステレオ異性体)の各々である:
R1NH-CH(R2)-CH2-S-S-CH2-C(R3)(R4)-CONH-C(R5)(R6)-COOR7
式中、
R1は(アシルオキシ)アルキルカルバメート基−C(O)-O-C(R8)(R9)-OC(O)-R10を表し、ここで
−R8およびR9は互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表すか、または
−R8およびR9は一緒になって5員または6員のシクロアルキルを形成してもよく、
−R10はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表し、
R2
−以下で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖:
※その各々の基においてR11が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素鎖、フェニル基、またはベンジル基を表す、OH、OR11、SH、SR11またはS(O)R11基、
※以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
・1〜5個のハロゲン原子、特にフッ素、
・R11が上記と同一の意味を有するOH、OR11、SH、SR11またはS(O)R11基、
−N-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい窒素原子または硫黄原子をヘテロ原子として有する、5員または6員の芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基を表し、
R4が水素原子を表す場合、R3
−以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
※1〜5個のハロゲン原子、
※R11が上記と同一の意味を有するSR11、S(O)R11またはOR11基、
※1〜6個の炭素原子を有する環状または直鎖状の脂肪族基で一置換または二置換されていてもよいアミノ基、
−ヘテロ原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子である5員または6員のヘテロアリール、
−ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、窒素原子および硫黄原子がN-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい、5員または6員の芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基
を表し、
R4がHとは異なる場合、R3およびR4は一緒になって5員または6員の飽和環を形成し、
R5およびR6は互いに独立して
−水素原子、
−その各々の基においてR11が上記と同一の意味を有するOH、OR11、SHまたはSR11、COOHまたはCOOR11基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖、
−以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
※1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル鎖、
※1〜5個のハロゲン、特にフッ素または臭素、
※R11が上記の定義を有するOH、OR11、SHまたはSR11
を表すか、
あるいは、R5およびR6は一緒になって5員または6員の飽和環を形成し、
R7
−水素原子、
−1〜5個のハロゲン、特にフッ素で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基、
−式CR12(R13)C(O)OR14の基、
−OCR12(R13)OC(O)R14基、
−OCR12(R13)OC(O)OR14
を表し、
R12およびR13は互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表し、
R12およびR13は一緒になって5員または6員のシクロアルキルを形成してもよく、
R14はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表す。
【0014】
分子の「薬物」部分、すなわち式-NH-C*H(R2)-CH2-S-S-CH2-C*(R3)(R4)-CONH-C*(R5)(R6)-COO-の部分では、本発明に係る化合物は多くとも3つの不斉炭素を潜在的に有し、この不斉炭素はアステリスクで示され、(R3)(R4)および(R5)(R6)が不斉なしで環を形成する場合に単一の不斉中心に還元される。これらの中心は光学的に純粋であり、天然アミノ酸のそれと同様の絶対配置、すなわちS配置を有する。「プロドラッグ」部分、すなわち置換基R1およびR7の可能な不斉中心は分割されず、したがってこれらの潜在的な不斉中心は等しくRまたはS配置を有し得る。
【0015】
また、本発明の目的は、薬理学的に許容される有機塩基または無機塩基により得られる、式(I)の化合物の付加塩である。
【0016】
本発明において、「薬学的に許容される」は、一般に安全で、無毒であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないということがなく、かつ獣医学的使用およびヒトでの薬学的使用に許容される、薬学的組成物の調製において有用なものを意味するよう意図されている。
【0017】
さらに、化合物の「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味するよう意図されている。そのような塩は、親化合物に存在する酸プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンで置き換えられるか、または有機塩基もしくは無機塩基に配位する場合に形成される塩を含む。許容される有機塩基はジエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなど、または天然塩基性アミノ酸(例えばリジン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン)もしくは非天然塩基性アミノ酸(プソイドリジンなどの)を含む。許容される無機塩基は水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを特に含む。有利には、酸プロトンは、特に水酸化ナトリウムを使用してNa+イオンで置き換えられる。
【0018】
本発明の範囲内では、「炭化水素鎖」という表現は、直鎖状または分岐状のアルカン、アルケンまたはアルキンを意味する。特に、「飽和炭化水素鎖」という表現は、1〜6個の炭素原子(C1〜C6)または1〜4個の炭素原子(C1〜C4)を含む、直鎖状または分岐状のいずれかのアルキル基を意味する。1〜4個の炭素原子を含むアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、1-メチル-エチル基、1-メチル-プロピル基、2-メチル-プロピル基を挙げることができる。1〜6個の炭素原子を含むアルキル基の例としては、ペンチル基、ヘキシル基、1-メチル-ブチル基、1-メチル-ペンチル基、2-メチル-ブチル基、2-メチル-ペンチル基、3-メチル-ブチル基、3-メチル-ペンチル基、4-メチル-ペンチル基、または1-エチル-プロピル基もしくは1-エチル-ブチル基、2-エチル-ブチル基をさらに挙げることができる。
【0019】
「不飽和炭化水素鎖」という表現は、2〜6個の炭素原子または2〜4個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状のアルケニル基(少なくとも1つの二重結合)、例えばビニル基、アリル基など、またはアルキニル基(少なくとも1つの三重結合)を意味する。
【0020】
「ヘテロアルキル」という用語は、本発明の意味では、1個またはいくつかの例えば硫黄原子、窒素原子または酸素原子などのヘテロ原子を含有する、上記定義の任意の炭化水素鎖を意味する。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、本発明の意味では、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの、3〜7員、特に5員または6員の、飽和または不飽和のいずれかの、但し非芳香族の、任意の炭化水素環を意味する。
【0022】
「シクロヘテロアルキル」という用語は、本発明の意味では、1個または複数の例えば硫黄原子、窒素原子または酸素原子などのヘテロ原子を含有する、5〜7員の、飽和または不飽和のいずれかの、但し非芳香族の、任意の炭化水素環を意味する。
【0023】
「脂肪族基、環式基または直鎖状基」という表現は、上記定義の「炭化水素鎖」または「シクロアルキル」を意味する。
【0024】
「アリール」という用語は、本発明の意味では、互いに縮合可能な5〜10個の炭素原子を有する1つまたは複数の芳香環を意味する。特に、アリール基は、例えばフェニル基またはナフチル基などの単環式基または二環式基であり得る。有利には、アリール基はフェニルである。
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は、本発明の意味では、炭素原子、または1個もしくは複数の例えば硫黄原子、窒素原子もしくは酸素原子などのヘテロ原子である5〜10個の環原子を含む、任意の芳香族基を意味する。本発明に係るヘテロアリールは1つまたは2つの縮合環で形成可能である。ヘテロアリール基の例としてはキノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基、インドリル基、ピリジル基、トリアジニル基、チアゾリル基およびチオフェニル基がある。
【0026】
本発明の範囲内の「アラルキル」という用語は、例えばベンジルまたはフェネチルなどの、アルキル基(上記定義の)に結合しているアリール基(上記定義の)を意味する。
【0027】
本発明の範囲内の「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキル基(上記定義の)に結合しているヘテロアリール基(上記定義の)を意味する。
【0028】
「複素環」という用語は上記定義の「シクロヘテロアルキル」または「ヘテロアリール」を意味する。窒素原子または硫黄原子をヘテロ原子として有する、5個または6個の原子を有する芳香族複素環または飽和複素環の例としては、以下の基を挙げることができるがそれに限定されない: チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、チアジアゾリル、窒素原子および硫黄原子はN-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい。酸素原子をヘテロ原子として有する、5個または6個の原子を有する芳香族複素環または飽和複素環の例としては、以下の基を挙げることができるがそれに限定されない: フリル、ピラニル、イソオキサゾリル、モルホリニル、フラザニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル。
【0029】
本明細書で使用する「ハロゲン」という用語は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびフッ素原子を意味する。
【0030】
R1基は(アシルオキシ)アルキルカルバメート基-C(O)-O-C(R8)(R9)-OC(O)-R10を有利に表し、ここで
−R8およびR9は互いに独立して水素原子またはアルキル基を表し;かつ
−R10はアルキル基、特にイソプロピルを表す。
【0031】
有利には、R2基は、その各々においてR11が上記と同一の意味を有するOR11、SR11またはS(O)R11基で置換されていてもよい、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。さらに有利には、R2は、R11が上記と同一の意味を有し、特にR11が1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖、より有利にはメチル基を表すSR11またはS(O)R11基で置換されている、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0032】
本発明の有利な代替案によれば、R4基は水素原子を表す。有利には、この代替案の範囲内では、R3基は以下を表す:
−ベンジル基またはフェニル基、
−N-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい窒素原子または硫黄原子をヘテロ原子として有する、5個または6個の原子を有する芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基。
【0033】
特に、R4基は水素原子を表し、R3基はベンジル基、あるいは、N-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい窒素原子または硫黄原子をヘテロ原子として有する、5個または6個の原子を有する芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基、さらに有利にはベンジル基を表す。
【0034】
本発明の別の有利な代替案によれば、R4およびR3基は、それらを有する炭素と一緒になって、5員または6員のシクロアルキル、特にシクロペンタンまたはシクロヘキサンを形成する。
【0035】
有利には、R5基は水素原子を表す。
【0036】
有利には、R6基は、水素原子を表すか、または、その各々の基においてR11が上記と同一の意味を有するOH、OR11、SHもしくはSR11、COOHもしくはCOOR11基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子、さらに有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。さらに有利には、R6基は、水素原子を表すか、または、R11が上記と同一の意味を有するOH、SH、COOHもしくはCOOR11基で置換されている、1〜6個の炭素原子、さらに有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0037】
有利には、R7基は以下を表す:
−水素原子、
−フェニル基またはベンジル基、
−1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、
−R12、R13およびR14が上記と同一の意味を有し、特にR12が水素原子を表し、R13およびR14が互いに独立して、メトキシ基で置換されていてもよいC1〜C4アルキル基、またはC5〜C6シクロアルキル基を表す、CR12(R13)O(CO)OR14基。
【0038】
特に、R7基は水素原子またはベンジル基を表す。
【0039】
本発明は特に以下の化合物に関する:
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシカルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル}-3-メチル-スルファニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-[2-(ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピルジスルファニル-メチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシカルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル}-3-メタン-スルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-[2-ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-2[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイル-オキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-スルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-スルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸エステル。
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
【0040】
本発明の有利な代替案によれば、以下の化合物が好ましい:
1-{1-[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピルジスルファニル-メチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-[2-ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
1-{1-2[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル。
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メタン-スルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-スルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタン-カルボニル}-アミノ)-コハク酸エステル。
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸エステル。
【0041】
式(I)の化合物は、ter-ブチルオキシカルボニル基(Boc)によりアミン官能基が保護されているβ-アミノチオール(II)とメルカプトアルカン酸(III)との、メトキシカルボニルスルフェニルクロリドによる縮合により得られる。

