説明

アミンとグアニジン誘導体との混合物

本発明の対象は、少なくとも3つの硬化剤成分a1)、a2)およびb)を含有する混合物、この場合、硬化剤成分a1)とa2)との比は、0.1〜10対1の範囲内にあり、および硬化剤成分b)は、該混合物に対して5〜55質量%が含有されているものとし、この混合物の製造法、エポキシ樹脂を硬化させるための本発明による混合物の使用、接着剤としてのエポキシ樹脂を有する本発明による混合物の使用ならびに本発明による混合物で硬化されたエポキシ樹脂に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、少なくとも3つの硬化剤成分a1)、a2)およびb)を含有する混合物、この場合硬化剤成分a1)とa2)との比は、0.1〜10対1の範囲内にあり、および硬化剤成分b)は、該混合物に対して5〜55質量%含有されているものとし、前記混合物の製造法、エポキシ樹脂を硬化させるための本発明による混合物の使用、接着剤としてのエポキシ樹脂を有する本発明による混合物の使用ならびに本発明による混合物で硬化されたエポキシ樹脂に関する。
【0002】
エポキシ樹脂のアミン硬化は、多種多様の範囲で利用されている。即ち、エポキシ樹脂のアミン硬化は、接着剤の際に、特殊な金型内で注型樹脂を硬化させるため、ならびに環境から保護すべき表面および構成部材を封止するために使用される。
【0003】
エポキシ樹脂のアミン硬化の1つの特殊な大きな使用分野は、繊維強化プラスチックの製造である。繊維強化プラスチックは、自動車、航空機、船舶およびボート、スポーツ用品および風力タービンの回転翼のための構成材料として使用される。
【0004】
大型の構造部材の製造には、硬化剤または硬化剤混合物に対して特殊な要件が課されており、それというのも、加工時間中に、繊維が十分に湿潤されないかまたは金型が完全には充填されず、その後にエポキシ樹脂がもはや加工不可能になるように粘度を著しく上昇させてはならないからである。同時に、サイクル時間(加工および硬化)は、不利に影響を及ぼされてはならない。従って、エポキシ樹脂の硬化をそれぞれの系中で正確に制御しおよび調節する状態にある混合物に対する多大な需要が存在する。
【0005】
H.Kleinは、"Huntsman Amine Overview",Huntsman,June 19,2007,Beijing Epoxy Conferenceにおいて、如何にして第1ジアミンおよび第2ジアミンならびにポリエーテルアミンを一般にエポキシ樹脂の硬化のために使用することができるのかを記述している。しかし、3つの異なる硬化剤成分a1)、a2)およびb)からなる混合物、この場合、a1)とa2)との比は、0.1〜10対1の範囲内にあるものとし、は、記載されていない。
【0006】
B.Burton,D.Alexander,H.Klein,A.Garibay VasquezおよびC.Henkeeは、製品用パンフレット"Epoxy formulations using Jeffamine Polyetheramines",Huntsman,April 21,2005にポリエーテルアミンまたはポリエーテルアミンと別のジアミン、例えばイソホロンジアミン(IPDA)との混合物をエポキシ樹脂のアミン硬化の特殊な形として化学量論的に使用することを記述している。この場合には、アミンまたはアミン混合物が硬化直前にエポキシ樹脂に添加され、実際にエポキシド中の活性のエポキシド官能基と同様にアミン混合物中の大量の活性アミン官能基を含有する量で添加されるような二成分系が問題である。
【0007】
ポリエーテルアミンとIPDAとからなる硬化剤調製物においては、IPDAは、一面で硬化のよりいっそう高い速度を生じさせ、他面、硬化された樹脂中でよりいっそう高いガラス転移温度が観察され、このことは、純粋なポリエーテルアミンでの比較可能な温度の際の硬化の場合よりも、若干の使用の際、例えば回転翼の製造の際に要求される、硬化された製品の高い温度安定性を生じる。
【0008】
しかし、ポリエーテルアミンによるエポキシ樹脂の硬化と比較して、IPDAの添加は、硬化された樹脂のよりいっそう高いガラス転移温度と共に、急速な硬化を必然的に引き起こし、このことは、粘度の急速な上昇に付随して現れる。それによって、エポキシ樹脂と硬化剤/硬化剤混合物とからなる配合物がなお加工可能である時間が減少される。従って、このような硬化剤混合物系の場合の欠点は、大型の構造部材、例えば回転翼の製造がもしかすると成功しないことである。それというのも、粘度の発生に基づく注入プロセスが不完全に残っているからである。
【0009】
アミンでのエポキシ樹脂の化学量論的硬化の速度は、配合物に促進剤として機能する第三アミンが添加されることにより、上昇されてもよい。また、この添加は、多くの場合に室温での粘度の急速な上昇をまねき、およびよりいっそう短い可使時間をまねく。可使時間またはゲル化時間の概念は、種々の樹脂/硬化剤および/または樹脂/硬化剤混合物の組合せの反応性を比較するために通常利用される特性値である。可使時間/ゲル化時間(To)の測定は、ASTM D 2471−99の規定により記載され、温度測定により積層系の反応性を特性決定するための方法である。そこに記載されたパラメーター(量、試験条件および試験方法)のずれは、使用に応じて確立され、可使時間A(ToA)および可使時間B(ToB)を生じる。
【0010】
この場合、可使時間A(ToA)は、次のように測定される:
エポキシ樹脂および硬化剤または硬化剤混合物を含有する配合物100gは、容器(通常はカートン)中に充填される。この配合物中には、温度センサーが浸漬され、この温度センサーは、一定の時間間隔で温度を測定し、および記憶する。この配合物が凝固すると直ちに測定は、終結され、最大温度が達成されるまでの時間が算出される。配合物の反応性が僅すぎる場合には、この測定は、高められた温度で実施される。可使時間と共に、試験温度も常に報告されなければならない。
【0011】
可使時間(ToB)は、次のように測定される:
エポキシ樹脂および硬化剤/硬化剤混合物を含有する配合物5gは、5mlのペニシリン瓶中に所定の試験温度(断熱されていない)で充填される。この配合物中に円形の試験用ダイ(直径11.8mm)を上下移動させる(1mm/秒)。相応する抵抗値(約5kPa)が達成されたら、ストップウォッチを止める。
【0012】
このような上記の促進剤の例として、米国特許第4948700号明細書、第10欄には、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよびテトラメチルグアニジンが挙げられている。エポキシ樹脂混合物の硬化剤としてのテトラアルキルグアニジンおよびペンタアルキルグアニジンの原理的な適性は、米国特許第3308094号明細書中に記載されている。また、極めて僅かな触媒活性を有する第三アミンとしてのテトラメチルグアニジンの使用は、米国特許第6743375号明細書、第19欄中に述べられている。しかし、米国特許第6743375号明細書は、当業者にテトラメチルグアニジンが比較的緩徐な促進剤であることを教示する。それらの比が互いに0.1〜10対2の範囲内にある、2つの他の硬化剤成分a1)およびa2)を含有する混合物中でのテトラメチルグアニジンの使用は、記載されていない。
【0013】
アミンでのエポキシドの硬化は、なかんずく注入技術で使用される。この場合、ジエポキシ樹脂およびポリエポキシ樹脂は、アミンおよびポリエーテルアミンと注入工程直前に混合され、配合物に変わり、この配合物は、20℃〜50℃の温度でそれぞれの金型内に吸い込まれ、その後に55℃〜90℃の金型温度で反応され、それによって配合物の硬化を生じる。この場合、全プロセスの速度は、注入工程の時間、固有の注入および硬化の時間に依存する。注入工程は、配合物の粘度が僅かになればなるほど、ますます速やかに行なうことができる。所定の配合物の粘度は、注入工程中の温度の上昇によって減少させることができ、それによってこの注入工程は、原理的に早くなる。勿論、粘度を減少させるための注入工程中の温度の上昇は、反応性のアミン、例えばポリエーテルアミンが僅かである場合にのみ有意義である。僅かであるアミン、例えばポリエーテルアミンを単独で使用することの欠点は、この成分とエポキシ樹脂との反応が緩徐であり、それによって硬化工程が緩徐に行なわれることである。硬化の時間は、特に反応性のアミン、例えばIPDAを使用することによって短縮させることができる。勿論、この反応性アミンが存在する場合には、注入は、低い温度で行なわなければならず、それというのも、ポリエーテルアミンとIPDAとからなる混合物の粘度は、40℃を上廻る温度で、繊維マットの完全な含浸をもはや保証することができないように急速に上昇するからである。
