説明

アモキシシリン三水和物結晶性粉末

本発明は、0.45g/mlより高い嵩密度を有するアモキシシリン三水和物結晶性粉末に関する。本発明はまた、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含む、アモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、嵩密度が0.45g/mlより高い結晶性粉末を得る方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アモキシシリン三水和物の結晶性粉末に関する。本発明はまた、アモキシシリン三水和物結晶性粉末の製造方法にも関する。
【0002】
β−ラクタム系抗生物質の結晶性粉末は、β−ラクタム系抗生物質を溶解状態で含有する溶液からβ−ラクタム系抗生物質を結晶化し、得られた結晶を分離し、この結晶を乾燥することによって得ることができる。当技術分野においては、β−ラクタム系抗生物質の結晶は、粉末とも呼ばれる。
【0003】
既知の粉末は流れ特性が良くない。粒径は小さく、嵩密度は低い。これは、例えば、国際公開第9733564号パンフレットに記載されており、この特許は、例えば、容積基準の平均粒径が10μmから30μmであり、かつ嵩密度が0.15g/mlから0.45g/mlのアモキシシリン三水和物の粉末を開示している。既知の粉末は流れ特性が良くないため、既知の粉末それ自体では、例えばカプセルの充填など、十分な流れ特性を必要とする用途には適していない。
【0004】
流れ特性を改良するために、既知の粉末を、当技術分野において造粒、成形、アグロメレーション、または凝集と呼ばれるプロセスにかけて、流れ特性が改良された、より大きな粒子を形成することができる。通常この大きな粒子は、容積基準の平均粒径が100μmより大きい。例えば、国際公開第9733564号パンフレットおよび国際公開第9911261号パンフレットを参照されたい。流れ特性が改良された、得られた大きな粒子は、例えばカプセルの充填材料として使用することができ、あるいは錠剤の調製に使用することができる。
【0005】
これらのプロセスには追加のプロセスが必要となり、それは不利なこととなる。さらに、これらのプロセスを適切に用いないと、色、安定性などの抗生物質の特性を損なう恐れがある。さらに、本発明者等は得られた製品の溶解速度が低いことを見出した。
【0006】
驚くべきことに、本発明者等は、嵩密度が0.45g/mlより高いアモキシシリン三水和物結晶性粉末、およびこれを調製する方法を見出した。
【0007】
本発明による結晶性粉末は、造粒、成形、アグロメレーション、または凝集などのプロセスにかけることなく流れ特性が改良されている。この結晶性粉末を、さらに造粒、成形、アグロメレーション、または凝集などのプロセスにかけることが望ましい場合にも、本発明による結晶性粉末は流れ特性が改良されているので、これらのプロセスは容易に適用できる。さらに、所与のサイズのカプセルに入れることができる結晶性粉末の量を増やすことができる。
【0008】
本明細書で用いるアモキシシリン三水和物結晶性粉末とは、好ましくは、主としてアモキシシリン三水和物の結晶からなる製品を意味する。結晶とは、例えば、水またはデンプンのりなどの結合剤、あるいはローラー成形または押出成形などの機械的な力の助けを借りて、結晶を付着させることによって形成した凝集体のことではないことは理解されよう。通常の取扱い中、例えば乾燥中に、意図せずに凝集体が生成される可能性もある。凝集体は、倍率140倍で光学顕微鏡を用いて観察することができる。本明細書で用いる、主としてβ−ラクタム系抗生物質の結晶からなる製品とは、好ましくは、アモキシシリン三水和物の結晶を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%含む製品のことである。これらの百分率は、風力篩と光学顕微鏡を組み合わせて用いて測定することができる。風力篩い別けは、風力篩Alpine Air Jet 200LS−Nを用いて、重量10gの試料について1200Paで1分間行うのが有利である。光学顕微鏡検査は、5mgの試料を採取し、この試料を表面積22×40mmの表面上の4滴のパラフィンオイルに懸濁し、倍率140倍を用いて行うのが有利である。
【0009】
アモキシシリン三水和物が何らかの不純物を含有している可能性があることは理解されよう。本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末は、例えば、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のアモキシシリン三水和物を含有することができる。これらの重量百分率は、結晶性粉末の重量に対するものである。好ましくは、アモキシシリン三水和物には助剤は含まれていない。
【0010】
好ましくは、本発明による結晶性粉末は、嵩密度が、0.46g/mlより高く、好ましくは0.5g/mlより高く、より好ましくは0.55g/mlより高い。これにより流れ特性がさらに良くなる。さらに、結晶性粉末を所定の容積、例えばカプセルに入れることができるので、嵩密度が高いと有利である。嵩密度には特定の上限はない。嵩密度は、0.8g/mlより低く、例えば0.7g/mlより低くすることができる。嵩密度は、米国薬局方24、I法(1913頁)に従って測定することが好ましい。
【0011】
好ましくは、本発明による結晶性粉末は、タップ密度が、0.6g/mlより高く、好ましくは0.7より高く、より好ましくは0.8g/mlより高い。タップ密度が高いと流れ特性が良くなる。さらに、より多くの製品を所定の容積、例えばカプセルに入れることができるので、タップ密度が高いと有利である。タップ密度には特定の上限はない。タップ密度は、1.2g/mlより低く、例えば1.1g/mlより低く、例えば1.0g/mlより低くすることができる。タップ密度は、米国薬局方24、II法(1914頁)に従って測定することが好ましい。
【0012】
本発明はまた、タップ密度が、0.6g/mlより高い、好ましくは0.7より高い、より好ましくは0.8g/mlより高いアモキシシリン三水和物結晶性粉末にも関する。この結晶性粉末は、既知の粉末に比べて流れ特性が改良されている。タップ密度は、1.2g/mlより低く、例えば1.1g/mlより低く、例えば1.0g/mlより低くすることができる。
【0013】
好ましくは、本発明による結晶性粉末の嵩密度とタップ密度は、d/dの比が、1.7未満、好ましくは1.6未満、好ましくは1.5未満、好ましくは1.45未満である(但し、d=タップ密度、およびd=嵩密度)。これにより流れ特性が改良される。d/dの比に特定の下限はない。d/dの比は、1.05より高く、例えば1.1より高くてもよい。
【0014】
本発明はまた、d/dの比が、1.7未満、好ましくは1.6未満、好ましくは1.5未満、好ましくは1.45未満である嵩密度とタップ密度を有するアモキシシリン三水和物結晶性粉末にも関する。この結晶性粉末は、既知の粉末に比べて流れ特性が改良されている。d/dの比には特定の上限はない。d/dの比は、1.05より高く、例えば1.1より高くすることができる。
【0015】
好ましくは、本発明による結晶性粉末の嵩密度とタップ密度は、((d−d)/d)*100%で定義される圧縮率が、40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満である。これにより流れ特性が改良される。圧縮率には特定の下限はない。圧縮率は、例えば10%より高くてもよい。
【0016】
本発明はまた、((d−d)/d)*100%で定義される圧縮率が、40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満である嵩密度とタップ密度を有するアモキシシリン三水和物結晶性粉末にも関する。この結晶性粉末は、既知の粉末に比べて流れ特性が改良されている。圧縮率には特定の上限はない。圧縮率は、例えば10%より高くてもよい。
【0017】
10およびd50は、粒度分布を示すための公知の方法である。d50は、粒子の50容積%がその値より小さい粒径を有するような粒径の値を意味する。d50はまた、容積基準の平均粒径のことでもある。同様に、d10は、粒子の10容積%がその値より小さい粒径を有するような粒径の値を意味する。d10およびd50を測定するための好ましい方法は、レーザー回折であり、好ましくはMalvern装置を用いる。d10およびd50を測定するための好適な装置は、Malvern Instruments Ltd.、Malvern UKから入手可能なMalvern粒径測定器2600Cであり、例えばf=300mmおよびビーム長14.30mmの対物レンズを用いる。多分散分析モデルを用いることが有利である。