【0042】
それにより得られるジスルフィドIVを、標準的ペプチドカップリング条件下で、好ましくはTBTU (O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)の作用により、DIEA (N,N-ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、アミノエステルVとカップリングすることで、化合物VIを得る。

【0043】
化合物VIのBoc基の脱保護をギ酸の作用により行い、それにより形成される化合物VIIをカルバメートVIIIの活性化エステル(R1-O-(p.NO2)PhまたはR1-O-スクシンイミド)上で反応させて式(I)の化合物を得る。

【0044】
Boc-β-アミノチオール(II)は絶対S配置の対応する市販のBoc-α-アミノ酸より3段階で得られ、配置の保持は当業者に周知の方法による(J. Med. Chem., 35, 1992, 1259)。

【0045】
メルカプト-アルカン酸(III)の合成には、R3およびR4基の性質に応じて2つの異なる方法を使用する。
【0046】
R4=Hの場合、化合物(III)を対応するマロン酸より得て、これを当業者に周知の方法(Ber. 57, (1924), 1116)に従ってアクリレート(IX)に変換する。アクリレート(IX)にチオ酢酸を加えることでラセミ誘導体(X)を得て、これを例えばEDCI (1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド)およびDMAP (4-ジメチルアミノピリジン)の存在下でメタノールMeOHと、または塩化チオニルの存在下でメタノールとエステル化する。α-キモトリプシンでの分割により、S配置を有するチオアセテート(XII)を単離することが可能である(Bioorg. Med. Chem. Lett., 3, 1993, 2681)。チオエステルのアルカリ加水分解により化合物(III)を得る。

【0047】
R4≠Hの場合、化合物(III)を対応するカルボン酸(XIII)より得る。後者をTHF(テトラヒドロフラン)中LDA(リチウムジイソプロピルアミド)の存在下、クロロギ酸エチルで処理して化合物(XIV)を得る。(XIV)のカルボン酸官能基を混合酸無水物に変換し、NaBH4でアルコール(XV)に還元する。アルコールをメシレートに活性化した後、チオ酢酸カリウムで置換して(XVI)を得て、これをアルカリ加水分解して(III)を得る。

【0048】
化合物IIIの別の合成経路を酸XIIIより示唆することができる。後者をt-ブチルエステルXVIIに変換し、これをTHF中LDAで処理し、続いてCO2で炭酸化して誘導体XVIIIを得る。次に、XVIIIの酸官能基をアルコールに還元して化合物XIXを得る。反応の順序は前述の合成経路において提案されているものと同一である。

