説明

アルカリ金属分離回収方法およびアルカリ金属分離回収装置

【課題】 本発明の目的は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を効率的に回収する装置およびその運転方法を提供すること。
【解決手段】 ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を透過分離し、透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収する方法において、ナノ濾過膜ユニットを少なくとも2段に構成し、後段のナノ濾過膜ユニットの供給水に前段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水を用いることを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を回収する方法および装置に関するものであり、さらに詳しくは、複数段のナノ濾過膜を用いて効率的にアルカリ金属を回収するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、世界の経済発展に伴い、鉱物資源の需要拡大が著しい。しかし、半導体産業をはじめとして広く工業的に不可欠な鉱物資源のうち、地殻中の埋蔵量が多いものであっても、採掘や精錬のコストが高く経済的に採算が取れない資源や、特定地域に資源が局在化しており、これまで採掘が見合わせられてきたものも少なくなかった。一方で、環境問題も大きくクローズアップされてきており、循環型社会構築が望まれている。特に、二酸化炭素排出削減で注目を浴びている点から、電気自動車、それに使用されるモーターやバッテリー開発が加速されている。特に、バッテリーに関しては、リチウムイオン二次電池が、そのエネルギー密度、軽量さから電気自動車の主力バッテリーとして期待されている。リチウム化合物の用途として、例えば炭酸リチウムはリチウムイオン電池の電極材や耐熱ガラス添加剤のほか、弾性表面波フィルター向けにも用いられる。特に高純度のものは、携帯電話、カーナビ等フィルター及び発信器として使用されている。臭化リチウムの用途はビル、工場などの大型空調用吸収式冷凍機の冷媒吸収材として、水酸化リチウムの用途は自動車等のグリース及びリチウム電池(一次、二次)向けの原料である。金属リチウムの用途は一次電池の負極材としての箔及び合成ゴム触媒用のブチルリチウム向け原料などである。
【0003】
リチウムは、塩湖かん水、および鉱石中に含まれており、生産コスト面で塩湖かん水からの資源回収が有利である。これらは、主にチリ,ボリビア、アルゼンチンに存在し、埋蔵量も多い。組成としては、大きく、塩化物かん水,硫酸塩かん水,炭酸塩かん水,カルシウムかん水に分類されるが、このなかで、もっとも資源量が多い硫酸塩かん水は、精製の過程で硫酸塩が難溶性の塩を形成したり、アルカリ土類金属塩や硫酸塩を多く含有したりするものが多く、効率的にリチウム回収することが困難であった。
【0004】
これを解決する方策として、吸着剤による方法(特許文献1−2)などが提案されているが、コストが高いことが難点であり、低コストで安定的にリチウムを回収する技術として確立されていない。従来の低コスト方法としては、かん水を天日乾燥して、濃縮しつつ不純物を取り除く方法が挙げられるが、リチウム濃度が低い場合やアルカリ土類金属塩や硫酸塩の濃度が高い場合などには適用困難という問題があった。さらに、電気透析法や膜濾過法も検討されつつある(非特許文献1)が、実用化に至っていない。
【0005】
一方、同じアルカリ金属であるカリウムは,肥料をはじめ,食品,飼料,工業薬品,医薬品などに多用されている。現在、リチウムのような深刻な資源問題にはなっていないものの、発展途上国の爆発的な人口増加・経済成長に伴う資源の枯渇が懸念されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-161794号公報
【特許文献2】特開平4-293541号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「平成20年度現場ニーズ等に対する技術支援事業:かん水からのリチウム回収システム開発に関する共同スタディ報告書(公開版)」、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、三菱商事株式会社、平成22年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を効率的に回収する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は次の構成をとる。
【0010】
