説明

アミロイドβのモジュレーター

本発明は、式(I)の化合物(式中、Rは、水素、低級アルキルまたはヒドロキシで置換された低級アルキルであり;Rは、水素、低級アルコキシまたは低級アルキルであり;R/Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、C(O)O−低級アルキル、OR’、NR’’R’’’、ハロゲンもしくはヒドロキシで置換された低級アルキル、または1個もしくは2個のハロゲン原子で場合により置換されたフェニルもしくはベンジルであり;R’は、低級アルキルであるか、環が場合により1個以上のハロゲン、低級アルキルもしくはフルオロで置換された低級アルキルで置換されたフェニル、ベンジルまたはピリジニルであり;R’’は、水素または低級アルキルであり;R’’’は、低級アルキル、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換された低級アルキル、CH(CHOH)−フェニルであるか、または−(CHO−低級アルキルであるか、またはハロゲンで置換されたフェニルであるか、あるいはR”およびR”’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個以上の低級アルキル、CHC(O)O−低級アルキルまたはCHC(O)OHで置換されている複素環を形成し、;Arは、5員のヘテロアリール基である)の化合物または薬学的に活性な酸付加塩に関する。式(I)の本化合物は、アミロイドβのモジュレーターであり、脳内のβ−アミロイドの沈着に付随する疾患、特にアルツハイマー病、および脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症およびダウン症のような他の疾患の治療または予防に有効であることが明らかとなった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式:
【0002】
【化1】


[式中、
は水素、低級アルキルであるか、またはヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は水素、低級アルコキシまたは低級アルキルであり;
/Rは互いに独立して水素、ハロゲン、低級アルキル、C(O)O−低級アルキル、OR’、NR’’R’’’、ハロゲンもしくはヒドロキシで置換されている低級アルキルであるか、または場合により1個もしくは2個のハロゲン原子で置換されているフェニルもしくはベンジルであり;
R’は低級アルキルであるか、またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニルであり、それらの環は場合により1個以上のハロゲン、低級アルキル、もしくはフルオロで置換されている低級アルキルで置換されており;
R’’は水素または低級アルキルであり;
R’’’は低級アルキル、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されている低級アルキル、CH(CHOH)−フェニルであるか、または−(CHO−低級アルキルであるか、またはハロゲンで置換されているフェニルであるか、あるいは
R’’およびR’’’はそれらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個以上の低級アルキル、CHC(O)O−低級アルキルまたはCHC(O)OHで置換されている複素環を形成し;
Arは5員ヘテロアリール基である]で示される化合物または薬学的に活性な酸付加塩に関する。
【0003】
式Iで示される本化合物がアミロイドβのモジュレーターであり、したがって、脳内のβアミロイドの沈着に関連する疾患、特にアルツハイマー病、ならびに脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血(HCHWA−D)、多発脳梗塞性認知症、ボクサー認知症およびダウン症などの他の疾患の治療または予防に有用であり得ることがわかった。
【背景技術】
【0004】
アルツハイマー病(AD)は晩年期の認知症の最も一般的な原因である。病理学的には、ADは、脳内の細胞外プラークおよび細胞内神経原線維変化におけるアミロイドの沈着を特徴とする。アミロイド斑は、一連のタンパク質切断段階によるβアミロイド前駆体タンパク質(APP)から生じるアミロイドペプチド(Aβペプチド)で主に構成される。APPのいくつかの形態が同定されており、そのうち695、751および770アミノ酸長のタンパク質が最も豊富である。それらはいずれも単一遺伝子から異なるスプライシングを通じて生じる。AβペプチドはAPPの同一ドメインに由来する。
【0005】
Aβペプチドは、βおよびγセクレターゼと称する2つのタンパク質分解酵素の連続的作用を通じてAPPから産生される。βセクレターゼは、膜貫通ドメイン(TM)の直ちに外側にあるAPPの細胞外ドメインにおいて最初に切断して、TMおよび細胞質ドメイン(CTFβ)を含むAPPのC末端断片を産生する。CTFβは、TM内のいくつかの隣接する位置で切断してAβペプチドおよび細胞質断片を産生するγセクレターゼの基質である。γセクレターゼが媒介する各種のタンパク質切断により、異なる鎖長のAβペプチド、例えばAβ38、Aβ40およびAβ42が得られる。後者は、神経毒性凝集体を形成するその強力な傾向が理由で、病原性のより高いアミロイドペプチドであると見なされる。
【0006】
βセクレターゼは典型的なアスパルチルプロテアーゼである。γセクレターゼはいくつかのタンパク質からなるタンパク質分解活性であり、その正確な組成は完全には理解されていない。しかし、プレセニリンは、この活性の必須成分であり、またそれらの基質のTM内で切断しかつそれ自体がポリトピック型膜タンパク質である非定型的なアスパルチルプロテアーゼの新規の群を表し得る。γセクレターゼの他の必須成分は、ニカストリン(nicastrin)、ならびにaph1およびpen−2遺伝子の産物であり得る。γセクレターゼの判明している基質はAPP、およびNotchレセプターファミリーのタンパク質であるが、γセクレターゼは緩やかな基質特異性を有しており、APPおよびNotchに関連していない膜タンパク質をさらに切断し得る。
【0007】
γセクレターゼ活性はAβペプチドの産生には絶対的に必要である。このことは、遺伝学的手段、すなわちプレセニリン遺伝子の切除と、低分子量阻害化合物との両方により示されている。ADに関するアミロイド仮説によればAβの産生および沈着が疾患の究極的原因であるため、γセクレターゼの選択的かつ強力な阻害剤がADの予防および治療に有用であると考えられる。
【0008】
代替的治療様式は、Aβ42産生の選択的減少をもたらすγセクレターゼ活性の調節である。凝集およびプラーク形成の能力が減少し、そのため神経毒性がより低い、Aβ38、Aβ37などのより短いAβアイソフォームの増加がこれにより得られる。γセクレターゼ活性の調節に対するこの効果を示す化合物は、ある種の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および関連類似体を含む(Weggen et al. Nature, 414 (2001) 212-16)。
【0009】
したがって、本発明の化合物は、脳内のβアミロイドの沈着に関連する疾患、特にアルツハイマー病、ならびに脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血(HCHWA−D)、多発脳梗塞性認知症、ボクサー認知症およびダウン症などの他の疾患の治療または予防に有用である。
【0010】
γセクレターゼ調節に関する現行の知見は数多くの文献、例えば以下の刊行物に記載されている。
【0011】
【表1】