【0018】
本発明者等は、好ましくは、流れ特性、嵩密度および/またはタップ密度が改良された結晶性粉末は、d50が増大していることを見出した。本発明はまた、d50が、10μmより大きい、好ましくは20μmより大きい、より好ましくは30μmより大きい、より好ましくは35μmより大きい、より好ましくは40μmより大きいアモキシシリン三水和物結晶性粉末も提供する。d50についての特定の上限はない。本発明による結晶性粉末のd50は、150μm未満、例えば100μm未満とすることができる。本発明による結晶性粉末は、好ましくはd10が増大しており、好ましくは3μmより大きく、好ましくは5μmより大きく、より好ましくは8μmより大きく、より好ましくは10μmより大きい。本発明による結晶性粉末のd10についての特定の上限はない。本発明による結晶性粉末のd10は、50μm未満とすることができる。
【0019】
本発明はまた、本発明による結晶性粉末を篩い別けするステップを含む方法を提供する。これにより、結晶性粉末の物性がさらに改良される。風力篩を適用することが好ましい。
【0020】
本発明による結晶性粉末は、医薬組成物の調製に有利に使用することができる。
【0021】
本発明による結晶性粉末は、有利には、薬学的に許容される助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と混ぜることができる。本発明による結晶性粉末は、結晶性粉末と助剤の合計重量に対して、例えば0から50重量%の範囲、好ましくは0から40重量%の範囲、好ましくは0から30重量%の範囲、より好ましくは0から20重量%の範囲、好ましくは1重量%超の助剤と混ぜることができる。本発明による結晶性粉末は、例えば、クラブラン酸塩、好ましくはクラブラン酸カリウムと混ぜることができる。アモキシシリン:クラブラン酸の重量比は、好ましくは1:1から15:1の範囲であり、好ましくは2:1から10:1の範囲であり、好ましくは4:1から8:1の範囲である。これらの重量比は、無水アモキシシリンと酸の形のクラブラン酸について計算する。したがって、本発明はまた、本発明による結晶性粉末を助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と混ぜるステップを含む方法によって得られる混合物にも関する。本発明はまた、(i)本発明による結晶性粉末と、(ii)助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤とを含む混合物も提供する。
【0022】
第2の薬学的に活性な薬剤としては、クラブラン酸塩、好ましくはクラブラン酸カリウムを用いることが好ましい。
【0023】
助剤としては、例えば、フィラー、乾式結合剤、崩壊剤、湿潤剤、湿式結合剤、潤滑剤、流動化剤などを使用することができる。助剤の例としては、ラクトース、デンプン、ベントナイト、炭酸カルシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースNa、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、滑石が挙げられる。
【0024】
好ましくは、混合物は、0から50重量%の範囲、好ましくは0から40重量%の範囲、好ましくは0から30重量%の範囲、より好ましくは0から20重量%の範囲、好ましくは1重量%超の助剤を含有する。これらの重量百分率は、アモキシシリン三水和物と助剤の合計重量に対するものである。
【0025】
好ましくは、アモキシシリン:クラブラン酸の重量比は、1:1から15:1の範囲であり、好ましくは2:1から10:1の範囲であり、好ましくは4:1から8:1の範囲である。これらの重量比は、無水アモキシシリンと酸の形のクラブラン酸について計算する。
【0026】
本発明による結晶性粉末は、有利には、医薬用のカプセル、例えばゼラチンカプセルの充填用に用いることができる。したがって、本発明はまた、本発明による結晶性粉末を含むカプセル、または本発明による混合物を含むカプセルにも関する。本発明による結晶性粉末または本発明による混合物は、任意の適切な方法でカプセルに供給することができる。材料をカプセルに供給するステップは、材料のプラグを形成するステップを含むことができることは、当業者には理解されよう。前記プラグはゆるく構成された材料からなる。当業者には、本発明による結晶性粉末または混合物を含むカプセルはまた、本発明による結晶性粉末または混合物のプラグを含むカプセルも包含することが理解されよう。本発明はまた、本発明による結晶性粉末または本発明による混合物の、カプセルを充填するための、または錠剤を調製するための使用にも関する。
【0027】
本発明はまた、本発明による結晶性粉末を、任意選択で助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて、カプセルに供給するステップを含む、カプセル充填方法にも関する。本発明はまた、本発明による結晶性粉末を、任意選択で第2の薬学的に活性な薬剤と共に、薬学的に許容される助剤と混ぜるステップと、得られた混合物をカプセルに供給するステップとを含む方法にも関する。
【0028】
本発明者等は、本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末の改良された流れ特性により、乾式および湿式の造粒、アグロメレーション、錠剤形成などのプロセスが容易になることを見出した。したがって、本発明はまた、本発明による結晶性粉末を圧縮して、または本発明による混合物を圧縮して、圧縮製品を製造するステップを含む方法も提供する。圧縮製品は、例えば、顆粒または錠剤とすることができる。本発明はまた、圧縮された形で本発明による結晶性粉末を含む、または圧縮された形で本発明による混合物を含む、顆粒または錠剤にも関する。
【0029】
本発明はまた、本発明による結晶性粉末または本発明による混合物を、任意選択で助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて、ローラー圧縮機に供給してコンパクトを製造するステップと、このコンパクトを粉砕して顆粒を製造するステップとを含む、顆粒調製方法にも関する。製造された顆粒は、有利には、篩いにかけて所望の粒度分布を得ることができる。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0030】
本発明はまた、本発明による結晶性粉末または本発明による混合物を、例えば湿潤液に溶解した結合剤と混ぜるステップと、結晶を湿式または乾式で圧縮するステップと、得られたコンパクトを篩いにかけて顆粒化するステップとを含む、顆粒調製方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0031】
本発明はまた、本発明による結晶性粉末または本発明による混合物からペーストを形成するステップと、このペーストを10℃から80℃の温度で混練するステップと、このペーストを2軸押出機で押出成形するステップと、所望により、得られた顆粒を乾燥するステップとを含む方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0032】
本発明はまた、任意選択で助剤および/または薬学的に活性な薬剤と混ぜて、本発明による顆粒を圧縮して錠剤を調製するステップを含む方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる錠剤にも関する。
【0033】
