説明

アルキルアミノ(メタ)アクリルアミドの連続的製造方法

本発明は、アルキル(メタ)アクリラートと高沸性アミンとの反応によるアルキルアミノ(メタ)アクリルアミドの連続的製造方法に関する。触媒活性化及び特別な後処理技術によって、従来は達成されない生成物品質が達成される。さらに、極めて高い空時−及び全−収率が達成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、以下の反応式による、例えばメチル(メタ)アクリラート(A、R1=メチル)を、アミン(B)を用いて、メタノール(D、R1=メチル)の放出下で連続的アミノ分解することによって、アルキルアミノ(メタ)アクリルアミド(C)を製造するための、連続的に操作される方法に関する:
【化1】

式中、次のことが当てはまる:
1=3〜10個の炭素原子を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基、
3=水素又はメチル基
2=線状、分枝鎖状又は環式アルキル基、アリール基であり、これは、1以上のアルキル基で置換されていてもよく、この線状、環式又は分枝鎖状アルキル基は、1〜12個の炭素原子の長さを有してよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ウンデシルを意味し、かつ、場合によっては
−NR34又は
−OR5
によって1回又は複数回置換されていることができ、この場合に、R3又はR4は、水素の意味合いをとることができ、その際、さらに次のことが該当する:
−R3、R4又はR5は、同じか又は異なることができ、かつ、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であることができ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル又は水素。
−R2は、さらに、
【化2】

も意味することができ、その際、次のことが該当する:
−R6は、C1〜C4−アルキル基であることができ、これは分枝されていることもでき、これは例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル又はtert−ブチル。
7は、メチル基又はエチル基であることができる。
【0002】
アミンとしては例えば以下の化合物が考慮される:
ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジイソプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジイソブチルアミノエチルアミン、
ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジイソプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジイソブチルアミノプロピルアミン、
ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミノブチルアミン、ジイソプロピルアミノブチルアミン、ジブチルアミノブチルアミン、ジイソブチルアミノブチルアミン、
メチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミノヘキシルアミン、ジエチルアミノヘキシルアミン、ジメチルアミノネオペンチルアミン。
【0003】
特に好ましくは、ジメチルアミノプロピルアミンの他に、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジメチルアミノペンチルアミン及びジメチルアミノヘキシルアミンである。
【0004】
背景技術
文献においては、多くの不連続的に実施されるエステル交換法(バッチ−エステル交換法)が、様々な触媒との関連において記載されている。
【0005】
経済的な方法についての探索は、連続的エステル交換法の発見を生じ、この場合に出発材料は連続的に供給され、生成物は連続的に排出される。連続的エステル交換法は、不連続的エステル交換法に対して以下の利点を有する:このプロセスは、容易に自動化可能であり、かつ、減少した人員要求でもって操作されることができ、この生成物品質はより良好に再現可能でありかつほとんど変動せず、この設備能力は高められ、これは、個々の製造工程の逐次的作業(充填、反応、沈殿物分離、生成物分離、排出)の省略に基づく。このプロセスは、バッチプロセスに対してより高い空時収率を有する。
【0006】
連続的エステル交換方法は知られている。
【0007】
EP0960877(Elf Atochem S.A.)は、ジアルキルアミノアルコールからのメタクリルエステルの連続的製造方法を記載する。ジアルキルアミノアルコールを一般的にメチル(メタ)アクリラートと反応させ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラートを以下の方法に応じて得る:
出発物質(メチル(メタ)アクリラート及びジアルキルアミノアルコール)の混合物は触媒としてのテトラアルキルチタナート(例えばテトラブチル−、テトラエチル−又はテトラ(2−エチルヘキシル)チタナート)及び少なくとも1種の重合抑制剤(例えばフェノチアジン、tert−ブチルカテコール、ヒドロキノンモノメチルエーテル又はヒドロキノン)と一緒に連続的に撹拌反応器に供給され、その際、90〜120℃の温度でジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラートへの反応を、共沸メチル(メタ)アクリラート/メタノール−混合物の同時の連続的な取り出しをしつつ行う。この粗製反応混合物(粗製エステル)は、第1の蒸留塔に供給され、その際、減圧で蒸留塔の頂部で実質的に触媒不含の流が取り出され、かつ、蒸留塔の底部で、触媒並びにわずかのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラートを取り出す。この第1の蒸塔の頂部流を次いで第2の蒸留塔に供給し、ここでは、減圧下で頂部で低沸性生成物の流を、わずかなジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラートと共に、そして、底部で、主としてジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラート並びに重合抑制剤1種以上からなる流を取り出し、これは第3の蒸留塔に供給される。第3の蒸留塔では、減圧下で精留が実施され、この場合に頂部で所望される純粋なジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリラートエステルを、そして、底部で実質的に重合抑制剤1種又は重合抑制剤複数種を取り出す。この第1の蒸留塔の底部流は、薄膜蒸発器を用いた更なる精製後に、第2の蒸留塔からの頂部流とちょうど同じように反応器中へと返送される。
【0008】
この方法は、使用前のアルコールの脱水を断念し、このことは、加水分解の結果、使用されるテトラアルキルチタナートの増強された脱活性化を、不所望の固形物質沈殿物の形成まで生じる可能性がある。さらに、この方法は、第1の蒸留塔において触媒が底部において比較的高い温度で熱負荷されるという欠点を提供する。このことは、触媒の分解を容易に生じることがある。
【0009】
この方法では、未反応の出発材料も生成物も全部で2回頂部を介して精留される。このことは、極めて高いエネルギーコスト及び全部で4個の精留塔を必要とし、これは一部では極めて大きく寸法決定されていなくてはならない。したがって、このプロセスは極めて高い投資−及び操作コストの負担がある。
【0010】
EP0968995(Mitsubishi Gas Chemical Comp.)は、反応塔の使用下でのアルキル(メタ)アクリル酸エステルの連続的製造方法を記載する。このエステル交換反応は、この場合に、直接的に蒸留塔(すなわち、反応器及び蒸留塔が、メチル(メタ)アクリラート/メタノール共沸物の取り出しのために1装置を形成する)中で行われ、これに出発物質(メチル(メタ)アクリラート及びアルコール)を連続的に供給する。必要とされる触媒は、ここでは同様に好ましくチタン化合物であるが、この蒸留塔中に存在する。均一系触媒の場合には、触媒は蒸留塔中へと連続的に計量供給により導入される。蒸留塔中での均一系触媒の使用は、しかし、蒸留塔中での液状の還流による流し作用のために、高められた触媒要求を、並びに、触媒固形物質沈殿物の発生の場合に塔の内部構造物の汚染を生じる。不均一系触媒の場合には、触媒は反応塔中に存在する。蒸留塔中での触媒の配置はもちろん欠点であり、というのも、蒸留塔中ではそうすると高められた圧力損失が発生し、かつ、付加的に、蒸留塔の規則的な清浄化のために極めて高い手間をかけて操作しなくてはならないからである。さらに、不均一系触媒は例えば不所望な重合の結果、脱活性化することがある。
【0011】
DE4027843(Roehm GmbH)は、N−置換した(メタ)アクリル酸アミドを、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを脂肪族及び芳香族アミンを用いてアミノ分解することにより製造する連続的方法を記載する。この反応温度は>150℃、この圧力は約160barである。これは触媒無しで操作される。
【0012】
CN1837188(Jiangsu Feixiang Chemical Co.)は、N−((−3−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド(DMAPMA)を、メチルメタクリラートをN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミドを用いてN−(−3−(−3−ジメチルアミノ)プロピル)−3−((ジメチルアミノ)プロピル)アミノ)−2−メチルプロパンアミド(BDMAPA)へと反応させることにより製造する方法を記載する。BDMAPAは、第2の反応工程において160℃で金属触媒にて熱分解され、70質量%の収率においてDMAPMAを純度>97%で生じる。この方法は、バッチ法として記載される。架橋剤に関する含有量は適切に高い。