【0012】
式Iで示される化合物について以下の定義を使用する。
【0013】
本明細書で使用する「低級アルキル」という用語は、1〜7個の炭素原子を含有する飽和直鎖または分岐鎖基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどを意味する。好ましいアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0014】
本明細書で使用する「低級アルコキシ」という用語は、アルキル残基が上記定義の通りである基であって、酸素原子を介して結合している基を意味する。
【0015】
本明細書で使用する「フルオロで置換されている低級アルキル」という用語は、少なくとも1個の水素原子がフルオロで置換されている上記定義のアルキル基、例えばCF、CHF、CHF、CHCF、CHCHCF、CHCFCF、CHCFCFCF、CHCHCFCFなどを意味する。
【0016】
本明細書で使用する「5員ヘテロアリール基」という用語は、N、OまたはSからなる群から選択される少なくとも2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基、例えばオキサゾリル、[1,2,4]トリアゾリル、イミダゾール−1−イル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾール−1−イル、[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イルまたは[1,3,4]−オキサジアゾール−2−イルを意味する。イミダゾリル基が好ましい。
【0017】
「複素環」という用語は、少なくとも1個の炭素原子が1位にあるNで置換されておりかつさらなる炭素原子がN、OまたはSから選択されるヘテロ原子で置換されていることがある、5員または6員の非芳香族炭素環、例えばピペリジン−1−イル、モルホリニル、チオモルホリンまたはピペラジンといった基を意味する。
【0018】
「薬学的に許容される酸付加塩」という用語は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの無機酸および有機酸との塩を包含する。
【0019】
本発明の目的は、式Iで示される化合物それ自体、アミロイドβのモジュレーターに関連する、疾患の処置用の医薬の製造のための式Iで示される化合物およびその薬学的に許容される塩の使用、それらの製造、本発明に係る化合物に基づく医薬およびその製造、ならびに、アルツハイマー病、ならびに脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性脳出血(HCHWA−D)、多発脳梗塞性認知症、ボクサー認知症およびダウン症などの他の疾患の制御および予防における式Iで示される化合物の使用である。
【0020】
本発明のさらなる目的は、式Iで示される化合物の光学的に純粋な鏡像異性体、ラセミ体またはジアステレオマー混合物のすべての形態である。
【0021】
好ましい化合物はArがイミダゾール−1−イルである化合物である。
【0022】
この群の好ましい化合物は、RまたはRの一方がNR’’R’’’であり、R’’およびR’’’がそれらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個以上の低級アルキル、CHC(O)O−低級アルキルまたはCHC(O)OHで置換されている複素環を形成する化合物、例えば以下の化合物である:
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−(4−メトキシ−6−ピペリジン−1−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−アミン
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸エチルエステルまたは
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸。
【0023】
さらなる好ましい化合物は、Arがイミダゾール−1−イルであり、RまたはRの一方がOR’である化合物、例えば以下の化合物である:
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(3,4,5−トリフルオロ−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
[4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
[4−イソプロポキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
(4,6−ジイソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
[4,6−ビス−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンまたは
[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン。
【0024】
さらなる好ましい化合物は、Arがイミダゾール−1−イルであり、RまたはRの一方がNR’’R’’’であり、R’’がHまたは低級アルキルであり、R’’’が低級アルキル、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されている低級アルキルであるか、または−(CHOCHであるか、またはハロゲンで置換されているフェニルである化合物、例えば以下の化合物である:
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
N−(4−クロロ−フェニル)−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミンまたは
N−(4−クロロ−フェニル)−6−イソプロポキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン。
【0025】
式Iで示される本化合物およびその薬学的に許容される塩は、当技術分野で公知の方法、例えば以下の工程を含む以下に記載の方法により調製することができる:
a) 式:
【0026】
【化2】


で示される化合物を式:
【0027】
【化3】


で示される化合物と反応させて式I:
【0028】
【化4】


で示される化合物にする工程
[式中、置換基は上記定義の通りである]、または
b)式VI:
【0029】
【化5】


で示される化合物を式:
【0030】
【化6】


で示される化合物と反応させて式I:
【0031】
【化7】


で示される化合物にする工程
[式中、置換基は上記定義の通りである]、または
c)式V:
【0032】
【化8】


で示される化合物を式:
【0033】
【化9】


で示される化合物と反応させて式I:
【0034】
【化10】


で示される化合物にする工程、
および所望であれば得られた化合物を薬学的に許容される酸付加塩に変換する工程。
【0035】
式Iで示される化合物は、方法変形a)、b)またはc)ならびに以下のスキーム1、2および3に従って調製することができる。
【0036】
スキーム1および2に示すように、式Iで示される本化合物およびその薬学的に許容される塩は、当技術分野で公知の方法で、塩化シアヌルII(市販)または市販のジクロロ中間体のいずれかから出発し、クロロ原子の連続的置換により調製することができる。
【0037】
【化11】

【0038】
【化12】

【0039】
またはRが水素である場合、J.Am.Chem.Soc. 78, 2477 (1956)に例えば記載のように、クロロ原子の置換をPd担持炭および水素による還元により行うことができる。
【0040】
またはRが低級アルキルである場合、Helv. 33, 1365 (1950)に例えば記載のように、クロロ原子の置換をアルキルグリニャール試薬により行うことができる。
【0041】
またはRがOR’である場合、クロロ原子の求核置換を、J.Am.Chem.Soc. 79, 944 (1957)と類似した対応するアルコールもしくはアルコラートとの反応またはJ.Am.Chem.Soc. 73, 2990 (1951)と類似した対応するフェノラートとの反応により行うことができる。
【0042】
またはRがNR’’R’’’である場合、Bull. Soc. Chim. Fr. 1973, 2112に例えば示すように、クロロ原子の求核置換を対応するアミンHNR’’R’’’により行うことができる。あるいは、求核性がより低いかまたは立体障害性のアミンでは、ブッフバルト・ハートウィッグ(Buchwald-Hartwig)条件下、Pd触媒を使用して置換を行うこともできる。
【0043】
がフェニルまたは置換フェニルである場合、他のトリアジン誘導体についてTetrahedron 57, 2787 (2001)に例えば記載のように、塩基およびパラジウム触媒の存在下でクロロ原子をアリールボロン酸と反応させることができる(鈴木カップリング)。
【0044】
がヒドロキシで置換されている低級アルキル、例えばC(CHOH基である場合、類似のピリミジン誘導体についてTetrahedron 55, 405 (1995)に例えば記載のように、クロロ原子をアルコキシカルボニル化することができる。次に、類似のピリジン誘導体についてTetrahedron 61, 6330 (2005)に例えば記載のように、得られたエステルをハロゲン化メチルマグネシウムと反応させる。この手順をスキーム3に示す。
【0045】
【化13】