本発明はまた、本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末を、別の物理的形態のアモキシシリン、好ましくはアモキシシリン三水和物を含む顆粒と混ぜるステップを含む方法も提供する。本発明はまた、(i)本発明によるアモキシシリン三水和物粉末、および(ii)別の物理的形態のアモキシシリン、好ましくはアモキシシリン三水和物を含む顆粒を含む混合物も提供する。一実施形態においては、この混合物には助剤は含まれていない。別の実施形態においては、この混合物は助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤を含む。混合物中に(混ぜるべき)アモキシシリン三水和物を含む顆粒は、任意の好適な顆粒、例えばd50が100から1000μmの範囲の顆粒とすることができる。顆粒のd50は、篩い分析を行うことによって測定することが好ましい。顆粒は、例えば少なくとも90重量%のアモキシシリン三水和物を含むことができ、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のアモキシシリン三水和物を含むことができる。好ましくは、顆粒には助剤は含まれていない。顆粒は、例えば、ローラー圧縮、アグロメレーション、押出成形、凝集、湿式または乾式造粒などによって粉末を合わせて顆粒を形成する、任意の適切な方法によって得ることができる。
【0034】
本発明の一態様においては、本発明による結晶性粉末は溶解速度が速い。好ましくは、本発明による結晶性粉末は、T85%が、55分より短く、好ましくは50分より短く、好ましくは40分より短く、好ましくは30分より短く、好ましくは25分より短く、好ましくは20分より短い。T85%は、例えば5分より長くてもよい。本明細書において用いるT85%とは、所定量(無水基準で500mg)のアモキシシリン三水和物の85重量%を37℃の水900mlに溶解させるのに必要な時間のことである。T85%の測定は、好ましくは、米国薬局方27、「アモキシシリンカプセル」の章に規定された条件下で、装置1を使用し、撹拌速度100rpmを適用して行う(米国薬局方27、パラグラフ711)。好ましくは、定期的に例えば5分毎に試料を採取して、溶解したアモキシシリンの量を紫外吸収によって測定する。嵩密度が0.45g/mlより高いアモキシシリン三水和物の既知の製品、例えば嵩密度が0.45g/mlより高いアモキシシリン三水和物の顆粒が、このように高い溶解速度を持つことは見出されていない。
【0035】
したがって、本発明はまた、アモキシシリン三水和物の製品であって、
(i)T85%が、55分より短く、好ましくは50分より短く、好ましくは40分より短く、好ましくは30分より短く、好ましくは25分より短く;そして、
(ii)嵩密度が、0.45g/mlより高い、好ましくは0.5g/mlより高い、より好ましくは0.55g/mlより高い製品にも関する。嵩密度には特定の上限はない。嵩密度は、0.8g/mlより低く、例えば0.7g/mlより低くすることができる。T85%は、例えば5分より長くてもよい。
【0036】
本発明はまた、アモキシシリン三水和物製品であって、
(i)T85%が、55分より短く、好ましくは50分より短く、好ましくは40分より短く、好ましくは30分より短く、好ましくは25分より短く;そして
(ii)タップ密度が、0.6g/mlより高い、好ましくは0.7より高い、より好ましくは0.8g/mlより高い製品にも関する。タップ密度には特定の上限はない。タップ密度は、1.2g/mlより低く、例えば1.1g/mlより低く、例えば1.0g/mlより低くすることができる。
【0037】
本発明はまた、アモキシシリン三水和物の製品であって、
(i)T85%が、55分より短く、好ましくは50分より短く、好ましくは40分より短く、好ましくは30分より短く、好ましくは25分より短く;そして、
(ii)嵩密度とタップ密度は、d/dの比が、1.7未満、好ましくは1.6未満、好ましくは1.5未満、好ましくは1.45未満である(但し、d=タップ密度、およびd=嵩密度である)製品にも関する。これにより流れ特性が改良される。d/dの比に特定の下限はない。d/dの比は、1.05より高く、例えば1.1より高くてもよい。
【0038】
本発明はまた、アモキシシリン三水和物であって、
(i)T85%が、55分より短く、好ましくは50分より短く、好ましくは40分より短く、好ましくは30分より短く、好ましくは25分より短く;そして、
(ii)嵩密度とタップ密度は、((d−d)/d)*100%で定義される圧縮率が、40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満である製品にも関する。これにより流れ特性が改良される。圧縮率には特定の下限はない。圧縮率は、例えば10%より高くてもよい。
【0039】
好ましい実施形態においては、本発明によるアモキシシリン三水和物の製品は、上記の嵩密度、タップ密度、d/d比および圧縮率について上記の好ましい値を合わせて持つ。
【0040】
本発明によるアモキシシリン三水和物の製品は、任意の適切な形のアモキシシリン三水和物とすることができる。アモキシシリン三水和の製品は依然として何らかの不純物を含有している可能性があることが理解されよう。好ましくは、アモキシシリン三水和物の製品は、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のアモキシシリン三水和物を含有している。これらの重量百分率は、製品の重量に対するものである。本発明によるアモキシシリン三水和物は助剤を含まないことが好ましい。
【0041】
一実施形態においては、本発明による製品は、本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末である。別の実施形態においては、本発明による製品は、(i)本発明によるアモキシシリン三水和物粉末、好ましくは本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末と、(ii)別の物理的形態のアモキシシリン三水和物、好ましくはアモキシシリン三水和物を含む顆粒と、を含む混合物である。
【0042】
本発明はまた、アモキシシリン三水和物粉末、好ましくは本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末を、別の物理的形態のアモキシシリン、好ましくはアモキシシリン三水和物を含む顆粒と混ぜて、本発明による製品を得るステップを含む方法も提供する。混ぜるべきアモキシシリン三水和物と顆粒の量は、T85%と、嵩密度、タップ密度、d/d比および/または圧縮率との好ましい組み合わせが得られるように選択することができる。混合物中の(混ぜるべき)アモキシシリン三水和物は、例えば、d50が1から100μmの範囲の粉末とすることができる。本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末が好ましい。
【0043】
混合物中に(混ぜるべき)アモキシシリン三水和物を含む顆粒は、任意の好適な顆粒、例えばd50が100から1000μmの範囲の顆粒とすることができる。顆粒のd50は、篩い分析を行うことによって測定することが好ましい。顆粒は、例えば少なくとも90重量%のアモキシシリン三水和物を含むことができ、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のアモキシシリン三水和物を含むことができる。好ましくは、顆粒には助剤は含まれていない。顆粒は、例えば、ローラー圧縮、アグロメレーション、押出成形、凝集、湿式または乾式造粒などによって粉末を合わせて顆粒を形成する、任意の適切な方法によって得ることができる。
【0044】
本発明による製品は、有利には、医薬組成物の調製に使用することができる。
【0045】
本発明による製品は、有利には、薬学的に許容される助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と混ぜることができる。本発明による製品は、製品と助剤の合計重量に対して、例えば、0から50重量%の範囲、好ましくは0から40重量%の範囲、好ましくは0から30重量%の範囲、より好ましくは0から20重量%の範囲、好ましくは1重量%超の助剤と混ぜることができる。本発明による製品は、例えば、クラブラン酸塩、好ましくはクラブラン酸カリウムと混ぜることができる。アモキシシリン:クラブラン酸の重量比は、好ましくは1:1から15:1の範囲であり、好ましくは2:1から10:1の範囲であり、好ましくは4:1から8:1の範囲である。これらの重量比は、無水アモキシシリンと酸の形のクラブラン酸について計算する。したがって、本発明はまた、本発明による製品を助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と混ぜるステップを含む方法によって得られる混合物にも関する。本発明はまた、(i)本発明による製品と、(ii)助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤とを含む混合物も提供する。
【0046】