【0049】
本発明の別の目的は、上記定義の化合物、または上記定義の方法により得られる化合物の、薬物としての使用である。また、本発明の目的は、有効成分としての一般式(I)の化合物のうち少なくとも1つ、またはその塩もしくはその塩の水和物のうち1つと、1つまたは複数の不活性支持体または他の薬学的に許容される担体との組み合わせを含有する、薬学的組成物である。
【0050】
これらの化合物は、モルヒネ物質の特性、特に鎮痛、特にその末梢成分(炎症性成分、神経原性成分および神経障害性成分)における鎮痛、特にうつ病および/または不安の場合の、挙動に対する有益な効果を、後者の主要な欠点(耐性、嗜癖、呼吸抑制、便秘など)を有することなく有する。したがって、δ受容体と相互作用する外因性オピオイドアゴニストに対して、本発明に係る混合阻害剤は、てんかん様痙攣または痙攣の引き金を引く危険性を引き起こすことなく抗うつ効果を示し、速やかに作用する(Baamonde A. et al., 1992, Jutkiewicz E.M. et al., 2005)。これらの化合物は侵害受容器で末梢に対して作用する(Stein C. et al. (1993) Lancet 342 321-324 (2003) Nature Med., 9, 119-124)。有利には、経口投与される本発明に係る化合物は、著しい濃度で中枢神経系に浸透することはなく、これは、血液脳関門を横断不可能なアンタゴニスト―メチルナロキソニウム―の予備投与により本発明に係る化合物の鎮痛作用が遮断されるという観察により確認される。
【0051】
したがって、本発明に係る化合物の主な用途は鎮痛、抗うつ薬、および嗜癖の処置の分野である。これらの組成物は、神経炎症性疼痛、神経原性疼痛、神経障害性疼痛および侵害受容性疼痛における強力な鎮痛薬、ならびに抗うつ薬として特に使用可能である。さらに、本発明に係る式(I)の化合物は、経口投与後に、ヒトにおける活性を予測する動物モデルに対する相当に興味深い効果を、以下において示した:
−各種の神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、抗がん薬、抗ウイルス薬(HIV-1)の予備投与、帯状疱疹が引き金を引く神経障害、など;
−痛覚過敏および異痛: 神経障害性および神経炎症性の異痛および痛覚過敏、ホルマリン、カラゲニン、フロイントアジュバントの投与が引き起こす疼痛、坐骨神経の部分的なおよび一側の圧迫、骨髄における腫瘍細胞の投与が生成する痛覚過敏および異痛、など。
【0052】
鎮痛薬とは、感覚または意識の消失を引き起こすことなく疼痛を軽減または抑制する薬物を意味する。
【0053】
要約すれば、本発明は、過度の侵害受容性刺激による疼痛に対応するだけでなく、例えばシグナルの形態での生理学的役割をもはや有さないが真に病理的および慢性的なものになった神経障害性疼痛または神経原性疼痛にも対応する、症状を処置することを目的とする。
【0054】
式(I)の化合物の作用に対して潜在的に感受性がある神経障害性および神経原性の慢性痛としては、外傷起源(例えば腕神経叢)、代謝起源(例えば糖尿病、アルコール性神経障害)、感染起源(例えば帯状疱疹、疱疹)、毒性起源(例えばヒ素、鉛)、浸潤起源(がん疼痛)または先天起源、神経根障害(例えば腰背もしくは子宮頸部)起源、神経痛(三叉神経)起源の神経病変より生じる末梢神経障害または中枢神経障害の疼痛; 幻肢痛; 非炎症性関節痛(例えば関節症); 線維筋痛症; 脊椎痛; 術後痛; 医薬品による疼痛(例えば抗腫瘍薬、抗ウイルス薬による)を非限定的な例として挙げることができる。
【0055】
本発明に係る化合物は、中枢神経系の炎症性疾患である多発性硬化症の処置にも使用可能である。
【0056】
非常に興味深いことに、本発明に係る化合物は、特に120分以上、より有利には150分以上、さらに有利には180分以上の長い作用期間を有する。
【0057】
本発明に係る薬学的組成物は、例としては、経口、経鼻(エアロゾルによる投与)、舌下(経舌拡散による投与)、直腸、非経口、静脈内および経皮経路を経由して投与可能な組成物であり得る。経口投与可能な組成物の例としては、錠剤、ゼラチンカプセル剤、顆粒剤、細粒、散剤、および経口溶液剤または懸濁液剤を挙げることができる。
【0058】
やはり非常に興味深いことに、本発明に係る化合物は、経口投与に特に好適であることが証明された。
【0059】
したがって、この投与経路は、中枢神経系に浸透することなく本発明に係る組成物の作用を可能にする。これは、脳および/または脊髄におけるオピオイド受容体の活性化により生じるすべての望ましくない効果の抑制について特に興味深い。中枢神経系に対して望ましくない効果を示すことがある、例えば天然カンナビノイドまたは合成誘導体などの相補化合物を組成物が含む場合にも、このことは当てはまる。これはまた、組成物の成分の脳バイオアベイラビリティの増加を可能にする。
【0060】
本発明の有利な代替案によれば、式(I)の化合物をカンナビノイドとの組み合わせで使用する。
【0061】
本発明の意味では、「カンナビノイド」という表現は、Δ9 THC、CB1受容体の合成アゴニスト、またはアナンダミドの分解の阻害剤を意味する。本発明に係る組成物に導入されるカンナビノイドは、好ましくはΔ9 THCである。
【0062】
また、本発明の目的は、本発明に係る新規化合物とモルヒネまたはその誘導体の1つとの組み合わせである。
【0063】
また、本発明の目的は、より具体的には、本発明に係る新規化合物とガバペンチンまたはプレガバリンなどのGabaの誘導体との組み合わせである。
【0064】
また、本発明の目的は、少なくとも1つの上記定義の式(I)の化合物、少なくとも
−1つのカンナビノイド誘導体、特にΔ9 THC、もしくはその代謝の保護物質(Piomelli et al., TIPS, 2000を参照)、および/または
−モルヒネもしくはその誘導体の1つ、および/または
−ガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGabaの誘導体、
ならびに薬学的に適切な賦形剤、特に経口、経鼻、静脈内もしくは経皮経路を経由する投与に適切な賦形剤を含む、薬学的組成物である。
【0065】
本発明はまた、上記定義の式(I)の化合物の鎮痛および/または抗うつ効果を可能にするための、薬学的組成物中でのカンナビノイド、特にΔ9 THCの少なくとも1つの誘導体、および/またはモルヒネもしくはその誘導体の1つ、および/またはガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGabaの誘導体の使用に関する。
【0066】
本発明はまた、うつ病および疼痛、特に急性疼痛、炎症性疼痛、神経原性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛、異痛の処置を目的とする薬物を調製するための、少なくとも1つの上記定義の式(I)の化合物とカンナビノイド、特にΔ9 THCの少なくとも1つの誘導体、および/またはモルヒネもしくはその誘導体の1つ、および/またはガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGabaの誘導体との組み合わせの使用に関する。
【0067】
本発明の別の目的は、以下を含む、同時使用のため、個別使用のため、または時間を分けて使用するための組み合わせ物としての、薬学的組成物である。
i) 少なくとも1つの上記定義の式(I)の化合物、
ii) カンナビノイドの少なくとも1つの誘導体、および/または
iii) モルヒネもしくはその誘導体の1つ、および/または
iv) ガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGabaの少なくとも1つの誘導体。
【0068】
本発明の化合物の有効量は、例えば選択される投与経路、体重、年齢、性別、処置される病理の進行段階、および処置される個人の感受性などの多くのパラメータに従って変動する。したがって、この分野の専門家が関連性があると推定するパラメータに応じて最適投与量を決定しなければならない。
【0069】
また、本発明の目的は、上記で言及した疾患のいずれかを処置するための方法であって、そのような処置を必要とする患者において、本発明に係る化合物のうち少なくとも1つ、またはこれらの化合物のうち少なくとも1つを含む組成物を投与する段階を含む方法である。本発明に係る化合物は、この方法において、単独で、または特に上記に記載の化合物のうち少なくとも1つとの組み合わせで使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
すべての図において、統計分析(p、スチューデント検定)を以下のように示す。
★ p < 0.1対対照
★★ p < 0.01対対照
★★★ p < 0.001対対照
【0071】
【図1】媒体(□)または本発明に係る化合物(■)の経口投与後の、足を舐める回数(乾燥舌舐めずり:dry licking)対時間(分)。横軸: 分単位の時間; 縦軸: 乾燥舌舐めずりの回数。1A: 実施例6の化合物; 1B: 実施例8の化合物; 1C: 実施例10の化合物; 1D: 実施例12の化合物; 1E: 実施例14の化合物; 1F: 実施例16の化合物。
【図2】媒体(□)または本発明に係る化合物もしくは参照化合物(■)の経口投与後の、足を舐める回数(乾燥舌舐めずり)対時間(分)。横軸: 分単位の時間; 縦軸: 乾燥舌舐めずりの回数。2A: 実施例6の化合物; 2B: 出願WO2007/048787の化合物15。
【図3】神経障害性疼痛モデル: 坐骨神経の部分結紮(マウス)。担体(□)または実施例10の化合物(■)の経口投与が生成する応答: 足の引っ込め(秒単位)対時間(分単位)。化合物10: 50mg/kg。担体: EtOH/0.5%メチルセルロース(1.5/98.5)。試験は術後14日目に行う; 同側の足。横軸: 分単位の時間、縦軸: 秒単位の足の引っ込め。足底試験: 熱痛覚過敏の評価。対側の足の平均: 90分での化合物10 = 8.3秒。
【図4】フォンフライ試験: 担体(□)または実施例10の化合物(■)の経口投与後のフォンフライ圧力(g)対時間(分)。化合物10: 50mg/kg。担体: EtOH/0.5%メチルセルロース(1.5/98.5)。横軸: 分単位の時間、縦軸: グラム単位のフォンフライ圧力。試験は術後14日目に行う。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0072】
以下の実施例により、決して限定されることなく、本発明をさらに説明する。調製される化合物のリストを表1に示す。これらの実施例6、8、10、12、14、16、19および22に記載のすべての化合物に関する。
【0073】
※R1はC(O)-O-CH(CH3)-OC(O)-iPr基を表す。
※R6は水素原子を表す。
【0074】
(表1)実施例の基