【0013】
WO2004/103952(Roehm GmbH)は、アルキルアミノアクリルアミドを、アルキルアクリラートと高沸性アミンとを反応させることにより連続的に製造する方法を記載する。特別な後処理技術によって、従来は達成されない生成物品質が達成される。さらに、極めて高い空時−及び全−収率が達成されることができる。
【0014】
課題
本発明の課題は、両方の前述した方法の欠点を回避する、(メタ)アクリル酸エステルのアミノ分解のための連続的方法を提供することである。さらに、この新規の方法により、品質において従来市販されていたものよりもより良好な品質の生成物が提供されることが望ましい。より良好な品質とは、より少ない架橋剤含有量又は、出発エステルの二重結合への又は生成物アミドの二重結合へのアミンの付加生成物のよりより少ない含有量が理解される。
【0015】
アルキルアミノ(メタ)アクリルアミドの従来市場で提供可能な品質は、例えば以下の関連が理解される:
N−3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(Jiangsu Feixiang Chemical Co., 2008年5月に得られる、バッチ番号2007/05/01)は、純度98.4%及び架橋剤含有量1730ppmを有する。架橋剤としてN−アリルメタクリルアミドが見出された。
【0016】
アルキルアミノ(メタ)アクリルアミドを顕著により少ない架橋剤含有量でもって生じる方法を開発する課題も存在した。
【0017】
さらに、この新規の方法を用いて、アミノ(メタ)アクリラートを可能な限りわずかな手間でもってかつエネルギー的により有利に(すなわち、コスト安価に)製造されることが望ましい。設備取り扱いのための人員手間も少なくなることが望ましい。
【0018】
解決策
前記の、並びに、更なる、個々に詳細に説明はされないが、この背景技術の導入部の議論から容易に推論できるか又は導き出すことができる課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴を有する方法により解決される。この本発明の方法の好ましい変形は、請求項1を引用する請求項において保護される。
【0019】
方法の説明
この方法は、図1において図示されている。
【0020】
図1の符号の説明:
1.反応装置
2.易沸性物質−搬出物−蒸留塔
3.易沸性物質−蒸留塔
4.粗製−塔
5.純粋−塔
6.触媒−予備活性化
10.触媒−フィード
11.(メタ)アクリラート−フィード
12.アミン−フィード
13.易沸性物質−搬出物
14.易沸性物質−循環流
15.粗製生成物
16.易沸性物質−搬出物
17.低沸性物質−搬出物
18.純粋生成物
19.高沸性物質−搬出物
DSV=薄膜蒸発器
【0021】
(メタ)アクリラート−フィード出発材料(11)を適した反応装置(1)に連続的に供給し、その際、個々の反応容器も複数の相前後して接続した反応容器のカスケードも使用されることができる。このようなカスケードは例えば、2、3、4、5、6又は場合によってはそれより多い個々の反応容器からなることができる。好ましい一実施態様において、3個の相前後して配置された連続的に操作される撹拌槽から構成されるカスケードが使用される。
【0022】
(メタ)アクリラートフィード出発材料(11)は様々に行われることができる。例えば、出発材料流(11)をこのカスケードの第1の反応容器にだけ供給するか、しかし又は、この出発材料流(11)を部分流に分け、この部分流を全ての又は幾つかだけの、相前後して接続した、このカスケードの反応容器に供給することができる。同じように、出発材料流(11)の供給を装置(2)及び/又は反応装置(1)を介して取り組むことができる。出発材料流(11)を装置(2)中にだけ供給するか、又は更なる一実施態様において出発材料流(11)を部分流(これは次いで装置(2)にも、第1の又は場合によって複数の、カスケードの反応容器にも供給される)に分けることが好ましくあることができる。
【0023】
全ての反応容器が蒸留塔(2)への蒸気流取り出し(Bruedenabzug)を、この反応の際に自由になるアルコールの除去のために有することが有用である。
【0024】
この反応器への及びここからの流の導通は必ずしも、フロー図に示されているようには行われない。特別な一実施態様においては、このカスケードの槽の搬出を、そのつど後続する、カスケードの槽中へと下方から導入することが好ましいことが判明した。
【0025】
アミン(12)を、蒸留塔(2)へと脱水のために連続的に供給する。
【0026】