第2の薬学的に活性な薬剤としては、クラブラン酸塩、好ましくはクラブラン酸カリウムを用いることが好ましい。
【0047】
助剤としては、例えば、フィラー、乾式結合剤、崩壊剤、湿潤剤、湿式結合剤、潤滑剤、流動化剤などを使用することができる。助剤の例としては、ラクトース、デンプン、ベントナイト、炭酸カルシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースNa、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、滑石が挙げられる。
【0048】
好ましくは、混合物は、0から50重量%の範囲、好ましくは0から40重量%の範囲、好ましくは0から30重量%の範囲、より好ましくは0から20重量%の範囲、好ましくは1重量%超の助剤を含有する。これらの重量百分率は、アモキシシリン三水和物と助剤の合計重量に対するものである。
【0049】
好ましくは、アモキシシリン:クラブラン酸の重量比は、1:1から15:1の範囲であり、好ましくは2:1から10:1の範囲であり、好ましくは4:1から8:1の範囲である。これらの重量比は、無水アモキシシリンと酸の形のクラブラン酸について計算する。
【0050】
本発明による製品は、有利には、医薬用のカプセル、例えばゼラチンカプセルの充填用に用いることができる。したがって、本発明はまた、本発明による製品を含むカプセル、または本発明による混合物を含むカプセルにも関する。本発明による製品または本発明による混合物は、任意の適切な方法でカプセルに供給することができる。材料をカプセルに供給するステップは、材料のプラグを形成するステップを含むことができることは、当業者には理解されよう。前記プラグはゆるく構成された材料からなる。当業者には、本発明による製品または混合物を含むカプセルはまた、本発明による製品または混合物のプラグを含むカプセルも包含することが理解されよう。本発明はまた、本発明による製品または本発明による混合物の、カプセルを充填するための、または錠剤を調製するための使用にも関する。
【0051】
本発明はまた、本発明による製品を、任意選択で助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて、カプセルに供給するステップを含む、カプセル充填方法にも関する。本発明はまた、本発明による製品を、任意選択で第2の薬学的に活性な薬剤と共に、薬学的に許容される助剤と混ぜるステップと、得られた混合物をカプセルに供給するステップとを含む方法にも関する。
【0052】
本発明者等は、本発明による製品の改良された流れ特性により、乾式および湿式の造粒、アグロメレーション、錠剤形成などのプロセスが容易になることを見出した。したがって、本発明はまた、本発明による製品を圧縮して、または本発明による混合物を圧縮して、圧縮製品を製造するステップを含む方法も提供する。圧縮製品は、例えば、顆粒または錠剤とすることができる。本発明はまた、圧縮された形で本発明による製品を含む、または圧縮された形で本発明による混合物を含む、顆粒または錠剤にも関する。
【0053】
本発明はまた、本発明による製品または本発明による混合物を、任意選択で助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて、ローラー圧縮機に供給してコンパクトを製造するステップと、このコンパクトを粉砕して顆粒を製造するステップとを含む、顆粒調製方法にも関する。製造された顆粒は、有利には、篩いにかけて所望の粒度分布を得ることができる。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0054】
本発明はまた、本発明による製品または本発明による混合物を、例えば湿潤液に溶解した結合剤と混ぜるステップと、結晶を湿式または乾式で圧縮するステップと、得られたコンパクトを篩いにかけて顆粒化するステップとを含む、顆粒調製方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0055】
本発明はまた、本発明による製品または本発明による混合物からペーストを形成するステップと、このペーストを10℃から80℃の温度で混練するステップと、このペーストを2軸押出機で押出成形するステップと、所望により、得られた顆粒を乾燥するステップとを含む方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる顆粒にも関する。
【0056】
本発明はまた、任意選択で助剤および/または薬学的に活性な薬剤と混ぜて、本発明による顆粒を圧縮して錠剤を調製するステップを含む方法にも関する。本発明はまた、この方法によって得られる錠剤にも関する。
【0057】
アモキシシリン三水和物結晶性粉末は、溶解したアモキシシリンを含む溶液を調製し、前記溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させて結晶を形成させ、前記溶液からこの結晶を分離し、分離された結晶を乾燥することによって得ることができる。本明細書において用いる結晶性粉末という用語には、それだけに限らないが、この方法によって得られたおよび/または得ることができる乾燥製品が含まれる。
【0058】
驚くべきことに、結晶化、分離、および/または乾燥条件を選ぶことによって、流れ特性が改良された、具体的には嵩密度が高い、および/またはタップ密度が高い結晶性粉末が得られることが見出された。
【0059】
流れ特性が改良された、具体的には嵩密度が高い、および/またはタップ密度が高い結晶性粉末を調製するステップは、好ましくは、この方法、具体的には結晶化、分離および乾燥の各ステップを、乾燥結晶の粒経、具体的にはd50および/またはd10が増大するような条件下で実施するステップを含むことが見出された。
【0060】
好ましい結晶化条件としては、比較的長い滞在時間、水溶液における比較的低いアモキシシリン濃度、水溶液における比較的低いタンパク質濃度、および/または純度の高い水溶液を使用することを挙げることができる。その他の好ましい条件については以下に説明する。
【0061】
さらに、特にサイズが増大した結晶について、例えば結晶化、分離および/または乾燥時の機械的な衝撃の程度が、嵩密度およびタップ密度に影響を及ぼすことが見出された。例えば結晶の乾燥中および/または分離中あるいは輸送中に結晶に機械的な力を加えると、驚くべきことに、機械的な衝撃がない状態と比べて嵩密度およびタップ密度が増大することが見出された。しかし、機械的な力が高すぎると、嵩密度およびタップ密度は低下することが見出されている。分離中の機械的な衝撃は、例えば遠心分離中に与えることができる。乾燥中の機械的な衝撃は、例えば接触式乾燥機、例えばVrieco−Nauta接触式乾燥機、またはフラッシュドライヤーを用いて与えることができる。機械的な衝撃はまた、空気輸送、例えば分離工程から乾燥工程へのアモキシシリン三水和物の空気輸送を利用して与えることもできる。どんな科学理論にも拘束されたくはないが、限られた大きさの機械的な衝撃には、比較的大きな針状の結晶を破壊する効果があるために、嵩密度および/またはタップ密度が上昇すると考えられる。しかし、過大な機械的な力を用いると細かすぎる結晶が生成するため、嵩密度および/またはタップ密度が低下することになると思われる。本発明によって提供されるこの洞察を用い、かつ機械的な力を変化させることによって、当業者は、最適な嵩密度および/またはタップ密度を得る条件を見出すことができる。
【0062】
したがって、本発明は、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含むアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップが、得られる結晶性粉末の嵩密度が0.45g/mlより高く、好ましくは0.5g/mlより高く、より好ましくは0.55g/mlより高くなるような条件下で行われる方法を提供する。嵩密度には特定の上限はない。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、例えば、嵩密度が0.8g/mlより低く、例えば0.7g/mlより低くなるような条件下で行うことができる。
【0063】