【0014】
大型の構造部材の生産のために"ヴァキュームアシステッドレジントランスファーモールディング(VARTM)"のような注入技術を使用する場合には、エポキシ樹脂およびアミンを含有する配合物の長い可使時間は、問題のない注入工程を保証するために、室温で数時間の範囲が必要とされうる。この長い可使時間は、WO−A 2004/020506、第14〜17頁の記載と同様に、僅かに反応性のポリエーテルアミンを使用することによって達成されうる。大型の構造部材の場合に注入技術のために活性の硬化剤、例えばIPDAを専ら使用することは、公知技術水準から公知ではない。専ら僅かに反応性のポリエーテルアミンを注入技術に使用することの欠点は、高められた温度で硬化時間が極めて長いことであり、これは、生産性の向上を妨げ、同時に高められたエネルギー使用を必要とする。
【0015】
配合物の粘度が注入工程中に低い場合、または注入工程が、エポキシ樹脂、ポリエーテルアミンおよびIPDAからなるこれまでに公知の配合物の場合よりも高い温度、ひいては低い粘度の際に改善された配合物の長い可使時間によって制限されて行なわれうる場合には、注入工程は、エポキシ樹脂およびアミンを含有する配合物を用いて改善される。
【0016】
このような成形体を製造するための改善された方法の課題は、例えば60℃またはそれ以上の温度で公知技術水準と比較可能またはそれを上廻る硬化時間を示すことであろう。このような方法は、まさに大型の構造部材の完成に極めて好適であろう。それというのも、比較可能またはそれより短い硬化速度の場合には、加工時間は室温で延長されるかまたは加工は高い温度で可能であろうからである。この場合には、配合物の早期の硬化を生ぜず、それによって、完全で均一な硬化が可能であろう。
【0017】
従って、本発明の課題は、エポキシ樹脂および前記混合物を含有する配合物中に導入した際に、硬化速度を上昇させることを可能にし、金型の完全な充填および場合によっては存在する繊維材料の均一な含浸をもはや不可能にするように同時に加工中の配合物の粘度増加を生じることのない、混合物を提供することである。
【0018】
この課題は、硬化剤成分a1)、硬化剤成分a2)および硬化剤成分b)を含有する混合物によって解決され、この混合物は、
硬化剤成分a1)として2以上の官能性を有する少なくとも1つのポリエーテルアミンが使用され、
硬化剤成分a2)として2以上の官能性を有する少なくとも1つの他のアミンが使用され、および
硬化剤成分b)として式I
【化1】

〔式中、R1〜R3、R5およびR6は、互いに独立に、水素および1〜20個のC原子を有する有機基の群から選択され、R4は、1〜20個のC原子を有する有機基および−C(NH)NR5R6−基の群から選択される〕で示される化合物、前記混合物に対して、5〜55質量%が使用され、
この場合、a1)対a2)の比は、0.1〜10対1の範囲内にあることによって特徴付けられる。
【0019】
硬化剤成分a1)として、3,6−ジオキサ−1,8−オクタジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、4,7−ジオキサ−1,10−デカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、148の平均モル質量を有する、トリエチレングリコールを基礎とするポリエーテルアミン、176の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、4000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンを基礎とする第1ポリエーテルアミン、2003の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされた、ジエチレングリコールをアミン化することによって製造された第1ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた、少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、ペンタエリトリットおよび酸化プロピレンを基礎とするポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミンおよび250の平均モル質量を有するポリTHFのアミン化によって製造された、400の平均モル質量を有するポリエーテルアミンの群から選択された、2以上の官能性を有するポリエーテルアミンが使用され、
硬化剤成分a2)として、1,12−ジアミノドデカン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンジアニリン、4−エチル−4−メチルアミノ−1−オクチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メテンジアミン、キシリレンジアミン、N−アミノエチル−ピペラジン、ネオペンタンジアミン、ノルボルナンジアミン、オクタンメチレンジアミン、ピペラジン、4,8−ジアミノ−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン、トリレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンの群から選択された、2以上の官能性を有する他のアミンが使用されることを特徴とする本発明による混合物は、好ましい。
【0020】
硬化剤成分a1)のポリエーテルアミンが230の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする、二官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする、二官能性の第1ポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする、二官能性の第1ポリエーテルアミン、酸化プロピレンでグラフトされた、220の平均モル質量を有するジエチレングリコールをアミン化することによって製造された、二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された、三官能性の第1ポリエーテルアミン、酸化プロピレンでグラフトされた、900の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1000の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、酸化ブチレンでグラフトされた、400の平均モル質量を有する少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、酸化ブチレンでグラフトされた、219の平均モル質量を有するアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された、三官能性の第1ポリエーテルアミンの群から選択されていることを特徴とする本発明による混合物は、好ましい。
【0021】
硬化剤成分b)がテトラメチルグアニジン、o−トリルグアニジン、ペンタメチルビグアニジンの群から選択されていることを特徴とする本発明による混合物は、好ましい。
【0022】
硬化剤成分a1)がポリエーテルアミン D 230、ポリエーテルアミン D 400、ポリエーテルアミン T 403、ポリエーテルアミン T 5000の群から選択され、硬化剤成分a2)がイソホロンジアミン、アミノエチルピペラジン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサンおよびトリエチレンテトラアミンの群から選択され、および硬化剤成分b)がテトラメチルグアニジンであり、および硬化剤成分a1)と硬化剤成分a2)との比が1.5〜10対1の範囲内にあることを特徴とする本発明による混合物は、好ましい。
【0023】
硬化剤成分a1)として、230の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミンが使用され、硬化剤成分a2)として、イソホロンジアミンが使用され、および硬化剤成分b)としてテトラメチルグアニジンが使用されることを特徴とする本発明による混合物は、好ましい。
【0024】
混合物がなお繊維強化性材料および/または充填剤を含有することを特徴とする、本発明による混合物は、好ましい。
【0025】
更に、本発明の対象は、硬化剤成分a1)、a2)およびb)が互いに160℃未満で混合されることを特徴とする、本発明による混合物の製造法である。
【0026】
