説明

アルキルエステル脂肪酸配合物およびその用途

50%を超える中鎖脂肪酸、またはその脂肪酸アルキルエステルを含有し、低融点を有する油または脂肪酸の配合物を本明細書にて提供する。かかる配合物は燃料として、または、例えば、バイオディーゼルの製造のための出発原料として有用である。また、遺伝的に改変または修飾した植物も提供され、当該修飾は該植物が生成する中鎖脂肪酸量を増大するようになされる。さらに、脂肪酸メチルエステルの配合物の融点を予測する方法、また、例えば、バイオディーゼルとしての使用に適する配合物を同定する方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油;油または脂肪酸の配合物;かかる配合物の用途、例えば、燃料としての用途;および油または脂肪酸配合物の取得方法を提供する。ある種の実施態様においては、アルキルエステル化された油、油もしくは脂肪酸の配合物、およびかかるアルキルエステル化された油、油もしくは脂肪酸の配合物の用途が提供される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景についての以下の説明は、単に本発明の理解を目的として提供するものであり、本発明に対する先行技術を説明または構成するものではない。
【0003】
植物油は代替燃料として、またバイオディーゼル生産のための供給原料として使用されている。一般に、使用される油は、特定の領域で大量に生育した植物から抽出する。それ故、米国ではダイズ油がバイオディーゼルの供給源として興味が持たれているが、一方、欧州諸国ではナタネ油が関心の対象となっている;また熱帯性気候の諸国はココヤシ油またはパーム油を利用している(オンライン公開:非特許文献1)。
【0004】
変異体クフェア・ヴィスコシマ(Cuphea viscossima)であるVS−320からの油を模倣したトリグリセリドの組成について、ゲラーら(非特許文献2)が開示している。ゲラーに開示されている“VS−320油の模倣類似体”は以下からなるトリグリセリドの組成を有する:4.2%C6:0;40.20%C8:0;36.90%C10:0;4.80%C12:0;6.80%C14:0;3.33%C16:0;0.00%C18:0;1.37%C18:1;2.05%C18:2;および0.00%C18:3(表1参照)。ゲラーらは(1999年)、“このモデルは、植物油のC8:0含量の増加が、引続く中鎖および長鎖トリグリセリドの低下と共に、より効率的な、より良好に作動する代替ディーゼル燃料となり得る”ことを示唆していると結論付けた。
【0005】
スターナスら(非特許文献3)は、様々な油の燃料としての特性について開示して、以下のように述べている:“流動点測定の繰返し精度が±3℃であるとした場合、添加した成分の殆どが基油燃料の流動点−12℃に有意な程度の影響をもつとは思えなかった。主要な例外はC12及びそれより長いアルキル鎖をもつ飽和脂肪アルコールであり、このものは流動点を実質的に上昇させる;少ないながら負の作用も一部のより長鎖のエステルにも観察された。留意する価値のあることは、オレイン酸誘導体すべてにおける二重結合の存在が、対応するステアリン酸エステルに比べて、それらの低温流動挙動を顕著に改善すること”、また、“点火特性と低温流動挙動の双方を考慮した場合は、三級ジメチルアミン類が最良の作動体である;しかし、三級アミドもまた興味深い可能性をもつと思われ、その場合、天然植物油のグリセリドからそれらを調製することは、幾つかの最近の研究が示しているように、アミンの調製よりもはるかに簡単である”ということである。
【0006】
ミッテルバッハ(非特許文献4)は、植物油に由来するディーゼル燃料の規格と品質管理について考察し、以下のように述べている:“RMEについてのオーストリア基準に未だに含まれていないが、脂肪酸メチルエステルの一般的基準を規定する際に必要となるパラメータの一つは、ヨウ素価であり、この値は不飽和脂肪酸の含量を表わし、植物油の起源により唯一左右されるものである。ドイツでは115の値が規定されており、この値はナタネ油に相当するが、ヒマワリ油およびダイズ油など、異なる種類の油を排除することとなる。高不飽和酸の加熱がグリセリドの重合を起こすという事実があるため、不飽和脂肪酸を限定することが必要であり得る。このことは、堆積物の形成、または潤滑油の劣化につながりかねない。この影響は脂肪酸鎖における二重結合の数と共に増加する。従って、ヨウ素価による不飽和度を限定するよりも、リノレン酸などの高不飽和脂肪酸の含量を制限するほうがよりよいと思われる。”
【0007】
グラボスキー(非特許文献5)は、“油脂由来のディーゼル燃料の、燃料としての性質、エンジン性能、およびエミッションに関する状況”を考察し、以下のように述べている:“鎖長が短縮され、および/または鎖の分枝が増加するにつれて、燃料の低温流動性が改善される。鎖長と分枝度は植物の交配、または遺伝子工学的方法の両方により変えることが可能であろうし、さらにバイオディーゼルの化学的プロセシングにより特定の二重結合を切断するか、または分枝異性体を形成させることもできよう。化学的プロセシング領域での実用的研究は殆どなされていない。バイオディーゼル燃料の低温流動性は、明らかに必要かつ重要な研究領域である。”
【0008】
グッドラムら(非特許文献6)は、“バイオディーゼル燃料モデルの開発のための低分子量トリグリセリドの物理的性質”について考察し、以下のように述べている:“低分子量トリグリセリドの重要なフラクションを含む油は、燃料増量剤として直接使用することに適している。事実、クフェア(Cuphea)種(グラハム;Graham、1989年)からの原料は、主として、これらのトリグリセリド(特に、トリカプリリンおよびトリカプリン)から構成させる油を含有する。現代のDNA伝達テクノロジーは、クフェア(Cuphea)などの種から、低分子量トリグリセリドの合成をコントロールする遺伝子を、他のより充分に確立された脂肪種子作物に伝達することを可能としよう。その際、油成分は最適な所望のバイオディーゼルの性質に向け、遺伝的に修飾し得る。”
【0009】
ノーセ(非特許文献7)は、以下のように述べている:“飽和脂肪化合物は不飽和脂肪化合物よりも有意に高い融点を有し(表1)、それらは混合物中で不飽和体よりも高い温度で結晶化する。従って、有意な量の飽和脂肪化合物を含む油脂由来のバイオディーゼル燃料は、より高い曇り点と流動点を示すであろう。”
【0010】
カイニーら(非特許文献8)はバイオディーゼル配合物の性能を高めるためのダイズ油の修飾に関する問題について考察している。本論文はゲラーらが1999年に開示した配合物に言及し、“これらの短鎖脂肪酸に由来するバイオディーゼルの融点が相当に高いので、低温流動性を改善するためには、さらに脱ろう工程が必要となろう”と述べている。カイニーらはまた、“飽和脂肪酸含量を増加する脂肪酸プロフィールの変更は、酸化安定性を増強するが、低温流動を悪化させる……脂肪酸の二重結合の存在は、セタン価を低下させよう;従って、植物油の脂肪プールを飽和部分に移行させる戦略は、誘導バイオディーゼルの点火特性を改善するであろうが、酸化安定性と同様に、低温流動性を損ないかねない”とも述べている。
【0011】
特許文献1(“‘743特許”)は、“脂肪酸エステルの合成燃料が、単独で、または他の既知の燃料と組合わせて燃焼させた場合、新しいエネルギー源を提供すること”、また“エステルは好ましくは、種々の油、例えば、ダイズ油、パーム油、ベニバナ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、オイチシカ油、桐油、ココナツ油、ヒマシ油、紫蘇油、ナタネ油、ヒマワリ油、豚脂、獣脂、魚油、脂肪層、海中および陸上動物からの脂質、および植物起源の脂質などを用いるエステル転移反応により調製する”ことを開示している。
【0012】
特許文献2(“‘113特許”)は、“a)12ないし22個の炭素原子を含む脂肪酸と1ないし4個の炭素原子を含む低級脂肪族アルコールから誘導されるヨウ素価50ないし150の少なくとも1種のエステル58ないし95重量%;b)6ないし14個の炭素原子を含む脂肪酸と1ないし4個の炭素原子を含む低級脂肪族アルコールとの少なくとも1種のエステル4ないし40重量%;およびc)少なくとも1種のポリマーエステル0.1ないし2重量%;を含有する混合物”を開示している。
【0013】
特許文献3は、“改変した種子油成分を産生させる核酸構築物および方法”について開示し、“植物種子中のオレイン酸含量を増大させ、飽和脂肪酸含量を低下させる方法であって、i)第一の異種FAD2配列で形質転換した植物からのFAD2遺伝子の抑制量が、同様の遺伝的背景と第二の異種FAD2配列を含んでなる植物細胞におけるFAD2遺伝子の抑制量に比較して少なくとも部分的に低下するまで、第一の異種FAD2配列の長さを短縮すること(ただし、第二の異種FAD2配列は第一の異種FAD2配列よりもより内在性のFAD2配列からなる);ii)同様の遺伝的背景をもつが、該異種FATB配列をもたない植物細胞におけるFATBの抑制に比較して、植物細胞におけるFATB遺伝子発現を少なくとも部分的に低下させ得る異種FATB配列を発現させること;iii)第一の異種FAD2配列および異種FATB配列をもつゲノムを含んでなる植物を成長させること;およびiv)同様の遺伝的背景をもつが、第一の異種FAD2配列および異種FATB配列を欠如する植物からの種子に比較して、飽和脂肪酸含量の低下した種子を産生する植物を培養すること;からなる方法”について述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,364,743号明細書
【特許文献2】米国特許第5,389,113号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/026963号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Knothe et al., インターネット<URL: http://www.biodiesel.org/resources/reportsdatabase/reports/gen/19961201_gen-162.pdf>
【非特許文献2】Geller et al. Transactions of the American Society of Agricultural Engineers 42:859-862, 1999
【非特許文献3】Stournas, et al., JACOS, 1995, 72:433-437
【非特許文献4】Mittelbach, Bioresource Technology, 1996, 56:7-11
【非特許文献5】Graboski, Prog. Energy Combustion Sci., 1998, 24:125-164
【非特許文献6】Goodrum et al., Bioresource Technology, 1996, 56:55-60
【非特許文献7】Knothe, Fuel Processing Technology, 2005, 86:1059-1070
【非特許文献8】Kinney et al., Fuel Processing Technology, 2005, 86:1137-1147
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
出願人は、植物油の配合物が代替燃料として、またはバイオディーゼル生産のための原料として使用し得る所望の性質を示すように選択し得ることを明らかにした。例えば、かかる配合物は気候が寒冷である地で燃料として使用した場合にも凍結し難いように選択し得る。配合物はまた、高温度でも安定であるようにも選択し得る。さらに、配合物は、輸送車両において燃料として使用した場合に、所望の点火性が得られるように選択し得る。本発明の油または脂肪酸の配合物のある種の特例を以下に記載する。理解されることは、本発明内の油または脂肪酸の配合物が、以下の実施態様に記載する特徴のいずれかの組合せを有し得ることである。特に、本発明者らは、脂肪酸のある種の混合物がバイオ燃料の生産のために驚くほど有益な性質を有することを発見した。例えば、本発明者らは中鎖脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸の一定のバランスが、例えば、寒冷気候での許容能力に関して、驚くほど有益な性質を示し得ることを見出した。バランス量の中鎖脂肪酸(例えば、C8、C10およびC12)とモノ不飽和脂肪酸(好ましくは、C16:1およびC18:1)を含む脂肪酸混合物のある種の実施態様において、発明者らは、C16:0およびC18:0の存在が、低温流動性に対して特に好ましくない影響をもち、従って、バイオディーゼルにおけるC16:0およびC18:0のレベルを低下させることが、寒冷気候での許容能力にとって有益であり得ること;また、C14:0、C18:2、C18:3、C20、C22およびC24もまた低温流動性に悪影響を与え得ること;従って、バイオディーゼルにおいてはこれらの脂肪酸を低下させることが有益であり得ることを見出した。また、油のある種のアルキルエステル、油の配合物、および脂肪酸の配合物が特に低温流動性に対して好ましい作用をもつが、その他のアルキルエステルはあまり有益でないことも発見された。
【0017】
本明細書にて使用する場合、用語“油”とは主として脂肪酸のトリグリセリドから構成される物質をいう。植物油は植物の種々の部分、例えば、植物の種子、果実、または葉などから抽出し得る。このものは一般に室温で液体である。一部の実施態様において、油はカノーラ、ナタネ、ヤシ、ヤシ殻、ココヤシ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、オリーブ、マカダミア、ババスーヤシ、ヒマ、ラッカセイ、ワタ、アマ種子、亜麻仁、コフネヤシ、およびジャトロファに由来する。さらなる実施態様において、該油は遺伝的に修飾した植物から誘導してもよい。
【0018】
トリグリセリドは植物油および動物脂肪の主要な構成分である。トリグリセリドは室温で固体または液体であり得る。トリグリセリドはまたトリアシルグリセロール(TAG)とも呼称され、1分子のグリセロールと3分子の脂肪酸から形成される化合物である。グリセロールは(3個の水酸基を含む)三価アルコールであり、3個までの脂肪酸との組合せで、1個、2個または3個の脂肪酸と結合した場合に、それぞれモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドを形成し得る。モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドはエステルとして分類され、酸とアルコール間の反応により、副生物として水を放出し、創出される化合物である。脂肪酸は3つの水酸基のいずれかと結合してエステル結合を形成し、多様な化合物を創出する。さらに、長さの異なる脂肪酸は個々のグリセロール分子と結合し得る。従って、得られるジグリセリドまたはトリグリセリドは同じトリグリセリド分子内に異なる脂肪酸を含み得る。
【0019】
脂肪酸は、一端にカルボキシル基をもつ炭素鎖骨格として炭素、水素、および酸素が配列されて、構成される。脂肪酸は飽和脂肪酸(SFA)でもよく、その場合、炭素−炭素二重結合をもたず、またモノ不飽和(MUFA)でもよく、その場合、1個の炭素−炭素二重結合をもち、またはポリ不飽和脂肪酸(PUFA)でもよく、その場合、1個を超える炭素−炭素二重結合をもつ。脂肪酸鎖の炭素数および炭素−炭素二重結合の数は、一般に、“炭素数:炭素−炭素二重結合数”として表す。例えば、18個の炭素と1個の二重結合をもつオレイン酸は、“C18:1”または“18:1”と表わし得る。
【0020】
“中鎖脂肪酸”とは、本明細書にて使用する場合、6ないし14個の炭素、好ましくは8ないし12個の炭素を含む脂肪酸をいう。
【0021】
“長鎖脂肪酸”とは、本明細書にて使用する場合、14個を超える炭素、または16個を超える炭素、さらに18個を超える炭素を含む脂肪酸をいう。
【0022】
一側面においては、脂肪酸の混合物が提供される。
【0023】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物のある種の好適な実施態様においては、ラウリン酸が混合物中の6%ないし20%、より好ましくは、混合物中の6%ないし10%を占める。
【0024】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物のある種の好適な実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の20%ないし40%;または混合物の20%ないし30%;または混合物の30%ないし40%;または混合物の25%ないし35%を占める。本明細書にて提供される脂肪酸混合物の他の実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0),およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の60%ないし85%;または混合物の60%ないし70%;または混合物の70%ないし85%;または混合物の65%ないし75%を占める。本明細書にて提供される脂肪酸混合物のさらに他の実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の40%ないし60%;または混合物の40%ないし50%;または混合物の50%ないし60%;または混合物の45%ないし55%を占める。
【0025】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、モノ不飽和脂肪酸が、混合物の5%ないし95%を占める;好ましくは、モノ不飽和脂肪酸が、混合物の10%を超え、または15%を超え;または20%を超え;または25%を超え;または30%を超え;または35%を超え;または40%を超え;または45%を超え;または50%を超え;または60%を超え;または65%を超え;または70%を超え;または80%を超え;または85%を超えて占める。
【0026】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物のある種の好適な実施態様においては、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に、混合物の20%ないし85%;または混合物の20%ないし40%;または混合物の20%ないし30%;または混合物の30%ないし40%;または混合物の25%ないし35%;または混合物の40%ないし60%;または混合物の35%ないし55%;または混合物の55%ないし65%;または混合物の60%ないし85%;または混合物の60%ないし70%;または混合物の70%ないし85%;または混合物の65%ないし75%;を占める。
【0027】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に、混合物の50%を超え;または混合物の55%を超え;または混合物の60%を超え;または混合物の65%を超え;または混合物の70%を超え;または混合物の75%を超え;または混合物の80%を超え;または混合物の85%を超え;または混合物の90%を超えて占める。
【0028】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、ステアリン酸(18:0)およびパルミチン酸(16:0)が共に、混合物の25%未満;より好ましくは、混合物の15%未満;より好ましくは、混合物の10%未満;より好ましくは、混合物の8%未満;より好ましくは、混合物の6%未満;より好ましくは、混合物の5%未満;より好ましくは、混合物の4%未満;より好ましくは、混合物の3%未満;より好ましくは、混合物の2%未満;より好ましくは、混合物の1%未満;より好ましくは、混合物の0.5%未満;を占めるか、または一部の好適な実施態様において、脂肪酸の混合物はステアリン酸(18:0)およびパルミチン酸(16:0)を実質的に含有しない。
【0029】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、ミリスチン酸(14:0)が、混合物の25%未満;より好ましくは、混合物の15%未満;より好ましくは、混合物の10%未満;より好ましくは、混合物の8%未満;より好ましくは、混合物の6%未満;より好ましくは、混合物の5%未満;より好ましくは、混合物の4%未満;より好ましくは、混合物の3%未満;より好ましくは、混合物の2%未満;より好ましくは、混合物の1%未満;より好ましくは、混合物の0.5%未満;を占めるか、または一部の好適な実施態様において、脂肪酸の混合物はミリスチン酸(14:0)を実質的に含有しない。
【0030】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、リノール酸(18:2)およびリノレン酸(18:3)が共に、混合物の25%未満;より好ましくは、混合物の15%未満;より好ましくは、混合物の10%未満;より好ましくは、混合物の8%未満;より好ましくは、混合物の6%未満;より好ましくは、混合物の5%未満;より好ましくは、混合物の4%未満;より好ましくは、混合物の3%未満;より好ましくは、混合物の2%未満;より好ましくは、混合物の1%未満;より好ましくは、混合物の0.5%未満;を占めるか、または一部の好適な実施態様において、脂肪酸の混合物はリノール酸(18:2)およびリノレン酸(18:3)を実質的に含有しない。
【0031】
本明細書にて提供される脂肪酸混合物の一部の好適な実施態様においては、アラキドン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)およびリグノセリン酸(C24:0)が共に、混合物の25%未満;より好ましくは、混合物の15%未満;より好ましくは、混合物の10%未満;より好ましくは、混合物の8%未満;より好ましくは、混合物の6%未満;より好ましくは、混合物の5%未満;より好ましくは、混合物の4%未満;より好ましくは、混合物の3%未満;より好ましくは、混合物の2%未満;より好ましくは、混合物の1%未満;より好ましくは、混合物の0.5%未満;を占めるか、または一部の好適な実施態様において、脂肪酸の混合物はアラキドン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)およびリグノセリン酸(C24:0)を実質的に含有しない。
【0032】
ある種の側面において、脂肪酸の混合物は、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸と12〜18個の炭素を有するモノ不飽和脂肪酸が混合物の80%ないし100%を占め、カプリル酸(C8:0)とカプリン酸(C10:0)が混合物の5%ないし80%を占め、ラウリン酸が混合物の20%未満を占め、そして炭素が12個を超えるポリ不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が共に混合物の20%未満を占める脂肪酸混合物として提供される。上記脂肪酸混合物のある種の好適な実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の20%ないし40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)は混合物の6%ないし20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)は混合物の6%ないし10%を構成する。該混合物の一部の好適な実施態様において、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)は共に、混合物の50%ないし85%を占める。
【0033】