本発明はまた、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含むアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップが、得られる結晶性粉末のタップ密度が0.6g/mlより高く、好ましくは0.7g/mlより高く、より好ましくは0.8g/mlより高くなるような条件下で行われる方法を提供する。タップ密度には特定の上限はない。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、例えば、タップ密度が1.2g/mlより低く、例えば1.1g/mlより低く、例えば1.0g/mlより低くなるような条件下で行うことができる。
【0064】
本発明はまた、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含むアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップが、得られる結晶性粉末のd/dの比が1.7未満、好ましくは1.6未満、好ましくは1.5未満、好ましくは1.45未満(但し、d=タップ密度、およびd=嵩密度)になるような条件下で行われる方法を提供する。この比には特定の下限はない。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、例えば、d/dの比が1.05より高く、例えば1.1より高くなるような条件下で行うことができる。
【0065】
本発明はまた、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含むアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップが、((d−d)/d)*100%で定義される圧縮率が40%未満、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満(但し、d=タップ密度、およびd=嵩密度)になるような条件下で行われる方法を提供する。圧縮率には特定の下限はない。圧縮率は、例えば10%より高くてもよい。
【0066】
本発明はまた、溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、前記溶液から結晶を分離するステップと、分離された結晶を乾燥するステップとを含むアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップが、得られる結晶性粉末のd50が10μmより大きく、好ましくは20μmより大きく、より好ましくは30μmより大きく、特に35μmより大きく、より好ましくは40μmより大きくなるような条件下で行われる方法を提供する。d50には特定の上限はない。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、例えば、得られる結晶性粉末のd50が150μm未満、例えば100μm未満になるような条件下で行うことができる。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、乾燥した結晶のd10が3μmより大きく、好ましくは5μmより大きく、より好ましくは8μmより大きく、より好ましくは10μmより大きくなるような条件下で行われることが好ましい。d10には特定の上限はない。この方法、好ましくは結晶化、分離および/または乾燥の各ステップは、例えば、得られる結晶性粉末のd10が50μm未満になるような条件下で行うことができる。
【0067】
製品の乾燥の程度を特定するのに用いることができる水分活性は、任意の適切な値であってよい。乾燥は、得られるアモキシシリン三水和物結晶性粉末の水分活性が、例えば0.05より高く、例えば0.1より高く、例えば0.15より高く、例えば0.2より高く、例えば0.25より高く、例えば0.3より高く、例えば0.7より低く、例えば0.6より低く、例えば0.5より低くなるように行うことができる。本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末の水分活性は、例えば0.05より高く、例えば0.1より高く、例えば0.15より高く、例えば0.2より高く、例えば0.25より高く、例えば0.3より高くすることができる。本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末の水分活性は、例えば0.7より低く、例えば0.6より低く、例えば0.5より低くすることができる。これらの値は、25℃で測定された水分活性のことである。水分活性は、平衡相対湿度を100%で除したものとして定義されることが知られている。試料の水分活性を測定する好ましい方法は、所定量の試料を比較的小容積の密閉されたチャンバーに入れて、相対湿度が一定になる(例えば、30分後)まで時間の関数として相対湿度を測定する。この値がその試料の平衡相対湿度である。Novasina TH200 Thermoconstanterを使用することが好ましい。その試料ホルダーは容積が12mlであり、そこに3gの試料を入れる。
【0068】
好ましくは、本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法は、6−アミノ−ペニシラン酸またはその塩を、担体上に固定化された酵素の存在下、活性状態のp−ヒドロキシフェニルグリシンと反応させることによってアモキシシリンを調製するステップと、塩酸を含有する、アモキシシリン含有水溶液を形成するステップと、前記水溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップとを含む。
【0069】
好ましくは、アモキシシリン三水和物を結晶化させる溶液は水溶液である。任意の適切な水溶液を使用することができる。適切な水溶液としては、水:有機溶媒の重量比が、100:0から70:30の範囲、好ましくは100:0から80:20の範囲、好ましくは100:0から90:10の範囲、好ましくは100:0から95:5の範囲、好ましくは100:0から99:1の範囲の溶液が挙げられる。
【0070】
好ましくは、アモキシシリン三水和物を結晶化させる溶液は、1,000,000重量部のアモキシシリン(溶解した形であるか否かにかかわらず、アモキシシリンの総濃度)当り、200重量部未満のタンパク質、好ましくは100重量部未満のタンパク質、より好ましくは50重量部未満のタンパク質、より好ましくは35重量部未満のタンパク質を含有する。
【0071】
好ましくは、アモキシシリンを結晶化させる溶液は、アモキシシリン濃度(溶解した形であるか否かにかかわらず、アモキシシリンの総濃度)が、0.6モル/l未満、好ましくは0.5モル/l未満、より好ましくは0.4モル/l未満、より好ましくは0.3モル/l未満の水溶液である。
【0072】
アモキシシリン三水和物を結晶化させる水溶液は、塩酸または塩化物を含有する溶液であることが好ましい。アモキシシリン三水和物を結晶化させる水溶液は、アモキシシリン(溶解した形であるか否かにかかわらず、アモキシシリンの総濃度)1モル当り0.9から5モルの塩酸または塩化物、好ましくはアモキシシリン1モル当り0.9から3モルの塩酸または塩化物、より好ましくはアモキシシリン1モル当り0.9から1.5モルの塩酸または塩化物を含有することが好ましい。アモキシシリン三水和物を結晶化させる水溶液は、アモキシシリン1モル当り1.0モルを超える塩酸または塩化物を含有することが好ましい。
【0073】
アモキシシリン三水和物は、pH2から7の範囲、好ましくは3から6の範囲で水溶液から結晶化させることが好ましい。この方法は、好ましくはpH2から5の範囲、好ましくは3から4の範囲の第1のステップにおいて、および第1のステップより高いpH、好ましくはpH4から7の範囲、好ましくは4.5から6の範囲の第2のステップにおいて、アモキシシリン三水和物を水溶液から結晶化させるステップを含むことが好ましい。
【0074】
5℃から40℃の範囲、好ましくは10から30℃の範囲、より好ましくは15から25℃の範囲の温度で、水溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させることが好ましい。
【0075】