(1)ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を透過分離し、透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収する方法において、ナノ濾過膜ユニットを少なくとも2段に構成し、後段のナノ濾過膜ユニットの供給水に前段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水を用いることを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
【0011】
(2)第1段のナノ濾過膜ユニットと最終段のナノ濾過膜ユニットが異なることを特徴とする(1)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0012】
(3)第1段のナノ濾過膜ユニットの純水透水性能が最終段のナノ濾過膜ユニットの純水透水性能よりも小さいことを特徴とする(2)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0013】
(4)アルカリ金属透過率に対する硫酸イオン透過率の比について、第1段のナノ濾過膜ユニットにおける比が最終段のナノ濾過膜ユニットにおける比よりも小さいことを特徴とする(2)または(3)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0014】
(5)第1段のナノ濾過膜ユニット内のナノ濾過膜が脂肪族系ポリアミドを主成分とし、最終段のナノ濾過膜ユニット内のナノ濾過膜が芳香族系ポリアミドを主成分とすることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0015】
(6)少なくとも2段に構成したナノ濾過膜ユニットがすべて同じナノ濾過膜ユニットであるとともに、少なくとも1箇所でいずれかのナノ濾過膜ユニットの濃縮水を昇圧することを特徴とする(1)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0016】
(7)少なくとも1つのナノ濾過膜ユニットの透過水を濃縮してからアルカリ金属を後処理で回収することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0017】
(8)透過水の濃縮方法が蒸発法、膜蒸留法、アルカリ金属除去率95%以上の逆浸透膜を用いる方法のいずれかであることを特徴とする(7)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0018】
(9)透過水を濃縮する工程のうち少なくとも最終段の工程の後に精製阻害物質を除去してから後処理でアルカリ金属を回収することを特徴とする(7)または(8)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0019】
(10)少なくとも1つのナノ濾過膜ユニットの供給水に酸を添加することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0020】
(11)最終段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水に含有される精製阻害物質を除去処理し、その処理水をいずれかのナノ濾過膜ユニットの供給水ラインに還流することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0021】
(12)ナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくとも1つに希釈水を混合することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0022】
(13)(7)または(8)における濃縮時に産生される淡水を希釈水として用いることを特徴とする(12)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0023】
(14)ナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくとも1つを加温することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【0024】
(15)ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を透過分離し、透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収するためのアルカリ金属分離回収装置であって、ナノ濾過膜ユニットが少なくとも2段に構成され、前段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水ラインが後段のナノ濾過膜ユニットの供給水ラインに連結されていることを特徴とするアルカリ金属分離回収装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によって、様々な溶質が共存する水からリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を効率的に回収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る、アルカリ金属分離回収方法の一実施態様を示す概略フロー図である(請求項1〜5の発明)。