更に、本発明の対象は、エポキシ樹脂を硬化させるための、本発明による混合物の使用である。
【0027】
プリプレグ、VARTM、フィラメント巻線、引抜成形品および湿式レイアップ系における硬化剤としての本発明による使用は、好ましい。
【0028】
更に、本発明の対象は、接着剤としてのエポキシ樹脂を用いる、本発明による混合物の使用である。
【0029】
更に、本発明の対象は、本発明による混合物を含有する接着剤である。
【0030】
更に、本発明の対象は、エポキシ樹脂と本発明による混合物とを反応させることによって得られる、硬化されたエポキシ樹脂である。
【0031】
本発明による配合物は、少なくとも1つのおよび/または複数のエポキシ樹脂および硬化剤成分a)と硬化剤成分b)とからなる混合物を含有する。この場合、使用すべきエポキシ樹脂および/またはエポキシ樹脂混合物は、有利にビスフェノール−A−ビスグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノール−F−ビスグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ビスグリシジルエーテル(DGEBS)、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)、エポキシ−ノボラク(エピクロロヒドリンとフェノール樹脂とからの反応生成物(ノボラクNovolak))および脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの群から選択されたエポキシ樹脂を含む。
【0032】
更に、エポキシ樹脂は、なお他の反応性希釈剤を含有していてもよい。この希釈剤は、1,4−ブタンジオールビスグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビスグリシジルエーテル、グリシジルネオデカノエート、グリシジルベルサテート、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8〜C10アルキルグリシジルエーテル、C12〜C14アルキルグリシジルエーテル、p−第三ブチルグリシドエーテル、ブチルグリシドエーテル、ノニルフェニルグリシドエーテル、p−第三ブチルフェニルグリシドエーテル、フェニルグリシドエーテル、o−クレシルグリシドエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジグリシドエーテル、トリメチロールプロパントリグリシドエーテル(TMP)、グリセリントリグリシドエーテルおよびトリグリシジルパラアミノフェノール(TGPAP)の群から選択されている。
【0033】
公知技術水準によれば、エポキシ樹脂を硬化させるために、殆ど化学量論的な量(エポキシ樹脂に応じて、硬化剤0.9〜1.1当量/エポキシ樹脂1当量)が使用される。しかし、本発明による混合物をエポキシ樹脂の硬化のために使用する場合には、活性のエポキシ基を反応させるために混合物のアミン官能基に必要とされるよりも10〜60モル%、特に有利に20〜40モル%少ない本発明による混合物をエポキシ樹脂に添加することは、好ましい。可使時間を向上させ、公知技術水準に属する混合物と比較してエポキシ樹脂の比較可能な硬化ないしよりいっそう良好な硬化を達成させるために、硬化剤成分a1)およびa2)に対して、使用されたエポキシ樹脂のエポキシ1当量当たり総和で0.3〜0.9アミン当量、有利に0.4〜0.7当量が混合物に添加されることは、特に好ましい。本発明による配合物のためには、硬化剤成分a)の割合は、使用されたエポキシ樹脂のエポキシド1当量当たり0.3〜0.9、有利に0.4〜0.7アミン当量である。
【0034】
本発明による配合物を製造するため、および本発明による方法のためには、前記混合物は、エポキシ樹脂と、硬化剤成分a)の初期硬化温度よりも低い温度で混合される。初期硬化温度は、2以上の官能価を有する複数の硬化剤成分の混合物中で第1の硬化剤成分がエポキシ樹脂と反応するような温度である。この温度は、DIN 53765によるDSCを用いてTROEとして算出されうる。
【0035】
この場合、本発明による配合物中の硬化剤成分a)ならびに本発明による方法のための硬化剤成分a)は、2以上の官能価を有する1つ以上のアミンを含有し、この場合少なくとも1つのアミンは、エポキシ樹脂との化学量論的混合の際にバッチ量100g中で室温で24時間未満の硬化時間を生じる。
【0036】
硬化剤成分a)に対して2以上の官能性を有するアミンは、当業者に公知の、2以上の官能性を有する全てのアミンである。このアミンは、有利に3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、4,7−ジオキサ−1,10−デカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、148の平均モル質量を有するトリエチレングリコールを基礎とするポリエーテルアミン、176の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたエチレングリコールをアミン化することによって製造された、2官能性の第1ポリエーテルアミン、4000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンを基礎とする第1ポリエーテルアミン、2003の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールをアミン化することによって製造された、2官能性の第1ポリエーテルアミン、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされた、ポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された、2官能性の第1ポリエーテルアミン、1000の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400に平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、ペンタエリトリットおよび酸化プロピレンを基礎とするポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする2官能性の第1ポリエーテルアミン、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする、2官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする、2官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された、3官能性の第1ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された、3官能性の第1ポリエーテルアミン、250の平均モル質量を有するポリTHFのアミン化によって製造された、400の平均モル質量を有するポリエーテルアミン、1,12−ジアミノドデカン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、4−エチル−4−メチルアミノ−1−オクチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メテンジアミン、キシリレンジアミン、N−アミノエチル−ピペラジン、ネオペンタンジアミン、ノルボルナンジアミン、オクタンメチレンジアミン、ピペラジン、4,8−ジアミノ−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン、トリレンジアミン、トリエチレンテトラミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンの群から選択されている。
【0037】
特に有利には、硬化剤成分a)は、少なくとも2つの硬化剤成分a1)およびa2)を含み、この場合これら双方は、2以上の官能性を有するアミンを含む。殊に有利には、硬化剤成分a1)は、ポリエーテルアミンを含み、硬化剤成分a2)は、2以上の官能性を有する他のアミンを含む。
【0038】