アモキシシリン三水和物を結晶化させる溶液は、任意の適切な方法で調製することができる。溶解したアモキシシリンを含有する水溶液は、アモキシシリン三水和物を溶解することによって調製することができる。アモキシシリン三水和物を溶液に添加し、添加したアモキシシリン三水和物を溶解させることが可能である。また、溶液中にin situでアモキシシリン三水和物の結晶を形成させることによって水性懸濁液を調製し、前記懸濁液中のアモキシシリン三水和物の結晶を溶解させることも可能である。アモキシシリンの調製方法においては、この方法は、溶解したアモキシシリンを含有する水溶液であって、アモキシシリン濃度が0.6モル/l未満、好ましくは0.5モル/l未満、より好ましくは0.4モル/l未満、より好ましくは0.3モル/l未満の水溶液を調製するステップを含むことが好ましい。この方法は、溶解したアモキシシリンを含有する水溶液であって、pHが0から1.5の範囲、好ましくは0.5から1.2の範囲の水溶液を調製するステップを含むことが好ましい。アモキシシリンの溶解は、任意の適切な方法、例えばアモキシシリン三水和物の結晶を含有する水性懸濁液に酸を添加することによって、好ましくは塩酸を添加することによって行うことができる。酸好ましくは塩酸の添加量は、アモキシシリン1モル当り塩酸0.9から5モル、好ましくはアモキシシリン1モル当り塩酸0.9から3モル、より好ましくはアモキシシリン1モル当り塩酸0.9から1.5モルとすることができる。アモキシシリン1モル当り1.0モルを超える塩酸を添加することが好ましい。好ましい実施形態においては、この方法は、(水)溶液または(水性)懸濁液を、pH1.5未満、好ましくは1.2未満に、60分未満、好ましくは30分未満、より好ましくは15分未満、より好ましくは10分未満、より好ましくは8分未満の時間保持するステップを含む。これにより、アモキシシリンの純度を改良することができる。この方法は、水溶液または水性懸濁液を、急速混合ミキサー、例えばスタティックミキサーを用いて、酸と混ぜるステップを含むことが好ましい。これにより、水溶液または水性懸濁液を低pHに保持する時間を短縮することができる。酸と水性懸濁液との混合は、例えば−5℃より高い、例えば5℃より高い、例えば10℃より高い、例えば15℃より高い、例えば50℃より低い、例えば40℃より低い任意の適切な温度で行うことができる。この方法は、前記結晶化ステップの前に溶液を濾過するステップを含むことが好ましい。この方法は、溶解したアモキシシリンを含有する水溶液であって、そのpHが好ましくは0から1.5の範囲、好ましくは0.5から1.2の範囲の水溶液を濾過するステップを含むことが好ましい。溶液は、任意の適切なフィルターを通すことができる。孔径が40μm未満、好ましくは20μm未満、好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満のフィルターを使用することが好ましい。
【0076】
アモキシシリン三水和物は、有利には、例えばNaOHなどの塩基を添加することによってpHを上昇させて前記水溶液から結晶化させることができる。
【0077】
結晶化は、バッチ式でまたは連続的に行うことができる。バッチ式で行う場合、種晶を水溶液に添加することが好ましい。好ましくは、結晶化は連続的に行われる。
【0078】
アモキシシリンは、6−アミノ−ペニシラン酸またはその誘導体、例えば6−アミノ−ペニシラン酸塩を、水性反応媒体中で酵素の存在下、活性状態のp−ヒドロキシフェニルグリシンから選択されるアシル化剤と反応させることによって調製することが好ましい。活性状態のp−ヒドロキシフェニルグリシンは、好ましくは、p−ヒドロキシフェニルグリシンのエステルまたはアミドである。好適なエステルとしては、例えば、炭素原子1から4個のアルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルまたはイソプロピルエステルが挙げられる。グリコールエステル、例えばエチレングリコールエステルも使用することができる。−CONH基が置換されていないアミドも使用することができる。
【0079】
酵素は、加水分解活性を有する任意の酵素(加水分解酵素)とすることができる。酵素は、例えばアシラーゼ、とりわけペニシリンGアシラーゼ、アミダーゼまたはエステラーゼとすることができる。酵素は、様々な天然微生物、例えば真菌および細菌から分離することができる。ペニシリンアシラーゼを生成することが見出されている微生物は、例えば、アセトバクター属、エーロモナス属、アルカリゲネス属、アファノクラジウム属(Aphanocladium)、桿菌属(Bacillus sp.)、セファロスポリウム属、エシェリヒア属、フラボバクテリウム属、クライベラ属(Kluyvera)、マイコプラナ属(Mycoplana)、プロタミノバクター属(Protaminobacter)、シュードモナス属またはキサントモナス属の種が挙げられる。
【0080】
酵素の存在下においてアモキシシリンを調製する方法は、国際公開第9201061号パンフレット、国際公開第9417800号パンフレット、国際公開第9704086号パンフレット、国際公開第9820120号パンフレット、欧州特許出願公開第771357号明細書に記載されており、これらの内容を参照により本明細書に組み込む。
【0081】
反応は、任意の適切なpH、好ましくは5から9の範囲、好ましくは5.5から8の範囲、より好ましくは6から7.5の範囲のpHで行うことができる。反応は、任意の適切な温度、例えば、0から40℃の範囲、好ましくは0から30℃の範囲、より好ましくは0から15℃の範囲の温度で行うことができる。
【0082】
生成したアモキシシリンは、反応を行った条件で結晶化することができる。アモキシシリンの結晶化は、例えば、5から8の範囲、好ましくは5.5から7.5の範囲のpHで行う。
【0083】
好ましくは、酵素は担体上に固定化された酵素である。任意の適切な担体を使用することができる。好ましくは、担体はゲル化剤および遊離アミノ基を含むポリマーを含む。好ましくは、ポリマーはアルギン酸アンモニウム、キトサン、ペクチン、またはポリエチレンイミンから選択される。好ましくは、ゲル化剤はゼラチンである。この担体およびその調製は、欧州特許出願公開第222462号明細書および国際公開第9704086号パンフレットに記載されている。固定化の前に、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、分離された酵素を精製することが好ましい。
【0084】
好ましくは、酵素は担体上に固定された酵素であり、この方法は、固定化酵素から生成したアモキシシリンを含む製品を分離するステップを含むことが好ましい。固定化酵素から製品を分離する前記ステップは、任意の適切な方法、例えば重力または固定化酵素の主要部分を透過させないスクリーンを用いて行うことができる。好ましくは、固定化酵素から分離された製品は、アモキシシリン1,000,000重量部当り200重量部未満のタンパク質、好ましくは100重量部未満のタンパク質、より好ましくは50重量部未満のタンパク質、より好ましくはアモキシシリン1,000,000重量部当り35重量部未満のタンパク質を含有する。これは、担体上に十分に固定化された酵素を使用して、少量のタンパク質がアモキシシリン三水和物から分離することを避けることによって実現することが好ましい。これは、得られた最終のアモキシシリン三水和物が、アモキシシリン1,000,000重量部当り200重量部未満のタンパク質、好ましくは100重量部未満のタンパク質、より好ましくは50重量部未満のタンパク質、より好ましくはアモキシシリン1,000,000重量部当り35重量部未満のタンパク質を含有するという利点を有する。固定化酵素から分離された製品は、溶解した状態でアモキシシリンを含有する水溶液とすることができる。固定化酵素から分離された製品は、ウェットケーキとすることもできる。分離された製品は、好ましくは、アモキシシリン三水和物を含む水性懸濁液である。好ましくは、この方法は、前記アモキシシリン三水和物の結晶を溶解して、溶解したアモキシシリンを含有する水溶液を形成するステップを含む。
【0085】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができるアモキシシリン三水和物結晶性粉末にも関する。
【0086】
本発明を、以下の実施例を用いてさらに説明するが、これらに限定されるものではない。
【0087】
実施例および比較実験
【0088】
実施例I〜V
固定化酵素の調製
国際公開第9212782号パンフレットに記載されたようにして大腸菌ペニシリンアシラーゼを分離し、イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製し、欧州特許出願公開第222462号明細書および国際公開第9704086号パンフレットに記載されたようにして固定化した。
【0089】