【0075】
実施例1:
tert-ブチル(1-メルカプトメチル-3-メチルスルファニル-プロピル)-カルバミン酸エステルの合成
J. Med.Chem., 35, 1992, 2473に記載の手順に従ってこの化合物を調製する。白色固体; 融点37℃; Rf(シクロヘキサン(CHex)/酢酸エチル(AcOEt)) 1/1 =0.73)。

【0076】
実施例2:
(2S)-2-ベンジル-3-メルカプト-プロパン酸の合成
工程1:
対応する酸のエステル化により得られるメチル3-アセチルスルファニル-2-ベンジル-プロパン酸エステルを、Bioorg. Med. Chem. Lett., 3, (1993), 2681に記載の手順に従ってα-キモトリプシンで処理する。収率71%; 鏡像体過剰率ee 88% αD20℃ -42.7°。
【0077】
工程2:
(2S)-2-ベンジル-3-メルカプト-プロパン酸
工程1の化合物を脱気メタノールに0℃で溶解させる。不活性雰囲気下で、NaOH(ソーダ)1N 3当量を加え、混合物を室温で30分間攪拌する。混合物をHCl 6Nで酸性化し、MeOHを減圧蒸発させる。水相をEtOAcで抽出する。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発乾固させる。黄色油状物が得られる。定量的収率。

【0078】
実施例3:
2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル)-3-フェニル-プロパン酸の合成
MeOH 23mLとTHF 23mLとの混合物を窒素下0℃で冷却し、クロロカルボニルスルフェニルクロリド(1.3mL、1.1当量)を加える。混合物を0℃で15分間攪拌してメトキシカルボニルスルフェニルクロリドを得る。THF 16mL中の実施例1の化合物(1.06当量)を一度に加える。混合物を室温に下げ、30分間攪拌する。実施例2の化合物(1当量)の脱気CHCl3 100mL溶液にこの溶液をEt3N (1当量)の存在下で滴下する。混合物を室温で1時間攪拌後、溶媒を蒸発乾固させる。残渣をCH2Cl2に取り込み、有機相を10%クエン酸溶液、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。濾過および蒸発乾固後、淡黄色油状物が得られ、これをそのまま後続の反応に使用する。収率98%

【0079】
実施例4:
1-エトキシカルボニルオキシ-エチルアミノ-酢酸エステルトリフルオロアセテートの合成
Boc-Gly (4.88g)およびEt3N(トリエチルアミン)(4.65mL、1.2当量)を酢酸エチル25mLに溶解させる。炭酸エチル-1-クロロエチル(Barcelo et al., Synthesis, 1986, 627に従って調製)(4.68g、1.1当量)およびNaI (1.64g、0.4当量)を加え、混合物を16時間還流させる。析出物を濾過し、酢酸エチル15mLおよび水20mLを濾液に加える。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出する。収集した有機相を10%クエン酸溶液、10% NaHCO3溶液、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。橙色油状物7.8gが得られる。収率95%。Rf (cヘキサン/AcOEt: 8/2) 0.40。
【0080】
工程1の油状物をCH2Cl2 24mLおよびTFA 21.3mLに溶解させる。室温で1時間攪拌後、反応混合物を蒸発乾固させる。得られた黄色油状物をエーテル/ヘキサン混合物に取り込む。形成された析出物をエーテル/ヘキサン混合物で3回洗浄後、乾燥させる。白色固体7.2g(収率85%)