【0046】
アニリンIIIをスキーム4に記載のように調製することができる。
【0047】
【化14】

【0048】
室温または高温(例えば還流もしくはマイクロ波オーブンを使用する加圧下)での、中性条件下または塩基(例えば炭酸カリウムのような)の存在下での、無溶媒または極性溶媒(例えばTHFもしくはDMSOなどのような)中での、置換ハロゲン化4−ニトロ−フェニルVII(hal=F、Cl、Br、I)と化合物RH(4−メチル−イミダゾールのような)との求核置換により、ニトロ誘導体VIIIが得られる。あるいは、カルボニル誘導体IX(R=HまたはC1−4アルキル)などの好適な前駆体から、置換基Rの形成用の標準的反応順序を適用して、ニトロ誘導体VIIIを調製することもできる。一般に公知の手順、例えば溶媒(例えばエタノールもしく酢酸エチルのような)中、触媒(例えば10%パラジウム担持炭のような)の存在下での、または極性溶媒(例えば酢酸もしくはテトラヒドロフランのような)中での金属(例えば鉄のような)もしくは金属塩(例えば塩化第一スズのような)の使用による水素化によって、ニトロ化合物VIIIをアニリンIIIに還元することができる。あるいは、一般に公知の手順、例えば触媒条件下の置換反応(例えばパラジウム(0)もしくは銅(II)触媒作用のような)によってN保護アニリン誘導体X(PG=保護基)に置換基Rを導入すること、または、N保護アニリン誘導体XI中にR基を形成することをそれぞれ行い、続いて保護基を切断することで、アニリンIIIを調製することもできる。
【0049】
以下に示す試験に従って化合物を調査した。
【0050】
細胞アッセイ
ヒトAPPを過剰発現させるヒト神経膠腫H4細胞を、96ウェルプレートにおいて、10%FCS、0.2mg/lハイグロマイシンBを含有するIMDM培地中に、30,000細胞/ウェル/200μlでプレーティングし、37℃、5% COで2時間インキュベートし、その後試験化合物を加えた。
【0051】
試験用化合物を100% MeSOに溶解させて10mMストック溶液を得た。典型的にはこれらの溶液12μlをIMDM培地(w/o FCS)1000μlにさらに希釈した。1:1の段階希釈により10点の用量反応曲線を与えた。各希釈液100μlを96ウェルプレート中の細胞に加えた。媒体のみおよび参照化合物を使用する適切な対照をこのアッセイに適用した。MeSOの終濃度を0.4%とした。
【0052】
37℃、5% COで22時間のインキュベーション後、Aβ42の検出用に上清50μlを丸底96ウェルポリプロピレンプレート中に移した。アッセイ緩衝液(50mM Tris/Cl、pH7.4、60mM NaCl、0.5% BSA、1% TWEEN 20)50μlをウェルに加えた後、検出抗体(ルテニル化Aβ42特異的抗体BAP15、アッセイ緩衝液中0.0625μg/mL)100μlを加えた。捕捉抗体(ビオチン化6E10抗体、1μg/mL)およびストレプトアビジンコーティング磁気ビーズ(Dynal M−280、0.125mg/mL)のプレミックス50μlを室温で1時間プレインキュベートした後、アッセイプレートに加えた。アッセイプレートを室温で3時間振盪機上でインキュベートし、最後にBioveris M8分析計中で製造者の説明書(Bioveris)に従って読み取った。
【0053】
化合物の毒性を、製造者の説明書に従って比色分析アッセイ(CellTiter 96TM AQアッセイ、Promega)を使用する化合物処理細胞の細胞生存率試験によりモニタリングした。簡潔に言えば、Aβ42の検出用の細胞培養上清50μlの除去後に、1x MTS/PES溶液20μlを細胞に加え、37℃、5% COで30分間インキュベートした。次に光学濃度を490nmで記録した。
【0054】
Aβ42分泌阻害のIC50値を、XLfit 4.0ソフトウェア(IDBS)を使用する非線形回帰フィット解析により計算した。
【0055】
好ましい化合物は1.0(μM)未満のIC50を示す。γセクレターゼ阻害に関するいくつかのデータを以下のリストに記載する。
【0056】
【表2】

【0057】
式Iの化合物及び式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし、投与はまた、例えば坐剤の剤型で直腸内に、例えば注射液の剤型で非経口的に行うこともできる。
【0058】
式Iの化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟質ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセロール、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0059】
医薬製剤は、さらに、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香料、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0060】
式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び治療上不活性な担体を含有する薬物もまた、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容される酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上有益な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、ガレヌス製剤の投与形態にすることを含む調製方法と同様に、本発明の目的である。
【0061】
本発明によると、式Iの化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩は、γ−セクレターゼの阻害に基づく疾病、例えばアルツハイマー病の制御又は予防に有用である。
【0062】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量を、一般式Iの化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されうるその塩を対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0063】
錠剤の処方(湿式造粒)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0064】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0065】
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0066】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0067】
実施例1
(4,6−ジメトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0068】
【化15】

【0069】
a) 1−(2−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)−4−メチル−1H−イミダゾール
2−クロロ−5−ニトロアニソール(187mg、1mmol)、4−メチル−1H−イミダゾール(335mg、4mmol)および水酸化カリウム(99mg、1.5mmol)のDMSO(0.86mL)溶液を窒素雰囲気下、80℃で5時間攪拌した。20℃に冷却後、反応液を氷水上に注いだ。沈殿物が形成され、懸濁液を15分間攪拌した。固体を濾取し、水で洗浄し、ジクロロメタンに溶解させ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧留去して黄色固体を得た。粗生成物をジクロロメタン/メタノール(19:1 v/v)を溶離液とするシリカゲル上で精製して標記化合物(106mg、45%)を淡黄色固体として得た。あるいは、生成物を粗物質から、ジエチルエーテルから結晶化することもできる。
MS ISP (m/e): 234.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.97 (d, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.00 (s, 1H), 4.00 (s, 3H), 2.31 (s, 3H)。
【0070】
b) 3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミン
エタノール(110mL)に溶解した1−(2−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)−4−メチル−1H−イミダゾール(2.52g、10.8mmol)を水素雰囲気下20℃で3.5時間、10%パラジウム担持炭(0.25g)の存在下で攪拌した。触媒を濾別し、エタノールで洗浄した。濾液の溶媒を減圧留去した。粗生成物をジクロロメタン/メタノール(19:1 v/v)を溶離液とするシリカゲル上で精製した。生成物を含有する画分をジエチルエーテルに懸濁させ、15分間攪拌し、濾過し、乾燥させて標記化合物(1.72g、78%)を黄色固体として得た。
MS ISP (m/e): 204.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.48 (s, 1H), 6.91 (d, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.35 (s, 1H), 6.17 (d, 1H), 3.68 (s, 3H), 2.11 (s, 3H)。
【0071】
c) (4,6−ジメトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
酢酸パラジウム(5.0mg、0.022mmol)および(2−ビフェニリル)ジシクロヘキシルホスフィン(16mg、0.046mmol)をジオキサン(2mL)にアルゴン雰囲気下で溶解させ、20℃で10分間攪拌した。ジオキサン3ml中の3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミン(116mg、0.57mmol)、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(100mg、0.57mmol)および炭酸カリウム(1.57g、11.4mmol)を含有するフラスコにこの溶液を窒素雰囲気下20℃で加えた。得られた混合物をアルゴン下で終夜還流させ、飽和塩化ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を乾燥させ、留去し、残渣をジクロロメタン/メタノール(98:2 v/v)を溶離液とするシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物(18mg、9%)を帯黄色固体として得た。
MS ISP (m/e): 343.0 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.31 (s broad, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.30 (s, 2H), 7.06 (s, 1H), 3.94 (s broad, 6H), 3.80 (s, 3H), 2.14 (s, 3H)。
【0072】
実施例2
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0073】
【化16】