【図2】本発明に係る、ナノ濾過膜の2段目供給水を昇圧する一実施態様を示す概略フロー図である(請求項6の発明)。
【図3】本発明に係る、ナノ濾過膜の透過水を濃縮処理してからアルカリ金属を分離回収する方法の一実施態様を示す概略フロー図である(請求項7、8の発明)。
【図4】本発明に係る、ナノ濾過膜の最終段透過水を濃縮処理してから精製阻害物質を除去した上で、アルカリ金属を分離回収する方法の一実施態様を示す概略フロー図である(請求項9の発明)。
【図5】本発明に係る、ナノ濾過膜の供給水に酸を添加する一実施態様を示す概略フロー図である(請求項10の発明)。
【図6】本発明に係る、ナノ濾過膜の最終濃縮水から精製阻害物質を除去した上で、アルカリ金属を含有する原水に還流する一実施態様を示す概略フロー図である(請求項11の発明)。
【図7】本発明に係る、ナノ濾過膜の供給水に希釈水を混合する一実施態様を示す概略フロー図である(請求項12の発明)。
【図8】本発明に係る、ナノ濾過膜の透過水を濃縮処理して産生された透過水をナノ濾過膜供給水の希釈に用いる一実施態様を示す概略フロー図である(請求項13の発明)。
【図9】本発明に係る、ナノ濾過膜の供給水を加温する一実施態様を示す概略フロー図である(請求項14の発明)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の望ましい実施の形態の一例として、ナノ濾過膜ユニットが2段の場合を例にして、図面を用いて説明する。ただし、本発明はナノ濾過膜の段数を3段以上にすることも可能であるし、本発明の範囲はこれらの実施態様に限られるものではない。
【0028】
本発明のアルカリ金属回収の実施フローの一例を図1に示す。図1に示すアルカリ金属回収装置では、アルカリ金属を含有する原水1が原水タンク2で一旦貯留された後、原水供給ポンプ4によって前処理ユニット3で処理され、前処理された原水は昇圧ポンプ5で1段目ナノ濾過膜ユニット6に送られ、アルカリ金属が透過分離される。1段目ナノ濾過膜ユニット6の濃縮水は、2段目ナノ濾過膜ユニット7に送られ、1段目と同様にアルカリ金属が透過分離され、最終濃縮水8は系外に排出される。ナノ濾過膜透過水は、回収ユニット9に送られ、アルカリ金属が回収される(請求項1の発明)。
【0029】
本発明の対象となるアルカリ金属は、少なくともリチウムを含むものであれば好ましく、本発明の方法を実施する塩湖かん水などにおいては、リチウム以外にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属のうち少なくとも一つの金属と、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属の他、典型元素(アルミニウム、スズ、鉛など)、遷移元素(鉄、銅、コバルト、マンガンなど)、および1種以上の共役塩基(例えば塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオンなど)との塩からなる化合物が溶存している。これらの各成分の濃度は特に限定されないが、分離回収の効率の点からリチウムイオン濃度が0.5ppm以上10000ppm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは5ppm以上5000ppm以下の範囲であり、さらに好ましくは50ppm以上2000ppm以下の範囲である水溶液を原水とすることが好ましい。必要に応じて濃縮や希釈などの処理により、原水として供することが可能である。
【0030】
ここで、例えば炭酸リチウムや塩化カリウムなど、所望の精製アルカリ金属塩を分離回収するにあたり、その精製阻害物質としては難溶性塩を生成しやすいアルカリ土類金属塩や硫酸塩、地殻中の有機物などが挙げられ、マグネシウム塩および/または硫酸塩などが例示される。本発明では、アルカリ金属塩水溶液から精製アルカリ金属塩を分離回収する効率の観点から、原水となるアルカリ金属塩水溶液中のマグネシウムイオン濃度がリチウムイオン濃度に比して1000倍以下であることが好ましく、より好ましくは500倍以下、さらに好ましくは100倍以下であると効率的である。
【0031】
本発明では、分離膜で精製阻害物質を除去する処理工程を行うにあたり、アルカリ金属塩を含む水溶液中のマグネシウムイオン濃度が、該水溶液中のリチウムイオン濃度に比して7倍以下となるまで、分離膜による除去処理を行うことが好ましい。この比が7倍を超えると、精製アルカリ金属塩の回収効率が著しく低下する。なお、この時の精製阻害物質重量は、マグネシウムイオンや硫酸イオンなどのイオン換算重量で計算される。また、リチウムイオン換算重量および精製阻害物質重量は、例えばイオンクロマトグラフ測定によりアルカリ金属塩を含む水溶液の各種イオン濃度を定量することで求められる。