ペニシリンGアシラーゼ活性の定義としては、以下を用いる:1単位(U)は、標準条件(ペニシリンGカリウム塩100g/l、0.05Mリン酸カリウム緩衝液、pH8.0、28℃)下、ペニシリンG1μモル当り1分間に加水分解する酵素の量に相当する。
【0090】
アモキシシリンの製造
162.2gの6−APA(6−アミノ−ペニシラン酸)および184.8gのHPGM(D(−)−p−ヒドロキシフェニルグリシンメチルエステル)を、450mlの水に懸濁させた。懸濁液を、10℃の温度まで冷却した。この反応混合物に、32850単位の固定化ペニシリンアシラーゼを加え、水を加えて最終容積を1500mlにした。この混合物を6時間かき混ぜた。反応中pHは6.9に上昇し、反応の終わりにはpHは6.2に下がった。この混合物に750mlの水を加え、(メッシュが100マイクロメートルの)篩いで懸濁液を2時間かけて濾過し、固定化酵素を分離した。アモキシシリン三水和物結晶を含有する、得られた懸濁液を0℃に冷却した。懸濁液は、アモキシシリン三水和物に対して50ppm未満のタンパク質(1,000,000重量部のアモキシシリン三水和物当り50重量部未満のタンパク質)を含有していた。
【0091】
上記のようにして得られた、アモキシシリンを水に含有する水性懸濁液(懸濁液1リットル当りアモキシシリン三水和物100g)を、pH1の溶液が得られるように、スタティックミキサーを用いて32重量%HCl溶液と(温度25℃で)混合した。スタティックミキサー中の滞在時間は1.5分であった。得られた酸性溶液を、2つのフィルターを通してポンプで送った。第1のフィルターの孔径は40μmであり、第2のフィルターの孔径は4.5μmであった。これらのフィルターにおける滞在時間は約3分であった。濾過した酸性溶液を、第1の撹拌槽に送った。この槽においては、8M NaOH溶液を添加することによってpH3.7が保持される。第1の槽における温度は17から23℃の範囲である。第1の槽における滞在時間は45分である。第1の槽の内容物を、8M NaOH溶液を添加することによってpH5.0が保持される第2の撹拌槽に送る。第2の槽における温度は17から23℃の範囲である。第2の槽における滞在時間は15分である。槽2の内容物を、温度が1から5℃に保持された第3の撹拌槽に送る。第3の槽における滞在時間は4時間より長い。第3の撹拌槽の内容物を、逆フィルター遠心分離機に送ってアモキシシリンの結晶を分離し、固体物質86重量%を含有するウェットケーキを得る。このウェットケーキを水で洗い、円錐形の真空接触式乾燥機(Vrieco−Nauta)に空気輸送し、この中で30から40℃の温度および30ミリバールの圧力で7時間乾燥した。
【0092】
粒度分布、嵩密度およびタップ密度の測定
ミキサーからの試料の粒度分布(d10およびd50を含めて)を、対物レンズf=300mm、malvern試料測定ユニットPS1、およびMalvern乾燥粉末フィーダーPS64を有する、Malvern粒径測定器2600Cを用いて測定した。ビーム長は14.30mmであった。多分散分析モデルを用いた。
【0093】
嵩密度は、米国薬局方24、I法(1913頁)に従って測定した。
【0094】
タップ密度は、米国薬局方24、II法(1914頁)に従って測定した。
【0095】
上記の方法を用いて5つの異なるバッチを調製した。表1に、得られた結晶のタップ密度、嵩密度、d50、d10を示す。
【0096】
実施例VI
実施例Vの粉末を風力篩(Hosakawa Alpine製の風力篩200LS−N)にかけた。篩い別けは、75μmのスクリーンを用いて10分間行った。前記篩い別け中に生成した少量の凝集物を、振動篩(425μm)を用いて篩上分(篩いを通過しなかった部分)から取除き、その後得られた篩上分の結晶のタップ密度、嵩密度、d50、d10を測定した。結果を表1に示す。この実施例は、圧縮率およびHausner比がさらに低下していることを示す。得られた粉末は、8mmのKleinカップを通して流れる。
【0097】
【表1】

【0098】
比較実験A
アモキシシリンを調製する化学的方法で、希HClおよびイソプロパノール中にアモキシシリンを含有する溶液を得た。この溶液を撹拌槽に送った。温度20℃でpHを3.7に保持した。その後、NaOHを加えてpHを5.0に上げた。得られた混合物を、1から5℃で3から12時間容器内に保持する。このアモキシシリンを、遠心分離機を用いて分離し、流動床乾燥機を用いて乾燥した。表1にタップ密度、嵩密度、d50、d10を示す。
【0099】
参考実験B
乾燥を、円錐形の真空接触式乾燥機(Vrieco−Nauta)を用いず、材料に機械的衝撃を与えない乾燥機(Ventilation stove)を用いて行った点を変えて実施例Iを繰返した。乾燥は、35℃の温度で16時間行った。結果を表1に示した。実施例I〜IVと実施例Bを比べると、乾燥中に機械的衝撃を用いると嵩密度およびタップ密度が上昇することが分かる。
【0100】
実施例VII
ゼラチンカプセル(サイズ0)6個に、実施例IVのアモキシシリン三水和物結晶性粉末を手で充填した(カプセル1個当り無水ベースで500mg)。助剤は添加しなかった。撹拌速度100rpmおよび温度37℃を含めて、米国薬局方27の「アモキシシリンカプセル」の項に記載の条件下、装置1を用いて溶解試験を行った。各々900mlの水を含む6個のビーカーを用いた。試料を5分毎に採取し、最大吸光度波長272nmにおける紫外吸収を用いて、溶解したアモキシシリンの量を測定した。
【0101】
15分で84重量%のアモキシシリンが溶解した。
【0102】
20分で90重量%のアモキシシリンが溶解した。
【0103】
比較実験C
表3に示された粒度分布を有するアモキシシリン三水和物粉末をローラー成形することによって得られた、市販の助剤を含まないアモキシシリン三水和物顆粒を用いて実施例VIIを繰返した。60分後、82.0重量%のアモキシシリンが溶解した。
【0104】
比較実験D
表3に示された、異なる粒度分布を有する市販の助剤を含まないアモキシシリン三水和物顆粒を用いて実施例VIIを繰返した。結果を図1に示した。60分後、84.4重量%のアモキシシリンが溶解した。
【0105】
【表2】

【0106】
実施例VIII
本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末20g、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH102)2gを200mlの容器に秤量し、Turbula T2Cブレンダーで5分間混合した。ステアリン酸マグネシウム0.1gを加え、さらに2分間混合した。
【0107】
混合物の一部を、直径7mm、高さ2.3cmの金型に移し、金型を完全に充填した。金型の上にパンチを置いて、5秒間、5kgの圧力を加えた。得られた金型内の空間を完全に充填し、5kgの圧力を再度加えた。容積の減少が観察されなくなるまでこの手順を繰返した。最後に、形成されたプラグを金型から取出して、空のゼラチンカプセル体、Capsugelのnr.0 Star−lock(登録商標)に入れた。この配合物の組成は以下の通りである:
アモキシシリン三水和物結晶性粉末 570.1mg(アモキシシリン500mg)
微結晶性セルロース 57.1mg
ステアリン酸マグネシウム 2.8mg
合計 630.0mg
【0108】
この実施例は、本発明による結晶性粉末は、(アモキシシリン無水物として計算した)アモキシシリン500mgの指定量で、成形または造粒工程なしにカプセルの充填に直接使用することができることを示している。
【0109】
実施例IX
本発明によるアモキシシリン三水和物結晶性粉末297.5g、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH200)88.5g、クロスカルメローゼナトリウム(Ac−DI−Sol(登録商標))10g、およびコロイド質二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標))1gを1000mlの容器に秤量し、Turbula TC2ブレンダーで10分間混合した。ステアリン酸マグネシウム3gを加え、さらに2分間混合した。
【0110】
この混合物をKorsch(登録商標)EKO傍心錠剤プレスのホッパーに移し、以下の特性を有する錠剤をプレスした。
【0111】
この配合物の組成は以下の通りである:
アモキシシリン三水和物結晶性粉末 581.7mg(アモキシシリン500mg)
微結晶性セルロース 190.3mg
クロスカルメローゼナトリウム 20
コロイド質二酸化ケイ素 2