【0081】
実施例5:
1-エトキシカルボニルオキシ-エチル[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル)-3-フェニル-プロピオニルアミノ]-酢酸エステル
実施例3の化合物(2g)、実施例4の化合物(1.47g、1.1当量)、TBTU (1.62g、2当量)およびDIEA (2.57ml)をDMF 20mLに可溶化させる。混合物を室温で15分間攪拌後、DMFを減圧蒸発させる。残渣を酢酸エチルに取り込み、有機相を10%クエン酸溶液、10% NaHCO3溶液および飽和NaCl溶液で洗浄する。溶液をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。粗生成物をシリカカラム(cヘキサン/AcOEt: 6/4)上で精製する。白色固体2.06g(収率75%)
HPLC Kromasil C18 (CH3CN (0.1% TFA) 70%/H2O (0.1% TFA) 30%) Rt=11.2分. Mass (M+H)+=631.
【0082】
実施例6:
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシ-カルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニル-メチル}-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル
実施例5の化合物(1.7g)をギ酸17mLに可溶化させ、混合物を室温で2時間攪拌する。ギ酸を減圧蒸発させ、残渣をシクロヘキサンで3回取り込み、蒸発乾固させる。黄色油状物1.5g(収率97%)。
【0083】
得られたホルメートをCH2Cl2 20mLおよびDIEA 2.4mL (5当量)に可溶化させる。1-(2,5-ジオキソ-シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル1.15g (1.5当量)を加え、混合物を室温で1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで取り込む。有機相を水、10%クエン酸溶液、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥後、濾過し、蒸発乾固させる。
Kromasil Cl8カラム(CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 70/30)上での半分取HPLCによる精製。白色固体0.96g(収率50%)

【0084】
実施例7:
ベンジル[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル)-3-フェニル-プロピオニル-アミノ]-酢酸エステル
実施例3の化合物(4g)およびAPTSの塩としてのグリシンベンジルエステル(4.55g、1.5当量)をDMF (20mL)に溶解させる。TBTU (3.43g、1.2当量)およびDIEA (5mL)を加える。混合物を室温で15分間攪拌する。次に実施例5に記載の手順に従って反応混合物を処理する。白色固体が得られる。5.3g(収率99%) Mass (M+H)+ =593.

【0085】
実施例8:
1-{1-[2-(ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル]-3-メチルスルファニル-プロピル-カルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル
実施例7の化合物(724mg)をTFA 5mLおよびCH2Cl2 5mLに可溶化させる。混合物を0℃で3時間攪拌する。反応混合物を減圧蒸発させ、残渣を水で取り込み、凍結乾燥させる。白色固体720mg(収率97%) Mass (M+H)+ 607.
HPLC (Kromasil C18, (CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1 %TFA): 50/50) Rt=6.2 分
【0086】
得られたトリフルオロアセテート(720mg)をCH2Cl2 10mLに可溶化させる。DIEA (1mL、5当量)、次に1-(2,5-ジオキソ-シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル500mg (1.5当量)を加え、混合物を室温で1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチルで取り込む。有機相を水、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。濾過および蒸発乾固後、Kromasil Cl8カラムCH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 70/30上での半分取HPLCにより精製された油状化合物が得られる。白色固体390mg(収率48.5%)。Mass (M+H)+=651.

【0087】
実施例9:
tert-ブチル[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル)-3-フェニル-プロピオニル-アミノ]-酢酸エステル
実施例3の化合物(1g)およびグリシンtert-ブチルエステル(563mg、1.5当量)を、TBTU (857mg、1.2当量)およびDIEA (1.24mL)の存在下でDMF 5mLに溶解させる。混合物を室温で15分間撹拌後、反応混合物を実施例5に記載のように処理する。白色固体918mg(収率74%)が得られる。
HPLC Kromasil C18 (CH3CN (0.1% TFA) 70%/H2O (0.1% TFA) 30%) Rt=13.3分. Mass (M+H)+=559
【0088】
実施例10:
1-{1-[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイル-オキシ}-エチルイソ酪酸エステル
実施例9の化合物(914mg)をCH2Cl2 5mLおよびTFA 5mLに可溶化させ、混合物を室温で3時間攪拌する。蒸発乾固後、残渣を水で取り込み、凍結乾燥させる。白色固体844mg(定量的収率)。トリフルオロアセテート(844mg)をCH2Cl2 10mLに可溶化させる。DIEA 1.34mL (5当量)および1-(2,5-ジオキソ-シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル670mg (1.5当量)を加え、混合物を室温で1時間攪拌する。次に実施例6に記載のように反応媒体を処理する。Kromasil Cl8カラム(CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 55/45)上での半分取HPLCにより粗生成物を精製する。白色固体400mg(収率44%)。

【0089】
この酸をアセトニトリルに可溶化後、NaHCO3 1当量の水溶液を加えることで、化合物10のナトリウム塩を得る。それにより得られた溶液を凍結乾燥させる。白色固体(収率96%)
【0090】
実施例11:
1-エトキシカルボニルオキシ-エチル[2-(2-tert-ブトキシカルボニル-アミノ-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニル-メチル)-3-フェニル-プロピオニルアミノ]-酢酸エステル
実施例5の化合物(2g)をエタノール40mLに可溶化させる。0.2M NaIO4溶液32mL(2当量)を0℃で加え、混合物を0℃で3時間攪拌する。析出物を濾過し、濾液を蒸発乾固させる。残渣を酢酸エチルに取り込み、有機相を水、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。濾過および蒸発後、粗生成物をクロマトグラフィーで精製する。
白色固体1.5g(収率70%)
HPLC (Kromasil Cl8 (CH3CN (0.1%.TFA) 60%/H2O (0.1% TFA) 40%) Rt=8.3分. Mass (M+H)+= 635
【0091】
実施例12:
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシ-カルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニル-メチル}-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル
実施例11の化合物(1.5g)をギ酸20mLに可溶化させ、混合物を室温で1時間攪拌する。ギ酸を減圧蒸発させ、残渣を水で取り込み、凍結乾燥させる。
白色固体1.38g。
【0092】
得られたホルメート(1.38g)をCH2Cl2に可溶化させ、カルバメート(1.5当量)(1-(2,5-ジオキソ-シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル)およびDIEA (3当量)を加える。混合物を室温で1時間攪拌後、溶媒を減圧蒸発させる。残渣を酢酸エチルで取り込む。有機相を10%クエン酸溶液、飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。Kromasilカラム(半分取 CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 50/50)上でのHPLCにより粗生成物を精製する。
収率54%。