【0032】
原水中の精製阻害物質の含有量は、精製阻害物質の組成や濃度は原水の性状によって異なるが、例えば塩湖かん水ではマグネシウムイオン、硫酸イオンがそれぞれ100ppm以上30000ppm以下の範囲で含んでいる。
【0033】
ここでいうナノ濾過膜とは、IUPACで「2nmより小さい程度の粒子や高分子が阻止される圧力駆動の膜」と定義される膜であるが、本発明への適用に効果的なナノ濾過膜は、膜表面に荷電を有し、細孔による分離(サイズ分離)と膜表面の荷電による静電気的な分離の組み合わせによって特にイオンの分離効率を向上させたものが好ましく、回収目的とするアルカリ金属イオンとそのほかの荷電特性が異なるイオンを荷電によって分離しつつ、サイズ分離による高分子類の除去が可能なナノ濾過膜を適用することが好ましい。
【0034】
本発明に適した分離膜としては、特に0.5MPaの操作圧力で25℃、pH6.5の1000ppmイソプロピルアルコール水溶液および25℃、pH6.5の1000ppmグルコース水溶液をそれぞれ透過させた時のグルコース除去率が90%以上であり、かつ、グルコース除去率とイソプロピルアルコール除去率の差が30%以上であるナノ濾過膜を用いることで、総塩濃度によらずアルカリ金属塩、中でもリチウム塩と精製阻害物質の分離が極めて高効率で達成されるため特に好ましい。
【0035】
さらに、一般に、前記精製アルカリ金属塩は水溶液の濃縮や加熱、冷却、または核化剤の添加などで誘起される、晶析操作によって分離回収が可能であることから、これらを阻害するマグネシウム塩および/または硫酸塩が除去されることが好ましい。そこで、0.5MPaの操作圧力で25℃、pH6.5の2000ppm硫酸マグネシウム水溶液および25℃、pH6.5の2000ppm塩化リチウム水溶液をそれぞれ透過させた時の硫酸マグネシウム除去率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、かつ、塩化リチウム除去率が70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であるナノ濾過膜を用いることで、総塩濃度によらずリチウム塩と精製阻害物質の分離が極めて高効率で達成される。また、本発明の分離膜による工程の後にアルカリ金属塩の濃縮によって精製アルカリ金属塩の回収を行うことが好ましい。
【0036】
精製アルカリ金属塩の回収は、例えばカリウム塩の場合、溶解度の温度依存性を利用、またはエタノールなどの貧溶媒を添加して塩化カリウムを回収する公知の方法で回収を行う。リチウム塩の場合は、他のアルカリ金属塩に比べて溶解度が小さいことを利用して、例えば炭酸塩を水溶液に添加することで炭酸リチウムとして回収する。これは炭酸ナトリウムや炭酸カリウムは水への溶解度が十分高い(水100mLに対し20g以上)ことに対し、炭酸リチウムの溶解度が25℃で水100mL対して1.33gしか溶けず、さらに高温では溶解度が低下することを利用したものである。
【0037】
また、ナノ濾過膜ユニットは、ナノ濾過膜をモジュール化したものから構成され、例えば、スパイラル型のナノ濾過膜エレメントを単数もしくは複数連結して容器に収納したものやそれを直列や並列に接続したものを指す。
【0038】
回収ユニット9でアルカリ金属を回収した後の低濃度水11は、排水することもできれば、そのアルカリ金属含有量によっては、原水に還流させることも可能である。また、ナノ濾過膜の最終濃縮水8は、圧力エネルギーを有しているため、エネルギー回収ユニットを適用すれば、省エネルギーになるため好ましい。
【0039】
前処理ユニット3は、特に制約されるものではなく、原水性状によって、濁質成分の除去や殺菌など適宜選択することができる。
【0040】
供給水の濁質を除去する必要がある場合は、砂濾過や精密濾過膜、限外濾過膜の適用が効果的である。このときバクテリアや藻類などの微生物が多い場合は、殺菌剤を添加することも好ましい。殺菌剤としては塩素を用いることが好ましく、たとえば塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを遊離塩素として1〜5mg/lの範囲内となるように供給水に添加するとよい。なお、半透膜によっては特定の殺菌剤に化学的な耐久性がない場合があるので、その場合は、なるべく供給水の上流側で添加し、さらに、半透膜ユニットの供給水入口側近傍にて殺菌剤を無効にすることが好ましい。例えば、遊離塩素の場合は、その濃度を測定し、この測定値に基づいて塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加量を制御したり、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加したりするとよい。
【0041】
また、濁質以外にバクテリアやタンパク質、天然有機成分などを含有する場合は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化鉄(III)などの凝集剤を加えることも効果的である。