触媒として必要なテトラアルコキシチタナート(使用される(メタ)アクリルエステルAに関するテトラアルコキシチタナート−含有量は好ましくは0.2〜4質量%である)を、重合抑制剤1種以上と同様に、好ましくは連続的に反応装置(1)中に計量供給する。
【0027】
しかしながら、アミノ分解触媒として、背景技術から公知であるエステル交換触媒の全てを使用することもできる。触媒として例えばジルコニウムアセチルアセトナート及び更なるジルコニウムの1,3−ジケトナートが考慮され、さらに、アルカル金属シアナート又はアルカリ金属チオシアナート及びアルカリ金属ハロゲン化物から構成される混合物が使用されることができ、さらに、スズ化合物、例えばジオクチルスズ酸化物、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、例えばCaO、Ca(OH)2、MgO、Mg(OH)2又は前述の化合物からの混合物、さらに、アルカル金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド及び塩化リチウム及び水酸化リチウム、前述の化合物と前述のアルカリ土類金属化合物及びLi−塩と一緒の混合物も使用されることができ、ジアルキルスズ酸化物、例えばジオクチルスズ酸化物、アルカリ金属カーボナート、アルカリ金属カーボナートであって第四アンモニウム塩と一緒のもの、例えばテトブチルアンモニウム水酸化物又はヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物、さらに、ジオルガニルスズ酸化物及びオルガニルスズハロゲン化物からの混合触媒、酸性イオン交換体、リンモリブデン−ヘテロポリ酸、チタンアルコラート、例えばイソプロピルチタナート、金属、チタン、ジルコニウム、鉄又は亜鉛のキレート化合物であって1,3−ジカルボニル化合物を有するもの、鉛化合物、例えば酸化鉛、水酸化鉛、鉛アルコキシド、鉛カーボナート又はカルボン酸の鉛塩である。特に好ましくは、ジアルキルスズ酸化物及びアルキルチタナートから構成される触媒混合物、例えば、約2.5:1(質量%/質量%)の比にあるジオクチルスズ酸化物及びイソプロピルチタナートから構成される触媒混合物である。
【0028】
触媒又は触媒混合物は、そのつど使用される(メタ)アクリラートに対して0.1質量%〜10質量%、好ましくは0.2質量%〜7質量%の量で使用される。
【0029】
触媒の予備活性化が好ましいことが判明した(6)。この場合に、触媒は混合又は分散して、90℃〜120℃の温度に加熱され、2〜3時間撹拌され、これは均一な、明澄な溶液が形成されるまでである。
【0030】
適したアルキル(メタ)アクリラートは、3〜10個、好ましくは3〜6個、特に好ましくは3又は4個の炭素原子を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を有する全ての(メタ)アクリラートである。このための典型的な例は、プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、3−メチルブチル(メタ)アクリラート、アミル(メタ)アクリラート、ネオペンチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、n−オクチル(メタ)アクリラート、エチルヘキシル(メタ)アクリラート又はデシル(メタ)アクリラートである。
【0031】
アミンとしては、その残基R2が1〜12個、好ましくは2〜8個又は特に好ましくは2〜4個の炭素原子からなる全ての化合物R2NH2が使用されることができる。典型的な構造及び具体的な化合物のための例は、既にこの出願の最初に挙げてある。
【0032】
この分野の当業者にとっては更に、この出発物質の選択が特に好ましくは、この反応混合物からのアルコールの除去に伴いこの平衡が生成物側にシフトできるように行われることが明らかである。このアルコールの除去は、蒸留によって使用されるアミンに比較してより低い沸点によって及び/又は共沸物の形成によって行われることができる。
【0033】
重合抑制剤として例えばヒドロキノン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラ−メチルピペリジノオキシル、又はビス(2−メトキシカルボニルプロプル)スルフィド又はヒドロキノンモノメチルエーテルが酸素との関連において考慮される。
【0034】
使用されるアミンは水を含むことができる。使用されるアミン中の水の量は50〜500ppm(0.05〜0.005質量%)である。アミンは反応装置中への侵入前に好ましくは蒸留塔(2)を介して蒸留によって脱水される。この場合にアミン中に含有される水は頂部を介して取り出される。使用されるアミンでの沈殿物−搬出物(13)の汚染を回避するために、このアミンの添加は好ましくは蒸留塔(2)の下方部において行われる。この使用されるアミンは、他の手法によっても脱水されることができる:
−前接続した脱水−蒸留塔によって、又は