【0093】
実施例13:
ベンジル[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニル-メチル)-3-フェニル-プロピオニル-アミノ]-酢酸エステル
実施例11の条件下で実施例7の化合物(5.3g)を処理して、所期の化合物5.19gを得る。収率95%
HPLC Kromasil Cl8 (CH3CN (0.1% TFA) 60%/H2O (0.1% TFA) 40%) Rt=7.3分
【0094】
実施例14:
1-{1-[2-ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピル-カルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル
実施例13の化合物(3.1g)をギ酸50mLで処理し、反応液を実施例12に記載のように処理する。白色固体2.85g(収率99%)
【0095】
得られたホルメート(1.41g)をジオキサン20mLと水20mLとの混合物に可溶化させる。NaHCO3 1.1g (8当量)および1-(4-ニトロ-フェノキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル1.13g (1.5当量)を加え、混合物を室温で72時間攪拌する。ジオキサンを蒸発乾固させ、水相を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。濾過および蒸発乾固後、Kromasil C18カラム(CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 55/45)上で半分取HPLCにより生成物を精製する。白色固体1.0g(収率59%)

【0096】
実施例15:
tert-ブチル[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メタンスルフィニルメチル)-3-フェニル-プロピオニルアミノ]-酢酸エステル
実施例11の条件下で実施例9の化合物(745mg)を処理して、所期の生成物781mg(定量的収率)を得る。

【0097】
実施例16:
1-{1-2[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピルジスルファニル-メチル]-3-メタンスルフィニル-プロピル-カルバモイル-オキシ}-エチルイソ酪酸エステル
実施例15の化合物(760mg)をCH2Cl2 5mL中TFA 5mLで処理後、反応液を室温で3時間攪拌する。次に溶媒を減圧蒸発させ、残渣を水中に取り込み、凍結乾燥させる。白色生成物が得られる(686mg; 収率99%)。
【0098】
得られた化合物(686mg)を水10mLおよびジオキサン10mLに可溶化させる。NaHCO3 572mg (8当量)および(1-(4-ニトロ-フェノキシカルボニルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル587mg (1.5当量)を加える。混合物を室温で12時間攪拌する。ジオキサンを減圧蒸発させ、水相を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。Kromasil Cl8カラム(CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 35/65)上での半分取HPLCにより粗生成物を精製する。白色固体212mg。収率28.1%

【0099】
実施例17:
tert-ブチルシクロペンタン-1,1-ジカルボン酸エステル
tert-ブチルシクロペンタン-ジカルボン酸エステル(J. Med. Chem., 1994, 37, 2461-2476に従って調製)(10g)を窒素下でTHF 50mLに可溶化させる。窒素下、ジイソプロピルアミン10.71mLと、ヘキサン中ブチルリチウム1.6M 47.75mLとより調製されるLDA溶液(1.3当量)を-30℃で加える。-30℃で30分間攪拌後、CO2を同温で15分間吹き込む。混合物を-5℃に戻し、水100mLを加える。THFを蒸発させ、水相を酢酸エチルで2回抽出後、pH 1に酸性化する。酢酸エチルで3回抽出後、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させる。白色固体10g(収率80%)。
【0100】
実施例18:
tert-ブチル1-メルカプトメチル-シクロペンタン-カルボン酸エステル
先の化合物(7.9g)をTHF 70mLに可溶化させる。-10℃でトリエチルアミン5.13mL (1当量)およびクロロギ酸イソブチル4.78mL (1当量)を加える。2分間の反応後、形成された析出物を濾過後、NaBH4 4.88g (3.5当量)およびMeOH 22mLを滴下する。溶液を0℃に戻し、HCl 1Nで酸性化する。CH2Cl2での抽出、洗浄および乾燥後、有機相を蒸発乾固させる。淡黄色油状物(6.52g、収率88%)
【0101】
得られたアルコール(5g)をエーテル(65mL)に可溶化させる。塩化メシル2.12mL (1.1当量)およびトリエチルアミン4mLを加える。室温で3時間攪拌後、エーテル化相を洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させる。淡黄色油状物(6.4g、収率92%)
【0102】
メシレート(6.4g)をジメチルホルムアミド(100mL)に可溶化させる。K2CO3 3.18gおよびチオ酢酸3.61mLを加え、混合物を100℃で5時間攪拌する。DMFを蒸発乾固させ、残渣を酢酸エチルおよびHCl 1Nで取り込む。有機相を洗浄し、乾燥させ、蒸発乾固させる。
【0103】
得られた褐色油状物をCH2Cl2/TFAの50/50混合物で室温にて処理する。混合物を蒸発乾固させ、シクロヘキサンで3回取り込み、蒸発乾固させる。錆色の固体生成物(定量的収率)。形成されたアセチルチオ酸をMeOH 50mLに可溶化させ、NaOH 1N 50mLを加える。混合物を室温で3時間攪拌後、HCl 1Nで酸性化する。メタノールを蒸発させ、残渣をEtOAcで取り込み、有機相を洗浄し、乾燥させる。淡黄色油状物、定量的収率。

【0104】
実施例19:
1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチル-スルファニル-ブチルジスルファニル-メチル)-シクロペンタン-カルボン酸
実施例3の手順に従いかつ実施例1の化合物を実施例18の化合物で置き換えて、所期の生成物を得る。白色固体、3.8g(収率75%)。HPLC (Kromasil Cl8, CH3CN (0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA): 50/50) Rt 31.6分. Mass (M+H)+=410.
【0105】
実施例20:
ジ-tert-ブチル2-{[1-(2-tert-ブトキシカルボニル-アミノ-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル)-シクロペンタン-カルボニル]-アミノ}-コハク酸エステル
実施例5の手順に従いかつ実施例4の化合物をt-ブチルアスパラギン酸エステルで置き換えて、所期の化合物を80%の収率で得る。白色固体。Mass (M+H)+= 637.3

【0106】
実施例21:
ジ-tert-ブチル2-{[1-(2-tert-ブトキシカルボニル-アミノ-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニル-メチル)-シクロペンタン-カルボニル]-アミノ}-コハク酸
実施例11の手順に従って、実施例20の化合物により所期の生成物を81%の収率で得る。
Mass (M+H)+= 653.3
【0107】
実施例22:
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニル-アミノ)-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタン-カルボニル}-アミノ)-コハク酸
実施例12の手順に従って、実施例21の化合物により所期の最終生成物を63%の収率で得る。