【0074】
a) (4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミン(300mg、1.48mmol)のメタノール5ml溶液にトリエチルアミン(0.23ml、1.62mmol)を加えた。混合物を氷浴中で冷却し、2,4−ジクロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン(266mg、1.48mmol)を少しずつ加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾別し、乾燥させて標記化合物をわずかに帯褐色の固体(317mg、62%)として得た。
MS ISP (m/e): 345.3 (100) & 347.2 (40) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.85 (s broad, 1H), 7.78 (s broad, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.45-7.20 (m, 2H), 7.09 (s, 1H), 4.00 (s broad, 3H), 3.82 (s, 3H), 2.16 (s, 3H)。
【0075】
b) N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび4−クロロアニリンから実施例1c)と同様に標記化合物を調製した。それを収率15%で無色固体として得た。
MS ISP (m/e): 438.2 (100) & 440.3 (37) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.66 (s, 1H), 7.53 (d, 2H), 7.46 (s broad, 1H), 7.35-7.05 (m, 6H), 6.88 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.38 (s broad, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0076】
実施例3
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0077】
【化17】

【0078】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(70mg、0.2mmol)、2−ヒドロキシベンゾトリフルオリド(34mg、0.21mmol)および炭酸カリウム(31mg、0.22mmol)のアセトニトリル5ml中混合物を終夜還流させた。水を混合物に加えた。生成物を酢酸エチルで抽出し、濃縮し、ジエチルエーテルでの粉砕により精製して標記化合物を無色固体(43mg、45%)として得た。
MS ISP (m/e): 473.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.72 (d, 1H), 7.62 (t, 2H), 7.50 (s broad, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.35-7.25 (m, 2H), 7.10 (s broad, 1H), 6.85 (s broad, 1H), 4.00 (s, 3H), 3.85 & 3.05 (two s, total 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0079】
実施例4
[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0080】
【化18】

【0081】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび4−フルオロフェノールから実施例3と同様に標記化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を帯黄色固体として収率52%で得た。
MS ISP (m/e): 421.4 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.62 (s, 1H), 7.55-6.90 (m, 8H), 4.00 (s, 3H), 3.70 (s broad, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0082】
実施例5
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0083】
【化19】

【0084】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび4−クロロ−N−メチルアニリンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を無色固体として収率14%で得た。
MS ISP (m/e): 452.2 (100) & 454.2 (39)[(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.62 (s, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.30-6.80 (m, 6H), 6.85 (s, 1H), 3.95 (s broad, 3H), 3.65 (s broad, 3H), 3.51 (s, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0085】
実施例6
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(3,4,5−トリフルオロ−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0086】
【化20】

【0087】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび3,4,5−トリフルオロフェノールから実施例3と同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率25%で得た。
MS ISP (m/e): 457.5 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.64 (s, 1H), 7.55-6.85 (m, 6H), 4.02 (s, 3H), 3.71 (s broad, 3H), 3.51 (s, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0088】
実施例7
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−(4−メトキシ−6−ピペリジン−1−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−アミン
【0089】
【化21】

【0090】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよびピペリジンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率22%で得た。
MS ISP (m/e): 396.1 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.72 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.17 (d, 1H), 6.97 (d, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 3.81 (t broad, 4H), 2.30 (s, 3H), 1.75-1.65 (m 2H), 1.65-1.55 (m, 4H)。
【0091】
実施例8
6−クロロ−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N’,N’−ジメチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0092】
【化22】

【0093】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(800mg、3.94mmol)をメタノール10mlに溶解させ、氷浴中で冷却した。トリエチルアミン(0.6ml、4.33mmol)、続いて(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ジメチル−アミン(760mg、3.94mmol;Chem.Pharm.Bull. 45, 291 (1997))を加えた。得られたスラリーを0℃で1時間攪拌し、濾過して標記化合物をわずかに帯褐色の固体として収率57%で得た。
MS ISP (m/e): 360.2 (100) & 362.3 (46) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.22 (s broad, 1H), 7.90 (s broad, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.35-7.15 (m, 2H), 7.06 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.13 (s, 3H), 2.13 (s, 3H)。
【0094】
実施例9
[4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0095】
【化23】

【0096】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび2,4−ジクロロフェノールから実施例3と同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率81%で得た。
MS ISN (m/e): 471.4 (100) [(M-H)-]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.62 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.40-7.10 (m, 4H), 6.88 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.75 (s broad, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0097】
実施例10
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0098】
【化24】

【0099】
a) (4−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミンおよび2,4−ジクロロ−1,3,5−トリアジンから実施例2aと同様にこの化合物を調製した。化合物をメタノールから収率50%で沈殿させた。
MS ISP (m/e): 317.1 (100) & 319.2 (38) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.90 (s, 1H), 8.68 (s broad, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.15 (s, 3H)。
【0100】
b) [3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
(4−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび2−ヒドロキシベンゾトリフルオリドから実施例3と同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率33%で得た。
MS ISN (m/e): 441.4 (100) [(M-H)-]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.57 (s broad, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.70-6.90 (m, 8H), 6.86 (s, 1H), 3.75 and 3.13 (two broad s, total 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0101】
実施例11
N−(4−クロロ−フェニル)−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0102】
【化25】

【0103】
(4−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび4−クロロ−N−メチルアニリンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率23%で得た。
MS ISN (m/e): 420.3 (100) & 422.4 (29) [(M-H)-]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.32 (s broad, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.40 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 7.12 (s broad, 2H), 7.00 (s broad, 1H), 6.86 (s, 1H), 3.72 (s broad, 3H), 3.53 (s, 3H)。
【0104】
実施例12
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(ピリジン−3−イルオキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0105】
【化26】