【0042】
凝集させた供給水は、その後に斜向板などで沈降させた上で砂濾過を行ったり、複数本の中空糸膜を束ねた精密濾過膜や限外濾過膜による濾過を行ったりすることによって後段の半透膜ユニットを通過させるのに適した供給水とすることができる。特に、凝集剤の添加にあたっては、凝集しやすいようにpHを調整することが好ましい。
【0043】
ここで、前処理に砂濾過を用いる場合は、自然に流下する方式の重力式濾過を適用することもできれば、加圧タンクの中に砂を充填した加圧式濾過を適用することも可能である。充填する砂も、単一成分の砂を適用することが可能であるが、例えば、アンスラサイト、珪砂、ガーネット、軽石など、を組み合わせて、濾過効率を高めることが可能である。精密濾過膜や限外濾過膜についても、特に制約はなく、平膜、中空糸膜、管状型膜、プリーツ型、その他いかなる形状のものも適宜用いることができる。膜の素材についても、特に限定されるものではなく、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースや、セラミック等の無機素材を用いることができる。また、濾過方式にしても供給水を加圧して濾過する加圧濾過方式や透過側を吸引して濾過する吸引濾過方式のいずれも適用可能である。特に、吸引濾過方式の場合は、凝集沈殿槽や生物処理槽に精密濾過膜や限外濾過膜を浸漬して濾過する、いわゆる凝集膜濾過や膜利用活性汚泥法(MBR)を適用することも好ましい。
【0044】
一方、供給水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってそれら有機物を分解することができるが、加圧浮上や活性炭濾過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化濾過法や接触酸化濾過法などを用いることが好ましい。
【0045】
ナノ濾過膜ユニットに関しては、1段目から最終段まで異なるようにすることが好ましい(請求項2の発明)。ナノ濾過膜ユニットが異なるようにするためには、ナノ濾過膜を異なるようにすることが簡便である。本発明においてアルカリ金属を効率的に透過させて他の溶質を阻止するために、ナノ濾過膜の各段において徐々に変化する供給水質に応じて、ナノ濾過膜の分画分子量や荷電特性を最適化することによって分離効率を高めることが可能となる。特に、前段から後段になるに従って、流動抵抗による圧力損失や供給水濃度の上昇による有効濾過圧力減少によって、透過量が減少するため、後段のナノ濾過膜の純水透水性能が前段よりも大きい方が好ましい(請求項3の発明)。
【0046】
ここでいう純水送水性能とは、ナノ濾過膜に圧力(通常0.3〜0.5MPa)をかけた純水を透過させることによって測定することができ、標準温度(通常25℃)において単位膜面積、単位時間あたりに透過した水の量を測定して得られる値である。
【0047】
さらに、供給水の濃度は後段ほど上昇するが、アルカリ金属イオンは少なくない量がナノ濾過膜を透過するため、後段の供給水ほどアルカリ金属濃度に対するその他の溶質(アルカリ土類金属や硫酸イオンのような多価イオン)濃度の比率が高くなり、透過水のアルカリ金属含有率も前段より低下する。そのため、後段ほど分離性能の高いナノ濾過膜を用いることが好ましい。具体的には、アルカリ金属透過率に対する硫酸イオン透過率の比について、第1段のナノ濾過膜ユニットにおける比が最終段のナノ濾過膜ユニットにおける比よりも小さくすることによって、本発明をより効率的に実現することが可能となる(請求項4の発明)。このようなナノ濾過膜は、前段よりも後段のナノ濾過膜の表面荷電を強くしつつ、細孔径(分画分子量)を大きめにすることによって、実現することができる。表面荷電を強くする方法としては、例えば、文献(Photoinduced grafting of ultrafiltration membranes: comparison of poly(ether sulfone) and poly(sulfone), B. Kaeselevら,ジャーナルオブメンブレンサイエンス)に示されるように膜表面にUV、また、電子線、プラズマなどでラジカル(活性点)をつくってグラフト重合させるといった方法や、酸化剤などで高分子鎖を断裂するなどの方法が例として挙げられる。また、本発明に適用するナノ濾過膜としては、透水性能と分離性能を両立し、総合的な膜性能のポテンシャルが高いという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの超薄膜層を微多孔性支持膜上に有してなる複合半透膜であることが好ましい。
【0048】
さらに、高分離効率が求められる前段においては、脂肪族系ポリアミドを主成分(すなわち、脂肪族ポリアミドのアミド結合数が芳香族ポリアミドのアミド結合よりも多い。)とし、高透過性能が求められる後段のナノ濾過膜としては、芳香族系ポリアミドを主成分とすることが好ましい(請求項5の発明)。
【0049】