【0108】
実施例23:
薬理学的結果
本発明の分子を、ヒトにおける応答について最も予測可能な動物モデルに対するその鎮痛作用について試験した。優先的な試験は、ラットおよびマウスにおける神経炎症性(NI)および神経障害性(NP)疼痛を目的とするものである。
【0109】
本発明の分子は、以下の試験において活性であることが証明された。
【0110】
ラットにおいて: i) カラゲニンまたはフロイントアジュバントの足底内注射が誘発する神経障害性疼痛(Desmeules A. et al. Pain (1993), 53, 277-285); ii) ストレプトゾシンの予備投与が誘導する糖尿病性神経障害(NP) (Condore-Civiale et al., Br. J. Pharmacol. (2001), 67, 1301-1308); iii) 抗がん薬ビンクリスチンの予備投与が引き金を引く神経障害(Authier et al., Neurotoxicology (2003), 4, 797-805)。
【0111】
マウスにおいて: i) 骨肉腫モデルの脛骨髄(tibial marrow)における腫瘍細胞の予備投与が誘導する神経障害性および神経炎症性の異痛および痛覚過敏(Menendez L. et al., Brain Res. (2003), 969, 102-109); ii) 足におけるホルマリンの投与および第1フェーズの鎮痛応答の試験が引き起こす疼痛(NT); iii) 坐骨神経の部分的なおよび一側の圧迫が生成する痛覚過敏および異痛(セルツァーモデル)(Bennett G.J. and Xie Y.K., Pain (1998) 33, 87-107)。
【0112】
これらの試験で使用する技術はM.J. Millan. The induction of pain: an integrative review, in Progress in Neurobiology (1999), 52, 1-164などの学術誌で詳述および分類されている。
【0113】
例として、いくつかの試験を以下に見出す。
【0114】
A/ ホルマリン試験(フェーズI)
分子を90分および150分後の2つのフェーズで調査することでその作用期間を観察した。
【0115】
試験の説明
動物(雄OF1マウス)はCharles River品種(フランス)に由来し、実験の最初では25〜35gの重量である。生成物を投与する上で各マウスの重量を考慮に入れる。
【0116】
試験はS. HUNSKAAR et al., Formalin test in mice, a useful technique for evaluating mild analgesics, J. Neurosci. Methods (1995), 14, 69-75に記載の手順に基づく。
【0117】
マウス(n=8)を個々に透明容器(50x25cm)に入れ、この環境に20分間順応させる。この期間の後、ホルマリン(5% HCHO)の生理食塩水(H2O、0.9% NaCl)溶液20μLを、動物の右足の足底面上で皮下注射する。マイクロシリンジに接続した26シリンジを使用する。次に各マウスを試験容器に直ちに戻し、疼痛(侵害受容性)応答を5分間測定する(初期フェーズ)。足を舐める回数のみを計数する。
【0118】
ホルマリンの注射後に異なる時点(一般に20分、90分および150分)で以下を動物に強制摂食させた後で鎮痛活性を試験する:
−担体のみ(エタノール、水中0.5%メチルセルロース)
−担体および本発明の化合物(50mg/kg)。
【0119】
担体のみを受け取った動物が舐める回数と比較した、病変を有する足を舐める回数の低下により、生成物の鎮痛作用を測定する。
【0120】
実施例6、8、10、12、14および16の6つの化合物について、結果を図1に示す。
【0121】
6つの化合物は、担体(対照)と比較した、舐める回数の非常に著しい低下を特徴とする強力な鎮痛効果(40〜60%)を示し、その効果は試験期間中ほぼ一定である。鎮痛作用は、使用される用量(2mg/kg)では血液脳関門を横断することが不可能なメチルナロキソニウムというアンタゴニストの予備投与により遮断され(Milne R.J. et al., Neurosci. Lett. (1990), 114, 25-32)、このことは、これらの分子の活性が末梢(侵害受容器)で発揮され、末梢ではそれらは病変部位で放出されるエンケファリンを増加させることを示している。
【0122】
B/ 実施例6の化合物および参照分子(国際出願WO2007/048787の化合物15)の鎮痛効果の比較試験
本発明は、国際出願WO2007/048787に記載の化合物のそれと少なくとも等しい鎮痛特性を有しながら、相当に延長された作用期間を有する、分子の開発を特徴とする。これはホルマリン試験(その手順は上記で説明)で実際に示されている。これは、参照分子: 化合物15 = NH2-CH(CH2CH2SCH3)-CH2-S-S-CH2-CH(CH2C6H5)-CONH-CH2-CONH-CO-CH(CH3)-O-CO-OCH2CH3 (WO2007/048787)が120分の時点でもはや活性を有さない一方で、それとは逆に実施例6の化合物は90〜150分で鎮痛活性のその最大を達成する(図2)ためである。
【0123】
C/ マウスにおける経口投与後の実施例10の化合物の抗異痛および抗痛覚過敏効果
この試験はA.B. Malmberg and A.I. Basbaum, Partial sciatic nerve injury in the mouse as a model of neuropathic pain: behavioural and neuroanatomical correlates. Pain, (1998) 76, 215-222により詳述された。
【0124】
18〜20g、n=39の雄OF1マウス(Charles River)について、同側の坐骨神経の部分結紮によってそれを行った。手術後の期間(3〜26日)に動物を試験する。
【0125】
K. Hargreaves et al., A new sensitive method for measuring thermal nociception in cutaneous hyperalgesia, Pain, (1988), 32, 77-88に記載の方法に従い、「足底試験」装置(フランス、Bioseb)を熱源として使用して、痛覚過敏の測定を行った。侵害受容性刺激の強度を8〜10秒に較正し、自動停止閾値(automatic stopping threshold)(カットオフ時間)を20秒とする。熱が誘導する足の引っ込めの平均を同側の足(損傷した神経)および対側の足(無傷の神経)上で測定した。この測定を各足上で3回行った。機械的異痛をS.R. Chaplan et al., Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw, J. Neurosci. Meth. (1994), 53, 55-63に記載のように測定する。同側の(病変)および対側の(対照)足を上記のように試験する。抗機械的異痛効果を、サイズの増加によりその発揮する圧力も増加するフィラメントを用いるフォンフライ法により測定する。
【0126】
抗痛覚過敏効果: 図3
図3の結果は、経口投与する際に、実施例10の化合物が、坐骨神経の部分結紮が誘導する熱痛覚過敏の非常に著しい低下(65〜100%)を45〜150分の期間に生成し、80分の時点(8.2±0.9秒対8.3秒)での100%の最大効果が生じることを示す。この効果が180分の時点でも依然として著しいという可能性がある。
【0127】
抗異痛効果: 図4
機械的異痛に対する実施例10の化合物の効果をフォンフライ試験により測定する。結果は、最大応答(非処置対照)の75%に対応する60分での最大を伴う長い持続時間の著しい抗異痛効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
R1NH-CH(R2)-CH2-S-S-CH2-C(R3)(R4)-CONH-C(R5)(R6)-COOR7
を有する化合物、ならびに該化合物(I)と薬学的に許容される無機塩基または有機塩基との付加塩、およびそれらの異性体の各々、特にそれらの光学鏡像異性体の各々:
式中、
R1は(アシルオキシ)アルキルカルバメート基−C(O)-O-C(R8)(R9)-OC(O)-R10を表し、ここで
−R8およびR9は互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基もしくはヘテロアリールアルキル基を表すか、または
−R8およびR9は一緒になって5員または6員のシクロアルキルを形成してもよく、
−R10はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表し、
R2
−以下で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖:
※その各々の基においてR11が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素鎖、フェニル基、またはベンジル基を表す、OH、OR11、SH、SR11またはS(O)R11基、
※以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
・1〜5個のハロゲン原子、特にフッ素、
・R11が上記と同一の意味を有するOH、OR11、SH、SR11またはS(O)R11基、
−ヘテロ原子がN-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい窒素原子または硫黄原子である、5員または6員の芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基
を表し、
R4が水素原子を表す場合、R3
−以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
※1〜5個のハロゲン原子、
※R11が上記と同一の意味を有するSR11、S(O)R11またはOR11基、
※1〜6個の炭素原子を有する環状または直鎖状の脂肪族基で一置換または二置換されていてもよいアミノ基、