【0106】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび3−ヒドロキシピリジンから実施例3と同様に標記化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を帯黄色固体として収率21%で得た。
MS ISN (m/e): 404.6 (100) [(M-H)-]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.57 (d, 1H), 8.53 (dxd, 1H), 7.65-7.50 (m, 2H), 7.40-7.30 (m, 2H), 7.25-6.90 (m, 2H), 6.86 (s, 2H), 4.01 (s, 3H), 3.73 & 3.62 (two broad s, total 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0107】
実施例13
[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0108】
【化27】

【0109】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび2−クロロ−3−ヒドロキシピリジンから実施例3と同様に標記化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を帯黄色固体として収率76%で得た。
MS ISN (m/e): 484.6 (100) [(M-H)-]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.75-7.50 (m, 3H), 7.40-6.80 (m, 5H), 3.87 & 3.73 (two s, total 3H), 3.27 & 3.22 (two s, total 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0110】
実施例14
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(2−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン
【0111】
【化28】

【0112】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび3−ヒドロキシ−2−メチルピリジンから実施例3と同様に標記化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を帯黄色固体として収率34%で得た。
MS ISP (m/e): 420.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.44 (d, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.35-7.05 (m, 4H), 6.85 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.83 & 3.58 (two broad s, total 3H), 2.48 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0113】
実施例15
[4−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0114】
【化29】

【0115】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよびシス−2,6−ジメチルモルホリンから実施例1c)と同様に標記化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を帯黄色固体として収率58%で得た。
MS ISP (m/e): 426.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.68 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.00-6.90 (m, 2H), 6.87 (s, 1H), 4.60 (d broad, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.70-3.50 (m, 2H), 2.62 (t broad, 2H), 2.30 (s, 3H), 1.24 (d, 6H)。
【0116】
実施例16
[4−イソプロポキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0117】
【化30】

【0118】
a) (4−クロロ−6−イソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミンおよび2,4−ジクロロ−6−イソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン(Synth. Commun. 24, 2153 (1994))から実施例2aと同様に標記化合物を調製した。化合物をメタノールからわずかに帯褐色の固体として収率41%で結晶化した。
MS ISN (m/e): 373.3 (100) & 375.4 (33) [(M-H)-]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.78 (s broad, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.63 (s broad, 1H), 7.40-7.20 (m, 2H), 7.08 (s, 1H), 5.28 (sept, 1H), 3.80 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 1.35 (d, 6H)。
【0119】
b) [4−イソプロポキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
(4−クロロ−6−イソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび2−ヒドロキシベンゾトリフルオリドから実施例3と同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率99%で得た。
MS ISP (m/e): 501.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.60 (s, 1H), 7.55-7.30 (m, 4H), 7.15-6.85 (m, 3H), 6.85 (s, 1H), 5.20 (m, 1H), 3.52 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 1.36 (d; 6H)。
【0120】
実施例17
N−(4−クロロ−フェニル)−6−イソプロポキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0121】
【化31】

【0122】
(4−クロロ−6−イソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび4−クロロ−N−メチルアニリンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより標記化合物を無色固体として収率27%で得た。
MS ISP (m/e): 480.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.60 (s, 1H), 7.40-7.35 (m, 4H), 7.27 (d, 2H), 7.15-6.90 (m, 3H), 6.85 (s, 1H), 5.21 (s broad, 1H), 4.40-3-30 (s very broad, 3H), 3.51 (s, 3H), 2.30 (s, 3H), 1.36 (s broad, 6H)。
【0123】
実施例18
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−(4−メトキシ−6−メチル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−アミン
【0124】
【化32】

【0125】
a) 2−クロロ−4−メトキシ−6−メチル−[1,3,5]トリアジン
2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(1.0g、5.56mmol)のジオキサン10ml溶液をジメチル亜鉛のトルエン中1.2モル溶液(4.63ml、5.56mmol)で処理した。混合物を室温で終夜攪拌し、水100mlに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。ヘプタン/酢酸エチル9:1 v/vを使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物(225mg、25%)を無色固体として得た。
MS (m/e): 159.0 (32) [(M+)]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 4.00 (s, 3H), 2.51 (s, 3H)。
【0126】
b) [3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−(4−メトキシ−6−メチル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミンおよび2−クロロ−4−メトキシ−6−メチル−[1,3,5]トリアジンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2(Isolute)上のクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物をわずかに帯黄色の固体として収率32%で得た。
MS ISP (m/e): 480.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.69 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.21 (d, 1H), 7.08 (dxd, 1H), 6.88 (s, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 2.48 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0127】
実施例19
(4,6−ジイソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0128】
【化33】

【0129】
2−プロパノール(321mg、5.34mmol)に金属ナトリウム(9mg、0.39mmol)を加えた。得られたアルコラート溶液を(4−クロロ−6−イソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(100mg、0.27mmol)で処理し、得られた混合物を3時間還流させた。水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。粗物質を酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を無色固体(71mg、67%)として得た。
MS ISP (m/e): 399.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.63 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.25-7.15 (m, 2H), 7.08 (dxd, 1H), 6.87 (s, 1H), 5.32 (sept., 2H), 3.86 (s, 3H), 2.30 (s, 3H); 1.40 (d, 12H)。
【0130】
実施例20
6−メトキシ−N−(2−メトキシ−エチル)−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0131】
【化34】

【0132】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよびN−(2−メトキシエチル)メチルアミンから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。それを酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2(Isolute)上のクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物をわずかに帯黄色の固体として収率51%で得た。
MS ISP (m/e): 400.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.78 & 7.65 (two s, total 1H), 7.63 (d, 1H), 7.16 (d, 1H), 7.05-6.95 (m, 2H), 6.87 (s, 1H), 3.96 & 3.94 (two s, total 3H), 3.85 (s, 3H), 3.90-3.75 (m, 2H), 3.15-3.05 (m, 2H), 3.36 & 3.35 (two s, total 3H), 3.26 & 3.23 (two s, total 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0133】
実施例21
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸エチルエステル
【0134】
【化35】

【0135】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(100mg、0.29mmol)および2−(ピペリジン−4−イル)酢酸エチル塩酸塩(63mg、0.30mmol)のメタノール3ml懸濁液をトリエチルアミン(0.13ml、0.92mmol)で処理した。混合物を室温で3時間攪拌し、濃縮し、生成物を酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製した。標記化合物を無色固体(137mg、99%)として単離した。
MS ISP (m/e): 482.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.68 (d, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.16 (d, 1H), 7.00-6.90 (m, 2H), 6.87 (s, 1H), 4.79 (d broad, 2H), 4.15 (qa, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 2.92 (t broad, 2H), 2.35-2.20 (m, 5H), 2.20-2.00 (m, 1H), 1.81 (d broad, 2H), 1.35-1.15 (m, 5H)。
【0136】
実施例22
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N’,N’−ジメチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0137】
【化36】