脂肪族アミンとしては、[I]式に示すようなピペラジン系アミン及びその誘導体が好ましく、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジンなどが例示される。中でもより高い溶質除去性能、水透過性能を有するナノ濾過膜を幅広い組成比で得ることができるピペラジンや2,5−ジメチルピペラジンを用いることが特に好ましい。
【0050】
【化1】

【0051】
[I]式中、R1〜R8はH,OH,COOH,SOH,NHまたはC1〜C4の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基のいずれかから選ばれる。
【0052】
芳香族系ポリアミドの場合、多官能アミンとしては、一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミンであり、オルト位(o−)に2個のアミノ基を有するo−芳香族ジアミンを含むものが好ましい。さらに多官能アミンとしては、メタ位(m−)に2個のアミノ基を有するm−芳香族ジアミン、パラ位(p−)に2個のアミノ基を有するp−芳香族ジアミンならびに脂肪族系アミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種、中でも、緻密で剛直な構造を有するために阻止性能と透水性能のポテンシャルに優れ、さらに耐久性、特に耐熱性に優れた膜を得ることが容易なm−芳香族ジアミンやp−芳香族ジアミンを含んでいることも好ましい。
【0053】
ここで、o−芳香族ジアミンとして好ましく用いられるのはo−フェニレンジアミンである。m−芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミンが好ましいが、3,5−ジアミノ安息香酸や2,6−ジアミノピリジン等を用いることもできる。p−芳香族ジアミンとしてはp−フェニレンジアミンが好ましいが、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸やp−キシリレンジアミン等を用いることもできる。
【0054】
これら多官能アミンの製膜原液中におけるモル比は、用いるアミンおよび酸ハロゲン化物によって適宜最適な組成比を選ぶことができるが、o−芳香族ジアミンの添加比率が高いほど透水性は向上し、反面、溶質全体の阻止性能は低下する。また、脂肪族多官能アミンを多くすることで、多価イオンと一価イオンの分離性能が向上する。これによって目的とする透水性能とイオン分離性能、溶質全体の阻止性能を満足する本発明の液体分離膜を得ることが可能となる。
【0055】
また、アミン成分として脂肪族アミンが多いと耐熱安定性が低下するため、耐熱性を重視したい場合は、脂肪族アミンを少なくすることによって耐熱性の向上を達成することもできる。
【0056】
一方、多官能酸ハロゲン化物としては、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物や多官能酸無水物ハロゲン化物で、上記多官能アミンとの反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成するものであれば特に限定されるものではない。例えば1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物の混合物などである。中でも、製膜性が良好で、全溶質阻止性能が均質で欠陥やばらつきの少ない膜を得やすい、[II]式、[III]式で表されるジカルボン酸やトリカルボン酸が好ましく、とくに、経済性、取り扱い易さ、反応の容易さ等の点から、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。
【0057】
【化2】

【0058】
[II]式中、RはHまたはC1〜C3の炭化水素から選ばれる。
【0059】
【化3】

【0060】
[III]式中、RはHまたはC1〜C3の炭化水素から選ばれる。
【0061】
また、多官能酸無水物ハロゲン化物としては、一分子中に1個以上の酸無水物部分と1個以上のハロゲン化カルボニル基を有し、無水安息香酸、無水フタル酸のカルボニルハロゲン化物である、下記一般式[IV]で表されるトリメリット酸無水物ハロゲン化物及びその誘導体が好ましく用いられる。
【0062】
【化4】

【0063】
[IV]式中、X1およびX2は、C1〜C3の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基、H,OH,COOH,SOH,COF,COCl,COBr,COIのいずれかから選ばれる。または、X1とX2との間で酸無水物を形成していても良い。X3はC1〜C3の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基、H,OH,COOH,SOH,COF,COCl,COBr,COIのいずれかから選ばれる。YはH,F,Cl,Br,IまたはC1〜C3の炭化水素から選ばれる。
【0064】