ある種の側面において、脂肪酸混合物は、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸と12〜18個の炭素を有するモノ不飽和脂肪酸が混合物の80%ないし100%を占め、カプリル酸(C8:0)とカプリン酸(C10:0)が混合物の5%ないし80%を占め、ラウリン酸が混合物の20%未満を占め、そして12個を超える炭素を有するポリ不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が共に混合物の20%未満を占める脂肪酸混合物として提供される。上記脂肪酸混合物のある種の好適な実施態様においては、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の20%ないし40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし10%を構成する;また、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)は共に、混合物の50%ないし85%を占める。上記混合物の他の好適な実施態様において、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)は共に、混合物の60%ないし85%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし10%を構成する;また、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)は共に、混合物の20%ないし40%を占める。
【0034】
一側面において、本発明は2種以上の油の配合物を特徴とし、その場合、少なくとも50重量%の脂肪酸が中鎖脂肪酸であり、またその場合のカプリル酸(C8:0)が最終配合物の25%までを構成し、20%未満が長鎖脂肪酸である。
【0035】
関連する側面において、本発明は脂肪酸の配合物を特徴とし、その場合、少なくとも50重量%の脂肪酸が中鎖脂肪酸であり、またその場合のカプリル酸(C8:0)が最終配合物の25%までを構成し、20%未満が長鎖脂肪酸である。
【0036】
本発明の油または脂肪酸配合物の一部の実施態様において、該配合物は、少なくとも60%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも65%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも70%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも75%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも80%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも85%の中鎖脂肪酸、好ましくは少なくとも90%の中鎖脂肪酸、または好ましくは少なくとも95%の中鎖脂肪酸を含有してなる。
【0037】
本発明の油または脂肪酸配合物の特定の実施態様において、該配合物は、5〜25%のカプリル酸(C8:0);10〜25%のカプリル酸(C8:0);10〜20%のカプリル酸(C8:0);または15〜25%のカプリル酸(C8:0)を含有してなる。
【0038】
本発明の油または脂肪酸配合物の特定の実施態様において、該配合物は、30〜60%のカプリン酸(C10:0);25〜55%のカプリン酸(C10:0);30〜50%のカプリン酸(C10:0);または40〜50%のカプリン酸(C10:0)を含有してなる。
【0039】
本発明の油または脂肪酸配合物の特定の実施態様において、該配合物は、5〜35%のラウリン酸(C12:0);10〜20%のラウリン酸(C12:0);15〜25%のラウリン酸(C12:0);20〜30%のラウリン酸(C12:0);または25〜35%のラウリン酸(C12:0)を含有してなる。
【0040】
本発明の油または脂肪酸配合物の他の実施態様において、該配合物は、15%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは10%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは7%未満の長鎖脂肪酸、好ましくは5%未満の長鎖脂肪酸、または好ましくは3%未満の長鎖脂肪酸を含有してなる。
【0041】
本発明の油または脂肪酸配合物のさらに他の実施態様において、該配合物は、15%未満のモノ不飽和脂肪酸、好ましくは10%未満のモノ不飽和脂肪酸、好ましくは7%未満のモノ不飽和脂肪酸、好ましくは5%未満のモノ不飽和脂肪酸、または好ましくは2%未満のモノ不飽和脂肪酸を含有してなる。
【0042】
本発明の油または脂肪酸配合物のさらに他の実施態様において、該配合物は、10%未満のポリ不飽和脂肪酸、好ましくは7%未満のポリ不飽和脂肪酸、好ましくは5%未満のポリ不飽和脂肪酸、好ましくは3%未満のポリ不飽和脂肪酸、または好ましくは1%未満のポリ不飽和脂肪酸を含有してなる。
【0043】
本発明の油または脂肪酸配合物の特定の実施態様においては、カプロン酸(6:0)が配合物の0ないし約5重量%;カプリル酸(8:0)が配合物の約5ないし約25重量%;カプリン酸(10:0)が配合物の約30ないし約60重量%;ラウリン酸(12:0)が配合物の約5ないし約30重量%;ミリスチン酸(14:0)が配合物の0ないし約5重量%;パルミチン酸(16:0)が配合物の0ないし約5重量%;パルミトレン酸(16:1)が配合物の0ないし約10重量%;ステアリン酸(18:0)が配合物の0ないし約5重量%;オレイン酸(18:1)が配合物の0ないし約10重量%;リノール酸(18:2)が配合物の0ないし約5重量%;リノレン酸(18:3)が配合物の0ないし約1重量%;アラキドン酸(20:0)が配合物の0ないし約3重量%;ベヘン酸(22:0)が配合物の0ないし約3重量%;エルカ酸(22:1)が配合物の0ないし約5重量%;およびリグノセリン酸(24:0)が配合物の0ないし約3重量%;含まれていてもよい。
【0044】
本発明の油または脂肪酸配合物の一部の実施態様においては、油または脂肪酸のトリグリセリドが脂肪酸アルキルエステルに変換される。特定の実施態様において、該アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、またはブチルエステルである。好適な実施態様において、該アルキルエステルはメチルエステルである。
【0045】
本発明の油配合物のある種の実施態様において、該油は植物油または動物脂肪に由来する。好適な実施態様において、油はカノーラ、ナタネ、パーム油、ヤシ殻、ココヤシ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、クフェア、オリーブ、マカダミア、ババスーヤシ、ヒマ、ラッカセイ、ワタ、アマ種子、亜麻仁、コフネヤシ、およびジャトロファからなる群より選択される。本発明の油配合物の一部の実施態様において、該油は遺伝的に修飾した植物に由来する。特定の実施態様において、油は遺伝的に修飾した植物に由来し、その場合、植物は未変性の植物に比較して増加した量の中鎖脂肪酸を産生するように修飾してある。さらなる実施態様においては、未変性の植物または植物類からの1種以上の油を、遺伝的に修飾した植物から得られた1種以上の油と配合し得る。
【0046】
本発明の油または脂肪酸配合物の一部の実施態様において、油配合物または脂肪酸配合物は内燃機関に動力を供給する燃料として有用である。他の実施態様において、該油配合物または脂肪酸配合物は、燃料添加剤、機能的流体、凝固点降下剤、バイオディーゼル、航空燃料、家庭用暖房油、または灯油代替品の製造における原料として使用する。
【0047】
関連する側面において、本発明は脂肪酸アルキルエステルの配合物を特徴とし、その場合、脂肪酸アルキルエステルの少なくとも50%が中鎖脂肪酸アルキルエステルであり、20%未満が長鎖脂肪酸アルキルエステルである。
【0048】
本発明の脂肪酸アルキルエステルの配合物の特定の実施態様において、かかる配合物は少なくとも60%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも65%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも70%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも75%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも80%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも85%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは少なくとも90%の中鎖脂肪酸アルキルエステル、または好ましくは少なくとも95%の中鎖脂肪酸アルキルエステルを含有する。
【0049】
本発明の脂肪酸アルキルエステルの配合物の他の実施態様において、該配合物は15%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは10%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステル、または好ましくは3%未満の長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有する。
【0050】
本発明の脂肪酸アルキルエステルの配合物のさらに他の実施態様において、該配合物は15%未満のモノ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは10%未満のモノ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満のモノ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満のモノ不飽和脂肪酸アルキルエステル、または好ましくは2%未満のモノ不飽和脂肪酸アルキルエステルを含有する。
【0051】
本発明の脂肪酸アルキルエステルの配合物のさらに他の実施態様において、該配合物は10%未満のポリ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは7%未満のポリ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは5%未満のポリ不飽和脂肪酸アルキルエステル、好ましくは3%未満のポリ不飽和脂肪酸アルキルエステル、または好ましくは1%未満のポリ不飽和脂肪酸アルキルエステルを含有する。
【0052】
本発明の脂肪酸アルキルエステルの配合物の特定の実施態様において、該脂肪酸アルキルエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、およびブチルエステルからなる群より選択される。他の実施態様において、該脂肪酸アルキルエステルは、イソプロピルエステル、t−ブチルエステル、またはsec−ブチルエステルからなる群より選択される。一部の好適な実施態様において、該脂肪酸アルキルエステルはメチルエステルである。一部の実施態様において、カプロン酸メチルエステル(6:0)は総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;カプリル酸メチルエステル(8:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で約5ないし約35%、または約10ないし約30%、または約15ないし約25%;カプリン酸メチルエステル(10:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で約20ないし約60%、または約30ないし約50%、または約40ないし約50%;ラウリン酸メチルエステル(12:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で約5ないし約30%、または約10ないし約30%、または約15ないし約25%;ミリスチン酸メチルエステル(14:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;パルミチン酸メチルエステル(16:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;パルミトレン酸メチルエステル(16:1)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約10%;ステアリン酸メチルエステル(18:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;オレイン酸メチルエステル(18:1)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約10%;リノール酸メチルエステル(18:2)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;リノレン酸メチルエステル(18:3)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約1%;アラキドン酸メチルエステル(20:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約3%;ベヘン酸メチルエステル(22:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約3%;エルカ酸メチルエステル(22:1)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約5%;およびリグノセリン酸メチルエステル(24:0)が総脂肪酸メチルエステル配合物の重量で0ないし約3%であり得る。
【0053】
ある種の好適な実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物は、アルキル−エステル化して、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、ブチルエステル、およびイソプロピルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを形成する;より好ましくは、アルキルエステルは、エチルエステル、n−プロピルエステル、およびn−ブチルエステルからなる群より選択される。一部の好適な実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物は、イソプロピルエステルを含有しない。ある種の好適な実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物は、エチルエステルを含むか、または基本的にエチルエステルから構成される。ある種の好適な実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物は、n−プロピルエステルを含むか、または基本的にn−プロピルエステルから構成される。ある種の好適な実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物は、ブチルエステルを含むか、または基本的にブチルエステルから構成される;ある種の特に好適な実施態様において、該ブチルエステルはn−ブチルエステルであるか、またはn−ブチルエステルを含有する。他の実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸の配合物はアルキル−エステル化されており、その場合のアルキルエステルは、直鎖アルキルエステルである;好ましくは、該アルキルエステルは基本的に直鎖のアルキルエステルから構成される。ある種の実施態様において、該油、本明細書で提供される油または脂肪酸配合物のアルキルエステルは、分枝鎖アルキルエステルを包含しない。
【0054】
本発明の上記側面のさらなる実施態様において、油、または脂肪酸、または脂肪酸アルキルエステルの配合物は、0℃未満のまたは0℃に等しい融点、好ましくは−10℃未満のまたは−10℃に等しい融点、好ましくは−15℃未満のまたは−15℃に等しい融点、好ましくは−20℃未満のまたは−20℃に等しい融点、または好ましくは−25℃未満のまたは−25℃に等しい融点を有する。
【0055】
本発明の上記側面のさらなる実施態様において、油、または脂肪酸、または脂肪酸アルキルエステルの配合物は、0℃未満のまたは0℃に等しい曇り点、好ましくは−10℃未満のまたは−10℃に等しい曇り点、好ましくは−15℃未満のまたは−15℃に等しい曇り点、好ましくは−20℃未満のまたは−20℃に等しい曇り点、または好ましくは−25℃未満のまたは−25℃に等しい曇り点を有する。
【0056】
本発明の上記側面のさらなる実施態様において、油、または脂肪酸、または脂肪酸アルキルエステルの配合物は、0℃未満のまたは0℃に等しい流動点、好ましくは−10℃未満のまたは−10℃に等しい流動点、好ましくは−15℃未満のまたは−15℃に等しい流動点、好ましくは−20℃未満のまたは−20℃に等しい流動点、または好ましくは−25℃未満のまたは−25℃に等しい流動点を有する。
【0057】
本発明の上記側面の一部の実施態様において、油、または脂肪酸、または脂肪酸アルキルエステルの配合物は、内燃機関における燃料として、燃料添加物、機能的流体、凝固点降下剤、家庭用暖房油、航空もしくはジェット燃料、または灯油代替物としての使用に適している。
【0058】
“内燃機関における使用に適する”という文言は、内燃機関に動力を供給するために使用し得る燃料の性質をいう。一部の実施態様において、適当な燃料は、セタン価が40〜100;40〜80;または好ましくは40〜70;または好ましくは40〜60;または好ましくは40〜55;または好ましくは40〜50である。他の実施態様において、適当な燃料は、ヨウ素価が20〜130;好ましくは40〜100;好ましくは20〜50、または好ましくは10〜20である。さらなる実施態様において、適当な燃料は、融点が0℃未満または0℃に等しく、好ましくは−10℃未満または−10℃に等しく、好ましくは−15℃未満または−15℃に等しく、好ましくは−20℃未満または−20℃に等しく、または好ましくは−25℃未満または−25℃に等しい。なおさらなる実施態様において、適当な燃料は、曇り点が0℃未満または0℃に等しく、好ましくは−10℃未満または−10℃に等しく、好ましくは−15℃未満または−15℃に等しく、好ましくは−20℃未満または−20℃に等しく、または好ましくは−25℃未満または−25℃に等しい。さらに他の実施態様において、適当な燃料は、流動点が0℃未満または0℃に等しく、好ましくは−10℃未満または−10℃に等しく、好ましくは−15℃未満または−15℃に等しく、好ましくは−20℃未満または−20℃に等しく、または好ましくは−25℃未満または−25℃に等しい。
【0059】
本発明の上記の側面の他の実施態様において、脂肪酸または脂肪酸アルキルエステルの配合物はバイオディーゼルとして使用し、また石油ベースのディーゼルと配合して、燃料として使用するためのバイオディーゼル配合物を形成する。特定の実施態様において、該バイオディーゼルは1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、またはさらに75%のバイオディーゼル配合物を含有してなり、残りの部分を石油ベースのディーゼルを配合する。アメリカ材料試験協会(ASTM)は、ディーゼル燃料を2つの等級、#1ディーゼル燃料および#2ディーゼル燃料に分類している。特定の実施態様において、該バイオディーゼルは#1ディーゼル燃料、#2ディーゼル燃料と配合するか、または#1と#2ディーゼルの混合物と配合する。
【0060】
別の側面において、本発明は遺伝的に改変した植物を特徴とし、その場合の植物は、一つ以上の変異をもつ1種以上の修飾酵素を発現することで、未変性の植物に比較して、該植物が中鎖脂肪酸を増量して産生するようにしたものである。好適な実施態様において、遺伝的に改変した植物は、8個、10個、または12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に産生する。本明細書にて使用する場合、用語“8個、10個、または12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に産生する”とは、遺伝的に改変した植物が産生する中鎖脂肪酸の少なくとも50重量%が8個、10個、または12個の炭素を有する中鎖脂肪酸であること;より好ましくは重量で少なくとも60%;より好ましくは少なくとも70%;より好ましくは少なくとも75%;より好ましくは少なくとも80%;より好ましくは少なくとも85%;より好ましくは少なくとも90%;より好ましくは少なくとも95%;より好ましくは少なくとも98%が8個、10個、または12個の炭素を有する中鎖脂肪酸であることを意味する。
【0061】
本発明の上記の側面の好適な実施態様において、遺伝的に改変した植物は、未変性の状態で40%を超える長鎖脂肪酸を含む油を産生する植物に由来する。一部の実施態様において、遺伝的に改変した植物は、クフェア(Cuphea)種ではない未変性の植物に由来する。クフェアは本発明のある種の実施態様において、不利益となり得るある種の形質を有する。例えば、“野生型のクフェア生殖質は粉砕されて、結果として商品化するように成長させることができない”(Knapp et al. "Modifying the seed storage of lipids of Cuphea: A source of medium chain triglycerides.(クフェアの脂質の種子貯蔵を修飾する;中鎖トリグリセリドの起源)" In Seed Oils for the Future, 142-154, Champaign, Ill., AOCS Press)。加えて、“このものは降霜に耐えられず、種子は容易に粉砕されて、開花も予測できず、また茎、葉および花が粘着性の弾力性のある毛で被われ……発芽も遅い(14ないし20日)”(Ag Innovation News, Jul-Sept. 2003, Vol. 12, No. 3)。さらに、クフェアからの充分な量の油の取得は、クフェアを商業的に実用化するための充分な量の油を産生する能力を妨げる可能性がある。しかし、ある種の実施態様においては、クフェアのある種の他の形質が、修飾のために有利な植物を提供する可能性がある。例えば、“この植物は急速に成長し、種子は僅か6週間で成熟し、温暖な気候の季節が短い場合に理想的なものである”(Ag Innovation News, Jul-Sept. 2003, Vol. 12, No. 3)。従って、ある種の実施態様において、遺伝的に改変したクフェア植物は本明細書に開示するように、油配合物を産生するものとして提供される。
【0062】
本発明の上記の側面の一部の実施態様において、修飾した酵素を発現する植物は、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、およびトウモロコシからなる群より選択される植物である。好適な実施態様において、該植物はダイズであり、より好ましくはヤシ、より好ましくはヒマ、または最も好ましくはナタネである。特定の実施態様において、該植物はナタネの種のもの、好ましくは、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラッシカ・ジュンセア(Brassica juncea)、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)、ブラッシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラッシカ・カリナータ(Brassica carinata)およびシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラッシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh.))である。
【0063】