【0138】
6−クロロ−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N’,N’−ジメチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(100mg、0.28mmol)をN−メチルピペリジン(0.31ml、2.78mmol)で処理した。混合物を50℃に30分間加熱し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーによる精製により標記化合物(114mg、97%)を帯黄色ゴムとして得た。
MS ISP (m/e): 424.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.79 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.93 (dxd, 1H), 6.86 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 3.90-3.80 (m, 7H), 3.15 (s, 6H), 2.43 (t broad, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0139】
実施例23
[4,6−ビス−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0140】
【化37】

【0141】
a) (4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミン(1.0g、4.92mmol)およびトリエチルアミン(0.75ml、5.42mmol)のメタノール15ml溶液を氷浴中で冷却し、塩化シアヌル(889mg、4.82mmol)を少しずつ加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。沈殿物の濾過により標記化合物(1.115g、65%)をわずかに帯褐色の固体として得た。
MS ISP (m/e): 351.2(100) & 353.1 (56) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 11.29 (s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.29 (dxd, 1H), 7.13 (s, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.16 (s, 3H)。
【0142】
b) [4,6−ビス−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
2−ヒドロキシベンゾトリフルオリド(95mg、0.59mmol)および炭酸カリウム(87mg、0.63mmol)のアセトニトリル10ml中混合物を(4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンで処理した。懸濁液を終夜還流させ、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記化合物(17mg、10%)をわずかに帯褐色の固体として得た。
MS ISP (m/e): 603.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.69 (d, 2H), 7.65-7.50 (m, 3H), 7.45-7.20 (m, 5H), 7.04 (d, 1H), 6.84 (d, 2H), 3.56 & 3.49 (two s, total 3H), 2.28 (s, 3H)。
【0143】
実施例24
3−({4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−メチル−アミノ)−プロパン−1,2−ジオール
【0144】
【化38】

【0145】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(100mg、0.29mmol)および3−メチル−1,2−プロパンジオール(606mg、5.76mmol)の混合物を60℃で2時間加熱した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮し、ジエチルエーテル中での粉砕により標記化合物(85mg、71%)をわずかに帯褐色の固体として単離した。
MS ISP (m/e): 416.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.75-7.60 (m, 1H), 7.20-7.00 (m, 3H), 6,87 (s broad, 1H), 4.05-3.90 (m, 3H), 3.84 (s, 3H), 3.90-3.40 (m, 7H), 3.26 & 3.24 (two s, total 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0146】
実施例25
[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0147】
【化39】

【0148】
4−クロロベンジルアルコール(45mg、0.32mmol)のテトラヒドロフラン10ml溶液に金属ナトリウム(7mg、0.30mmol)を加えた。ナトリウムが溶解するまで混合物を攪拌した。(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(100mg、0.29mmol)を加え、混合物を4時間還流させ、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。生成物を酢酸エチルを溶媒とするSi−NH2(Isolute)上のクロマトグラフィーで精製して標記化合物(26mg、20%)を無色固体として得た。
MS ISP (m/e): 453.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.64 (s, 1H), 7.50 (s broad, 1H), 7.45-7.25 (m, 5H), 7.20 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 6.88 (s, 1H), 5.41 (s, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0149】
実施例26
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸
【0150】
【化40】

【0151】
4−ピペリジン酢酸塩酸塩(381mg、2.12mmol)をメタノール10mlに懸濁させた。トリエチルアミン(0.9ml、6.45mmol)、続いて(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(700mg、2.02mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜攪拌し、濃縮し、ジクロロメタン/メタノール95:5 v/vを溶離液とするSi−NH2(Isolute)上のカラムクロマトグラフィーに供した。単離された物質を水中での数回の粉砕によりさらに精製して最終化合物(792mg、87%)をわずかに帯褐色の固体として得た。
MS ISN (m/e): 452.2 (100) [(M-H)-]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 12.20 (s broad, 1H), 9.72 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.30-7.15 (m, 2H), 7.04 (s, 1H), 4.65 (s broad, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.10-2.80 (m, 2H), 2.19 (d, 2H), 2.14 (s, 3H), 2.05-1.90 (m, 1H), 1.74 (d broad, 2H), 1.25-1.05 (m, 2H)。
【0152】
実施例27
(1−{4−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−2−メトキシ−フェニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−メタノール
【0153】
【化41】

【0154】
a) [1−(2−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−メタノール
1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロ−ベンゼン(1.0g、5.8mmol)、(1H−イミダゾール−4−イル)−メタノール(602mg、6.1mmol)および炭酸セシウム(2.86g、8.8mmol)のアセトニトリル40ml中混合物を終夜還流させた。反応混合物を減圧濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより標記化合物を帯黄色固体として得た。
MS ISP (m/e): 250.1 (51) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.00-7.85 (m, 3H), 7.45 (d, 1 H), 7.26 (d, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.01 (s, 3H)。
【0155】
b) [1−(4−アミノ−2−メトキシ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−メタノール
[1−(2−メトキシ−4−ニトロ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−メタノール(500mg、2.0mmol)および塩化第一スズ(II)二水和物(2.35g、10.4mmol)を酢酸エチル40mlおよびメタノール20mlの混合物に懸濁させた。反応混合物を1時間還流させ、室温に冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈した。酢酸エチルでの抽出により標記化合物(311mg、71%)を帯黄色粘稠油状物として得た。
MS ISP (m/e): 220.1 (46) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.61 (s, 1H), 7.01 (d, 2 H), 6.35-6.25 (m, 2H), 4.66 (s, 2H), 3.85 (s broad, 2H), 3.77 (s, 3H)。
【0156】
c) {1−[4−(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−2−メトキシ−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−メタノール
[1−(4−アミノ−2−メトキシ−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−メタノール、トリエチルアミンおよび2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンから実施例8と同様にこの化合物を調製した。標記化合物を帯褐色固体として収率61%で単離した。
MS ISN (m/e): 361.3 (100) & 363.4 (34) [(M-H)-]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.86 (s broad, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.45-7.25 (m, 2H), 7.22 (s, 1H), 4.93 (t broad, 1H), 4.39 (d broad, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.82 (s, 3H)。
【0157】
d) (1−{4−[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ]−2−メトキシ−フェニル}−1H−イミダゾール−4−イル)−メタノール
{1−[4−(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミノ)−2−メトキシ−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−メタノールおよび2−クロロ−3−ヒドロキシピリジンから実施例3と同様にこの化合物を調製した。標記化合物をわずかに帯褐色の固体として収率43%で単離した。
MS ISP (m/e): 220.1 (46) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.50 (s broad, 1H), 8.39 (dxd, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.90-7.65 (m, 2H), 7.65-7.50 (m, 1H), 7.40-7.10 (m, 2H), 4.39 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.80 (s broad, 3H)。
【0158】
実施例28
[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−アミン
【0159】
【化42】