ところで、前段と後段のナノ濾過膜を異なるようにする以外に、本発明の性能向上手段として、図2に例示するように中間昇圧をすることも好ましい。すなわち、前段の濃縮水を後段の供給水とするにあたって、ブースターポンプ12などで昇圧し、後段の処理性能を上げるという方法である(請求項6の発明)。これによって、後段の透水性を実質的に上げることが可能となる。
【0065】
本発明においては、ナノ濾過膜によってアルカリ金属が選択的に透過するものの、通常、その透過水濃度が原水以上の濃度になることはないため、後処理でアルカリ金属を効率的に回収するためには、ナノ濾過膜の透過水を濃縮する工程を追加することも好ましい実施態様である(請求項7の発明)。ここで、濃縮工程は、例えば、蒸留、膜分離、吸脱着、イオン交換、など、様々な方法を挙げることができるが、アルカリ金属は不揮発性でサイズが非常に小さいため、蒸発法、膜蒸留法(膜を利用した純水分離・濃縮方法)、阻止性能が高い逆浸透膜を用いて濃縮すると効率的で好ましい(請求項8の発明)。ここで、阻止性能が高い逆浸透膜とは、アルカリ金属除去率95%以上の逆浸透膜のことを指す。図3に濃縮ユニットとして逆浸透膜を用いた場合を例示する。ただし、ナノ濾過膜の後段になるほどアルカリ土類金属をはじめとする成分が濃縮され、その結果、透過水に含有するアルカリ土類金属の濃度が高くなるため、図4に例示するように、アルカリ土類金属除去ユニット17でアルカリ土類金属を除去してから後処理9でアルカリ金属を回収する方法も好ましい実施態様である(請求項9の発明)。
【0066】
ここで、淡水として透過水15が得られるが、これは系外に排出することも可能であるし、工程水その他として再利用することも可能である。
【0067】
本発明のようにナノ濾過膜を複数段構成する場合、濃縮水中のアルカリ土類金属濃度が次第に上がり、運転条件によってはスケールとなってナノ濾過膜の表面に析出し、ナノ濾過膜の性能を低下させたり、ナノ濾過膜を損傷させたりすることになるため、そのような危険性が予想される場合は、原水もしくは前段の濃縮水に酸を添加してpHを下げ、スケール析出を防止することが好ましい(請求項10の発明)。もちろん、スケール防止剤を添加することも可能であるが、環境影響やスケール防止剤の万一の漏出などのリスクが発生するため、添加にあたっては注意が必要である。図5には後段の供給水(前段の濃縮水)に酸19を添加する場合の一実施態様を示す。
【0068】
ナノ濾過膜の濃縮水8は、アルカリ土類金属などを高濃度に含有するが、一般には、アルカリ金属イオンが他の成分よりも比率は少ないものの原水濃度以上に含有しているため、例えば図6のように、アルカリ金属除去ユニット17でアルカリ土類金属を除去した後に、原水に還流することによって原水中のアルカリ金属の回収率を高めることができる(請求項11の発明)。
【0069】
アルカリ金属の回収率を上げる他の方法としては、原水もしくはナノ濾過膜ユニットの供給水のいずれかに対して、希釈水20を混合する方法が挙げられる(請求項12の発明)。これによって供給水の濃縮に起因する濃度上昇によって生じる分離効率の低下や溶解度を超えた成分の膜面への析出を防ぐことが可能となる。なお、希釈水20は、河川水、地下水、雨水などの自然水や水道水など、原水よりも低濃度の水を用いることができるが、図3,4に示すように濃縮ユニット14,14’の透過水15を用いると、効率的な水回収再利用ができるため非常に好ましい(請求項13の発明)。
【0070】
本発明の適用にあたっては、ナノ濾過膜の透水性能と分離性能が高いほど適用効果が高いが、そのためには、図9に例示するように、原水やナノ濾過膜供給水をあらかじめ加温しておくことが効率向上手段として好ましい。(請求項14の発明)。熱源は特に制約されるものではないが、本発明適用システムに蒸発法や膜蒸留法などの廃熱、昇圧ポンプで生じる熱を利用して加温すると効率的である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を回収する装置およびその運転方法に関するものであり、さらに詳しくは、複数段のナノ濾過膜を用いて効率的にアルカリ金属を回収するための装置およびその運転方法に関するものであり、複数段のナノ濾過膜によって濃縮,分離,回収が困難な多種の溶質が含まれる水からアルカリ金属を効率的な分離回収を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
1:原水
2:原水タンク
3:前処理ユニット
4:原水供給ポンプ
5:昇圧ポンプ
6:1段目ナノ濾過膜ユニット
7:2段目ナノ濾過膜ユニット
8:最終濃縮水
9:回収ユニット
10:回収アルカリ金属
11:低濃度水(排水)
12:ブースターポンプ
13:昇圧ポンプ
14,14’:濃縮ユニット
15:透過水
16:廃アルカリ土類金属
17:アルカリ土類金属除去ユニット
18:アルカリ土類金属除去水(回収水)
19:酸
20:希釈水