−ヘテロ原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子である5員または6員のヘテロアリール、
−ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、窒素原子および硫黄原子がN-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい、5員または6員の芳香族複素環または飽和複素環で置換されているメチレン基
を表し、
R4がHとは異なる場合、R3およびR4は一緒になって5員または6員の飽和環を形成し、
R5およびR6は互いに独立して
−水素原子、
−その各々の基においてR11が上記と同一の意味を有するOH、OR11、SHまたはSR11、COOHまたはCOOR11基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖、
−以下で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基:
※1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル鎖、
※1〜5個のハロゲン、特にフッ素または臭素、
※R11が上記の定義を有するOH、OR11、SHまたはSR11
を表すか、
あるいは、R5およびR6は一緒になって5員または6員の飽和環を形成し、
R7
−水素原子、
−1〜5個のハロゲン、特にフッ素で置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基、
−式CR12(R13)C(O)OR14の基、
−OCR12(R13)OC(O)R14基、
−OCR12(R13)OC(O)OR14
を表し、
R12およびR13は互いに独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表し、
R12およびR13は一緒になって5員または6員のシクロアルキルを形成してもよく、
R14はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基またはヘテロアリールアルキル基を表す。
【請求項2】
R1基が(アシルオキシ)アルキルカルバメート基-C(O)-O-C(R8)(R9)-OC(O)-R10を有利に表すことを特徴とする、化合物であって、R8およびR9が互いに独立して水素原子またはアルキル基を表し、かつR10がアルキル基、特にイソプロピルを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2基が、SR11またはS(O)R11基で置換されている、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表すことを特徴とする、化合物であって、R11が請求項1における意味と同一の意味を有し、特にR11が1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素鎖、より具体的にはメチル基を表す、前記請求項のいずれか記載の化合物。
【請求項4】
R4基が水素原子を表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
R3基が以下を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物:
−ベンジル基またはフェニル基、
−N-オキシドまたはS-オキシドとして酸化されていてもよい窒素原子または硫黄原子をヘテロ原子として有する、5個または6個の原子を有する芳香族複素環または飽和複素環のいずれかで置換されているメチレン基。
【請求項6】
R4およびR3基が、それらを有する炭素と一緒になって、5員または6員のシクロアルキル、特にシクロペンタンまたはシクロヘキサンを形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R5基が水素原子を表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
R6基が水素原子を表すか、または、その各々の基においてR11が上記と同一の意味を有するOH、SH、COOHもしくはCOOR11基で置換されている、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R7基が水素原子、フェニル基もしくはベンジル基、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
以下の化合物より選択されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の化合物:
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシカルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル}-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル、
1-{1-[2-(ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル、
1-{1-[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メチルスルファニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル、
1-(1-{2-[(1-エトキシカルボニルオキシ-エトキシカルボニルメチル)-カルバモイル]-3-フェニル-プロピルジスルファニルメチル}-3-メタン-スルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ)-エチルイソ酪酸エステル、
1-{1-[2-ベンジルオキシカルボニルメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイルオキシ}-エチルイソ酪酸エステル、
1-{1-2[2-(カルボキシメチル-カルバモイル)-3-フェニル-プロピル-ジスルファニルメチル]-3-メタンスルフィニル-プロピルカルバモイル-オキシ}-エチルイソ酪酸エステル、
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メタン-スルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸、
2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチル-スルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸、
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メタンスルフィニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸エステル、
ベンジル2-({1-[2-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-4-メチルスルファニル-ブチルジスルファニルメチル]-シクロペンタンカルボニル}-アミノ)-コハク酸。
【請求項11】
薬物としての、前記請求項のいずれか一項記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項記載の式(I)の化合物の少なくとも1つと、薬学的に適切な賦形剤、特に経口、経鼻または静脈内経路を経由する投与に適切な賦形剤とを含むことを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項13】
カンナビノイド、特にΔ9-テトラヒドロカンナビノールの少なくとも1つの誘導体、および/またはモルヒネもしくはその誘導体の1つ、またはより有利にはGabaの1つの誘導体、特にガバペンチンもしくはプレガバリンをさらに含むことを特徴とする、請求項12記載の薬学的組成物。
【請求項14】
うつ病、多発性硬化症、および、急性疼痛、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、神経原性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛、異痛などの様々な種類の疼痛の処置を目的とすることを特徴とする、請求項12または13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
以下を含む、同時使用のため、個別使用のため、または時間を分けて使用するための組み合わせ物としての、薬学的組成物:
(i) 請求項1〜10のいずれか一項記載の式(I)の化合物の少なくとも1つ、
(ii) カンナビノイドの少なくとも1つの誘導体、および/または
(iii) モルヒネもしくはその誘導体の1つ、および/または
(iv) ガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGabaの少なくとも1つの誘導体。
【請求項16】
うつ病、嗜癖、および疼痛、特に炎症性疼痛、侵害受容性疼痛、神経原性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛、ならびにそれらの特徴、例えば痛覚過敏および異痛などの処置を目的とする、請求項15記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522797(P2011−522797A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508908(P2011−508908)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055787
【国際公開番号】WO2009/138436
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508125896)
【氏名又は名称原語表記】PHARMALEADS
【Fターム(参考)】