【0160】
a) (4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−アミン
4−(イミダゾール−1−イル)アニリン、トリエチルアミンおよび2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジンから実施例8と同様にこの化合物を調製した。標記化合物をわずかに帯褐色の固体として収率84%で単離した。
MS ISP (m/e): 303.3 (100) & 305.2 (47) [(M+H)+]。
1H NMR (DMSO-D6, 300 MHz): δ (ppm) = 10.82 & 10.70 (two broad s, total 1H), 8.22 (s, 1H), 7.90-7.60 (m, 5H), 7.11 (s, 1H), 3.97 (s, 3H)。
【0161】
b) [4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−アミン
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−アミンおよび2−クロロ−3−ヒドロキシピリジンから実施例3と同様にこの化合物を調製した。標記化合物を無色固体として収率37%で単離した。
MS ISP (m/e): 396.1 (100) & 398.2 (44) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.37 (d, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.60 (dxd, 1H), 7.45-7.30 (m, 4H), 7.30-7.20 (m, 3H), 4.00 (s, 3H)。
【0162】
実施例29
(S)−2−({4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−メチル−アミノ)−2−フェニル−エタノール
【0163】
【化43】

【0164】
a) (R)−2−メチルアミノ−2−フェニル−エタノール
水素化アルミニウムリチウム(1.84g、43mmol)をテトラヒドロフラン30mlに懸濁させ、氷浴中で冷却した。(R)−メチルアミノ−フェニル酢酸(1.0g、6mmol)のテトラヒドロフラン10ml溶液を20分間かけてゆっくりと加えた。得られた混合物を0℃で1時間、室温で4時間攪拌した後、終夜還流させた。混合物を冷却し、15%水酸化ナトリウム水溶液50mlの添加により慎重に加水分解した。酢酸エチルでの抽出により得た粗油状物をヘプタン/酢酸エチル9:1 v/vを使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物をわずかに帯黄色の油状物(0.36g、収率=39%)として得た。
MS ISP (m/e): 152.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.40-7.25 (m, 5H), 3.75-3.35 (m, 3H), 2.36 (s, 3H), 1.80 (s broad, 2H)。
【0165】
b) (S)−2−({4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−メチル−アミノ)−2−フェニル−エタノール
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンおよび(R)−2−メチルアミノ−2−フェニル−エタノールから実施例1cと同様にこの化合物を調製した。酢酸エチルを溶離液とするSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーによる精製により標記化合物を無色固体として収率32%で得た。
MS ISP (m/e): 462.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.80-6.80 (m, 10H), 6.23 (d broad, 1H), 4.35-4.05 (m, 2H), 3.97 (d, 3H), 3.85-3.65 (m, 3H), 2.99 (d, 3H), 2.28 (s, 3H), 1.61 (s broad, > 1H)。
【0166】
実施例30
2−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−プロパン−2−オール
【0167】
【化44】

【0168】
a) 4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−カルボン酸メチルエステル
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(0.35g、1.0mmol)のメタノール7mlおよび酢酸エチル3.5mlの混合物中溶液をトリエチルアミン(0.21ml、1.5mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムジクロロメタン錯体(70mg、0.09mmol)で処理した。混合物をオートクレーブに移し、一酸化炭素で流し、一酸化炭素5バールの圧力下80℃で20時間保持した。冷却し、一酸化炭素を排気した後、混合物を約2mlに濃縮し、酢酸エチル/メタノール9:1 v/vの混合物で再度希釈した。冷蔵庫中で17時間冷却した後、標記化合物を濃黄色固体として沈殿させた。収率=55%。
MS ISP (m/e): 371.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.80-7.50 (m, 2H), 7.22 (s, 1H), 7.08 (s broad, 1H), 6.89 (s, 1H), 4.12 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0169】
b) 2−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−プロパン−2−オール
4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−カルボン酸メチルエステル(105mg、0.28mmol)のテトラヒドロフラン2ml中スラリーを室温で塩化メチルマグネシウム(0.5ml、1.5mmol)のテトラヒドロフラン中3M溶液により処理した。室温で90分間攪拌後、水20mlの添加により不均一混合物を加水分解した。混合物を酢酸エチルで抽出し、最終生成物をシクロヘキサン/酢酸エチル(60〜100%酢酸エチル勾配)を使用するSi−NH2ゲル(Isolute)上のクロマトグラフィーにより精製した。標記化合物を無色固体として収率43%で単離した。
MS ISP (m/e): 371.2 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.67 (s, 1H), 7.40 (s broad, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.10 (s broad, 1H), 6.90 (s, 1H), 4.22 (s broad, 1H), 4.07 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 1.56 (s, 6H)。
【0170】
実施例31
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N’,N’−ジメチル−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
【0171】
【化45】

【0172】
アセトニトリル7ml中6−クロロ−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N’,N’−ジメチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(200mg、0.56mmol)を2−ヒドロキシ−ベンゾトリフルオリド(95mg、0.59mmol)および炭酸カリウム(85mg、0.62mmol)で処理した。得られた混合物を5日間攪拌還流させた。次に混合物を水25mlで希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを溶媒とするシリカゲル上のクロマトグラフィー、引き続くメタノールからの結晶化により標記化合物を無色固体(42mg、16%)として得た。
MS ISP (m/e): 486.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.69 (d, 1H), 7.65-7.55 (m, 3H), 7.40-7.30 (m, 2H), 7.10 (d, 1H), 7.00 (s, 1H), 6.93 (d broad, 1H), 6.85 (s, 1H), 3.73 (s broad, 2H), 3.21 (s, 3H), 3.09 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0173】
実施例32
[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0174】
【化46】

【0175】
(4−クロロ−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(150mg、0.43mmol)、4−フルオロベンゼンボロン酸(67mg、0.48mmol)、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(20mg、0.02mmol)および炭酸ナトリウム(92mg、0.87mmol)のジオキサン3ml中混合物を終夜還流させた。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して標記化合物を無色固体(84mg、収率=47%)として得た。
MS ISP (m/e): 486.3 (100) [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 8.49 (t broad, 2H), 7.69 (d, 2H), 7.40 (s broad, 1H), 7.25-7.10 (m, 4H), 6.91 (s, 1H), 4.12 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 2.32 (s, 3H)。
【0176】
実施例33
[4−クロロ−6−(4−クロロ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
【0177】
【化47】