−脱水剤、例えばモレキュラーシーブを用いた処理によって、又は
−膜分離法、例えば透析蒸発によって。
【0035】
したがって、この脱水は意義深く、というのも、アミン中に含有される水が触媒(例えばテトラアルキルチタナート)の不可逆的な損傷を反応器中で生じることがあるからである。アミン中に含有される水は、副生成物の形成を生じ、したがって、厳密に回避すべきである。この脱水工程によって、高められた触媒装入量による及び固形物質沈殿物を伴う問題による、この触媒の加水分解及びこれによって発生するコストは回避される。さらに、この生成物の純度は、副生成物の減少した割合によって高められる。
【0036】
この反応は反応装置(1)において、物質系及び操作圧力に応じて、80〜180℃の範囲における温度で行われる。好ましくはこの温度範囲は110〜160℃である。この反応速度を高めるためには、この反応の際に自由になるアルコールは蒸留塔(2)を介して反応混合物から、場合によってアルコールとの共沸物としても取り出される(13)。これは、雰囲気圧力で、負圧で又は加圧で行われることができる。大部分が生成物−アルキル(メタ)アクリルアミド、未反応(メタ)アクリラート及びアミン並びに少量のアルコール、触媒、重合抑制剤及び副生成物含分からなる反応混合物を、約0.5〜3時間の反応器滞留時間(好ましくは1〜2時間の滞留時間)後に連続的に操作される流下薄膜蒸発器(5)に供給する。この流下薄膜蒸発器(5)の蒸気流は低沸性物質−蒸留塔(3)に供給される。ここでは減圧下、好ましくは約1mbar〜500mbarの範囲内で、生成物アミドに関して低沸性成分、主として生成物アルコール及び未反応出発材料−(メタ)アクリラート及び−アミンの分離が行われる。これは蒸留塔(3)の頂部を介して取り出され、反応器領域中又は蒸留塔(2)中へと返送される(14)。この循環流によってより高い変換率が出発材料及び全プロセスに対して達成される。
【0037】
流下薄膜蒸発器(5)の排出において生じる、触媒、重合抑制剤及び高沸性副生成物でまだなお汚染されている粗製アミド(15)は、好ましくは>80質量%の生成物アミドを含有し、かつ、後処理のために更なる真空蒸留工程へと供給され、この工程は好ましい圧力範囲0.1〜200mbarで作業される。ここでは、頂部生成物としての純粋な生成物アミドの蒸留による分離が行われる。
【0038】
このプロセスにおいて形成される副生成物は、出発材料アミン及び出発材料−(メタ)アクリラートに関して高沸性成分を提示し、かつ、したがって、生成物アミン中へと汚染物質として達し、これによって、この生成物品質は顕著に低下する。この問題は、触媒及び重合抑制剤並びに高沸性副生成物を生成物アミドから分離するために、取り扱いに配慮した(schonend)薄膜蒸発器を備える装置、例えば(5)を使用することにより解決されることができる。適した装置としてこのために、流下薄膜−、薄層−及び短路(Kurzweg)蒸発器が知られている。
【0039】
アルキルアミノ(メタ)アクリルアミドの製造には、場合によって更に純粋蒸留設備(Reindestillationsanlage)が接続していることができ、これは減圧下、例えば500〜0.1mbarで操作されることもできる。これは、このプロセスにおいて形成される高沸性副成分の特別に良好な分離が行われることが望ましい場合に、特に必要である。本発明による方法においては、低い架橋剤含有量を達成するために、2段階の後処理が使用される。前留出物−蒸留においては、粗製生成物(15)は加熱され、易沸性物質(16)を分離するために、塔で頂部中に計量供給される。脱ガスされたフィード流を、低沸性物質(17)を分離するために、第2の塔(4)にこの中央で装入する(aufgetragen)。この低沸性物質不含の中間生成物を、第3の塔(5)中に装入し、この生成物(18)を頂部を介して蒸留し、これは、高沸性物質を生じる流(19)において分離するためである。
【0040】
本発明による方法は、以下の実施例によってより詳細に説明され、この場合に実施例に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の方法を図示する。
【0042】
実施例:アミノ(メタ)アクリルアミドへの連続的アミノ分解
N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの連続的製造のために、1.反応槽に、2.0質量%のイソプロピル−チタナート 5.0質量%のジオクチルスズ酸化物の割合を有する200kg/hの予備活性化された触媒−フィードを蒸留塔(2)に、そして144kg/hのN−ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を計量供給した。この予備活性化を110℃で2h撹拌槽において実施した。さらに、1.反応槽に蒸留塔(2)を介して循環返流が低沸性物質−蒸留塔の頂部から連続的に流れた(400kg/h、組成70質量%出発材料メタクリラート並びにメタノール、DMAPA及び副生成物を有する)。モルMMA:DMAPA−比は反応器フィード中1.8:1であった。さらに、蒸留塔(2)においてメタノール除去された撹拌槽の蒸気流は塔底部を介して1.反応槽に供給した。この反応条件(圧力約500mbar)下では、138℃の反応温度が1.反応槽中で調節された。2.及び3.反応槽中の反応温度は143又は155℃であった。この蒸留塔(2)の蒸留物−取り出しは、110kg/hであった。この1.反応槽の排出物は、2.反応槽に、そして2.反応槽の排出物は3.反応槽に供給した。全体として約150minの滞留時間では3.反応槽の排出では成分の次の割合が測定された:
MMA 43質量%
DMAPA 4.86質量%
アミノアミド 35質量%。
【0043】
個々の反応槽の蒸気流を蒸留塔(2)に連続的に供給した。
【0044】
3.反応槽の排出物を連続的に低沸性物質−塔の薄膜蒸発器に供給し、この中では未反応DMAPA、MMA及びメタノールは蒸留物(400kg/h)として取り出され、そして、循環返流として蒸留塔(2)に再度供給された。低沸性物質塔の薄膜蒸発器の底部−流出物は240kg/hであり、以下の組成を有した:約90質量%の生成物アミド、0.1質量%DMAPA、大きい割合の高沸性成分及び痕跡量の反応物。
【0045】
この粗製生成物を引き続き、2段階の蒸留において後処理する。
【0046】
前留出物−蒸留:
この製造された粗製生成物(約90質量%生成物アミド)を導管を通じてバッチ式に装入物容器中へと運搬する。ここでは安定剤が添加される。
【0047】
ポンプを用いて、ヒーターにより加熱される生成物は塔頂部に達する。分離される易沸性物質(16)は、可能な限り凝縮され、熱利用に供給される。凝縮可能でない割合は、ガス洗浄設備中で硫酸中に吸収される。
【0048】
脱ガスされたフィード流を、第2の塔の中央で供給し、ここでは蒸発器により低沸性物質(17)が取り除かれる。この生じる低沸性物質は凝縮され、同様に熱利用される。
【0049】
主留出物−蒸留:
「低沸性物質不含の生成物」は集積され、予備ヒーターを介して第3の塔へと添加される。この純粋生成物(18)は頂部を介して引き出され、デフレグメーター中でほぼ完全に凝縮され、純粋生成物タンク中に移行される。
【0050】
凝縮してない割合は、後続する凝縮器中で液化され、熱利用される。
【0051】
高沸性物質は、第2の蒸発器の底部において取り出され、熱利用に供給される(19)。
【0052】
本発明による方法は、純度>98質量%、例えば98.9質量%、及び、600ppm未満、特に500ppm、特に好ましくは400ppm未満、例えば240ppmの架橋剤の含有量を有する生成物(N−3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)を生じる。架橋剤としてN−アリルメタクリルアミドが見出された(GCによる分析)。
【0053】
重合試験
処方:n−酢酸ブチル中15質量% N−3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの溶液重合
条件:0.30質量%の2,2′−アゾビス−(イソブチロニトリル)、モノマーに対して、18h、70℃、水浴中で
本発明による生成物:既に240質量ppmのN−アリル−メタクリルアミド(架橋剤)を含有する;
比較1〜4:N−アリルメタクリルアミドでの付加により本発明による生成物は相応する架橋剤含有量に調節される。
【表1】

【0054】
この比較試験により、どのくらいの量の架橋剤N−アリルメタクリルアミドがモノマー中で適用(重合)において有意な作用を示すかが明らかになるはずである。
【0055】
販売されている生成物との比較は、本発明による方法に応じて得られる生成物での架橋剤含有量がかなりより少ないことを明らかに示す。
【0056】
既に600ppmの架橋剤では、この重合で開始するゲル形成が観察され、1000ppmでこのバッチは完全にゲル化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(C)
【化1】

[式中、R2は、1〜12個のC原子を有する、線状又は分枝鎖状又は環式のアルキル基又はアリール基である]
のアルキルアミノ(メタ)アクリルアミドを、
式(B)
【化2】

[式中、R2は、上記した意味合いを有する]
の化合物と、アルキル(メタ)アクリラート(A)
【化3】

[式中、R3は、水素又はメチル基を意味する、
1は、3〜10個の炭素原子を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基である]とを、熱により活性化した触媒又は触媒混合物の存在下において及び少なくとも1種の重合抑制剤の存在下において、連続的な反応のための装置中で、反応させることによって、連続操作により製造する方法において、