本発明の上記の側面の好適な実施態様において、含まれる変異は、変異を含む遺伝子修復オリゴヌクレオベースを用いて酵素に導入する。
【0064】
核酸塩基は、プリン、ピリミジン、またはその誘導体もしくは類似体である塩基からなる。ヌクレオシドは、ペントースフラノシル部分を含む核酸塩基であり、例えば、任意に置換基を有してもよいリボシドまたは2'−デオキシリボシドである。ヌクレオシドは数個の連結部分の一つによって結合することができて、リンを含んでいても含んでいなくてもよい。未置換のホスホジエステル連結部分により連結しているヌクレオシドはヌクレオチドと呼ばれる。本明細書に使用する場合の“核酸塩基”は、ペプチド核酸塩基、ペプチド核酸のサブユニット、およびモルホリン核酸塩基並びにヌクレオシドおよびヌクレオチドを包含する。
【0065】
オリゴヌクレオベースは核酸塩基のポリマーであり、このポリマーはワトソン−クリック塩基対合により、相補性配列をもつDNAにハイブリッド形成し得る。オリゴヌクレオベース鎖は単一の5'および3'末端を有するが、これらはポリマーの最終的核酸塩基である。特定のオリゴヌクレオベース鎖はすべてのタイプの核酸塩基を含むことができる。オリゴヌクレオベース化合物は、相補性である1つ以上のオリゴヌクレオベース鎖から構成される化合物であり、ワトソン−クリック塩基対合によりハイブリッド形成する。核酸塩基はデオキシリボ型またはリボ型のいずれかである。リボ型核酸塩基はペントースフラノシル含有の核酸塩基であり、その2'炭素はヒドロキシル、アルコキシまたはハロゲンで置換されたメチレンである。デオキシリボ型核酸塩基はリボ型核酸塩基以外の核酸塩基であり、ペントースフラノシル部分を含まないすべての核酸塩基を含む。
【0066】
オリゴヌクレオベースストランドは一般にオリゴヌクレオベース鎖およびオリゴヌクレオベース鎖のセグメントまたは領域の両方を含む。オリゴヌクレオベースストランドは、3'および5'末端をもつ。オリゴヌクレオベースストランドが1本の鎖と同一の拡がりをもつ場合、当該ストランドの3'および5'末端もまた当該鎖の3'および5'末端である。
【0067】
“遺伝子修復オリゴヌクレオベース”という用語は、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、非ヌクレオチド含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドおよび以下に詳細に説明する他の遺伝子修復分子を含むオリゴヌクレオベースを示すために本明細書では使用する。
【0068】
本発明上記側面のさらなる実施態様において、修飾する酵素はアシル−ACPチオエステラーゼである。ある種の実施態様において、修飾するアシル−ACPチオエステラーゼは、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、およびトウモロコシからなる群より選択される植物に存在する。好適な実施態様において、修飾したアシル−ACPチオエステラーゼは、様々なナタネ植物、好ましくは、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラッシカ・ジュンセア(Brassica juncea)、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)、ブラッシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラッシカ・カリナータ(Brassica carinata)、シナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラッシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh.))、好ましくはブラッシカ・ナプス(Brassica napus)に存在する。特定の実施態様においては、1つ以上の変異が配列番号2(SEQ ID NO:2)のアミノ酸残基91〜397に相当する領域内に含まれている;好ましくは、1つ以上の設計された変異が、配列番号2のアミノ酸残基128〜147、配列番号2のアミノ酸残基175〜206、配列番号2のアミノ酸残基254〜297、配列番号2のアミノ酸残基333〜335、または配列番号2のアミノ酸残基365〜397からなる群より選択される領域に含まれている。ある種好適な実施態様において、アシル−ACPチオエステラーゼはパルミトイル−ACPチオエステラーゼ(PTE)である。
【0069】
本発明の上記側面のなおさらなる実施態様において、修飾する酵素はケトアシルシンターゼ(KAS)である。特定の実施態様において、KAS酵素はその活性が低下するか、または除去されるように修飾し得る。他の実施態様において、KAS酵素はその基質選択性が変化するように修飾し得る。好適な実施態様において、KAS酵素はKASIIであり、1つ以上の変異がアミノ酸残基328〜385に相当する領域の位置に存在する。好適な実施態様においては、1つ以上の変異が配列番号3(SEQ ID NO:3)のアミノ酸残基325〜352または配列番号3のアミノ酸残基355〜385に相当する領域に存在する。より好適な実施態様においては、1つ以上の変異が配列番号3のアミノ酸残基325〜340またはさらに配列番号3のアミノ酸残基331〜337に相当する領域に存在する。一部の実施態様において、配列番号3の337位置の保存ロイシン残基に相当するアミノ酸が変異を受けている。
【0070】
本発明の別の側面においては、アシル−ACPチオエステラーゼをエンコードする2種の発現導入遺伝子を含んでなるトランスジェニック植物が提供され、その場合、各チオエステラーゼは異なる長さの中鎖脂肪酸に対して活性を有する。従って、かかるトランスジェニック植物は両方のチオエステラーゼを発現し、中鎖脂肪酸の配合物を産生する。
【0071】
ある種の実施態様において、修飾する酵素はΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼである。好適な実施態様においては、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼの活性または発現が増大する。好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物でのΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ活性の増大は、遺伝的に修飾した植物が未変性の植物に比較して、C16:1および/またはC18:1のレベルの上昇;および/またはC16:0のレベルの低下、および/またはC18:0のレベルの低下を招く。ある種の好適な実施態様において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、遺伝的に修飾した植物が上昇したレベルのC16:1を産生するように修飾する。ある種の実施態様において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、パルミトイル−ACPで上昇した活性を示すように修飾する;または遺伝的に修飾した植物は、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、ヒマ、またはトウモロコシなどの植物であり、C16:0の生産増大は、マカダミア(Macadamia integrifolia)、クロウメモドキ(Hippophae rhamnoides)またはウングイスカティ(Doxantha unguis-cati)からのΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子によるナタネの形質転換により達成される。
【0072】
ある種の実施態様において、修飾する酵素はΔ12デサチュラーゼ(FAD2遺伝子によりエンコード)である。好適な実施態様においては、Δ12デサチュラーゼの活性または発現が阻害または減弱される。好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物におけるΔ12デサチュラーゼの活性または発現の阻害または減弱は、未変性植物に比較して、遺伝的に修飾した植物におけるC18:2、および/またはC18:3の産生レベルを低下させ、またC18:1のレベルを増加させるに至る。
【0073】
上記側面のある種の実施態様において、第一のアシル−ACPチオエステラーゼはC8およびC10脂肪酸アシル−ACP基質に対して活性を有し、また発現された導入遺伝子はC12脂肪酸アシル−ACP基質に対して活性を有する第二のアシル−ACPチオエステラーゼをエンコードする。特定の実施態様において、第一のアシル−ACPチオエステラーゼはクフェアの種からのものであり、第二のアシル−ACPチオエステラーゼはウルムス(Ulmus)の種からのものである。
【0074】
本発明のある種の側面において、遺伝的に修飾した植物は、本明細書に開示した脂肪酸混合物を含む油を産生するように遺伝的に修飾したものとして提供される。例えば、ある種の好適な実施態様において、植物は脂肪酸の混合物を産生するが、その場合に、8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸と12〜18個の炭素を有するモノ不飽和脂肪酸が該混合物の80%ないし100%を占め、カプリル酸(C8:0)とカプリン酸(C10:0)が混合物の5%ないし80%を占め、ラウリン酸が混合物の20%未満を占め、炭素数12個を超えるポリ不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が共に混合物の20%未満を占めるものとして提供される。遺伝的に修飾した植物のある種の好適な実施態様において、該植物は上記脂肪酸混合物を産生し、その場合に、カプリル酸(C8;0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)が共に、混合物の20%ないし40%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし10%を構成し;また、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に、混合物の50%ないし85%を占める。遺伝的に修飾した植物のある種の好適な実施態様において、該植物は上記の脂肪酸混合物を産生し、その場合に、カプリル酸(C8;0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)が共に、混合物の60%ないし85%を占め;好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし20%を構成し、より好ましくは、ラウリン酸(C12:0)が混合物の6%ないし10%を構成し;また、オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に、混合物の20%ないし40%を占める。ある種の特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、約10%のC8;約20%のC10;約10%のC12:および約60%のC16:1および/またはC18:1を含む油を産生するものとして提供される。異なる特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、約5%のC8;約5%のC10;約15%のC12;約70%のC16:1および/またはC18:1;およびそれぞれ約1%以下のC14:0、C16:0、C18:0、C18:2およびC18:3を含む油を産生するものとして提供される。
【0075】
本発明の上記側面の一部の実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、クフェア、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、ヒマ、およびトウモロコシからなる群より選択される植物から生成する。特定の実施態様において、該植物は、様々なナタネ植物、好ましくは、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラッシカ・ジュンセア(Brassica juncea)、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)、ブラッシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラッシカ・カリナータ(Brassica carinata)、およびシナピス・アルバ(Sinapis alba)(ブラッシカ・アルバ・ラベン(Brassica alba Rabenh.))である。
【0076】
上記側面のある種の特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、遺伝的に改変させた植物である;他の好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、トランスジェニック植物である。さらなる実施態様はトランスジェニックおよび遺伝的改変両方を含む植物である。
【0077】
一実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、遺伝的に修飾した植物が中鎖脂肪酸を上昇したレベルで産生し(好ましくは、本明細書に規定する好適な脂肪酸配合物によるC8:0、C10:0およびC12:0のレベルを上昇させる)、および/またはパルミチン酸(C16;0)を低下レベルで、および/またはC18:0を低下レベルで産生するように修飾する。他の好適な態様において、遺伝的に修飾した植物は、モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように、好ましくはC16:1およびC18:1モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように;および飽和およびポリ不飽和脂肪酸を低レベルで、好ましくは、C16:0、C18:0、C18:2および/またはC18:3を低レベルで産生するように修飾する。特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物は、中鎖脂肪酸を上昇レベルで産生し(好ましくはC8:0、C10:0および/またはC12:0を上昇レベルで);C16:0およびC18:0を低下レベルで;また、C16:1およびC18:1を上昇レベルで産生するように修飾する。
【0078】
上記側面の特に好適な一実施態様において、ナタネ植物は、本明細書に規定する脂肪酸混合物を含む油を産生するように遺伝的に修飾したもとのとして提供される。ある種の好適な実施態様において、遺伝的に修飾したナタネ植物は、未変性のナタネ植物に比較して、遺伝的に修飾したナタネ植物が、中鎖脂肪酸を上昇レベルで(好ましくは、本明細書に規定した好適な脂肪酸配合物によるC8:0、C10:0およびC12:0のレベルを上昇させる)、および/またはパルミチン酸(C16;0)を低下レベルで、および/またはC18:0を低下レベルで産生するように修飾する。他の好適な実施態様において、遺伝的に修飾したナタネ植物は、未変性のナタネ植物に比較して、遺伝的に修飾したナタネ植物が、モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように、好ましくはC16:1およびC18:1モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように;および飽和およびポリ不飽和脂肪酸を低レベルで、好ましくは、C16:0、C18:0、C18:2およびC18:3を低レベルで産生するように修飾する。特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾したナタネ植物は、中鎖脂肪酸を上昇レベルで産生し(好ましくはC8:0、C10:0および/またはC12:0を上昇レベルで);C16:0およびC18:0を低下レベルで;また、C16:1および/またはC18:1を上昇レベルで産生するように修飾する。
【0079】
上記側面の別の特に好適な実施態様において、ダイズ植物は本明細書に規定する脂肪酸混合物を含む油を産生するように遺伝的に修飾したもとのとして提供される。ある種の好適な実施態様において、遺伝的に修飾したダイズ植物は、未変性のダイズ植物に比較して、遺伝的に修飾したダイズ植物が、中鎖脂肪酸を上昇レベルで(好ましくは、本明細書に規定した好適な脂肪酸配合物によるC8:0、C10:0およびC12:0のレベルを上昇させる)、および/またはパルミチン酸(C16;0)を低下レベルで、および/またはC18:0を低下レベルで産生するように修飾する。他の好適な実施態様において、遺伝的に修飾したダイズ植物は、未変性のダイズ植物に比較して、遺伝的に修飾したダイズ植物が、モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように、好ましくはC16:1およびC18:1モノ不飽和脂肪酸を上昇レベルで産生するように;および飽和およびポリ不飽和脂肪酸を低レベルで、好ましくは、C16:0、C18:0、C18:2およびC18:3を低レベルで産生するように修飾する。特に好適な実施態様において、遺伝的に修飾したダイズ植物は、中鎖脂肪酸を上昇レベルで産生し(好ましくは、C8:0、C10:0および/またはC12:0を上昇レベルで);C16:0およびC18:0を低下レベルで;また、C16:1および/またはC18:1を上昇レベルで産生するように修飾する。
【0080】
本発明の上記側面のさらなる実施態様においては、遺伝的に改変した植物またはトランスジェニック植物を産生させる種子が提供される。
【0081】
本発明の上記側面のなおさらなる実施態様においては、上記の遺伝的に改変した植物またはトランスジェニック植物の種子、果実、または葉から抽出された油または脂肪酸混合物が提供される。
【0082】
本発明の別の側面においては、改変した植物またはトランスジェニック植物から得られる油から、バイオディーゼルを製造する方法が提供される。ある種の実施態様において、遺伝的に改変した植物またはトランスジェニック植物からの油は、バイオディーゼルを製造する上での最良の油として使用される。他の実施態様において、遺伝的に改変した植物からの油は、未変性の植物、トランスジェニック植物、またはその両方からの油と配合してバイオディーゼルの製造に使用する。特定の実施態様において、該油は遺伝子修復オリゴヌクレオベースを用いて1つ以上の変異を導入した遺伝的に改変した植物に由来するものであり、かかる油は単独で、またはトランスジェニック植物もしくは未変性植物もしくは他の遺伝的に改変した植物から得られる1種以上の油と組合わせて使用し得る。ある種の実施態様において、該方法は、1種以上の遺伝的に改変した植物またはトランスジェニック植物の種子、果実、または葉から抽出された油を、1種以上の未変性植物から得られる油と配合してエステル転移反応に付し、脂肪酸アルキルエステルを含むバイオディーゼルを製造することからなる。一部の実施態様において、エステル転移反応は、当該油をアルコールおよび塩基触媒と反応させることにより実施する。さらなる実施態様において、該方法はさらに脂肪酸アルキルエステルを精製することからなる;かかる精製は触媒、グリセリン、および水の除去からなる。
【0083】
さらに他の実施態様において、トランスジェニック植物からの油は、遺伝的に改変した植物、未変性の植物、またはその両方からの1種以上の油と配合して、バイオディーゼルの製造に使用する。特定の実施態様において、トランスジェニック植物は1種以上の導入遺伝子を発現する。特定の実施態様において、導入遺伝子は、該植物が産生する中鎖脂肪酸の含量を改変するタンパク質を発現する。好適な実施態様において、該トランスジェニック植物は未変性の植物よりも多量の中鎖脂肪酸を産生する。より好適な実施態様において、トランスジェニック植物は8個、10個、または12個の炭素を有する中鎖脂肪酸を優先的に産生する。より好適な実施態様において、トランスジェニック植物は未変性の植物よりも短い鎖の脂肪酸を有する油を産生する。
【0084】
さらに本発明の別の側面においては、脂肪酸メチルエステルの配合物の理論的融点を予測する方法が提供される。この方法では、配合物中に含まれる各脂肪酸MEについて、以下の積の総計を算出する:個々の脂肪酸メチルエステルのパーセント(w/w)(X)、そのエステルの融点(MPx)、および因子(Fx)。従って、各メチルエステルについて、例えば、(X*MPx*Fx)に相当する項がある。本方法において使用される融点と因子の数値的定義は、変化させ得るものであり、なお有効な中間値を生じる。用語“因子”とは、本明細書にて使用する場合、脂肪酸メチルエステルに相当する一定値をいう。該因子はその脂肪酸MEに対する含有率およびその脂肪酸MEに対する融点を乗じて、本方法で使用するその脂肪酸MEに対する項とする。例えば、個々の融点はプラスマイナス2℃、または5℃、さらには10℃変動する可能性があり、また個々の因子は5%または10%、さらには20%変動し得るものであるが、なお該配合物に対する有効な予測融解温度を示す。
【0085】
ある種の実施態様においては、配合物の融点を予測する方法が提供される;その場合、予測される融点PTmは、以下のように計算される:
PTm = [(A*MPA*FA) + (B*MPB*FB) + (C*MPC*FC) + (D*MPD*FD) + (E*MPE*FE) + (F*MPF*FF) + (G*MPG*FG) + (H*MPH*FH) + (I*MPI*FI) + (J*MPJ*FJ) + (K*MPK*FK) + (L*MPL*FL) + (M*MPM*FM)]*(0.01),
式中:
Aは配合物中のカプロン酸ME(6:0)のパーセント(w/w)である;
Bは配合物中のカプリル酸ME(8:0)のパーセント(w/w)である;
Cは配合物中のカプリン酸ME(10:0)のパーセント(w/w)である;
Dは配合物中のラウリン酸ME(12:0)のパーセント(w/w)である;
Eは配合物中のミリスチン酸ME(14:0)のパーセント(w/w)である;
Fは配合物中のパルミチン酸ME(16:0)のパーセント(w/w)である;
Gは配合物中のステアリン酸ME(18:0)のパーセント(w/w)である;
Hは配合物中のオレイン酸ME(18:1)のパーセント(w/w)である;
Iは配合物中のリノール酸ME(18:2)のパーセント(w/w)である;
Jは配合物中のリノレン酸ME(18:3)のパーセント(w/w)である;
Kは配合物中のアラキドン酸ME(20:0)のパーセント(w/w)である;
Lは配合物中のベヘン酸ME(22:0)のパーセント(w/w)である;
Mは配合物中のリグノセリン酸ME(24:0)のパーセント(w/w)である;
MPAは−81℃から−61℃までである;
MPBは−50℃から−30℃までである;
MPCは−28℃から−8℃までである;
MPDは−5℃から15℃までである;
MPEは9℃から29℃までである;
MPFは21℃から41℃までである;
MPGは28℃から48℃までである;
MPHは−30℃から−10℃までである;
MPIは−45℃から−25℃までである;
MPJは−67℃から−47℃までである;
MPKは45℃から65℃までである;
MPLは43℃から63℃までである;
MPMは48℃から68℃までである;
Aは8から12までである;
Bは3.5から5.5までである;
Cは1.0から1.4までである;
Dは0.8から1.2までである;
Eは0.5から0.7までである;
Fは1.1から1.6までである;
Gは1.8から2.6までである;
Hは0.9から1.3までである;
Iは0.5から0.8までである;
Jは0.15から0.25までである;
Kは8から12までである;
Lは1.6から2.4までである;
Mは1.6から2.4までである。
【0086】
本発明上記側面の特定の実施態様において、予測される融点は以下のように計算する:
PTm = [A(-71.0)(10.0) + B(-40.0)(4.5) + C(-18.0)(1.2) + D(5.2)(1.0) + E(19.0)(0.60) + F(30.7)(1.35) + G(37.8)(2.15) + H(-19.9)(1.10) + I(-35.0)(0.65) + J(-57)(0.2) + K(54.5)(10.0) + L(53.0)(2.0) + M(57.4)(2.0)]*(0.01),
また、AないしMは上記定義のとおりである。
【0087】
上記側面の関連する実施態様においては、アルゴリズムを用いて、バイオディーゼルとしての使用に適する脂肪酸メチルエステルの配合物を同定する;その場合、該配合物の予測される融点を計算し、カットオフ値と比較する。“カットオフ値”は本明細書にて使用する場合、所望の融点をいい、配合物が所望の融点よりも低いか、または等しいPTmを有する場合、バイオディーゼルとしての使用に適する。特定の実施態様において、カットオフ値は0℃、好ましくは−5℃、好ましくは−10℃、好ましくは−15℃、好ましくは−20℃、好ましくは0℃、または好ましくは−20℃である。
【0088】
用語“重量でのパーセント(重量%)”とは、本明細書にて使用する場合、配合物または混合物における成分の量をいう。一般に、この用語は混合物100グラム当たりの成分のグラムをいう。例えば、“重量で10%の化合物X”を含む混合物とは、混合物100グラム中の化合物Xが10グラムのことをいう。
【0089】
用語“バイオディーゼル”とは、本明細書にて使用する場合、植物油または動物脂肪に由来する燃料をいう。一般に、バイオディーゼルは主として脂肪酸アルキルエステルから構成される。好ましくは、バイオディーゼルは内燃機関での使用に適する。
【0090】
用語“バイオディーゼル配合物”とは、バイオディーゼルおよび別の燃料との配合物をいう。一般に、バイオディーゼルは石油に基づく燃料(すなわち、石油ディーゼル)と配合する。バイオディーゼル配合物はBXXという。“XX”は配合物中のバイオディーゼルの量を示す。B100は100%のバイオディーゼルまたは“ニート”バイオディーゼルである。B20配合物とは、例えば、20%容量配合物のバイオディーゼルと80%の石油ディーゼルである。
【0091】
用語“燃料”とは、燃焼して熱または力を与える物質をいう。その例は、ガソリン、家庭用暖房油、航空燃料、灯油、ディーゼル、バイオディーゼル、植物油、およびバイオディーゼル配合物などの液体である。一部の燃料、例えば、ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、植物油、またはバイオディーゼル配合物は内燃機関を駆動するために使用することができる。
【0092】
“遺伝的に修飾した植物”という文言は、トランスジェニック植物または遺伝的に改変した植物をいう。
【0093】
“未変性の植物”という用語は、本明細書にて使用する場合、遺伝的に修飾していない(すなわち、トランスジェニックまたは遺伝的に改変していない)植物をいう。未変性の植物は、野生型植物並びにある種の性質を得るために選択的に交配した植物である。
【0094】
“トランスジェニック植物”という文言は、別の植物種または非植物種からの遺伝子を有する植物をいう。かかる遺伝子は“導入遺伝子”をいう。
【0095】
“遺伝的に改変した植物”という文言は、1種以上の遺伝的修飾、例えば、1つ以上の設計された変異を含む導入遺伝子および/または修飾酵素を有する植物をいう。かかる設計された変異は、未変性の酵素とは異なる活性を有する修飾酵素を生じ得る。かかる差異は基質特異性または活性レベルの差異を含む。本明細書にて使用する場合、“トランスジェニック植物”とは“遺伝的に改変した植物”の一タイプである。
【0096】
“燃料添加物”という文言は燃料に添加する液状物質をいい、最終燃料の5重量%未満を構成する。
【0097】
“脂肪酸の混合物”または“脂肪酸の配合物”または“脂肪酸配合物”という文言は、互いに交換して使用し得るものであり、種々の脂肪酸を含有する組成物をいう。ある種の実施態様において、脂肪酸の混合物は油であるか、または油の配合物でもよく、他の実施態様においては、脂肪酸の混合物は遊離脂肪酸の混合物または遊離脂肪酸と油の混合物であるか、または油の配合物であり得る。ある種の実施態様において、脂肪酸混合物中の脂肪酸の一部または全部を修飾して、脂肪酸アルキルエステル、例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸プロピルエステルなどを形成してもよい。ある種の好適な実施態様において、脂肪酸アルキルエステルはメチルエステルである。従って、特に断りのない限り、“脂肪酸の混合物”という文言は、本明細書にて使用する場合、混合物中で特定される脂肪酸の脂肪酸アルキルエステルの混合物を包含する。同様に、特に断りのない限り、本明細書にて使用する場合の用語“脂肪酸”は脂肪酸のアルキルエステルを包含する。
【0098】
“機能的液体”という文言は、燃料に添加する液状物質をいい、最終燃料の5重量%を越えて包含する。
【0099】
“凝固点降下”という文言は、燃料の凝固点を低下させるために、その燃料に添加する液状物質をいう。
【0100】
“セタン価”またはCNは、燃料の点火特性の尺度であり、点火遅れ時間と相関する。例えば、高セタン価をもつ燃料はシリンダーに注入されて間もなく燃焼し始める(すなわち、それは短い点火遅れ時間をもつ)。対照的に、低セタン価をもつ燃料はより長い点火遅れ時間をもつ。さらに、より高いセタン価は、改善された燃焼、改善されたコールドスタート、ノイズ減少、白煙減少、および特に初期の暖機運転に際してのHC、COおよび微粒子の排出減少と相関する。商業的に入手可能な石油由来のディーゼルは、一般に、2つのCN範囲、すなわち、レギュラーディーゼルについては40〜46、またハイオクについては45〜50に見出される。
【0101】
“ヨウ素価”は植物油および脂肪における不飽和度を測定するために、標準的天然油アッセイにより決定する。
【0102】
“曇り点”とは最初の含ろう結晶が現れる温度をいい、アメリカ材料試験協会(ASTM)の標準的試験プロトコールを用いてこの温度を測定する。
【0103】
“流動点”とは、燃料がもはや流動しなくなる温度をいう。流動点は一般に曇り点よりも低い。一部のエンジンは曇り点で駆動し得ないが、一般にすべてのエンジンが流動点では駆動し得ない。
【0104】
結晶性固体の“融点”とは、状態を固体から液体へ変化させる温度をいう。逆の変化(すなわち、液体から固体へ)の温度として考慮した場合、それは“凝固点”という。殆どの物質の場合、融点と凝固点は等値である。融点または凝固点は流動点よりも低い。
【0105】
“供給原料”とは、本明細書にて使用する場合、バイオディーゼルの調製のための出発原料として使用し得る脂肪、脂肪酸、またはトリグリセリドから構成される物質をいう。バイオディーゼルの生産に使用し得る供給原料の例は、植物油、廃棄植物油、および動物脂肪である。他の供給原料は脂肪酸または脂肪酸アルキルエステルの混合物である。
【0106】
用語“約”とは、本明細書にて使用する場合、量についてプラスマイナス10%の範囲にあることを意味する。例えば、“約3%”とは2.7〜3.3%の範囲を含み、“約10%”とは9〜11%の範囲を含む。
【0107】
特に断りのない限り、本明細書に示す百分率は重量パーセントである。
【0108】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態の説明から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)からのアシル−ACPチオエステラーゼ(パルミトイル−ACPチオエステラーゼまたはPTE)の部分アミノ酸配列(配列番号:1)を示す。
【図2】アラビドプシス(Arabidopsis)からのアシル−ACPチオエステラーゼ(パルミトイル−ACPチオエステラーゼまたはPTE)のアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図3】アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)からのケトアシル−シンターゼII(KAS II)(ジェンバンク(GenBank)受託番号NP_849888)のアミノ酸配列(配列番号:3)を示す。
【図4】アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)からのケトアシル−シンターゼII(KAS II)(ジェンバンク(GenBank)受託番号NM_179557)のヌクレオチド配列(配列番号:4)を示す。
【図5】バイオディーゼルが油または脂肪から製造し得る2つの経路を示す。
【図6】一部例示としての油の脂肪酸含有率を示す。
【図7】曇り点に対する脂肪酸のアルキルエステル化の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
配合油
中鎖脂肪酸の種々の成分を含む油は、中鎖脂肪酸の所望の配合物を得るために、配合し得る。油は重量に基づいて配合する。例えば、25%ナタネ油からなる配合物100グラムに使用すべきナタネ油の容量は、最終配合物中のナタネ油のグラム数をナタネ油の比重で除することによって決定する(すなわち、25gm/0.915gm/mL=27.3mL)。
【0111】
図6は含有される一部例示としての油および脂肪酸含有率を示す表である。これらの油は様々な供給元から商業的に入手可能である。注意すべきことは、当該技術分野で周知のように、特定の植物に存在する特定脂肪酸の量が相当に変動するため、その脂肪酸含有値をある範囲で表わすことである。従って、これらの植物から抽出される油は、いずれかの、またはすべての脂肪酸の量をバッチごとに違って示している可能性がある。それ故、通常は、配合物またはバイオディーゼルを製造するために実際に使用する油の脂肪酸含量を測定することが必要である。
【0112】
脂肪酸アルキルエステルの調製
脂肪酸アルキルエステルは脂肪酸またはトリグリセリドから製造することができる。一般に、脂肪酸アルキルエステルは油脂中のトリグリセリドのエステル交換反応または遊離脂肪酸のエステル化により製造する(図5)。あるいは、脂肪酸をトリグリセリドから加水分解により分断し、引き続きエステル化反応に付して脂肪酸エステルを製造する。
【0113】
脂肪酸アルキルエステルは、様々な植物由来の油、例えば、ダイズ油、パーム油、ベニバナ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、ココヤシ油、ヒマシ油、ナタネ油、ヒマワリ油など、および動物脂肪由来の種々の油に見出されるトリグリセリドのエステル交換反応により調製し得る。これらの油は塩基触媒、例えば、ナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウムもしくはカリウム、チタニウムテトライソプロポキシドなどの存在下に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)と反応させる。温度および圧力などの反応条件は、具体的に使用されるアルコール基づき選択し得る。触媒量は、一般的に、脂肪酸に基づく重量で約0.1ないし約0.5%の範囲である。本工程では、脂肪酸アルキルエステルを、アルキル基がアルコールに由来する場合に製造する。従って、メタノールを使用する反応は、該アルコールが脂肪酸メチルエステルを生成する場合に使用した。他の副生物はグリセリンである。エステル交換産物は分別カラムを介する蒸留による減圧分別により単離する。
【0114】
脂肪酸アルキルエステルは、遊離脂肪酸からエステル化反応を経由して調製し得る。遊離の脂肪酸は多くの供給源から商業的に入手し得るか、または、例えば、上記の油から誘導し得るものであり、酸触媒、例えば、硫酸、アリールスルホン酸、またはアルキルスルホン酸などの酸触媒の存在下にアルコールと反応させ得る。温度および圧力などの反応条件は、使用する具体的なアルコールに基づき選択し得る。脂肪酸エステルは、硫酸を中和し、次いで精製して、水性反応成分を除去することにより、回収することができる。
【0115】
脂肪酸エステルの配合
脂肪酸エステルは商業的に入手し得るか、または上記のように脂肪酸のエステル化反応により取得し得る。脂肪酸は、バイオディーゼル、燃料添加物、機能的流体、飛行もしくはジェット燃料、家庭用暖房油、または灯油としての使用に適切な性質を有する混合物を得るために配合する。配合物を評価する際に考慮すべき性質は、融点、曇り点、流動点、ヨウ素価、セタン価、粘度、酸化安定性、および摩擦磨耗特性であり得る。
【0116】
配合物は重量パーセントに基づいて作製する。脂肪酸メチルエステル(FAME)の配合物の場合、各FAME成分の所望の重量パーセントは、そのFAMEの比重で割り算する。これによって、最終配合物100グラム当たりのFAME容量を得る。例えば、カプリン酸メチルエステル(比重0.877g/mLを有する)14%(重量%)を含む配合物を得るためには、最終配合物100グラムを作製する上で使用すべきカプリン酸メチルエステルの容量は以下のように決定する。
カプリン酸メチルエステルの容量=(14g/0.877g/mL)=15.96ml
従って、最終配合物100gmそれぞれに、カプリン酸メチルエステル15.96mlが必要とされよう。
【0117】
油配合物に含まれる脂肪酸を脂肪酸エステルに変換することから生じるFAME配合物またはFAME混合物の重量パーセントの測定は、フレームイオン化検出計(FID)を備えたキャピラリーガスクロマトグラフ(アジレントモデル6890)(カラム−スペルコ(Supelco)SPB−225、30M×0.32mm、0.25μmフィルム厚さ)により実施する。サンプルピーク面積を各ピークについて換算した標準FAMEの既知重量のピーク面積と比較し、サンプル中の各FAMEの重量を決定する。すべての重量を合計した(パーセントに換算後の)総量に対する個々のFAME重量比は重量パーセントである。
【0118】
融点:脂肪酸エステル配合物の低融点は、かかる配合物を寒冷天候下で使用する場合に凝固するのを回避するために望ましい。脂肪酸メチルエステル配合物の低融点を得る手段は、一般に、常套のディーゼル燃料との配合、分枝鎖エステルおよび/またはアルキル鎖に嵩高い置換基を有する添加物の包接、および/または配合物の脱ろうなどである。本発明の配合物は、中鎖脂肪酸メチルエステル、特にC8およびC10メチルエステルの包接により低融点を達成する。従って、脂肪酸エステルはある種の融点を得るように配合することが可能であり、また得られた配合物の融点を測定することができる。
【0119】
融点は当該技術分野で周知の方法により測定し得る。一方法において、脂肪酸メチルエステル配合物の融点は、配合物の一部を一端閉鎖ガラスキャピラールチューブに容れ、配合物の予測される融点以下の温度に保持した水浴またはエチレングリコール浴中でチューブを平衡化することにより測定する。チューブとその内容物が平衡となる充分な時間の経過後、水浴の温度をゆっくりと上昇させる。チューブを目視で観察するか、または光散乱装置(分光光度計)により観察する。固体から液体に遷移が観察される温度または光散乱が減衰する温度を、サンプルの融点として記録する。
【0120】
単一の融点に置き換わるものは、上に説明するように、“スリップ融点”である。この方法では少量のサンプルを一端閉鎖キャピラールに容れ、サンプルがチューブ長方向の中心に停止するようにする。水浴中で平衡化した後、温度をゆっくりと上昇させ、停止させたサンプルがキャピラール中で落下または“スリップ”し始めた瞬間の温度をスリップ融点として記録する。
【0121】
固体脂肪の融点の測定については、アメリカ穀草類化学者協会(AACC)が記載する方法、方法番号58−40“融点−キャピラリー法、および方法番号58−53スリップ融点法”に詳細に記載されている。さらに、アメリカ油化学者学会(AOCS)公式方法Cc1−25“融点キャピラリーチューブ法”およびAOCS公式方法Cc3−25“スリップ融点AOCS標準オープンチューブ融点”からの方法が利用可能である。
【0122】
別法として、予測される融点は本明細書に含まれるアルゴリズムを用いて算出することができる。
【0123】
曇り点および流動点:曇り点および流動点は一つの装置を用いる同じ実験で測定し得る。簡単に説明すると、サンプルを曇りおよび流動点装置中で冷却し、冷却下に定期的に試験する。かすみの観察される最高温度が曇り点である。油の動きが観察される最低温度が流動点である。本方法はASTM D97、D2500および関連仕様書に従うべきである。かかる装置(K46100曇り点と流動点装置曇り点および流動点チャンバー)は、ケーラー(Koehler)インストルーメントカンパニー、インク(1595シカモアー(Sycamore)通り、ボヘミア、ニューヨーク11716、米国)から入手し得る。
【0124】
セタン価:ディーゼル燃料(DF)の点火特性は共通してアメリカ材料試験協会(ASTM)試験法ASTM D613によって測定し、セタン価(CN)として報告される。点火特性は、エンジンにおける燃料の点火遅れ時間と定義される。点火遅れ時間が短い程、CNは高くなる。化合物はセタン目盛りに従ってランク付けする。セタン(C1634またはヘキサデカン)は非常に短い点火遅れを示し、100のCNを割り当てる。目盛りの他端は2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン(HMN;またC1634)であり、点火特性が劣り、15のCNを割り当てる。一般に、長鎖非分枝飽和炭化水素(アルカン)は高CN値と良好な点火特性を有し、一方、分枝炭化水素(および芳香族などの他の材料)は低CN値と不良な点火特性を有する。さらに、脂肪酸に二重結合または不飽和度が存在する場合、セタン価は低くなる。
【0125】
高すぎるCNおよび低すぎるCNは共に操作上の問題を惹き起こし得るので(CNが高すぎる場合、燃料と空気が適切に混合する前に燃焼が起こり得、不完全燃焼と排煙を起こす;CNが低すぎる場合、エンジン粗度、ミスファイアリング、高空気温度、遅いエンジン暖機、および不完全燃焼もまた起こる)、殆どのエンジン製造業者は彼らのエンジンに対して要求されるCNの範囲を明示する。殆どの場合、この範囲はCN40〜50前後である。例えば、常套のディーゼル燃料に対するASTM規格(ASTM D975)は40の最少CNを必要とする。
【0126】
ヨウ素価:ヨウ素価は共通して使用される飽和の測定、従って、酸化安定性の指標である。先に述べたように、不飽和分子は飽和分子よりも酸化を受け易い。この試験では、油または燃料中の二重結合の数を測定するためにヨウ素を使用する。従って、ダイズ油(IN=130〜135)などの高いヨウ素価を有する油は、非常に酸化を受けやすいが、一方、獣脂(IN=30〜48)などの低ヨウ素価をもつ動物脂肪は、余り酸化され易くない。ヨウ素価の主たる欠点は、一部の二重結合が他のものよりもより容易に酸化を受けることを認識しないということである。リノール酸メチルは2つの二重結合をもつが、1つしか二重結合をもたないオレイン酸メチルよりも約50倍速く酸化を受ける。3つの二重結合をもつリノレン酸メチルはさらに急速に酸化を受けるが、その上昇レベルは同じではない。従って、主として飽和の中鎖脂肪酸の配合物は、低いヨウ素価を示すことが予測され、従って、良好な酸化安定性を示す。
【0127】
改変脂肪酸組成をもつ油を産生する遺伝的に改変した植物の産生
米国特許第6,150,512号は、“植物アシル−ACPチオエステラーゼの基質特異性を改変する方法、およびそのように産生させた遺伝子工学改変植物アシル−ACPチオエステラーゼを提供すること”、特に、“18:0比活性が上昇したマンゴスチン・ガームファット(Garm Fat)A1 18:1チオエステラーゼ”を開示している。
【0128】
米国特許第5,955,329号は、“植物アシル−ACPチオエステラーゼの基質特異性を改変する方法、および遺伝子工学的に改変した植物アシル−ACPチオエステラーゼ”を開示している。特に、“ここに記載されているC12優先の植物アシル−ACPチオエステラーゼを改変して、C14およびC12基質に対して略等しい活性を有する植物チオエステラーゼを取得し得る”ことが開示されている。
【0129】
カールソンら(Carlsson et al. Plant Journal 29(6):761-770, 2002)は、“β−ケトアシル−[アシル・キャリヤタンパク質]シンターゼII(KASII)の活性を部分的に欠如するアラビドプシス(Arabidopsis)のfab1変異体”について開示している。fab1変異は、“Leu337Phe置換を生じるアラビドプシスKAS2の配列における1個のヌクレオチドの変化”であると記載している。
【0130】
ナップら(Knapp et al.“クフェアの脂質種子貯蔵の修飾:中鎖トリグリセリドの供給源”Seed Oils for the Future, 142-154, Champaign, Ill., AOCS Press)は、改変されたトリグリセリド成分を含む油を産生する、ランダム変異誘発により創出した変異体クフェア・ヴィスコシッシマ(Cuphea viscosissima)を開示している。
【0131】
米国特許第5,667,997号、第5,455,167号、第5,298,421号および第5,512,482号は、中鎖脂肪酸に特異性を有するアシル−ACPチオエステラーゼのヌクレオチドとアミノ酸の配列およびこれらのチオエステラーゼそれぞれを発現する対応するトランスジェニック植物を開示している。
【0132】
中鎖脂肪酸を産生する遺伝的に改変した植物は、脂肪酸生合成経路内の1種以上の酵素を変異または修飾することにより生産し得る。脂肪酸生合成は植物の色素体にて起こる。脂肪酸の合成は、アシルタンパク質キャリヤ(ACP)に結合した2炭素前駆体から、酵素ケトアシルシンターゼ(KAS)が触媒する反応において連続して起こる2炭素付加を経て、進行する。このプロセスの間、脂肪酸はACPにエステル化されたままであり、その結果、アシル部分が多様な長さのアシル−ACP中間体がプールされる。色素体に存在するチオエステラーゼは、脂肪酸とACP間のチオール−エステル連結を加水分解し、その結果、脂肪酸を放出するが、その脂肪酸は色素体中に存在し得、またトリグリセリドに組み込まれ得る。
【0133】
KASの数種の異性体は特定の長さのアシル鎖に対し親和性を有する。例えば、KASI酵素、例えば、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)の酵素は、炭素数16を超えるアシル鎖に対して親和性が低く、従って、この酵素については16個の炭素を超えてアシル鎖を伸張できない。KASIIは16個の炭素のアシル鎖を18個の炭素のアシル鎖に伸張する反応を特異的に触媒する。KASIIは炭素が16個より長くても短くても、アシル鎖に対し殆ど親和性を示さない。
【0134】
同様に、アシル−ACPチオエステラーゼは特定の長さのアシル鎖に優先的な活性を有するものが同定されてきた。例えば、18個炭素の脂肪酸を含むアシル−ACP類(例えば、オレオイル−ACPチオエステラーゼまたはOTE)を主として加水分解するチオエステラーゼが存在する。同様に、16個炭素の脂肪酸を含むアシル−ACP類(例えば、パルミトイル−ACPチオエステラーゼまたはPTE)に対して優先的な活性を有するチオエステラーゼが存在する。さらに、種々の中鎖脂肪酸に対し優先的活性を有するチオエステラーゼが報告されている。特定の鎖長の脂肪酸アシル−キャリヤ基質に対する植物チオエステラーゼの“優先的活性”は、異なる鎖長の基質当たり得られる遊離脂肪酸産生量を比較することにより測定する。例えば、“C12−優先”とは、酵素調製物の加水分解活性が、異なるアシル炭素鎖長の他の基質に優先して、ラウロイル、および恐らくデカノイルに対して優先性を示すことを意味する。同様に、“C10−優先”活性をもつ植物チオエステラーゼは、異なる炭素鎖長の他の基質に優先して、デカノイル基質、および恐らくオクタノイルに対してより高い活性レベルを示す。注意すべきことは、有意に程度の劣る一部の活性が他の鎖長の脂肪酸基質について観察され得ることである。従って、優先性は実質的なものであるが、絶対的なものではない。
【0135】