【0178】
a) 2,4−ジクロロ−6−(4−クロロ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン
塩化4−クロロベンジル(3.94g、24.0mmol)のジエチルエーテル(60mL)溶液のアリコート(12mL)を削り状マグネシウム(0.58g、24mmol)およびジエチルエーテル(20mL)の混合物に加えた。混合物を加熱還流させ、続いて残留溶液を20〜30℃で1時間かけて滴下した。攪拌を20℃で2時間続けた後、この新たに調製したグリニャール溶液を10〜15℃で15分かけて、氷浴中で冷却した塩化シアヌル(3.76g、20mmol)のトルエン(40mL)溶液に滴下した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、2時間かけて20℃に昇温した。攪拌を20℃で15時間続けた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液上に注ぎ、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。残渣をヘプタン(20mL)と共に20℃で30分間攪拌した。形成された固体を濾過により単離して標記化合物(2.4g、44%)を淡黄色固体として得た。1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.31 (s, 4H), 4.14 (s, 2H)。
【0179】
b) [4−クロロ−6−(4−クロロ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミン(0.61g、3.0mmol)およびトリエチルアミン(0.36ml、0.26mmol)のメタノール15ml溶液に2,4−ジクロロ−6−(4−クロロ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン(0.78g、2.8mmol)を5℃で加えた。混合物を5℃で1時間攪拌した後、減圧留去した。残留物質をヘプタン/0〜100%酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して標記化合物(0.53g、40%)を黄色粘稠油状物として得た。
MS ISP (m/e): 441.2 [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.67 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.30 (m, 4H), 7.20 (d, 1H), 7.02 (dd, 1H), 6.89 (s, 1H), 4.03 (s broad, 2H), 3.85 (s broad, 3H), 3.72 (s broad, 3H), 2.30 (s, 3H)。
【0180】
実施例34
4−(4−クロロ−ベンジル)−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−カルボン酸メチルエステル
【0181】
【化48】

【0182】
[4−クロロ−6−(4−クロロ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン(0.60g、1.36mmol)から実施例30aと同様にこの化合物を調製した。粗生成物をヘプタン/0〜80%酢酸エチルを溶離液とするシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して標記化合物(0.41g、64%)を黄色固体として得た。
MS ISP (m/e): 465.3 [(M+H)+]。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ (ppm) = 7.66 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.30 (m, 4H), 7.20 (d, 1H), 6.98 and 7.05 (2 dd, 1H), 6.88 (s, 1H), 4.19 and 4.02 (2 s broad, 2H), 4.01 and 3.97 (2 s broad, 3H), 3.80 and 3.70 (2 s broad, 3H), 2.30 (s, 3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化49】


(式中、
は、水素、低級アルキルであるか、またはヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
は、水素、低級アルコキシまたは低級アルキルであり;
/Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級アルキル、C(O)O−低級アルキル、OR’、NR’’R’’’、ハロゲンもしくはヒドロキシで置換されている低級アルキルであるか、または場合により1個もしくは2個のハロゲン原子で置換されているフェニルもしくはベンジルであり;
R’は、低級アルキルであるか、またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニルであり、それらの環は、場合により1個以上のハロゲン、低級アルキルもしくはフルオロで置換されている低級アルキルで置換されており;
R’’は、水素または低級アルキルであり;
R’’’は、低級アルキル、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されている低級アルキル、CH(CHOH)−フェニルであるか、または−(CHO−低級アルキルであるか、またはハロゲンで置換されているフェニルであるか、あるいは、
R’’およびR’’’は、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個以上の低級アルキル、CHC(O)O−低級アルキルまたはCHC(O)OHで置換されている複素環を形成し;
Arは、5員のヘテロアリール基である)
の化合物または薬学的に活性な酸付加塩。
【請求項2】
Arが、イミダゾール−1−イルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
またはRの一方が、NR’’R’’’であり、R’’およびR’’’が、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個以上の低級アルキル、CHC(O)O−低級アルキルまたはCHC(O)OHで置換されている複素環を形成する、請求項2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
化合物が、
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−(4−メトキシ−6−ピペリジン−1−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−アミン、
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸エチルエステルまたは
(1−{4−メトキシ−6−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニルアミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−ピペリジン−4−イル)−酢酸
である、請求項3記載の式Iの化合物。
【請求項5】
またはRの一方が、OR’である、請求項2記載の式Iの化合物。
【請求項6】
化合物が、
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン、
[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン、
[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[4−メトキシ−6−(3,4,5−トリフルオロ−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミン、
[4−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン、
[4−(2−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン、
[4−イソプロポキシ−6−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン、
(4,6−ジイソプロポキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン、
[4,6−ビス−(2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミンまたは
[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−6−メトキシ−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−アミン
である、請求項5記載の式Iの化合物。
【請求項7】
またはRの一方が、NR’’R’’’であり、R’’が、Hまたは低級アルキルであり、R’’’が、低級アルキル、1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換された低級アルキルであるか、または−(CHOCHであるか、またはハロゲンで置換されたフェニルである、請求項2記載の式Iの化合物。
【請求項8】
化合物が、
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン、
N−(4−クロロ−フェニル)−6−メトキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン、
N−(4−クロロ−フェニル)−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミンまたは
N−(4−クロロ−フェニル)−6−イソプロポキシ−N’−[3−メトキシ−4−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−フェニル]−N−メチル−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン
である、請求項7記載の式Iの化合物。
【請求項9】
請求項1〜8に定義された式Iの化合物を製造するための方法であって、工程
a)式:
【化50】


の化合物を、式:
【化51】


の化合物と反応させ、式I:
【化52】


(式中、置換基は請求項1で定義された通りである)
の化合物とすること、または、
b)式VI:
【化53】


の化合物を、式:
【化54】


の化合物と反応させ、式I:
【化55】


(式中、置換基は請求項1で定義された通りである)
の化合物とすること、または、
c)式V:
【化56】


の化合物を、式:
【化57】



の化合物と反応させ、式I:
【化58】


の化合物とし、所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容される酸付加塩に変換することを含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法または同等の方法によって製造される、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物の1個以上および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬。
【請求項12】
アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症またはダウン症の処置のための、請求項11記載の医薬。
【請求項13】
アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血(HCHWA−D)、多発梗塞性認知症、ボクサー認知症またはダウン症の処置のための医薬の製造のための、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項14】
本明細書の先に記載された発明。

【公表番号】特表2012−504575(P2012−504575A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529527(P2011−529527)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062570
【国際公開番号】WO2010/040661
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】