鎖中に酸素が含まれているポリアミンは、ポリエーテルアミンと呼称される。2以上の官能性を有するポリエーテルアミンは、本発明による配合物中および本発明による方法において硬化剤成分a)として使用されることができ、本発明による混合物中で硬化剤成分a1)として使用されることができる。このポリエーテルアミンは、なかんずくアルキレンオキシド、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンまたは酸化ペンチレン、ポリTHFまたは1,4−およびそれぞれアンモニアを基礎にして製造されることができ、およびモル質量分布を有する。使用されるアルキレンオキシドは、1分子につき同一であってもよいし、異なっていてもよい。D、EDおよびEDRタイプのポリエーテルアミンは、ジアミン(Dタイプ)であり、この場合EDは、ポリエチレングリコール(PEG)を基礎とするジアミンを表わし、EDRは、PEGを基礎とする反応性ジアミンを表わし、Tタイプは、アルキレンオキシドでグラフトされたトリオールであり、このトリオールは、3個の末端にそれぞれアミノ基を有する。XTJは、なお試みのために設けられた製品に使用される。ポリエーテルアミンの名称において、XTJ製品の場合を除いてレターコードの後ろにある数字は、ポリエーテルアミンの平均モル質量を表わす。
【0039】
本発明による混合物中、本発明による配合物中および本発明による方法に使用されるポリエーテルアミンは、2以上の官能性を有する。
【0040】
硬化剤成分a1)のポリエーテルアミンの典型的な例は、230の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、4000の平均モル質量を有する酸化プロピレンを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミンの群から選択されている。前記化合物は、BASF社の販売製品(ポリエーテルアミン)およびHuntsman社の販売製品(Jeffamine)でもあり、次の商品名で入手可能である:
ポリエーテルアミン D 230/Jeffamine(登録商標) D 230:
230の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とするポリエーテルアミンを含有する。
【0041】
ポリエーテルアミン D 400/Jeffamine(登録商標) XTJ 582:
400の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミンを含有する。
【0042】
ポリエーテルアミン D 2000/Jeffamine(登録商標) D2000/Jeffamine(登録商標) XTJ 578:
2000の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の脂肪族第1ポリエーテルアミンを含有する。
【0043】
ポリエーテルアミン D 4000:
4000の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールを基礎とするポリエーテルアミンを含有する。
【0044】
ポリエーテルアミン T 403/Jeffamine(登録商標) T 403:403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造されたポリエーテルアミンを含有する。
【0045】
ポリエーテルアミン T 5000/Jeffamine(登録商標) T 5000:
5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造されたポリエーテルアミンを含有する。
【0046】
Jeffamine(登録商標) ED−600/Jeffamine(登録商標) XTJ 501:
酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールから形成され、および600の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0047】
Jeffamine(登録商標) ED−900:
酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールから形成され、および900の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0048】
Jeffamine(登録商標) ED−2003:
酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールから形成され、および2000の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0049】
Jeffamine(登録商標) H K−511:
220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールのアミン化によって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミンを含有する。
【0050】
Jeffamine(登録商標) XHJ−542:
1000の平均モル質量を有する、ポリー(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0051】
Jeffamine(登録商標) XHJ−548:
1900の平均モル質量を有する、ポリー(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0052】
Jeffamine(登録商標) XTJ−559:
1400の平均モル質量を有する、ポリー(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを含有する。
【0053】
Jeffamine(登録商標) XTJ−566:
400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた、少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルアミンを含有する。
【0054】
Jeffamine(登録商標) XTJ−568:
219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールのアミン化によって製造された脂肪族ポリエーテルアミンを含有する。
【0055】
Jeffamine(登録商標) XTJ−616:
600の平均モル質量を有する、ペンタエリトリットおよび酸化プロピレンを基礎とするポリエーテルアミンを含有する。
【0056】
Jeffamine(登録商標) EDR−148:
148の平均モル質量を有する、トリエチレングリコールを基礎とするポリエーテルアミンを含有する。
【0057】
Jeffamine(登録商標) EDR−176:
176の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたエチレングリコールのアミン化によって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミンを含有する。
【0058】
ポリTHF−アミン 350:
250の平均モル質量を有する、ポリTHFのアミン化によって製造されたポリエーテルアミンを含有する。それによって得られたポリTHF−アミンは、400の平均モル質量を有する。
【0059】
硬化剤成分a1)のポリエーテルアミンは、有利に220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1000の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた、少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、および5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンおよびグリセリンを基礎とするポリエーテルアミンの群から選択されている。ポリエーテルアミンとして殊に好ましいのは、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とするポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミン D 230またはJeffamine(登録商標) D230である。
【0060】
硬化剤成分a2)として、2以上の官能性を有する他のアミンは、1,12−ジアミノドデカン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンジアニリン、4−エチル−4−メチルアミノ−1−オクチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メテンジアミン、キシリレンジアミン、N−アミノエチル−ピペラジン、ネオペンタンジアミン、ノルボルナンジアミン、オクタンメチレンジアミン、ピペラジン、4,8−ジアミノ−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン、トリレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンの群から選択されている。