好適な実施態様において、修飾酵素を発現する遺伝的に改変した植物は、本明細書で説明するように、遺伝子修復オリゴヌクレオベースの使用を介して、該酵素に変異を導入することにより製造する。該方法は、対象となる標的遺伝子に特異的な変異を含む遺伝子修復オリゴヌクレオベースを、当該技術分野にて周知の多くの方法(例えば、マイクロキャリヤー、マイクロファイバー、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクション)のいずれかにより、植物細胞に導入し、その変異酵素を有する細胞、種子または植物を同定することからなる。
【0136】
本明細書にて使用する場合、用語“標的遺伝子”とは、修飾すべき酵素をエンコードする遺伝子をいう。
【0137】
遺伝子修復オリゴヌクレオベース
本発明は以下に詳細に記載するコンフォメーションと化学的性質を有する“遺伝子修復オリゴヌクレオベース”により実施し得る。本発明の“遺伝子修復オリゴヌクレオベース”とは、混合二本鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド不含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、および下記の特許および特許公開公報に記載された他の遺伝子修復分子である。本発明の“遺伝子修復オリゴヌクレオベース”は、公刊された科学文献および特許文献にも記載されているが、そこでは他の名称、例えば、“遺伝子組換えオリゴヌクレオベース”;“RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド”;“キメラオリゴヌクレオチド”;“混合二本鎖オリゴヌクレオチド(MDON)”;“RNA DNAオリゴヌクレオチド(RDO)”;“遺伝子標的オリゴヌクレオチド”;“ゲノプラスト”;“一本鎖修飾オリゴヌクレオチド”;“一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異性ベクター”;“二本鎖変異性ベクター”;および“ヘテロ二本鎖変異性ベクター”などを使用している。
【0138】
クミエックによって米国特許第5,565,350号(クミエックI)に、またクミエックによって米国特許第5,731,181号(クミエックII)(参照により本明細書の一部とする)に記載されたコンフォメーションと化学的性質を有するオリゴヌクレオベースは、本発明の“遺伝子修復オリゴヌクレオベース”としての使用に適している。クミエックIおよび/またはクミエックIIにおける遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、二本の相補的ストランドを含み、その一方は、他方のストランドのDNA型ヌクレオチドに塩基対合するRNA型ヌクレオチドの少なくとも1セグメント(“RNA−セグメント”)を含む。
【0139】
クミエックIIは、プリンおよびピリミジン塩基含有非ヌクレオチドがヌクレオチドと置き換え得ることを開示している。本発明に使用し得るさらなる遺伝子修復分子が米国特許第5,756,325号;第5,871,984号;第5,760,012号;第5,888,983号;第5,795,972号;第5,780,296号;第5,945,339号;第6,004,804号;および第6,010,907号に、また国際特許PCT/US00/23457;さらに、国際特許公開WO98/49350;WO99/07865;WO99/58723;WO99/58702;およびWO99/40789(これらの全文をそれぞれ参照により本明細書の一部とする)に開示されている。
【0140】
一実施態様において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、混合二本鎖オリゴヌクレオチドであり、その場合、混合二本鎖オリゴヌクレオチドのRNA型のヌクレオチドは、その2'−ヒドロキシルをフルオロ、クロロまたはブロモ官能基と置き換えることにより、または2'−O上に置換基を置くことにより、RNアーゼ抵抗性とする。適切な置換基はクミエックIIが教示する置換基を包含する。替わり得る置換基は、米国特許第5,334,711号(スプロート;Sproat)が教示する置換基および欧州特許公開第629 387号および第679 657号(共に、マーチン(Martin)出願)(参照により本明細書の一部とする)が教示する置換基である。本明細書にて使用する場合、リボヌクレオチドの2'−フルオロ、クロロまたはブロモ誘導体またはマーチン出願もしくはスプロートに記載された置換基で置換された2'−OHを有するリボヌクレオチドは、“2'−置換リボヌクレオチド”と呼称する。本明細書にて使用する場合、“RNA型ヌクレオチド”は、未置換ホスホジエステル連結により、またはクミエックIまたはクミエックIIが教示する非天然連結のいずれかにより、混合二本鎖オリゴヌクレオチドの他のヌクレオチドに連結する2'−ヒドロキシルまたは2'−置換ヌクレオチドを意味する。本明細書にて使用する場合、用語“デオキシリボ型ヌクレオチド”とは、2'−Hを有するヌクレオチドを意味し、このものは未置換ホスホジエステル連結により、またはクミエックIまたはクミエックIIが教示する非天然連結のいずれかにより、遺伝子修復オリゴヌクレオベースの他のヌクレオチドに連結し得る。
【0141】
本発明の特定の実施態様において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースは未置換ホスホジエステル結合によってのみ連結する混合二本鎖オリゴヌクレオチドである。替わり得る実施態様において、該連結は置換ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体およびクミエックIIが教示する非リン酸ベースの連結によるものである。さらに別の実施態様において、混合二本鎖オリゴヌクレオチドにおける各RNA型ヌクレオチドは、2'−置換ヌクレオチドである。2'−置換リボヌクレオチドの特に好適な実施態様は、2'−フルオロ、2'−メトキシ、2'−プロピルオキシ、2'−アリルオキシ、2'−ヒドロキシルエチルオキシ、2'−メトキシエチルオキシ、2'−フルオロプロピルオキシおよび2'−トリフルオロプロピルオキシ置換リボヌクレオチドである。2'−置換リボヌクレオチドのより好適な実施態様は、2'−フルオロ、2'−メトキシ、2'−メトキシエチルオキシ、および2'−アリルオキシ置換ヌクレオチドである。別の実施態様において、混合二本鎖オリゴヌクレオチドは未置換ホスホジエステル結合により連結する。
【0142】
単一の型の2'−置換RNA型ヌクレオチドのみを有する混合二本鎖オリゴヌクレオチドはさらに簡便に合成されるが、本発明の方法は、2種以上の型のRNA型ヌクレオチドを有する混合二本鎖オリゴヌクレオチドで実施する。RNAセグメントの機能は、2つのRNA型トリヌクレオチドの間にデオキシヌクレオチドを導入することにより惹起される分断により影響され得ない、従って、用語RNAセグメントは“分断RNAセグメント”などを包含する。未分断RNAセグメントは隣接RNAセグメントと呼称する。替わり得る実施態様において、RNAセグメントはRNアーゼ抵抗性ヌクレオチドおよび未置換2'−OHヌクレオチドを交互に含み得る。混合二本鎖オリゴヌクレオチドは、好ましくは、100個未満のヌクレオチド、そしてより好ましくは85個未満のヌクレオチドではあるが、50個を超えるヌクレオチドである。第一と第二のストランドはワトソン−クリック塩基対合する。一実施態様において、混合二本鎖オリゴヌクレオチドのストランドは、第一と第二のストランドが、単一の3'および単一の5'末端をもつ単一のオリゴヌクレオチド鎖のセグメントであるように一本鎖のヘキサ、ペンタまたはテトラ−ヌクレオチドなどのリンカーによって共有結合する。3'および5'末端は“ヘアピンキャップ”を付加することにより保護し、それによって3'および5'末端ヌクレオチドを隣り合うヌクレオチドにワトソン−クリック対合させる。第二のヘアピンキャップは、さらに、3'および5'末端から離れた第一および第二のストランド間の結合位置に置くことができ、その結果、第一および第二のストランド間のワトソン−クリック対合が安定化する。
【0143】
第一および第二のストランドは標的遺伝子の2つのフラグメントと相同である、すなわち、標的遺伝子と同一の配列を有する2ヶ所の領域を含む。相同領域はRNAセグメントのヌクレオチドを含み、DNAセグメントを結合する1つ以上のDNA型ヌクレオチドを含み得、またその間のDNAセグメント内には含まれていないDNA型ヌクレオチドをも含み得る。2つの相同性領域が、“異種領域”と呼ばれる標的遺伝子の配列とは異なる配列を有する領域により隔てられ、またそれぞれが隣接している。該異種領域は1個、2個または3個のミスマッチヌクレオチドを含み得る。ミスマッチヌクレオチドは隣接しているか、あるいは標的遺伝子と相同である1個または2個のヌクレオチドにより隔てられている。あるいは、異種領域は1個の挿入、または1個、2個、3個、または5個以下のヌクレオチドを含み得る。あるいは、混合二本鎖オリゴヌクレオチドの配列は、標的遺伝子の配列と、混合二本鎖オリゴヌクレオチドから1個、2個、3個、または5個以下のヌクレオチドが欠失した分だけ異なり得る。異種領域の長さと位置は、この場合、喩え混合二本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレオチドが異種領域内にないとしても、欠失の長さであると思われる。2つの相同領域に相補性である標的遺伝子のフラグメント間の距離は、一つまたは複数の置換を意図する場合、異種領域の長さに一致させる。異種領域が挿入を含む場合、相同領域はそれによって混合二本鎖オリゴヌクレオチドにおいて、それらの相補性相同フラグメントが遺伝子にあるよりもさらに離れて隔てられ、その逆は異種領域が欠失をエンコードする場合に適用し得る。
【0144】
混合二本鎖オリゴヌクレオチドのRNAセグメントはそれぞれ相同性領域、すなわち、標的遺伝子のフラグメントに配列が同一である領域、の一部であり、そのセグメントは共に、好ましくは少なくとも13個のRNA型ヌクレオチド、そして好ましくは16個ないし25個のRNA型ヌクレオチド、またはさらにより好ましくは18〜22個のRNA型ヌクレオチド、または最も好ましくは20個のヌクレオチドを含む。一実施態様において、相同性領域のRNAセグメントは介在するDNAセグメントにより隔てられ、また隣接している、すなわち、DNAセグメントにより“連結”されている。一実施態様において、異種領域の各ヌクレオチドは介在するDNAセグメントのヌクレオチドである。混合二本鎖オリゴヌクレオチドの異種領域を含む介在DNAセグメントは、“ミューテーターセグメント”と呼称される。
【0145】
本発明の別の実施態様において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースは一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド変異ベクター(SSOMV)であり、このものは国際特許出願PCT/US00/23457、米国特許第6,271,360号、第6,479,292号、および第7,060,500号(参照によりその全文を本明細書の一部とする)に開示されている。SSOMVの配列は、米国特許第5,756,325号;第5,871,984号;第5,760,012号;第5,888,983号;第5,795,972号;第5,780,296号;第5,945,339号;第6,004,804号;および第6,010,907号および国際特許公開WO98/49350;WO99/07865;WO99/58723;WO99/58702;およびWO99/40789に記載されている変異ベクターと同じ原理に基づいている。SSOMVの配列は、ミューテーター領域と呼称される所望の遺伝子改変を含む領域により隔てられた標的配列と相同である2つの領域を含む。ミューテーター領域は、標的配列の相同性配列を隔てる配列と同じ長さであるが異なる配列をもつ配列を有し得る。かかるミューテーター領域は置換を起こし得る。あるいは、SSOMVの相同性配列は互いに隣接し得るが、一方、同じ配列をもつ標的遺伝子の領域は、1個、2個またはそれ以上のヌクレオチドによって隔てられている。かかるSSOMVはSSOMVに欠けているヌクレオチドの標的遺伝子からの欠失を惹き起こす。最終的に、相同性領域に一致する標的遺伝子の配列は、標的遺伝子において隣接し得るが、SSOMVの配列において、1個または2個以上のヌクレオチドにより隔てられている。かかるSSOMVは標的遺伝子配列において挿入の原因となる。
【0146】
SSOMVのヌクレオチドは、未修飾ホスホジエステル結合により連結されたデオキシリボヌクレオチドであるが、ただし、3'−末端および/または5'−末端ヌクレオチドの連結、あるいは2つの3'−末端および/または5'−末端ヌクレオチドの連結は、ホスホロチオアートまたはホスホアミデートであり得る。本明細書にて使用する場合、ヌクレオチドの連結はSSOMVのヌクレオチド間の連結であり、3'−末端ヌクレオチドまたは5'−末端ヌクレオチド間の連結および保護置換基を含んでいない(上記参照)。具体的実施態様において、SSOMVの長さは21個ないし55個のデオキシヌクレオチドであり、相同性領域の長さは、従って、少なくとも20個のデオキシヌクレオチドの合計の長さであって、少なくとも2つの相同性領域はそれぞれ少なくとも8個のデオキシヌクレオチドの長さをもつべきである。
【0147】
SSOMVは標的遺伝子のコーディングまたは非コーディングストランドに相補的であるように設計することができる。所望の変異が1個の塩基の置換である場合、ミューテーターヌクレオチドは双方がピリミジンであることが好ましい。所望の機能的結果を得ることと矛盾しない限り、該ミューテーターヌクレオチドと相補性ストランドの標的ヌクレオチドは共にピリミジンであることが好ましい。特に好適なのは、トランスバージョン変異をエンコードするSSOMV、すなわち、CまたはTミューテーターヌクレオチドが、それぞれ相補性ストランドのCまたはTヌクレオチドとミスマッチしているSSOMVである。
【0148】
オリゴデオキシヌクレオチドに加えて、SSOMVはリンカーを介して5'−末端炭素に付着する5'−保護置換基を含み得る。リンカーの化学的性質はその長さ以外あまり重要ではなく、その長さは少なくとも6個の原子の長さとすべきであり、リンカーは柔軟性に富むべきである。様々な非毒性の置換基は、例えば、ビオチン、コレステロールまたはその他のステロイド類または非インターカレーションカチオン性蛍光色素などが使用し得る。SSOMV調製の試薬として特に好適なものは、グレン・リサーチ(スターリング、バージニア)がCy3.TM.およびCy5.TM.として販売される試薬であり、これらはオリゴヌクレオチドに取り込まれて、3,3,3',3'−テトラメチルN,N'−イソプロピル置換インドモノカルボシアニンおよびインドジカルボシアニンをそれぞれ生成する保護ホスホロアミダイトである。Cy3が最も好適である。インドカルボシアニンがN−オキシアルキル置換されている場合、そのものは5'−末端リン酸エステルをもつホスホジエステルを介して、オリゴデオキシヌクレオチドの5'−末端に常套的に連結させ得る。該色素とオリゴデオキシヌクレオチド間の色素リンカーの化学的性質はそれ程問題ではなく、合成し易いように選択する。市販品として入手可能なCy3ホスホルアミダイトをそのまま使用する場合、得られる5'−修飾は保護置換基とリンカーとからなり、それらはN−ヒドロキシプロピル、N'−ホスファチジルプロピル 3,3,3',3'−テトラメチル インドモノカルボシアニンである。
【0149】
好適な実施態様において、インドカルボシアニン色素はインドール環の3および3'位でテトラ置換されている。理論的に限定されるものではないが、これらの置換は、色素がインターカレーションを受けることから色素を保護する。これらの位置として置換基を同定することは重要ではない。SSOMVはさらに3'保護置換基を有し得る。再度、3'保護置換基の化学的性質は重要ではない。
【0150】
修飾酵素
脂肪酸生合成経路に関与する酵素をエンコードする遺伝子は、変異の好適な標的である。一部の実施態様において、標的遺伝子はアシルACPチオエステラーゼをエンコードする。他の実施態様において、標的遺伝子はケトアシルシンターゼ(KAS)をエンコードする。変異は、酵素活性を低下させるかまたは除去するように、または酵素活性を改変(例えば、基質選択性の変更)するように設計することができる。一部の実施態様においては、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子を修飾する。ある種の実施態様においては、Δ12デサチュラーゼをエンコードするFAD2遺伝子を標的として、リノレン酸(18:3)およびリノール酸(18:2)のレベルを低下させ、オレイン酸(18:1)のレベルを上昇させる。
【0151】
本発明の特定の実施態様においては、未変性のアシルACPチオエステラーゼを変異させる。一例においては、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)のアシルACPチオエステラーゼは、配列番号2(SEQ ID NO:2)のアミノ酸残基91〜397に相当する領域を変異させる。好適な実施態様においては、1つ以上の変異が配列番号2のアミノ酸残基128〜147、配列番号2のアミノ酸残基175〜206、配列番号2のアミノ酸残基254〜297、配列番号2のアミノ酸残基333〜335、または配列番号2のアミノ酸残基365〜397に相当する領域の位置に存在する。
【0152】
本発明の他の実施態様においては、未変性のケトアシルシンターゼ(KAS)酵素を変異させる。一例において、KAS酵素はKASII酵素であり、配列番号3のアミノ酸残基325〜385に相当する領域で変異させる。好適な実施態様においては、1つ以上の変異が配列番号3のアミノ酸残基325〜352または配列番号3のアミノ酸残基355〜385に相当する領域の位置に存在する。より好適な実施態様において、1つ以上の変異が配列番号3のアミノ酸残基325〜340またはさらに配列番号3のアミノ酸残基331〜337に相当する領域に存在する。一部の実施態様において、配列番号3の337位置の保存ロイシン残基に相当するアミノ酸が変異を受けている。特定の実施態様においては、配列番号3の337位置の保存ロイシン残基に相当するアミノ酸が変異を受け、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンまたはヒスチジンとなっている。他の実施態様においては、配列番号3の331位置の保存フェニルアラニン残基に相当するアミノ酸が変異を受ける。ある種の実施態様においては、配列番号3の331位置の保存フェニルアラニン残基に相当するアミノ酸が変異を受け、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、システイン、またはバリンとなる。
【0153】
遺伝子修復オリゴヌクレオベースの植物細胞への送達
植物細胞を遺伝子修復オリゴヌクレオベースで形質転換する本発明方法においては、一般に知られるいずれの方法も使用し得る。例示される方法は、マイクロキャリヤーまたはマイクロファイバー、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクションの使用であり、以下に記載のとおりである。
【0154】
一部の実施態様において、金属マイクロキャリヤー(微粒子)はセルロース細胞壁をもつ植物細胞にDNAの大きなフラグメントを発射貫通(バイオリスティック(Biolistic)送達)により導入するために使用するもので、関連技術分野の当業者に周知である。マイクロキャリヤーを選択する一般的技法およびそれらを発射する装置については、米国特許第4,945,050号;第5,100,792号;および第5,204,253号に記載されている。
【0155】
本発明の方法においてマイクロキャリヤーを使用するための具体的な条件については、国際特許公開WO99/07865、US09/129,298に記載されている。例えば、氷冷マイクロキャリヤー(60mg/mL)、混合二本鎖オリゴヌクレオチド(60mg/mL)、2.5M−CaCl2および0.1Mスペルミジンをこの順序で加える;混合物を緩やかに、例えば、ボルテックスにより10分間かき混ぜ、室温で10分間放置し、次いで直ちにマイクロキャリヤーを5倍容量のエタノールに希釈し、遠心分離し、100%エタノールに再懸濁する。例示として、粘着性溶液中の成分濃度は、8〜10μg/μLのマイクロキャリヤー、14〜17μg/μLの混合二本鎖オリゴヌクレオチド、1.1〜1.4M−CaCl2および18〜22mMスペルミジンを含有する。一例において、該成分濃度は、8μg/μLのマイクロキャリヤー、16.5μg/μLの混合二本鎖オリゴヌクレオチド、1.3M−CaCl2および21mMスペルミジンである。
【0156】
遺伝子修復オリゴヌクレオベースはまた、本発明実施のためにマイクロファイバーを用いて植物細胞に導入させ、細胞壁と細胞膜を貫通させる。コフィー(Coffee;米国特許第5,302,523号)は、ブラック・メキシコ・スイートコーンの懸濁トウモロコシ培養株の形質転換を容易にするために、30×0.5μmおよび10×0.3μmのシリコンカーバイドファイバーを使用することについて記載している。マイクロファイバーを用いる植物細胞の形質転換のためには、DNAの導入に使用し得る機械技法が、遺伝子修復オリゴヌクレオベースの送達に使用し得る。
【0157】
遺伝子修復オリゴヌクレオベースのマイクロファイバー送達の一例は、以下のとおりである。無菌のマイクロファイバー(2μg)を、約10μgの混合二本鎖オリゴヌクレオチドを含む植物培養培地150μLに懸濁する。懸濁培養液を静置し、等容積のパック細胞と無菌ファイバー/ヌクレオチド懸濁液を10分間ボルテックス処理し、プレートに播く。選択培地は、直ちに適用するか、または特定の形質にとって適切である場合、約120時間までの遅れで適用する。
【0158】
替わりとなる実施態様において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースは植物の部分に由来するプロトプラストのエレクトロポレーションにより、植物細胞に送達し得る。プロトプラストは当業者周知の技法に従って、植物の部分、特に葉を酵素処理することにより形成させる。(参照:e.g., Gallois et al., 1996, Methods in Molecular Biology 55:89-107, Humana Press, Totowa, N.J.; Kipp et al., 1999, Methods in Molecular Biology 133:213-221, Humana Press, Totowa, N.J.)。プロトプラストはエレクトロポレーションの前に、増殖培地にて培養する必要がない。エレクトロポレーションの例証としての条件は、総容量0.3mL中、3×105個のプロトプラストであり、その場合の遺伝子修復オリゴヌクレオベースの濃度は0.6〜4μg/mLである。
【0159】
さらに別の替わり得る実施態様において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースは植物細胞のホイスカー(whiskers)またはマイクロインジェクションにより植物細胞に送達することができる。いわゆるホイスカー技法については、文献(Frame et al., 1994, Plant J. 6:941-948)に記載されたとおりに実質的に実施される。遺伝子修復オリゴヌクレオベースをホイスカーに加え、それを使用して植物細胞を形質転換する。遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、植物細胞中でリコンビナーゼおよび/または遺伝子修復複合体を形成し得るタンパク質をエンコードする配列からなるプラスミドと同時培養するとよい;その結果、遺伝子修復がオリゴヌクレオチドと標的遺伝子中の標的配列の間で触媒される。
【0160】
修飾酵素を有する植物の選択