21:加熱ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を透過分離し、透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収する方法において、ナノ濾過膜ユニットを少なくとも2段に構成し、後段のナノ濾過膜ユニットの供給水に前段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水を用いることを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
【請求項2】
第1段のナノ濾過膜ユニットと最終段のナノ濾過膜ユニットが異なることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項3】
第1段のナノ濾過膜ユニットの純水透水性能が最終段のナノ濾過膜ユニットの純水透水性能よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項4】
アルカリ金属透過率に対する硫酸イオン透過率の比について、第1段のナノ濾過膜ユニットにおける比が最終段のナノ濾過膜ユニットにおける比よりも小さいことを特徴とする請求項2または3に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項5】
第1段のナノ濾過膜ユニット内のナノ濾過膜が脂肪族系ポリアミドを主成分とし、最終段のナノ濾過膜ユニット内のナノ濾過膜が芳香族系ポリアミドを主成分とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項6】
少なくとも2段に構成したナノ濾過膜ユニットがすべて同じナノ濾過膜ユニットであるとともに、少なくとも1箇所でいずれかのナノ濾過膜ユニットの濃縮水を昇圧することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項7】
少なくとも1つのナノ濾過膜ユニットの透過水を濃縮してからアルカリ金属を後処理で回収することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項8】
透過水の濃縮方法が蒸発法、膜蒸留法、アルカリ金属除去率95%以上の逆浸透膜を用いる方法のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項9】
透過水を濃縮する工程のうち少なくとも最終段の工程の後に精製阻害物質を除去してから後処理でアルカリ金属を回収することを特徴とする請求項7または8に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項10】
少なくとも1つのナノ濾過膜ユニットの供給水に酸を添加することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項11】
最終段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水に含有される精製阻害物質を除去処理し、その処理水をいずれかのナノ濾過膜ユニットの供給水ラインに還流することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項12】
ナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくとも1つに希釈水を混合することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項13】
請求項7または8における濃縮時に産生される淡水を希釈水として用いることを特徴とする請求項12に記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項14】
ナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくとも1つを加温することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のアルカリ金属分離回収方法。
【請求項15】
ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を透過分離し、透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収するためのアルカリ金属分離回収装置であって、ナノ濾過膜ユニットが少なくとも2段に構成され、前段のナノ濾過膜ユニットの濃縮水ラインが後段のナノ濾過膜ユニットの供給水ラインに連結されていることを特徴とするアルカリ金属分離回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−120943(P2012−120943A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271341(P2010−271341)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】