【0061】
本発明による混合物中、本発明による配合物中ならびに本発明による方法には、なお促進剤が含有されていてもよい。この促進剤は、置換されたイミダゾール、例えば1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−エチル−メチル−イミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、イミダゾリン、例えば2−フェニル−イミダゾリン、第3アミン、例えばN,N−ジメチル−ベンジルアミン、2,4,6−トリス−(ジメチルアミノメチル)−フェノール(DMP 30)、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ノニルフェノール、p−第三ブチルフェノール、ノボラック型のフェノール樹脂、サリチル酸、p−トルエン−スルホン酸、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン−7(DBU)、S−トリアジン(Lupragen N 600)、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Lupragen N 206)、ペンタメチルジエチレントリアミン(Lupragen N 301)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Lupragen N 400)、テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(Lupragen N 500)、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、アミノエチルエチレン尿素、ケチミン、例えばEpi−Kure 3502(エチレンジアミンとメチルイソブチルケトンとからの反応生成物)、ウロン、例えば3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(Monuron)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(Diuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Fenuron)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素(クロロトルロン)、トリル−2,4−ビス−N,N−ジメチルカルバミド(Amicure UR2T)、ジシアンジアミド(DICY)、マンニッヒ塩基または第2アミン、例えばジアルキルアミン、例えばジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジトリデシルアミン、N,N’−ジイソプロピルイソホロンジアミン(Jefflink(登録商標)XTJ-584)、N,N’−ジイソブチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(Clearlink 1000)、N−(ヒドロキシエチル)アニリン、ジ−(2−メトキシエチル)アミンの群から選択されている。
【0062】
硬化剤成分a)またはa1)およびa2)と共に、本発明による混合物中、本発明による配合物中および本発明による方法には、式I
【化2】

で示される硬化剤成分b)がなお含有されている。
【0063】
本発明による混合物の硬化剤成分b)、本発明による配合物の硬化剤成分b)ならびに本発明による方法の硬化剤成分b)における式Iの基R1〜R3、R5およびR6は、互いに独立に1〜20個のC原子を有する有機基および水素の群から選択されている。有機基は、ヘテロ原子を有しない、全ての飽和、不飽和、環式または非環式の炭化水素基である。特に有利には、有機基は、1〜10個のC原子を有する。不飽和および環式である有機基は、芳香族基と呼称することができる。好ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基、ベンジル基、キシレン基、o−トリル基、1個以上のC2〜C4によって置換されたフェニル基およびベンジル基の群から選択されている。特に好ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基である。脂肪族炭化水素基は、環式炭化水素基および非環式炭化水素基の群から選択されている。好ましいのは、非環式脂肪族炭化水素基である。この場合、炭化水素基として有利にC1〜C10原子、特に有利にC1〜C4原子を有するものが使用されてよい。殊に有利には、R1〜R3、R5およびR6の基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、フェニル基およびo−トリル基の群から選択されている。殊に有利に、R1〜R3、R5およびR6の基について脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基または第二ブチル基の群から選択されている。殊に有利なのは、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびn−ブチル基である。
【0064】
R4は、本発明による混合物、本発明による配合物ならびに本発明による方法のために、R1〜R3、R4およびR6とは無関係に1〜20個のC原子を有する有機基および−C(NH)NR5R6−基の群から選択されている。特に有利には、R4は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、フェニル基およびo−トリル基の群から選択されている。殊に有利なのは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基およびo−トリル基である。
【0065】
特に好ましい実施態様において、R1〜R4は、互いに無関係にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基および第二ブチル基から選択された有機脂肪族炭化水素である。殊に有利なのは、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびn−ブチル基である。
【0066】
殊に有利には、式Iの化合物は、テトラメチルグアニジンである。
【0067】
本発明による配合物中の、および本発明による方法における式Iの化合物の割合は、エポキシ樹脂の使用された量に対して0.5〜25質量%の範囲内にある。
【0068】
本発明による混合物中の式Iの割合は、この混合物の量に対して5〜55質量%の範囲内、5〜30質量%の範囲内、特に有利に10〜25質量%の間にある。
【0069】
好ましい本発明による混合物ならびに本発明による配合物は、テトラメチルグアニジンと共になお、3,6−ジオキサ−1,8−オクタジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、4,7−ジオキサ−1,10−デカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、2000の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−2000、Jeffamine(登録商標)XTJ−578およびポリエーテルアミン D 2000、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−230およびポリエーテルアミン D 230、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−400、Jeffamine(登録商標)XTJ−582およびポリエーテルアミン D 