修飾酵素を発現する植物または植物細胞は、多くの手段のいずれかを介して同定することができる。一方法において、同時変換戦略は、同じ実験において選択可能な変換(すなわち、マーカー)および非選択性変換(例えば、対象の標的遺伝子)の両方を標的とするために、遺伝子修復オリゴヌクレオベース(RON)を使用する。例えば、カノーラ中のALS(またはAHAS)遺伝子は、1個のアミノ酸変化により修飾して、インビトロで、イミダゾリノン(IMI)分類の除草剤に対し、(遺伝子変換を介して)耐性を提供し得る。ALS遺伝子と他の標的遺伝子/対立遺伝子の変換を標的とし、生成するIMIに対し再生するカルスを選択する遺伝子修復オリゴヌクレオベースを同時に送達することで、変換適格個体群を同定する。この方法においては、RONが送達されなかった、またはRONにより特定された変換を伝達し得なかった細胞が排除されよう。関与していない遺伝子を標的とするRONの送達は選択的であるとは期待されないので、ある頻度で、ALS変換を有する再生カルスは、他の標的遺伝子の一つにおいて変換を示すことが期待される。変換事象は一ヌクレオチド多型(SNP)分析により解明し得よう。
【0161】
このように、ゲノムDNAは、変換適格と見做されたプロトプラストから再生させた個々の植物からの葉部材料から抽出し、個々のDNAサンプルは、各標的についてのSNP検出技法、例えば、対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応(ASPCR)により検出する。各標的についての推定陽性の植物を硬化させ、土壌に移す。陽性植物の配列変化を独立して確認するために、標的遺伝子の適切な領域をPCR増幅し、得られるアンプリコンを直接配列決定するか、またはクローン化して多重挿入断片を配列決定する。多重変化が同じ遺伝子でなされている場合、変換体は、標的遺伝子から変換したALS耐性遺伝子の分離を可能とするその親株に戻し交配する。
【0162】
別法として、変異の対象遺伝子への取り込みは、抽出した核酸中の一ヌクレオチド変異を検出するために設計された多くの分子生物学技法のいずれかによって同定することができる(例えば、PCRおよび一ヌクレオチドプライマー伸張分析法などの増幅方法)。より大きな変異は、変異すべき標的遺伝子の領域を増幅し、配列決定することにより検出し得る。
【0163】
別法として、修飾酵素を含む植物または植物細胞は、例えば、該植物が産生した脂肪酸の組成を分析することにより同定することができる。従って、該植物を成長させて、油を抽出し、当該技術分野にて既知の方法(例えば、ガスクロマトグラフィー)により分析することができる。
【0164】
2種のチオエステラーゼ導入遺伝子を発現するトランスジェニック植物の生産
中鎖脂肪酸の長さの異なるアシル基質に優先性を有するチオエステラーゼをエンコードする2種の導入遺伝子を発現するトランスジェニック植物は、当該技術分野で周知の方法により生成させ得る。
【0165】
このように、植物チオエステラーゼは様々な起源から入手することができる。有意な量の中鎖脂肪酸を産生する植物は、中鎖優先性植物チオエステラーゼをエンコードするDNA配列の好適な供給源である。例えば、クフェア属の幾つかの種は、その種子中に中鎖脂肪酸を含むトリグリセリドを蓄積する(例えば、プロカンベンズ(procumbens)、ルテア(lutea)、フッケリアナ(hookeriana)、ハイソピフォリア(hyssopifolia)、ライチイ(wrightii)およびインフラタ(inflata))。さらに、ニレ(Ulmus americana)が有意な中鎖脂肪酸を含むことが示されている。さらに、クスノキ科(Lauraceae)の一員、例えば、ピサ(Pisa)(Actinodophne hookeri)、ゲッケイジュ(Laurus nobilis)、およびカリフォルニアベイ(Umbellularia californica)が中鎖脂肪酸を含む種子を産生する。さらなる供給源は、ニクズク科(Myristicaceae)、ニガキ科(Simarubaceae)、ボキシア科(Vochysiaceae)、およびサルバドラ科(Salvadoraceae)、およびエリスマ(Erisma)、ピクラムニア(Picramnia)およびビロラ(Virola)の多雨林種であり、これらはC14脂肪酸を蓄積すると報告されている。中鎖優先チオエステラーゼを貯留する植物の幾つかの例とそれらの好適な基質を表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
その他の植物もまた特定の脂肪酸アシル鎖長に優先性を有する所望のチオエステラーゼの供給源となり得る。かかるさらなる植物チオエステラーゼは、種々植物油のトリアシルグリセリド組成物を分析することにより同定し得る。特異的チオエステラーゼの存在は、適切なアシル−ACP基質を用いるアッセイにより確認し得る。例えば、C10−優先性アシル−ACPチオエステラーゼについてのアッセイは、国際公開WO91/16421に記載されており、かかる分析に使用することができる。
【0168】
対象の植物チオエステラーゼをエンコードするDNA配列を含む植物発現構築物は、多様な植物において、取分け、食用および工業用の植物油の生産に利用される植物において使用し得る。好適な植物は油料種子作物であり、限定されるものではないが、ナタネ(カノーラおよび高エルシン酸品種)、ヒマワリ、ベニバナ、ワタ、クフェア、ダイズ、ラッカセイ、ヤシの実と油料パーム、およびトウモロコシなどを包含する。
【0169】
宿主細胞が植物細胞である発現構築物は、植物中で機能的である調節領域(例えば、プロモーターおよびターミネーター領域)を含む。従って、得られるトランスジェニック植物にて発現するべきタンパク質をエンコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、未変性遺伝子に見出されるプロモーターなど、転写開始調節領域またはプロモーターにその5'末端で結合する。多数の他の転写開始領域が利用可能であり、それらは構造遺伝子機能の多様な構成的または誘導的転写を提供する。植物について使用する転写開始領域の中には、CaMV 35Sおよびノパリンおよびマンノピンシンターゼに対してなどの構造遺伝子と関連する、またはナピン、ACPプロモーターなどと関連する領域が存在する。かかる構造遺伝子に相当する転写/翻訳開始領域は、それぞれの開始コドンの5'上流直近に見出される。対象の植物宿主に本来存在するプロモーターまたは修飾プロモーターなど、すなわち一遺伝子起源に由来する転写開始領域または異なる遺伝子起源に由来する翻訳開始領域を有するプロモーター、対象の植物チオエステラーゼをエンコードする配列を含むプロモーター、または増強プロモーター、例えば、二重35S CaMVプロモーターなど、ある種のプロモーターを所望する場合、標準的技法により当該配列を一緒に結合し得る。植物中に中鎖チオエステラーゼの発現を望む殆どの適用の場合、種子特異的プロモーターの使用が好ましい。さらに、組換え構築物を宿主細胞に導入する方法によっては、発現構築物中にさらなる成分が必要とされ得る。例えば、形質転換細胞用の選択マーカーをエンコードするDNAを、発現構築物に含み得る。従って、該構築物は、細胞傷害剤(例えば、抗生物質、重金属、毒素など)に対する耐性、栄養要求性宿主に原栄養体を提供する補完性、ウイルス免疫性などを提供し得る。異なる宿主種の数によっては、発現構築物またはその成分を導入し、1種以上のマーカーが採用されるが、その場合、選択のための異なる条件を異なる宿主に使用する。
【0170】
種々の植物形質転換法が当該技術分野において周知である。例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)感染、マイクロインジェクション、DNA粒子衝撃、およびエレクトロポレーションを経由する形質転換が一般に使用される。さらに、新規方法として作物を形質転換することが利用可能であり、かかる方法も使用し得る。植物の形質転換の例は米国特許第5,667,997号に見出し得る。
【0171】
1つを超える導入遺伝子を発現するためには、発現構築物を各導入遺伝子について生成させ得る。次いで、植物を、第一の導入遺伝子と植物選択性マーカーを含有してなる第一の発現構築物で形質転換する。選択培地上で成長させた再生体は、例えば、ウエスタンブロッティング法により導入遺伝子の発現についてスクリーニングし得る。導入遺伝子を発現する植物は成熟するまで成長させ、種子を定着させて、そこから第二世代の植物を生成させる(T2)。
【0172】
T2世代は二回目の形質転換に使用するが、その際、第二の導入遺伝子および第二の植物選択性マーカーを含んでなる第二発現構築物を使用する。(植物選択性マーカーの除去または不活性化の方法は当該技術分野にて既知である;例えば、WO92/01370に開示されているように)。再生体は選択培地上で成熟するまで成長させ、種子を定着させ、そこから次世代の植物を生成させる(T3)。T3世代を野生型植物に比較して、中鎖脂肪酸の増加についてスクリーニングする。
【0173】
中鎖脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸の所望のバランスをもつ油を含む遺伝的に修飾した植物の生成
一部の実施態様において、リノレン酸(18:3)およびリノール酸(18:2)のレベル低下並びにオレイン酸(18:1)のレベル上昇は、Δ12デサチュラーゼ(FAD2遺伝子)の発現または活性を低下させることにより、遺伝的に修飾した植物において達成させる;好ましくは、標的とするFAD2遺伝子は、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、またはトウモロコシFAD2遺伝子である。好適な実施態様において、FAD2の発現または活性は、遺伝子のコード配列にストップコドンを創出するか;またはヌクレオチドを欠失もしくは付加させて、フレームシフト変異を創出することにより低下させる。
【0174】
ある種の好適な実施態様においては、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子を遺伝的に修飾した植物において修飾し、パルミトレン酸(C16:1)および/またはオレイン酸(18:1)のレベルを上昇させる;好ましくは、遺伝的に修飾した植物は、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、クフェア、およびトウモロコシからなる群より選択される。ある種の好適な実施態様において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼの発現または活性は、モノ不飽和脂肪酸の産生増大を促進し、飽和脂肪酸を減少させるために増大させる;より好ましくは、遺伝的に改変した植物において、C16:1および/またはC18:1のレベルを未変性の植物に比べて増大させ、C16:0および/またはC18:0のレベルを低下させる。他の実施態様において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、遺伝的に修飾した植物がC16:1のレベルを上昇させて産生するように修飾する。ある種の実施態様において、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子は、パルミトイル−ACPにより活性の上昇を示すように修飾する。参照例:Cahoon, E. B. およびShanklin, J, 2000,“植物種子油の代謝エンジニアリング用脂肪酸デサチュラーゼ変異体を選択するための基質依存変異体相補性”, Proc. Nat. Acad. Sci. 97(22): 12350-12355。関連する実施態様において、C16:0の産生増大は、マカダミア(Macadamia integrifolia)、グミの1種(sea buckthorn;Hippophae rhamnoides)またはウングイスカティ(Doxantha unguis-cati)からのΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子でナタネを形質転換することにより達成される。ある種の実施態様において、KASII遺伝子の活性または発現は、18:1および16:1脂肪酸のさらにより高いレベルを達成するために、Δ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子の修飾に加えて、本明細書に開示した方法により低下させる;より好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物のPTE酵素もまた、本明細書に開示するように修飾して、短鎖脂肪酸のレベルを上昇させ産生させる;より好適な実施態様において、遺伝的に修飾した植物のΔ12デサチュラーゼもまた、低下した活性または発現を有するように修飾する。
【0175】
ある種の好適な実施態様において、植物(好ましくは、ナタネ、ワタ、アマ、ラッカセイ、ヤシ、ベニバナ、ダイズ、ヒマワリ、またはトウモロコシ植物)は遺伝的に修飾して、本明細書に開示するように、短/中鎖脂肪酸のレベルを以下のように上昇させる;(1)パルミトイルチオエステラーゼ(PTE)の基質特異性を改変して、カプリロイル−ACP(C8)、カプロイルーACP(C10)、およびラウロイル−ACP(C12)により活性を上昇させるか、または短鎖長特異性をもつ、クフェア、ココヤシ、ヤシ、ババスヤシ、ブラジル産ホンダヤシ(Astrocaryum vulgare)、ニレ(Ulmus Americana)、ニホンケヤキ(Zelkova serrata)またはカリフォルニアベイ(Umbellularia californica)からのアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子で形質転換する;および(2)KASII遺伝子の活性を低下させる。ある種の好適な実施態様において、植物は、PTEおよび/またはKASII遺伝子を本明細書に開示するように改変することにより、短/中鎖脂肪酸のレベルが上昇するように遺伝的に修飾する;また、さらに、Δ12デサチュラーゼの発現または活性を低下させることにより、ポリ不飽和脂肪酸のレベルが低下(好ましくは、C18:2およびC18:3のレベル低下)するように修飾する;より好ましくは、該植物はさらにΔ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子を修飾してパルミトレン酸(C16:1)および/またはオレイン酸(18:1)のレベルを上昇させ、C16:0および/またはC18:0のレベルを低下するように修飾する。
【0176】
脂肪酸メチルエステルの予測される融点の計算
脂肪酸メチルエステル配合物の予測される融点PTmは、配合物100g当たりの重量で表わす各脂肪酸メチルエステルの量および以下の等式を用いて算出する。
PTm = [A(-71.0)(10.0) + B(-40.0)(4.5) + C(-18.0)(1.2) + D(5.2)(1.0) + E(19.0)(0.60) + F(30.7)(1.35) + G(37.8)(2.15) + H(-19.9)(1.10) + I(-35.0)(0.65) + J(-57)(0.2) + K(54.5)(10.0) + L(53.0)(2.0) + M(57.4)(2.0)]*(0.01)
Aは配合物中のカプロン酸ME(6:0)のパーセント(w/w)である;
Bは配合物中のカプリル酸ME(8:0)のパーセント(w/w)である;
Cは配合物中のカプリン酸ME(10:0)のパーセント(w/w)である;
Dは配合物中のラウリン酸ME(12:0)のパーセント(w/w)である;
Eは配合物中のミリスチン酸ME(14:0)のパーセント(w/w)である;
Fは配合物中のパルミチン酸ME(16:0)のパーセント(w/w)である;
Gは配合物中のステアリン酸ME(18:0)のパーセント(w/w)である;
Hは配合物中のオレイン酸ME(18:1)のパーセント(w/w)である;
Iは配合物中のリノール酸ME(18:2)のパーセント(w/w)である;
Jは配合物中のリノレン酸ME(18:3)のパーセント(w/w)である;
Kは配合物中のアラキドン酸ME(20:0)のパーセント(w/w)である;
Lは配合物中のベヘン酸ME(22:0)のパーセント(w/w)である;および
Mは配合物中のリグノセリン酸ME(24:0)のパーセント(w/w)である。
【0177】
一部の実施態様においては、予測される融点を用いて、バイオディーゼルとしての使用に適する配合物を同定し得る。これらの実施態様において、予測される融点をカットオフ値と比較する(すなわち、バイオディーゼルとしての所望の融点)。カットオフ値未満またはそれに等しい予測融点を有する配合物は、バイオディーゼルとしての使用に適している。
【0178】
以下の実施例は本発明を説明するためのものである。これらの実施例は決して本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例1】
【0179】
脂肪酸メチルエステル配合物1
下記の表に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する脂肪酸メチルエステル配合物(“配合物1”)は、下記表に提示した容量を用いて脂肪酸メチルエステルを共に混合し、100gとして配合物1を調製する。
【表2】

【0180】
配合物1の予測融点PTmは、本発明方法により算出した場合、−41.6℃である。
【実施例2】
【0181】
脂肪酸メチルエステル配合物2
下記の表に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する脂肪酸メチルエステル配合物(“配合物2”)は、下記表に提示した容量を用いて脂肪酸メチルエステルを共に混合し、100gとして配合物2を調製する。
【表3】

【0182】
配合物2の予測融点PTmは、本発明方法により算出した場合、−24.3℃である。
【実施例3】
【0183】
脂肪酸メチルエステル配合物3
下記の表に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する脂肪酸メチルエステル配合物(“配合物3”)は、下記表に提示した容量を用いて脂肪酸メチルエステルを共に混合し、100gとして配合物3を調製する。
【表4】

【0184】
配合物3の予測融点PTmは、本発明方法により算出した場合、−15.0℃である。
【実施例4】
【0185】
脂肪酸メチルエステル配合物4
下記の表に示す脂肪酸メチルエステルの組成を有する脂肪酸メチルエステル配合物(“配合物4”)は、下記表に提示した容量を用いて脂肪酸メチルエステルを共に混合し、100gとして配合物4を調製する。
【表5】

【0186】
配合物4の予測融点PTmは、本発明方法により算出した場合、−11.9℃である。
【実施例5】
【0187】
油配合物A
下記に示す脂肪酸組成を有する2種の油の配合物(“配合物4”)は、下記に示す脂肪酸組成を有するココヤシ油とクフェア・ラセオラタ(Cuphea lanceolata)油を共に混合することにより調製する。
【表6】

【0188】
配合物Aは75重量%の上記ココヤシ油と25重量%の上記クフェア・ランセオラタ油とを混合することにより調製し得る。クフェア・ランセオラタ油25g(25g/0.92g/ml=27.2mL)は75gのダイズ油(75g/0.924g/mL=81.2mL)と組合わせて100gの配合物Aとする。
【実施例6】
【0189】
油からFAMEへの変換
様々なタイプの市販植物油(ダイズ、カノーラ、トウモロコシ、マカダミア、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ラッカセイ、クルミ、ヤシ、ココヤシ、およびヒマシ油を含む)は小売先から入手した。各油200gをガラス製スクリューキャップ式瓶に秤量し、2倍容量(w/v)のナトリウムメトキシド試薬(5%w/vナトリウムメトキシド/メタノール)と組合わせた。室温で2時間混合した後、ヘキサン50mlを加え、激しく混合し、相分離させた。低部グリセロール含有層を除き、廃棄した。上層部はロータリーエバポレーター中、減圧下に処理し、ヘキサンと残余の揮発成分を除去した。FAMEの最終溶液を窒素ガス下、しっかりとキャップをしたガラス瓶に室温で保存した。
【実施例7】
【0190】
脂肪酸からFAMEへの変換
様々な脂肪酸、または脂肪酸の混合物100グラムをガラス瓶に秤量し、200mlの無水メタノール/1%硫酸と組合わせた。各混合物を窒素ガスで蔽い、容器にしっかりと蓋をした。反応容器を50℃のインキュベーターオーブン中に4時間置いた。インキュベーションの間、混合物を時々振盪して反応物を混合した。混合物をガラス製分液漏斗に移し、100mlの5%(w/v)塩化ナトリウム水溶液を加えた。混合物を激しく振盪し、静置して相分離した。低部水層を除去廃棄した。上層を清浄な乾燥瓶に移し、5gの無水硫酸ナトリウムと組合わせた。この混合物を目視し得るすべての水滴が除かれるまで激しく振盪した。次いで、この混合物をワットマン1濾紙により濾過した。硫酸ナトリウムと濾過装置をヘキサンで洗い、追加のFAMEを回収し、洗液を非水性フラクションに加えた。合併した濾液と洗液をロータリーエバポレーターに容れ、減圧下でヘキサンと残余の揮発性分を除去した。FAMEの最終溶液を褐色のガラス瓶に移し、窒素ガスで蔽い、テフロン(登録商標)内張りしたキャップでしっかりと蓋をし、4℃で保存した。他のエステルについては、上で用いたメタノールの代わりに、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、またはt−ブタノールに置き換えるプロトコールに従って合成した。
【実施例8】
【0191】
アルキルエステル混合物の低温試験
アルキルエステルおよびエステル混合物の低温での性質は、上記の油または脂肪酸から得られた純アルキルエステルまたはエステル混合物の一部をピペットで採取し、10mm×100mmのガラス試験管に容れ、最終容量1.0mlとして試験した。試験管はポリプロピレンスナップキャップで蓋をし、樹脂ラックに容れた。次いで、ラックに容れた試験管をサンプルの頂部の上、1〜2cmの深さまで、50%エチレングリコール/水の冷却溶液に沈めた。一連の水浴を用いて、連続的に試験サンプルを0、−10、−15、−20、および−25℃とした。サンプルをその試験温度に1時間保持し、各試験管を引き出して、曇りの存在、固化、および流動/流れ特性について試験した。さらに、選択したサンプルを独立した試験研究所(インターテック−カレブ−ブレット(Intertek-Caleb-Brett)ラボラトリーズ)に送り、ディーゼル燃料に適切なASTM標準法(ASTM D−97−06、ASTM D−2500−05、およびASTM D6371)を用いて、流動点、曇り点、および低温フィルタープラッギングについて評価した。エステルおよびエステル混合物の曇り点は、ポータブル型ディーゼル燃料曇り点分析計モデルCPA−T30(フェーズ・テクノロジー・コープ)によっても測定した。10ml容量の樹脂シリンジをエステルまたはエステル混合物で満たし、該装置に注入した。10分後に、装置は正確な曇り点温度読取値を与えた。
【実施例9】
【0192】
B100種子油および#2ディーゼルの融点
一連のB100バイオディーゼル流体(脂肪酸アルキルエステル)は、植物油、例えば、ダイズ、カノーラ、トウモロコシ、マカダミア、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ラッカセイ、クルミ、ヤシ、ココヤシ、およびヒマシ油などから、実施例6に記載した手順に従って調製した。これらの燃料は、低温流動性について、実施例8に記載した手順に従って、市販品として入手した石油系ディーゼル#2(シェル・オイル(株)、サンディエゴ、カリフォルニア)と比較した。+20℃と−20℃の間の色々な温度で各流体をインキュベートしたときの効果を下記表に示す;この表は該流体が所定の温度で1時間インキュベートした後に液体であったか、または固体であったかを示す(流動点)。ディーゼル燃料は−15℃まで液体のままであったが、−20℃では1時間後に固体であった。対照的に、植物油に基づく脂肪酸メチルエステルは相当により低い温度で固化した。パーム油メチルエステルは+5℃で固体であった。最良に機能する植物油に基づくエステルはカノーラとヒマのものであったが、共に−15℃で固体であった。このように、植物油メチルエステルのいずれもが、−20℃未満の曇り点のディーゼル燃料または標的に等しい低温度性をもたなかった。