ステアリン酸マグネシウム 6 mg
800 mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵩密度が、0.45g/mlより高い、好ましくは0.5g/mlより高い、より好ましくは0.55g/mlより高い、アモキシシリン三水和物結晶性粉末。
【請求項2】
タップ密度が、0.6g/mlより高い、好ましくは0.7より高い、より好ましくは0.8g/mlより高い、請求項1に記載の結晶性粉末。
【請求項3】
50が、10μmより大きい、好ましくは20μmより大きい、より好ましくは30μmより大きい、より好ましくは35μmより大きい、より好ましくは40μmより大きい、好ましくは150μmより小さい、請求項1または請求項2に記載の結晶性粉末。
【請求項4】
10が、3μmより大きい、好ましくは5μmより大きい、より好ましくは8μmより大きい、より好ましくは10μmより大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性粉末。
【請求項5】
85%が、<55分である、好ましくは50分より短い、好ましくは40分より短い、好ましくは30分より短い(但し、T85%は、所定量(無水基準で500mg)のアモキシシリン三水和物の85重量%を37℃の水900mlに溶解させるのに必要な時間である)、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粉末。
【請求項6】
(i)請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末と、
(ii)(a)アモキシシリン三水和物を含む顆粒、および/または
(b)第2の薬学的に活性な薬剤、および/または
(c)助剤と、
を含む混合物。
【請求項7】
(i)T85%が、<55分、好ましくは<50分、好ましくは<40分、好ましくは<30分、好ましくは<25分であり、
(ii)嵩密度が、0.45g/mlより高い、好ましくは0.5g/mlより高い、より好ましくは0.55g/mlより高い、
アモキシシリン三水和物の製品。
【請求項8】
(i)アモキシシリン三水和物粉末と、(ii)アモキシシリンを含む顆粒とを含む、請求項7に記載の製品。
【請求項9】
前記アモキシシリン三水和物粉末が、請求項1から5のいずれか一項に記載のアモキシシリン三水和物結晶性粉末である、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
前記顆粒が、100から1000μmの範囲のd50を有する、請求項8または請求項9に記載の製品。
【請求項11】
前記顆粒が助剤を含まない、請求項8から10のいずれか一項に記載の製品、または請求項6に記載の混合物。
【請求項12】
前記製品が助剤を含まない、請求項7から11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
(i)請求項7から12のいずれか一項に記載の製品と、
(ii)助剤および/または第2の薬学的に活性な薬剤と、
を含む混合物。
【請求項14】
(i)T85%が、<60分、好ましくは<50分、好ましくは<40分、好ましくは<30分、好ましくは<25分であり、
(ii)嵩密度が、0.45g/mlより高い、好ましくは0.5g/mlより高い、より好ましくは0.55g/mlより高い、
請求項13に記載の混合物。
【請求項15】
前記第2の薬学的に活性な薬剤が、クラブラン酸塩、クラブラン酸カリウムである、請求項6または請求項13または請求項14に記載の混合物。
【請求項16】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末、または請求項7から12のいずれか一項に記載の製品、または請求項6もしくは請求項13から15のいずれか一項に記載の混合物の、カプセルを充填するための、または錠剤を調製するための使用。
【請求項17】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末、または請求項7から12のいずれか一項に記載の製品、または請求項6もしくは請求項14から15のいずれか一項に記載の混合物を含有するカプセル。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末、または請求項7から12のいずれか一項に記載の製品、または請求項6もしくは請求項13から15のいずれか一項に記載の混合物を圧縮して、圧縮製品を製造するステップを含む方法。
【請求項19】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末、または請求項7から12のいずれか一項に記載の製品、または請求項6もしくは請求項13から15のいずれか一項に記載の混合物を、圧縮された形で含む顆粒または錠剤。
【請求項20】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶性粉末、または請求項7から12のいずれか一項に記載の製品の、医薬組成物調製のための使用。
【請求項21】
溶解したアモキシシリンを含有する溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、
前記溶液から結晶を分離するステップと、
分離された結晶を乾燥するステップと、
を含む、アモキシシリン三水和物結晶性粉末の調製方法であって、
嵩密度が、0.45g/mlより高い、好ましくは0.5g/mlより高い、より好ましくは0.55g/mlより高い結晶性粉末を得る方法。
【請求項22】
タップ密度が、0.6g/mlより高い、好ましくは0.7g/mlより高い、より好ましくは0.8g/mlより高い結晶性粉末を得る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
50が、10μmより大きい、好ましくは20μmより大きい、より好ましくは30μmより大きい、より好ましくは35μmより大きい、より好ましくは40μmより大きい結晶性粉末を得る、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
10が、3μmより大きい、好ましくは5μmより大きい、より好ましくは8μmより大きい、より好ましくは10μmより大きい結晶性粉末を得る、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥ステップ中に、結晶に機械的な衝撃を与えるステップを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
6−アミノ−ペニシラン酸またはその塩を、担体上に固定化された酵素の存在下、活性状態のp−ヒドロキシフェニルグリシンと反応させることによってアモキシシリンを調製するステップと、
塩酸を含有する、アモキシシリン含有水溶液を形成するステップと、
前記水溶液からアモキシシリン三水和物を結晶化させるステップと、
を含む、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
アモキシシリンを結晶化させる水溶液は、アモキシシリン濃度が、0.6モル/l未満、好ましくは0.5モル/l未満、より好ましくは0.4モル/l未満、より好ましくは0.3モル/l未満である、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
アモキシシリンを結晶化させる溶液が、アモキシシリン抗生物質1,000,000重量部当り、200重量部未満のタンパク質、好ましくは100重量部未満のタンパク質、より好ましくは50重量部未満のタンパク質、より好ましくは35重量部未満のタンパク質を前記溶液中に含有する、請求項21または請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2006−523188(P2006−523188A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504788(P2006−504788)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002989
【国際公開番号】WO2004/082661
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505220217)デーエスエム アイピー アセッツ ベー. ヴェー. (29)
【Fターム(参考)】