400、4000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−4000、2003の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED−2003、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED−900、2000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED−2003、600の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされた、ジエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED−600およびJeffamine(登録商標)XTJ 501、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)HK−511、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)T−403およびポリエーテルアミン T 403、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)T−5000およびポリエーテルアミン T 5000、1000の平均モル質量を有する、ポリー(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからのコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−542、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−548、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−559、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた、少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−566、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−568、600の平均モル質量を有する、ペンタエリトリットおよび酸化プロピレンを基礎とするポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−616、148の平均モル質量を有する、トリエチレングリコールを基礎とするポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)EDR 148、176の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)EDR 176、および250の平均モル質量を有するポリTHFをアミン化することによって製造された、400の平均モル質量を有するポリエーテルアミン、例えばポリTHF アミン350の群から選択されたポリエーテルアミンも含有する配合物である。
【0070】
特に好ましい本発明による混合物ならびに本発明による配合物は、一面で、テトラメチルグアニジンと共に、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミン D 230およびJeffamine(登録商標) D230、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−400、Jeffamine(登録商標)XTJ−582およびポリエーテルアミン D 400、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)HK−511、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)T−403およびポリエーテルアミン T 403、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED−900、1000の平均モル質量を有する、ポリー(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからのコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−542、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−548、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−559、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた、少なくとも3価のアルコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルトリアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−566、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ−568、ならびにイソホロンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサンおよび1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有するものである。殊に有利な本発明による混合物は、テトラメチルグアニジン、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)D−230およびポリエーテルアミン D−230、およびイソホロンジアミンを含有する混合物である。
【0071】
式Iの化合物と共にポリエーテルアミンおよび2以上の官能性を有する他のアミンが使用される、本発明による混合物および1つの好ましい本発明による配合物の場合には、ポリエーテルアミンは、他のアミンとの比において、0.1〜10対1の範囲内、有利に1.5〜10対1の範囲内、特に有利に2.0〜5.0の範囲内にある。殊に好ましい本発明による混合物および殊に好ましい配合物、テトラメチルグアニジン、ポリエーテルアミン D230/Jeffamine(登録商標)D230およびイソホロンジアミンにおいて、ポリエーテルアミン D230/Jeffamine(登録商標)D230とイソホロンジアミンとの好ましい混合比は、2.2〜2.6対1、特に有利に2.3〜2.5対1の範囲内にある。
【0072】
本発明による混合物は、当業者に公知の機械的方法によって個々の成分から160℃未満の温度、有利に5〜30℃の範囲内の温度で混合される。
【0073】
エポキシ樹脂の硬化のために本発明による混合物を利用する場合、硬化の速度は、公知技術水準の硬化系と比較可能であるかまたは公知技術水準からの硬化系と比較して良好である。
【0074】
注入技術、例えば米国特許第3379591号明細書中に記載されている、樹脂注入、樹脂トランスファー成形(RTM)、ヴァキュームアシステッドレジントランスファーモールディング(VARTM)での本発明による混合物の使用と共に、本発明による混合物および本発明による配合物は、よりいっそう高い温度で急速な硬化と組み合わされた、15〜45℃の温度で十分な加工時間を必要とする、エポキシ樹脂を硬化させるための他の技術にも使用可能である。この技術は、米国特許第3379591号明細書および米国特許第5470517号明細書の記載と同様に、フィラメント巻線、手積み成形品およびプリプレグの群から選択されている。手積み成形法の場合には、繊維材料は、手動かまたは機械的にエポキシ樹脂で湿潤され、次に、このマットは、金型内に置かれ、複数の層が使用される場合には、ローラーまたは類似の装置で圧縮される。硬化は、しばしば真空バッグ中で行なわれ、それというのも、それによって材料は、圧縮され、正確なエポキシ樹脂含量に調節することができるからである。
【0075】
更に、本発明の対象は、本発明による配合物を硬化させるかまたはエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂混合物を本発明による混合物と一緒に硬化させることによって得られる、硬化されたエポキシ樹脂である。このために、本発明による配合物は、特殊な金型内に注入されるかまたは表面上に塗布され、温度を高めることによって硬化される。表面上への塗布のための配合物においては、なお他の充填剤が配合物中に含有されていてよい。この充填剤は、機械的性質を改善するために、チキソトロピー剤(親水性熱分解法珪酸および疎水性熱分解法珪酸)、UV安定剤(ナノスケールの酸化物、例えば二酸化チタンおよび酸化亜鉛)、難燃剤(ポリ燐酸塩および燐)、珪酸塩および炭酸塩の群から選択されている。本発明による配合物が導入される、使用される金型は、繊維強化材料を含有することができるか、または環境の影響、例えば湿気、酸素、ダスト粒子または別の攻撃的材料または影響から保護しなければならない元素を含有することができる。