【表7】

【実施例10】
【0193】
ダイズおよびカノーラB100の融点を低下させるC8およびC10FAME
植物油由来メチルエステルの低温度での性質は、短鎖脂肪酸メチルエステルの添加により改善された。ダイズ油メチルエステルは−10℃で固体であった。ダイズ油メチルエステルに30%(v/v)のC8メチルエステル(オクタン酸メチル)を加えた場合、その混合物は−10℃で液体のままであった。C8メチルエステルを60%(v/v)に増加した場合、混合物は−20℃で液体のままであった。C10メチルエステル(デカン酸メチル)の添加は、ダイズ由来のメチルエステルの流動点に対し、同一の効果を示した。カノーラ油由来のメチルエステルの低温度性能もまた、短鎖メチルエステルの添加により改善された。40%のC8メチルエステルをカノーラメチルエステルに加えると、観測される流動点は−20℃に低下した。C10メチルエステルのカノーラへの添加は、観測される流動点に対し同様の効果を示した。カノーラまたはダイズメチルエステルにC8/C10エステルの混合物を添加しても、混合物の流動点を低下させた。
【表8】

【実施例11】
【0194】
種々の全油B2−B100バイオディーゼル配合物の融解性
ディーゼル燃料と植物油由来メチルエステルとの混合物についてもまた低温度での性質について試験した。ディーゼル燃料は、2%(B2)、5%(B5)、20%(B20)(v/v)植物油由来メチルエステルと、純植物油由来メチルエステル(B100)と共に試験した。植物油由来メチルエステルをディーゼル燃料に添加しても、B20配合物を除き、混合物の流動点に観察し得る効果はなかった。カノーラ、ヒマおよびダイズはB20流動点に効果を示さなかったが、一方、トウモロコシ、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、ラッカセイ、ヤシ、およびココヤシは、すべて純ディーゼル燃料に比べて、B20配合物の観察される流動点を上昇させた。
【表9】

【実施例12】
【0195】
融点に対する長鎖飽和体の効果
脂肪酸メチルエステルについて、上に詳述した低温度性能につき試験した。下記図表はC18:1メチルエステル(オクタデセン酸メチル)に長鎖飽和脂肪酸を加える効果を示す。純C18:1メチルエステルは−20℃で液体であるが、C18:0オクタデカン酸メチルを添加すると、混合物中に存在するC18:0が2%と僅かであっても、観察される流動点を+5℃も上昇させる;1%C18:0では、混合物の流動点は0℃である。同様に、C18:1とのC16混合物は劇的に流動点を上昇させる。9%(v/v)C16メチルエステル(ヘキサデカン酸メチル)と91%C18:1との混合物は、−5℃で固体であった。C16:0が3%と少ない場合でも、−15℃で固体となった。C14:0メチルエステル(テトラデカン酸メチル)は、1%という低濃度で、−20℃で固体を生じ、30%C14:0は−10℃で固体であった。C12:0(ドデカン酸メチル)との混合物は、興味深い予期せぬ結果を提供した。1%ないし5%のC12レベルで、混合物は−20℃で固体であったが、C18:1との6%ないし20%のC12混合物は−20℃で液体のままであった。従って、バイオディーゼル中、6〜20%の、またはより好ましくは6〜10%のC12:0の存在は、低温流動性に対して驚くほど有益な作用を示す。このように、長鎖飽和FAMEがC18:1との混合物の流動点を有意に上昇させる一方、C14はその効果が相当に小さく、C12は20%(v/v)までの濃度で殆ど効果を示さなかった。
【表10】

【実施例13】
【0196】
遺伝的に修飾したナタネ植物
ナタネ植物について、本明細書にて考察したように、中鎖脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸との所望のバランスをもつ油を生成するように遺伝的に修飾する;すなわち、ナタネ植物を遺伝的に修飾して、相対的に上昇した短鎖/中鎖脂肪酸;相対的に上昇したレベルのモノ不飽和C16:0およびC18:0脂肪酸;および相対的に減少したレベルのポリ不飽和C18:2およびC18:3脂肪酸を有するようになる。以下の遺伝的修飾を実施する:(1)FAD2遺伝子のコーディング配列にストップコドンを導入する遺伝子修復オリゴヌクレオチドベースを用いてΔ12デサチュラーゼの活性を低下させ、リノレン酸(18:3)およびリノール酸(18:2)のレベルを低下させ、同様にオレイン酸(18:1)のレベルを上昇させる;(2)マカダミア(Macadamia integrifolia)からのΔ9−ステアロイルアシル−ACP遺伝子でナタネ植物を形質転換することにより、Δ9−ステアロイルアシル−ACPデサチュラーゼ遺伝子の活性を修飾して、パルミトレン酸(16:1)のレベルを上昇させる;(3)遺伝子修復オリゴヌクレオチドベースを用いてストップコドンをKASII遺伝子のコーディング配列に導入することによりケトアシル−ACPシンターゼ(KASII)の活性を低下させる;(4)パルミトイルチオエステラーゼ(PTE)の基質特異性は、カプリロイル−ACP(C8)、カプロイル−ACP(C10)、およびラウロイル−ACP(C12)により活性が上昇し、結果として、短い鎖長特異性を有するクフェア・アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子でナタネ植物を形質転換して、短鎖および中鎖脂肪酸のレベルが上昇するように改変する。遺伝的に修飾したナタネ植物は以下の脂肪酸組成を有する油を産生する:C8は油の約5%を占める;C10は油の約5%を占める;C12は油の約15%を占める;C16:1およびC18:1は共に油の約70%を占める;そしてC14:0、C16:0、C18:0、C18:2およびC18:3はそれぞれが油の1%未満を占める。該油のメチルエステルは約−20℃で液体である。
【実施例14】
【0197】
曇り点に対するアルキル−エステル化の効果
種々の脂肪酸(C8、C10、C12、C14およびC18)は、実施例7に記載した一般的プロトコールを用いて、アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、またはイソプロピルエステル)に変換し、脂肪酸アルキルエステルの曇り点を評価した。これらの実験結果を図7に示す。予測されるように、各タイプのアルキルエステルについて、長鎖脂肪酸は短鎖脂肪酸よりもより高い曇り点を示した(すなわち、C8<C10<C12<C14<C18)。長鎖脂肪酸。驚くべきことに、各タイプの脂肪酸について、イソプロピルエステル脂肪酸が、他のタイプのアルキルエステル化脂肪酸に比べて、最も高い曇り点を示した。イソプロピルエステル化脂肪酸以外に、より長い鎖のエステルは一般に短い鎖のアルキルエステルよりも低い曇り点を示した(すなわち、メチルエステル>エチルエステル>n−プロピルエステル>n−ブチルエステル)。従って、これらの実験に基づき、n−ブチルエステルがバイオディーゼルにとって最も好ましい低温流動性を示し、イソプロピルエステルがバイオディーゼルにとって最も好ましからざる低温流動性を示す。さらに、直鎖のアルキルエステルが、対応する分枝鎖アルキルエステルに比較して、より好適な低温流動性を示す。
【0198】
他に特に断りのない限り、本明細書にて使用する技術的および科学的用語は、すべて本発明の属する技術分野の通常の技能を有する者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。
【0199】
本明細書に記載し、説明した本発明は、いずれかの構成要素または限定がなく、本明細書に具体的に開示されていなくても、適切に実施し得るものである。従って、例えば、用語“含んでなる”、“包含する”、“含有する”などは包括的に、限定なしに読み取るべきものである。さらに、本明細書にて使用する用語および表現は、説明の手段であって、限定の手段ではなく、かかる用語および表現を用いて、開示し記載した特徴またはその一部と同等のものを除外しようとするものではないが、本発明の特許請求の範囲内で多様な変更態様が可能であることは明確に理解される。
【0200】
従って、理解すべきことは、本発明が好適な実施態様および本発明の最適の特徴により具体的に開示されているとしても、本明細書に具体的に記載開示されている変更態様、改善および変動は当業者が頼りとし得るものであること、またかかる変更態様、改善および変動は本発明の範囲内のものであることである。ここに提示した材料、方法、および実施例は好適な実施態様の代表的なものであり、例示であって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0201】
本発明につき本明細書には幅広く一般的に記載してきた。一般的な開示に含まれる狭い種概念および下位概念の部類のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これはその一群からある対象を除く条件つきまたは否定的限定のある本発明の一般的記載をも含み、除外されている物質が本明細書に具体的に列挙してあるか否かには関係ない。
【0202】
さらに、本発明の特徴または側面がマーカッシュ群により記載されている場合、当業者は、当該発明がそのものに関してマーカッシュ群の個々のメンバーまたはサブグループのメンバーとして記載されているものであることを認識されたい。
【0203】
本明細書にて言及した出版物、特許出願、特許、およびその他の引用文献は、すべて、それぞれを参照により個々に組み入れたと同じ程度に、その全体を参照により本明細書の一部とする。抵触のある場合は、本明細書が、その定義をも含めて、規制する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸混合物であって、
80%ないし100%の8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸および12〜18個の炭素を有するモノ不飽和脂肪酸;
5%ないし80%のカプリル酸(C8:0)およびカプリン酸(C10:0);および
20%未満のラウリン酸(C12:0)を含有してなり;
その場合、当該モノ不飽和脂肪酸が重量で該混合物の5%ないし95%を占め;また
その場合、当該混合物が12個を超える炭素を有する20%未満のポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含有してなり;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;またその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、およびイソプロピルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる;
脂肪酸混合物。
【請求項2】
脂肪酸混合物であって、
80%ないし100%の8〜12個の炭素を有する飽和脂肪酸および12〜18個の炭素を有するモノ不飽和脂肪酸;
5%ないし80%のカプリル酸(C8:0)およびカプリン酸(C10:0);および
20%未満のラウリン酸(C12:0)を含有してなり;
その場合、当該モノ不飽和脂肪酸が重量で該混合物の5%ないし95%を占め;また
その場合、当該混合物が12個を超える炭素を有する20%未満のポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸を含有してなり;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;またその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が、直鎖アルキルエステルを含有してなる;
脂肪酸混合物。
【請求項3】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、基本的に直鎖アルキルエステルからなるものである請求項2に記載の混合物。
【請求項4】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステルおよびn−ブチルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる請求項2または3に記載の混合物。
【請求項5】
該混合物が6%ないし20%のラウリン酸(C12:0)を含有してなる請求項1または2に記載の混合物。
【請求項6】
カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)が共に該混合物の20%ないし40%を占める請求項1または2に記載の混合物。
【請求項7】
オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に該混合物の50%ないし85%を占める請求項1または2に記載の混合物。
【請求項8】
オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に該混合物の50%ないし85%を占める請求項1〜7のいずれかに記載の混合物。
【請求項9】
ステアリン酸(18:0)およびパルミチン酸(16:0)が該混合物の4%未満を占める請求項1〜8のいずれかに記載の混合物。
【請求項10】
ミリスチン酸(14:0)が該混合物の2%未満を占める請求項1〜9のいずれかに記載の混合物。
【請求項11】
リノール酸(18:2)およびリノレン酸(18:3)が共に該混合物の3%未満を占める請求項1〜10のいずれかに記載の混合物。
【請求項12】
アラキドン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)およびリグノセリン酸(C24:0)が該混合物の1%未満を占める請求項1〜11のいずれかに記載の混合物。
【請求項13】
当該混合物が、
55%ないし65%のオレイン酸(C18:1);
5%ないし15%のラウリン酸(C12:0);
15%ないし25%のカプリン酸(C10:0);および
5%ないし15%のカプリル酸(C8:0);
を含有してなる請求項1または2に記載の混合物。
【請求項14】
カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)が共に該混合物の60%ないし85%を占める請求項1または2に記載の混合物。
【請求項15】
オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に該混合物の15%ないし40%を占める請求項1または2に記載の混合物。
【請求項16】
オレイン酸(C18:1)およびパルミトレン酸(16:1)が共に該混合物の50%ないし85%を占める請求項15に記載の混合物。
【請求項17】
ステアリン酸(18:0)およびパルミチン酸(16:0)が該混合物の4%未満を占める請求項12〜16のいずれかに記載の混合物。
【請求項18】
ミリスチン酸(14:0)が該混合物の2%未満を占める請求項12〜17のいずれかに記載の混合物。
【請求項19】
リノール酸(18:2)およびリノレン酸(18:3)が共に該混合物の3%未満を占める請求項12〜18のいずれかに記載の混合物。
【請求項20】
アラキドン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)およびリグノセリン酸(C24:0)が該混合物の1%未満を占める請求項12〜19のいずれかに記載の混合物。
【請求項21】
当該混合物が、
55%ないし65%のオレイン酸(C18:1);
5%ないし15%のラウリン酸(C12:0);
15%ないし25%のカプリン酸(C10:0);および
5%ないし15%のカプリル酸(C8:0)
を含有してなる請求項1または2に記載の混合物。
【請求項22】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも10%を占める請求項1〜21のいずれかに記載の混合物。
【請求項23】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも20%を占める請求項1〜22のいずれかに記載の混合物。
【請求項24】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも30%を占める請求項1〜23のいずれかに記載の混合物。
【請求項25】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも40%を占める請求項1〜24のいずれかに記載の混合物。
【請求項26】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも50%を占める請求項1〜25のいずれかに記載の混合物。
【請求項27】
モノ不飽和脂肪酸が該混合物の少なくとも60%を占める請求項1〜26のいずれかに記載の混合物。
【請求項28】
12個を超える炭素を有するポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が共に該混合物の15%未満を占める請求項1〜27のいずれかに記載の混合物。
【請求項29】
12個を超える炭素を有するポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が共に該混合物の10%未満を占める請求項1〜28のいずれかに記載の混合物。
【請求項30】
12個を超える炭素を有するポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が共に該混合物の5%未満を占める請求項1〜29のいずれかに記載の混合物。
【請求項31】
12個を超える炭素を有するポリ不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸が共に該混合物の3%未満を占める請求項1〜30のいずれかに記載の混合物。
【請求項32】
該混合物が油である請求項1〜31のいずれかに記載の混合物。
【請求項33】
該混合物が少なくとも2種の異なる油の配合物である請求項1〜32のいずれかに記載の混合物。
【請求項34】
該アルキル−エステル化脂肪酸が直鎖アルキルエステルを含有してなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項35】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的に直鎖アルキルエステルからなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項36】
該アルキル−エステル化脂肪酸が分枝鎖アルキルエステルを含有しない請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項37】
該エステル化脂肪酸がイソプロピルエステルではない請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項38】
該エステル化脂肪酸がメチルエステルを含有してなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項39】
該エステル化脂肪酸が、基本的にメチルエステルからなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項40】
該エステル化脂肪酸がエチルエステルを含有してなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項41】
該エステル化脂肪酸が、基本的にエチルエステルからなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項42】
該エステル化脂肪酸がn−プロピルエステルを含有してなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項43】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−プロピルエステルからなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項44】
該エステル化脂肪酸がn−ブチルエステルを含有してなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項45】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−ブチルエステルからなる請求項1〜33のいずれかに記載の混合物。
【請求項46】
2種以上の油の配合物であって、当該配合物が少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸、ミリストレン酸(C14:1)、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなり、その場合、当該中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)からなり、またその場合、当該カプリル酸が該配合物の約25重量%まで、またミリスチン酸(C14:0)および飽和長鎖脂肪酸が10重量%未満を構成し;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;そしてその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、およびイソプロピルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる;
配合物。
【請求項47】
2種以上の油の配合物であって、当該配合物が少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸、ミリストレン酸(C14:1)、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなり、その場合、当該中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)からなり、またその場合、当該カプリル酸が該配合物の約25重量%まで、またミリスチン酸(C14:0)および飽和長鎖脂肪酸が10重量%未満を構成し;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;そしてその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が直鎖アルキルエステルを含有してなる;
配合物。
【請求項48】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、基本的に直鎖アルキルエステルからなる請求項47に記載の配合物。
【請求項49】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステルおよびn−ブチルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる請求項47または48に記載の配合物。
【請求項50】
当該中鎖脂肪酸がカプリン酸(C10:0)を含有してなり、またその場合のカプリン酸が、該配合物の約30ないし約60重量%を構成する請求項46または47に記載の配合物。
【請求項51】
当該中鎖脂肪酸がラウリン酸(C12:0)を含有してなり、またその場合のラウリン酸が該配合物の約5ないし約20重量%を構成する請求項46または47に記載の配合物。
【請求項52】
当該配合物が8%未満のミリスチン酸および飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項46または47に記載の配合物。
【請求項53】