この反応物を適した反応装置(1)に連続的に供給し、この反応の際に生じるアルコール又はアルコール/アルキル(メタ)アクリラート混合物(13)を連続的に蒸留塔(2)を用いて取り出し、さらに:
−この反応混合物を連続的にこの反応装置から蒸留塔(3)又は蒸発器(5)中へ導通し、
その際、減圧下の蒸留により頂部を介して易揮発性成分(A、B、アルコール)及び極めて少ない割合の生成物アミド(C)を取り出し、反応装置中へ返送し、かつ、この塔の底部から生成物アミド(C)を触媒及び重合抑制剤並びに高沸性副生成物と一緒に取り出し;
−蒸留塔(3)から底部流(15)を純粋蒸留に連続的に供給することを特徴とする、式(C)のアルキルアミノ(メタ)アクリルアミドを連続操作により製造する方法。
【請求項2】
蒸発器(5)の排気流を更なる蒸留塔に連続的に供給し、その際、減圧下の蒸留により頂部を介して純粋な生成物アミド(C)を排出し、底部を介して触媒及び重合抑制剤並びに高沸性副生成物を少量の生成物アミド(C)と共に取り出すこと、及び、このようにして得られる生成物アミドを2段階の超純粋蒸留(易沸性物質及び低沸性物質取り出しを有する前留出蒸留と、高沸性物質を分離する主留出蒸留とからなる)に供給することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
アミン(B)を脱水のために蒸留塔(2)を介して反応装置に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
フィード中のアルキル(メタ)アクリラート対アミンのモル比が1〜2、好ましくは1.05〜1.15であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
触媒としてテトラアルキルチタナートを使用し、予備活性化を実施することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
触媒を、使用される(メタ)アクリラートに対して0.1〜10質量%の量において使用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
触媒を、使用される(メタ)アクリラートに対して0.2〜7質量%の量において使用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
触媒混合物として、2.5:1(質量%/質量%)の比にあるジオクチルスズ酸化物及びイソプロピルチタナートから構成される混合物を適用し、その際、この触媒混合物を90〜120℃で2〜3時間活性化したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
触媒混合物を、使用される(メタ)アクリラートに対して0.1〜10質量%の量で使用することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
重合抑制剤としてフェノチアジン、第三級ブチルカテコール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノン又はその混合物を使用し、その際、この抑制剤の量は、反応混合物に対して10〜5000ppmであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
重合抑制剤として付加的に更に酸素を使用することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
アミンとして好ましくはジメチルアミノプロピルアミンを使用することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
第1の蒸留塔(3)中の圧力が2〜500mbarであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
反応装置中の滞留時間は0.5〜3時間であることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
蒸発器(5)が薄膜蒸発器であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の方法により製造可能な、600ppm未満の架橋剤含有量を有する請求項1に記載のモノマー。

【図1】
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【公表番号】特表2012−522817(P2012−522817A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503939(P2012−503939)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052689
【国際公開番号】WO2010/115666
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】