【0076】
好ましい硬化されたエポキシ樹脂は、成形部材中で硬化されているエポキシ樹脂である。この成形部材は、自動車、航空機、船舶、ボート、スポーツ製品および風力タービン用翼のための成形部材の群から選択されている。特に好ましいのは、風力タービンの回転翼のための成形部材である。
【0077】
この成形部材は、繊維強化材料と一緒に裏打ちされてもよいし、繊維強化材料なしに裏打ちされてもよく、および/または本発明による配合物および/または本発明による混合物には、なお繊維強化材料が添加されてもよい。従って、繊維強化材料は、次の繊維材料からなる織布、一軸レイドファブリックおよび多軸レイドファブリック、ノンウーブンおよび単繊維であることができる:ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、PE繊維(Dyneema)およびバサルト繊維。好ましいのは、ガラス繊維および炭素繊維からなる織布、および一軸レイドファブリックおよび多軸レイドファブリックである。特に好ましいのは、ガラス繊維からなる一軸レイドファブリックおよび多軸レイドファブリックである。風力タービン用翼は、有利にガラス繊維レイドファブリックで裏打ちされている。
【0078】
成形体は、有利に相応する金型が準備される本発明による方法により製造され、この場合この金型内には、本発明による配合物が導入され、金型が完全に充填された後に初めて完全に硬化される。本発明による方法の場合、本発明による混合物が含有されていてよい本発明による配合物は、有利に注入技術により相応する金型内に導入することができる。この場合、成形部材は、真空に引かれる。この真空は、エポキシ樹脂を含有する配合物および本発明による混合物を初期硬化温度未満で金型内に吸い込み、したがって充填工程中の粘度は、殆ど不変のままであり、成形部材の全ての範囲は、配合物によって充填されており、その後に粘度は、この充填を不可能にする値に達する。引続き、成形体中での配合物の完全な硬化が行なわれる。完全な硬化のために、外側からさらなる熱源が適用されてもよい。
【0079】
本発明による混合物は、エポキシ樹脂ならびに複合体構造部材の構造用接着剤の存在下で互いに使用されてもよいし、ならびに別の材料、金属およびコンクリートと一緒に使用されてもよい。この場合、本発明による混合物または本発明による配合物は、繊維状添加剤、例えばガラス単繊維ならびに鉱物質添加剤、例えば石英粉、珪酸塩および白亜と組み合わされてよい。公知技術水準と比較して、前記構造用接着剤は、上記硬化条件下で長い加工時間を短い硬化時間と組み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】ガラス転移温度を本発明による混合物の組成の関数として示す略図。
【図2】曲げ強さを本発明による混合物の組成の関数として示す略図。
【図3】ガラス化時間を測定することによって検出されうる、本発明による実施例と比較例との硬化速度が比較可能であるかまたは本発明による実施例の方がよりいっそう良好である試験による効果を示す略図。
【実施例】
【0081】
公知技術水準として、質量比70/30でポリエーテルアミン D230とイソホロンジアミンとからなる混合物を選択した。
【0082】
ポリエーテルアミン D230とイソホロンジアミンとテトラメチルグアニジンとからなる本発明による混合物が使用されている配合物は、市販のビスフェノール−A−ビスグリシジルエーテル82質量%(Epilox A19-03)およびブタンジオール−ビスグリシジルエーテル18質量%(Epilox P13-21)を含有する。
【0083】
エポキシ樹脂系を硬化させるための本発明による混合物は、一定の質量比70/30でポリエーテルアミン D230とイソホロンジアミン(IPDA)との混合物からなり、この混合物には、種々の量でテトラメチルグアニジン(TMG)が混和される。試験された組合せの概要は、第1表中に記載されている。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
次の表には、60℃で方法Bによる可使時間の測定結果が記載されている。
【0087】
【表3】

【0088】
公知技術水準に対して、75分間の可使時間(ToB)が算出された。
【0089】
この試験は、ポリエーテルアミン D230とIPDAとからなる混合物へのTMGの添加およびポリエポキシドを硬化させるための前記の本発明による混合物の使用が可使時間の向上を生じることを示す(第1行)。本発明による混合物中のTMG30質量%の割合は、可使時間を約66%上昇させることができる。
【0090】
更に、この試験は、ポリエーテルアミン D230およびIPDAの割合の減少(百分率でのアミン硬化)がポリエーテルアミン D230とIPDAとからなる化学量論的混合物へのTMGの添加の場合よりも可使時間の明らかな上昇を生じることを示す(第3列)。即ち、本発明による混合物中でのポリエーテルアミン D230とIPDAとの30%の組合せおよびTMG10質量%に対して、380%の可使時間の上昇が達成された。
【0091】
付加的に、この試験は、本発明による実施例と比較例との硬化速度が比較可能であるかまたは本発明による実施例の方がよりいっそう良好であることを示す。この効果は、二三の選択された系(1/1;2/4;3/2;4/2;5/3;6/3;6/4;7/4;8/4;9/6)に対してガラス化時間を測定することによって検出されうる(図3)。このガラス化時間は、MDSCにより、比熱の段状の転移の半分の段の高さとしての時間として算出された。この方法は、刊行物:"動的走査熱量測定法およびレオロジー技術を用いてのエポキシ樹脂の硬化中のガラス化の理解 Understanding vitrification cure of epoxy resins using dynamic scanning calorimetry and rheological techniques "(Polymer, 41 (2000) 5949頁以降)に記載されている。
【0092】
本発明による混合物は、公知技術水準と比較して70℃の硬化時間に対してガラス化時間を6時間超から3時間以下に減少させる。
【0093】
前記混合物の組成は、反応性に影響を及ぼすだけでなく、別のパラメーター、例えばガラス転移温度および機械的特性値に影響を及ぼすので、第1表に記載された系に対して相応する試験が実施された。
【0094】
ガラス転移温度(図1)は、前記組成の関数として図示されている。X軸には、ポリエーテルアミン D230とIPDAとの総和の割合が図示されており(アミン硬化)(行に相当する)、y軸には、TMG(硬化剤成分b))の質量含分が図示されている(列に相当する)。色は、達成されたガラス転移温度に依存して変化する。白色は、高いガラス転移温度を意味し、黒色は、低いガラス転移温度を意味する。
【0095】
曲げ強さ(図2)は、前記組成の関数として記載されている。X軸には、ポリエーテルアミン D230とIPDAとの総和の割合が図示されており(アミン硬化)(行に相当する)、y軸には、TMG(硬化剤成分b))の質量含分が図示されている(列に相当する)。色は、達成された曲げ強さに依存して変化する。白色は、高い曲げ強さを意味し、黒色は、低い曲げ強さを意味する。
【0096】
全ての前記結果を考慮した場合、本発明による混合物は、全てのパラメーター:加工、硬化時間および機械的性質または熱的性質の最適な組合せを表わすことがもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化剤成分a1)、硬化剤成分a2)および硬化剤成分b)を含有する混合物において、
硬化剤成分a1)として2以上の官能性を有する少なくとも1つのポリエーテルアミンが使用され、
硬化剤成分a2)として2以上の官能性を有する少なくとも1つの他のアミンが使用され、および
硬化剤成分b)として式I
【化1】

〔式中、R1〜R3、R5およびR6は、互いに独立に、水素および1〜20個のC原子を有する有機基の群から選択され、R4は、1〜20個のC原子を有する有機基および−C(NH)NR5R6−基の群から選択される〕で示される化合物、前記混合物に対して、5〜55質量%が使用され、
この場合、a1)対a2)の比は、0.1〜10対1の範囲内にあることを特徴する、硬化剤成分a1)、硬化剤成分a2)および硬化剤成分b)を含有する混合物。
【請求項2】