当該配合物が6%未満のミリスチン酸および飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項46または47に記載の配合物。
【請求項54】
当該配合物が約15%ないし約40%の飽和中鎖脂肪酸および約60%ないし約85%のモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項46または47に記載の配合物。
【請求項55】
当該配合物が約60%ないし約85%の飽和中鎖脂肪酸および約15%ないし約40%のモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項46または47に記載の配合物。
【請求項56】
当該モノ不飽和長鎖脂肪酸がパルミトレン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、またはその組合せを含有してなる請求項46〜55のいずれかに記載の配合物。
【請求項57】
当該配合物が内燃機関での燃料としての使用に適するものである請求項46または47に記載の配合物。
【請求項58】
当該油が、カノーラ、ナタネ、ヤシ油、ヤシ殻、ココヤシ、ホシダネヤシ、ヒマワリ、ベニバナ、クフェア、オリーブ、マカダミア、ババスーヤシ、ヒマ、ラッカセイ、ワタ、アマ種子、亜麻仁、コフネヤシ、およびジャトロファからなる群より選択される請求項46または47に記載の配合物。
【請求項59】
当該油の1種以上が遺伝的に修飾した植物に由来し、その場合、当該植物は飽和中鎖脂肪酸を産生するように修飾したものである請求項46または47に記載の配合物。
【請求項60】
当該配合物が−10℃未満またはそれに等しい融点を有する請求項46〜58のいずれかに記載の配合物。
【請求項61】
当該配合物が−20℃未満またはそれに等しい融点を有する請求項46〜58のいずれかに記載の配合物。
【請求項62】
該アルキル−エステル化脂肪酸が直鎖アルキルエステルを含有してなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項63】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的に直鎖アルキルエステルからなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項64】
該アルキル−エステル化脂肪酸が分枝鎖アルキルエステルを含有しない請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項65】
該アルキル−エステル化脂肪酸がイソプロピルエステルではない請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項66】
該アルキル−エステル化脂肪酸がメチルエステルを含有してなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項67】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的にメチルエステルからなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項68】
該アルキル−エステル化脂肪酸がエチルエステルを含有してなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項69】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的にエチルエステルからなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項70】
該アルキル−エステル化脂肪酸がn−プロピルエステルを含有してなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項71】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的にn−プロピルエステルからなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項72】
該アルキル−エステル化脂肪酸がn−ブチルエステルを含有してなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項73】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的にn−ブチルエステルからなる請求項46〜61のいずれかに記載の配合物。
【請求項74】
脂肪酸混合物であって、
少なくとも50重量%の中鎖脂肪酸、ミリストレン酸(C14:1)、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなり、その場合、当該飽和中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)を含有してなり、その場合の当該カプリル酸が該配合物の約25重量%まで、またミリスチン酸(C14:0)および飽和長鎖脂肪酸が10重量%未満を構成し;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;そしてその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、およびイソプロピルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる;
混合物。
【請求項75】
脂肪酸混合物であって、
少なくとも50重量%の中鎖脂肪酸、ミリストレン酸(C14:1)、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなり、その場合、当該飽和中鎖脂肪酸がカプリル酸(C8:0)を含有してなり、その場合の当該カプリル酸が該配合物の約25重量%まで、またミリスチン酸(C14:0)および飽和長鎖脂肪酸が10重量%未満を構成し;
その場合、当該脂肪酸がアルキル−エステル化されており;そしてその場合のアルキル−エステル化脂肪酸が、直鎖アルキルエステルを含有してなる;
混合物。
【請求項76】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的に直鎖のアルキルエステルからなる請求項75に記載の混合物。
【請求項77】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステルおよびn−ブチルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる請求項75または76に記載の混合物。
【請求項78】
当該中鎖脂肪酸がカプリン酸(C10:0)を含有してなり、その場合、当該カプリン酸が該配合物の約30ないし約60重量%を構成する請求項74または75に記載の混合物。
【請求項79】
当該飽和中鎖脂肪酸がラウリン酸(C12:0)を含有してなり、その場合、当該ラウリン酸が該配合物の約5ないし約20重量%を構成する請求項74または75に記載の混合物。
【請求項80】
当該中鎖脂肪酸が12個以下の炭素を有する脂肪酸を含有してなる請求項74または75に記載の混合物。
【請求項81】
当該混合物が8%未満のミリスチン酸および飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項74または75に記載の混合物。
【請求項82】
当該混合物が6%未満のミリスチン酸および飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項74または75に記載の混合物。
【請求項83】
当該混合物が約15%ないし約40%の飽和中鎖脂肪酸および約60%ないし約85%のモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項74または75に記載の混合物。
【請求項84】
当該混合物が約60%ないし約85%の中鎖脂肪酸および約15%ないし約40%のモノ不飽和長鎖脂肪酸を含有してなる請求項74または75に記載の混合物。
【請求項85】
当該モノ不飽和長鎖脂肪酸が、パルミトレン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、またはその組合せを含有してなる請求項74〜84のいずれかに記載の配合物。
【請求項86】
当該混合物が−10℃以下の融点を有する請求項74〜85のいずれかに記載の混合物。
【請求項87】
当該混合物が−20℃以下の融点を有する請求項74〜85のいずれかに記載の混合物。
【請求項88】
該アルキル−エステル化脂肪酸が直鎖アルキルエステルを含有してなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項89】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的に直鎖のアルキルエステルからなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項90】
該アルキル−エステル化脂肪酸が分枝鎖アルキルエステルを含有しない請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項91】
該エステル化脂肪酸が、イソプロピルエステルではない請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項92】
該エステル化脂肪酸が、メチルエステルを含有してなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項93】
該エステル化脂肪酸が、基本的にメチルエステルからなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項94】
該エステル化脂肪酸が、エチルエステルを含有してなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項95】
該エステル化脂肪酸が、基本的にエチルエステルからなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項96】
該エステル化脂肪酸が、n−プロピルエステルを含有してなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項97】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−プロピルエステルからなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項98】
該エステル化脂肪酸が、n−ブチルエステルを含有してなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項99】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−ブチルエステルからなる請求項74〜87のいずれかに記載の混合物。
【請求項100】
脂肪酸アルキルエステルの混合物であって、
少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸アルキルエステル、ミリストレン酸アルキルエステル、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステル、および
10重量%未満のミリスチン酸アルキルエステルおよび飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなり;その場合、該アルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、およびイソプロピルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる混合物。
【請求項101】
脂肪酸アルキルエステルの混合物であって、
少なくとも50重量%の飽和中鎖脂肪酸アルキルエステル、ミリストレン酸アルキルエステル、およびモノ不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステル、および
10重量%未満のミリスチン酸アルキルエステルおよび飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなり;その場合、該アルキル−エステル化脂肪酸が、直鎖アルキルエステルを含有してなる混合物。
【請求項102】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、基本的に直鎖のアルキルエステルからなる請求項101に記載の混合物。
【請求項103】
該アルキル−エステル化脂肪酸が、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステルおよびn−ブチルエステルからなる群より選択される1種以上のアルキルエステルを含有してなる請求項101または102に記載の混合物。
【請求項104】
当該中鎖脂肪酸アルキルエステルがカプリル酸アルキルエステル(C8:0)を含有してなり、またその場合、当該カプリル酸アルキルエステルが該配合物の約25重量%までを構成する請求項100または101に記載の混合物。
【請求項105】
当該中鎖脂肪酸アルキルエステルがカプリン酸アルキルエステル(C10:0)を含有してなり、またその場合、当該カプリン酸アルキルエステルが該配合物の約30ないし約60重量%を構成する請求項70に記載の混合物。
【請求項106】
当該中鎖脂肪酸アルキルエステルがラウリン酸アルキルエステル(C12:0)を含有してなり、またその場合、当該ラウリン酸アルキルエステルが該配合物の約5ないし約20重量%を構成する請求項100または101に記載の混合物。
【請求項107】
当該中鎖脂肪酸アルキルエステルが12個以下の炭素を有する脂肪酸アルキルエステルを含有してなる請求項100または101に記載の混合物。
【請求項108】
当該混合物が8%未満のミリスチン酸アルキルエステルおよび飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなる請求項100または101に記載の混合物。
【請求項109】
当該混合物が6%未満のミリスチン酸アルキルエステルおよび飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなる請求項100または101に記載の混合物。
【請求項110】
当該混合物が約15%ないし約40%の中鎖脂肪酸アルキルエステルおよび約60%ないし約85%のモノ不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなる請求項100または101に記載の混合物。
【請求項111】
当該混合物が約60%ないし約85%の中鎖脂肪酸アルキルエステルおよび約15%ないし約40%のモノ不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルを含有してなる請求項100または101に記載の混合物。
【請求項112】
当該モノ不飽和長鎖脂肪酸アルキルエステルが、パルミトレン酸脂肪酸アルキルエステル(C16:1),オレイン酸脂肪酸アルキルエステル(C18:1)、またはその組合せを含有してなる請求項100〜111のいずれかに記載の混合物。
【請求項113】
該アルキル−エステル化脂肪酸が直鎖アルキルエステルを含有してなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項114】
該アルキル−エステル化脂肪酸が基本的に直鎖アルキルエステルからなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項115】
該アルキル−エステル化脂肪酸が分枝鎖アルキルエステルを含有しない請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項116】
該エステル化脂肪酸が、イソプロピルエステルではない請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項117】
該エステル化脂肪酸が、基本的にメチルエステルからなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項118】
該エステル化脂肪酸が、エチルエステルを含有してなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項119】
該エステル化脂肪酸が、基本的にエチルエステルからなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項120】
該エステル化脂肪酸が、n−プロピルエステルを含有してなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項121】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−プロピルエステルからなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項122】
該エステル化脂肪酸が、n−ブチルエステルを含有してなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項123】
該エステル化脂肪酸が、基本的にn−ブチルエステルからなる請求項70〜112のいずれかに記載の混合物。
【請求項124】
当該混合物が−10℃未満またはそれに等しい融点を有する請求項100〜123のいずれかに記載の混合物。
【請求項125】
当該混合物が−20℃未満またはそれに等しい融点を有する請求項100〜123のいずれかに記載の混合物。
【請求項126】
当該混合物が、
15%ないし25%のカプリル酸エチルエステル(C8);
25%ないし35%のカプリン酸エチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸エチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項127】
当該混合物が、
15%ないし25%のカプリル酸n−プロピルエステル(C8);
25%ないし35%のカプリン酸n−プロピルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−プロピルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項128】
当該混合物が、
5%ないし15%のカプリル酸エチルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸エチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸エチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項129】
当該混合物が、
5%ないし15%のカプリル酸n−プロピルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸n−プロピルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−プロピルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項130】
当該混合物が、
5%ないし15%のカプリル酸n−ブチルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸n−ブチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−ブチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項131】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸エチルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸エチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸エチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項132】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸n−プロピルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸n−プロピルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−プロピルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項133】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸n−ブチルエステル(C8);
30%ないし40%のカプリン酸n−ブチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−ブチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項134】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸エチルエステル(C8);
25%ないし35%のカプリン酸エチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸エチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項135】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸n−プロピルエステル(C8);
25%ないし35%のカプリン酸n−プロピルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−プロピルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項136】
当該混合物が、
5%ないし10%のカプリル酸n−ブチルエステル(C8);
25%ないし35%のカプリン酸n−ブチルエステル(C10);
5%ないし20%のラウリン酸n−ブチルエステル(C12)
を含有してなる請求項100〜123に記載の混合物。
【請求項137】
当該混合物が内燃機関での燃料としての使用に適する請求項100または101に記載の混合物。
【請求項138】
当該混合物が燃料添加物、機能的流体、または凝固点降下剤としての使用に適する請求項100または101に記載の混合物。
【請求項139】
請求項100または101に記載の混合物および石油ディーゼルを含有してなるバイオディーゼル配合物。
【請求項140】
当該混合物が1%、2%、5%、10%、15%、および20%からなる群より選択される配合物の部分を含有してなる請求項139記載のバイオディーゼル配合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508047(P2011−508047A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540621(P2010−540621)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/026410
【国際公開番号】WO2009/085033
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508208421)サイバス,エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】