硬化剤成分a1)として、3,6−ジオキサ−1,8−オクタジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、4,7−ジオキサ−1,10−デカンジアミン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、148の平均モル質量を有するトリエチレングリコールを基礎とするポリエーテルアミン、176の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、4000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンを基礎とする第1ポリエーテルアミン、2003の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールをアミン化することによって製造された二官能性の第1ポリエーテルアミン、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリエチレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された第1ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、219の平均モル質量を有する酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、600の平均モル質量を有する、ペンタエリトリットおよび酸化プロピレンを基礎とするポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位OH基のアミン化によって製造された三官能性の第1ポリエーテルアミンおよび250の平均モル質量を有するポリTHFのアミン化によって製造された、400の平均モル質量を有するポリエーテルアミンの群から選択された、2以上の官能性を有するポリエーテルアミンが使用され、
硬化剤成分a2)として、1,12−ジアミノドデカン、1,10ジアミノデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−プロパンジアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−プロパンジアミン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンジアニリン、4−エチル−4−メチルアミノ−1−オクチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メテンジアミン、キシリレンジアミン、N−アミノエチル−ピペラジン、ネオペンタンジアミン、ノルボルナンジアミン、オクタンメチレンジアミン、ピペラジン、4,8−ジアミノ−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン、トリレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンの群から選択された、2以上の官能性を有する他のアミンが使用されている、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
硬化剤成分a1)のポリエーテルアミンが230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、2000の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミン、220の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたジエチレングリコールをアミン化することによって製造された、二官能性の第1ポリエーテルアミン、403の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとトリメチロールプロパンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された、三官能性の第1ポリエーテルアミン、900の平均モル質量を有する、酸化プロピレンでグラフトされたポリプロピレングリコールを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1000の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1900の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、1400の平均モル質量を有する、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとからなるコポリマーを基礎とする脂肪族ポリエーテルアミン、400の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされた少なくとも3価のアルコールを基礎とするポリエーテルトリアミン、219の平均モル質量を有する、酸化ブチレンでグラフトされたアルコールをアミン化することによって製造された脂肪族ポリエーテルアミン、5000の平均モル質量を有する、酸化プロピレンとグリセリンとの反応、引続く末位のOH基のアミン化によって製造された、三官能性の第1ポリエーテルアミンの群から選択されている、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
硬化剤成分b)がテトラメチルグアニジン、o−トリルビグアニジンおよびペンタメチルビグアニジンの群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項5】
硬化剤成分a1)がポリエーテルアミン D 230、ポリエーテルアミン D 400、ポリエーテルアミン T 403、ポリエーテルアミン T 5000の群から選択され、硬化剤成分a2)がイソホロンジアミン、アミノエチルピペラジン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサンおよびトリエチレンテトラアミンの群から選択され、および硬化剤成分b)がテトラメチルグアニジンであり、および硬化剤成分a1)と硬化剤成分a2)との比が1.5〜10対1の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項6】
硬化剤成分a1)として230の平均モル質量を有する、ポリプロピレングリコールを基礎とする二官能性の第1ポリエーテルアミンが使用され、硬化剤成分a2)としてイソホロンジアミンが使用され、硬化剤成分b)としてテトラメチルグアニジンが使用されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
混合物がなお繊維強化性材料および/または充填剤を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
8.請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物を製造する方法において、硬化剤成分a1)とa2)とb)とを互いに160℃未満で混合することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物を製造する方法。
【請求項9】
エポキシ樹脂を硬化させるための、請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物の使用。
【請求項10】
プリプレグ、VARTM、フィラメント巻線、引抜成形品および湿式レイアップ系における硬化剤としての請求項9記載の使用。
【請求項11】
構造用接着剤としてのエポキシ樹脂を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物の使用。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物を含有する構造用接着剤。
【請求項13】
エポキシ樹脂と請求項1から7までのいずれか1項に記載の混合物との反応によって得られる硬化されたエポキシ樹脂。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−528741(P2011−528741A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519131(P2011−519131)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059210
【国際公開番号】WO2010/010045
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】